宇宙の大海を彷徨う巨鯨
●伝説の巨鯨
それは、果てしなく巨大だった。
そして、どこまでも無慈悲だった。
その姿は、スペースシップワールドでは伝説の中にのみ存在する海の巨獣――鯨を彷彿とさせた。
だが、眼前に漂う、銀河帝国の宇宙戦艦の残骸をも丸呑みにする巨大で危険な存在は、鯨などという生易しいものではない。
そのあまりにも巨大な怪物は、眼前に存在する全てを飲み込み、その身をさらに巨大なものに変化させつつ、宇宙を彷徨い続ける。
宇宙を漂うスペースデブリに、先の銀河帝国攻略戦で発生した帝国・解放軍両軍の兵器の残骸……宇宙では、喰らうものには事欠かない。
もはやそれはひとつの生物というより、災厄と呼ぶにふさわしい存在だった。
●伝説のその先
「宇宙には、想像を絶する存在というのがいるのですね……」
エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)が、真面目な表情でそう嘆息した。
「スペースシップで暮らす全ての人々にとって、とてつもない脅威になりそうなオブリビオンの存在が予知されました」
そしてエルシーが語ったのは、『彷徨する災厄』メルビレイの伝説だ。
「それは、宇宙船乗りに語り継がれる、伝説の存在。もともとそれは、小さな宇宙ドラゴンだったと伝えられています。ですが、視界に写るもの全てを食らい続けた結果、宇宙戦よりも巨大な身体を持つに至ったのだそうです。巨大化を続ければ、いずれは星をも飲み込む程に巨大化するだろうと、伝説は語っています」
実際、メルビレイはかつてスペースシップを飲み込むほどに巨大化し、その存在に目を付けた銀河帝国に利用されていたこともあったという。
「そのメルビレイが今、オブリビオンとして蘇ったのです。幸いにもオブリビオン化したメルビレイは、まだ居住用のスペースシップを飲み込むほどの大きさではありませんが、それでも宇宙戦艦以上の巨体を持っています。このままメルビレイが際限なく巨大化して、かつてのように帝国軍の残党に操られるようなことになれば、とてつもない脅威になるでしょう。そうなる前に皆さんには、メルビレイを討伐してもらいたいのです」
メルビレイの出現予想地点までは、『イシュメイル』というスペースシップが送り届けてくれる。
「『イシュメイル』のエイハブ艦長は、かつてメルビレイに遭遇し、自らの艦を沈められた経験のある人物です。ですので、今回の作戦にも非常に協力的です」
イシュメイルの内部には、エイハブ艦長が作ったアクアリウムがある。本物の大きな水槽はないが、水の立体映像が乗った宇宙空間に、ロボットの魚や立体映像の魚を泳がせているという。
「メルビレイの出現予想地点までのワープ中は、そのアクアリウムで楽しんで英気を養うのもいいでしょう」
それからと、エルシーは付け加える。
「メルビレイの周囲には、宙海月と呼ばれるクラゲが大量に発生しています。両者の関係は不明ですが、まずはこの宙海月を倒さないことにはメルビレイに近寄れません。面倒ではありますが、宙海月の掃討もお願いします」
メルビレイが巨大化を続ければ、新たなオブリビオン・フォーミュラとなる可能性も十分考えられる。
「そうなる前に、メルビレイの撃破を、どうぞよろしくお願い致します」
そう言ってエルシーは深々と頭を下げ、猟兵達を送り出したのだった。
J九郎
こんにちは、J九郎です。
今回は、スペースシップワールドに出現した巨大な鯨退治をお願いします。
1章は日常シナリオになりますので、単にアクアリウムを楽しんでいただければ結構です。
2章では宙海月と、3章ではメルビレイとの戦闘になります。どちらも宇宙空間での戦闘になりますが、銀河帝国攻略戦で使用した宇宙服が準備してありますので、生身でも活動に支障はありません。
それでは、皆さんのプレイングをお待ちしています。
第1章 日常
『スペースアクアリウム』
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POW : 歩き回って楽しむ
SPD : 自分のデザインした生き物を泳がせる
WIZ : 音楽などで雰囲気を演出する
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
無累・是空
他の猟兵とアドリブで絡むのオッケーじゃぞい!
【POW】
アクアリウムというと、あれじゃろ。生け簀眺めるやつじゃな!
なに、生魚はいない?機械?
そりゃあすごいのう!!人間はそこまできたんか!!
もう神も追い越したんじゃないかのう!!
わはは!わしも鼻が高いわい!
この辺にわしの生み出した人はおらん気がするがの!!
ショーケースでトランペット眺める子供くらいガン見するぞい!
すげー!人間すげー!!
あ、卵産んだり自分で増えたりはせんのか。チェー。惜しいのー。あとちょっとじゃなー!
クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「宇宙だと、魚は希少品なので観賞用か食用か二択ですね」
【POW】:(UCなし)歩き回って楽しむ
●アクアリウム鑑賞
「360度全てを魚が泳げる水槽にしたトンネルですか……水槽の向こう側がそのまま宇宙とは凝ってますね」
艦内人員のリラクゼーション施設としてのレベルは高そうです。
「戦闘まではまだ時間がある様子……紅茶でも飲んでますか」
水槽の中を泳ぐ魚を鑑賞しながら、戦闘までの間心を落ち着けます。
●星の海の水槽
「アクアリウムというと、あれじゃろ。生け簀眺めるやつじゃな!」
無累・是空(アカシャ・f16461)は、楽しみで仕方ないといった軽い足取りで、アクアリウムがあるフロアへと向かっていた。
「確かにヒーローズアースやUDCアースのアクアリウムはその通りですが、スペースシップワールドでは違いますよ。なにせ、本物の魚はいませんから」
クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)がそう指摘すると、是空は全身を使って驚きを表現する。
「なに、生魚はいない? 泳いでいるのは機械? そりゃあすごいのう!!」
「すごいというか……、宇宙だと、魚は希少品なので観賞用か食用か二択ですね」
「いやいや充分すごいぞ。人間はそこまできたんか!! もう神も追い越したんじゃないかのう!! わはは! わしも鼻が高いわい!」
ヒーローズアースにおける『神』である是空が、子供の成長を見守る親のような表情で、うんうんと頷いた。
「……まあ、この辺にわしの生み出した『人』はおらん気がするがの!!」
「う、生み出す、ですか……」
なぜ是空が得意げなのか、そもそも何を言っているのか理解できないクネウスが反応に困っている内に、2人はアクアリウムへと辿り着いていた。
「……まあ、実際にアクアリウムを見てみるのが一番早いでしょう。実は私も見るのは初めてですから楽しみですよ」
そこは、チューブのようになったフロアだった。水槽が通路を取り巻くように設置されており、その水槽の中を、無数の魚が泳ぎまわっていた。
「おお、魚がいっぱい泳いでおるぞい。でっかいのも小さいのも、鮮やかなのも地味なのもおるのう! これが全部機械か幻影とは、びっくりじゃわい!!」
「360度全てを魚が泳げる水槽にしたトンネルですか……水槽の向こう側がそのまま宇宙とは凝ってますね」
クネウスの言う通り、水槽の外側はそのまま宇宙空間になっており、魚達はまるで宇宙空間を泳ぎ回っているように見える。艦内人員のリラクゼーション施設としては、レベルが高すぎるといっても過言ではない設備だ。
「すげー! 人間すげー!!」
是空はまるでショーケースでトランペットを眺める子供のように、水槽にべったりと張り付いて魚達をガン見している。短時間で魚の大きさや形、色が変わっていくのは、ロボットや立体映像の魚ならではの光景といえるだろう。
チューブ状の水槽を抜けた先は、三方の壁が全て水槽となった、ちょっとした喫茶スペースとなっていた。売店やライブラリコーナーも設置されているところを見ると、スペースシップの乗組員達のリフレッシュスペースといったところだろうか。
「戦闘まではまだ時間がある様子……紅茶でも飲んでますか」
クネウスは近場の椅子に腰かけると、紅茶を注文する。そして、優雅に紅茶をすすりながら、水槽を舞い踊る魚達の姿を鑑賞するのだった。
一方で是空は、アクアリウムに居合わせていた、このスペースシップの艦長エイハブに、質問を投げかけていた。
「なー、あの魚たちはどうやって増えるんじゃ?」
「ロボットは新しいものを作って投入せんと増えませんな。立体映像の方なら比較的簡単に増やすことはできますが」
「あ、卵産んだり自分で増えたりはせんのか。チェー。惜しいのー。あとちょっとじゃなー!」
「なるほど。卵を産み増えるロボット魚というのは考えていませんでした。ちょっと検討してみるとしましょう」
是空の駄目出しを受け、大真面目に改善の検討を始めるエイハブ艦長。このアクアリウムは艦長の趣味という範疇を超え、既にライフワークとなっているようだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ノノ・スメラギ
【POW】
※煌燥・燿さんと合同参加
(ホログラムやロボットの魚を楽し気に眺めて)
「くじら? 見たことはないね!」
投影された鯨の絵を見て、快活な様子で答え
ヨウ君の故郷にもそんな巨大な生き物がいるんだね。
ボクの故郷(※ノノは惑星があった時代に生まれて、銀河帝国に惑星を滅ぼされ、脱出カプセルの冷凍睡眠から目覚めて今に至る)では、
入植時代にはとっても巨大で危険な海洋生物がいたらしい
入植者の働きで駆除されちゃったんだけどね!
銛を一本一本か!
難儀な話だけど、強大な相手にはそうやって一つ一つ、
道を切り開くしかないね!
うん? 君の世界の水族館に川遊びかい?
ははっ。それはいいね!
楽しみにしておくとしよう!
煌燥・燿
※ノノ・スメラギさんと合同参加
「ノノ。鯨は見た事あるか?」
そう言ってホログラムに鯨の絵を描いてみせます
無いか、それなら捕鯨の話をするか。
俺の故郷じゃ昔から鯨の漁をしてたんだ
幾つもの船で漕ぎ出して、紐を結んだ銛や頑丈な網なんかで絡めたり
そのまま陸へ追い込んだりして鯨を狩っていたって話さ。
宇宙に陸は無いかもしれないが。
一本ずつ確実に銛を入れて行けばデカい鯨もきっと倒せる。
そう。銀河帝国と同じだ。
へえ……ノノの星にもデカい生き物がなぁ。
それも見たかったけど……俺の世界の海なら……。
この事件が終わったら俺の星に来てホログラムじゃない魚とか見ないか?
行楽シーズンだし、水族館もいいし。川遊びも楽しいぞ。
●鯨のいる海
「へー、いろんな魚がいるんだね!」
ノノ・スメラギ(銃斧の騎士・f07170)は、水槽の中を悠々と泳ぐロボットやホログラムの魚を楽し気に眺めていた。スペースノイドのノノにとって、魚は滅多に目にすることのない、珍しい存在なのだ。
「魚と言えば。ノノ、鯨は見た事あるか?」
一方、UDCアース出身の煌燥・燿(影焼く眼・f02597)にとって、魚は見慣れた存在だ。
「くじら? 見たことはないね!」
興味津々といった感じのノノの答えを聞いて、燿は水槽の前に設置された端末をいじり始めた。
「? なにしてるの?」
「このアクアリウムは、来訪者が自分の好きな海洋生物をホログラムで投影できるようになっているみたいだからな。……よし、これでいけるはず」
燿が端末の画面にタッチすると、水槽内に他の魚を圧する巨大な魚影が投影された。悠然と水槽内を泳ぐ巨体に、ノノが目を瞠る。
「すごい! これが鯨なんだ!!」
「ああ。俺の故郷の世界じゃ、昔から鯨の漁をしてたんだ」
燿の言葉に、ノノはさらに驚きの表情を浮かべた。
「漁って、あのデカいのを捕まえるの?」
「ああ。幾つもの船で漕ぎ出して、紐を結んだ銛や頑丈な網なんかで絡めたり、そのまま陸へ追い込んだりして鯨を狩っていたって話さ」
もちろん俺も実際見たことあるわけじゃないが、と付け足して、燿は巨大な鯨を小さな魚の群れが避けていく様を見つめる。
「ヨウ君の故郷にもそんな巨大な生き物がいるんだね。ボクの故郷では、惑星への入植時代にはとっても巨大で危険な海洋生物がいたらしい」
それは、銀河帝国が誕生するよりも遥かに昔、スペースシップワールドの人々がまだ居住可能惑星上で暮らしていた頃の話だ。
「へえ……ノノの星にもデカい生き物がなぁ」
「うん。それも、入植者の働きで駆除されちゃったんだけどね!」
だがその入植者達も、結局は銀河帝国に星を追われることになったのだから、皮肉な話だ。
「まあ、宇宙に陸は無いかもしれないが。それでも一本ずつ確実に銛を入れて行けばデカい鯨もきっと倒せる。そう、銀河帝国と同じだ」
燿の言葉に、ノノはポンと手を打った。
「銛を一本一本か! 難儀な話だけど、強大な相手にはそうやって一つ一つ、道を切り開くしかないね!」
そうして二人は、改めて水槽を往くホログラムの鯨に目を向ける。
「ノノの星の魚も見たかったけど……俺の世界の海なら……。そうだ、この事件が終わったら俺の星に来てホログラムじゃない魚とか見ないか? 行楽シーズンだし、水族館もいいし。川遊びも楽しいぞ」
「うん? 君の世界の水族館に川遊びかい? ははっ。それはいいね! 楽しみにしておくとしよう!」
この事件を解決するモチベーションが一つ増えたよと、ノノは快活に笑って見せたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
雪・兼光
【POW】
へぇ。スペースアクアリウムか。
いいねぇ。こういうのってやっぱり心が躍るなァ…。
メルビレイの予測ポイントにつくまで足が疲れそうだぜ。
ロボットの魚とか立体映像の魚とか良い暇つぶしだ。
UDCアースにいない魚とかいるかなァ。パンフとかある?
いいねいいね。(興奮)
宙海月とかもみてみてーしホント、スペースワールドって楽しいよなァ。
メルビレイも実際どんなのか見た事ねーし。
戦わないといけないっていうのに見学に来ている気分になるぜ。
予測ポイントへ行くまで楽しませて貰おうじゃないの。
あ、お土産コーナーってあります?このロボット魚って奴小型版があればほしいのだけどさ…。
ウィンディ・アストレイ
【POW】宇宙を泳ぐ鯨ですか…
どうやら別世界に居るらしい銀河クジラと違って
歌で意思疎通するのは、難しい手合いの様ですが…
残念ながら、アクアリウムの水槽内に入って
魚と一緒に泳ぐ事は出来ないみたいですね…
せめてもと、SSW世界のアクアリウムをじっくり鑑賞します。
この世界では、ナノテクノロジーは当然の物となってますが
こういった小生物の培養などに
ナノテックやバイオテクノロジーを、使用したりしないんですね…
それとも、発想の問題なんでしょうか?
今ある物を少し発展させるだけでも、随分違うと思うんですが…
『単なるタンパク質の塊』よりも『獣肉』や『魚肉』の方が
調理するのも食べるのも、楽しいと思うんです。
●戦いの前の休息
「へぇ。スペースアクアリウムか。いいねぇ。こういうのってやっぱり心が躍るなァ……」
チューブ状の水槽を抜けながら、雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は水槽内を駆け抜ける機械やホログラムの魚を見渡していた。
「残念ながら、アクアリウムの水槽内に入って魚と一緒に泳ぐ事は出来ないみたいですね……」
一方で、ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)は水槽にそっと手を触れると、少し残念そうにそう呟く。
「まあ、それならそれで、この世界のアクアリウムを堪能するとしましょう」
「ああ。ロボットの魚とか立体映像の魚とか良い暇つぶしだ。UDCアースにいない魚とかもいるかなァ。パンフとかある?」
「紙のパンフレットはありませんが、そこに設置された端末で、検索はできるみたいですよ?」
「おお、さすがはスペースシップワールド。便利だねえ」
さっそく端末に取り付き操作を始める兼光。その間にチューブ状の水槽を抜けたウィンディは、別の猟兵が投影したらしい巨大な鯨の姿に息を飲んでいた。
「本来の鯨でもこれだけ大きいのに、宇宙を泳ぐ鯨ですか……」
これから討伐に向かうことになるメルビレイのスケールはこの鯨の比ではないことを思うと、気が遠くなりそうだ。
「どうやら別世界に居るらしい銀河クジラと違って、歌で意思疎通するのは、難しい手合いの様ですが……」
もっとも、オブリビオンとなった時点で意思の疎通はできても理解し合うことはできないでしょうが、とウィンディは嘆息する。
「いやあ、いいねいいね。宙海月とかもみてみてーしホント、スペースワールドって楽しいよなァ」
兼光は「メルビレイの予測ポイントにつくまで足が疲れそうだぜ」とぼやきながらも、興奮を隠し切れない様子で鯨や、スペースシップワールドにしかいない魚の泳ぐ姿を求め歩き回っていた。
「疲れを残して戦いに臨むのは好ましくありません。あちらに休憩スペースがありますから、少し足を休めませんか?」
そんなウィンディの提案に、
「お、売店もあるし食事もできんのか。星の海を泳ぐ魚を眺めながら食事とかいいねぇ」
兼光も乗っかる事にした。空いている席に腰を下ろし、席に設置されていた端末を操作して注文できる料理のメニューを眺める。
「……そういえばこの世界では、ナノテクノロジーは当然の物となってますが、こういった魚のような小生物の培養などにナノテックやバイオテクノロジーを、使用したりしないんですね……」
メニューを見ていたウィンディはそんなことに気付き、考え込んだ。メニューに掲載されている料理を見ても、本物の肉を使った料理は存在していない。
「それとも、発想の問題なんでしょうか? 今ある物を少し発展させるだけでも、随分違うと思うんですが……」
「宇宙船の中だけで生活してると、効率が最優先されてくるんじゃねえの? なんだかんだで生き物を育てるのって難しいし面倒くさいし」
ウィンディと兼光がそんなことを話していると、近づいてくる人物がいた。このスペースシップの艦長であるエイハブだ。
「概ねその通りじゃ。加えて、生き物を育てるには場所も必要になる。全てのスペースシップが、充分なプラントスペースを確保できるわけではないからな」
「……それでも、『単なるタンパク質の塊』よりも『獣肉』や『魚肉』の方が調理するのも食べるのも、楽しいと思うんです」
エイハブの回答を聞いても、なお納得できずにウィンディが食い下がると、
「もちろん、この船でも本物の『獣肉』や『魚肉』は存在するが、高級品でな。気安く食べられるものではないのだよ。そしてそのような環境であれば、本物の魚を見世物にするなと騒ぐ者も出てくるのは想像できるだろう?」
エイハブは苦笑を浮かべながらそう答えた。
そんな、少し重くなりかけた空気を吹き飛ばすように、今度は兼光がエイハブに質問を投げかけた。
「あ、ここにお土産コーナーってあります? このロボット魚って奴、小型版があればほしいのだけどさ……」
「おお、それならそこの売店で売っているぞ」
「じゃ、さっそく買ってくるか」
兼光が席を立ち、それを機にエイハブも他の猟兵に挨拶をすべく場を辞していったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
スピレイル・ナトゥア
「このアクアリウムが学術的なものなら、メルビレイさんの資料もあるのかもしれませんが……どうでしょうか?」
今後の戦いを有利にするためにメルビレイさんの情報も探しながら、アクアリウムを楽しみます
普段は動物を狩ってばかりでお魚さんに目を向けたことはあまりなかったのですが、色々なお魚さんがいるんですね
凄く興味深いです
それにしても、このアクアリウムでは自分でデザインした生物を泳がせることもできるのですね
凄くフリーダムな感じのする話ですが、デザインっていったいどういう意味なのでしょうか?
●宇宙鯨の謎
「普段は動物を狩ってばかりでお魚さんに目を向けたことはあまりなかったのですが、色々なお魚さんがいるんですね」
スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)は、「凄く興味深いです」と呟きつつアクアリウムをあちこちと見て回っていたが、ふとライブラリコーナーがあることに気付き、足を止めた。
「このアクアリウムが学術的なものなら、メルビレイさんの資料もあるのかもしれませんが……どうでしょうか?」
今後の戦いを有利にする情報でもないかと、スピレイルはライブラリコーナーを覗き込んでみる。スペースシップワールドだけあって、そこに紙の書物はなく、いくつかの端末が並んでいるだけだ。
「あまり機械の操作は得意ではないのですけど、どうしましょうか」
スピレイルが困っていると、挨拶にやってきたエイハブ艦長が、「何かお困りですかな?」と声を掛けてきた。そしてスピレイルが、メルビレイの情報を求めてやってきたことを告げると、エイハブの目の色が変わった。
「私は以前乗っていた船がメルビレイに沈められてから、奴の情報を色々と集めてきた。それが奴を討つための役に立つというのなら、喜んでお話しよう」
「それは心強いです」
そうしてエイハブの語り出したメルビレイの特性は、まさに生きる災厄と呼べるものだった。
「奴には知性と呼べるものはなく、あるのは満たされる事のない飢餓感だけだ。ゆえに目につくあらゆるものを破壊し、飲み込んでいく」
その、ある意味単純さゆえに、かつては帝国に操られることになったのだろう。そしてその巨体はそのものが武器であり、単なるヒレや舌による一撃が、致命的な破壊力を持つという。
「なるほど、よく分かりました」
スピレイルは、しばしどうやってメルビレイを仕留めればよいのかと考え込んだ。
「あの、もう一つ確認したいことがあるのですけれど」
「何かな?」
「このアクアリウムでは自分でデザインした生物を泳がせることもできるのですよね。凄くフリーダムな感じのする話ですが、デザインっていったいどういう意味なのでしょうか?」
メルビレイとは全く関係のない質問に面食らった表情を浮かべたエイハブ艦長だったが、すぐに気を取り直して解説を始めた。
「もし絵心があるなら、ここのタブレットを使って絵を描いてもらえば、その絵をホログラムに投影して泳がせることができる。それが難しいなら、既にプログラムされている魚のパーツを組み合わせたり、大きさや色を変えたりして新しい生物を作り出すことができるのだ」
「それは面白そうですね!」
それからスピレイルは、しばし端末を操作して新しい生物のデザインを楽しんだのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『宙海月』
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POW : 電撃
【体内に宿る電気】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 防衛本能
自身の肉体を【非情に肉厚な状態】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : 強力電磁波
【精密機械に限り、電磁波】が命中した対象を燃やす。放たれた【電磁波により、機器から発火した】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
イラスト:井渡
👑7
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●宙海月
スペースシップがワープアウトしてすぐに、猟兵達はメルビレイを発見していた。それは一見とても小さな存在に見えたが、スペースシップから目視できる時点で、その巨大さは想像がつく。
そしてメルビレイの周辺に漂う、光を放つ無数の存在こそ『宙海月』と呼ばれる宇宙を漂うクラゲだった。
体内に電気を宿す宙海月は、近づくものを電気で攻撃したり、電磁波で機器を狂わせたりするため、宇宙船乗りからは嫌われている存在だ。
そんな宙海月がメルビレイの周囲にいるのは、メルビレイの食べ残しを狙ってのことだろうか。
ともかく、メルビレイに近づくためには、まずは宙海月達の駆除が不可欠。
猟兵達は、次々とスペースシップから出撃していったのだった。
煌燥・燿
※ノノ・スメラギと合同参加
宇宙にクラゲが居るとはなあ……!
見た目は神秘的で綺麗だけど、あれは電磁波で機械を壊すらしいな。
この宇宙で何を食べてるのやらわからねえけども。
ノノがクラゲを狙撃してる間その背中を守らせてもらうぜ。
後ろ姿が魅力的なのはわかるが。俺の大事な相棒なんでな。
何分、敵の数が多い。
あの伸び縮みする身体がこっちまで届くかもしれないから気を付けるぜ。
不死鳥降臨・再誕を使うぜ。宇宙空間が真空だろうとも不死鳥の尾の炎は不滅だ。
技能:第六感、属性攻撃、武器受けで不死鳥降臨・再誕を使用する。ノノに近づくクラゲをぶった切る!
ノノ・スメラギ
※煌燥・燿さんと合同参加
宙海月、遠目に見る分には綺麗だけど、
船乗りはもちろん、僕たちみたいな鎧装騎兵としても近寄りたくはない相手だね!
鯨狩の間に背後を取られてもいけないからね、
綺麗に片付けさせてもらうよ!
アイツらに近寄るとろくな事にはならないからね。
と言うわけで、VMAXランチャー!狙撃モードだ!
技能:スナイパー・戦闘知識・野生の感を駆使して
遠距離から宙海月の急所を狙い撃たせてもらう!
……そうそう見落としはしないと思うけど、狙撃に集中するからね。
ヨウくん、ボクの背中は君に任せた! 頼りにさせてもらうよ!
それでも、もしも近づかれ過ぎたらヨウくんも抱えて【空中戦】を駆使して距離をとるよ!
●背中合わせで
「宇宙にクラゲが居るとはなあ……!」
スペースシップから出撃した煌燥・燿が、スペースシップとメルビレイの間に無数に漂っている宙海月を眺めて、感心したような、呆れたような声を上げる。
「宙海月、遠目に見る分には綺麗だけど、船乗りはもちろん、僕たちみたいな鎧装騎兵としても近寄りたくはない相手だね!」
対して、共に出撃したノノ・スメラギは、眉をしかめて嫌そうな表情を浮かべていた。
「確かに見た目は神秘的で綺麗だけど、あれは電磁波で機械を壊すらしいな。宇宙で暮らす人にとっては天敵のような存在ってことか。……この宇宙で何を食べてるのやらわからねえけども」
時折体内の電気を発光させている宙海月に、警戒する燿。
「本当は相手をしたくないけど、鯨狩りの間に背後を取られてもいけないからね、綺麗に片付けさせてもらうよ!」
ノノは複合魔導デバイス『VMAXランチャー』を構えると、
「アイツらに近寄るとろくな事にはならないからね。と言うわけで、VMAXランチャー!狙撃モードだ!!」
宙海月の群れとは充分距離を取ったポイントで、ランチャーの銃口を宙海月の群れに向けた。
「……そうそう見落としはしないと思うけど、狙撃に集中するからね。ヨウくん、ボクの背中は君に任せた! 頼りにさせてもらうよ!」
「ああ、任された。その背中を守らせてもらうぜ」
そうして燿と背中合わせになったノノは、鎧装騎兵としての戦闘知識と、持ち前の勘を最大限に活かして、VMAXランチャーから魔力弾を発射。狙い澄ませた狙撃で、一体また一体と、的確に宙海月を撃ち抜いていく。
だが、VMAXランチャーの射撃が宙海月達の注意を引いたのか、群れの一部がノノ目掛けて動き出した。
「こっちに来るか。ノノの後ろ姿が魅力的なのはわかるが。俺の大事な相棒なんでな、守り切らせてもらうぜ」
身構える燿の手に、まるで不死鳥の尾のような炎の剣が現出する。そして、肉厚な身体をゴムのように伸ばして迫りくる宙海月を、その炎の剣で受け止めた。
「灰からもう一篇やり直せ」
瞬間、炎の剣を構成する炎が大きく膨れ上がり、宙海月を飲み込んでいく。宙海月は体に燃え広がった炎を消そうと跳ね回るように動き回っていたが、命を輪廻へ還すというその炎を消すことはできない。
「宇宙空間が真空だろうとも不死鳥の尾の炎は不滅だ」
燿は【不死鳥降臨・再誕】で生み出した炎の剣を縦横無尽に振り回し、近寄ってくる宙海月を片っ端から焼き切っていった。
「とはいえ、こんなに近づかれちゃったら狙撃に集中できないね! ヨウくん、ちょっと距離を取るよ!」
「了解だ、頼む」
ノノは燿を抱えると、飛翔装置『VMリフター』の出力を最大まで上げて宇宙空間を高速で駆け、近づいてくる宙海月を振り切る。
「じゃ、改めて背中は任せるよ!」
「ああ、了解だ!」
そうしてノノは、改めて狙撃の態勢に入り、次々と宙海月を撃ち抜き始めたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
スピレイル・ナトゥア
「ボスを倒すには周囲のザコ敵から……ゲームの定番ってヤツですね」
ここは現実だからそんな定番はナシにして欲しかったのですが、仕方ありません
前哨戦です。蹴散らしましょう!
周囲を漂う小惑星を盾にしながら、猟兵のみなさんを精霊印の突撃銃で【援護射撃】します
スペースシップの航路に選ばれるような場所に小惑星なんかないってシナリオマスター様が言われるのであれば、しょうがないから遮蔽物を盾にすることは諦めます
精霊印の突撃銃の下部にグレネードランチャーを装備して、宙海月さんたちの集まっているところに向けて放ちます
「いくら綺麗なクラゲさんでも、危険な生物ならノーサンキューです。このまま一気に滅ぼしますよ!」
無累・是空
アドリブ共闘上等じゃあ!
わはは!世界は広いのう!空にくらげが浮かんでおるわ!そのネタいただきじゃな!次になにがしか作るとき参考にさせてもらうわい。
ぴかぴか光ってなかなか綺麗に見えるんじゃがのう。密集具合といい、さしずめ宇宙の雷雲か。突っ込むのは得策ではなさそうじゃな。
わしも長生きしてるが、このフワフワした中で立ち回るのは初めてじゃのう!
【空中戦】のノウハウが活かせるかの!あとは、【念動力】に任せて『神の見えざる手』で潰してまわるかの。
しかしメルビレイと共生しとるちゅうことは宙海月もオブリビオンか?であれば、より念入りに潰すぞな。
●神と精霊の戦場
「わはは! 世界は広いのう! 空にくらげが浮かんでおるわ!」
前方に雲霞の如く展開する宙海月の群れを見て、無累・是空は心底楽しそうに呵々大笑した。
「そのネタいただきじゃな! 次になにがしか作るとき参考にさせてもらうわい」
「その時は、あのような厄介な存在にしないようお願いしますね」
スピレイル・ナトゥアは割と真面目にそう釘をさすと、宙海月の群れと、その更に向こうに巨躯を泰然と漂わせているメルビレイを見やって溜息をつく。
「ボスを倒すには周囲のザコ敵から……ゲームの定番ってヤツですね」
ここは現実なのだから、そんな定番は無しにしてもらいたかったものだと思いながらも、スピレイルは盾代わりに使えそうな小惑星の姿を探し周囲を見回した。
「現実なぞ所詮、神の生み出したゲーム盤のようなものじゃぞい。ならばこのような状況もさほど不思議ではあるまい」
自身が神である是空の言葉は、謎の説得力を持つ。
「あれはぴかぴか光ってなかなか綺麗に見えるんじゃがのう。密集具合といい、さしずめ宇宙の雷雲か。突っ込むのは得策ではなさそうじゃな」
「同感です。遠距離からの攻撃が定石でしょうね。前哨戦です。蹴散らしましょう!」
是空とスピレイルは頷き合うと、それぞれに行動を開始した。スピレイルは発見した手頃な大きさの小惑星を目指し、是空はお得意の空中戦のノウハウを活かして宇宙空間を縦横無尽に飛び回り始める。
「わしも長生きしてるが、このフワフワした中で立ち回るのは初めてじゃのう!」
軽口を叩きながらも、是空は巧みに宙海月から距離を取りながら、念動力を収束させていった。
「念力収束! ゆくぞ神パワー!! ゴッドハーーンドッ!!」
次の瞬間、是空に向かって飛んできていた宙海月が、見えない何かに押し潰されたかのように宇宙空間で爆散した。是空の【神の見えざる手】が、宙海月を圧し潰したのだ。
「さあ、次々と行くぞい」
同じように、何匹もの宙海月が、見えない手に握り潰されていく。だが、宙海月達もただやられているだけではなかった。数匹が一つの塊となって、更に複数の塊が別々の方角から、是空に向かって突っ込んでくる。本能的に、【神の見えざる手】では複数を同時には攻撃できないことを感じ取ったのだろう。その体は体内に蓄積した電気で激しく光り輝いており、近づいたら最後、放たれた体内電気の餌食になるであろうことは一目瞭然だった。
「むう。これが生物の生存本能というものか。それとも、このけったいなクラゲを創ったものがそのように作ったのかのう」
いつの間にか周囲を宙海月達に取り囲まれた是空だったが、
「援護させていただきますよ、神様。もっとも、こちらは精霊の加護による技ですが」
小惑星に身を隠していたスピレイルの【精霊印の突撃銃】による援護射撃が、宙海月達を蹴散らし、是空に後退の機会を与えた。
「助かったぞい、精霊の目を持つお嬢ちゃん」
「どういたしまして、神様。いくら綺麗なクラゲさんでも、危険な生物ならノーサンキューです。このまま一気に滅ぼしますよ!」
精霊印の突撃銃の下部にグレネードランチャーを装備して、宙海月達の集まっている宙域に撃ち込みながら、スピレイルが勇ましい声を上げる。
「メルビレイと共生しとるちゅうことは宙海月もオブリビオンじゃろうからな。より念入りに潰すぞな」
是空も、再び見えざる手を振るい、宙海月を握り潰していく。
神そのものと精霊の巫女。二人の連携を前に、宙海月は大きくその数を減じていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
雪・兼光
【SPD、共闘歓迎】
こいつ等が宇宙クラゲ基『宙海月』かどういう生体してるんだろうな。
宇宙服も着慣れないからなんか動きにくいなァ。
こいつらを蹴散らさないとお目当てのメルビレイに近づけないんだからよぉ。
面倒なことだぜ。
ま、道を切り開くとしますか。
ブラスターでクイックドロウで周りの宙海月共をぶち抜くぜ。
仲間の援護も忘れずに【援護射撃】
宙海月達が密集しているなら【範囲攻撃】
こいつらが集団で襲ってくるかそれとも俺が撃ち落としまくるか。
まるで昔のシューティングゲームだな。
さぁ、邪魔者はとっとと掃除をしてお目当てのメルビレイを拝めに行きますか!まってろよぉ!
●海月掃討
「こいつ等が宇宙クラゲもとい『宙海月』か。どういう生体してるんだろうな」
雪・兼光は鋭い眼光で宙海月の群れを眺めつつ、準備運動のように手足を動かした。
「宇宙服も着慣れないからなんか動きにくいなァ」
そう愚痴をこぼしつつも、ブラスターを構える兼光。
「こいつらを蹴散らさないとお目当てのメルビレイに近づけないんだからよぉ。面倒なことだぜ。ま、道を切り開くとしますか」
そして、わらわらと向かってくる宙海月の群れに、無造作にブラスターを発射する。狙いも碌に定めていないように見えて、目にも止まらぬ速射で確実に1体1体宙海月を射抜いていく兼光。
兼光を危険と判断した宙海月達は、先程他の猟兵にもとった戦術に移行する。複数の宙海月が1つの塊を形成し、さらに複数の塊が別の方角から包囲するように同時に兼光へと襲い掛かってきたのだ。
「おっと、そいつもお見通しだ」
兼光はこれまでの【クイックドロウ】を駆使した戦い方から一転、周囲にブラスターの光弾をばら撒くような戦法に切り替えた。こうなれば、塊で向かってくる宙海月はいい的でしかない。
「こいつらが集団で襲ってくるかそれとも俺が撃ち落としまくるか。まるで昔のシューティングゲームだな」
周囲に群がってきた宙海月達を掃討した兼光は、他の猟兵に群がっている宙海月を次の標的に定め、【クイックドロウ】で援護射撃を開始した。
「さぁ、邪魔者はとっとと掃除をしてお目当てのメルビレイを拝めに行きますか! まってろよぉ!」
兼光達猟兵の活躍で宙海月達が一掃されるまで、それから大した時間を必要としなかった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『彷徨する災厄』メルビレイ』
|
POW : 星覆う巨躯
【満たされる事のない飢餓感】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【宇宙船や星をも飲み込む超弩級の巨体】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : 星砕く巨躯
【満たされる事のない飢餓感の暴走】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【防御ごと粉砕する超弩級のヒレ】で攻撃する。
WIZ : 星呑む巨躯
【超弩級の存在への戦慄】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【星をも飲み込む巨大な口】から、高命中力の【宇宙船をも捉える巨大な舌】を飛ばす。
イラスト:イガラ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「黒玻璃・ミコ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●彷徨する災厄
猟兵と宙海月の戦いにも、メルビレイは全く無関心だった。いや、周囲にある小惑星を喰らうことに気を取られて、猟兵の存在に全く気付いていなかっただけかもしれないが。
だが、そのメルビレイが遂に動いた。
猟兵達の存在に反応したわけではない。メルビレイの目標は猟兵達の遥か背後。彼らの乗ってきたスペースシップ『イシュメイル』だ。
メルビレイは特に急ぐでもなく、悠然と宇宙空間を泳ぎながらスペースシップを目指していた。だが近づくにつれその想像を絶する巨大さが明らかになる。さすがにスペースシップほどの大きさはないものの、メルビレイがその巨体をぶつければ、『イシュメイル』とてただでは済まないだろう。
猟兵達はその前にイシュメイルを撃破すべく、その山の如き巨躯の前に立ち塞がったのだった。
雪・兼光
【SPD】
ようやくお目当てのメルビレイに近づけるわけだ。
相手は巨体だ。その分動きも鈍く成る訳だろ?
それならユーベルコードで相手の周りをまとわりついて攻撃しますか。
ま、流石に攻撃のモーションが来たら急いで逃げるけどな。
蝶の様に舞、蜂の様にさすって感じで変形したブラスターで射撃攻撃だ。
ちくちくこの宇宙クジラの巨体を削れる分削りましょうか。
巨体だからどれぐらい時間かかるかなァ。
にしても近場で見るとホント迫力あるよなぁ。
クジラ自体を初めて見るけどよォ。
きっと地球のクジラもでけぇんだろうなぁ。
スピレイル・ナトゥア
「宇宙空間だと遠近感が狂いますね。まさか、メルビレイがあんなにも巨大な生物だったなんて……」
大きさについてもエイハブさんから話を聞いていたのかも知れませんが、実際にこうして目の当たりにしてみると大違いです
てっきり、スペースシップと同じぐらいの大きさなんじゃないかって勝手に思っていました
あれだけ大きい敵だと普通の攻撃は通じなさそうですね
どうするべきでしょうか……?
精霊樹の弓による【スナイパー】でメルビレイの急所を狙ってみんなを【援護射撃】しつつ、メルビレイの隙をついて、禁断の私自身の精霊の眼を開いて『蒼色の螺旋』を発動します
「たとえ、敵が巨大でもこの方法なら……艦長の仇を討ってみせます!」
●蜂の一刺し
「やれやれ。ようやくお目当てのメルビレイに近づけるわけだ」
宙海月の掃討を終えた雪・兼光は、関節をポキポキと鳴らしつつ迫りくるメルビレイを鋭い眼光で睨み据えた。
「宇宙空間だと遠近感が狂いますね。まさか、メルビレイがあんなにも巨大な生物だったなんて……」
スピレイル・ナトゥアは、メルビレイの大きさをようやく実感して息を飲んだ。エイハブ船長からその大きさを聞いてはいたが、やはり話に聞くのと実際にこうして目の当たりにするのとでは大違いだ。
「てっきり、スペースシップと同じぐらいの大きさなんじゃないかって勝手に思っていました……。あれだけ大きい敵だと普通の攻撃は通じなさそうですね。どうするべきでしょうか……?」
スピレイルが兼光に意見を求めると、
「なあに、相手はあれだけの巨体だ。その分動きも鈍く成る訳だろ? なら、相手の周りをまとわりついて攻撃しますか」
兼光はそう嘯き、ブラスターをホルダーから引き抜いた。
「俺のブラスターは質量無視で変形もできるんだぜ?」
兼光のユーベルコードの力で、ブラスターが見る間に宇宙バイク並みに巨大化し、さらに搭乗可能な姿に変形していく。そのブラスターに跨ると、兼光は聳え立つ山の如きメルビレイに向かっていった。そしてメルビレイの死角に回り込み、巨大化したブラスターから次々と熱線を放つ。
「こうやって、ちくちくこの宇宙クジラの巨体を削れる分削りましょうか。巨体だからどれぐらい時間かかるかなァ」
兼光の言葉通り、ブラスターは確実にメルビレイの肉を抉り表皮を焼いてはいるが、それでも相手は大きすぎる。メルビレイ自身にとっては、蚊に刺された程度にしか感じていないだろう。それでも気にはなるようで、まるで牛が蠅を払うように、わずかに身じろぎすると超弩級の巨大なヒレをはためかせた。
「うおっ!?」
あわてて距離を取り、ヒレの一撃をかわす兼光。だが、その圧力だけで兼光の体は煽られ、大きく吹き飛ばされてしまう。しかも悪いことにメルビレイの真正面に。
「まずい!」
メルビレイは満たされる事のない飢餓感に突き動かされるままに、小惑星をも飲み込む巨大な口を開く。そして、兼光を飲み込まんとその舌を伸ばした瞬間。
「そこです!」
スピレイルが精霊樹の弓から放った風の精霊の力を乗せた矢が、宇宙空間を裂くように飛び、その舌を射抜いていた。
そしてメルビレイが舌を振り回して刺さった矢を吹き飛ばす間に、兼光はブラスターを全力で駆り、メルビレイから一旦距離をとる。
「悪いな、助かった」
「いえ。あの巨体はメルビレイに攻撃の意志がなくてもそれ自体が凶器です。近づく時は充分気を付けて下さい」
「了解だ。蝶の様に舞い、蜂の様に刺すって感じでいくぜ」
それから兼光は、メルビレイに急接近してはブラスターの連射を浴びせ、メルビレイが動きを見せれば距離を取るヒットアンドアウェイの戦術で、着実にメルビレイにダメージを蓄積していった。
「にしても近場で見るとホント迫力あるよなぁ。まあ、クジラ自体を初めて見るけどよォ。きっと地球のクジラもでけぇんだろうなぁ」
「地球の鯨はここまで大きくはないと思いますが。それよりも、一つ試してみたいことがあります。援護をお願いできますか」
スピレイルのお願いを、兼光は二つ返事で引き受ける。
「さっきは助けてもらったからな。うまくやれよ」
兼光が援護のためにあえてメルビレイの気を引くように牽制射撃を開始すると、スピレイルはメルビレイの眼前にその身を晒した。そしてスピレイルの存在に気付いたメルビレイが、その全てを飲み込む巨大な口を開く前に、
「いま真の眼を開きましょう。私は運命を視る忌み子。何人たりともこの御手からは逃れられない……!」
スピレイルの禁断の存在である精霊の眼が開かれた。その瞳が見つめるのは、蒼い螺旋の形で見えるメルビレイの運命そのもの。そして精霊の巫女姫たるスピレイルは、その蒼い螺旋をある程度操ることができるのだ。
「たとえ、敵が巨大でもこの方法なら……艦長の恨みを晴らして見せます!」
スピレイルにしか見えない蒼い螺旋が、メルビレイの死に向かって回転を始める。そして運命そのものを歪めるこの禁断の力の前には、体の大きさの大小は関係ない。
本能的に危機を悟ったのか、メルビレイが舌を伸ばし、スピレイルを絡めとろうとする。だがそこに、兼光のブラスターの連射が降り注いだ。そしてメルビレイの気がわずかに逸れた隙に、兼光はスピレイルをブラスターに乗せ、共にメルビレイから遠ざかっていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ウィンディ・アストレイ
クネウスさん(f02209)と参加
アドリブ&他猟兵との連携や絡み歓迎
あれだけの巨体でも、宇宙から見れば芥子粒同然なのですね…
航宙艦一隻程度の容量や設備では
同艦のお腹を満たすに必ずしも足りないという事が、分かった気がします
ただ…今は猟兵としても、この世界の生存競争に関わる物としても
アレを『イシュメイル』に近づける訳にはいきませんね…
その出鼻、挫かせて頂きます!
白く流麗な甲冑を纏った様な長身の姿が、ボク…私の真の姿
(ブラスターテッカマンブレードやサイバスターがイメージ)
敵の攻撃を回避しつつ【縦一文字切り】を、その鼻っ面に叩き込みます!
(先制攻撃&空中戦&ダッシュ&見切り&第六感&怪力&鎧無視攻撃)
クネウス・ウィギンシティ
ウィンディさん(f09020)と参加
アドリブ&絡み歓迎
「『イシュメイル』には情が湧きました。コイツを使いますか……」
【POW】真の姿(強化外骨格)を纏い突撃する
「GEAR:ARMORED CYBORG。強制展開、目標視認、全武装マニュアル制御。ブースト!」
電脳魔術で召喚した強化外骨格に乗り込み、【メカニック】の腕で『アームドフォート・マシンガン・パイルバンカー』を同時に操り火器を発射しながら特攻します。
(To:ウィンディ(f09020))
「露払いはこちらで致しましょう」
トドメは脳天目掛けてパイルバンカーを刺して急速離脱します。
無累・是空
当然共闘するぞい!
わはは!この巨体、冗談が過ぎるじゃろ!大怪獣じゃな!
が、こんだけデカければ攻撃を外す心配もなければやり過ぎるということもないのう!
『超神足通』で強化してバチバチ行くぞい!
宇宙でも【空中戦】のノウハウは使えるかの。この巨体じゃ小回りは利かんじゃろ!下手に距離を離すより、巨体に張り付くようにクロスレンジで立ち回った方が安全かもじゃな!
鮫肌ならぬ鯨肌に擦られるくらいなら【オーラ防御】でなんとかなるかの。とにもかくにもデカい一撃だけは注意じゃ!
わしの超神足通はトップスピードでマッハ2.5じゃ!流星もかくやという勢いで突っ込んで殴るぞい!
●白き甲冑と黒き外骨格、そして神気纏いし者
「わはは! この巨体、冗談が過ぎるじゃろ! 大怪獣じゃな! が、こんだけデカければ攻撃を外す心配もなければやり過ぎるということもないのう!」
無累・是空は、メルビレイのそのあまりの巨大さに、笑いが止まらないとばかりに笑い続けている。
「ですがあれだけの巨体でも、宇宙から見れば芥子粒同然なのですね……」
一方、是空のようにメルビレイの巨体に驚愕する猟兵の多い中、ウィンディ・アストレイは宇宙の果てしない広さにこそ、思いを馳せていた。
「航宙艦一隻程度の容量や設備では同艦のお腹を満たすに必ずしも足りないという事が、分かった気がします」
「確かに。宇宙の広大さの前には、銀河帝国すら取るに足らない存在に思えますよ」
共に出撃したクネウス・ウィギンシティも、そう応じる。
「ただ……今は猟兵としても、この世界の生存競争に関わる物としてもアレを『イシュメイル』に近づける訳にはいきませんね……その出鼻、挫かせて頂きます!」
そう宣言したウィンディの体が、流線型の白く流麗な甲冑に覆われていく。
「私も『イシュメイル』には情が湧きました。コイツを使いますか……」
そしてクネウスが纏うのは、電脳魔術で召喚した黒い強化外骨格だ。
「GEAR:ARMORED CYBORG。強制展開、目標視認、全武装マニュアル制御。ブースト!」
武骨な黒き強化外骨格を装着したクネウスと、華麗な白き甲冑に包まれたウィンディ。二人は同時に、メルビレイに向かって飛び出していった。
「って、おおい! わしを置いていかんでくれい!!」
笑い続けていた是空が、慌てて二人の後を追う。
「二人ともかっこいい姿になっておるのう。わしも負けてはおれんな! 見よ、これがわしの本気の本気じゃあ!!」
是空の叫びと共に、その全身を眩く光り輝く神気が覆っていった。
「さあ、バチバチ行くぞい!」
そして、神気を推進力に変えたかのように超高速で宇宙空間を舞うと、瞬く間に先行した二人に追いついていく。
「とはいえこれほどの相手。どのように相手にしますか」
ウィンディの問いに、是空は気楽に応じた。
「この巨体じゃ小回りは利かんじゃろ! 下手に距離を離すより、巨体に張り付くようにクロスレンジで立ち回った方が安全かもじゃな!!」
「確かにそうですね。その方が確実にダメージを与えられますし、相手の動きにも対応できるでしょう」
クネウスも同意し、さっそく実践するようにメルビレイの腹の下に特攻していった。補助用のサブアームも最大活用し、対異界生命体用アームドフォート『ゲオルギウス』及び『リア・ファル』、Burst Gatling 『Sir Buster』、そしてライオットシールド一体型パイルバンカー『第六式雷電攻艦杭』を同時に展開し、一斉攻撃をメルビレイに叩き込む。
「やるのう。じゃがわしの超神足通はもっとすごいぞ。なにせトップスピードでマッハ2.5じゃ!」
続けて、戦闘機もかくやという速度でメルビレイに突っ込んでいった是空が、加速を乗せた重い拳でメルビレイに殴りつける。
どちらも、メルビレイの巨体から考えれば、あまりにちっぽけな攻撃だ。だが、メルビレイはもだえ苦しむように身をよじり始めた。
「間違いなく、効いていますね」
素早くメルビレイから距離をとるクネウスと、
「当然じゃ。これが効かんかったら打つ手なしじゃ」
全身に纏った神気でメルビレイのヒレの一撃をいなす是空。
「クネウスさん、こちらも切り札を使います。援護をお願いできますか?」
肩懸架型簡易可変式巨大楯『シールドザンバー』を光り輝く理力の刃を持った大剣へと変形させたウィンディの呼びかけに、クネウスは頷く。
「分かりました。露払いはこちらで致しましょう」
そして、先行してメルビレイ目掛けて再度特攻を開始した。目指すは、メルビレイの脳天だ。
「第六式雷電攻艦杭、起動。パイルバンカー射出!!」
メルビレイの頭部に着地したクネウスは、すかさずパイルバンカーをその脳天に撃ち込み、そのまま急速離脱する。
痛みに激しくのたうち回るメルビレイに、大剣を構えた白き甲冑姿のウィンディが、風の精霊の如く向かっていった。
「シールドザンバー……チャージ・アァップ!」
そして、大上段から振り下ろされたシールドザンバーの一撃が、メルビレイの額を、縦に大きく切り裂いていく。闇のような黒い血が噴き上がり、メルビレイの動きが停止した。
だが、それも束の間のこと。
満たされる事のない飢餓感と命の危機に際し、メルビレイの全身が一回り、膨れ上がったのだ。
「なんと。ただでさえ大きい体を、更に大きくできるとは、正に化け物じゃのう!!」
あきれたように呟く是空だったが、切り裂かれた額の傷が消えていないことには、目ざとく気付いていた。身体が大きくなっても、これまで蓄積されてきたダメージまで消えるわけではない。
追い詰められているのは、メルビレイも同じなのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
煌燥・燿
※ノノ・スメラギさんと合同参加
はあん。ピノキオか一寸法師か。
俺の故郷でもそんな狩り方は御伽噺だったぜ。
でもま、ノノならやれるんだろうな!
誰も見た事の無い俺たちの怪物退治をこの宇宙に刻んでやるとするか!
メルビレイの進行方向まで回るか
もしくは何かしらで引き付けこちらへ。
メルビレイが捕食する目のある宇宙に漂う小惑星や残骸を【零時の鐘】で時限爆弾に変化させる。
それが顔面に接近するか捕食するかのタイミングで爆発するようにセットするぜ。
まさかこの程度で吹っ飛びやしないだろうが!
ノノが突入しやすいようにでかい隙を作ってやるんだ!
【罠使い、地形の利用、情報収集、目潰し】を使用。
ノノ・スメラギ
【POW】
※煌燥・燿さんと共同参加
さてと、ついに宇宙鯨退治の始まりだね!
とはいえ、敵は大物だ。
外からちまちまやってもなかなか致命打を与えるのは難しそうだ……
というわけで、ちょっと博打になるけど、
内側から攻めさせてもらうとしよう!
なに、こういうのは得意だ! 任せておきたまえ!
VMAXランチャーのパワーをチャージしつつ、
ヨウくんのUCでの爆破を待つよ!
それで敵が大口を開けたところに
VMAXランチャーを連射しながら全力で突撃させてもらう!
最後は心臓部目掛けてアックスフォームの全力の一撃を
お見舞いしてやろうじゃないか!
【技能:覚悟、空中戦、捨て身の一撃、怪力、二回攻撃を使用】
●まるで一寸法師のように
「さてと、ついに宇宙鯨退治の始まりだね!」
ノノ・スメラギはVMリフターで宇宙を駆けながら、メルビレイの巨体に目を向けた。
「しかしまさか、ただでさえデカい鯨がますますデカくなるとはなぁ」
ノノと共に出撃した煌燥・燿は、今まさに目の前で更なる巨大化を続けていくメルビレイの姿を、戦慄を持って見つめる。これまでの猟兵達の猛攻で、メルビレイも相当弱っているはずだが、それでもその巨大さは、見る者に畏怖の感情を与えずにはいられない。
「これだけの大物だ。外からちまちまやってもなかなか致命打を与えるのは難しそうだね……」
ノノの見つめる先で、メルビレイは痛みを和らげるためか、それとも満たされる事のない飢餓感を癒す為か、手当たり次第に周囲に浮かぶ小惑星を喰らい始めていた。
「ノノ、なにか策はあるか?」
燿の問いにノノは少し考え込むと、やがて会心の笑みを浮かべた。
「ちょっと博打になるけど、内側から攻めさせてもらうとしよう!」
その一言で、燿はノノのやろうとしていることを悟る。
「はあん。ピノキオか一寸法師か。俺の故郷でもそんな狩り方は御伽噺だったぜ。でもま、ノノならやれるんだろうな!」
燿の言葉に、ノノは自慢げに薄い胸を張った。
「当然さ。なに、こういうのは得意だ! 任せておきたまえ!」
「ああ、任せた! 誰も見た事の無い俺たちの怪物退治をこの宇宙に刻んでやるとするか!」
燿はメルビレイの動きを読むようにその進路上に移動すると、周囲に漂う幾つかの小惑星に視線を向ける。
「さて、終わりの鐘が鳴るぜ」
その中の一つに目標を絞ると、燿はユーベルコード【零時の鐘(サンドリヨン)】を発動させた。燿の見つめる先、目標に定めた小惑星に半透明の光るタイマーが浮かび上がる。
「さあ、仕掛けは上々だ」
メルビレイの動きと小惑星までの距離を計算し、タイマーをセットした燿がその場を離れた。メルビレイがその小惑星を巨大な口の中に飲み込んだのは、それからきっかり10秒後のことだった。
「よし、計算通りだ!」
次の瞬間、【零時の鐘】によって時限爆弾と化していた小惑星が、メルビレイの口内で大爆発を起こした。
さすがに爆発の衝撃が堪えたのだろう。メルビレイは口を大きく開いたまま、悶絶するようにもんどりうった。
「まさかこの程度で吹っ飛びやしないだろうが! ノノ、突入しやすいようにでかい隙を作ってやったぞ!!」
「うん! 後は任された!!」
VMAXランチャーのパワーをチャージしつつ機会を窺っていたノノの動きは迅速だった。メルビレイが再び口を閉じる前に、VMAXランチャーを連射しながら全力で突撃を開始。そして、その巨大な口の中へと、自らの身を飛び込ませていった。わずかに遅れて、メルビレイがその口を閉じる。
「大丈夫だよな、ノノ。まさか飲み込まれたりしてないよな」
ノノが飛び込んでも平然としているメルビレイの姿に、燿の心に不安がよぎる。そんな燿の姿に気付いたメルビレイが、口を大きく開き、宇宙船をも捉えるという巨大な舌を伸ばしてきた。その、計算以上に素早い舌の動きに、燿の反応が少しだけ遅れる。そして舌が燿に巻き付こうとした正にその時。
「VMリアクター、第一限定解除! フルドライブ! ファイナルシーケンス、行くよ!!」
どこからともなく響くノノの元気な声。次の瞬間、メルビレイの内部で複数の派手な爆音が響き渡った。ノノが、メルビレイの胃の中でVMAXランチャーを発射したのだ。そして、
「これで最後! アックスフォームの全力の一撃をお見舞いしてやろうじゃないか!」
ノノがVMAXランチャーアックスフォームの斬撃を叩き込んだのは、メルビレイの特大の心臓だった。
メルビレイの巨体が激しく痙攣し、出鱈目に振り回されたヒレや尾が、周囲の小惑星を粉砕する。だが、次第にその動きは緩慢なものとなっていき、遂には完全に動きを停止した。
メルビレイの腹を裂いてノノが外に飛び出した時には、メルビレイは完全に息絶えていたのだった。
●英雄たちの帰還
「メルビレイが……滅びたのか」
スペースシップ『イシュメイル』の艦橋で息を飲んで戦いの様子を見守っていたエイハブ艦長が、ふうっと大きな息をつく。
「あの化け物の最期をこの目で拝むことになるとは、まるで夢をみているようだ」
だが、これは疑いようのない現実だ。
思えば、ほんのしばらく前まで銀河帝国の打倒など夢物語だと誰もが思っていたのだ。だが猟兵とスペースシップワールドの人々は、その夢物語を現実のものにした。
ならばメルビレイの死も、驚くには値しないことなのかもしれない。
「む? お前達、何をぼーっとしている! 早く巨鯨退治の英雄達を迎え入れる準備をせんか!」
未だに信じらない様子で動きを止めていたクルー達を、エイハブ艦長は怒鳴りつけた。
モニターに映る猟兵達の姿は満身創痍で、けれど誰もが勝利の喜びに顔を輝かせている。
エイハブ艦長は、猟兵達を真っ先に出迎えるべく、ブリッジを後にしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵