葬列
雨野・雲珠 2020年8月7日
この先に用があるのに、
長い長い葬送行列が途切れることなく横切り続けている
・夏日のサクラミラージュ。青空と入道雲、広がる田園
・葬列が通り過ぎるまでおしゃべりを
・書いてない部分はご自由に
・おひとりまで、どなたでも。30~40レスで〆
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雨野・雲珠 2020年8月7日
(照りつける日差し。青い空と白い雲。蝉の声は遠い。右を向いても左を向いてもだだっ広い田んぼが広がるばかりで、その右から左の視界いっぱいを、喪服の葬列が粛々と進んでいく。あまりの途切れなさに頭を下げて通してもらおうかと思ったが、同じことを考えたらしい右半身の崩れた人影が、そのまま列に加わってしまったのを見て止めた。
そんなわけで、すこし離れたところで大人しく過ぎるのを待っている。往々にして怪異は樹精に興味を示さないが、関わって無事に済むとは限らない。この体は細くて柔らかくて頼りなかった)
雨野・雲珠 2020年8月7日
……こんな話を聞いたことがあります。向こうから葬列がやってきたから慌てて脇にどいて、頭を下げて。ふと顔を上げたら、先頭の人に抱かれる遺影は自分の写真だったって。
ロキ・バロックヒート 2020年8月8日
ねぇ、君は遺影を見た?(揶揄うようなこえは唐突に。君の言葉が終わって、ひょっとしたら聞いていたと思うかも知れない頃合い。隣――よりも少しばかり離れたところで、田園の道端にしゃがむように座り込んで葬列を眺める男がひとり。先程までは居なかった。夏日の景色に混ざるよう、ふらりと現れたもの)
雨野・雲珠 2020年8月9日
来た時にはもう先頭は見えなかったので……(じりじり焦げながら返事をしてから、あれ?と瞬いて横を見た。さっきからいただろうか。夏の影みたいな黒だ。生きているように見えるが、一応声をひそめた。ひそひそ)
……あの。棺から抜け出してらしたなら、早めに戻られたほうがいいですよ。
ロキ・バロックヒート 2020年8月10日
そうかぁ。残念。こーんな長い列だから、どんなやつのかなって思ってさ。(こーんな、のところで両腕を広げて葬列を示し。程々でぱたっと降ろす。こちらを向いたので、こんにちは、と。にっこり笑い――すぐにきょとんとして吹き出した)ふっ。ふふ、棺から、抜け出、ははっ、なるほどそう見える?
雨野・雲珠 2020年8月10日
見え―――ませんが。この季節の死者はおしゃべりですから……(そっと相手を伺った。人間の気配ではない気がする。整った顔立ち。ほっそりした体。年上だが年若い。光るような上手な笑い方。とりあえず、)……足はありますね。
あれがあなたのためのものじゃないなら、過ぎるのを待ったほうがよいでしょう。……飴、食べます?(袂から鼈甲飴の包みを取り出した。塩梅入り)
ロキ・バロックヒート 2020年8月13日
死者と話すことはよくあるの?落ち着いてるよねぇ。知ってる子たちは結構オバケが怖いっていうんだけどな。(肩を揺らして笑って、首の枷に付いた鎖が鳴る。ぶかぶかのズボンの裾から裸足が覗いていた)ふふ、残念?このせいで棺におさまろうとしても何度も抜け出しちゃうんだよね。
君こそ、こんな暑いところでぼーっと眺めちゃって、大丈夫?倒れてあれの仲間入りしない?(樹の角を見ながら言う。水がないと干からびそう、なんて素直な感想をついでに漏らし)飴、(見詰めて、眼を丸くして)くれるの?
雨野・雲珠 2020年8月14日
俺は桜なので。お話するのもおつとめのうちと言いますか……落ち着きと言うならあなたのほうが余程……(いやでもこの返しの時点でもう普通の人じゃないんだよな……と桜は汗を拭う。影朧だったら気配でわかる。モノか妖、何らかの怪異だろうか。でも、さっきの言い方からは日常の気配がした。猟兵の枠に入る存在かもしれない)(うーん???)(わからなかったので、引き続き「怪異でもいいかな」くらいの距離感で接することにした)
今日暑いですから、よかったら。……あ、麦茶もありますよ。干からび防止に。(セロハンを開いて先に自分の口に放り込むと、お裾分けの気軽さであなたに新しい飴玉を差し出した。コロコロ舐めながら、裸足の足元に視線を落とす)
……あなたの意思を無視して、勝手に抜け出しちゃうんですか?……足が?それとも、鎖に引っ張られて?
ロキ・バロックヒート 2020年8月15日
桜……おつとめ……、あぁ。桜の精、だっけ?(樹の角といい。あまり見たことがなかったので、思い至るのに時間がかかったが)余程、なーに?(にこにこしている。己の正体について考える様子が面白いらしい。只、男の濃い影からは、朧龍に似た気配がした)
暑いねぇ。君は外れものたちを見送ってるところ?(おつとめと云っていたから、そんな推測をして。暑いといいながら汗を掻いている素振りもない。じぃ、と蜂蜜色が飴を見ている)お茶は君が必要だろうから持っておきなよ。飴だけ頂戴。(手の平を上に広げて差し出した)
そうだねぇ、足の方かな?気が付いたら知らないところに居たりするんだよ。今みたいにさ。(びっくりした?なんて)
雨野・雲珠 2020年8月16日
(喪服の葬列は粛々と続いている。視界に入り切らないほど長く途切れぬ列と、このカンカン照りの中で暑がる気配もないこと、足音もしないことさえ除けば奇異な点はない。時折ふと違う何かが混ざっているような気がするが、目をこらすと参列者の顔はぼやけてしまうのだった)
雨野・雲珠 2020年8月16日
はい!……さっき、お知り合い「は」って仰ったでしょう?あなたは怖くないんだなあって。(チョコレート色の手のひらにそっと飴を乗せた。仕草は幼いのに、どこかあやすような雰囲気だ。寿命の枠が存在しない類の種族かもしれない)
俺は向こうの集落に用があったんですけど……たまたま通りかかっちゃったから、急遽お見送り役として呼ばれたのかなって。―――それで、あなたもそうかなって。
(こんなに日差しが強い昼間だから。まぶしいぐらいの夏の日だから。影の気配の濃いあなたが、天秤の重石役として引っ張られたとしてもふしぎではないと桜は話す)
あの、これはただの好奇心でお尋ねするんですけど……おみ足たちが勝手にあなたを連れてくる前は、どちらの世界に?
ロキ・バロックヒート 2020年8月16日
そうだねぇ、怖がる理由がないからね。そりゃあ驚かされてビックリすることはあるけどさ。どちらかというと可哀想かな。……ほら、あんなに哀しんでいる。(葬列を見遣って。色んな子が哭いているよ、と)(飴を乗せられた手をまじまじと見てから、にっこり笑った)ありがとう。ふふ。君は好い子だね。(まるで宝物でも貰ったみたいに喜んで、セロハンを破いて己の口へころり)
それは災難だったね――と云えば良いのかな。(こんな真夏日に、こんな長い列を見送るために呼ばれたのなら。けれど憤るでもなく静かに受け入れているのは、おつとめとやらが君の心に根ざしているからだろうか、と思う)面白い推測だね。均衡をとる為に影として呼ばれた、か。それもあるかもしれないね。
んー、ついさっきまではUDCアースに居たかな。三段アイスをね、食べようと思って眺めていたんだ。
雨野・雲珠 2020年8月18日
―――!!さ、三段アイスを……!!!?
雨野・雲珠 2020年8月18日
た……食べられましたか?まさか、買った直後にお体だけこちらに……!?(相手が何であっても問題ないような当たり障りのなさがすこし崩れ、気遣わしげな顔をした。だって三段アイスだ。三段!)
ロキ・バロックヒート 2020年8月19日
んーん、選んでる途中でこっちに呼ばれちゃった。(店員にとっては目の前でフレーバーを選んでいた者が、眼を少し離した隙に居なくなったのだ。ちょっとした真夏のホラーだったかもね、なんて笑って言いながら。少し考えて)一段目は抹茶で、二段目はチョコレートが混ざったバニラで、三段目は苺にしようかなぁと思ってたんだ。(三段アイスについて詳しく語った方がいい気がしたので語る)
雨野・雲珠 2020年8月22日
ああー……(わくわく選ぶ最中で不可抗力にかっ攫われ、別世界の田んぼのあぜ道に放り出されてしまったあなたを、我が身に置き換えて悲しくなった)(アイス食べたかったのに……)
それはお気の毒に……というか、さぞやお困りでしょう。(ちなみに帝都はあっちですと反対側を指差しながら、以前読んだ夢遊病患者の手記を思い出す。気がついたらビルヂングの屋上で、今にも落ちそうになっていた話。夢遊病患者と一緒にしていいかはわからないけれど)
一体どうして、そんなおみ足を持つことになってしまったんです?
ロキ・バロックヒート 2020年8月22日
……ふ、ふふっ、(君の言葉の途中で、思わず吹き出してしまった。悲しそうな声とか、災難だね、気の毒に、と言い合って、たぶんお互いに己はそうは思っていないところとか。それが面白くて、肩を震わせたまま)だいじょうぶ、困ってはいないよ。むしろ君に貰った飴の方が嬉しいから。(からころ、上機嫌に口の中で遊ばせて)
でも、君はアイス食べたくなったんじゃない?彼らを見送ったあとにでも食べに行く?(それは隣人のような気安さで。君に声をかけた時からこんな調子だ)ああ、でもこの後用事があるって言ってたっけ。
そういう役割だからじゃないかな。君が朧龍を癒す力があるのと同じように、さ。
雨野・雲珠 2020年8月23日
??(笑われてしまった。それにしても、なんて気軽に誘うのだろう。ひょっとしてこれがモボやモガの間で流行る、なんぱというやつかしら)
帰り道だったらよかったんですけど……お墓参りに行く途中なんです。バイト先の常連さんが、お年も考えずこの暑い中行くと言って聞かなくて。……それで代わりに。(桜は笑う。暑そうにしながらも、語り口には好意が滲む)
お役目。勝手にいろんなところへ連れて行かれてしまうような……?(時に界まで越えて、不可抗力の因果に縛られる存在―――となると)
雨野・雲珠 2020年8月23日
…………(身近に思い当たる人がいた)
雨野・雲珠 2020年8月23日
あの―――あの。突然、とても妙なことをお聞きしますが……あなたと俺は今日初めてお会いしました……よね?
ロキ・バロックヒート 2020年8月23日
えらいなぁ。お墓参りしようとして、この列に出くわしちゃったのか。面白いね。……その子がもしそのまま来ていたら、あれに連れてかれてしまっていたかもだしね。(先頭に抱かれていた遺影はそのひとになってたかもしれないわけだ――好意を察しているのかいないのか、さらりと言ってのけて)
まぁ連れて来られても、この通りなーんにもできないんだけどね。 ――うん?(首を傾げる)
ロキ・バロックヒート 2020年8月23日
んーー……?(そのまま君をじっと見た。顔ではなく、中心を見るような視点)……(記憶を探る仕草で顎を撫でて)初めて……の、はずだよ。君のいろは覚えがないし。どこかですれ違ったのかなぁ? あ、それとも、(こういう探りの入れ方は何度か経験があった)もしかしてナンパ?
雨野・雲珠 2020年8月24日
へっ!?あ、これがなんぱ……!?(何ということだろう。自分のほうこそ、仕掛ける側だったらしい)
い、いえあの。今の発言にはそういう……交遊へのお誘いのつもりはなくですね。あなたのお話を伺って、俺が親しく思っている方を思い出して―――な、なんぱっぽいですね……(きゅう、と短い眉が困った。違うんです)
ロキ・バロックヒート 2020年8月24日
あっはは、可愛いー。別に良いのに。お誘いとあらば列を見送ってお墓参りしてアイスを食べるのまで付き合ってあげるよ?(君の反応に、本気とも冗談ともとれぬ言い草で)ふーん、親しい神様でもいるの?(己が何であるか伏せるのは飽きたらしい。思い出してと云うからには、似たような存在だろう)
雨野・雲珠 2020年8月25日
なんと……!よろしいんですか?(図らずも、初のなんぱに成功してしまったらしい。相手が神だと知っても、ああやっぱりと納得しただけだった。そんな感じはしていた。神か魔かは判別つきにくかったけれど)
親しいなんて言ったら、不敬かもしれませんが……(慕わしく思っていると、優しい目が語る)神様同士なら、もしやご存知ではありませんか?ひとの形をした、光のあたらない場所です。黒髪で―――死んだ珊瑚のような青白い肌と、警告色みたいな赤い目をなさっています。明るい夜のようなあなたとは、気配も佇まいも全く異なりますが……。
ロキ・バロックヒート 2020年8月27日
おぉ、良いよ。ふふ、やったー。 ほらほら、そんなわけだから早く行っちゃってよ。(葬列に対してひらひらと手を振りながら、そんなことを言って嗾ける。魔の可能性もみられていたとは露とも思わず)あぁ、《日陰》って云ってたのなら一度だけ会ったことあるよ。その時は同族なのは知らないままバイバイしたんだけど……他の子にも同族だったっていわれたなぁ。面白かったからまた会ってみたいなって思ってるけど、親しいなら会い方知ってる?日陰におーいって呼びかけたら出てくるかな?(聞いてる傍からそれっぽい場所を探すが、生憎とカンカン照りである)
雨野・雲珠 2020年8月28日
わあ!ありがとうございます!(今ひとつわかってないまま、快諾に嬉しい気持ちになっている)
あ、きっとその方です。お顔が広いというか色々と規格外というか、どこにでも存在するって仰ってたから……暗がりに向かって一心に呼びかけたりすると、にゅっと来てくださいますよ。(夏の日差しは障るそうだから、暗くなってからがよさそうだとアドバイスもした)
……ん?
雨野・雲珠 2020年8月28日
(―――遠くの山に、黒い雲が沸いた。猛烈な勢いで近づいてきたそれらは近くで見れば鳥の大群で、日差しを遮り、空を埋め尽くさんばかりの数でもって、葬列に襲いかかった)
(ギャア、と上がったのは悲鳴だろうか、それとも鳥の鳴き声だろうか。いずれにせよ彼らには予想外のことだったに違いない。整然としていた列が一瞬で千千に乱れ、今までひとの形をしていた参列者たちの形が崩れ、そして)
(ザア、と大風が吹いたのち、間近の羽音にすがめた目を開けば、列も鳥もいなくなっていることだろう)
雨野・雲珠 2020年8月28日
おああ……びっくりした……(しばらくぽかんと呆けた後、桜ははっと隣のあなたを確認し、見通しのよくなった田園の辻を見た。兎にも角にも通れるようになったらしい)
あっ。―――改めまして……雨野雲珠と申します。
ロキ・バロックヒート 2020年8月29日
一心に……ふぅん。(適当じゃダメかぁ、などと不遜なことを呟きながらアドバイスをうんうんと頷いて聞いて)
わあ。(間の抜けたこえをあげながら、列が消えるのを見ていた)……あーあ。可哀想に。なにか深い恨みごとでも買ってたんだろうね。(呑気に言って、ひょいと立ち上がって伸びをする)
うず、くん。(不思議な響きの名前、と感想を述べつつ)ロキだよ。よろしくねぇ。それじゃあ、お墓参りから行こうか。
雨野・雲珠 2020年8月30日
はい!よろしくお願いします、ロキさん。(サクラミラージュの音ではないそれを唇に乗せる。仮の名かそれとも愛称か、どれであれ名前をいただけたことはうれしい。箱を負う肩紐のズレをよいしょと直して、促すようにして歩き出した)
……では、参りましょうか。おみ足が次の目的地を見つける前に―――というか、本当によろしいのですか?一年放置しておられたらしいので、多分確実に草ぼうぼうなのではと……お茶もあるので、木陰で見ていていただければ……
雨野・雲珠 2020年8月30日
(ふたりが去って、まもなく)
(散り散りになっていた蟻たちが再び行列を組み直した)
雨野・雲珠 2020年8月30日
【雨野雲珠による後述】
「噂に聞くUDCアースほどではなくとも、サクラミラージュだって暑いんですよ!どうして日中の熱いさなかにお墓参りに行こうとなさるのか……そしてどうしてお年寄りは話を聞いてくださらないのか……代理を飲んでくださらなかったら桜使うところでし……あっ、わあ。ありがとうございます。ご褒美嬉しいです」
「それでね。日差しの分だけ影も濃くなるからでしょうか、影の神様に会いました。朱酉さんではなくて。なんていうか、湿り気のない……異国の陽気な月夜みたいな。軽やかで、よくお笑いになって、人好きのする感じの……でも掴みどころのない―――はい。俺なんかが神様を計れるわけないんですけど。なんぱに成功したので、お墓参りの後で一緒にアイス食べにいきました。へへへ」
「ねえマスター」
「神様って皆、思いのほか不自由で大変そうですね」
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(葬列………終)