【日々徒然:13】如月、寒紅梅
境・花世 2020年2月2日
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冴える冬の夜気に朧な馨が匂い立つ。
雪残る月下の庭に一片の紅蕾が綻ぶ。
知らず知らずのうちにそれは始まり、
静かな予兆が彼方此方に萌えていた。
未だ遠く、疾うにすぐ傍に、
――二度目の春が巡り来る。
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短文雑談。RP推奨。
前後の流れは気にせずどうぞ。
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境・花世 2020年2月2日
(泊りがけの宴を催し、皆が一度は寝静まった夜半のこと。夜気は冴え冴えと頬を冷やすけれど、ふしぎと底冷えはしない温さを孕んでいる。冬の終わりは春の始まりなのだ、と――)
境・花世 2020年2月2日
(ふとんにくるんと包まったまま縁側へ移動する。皆を起こさないように、そうっと) ……わあ、やっぱり、梅のにおいがする。
可惜夜・藤次郎 2020年2月3日
(微かな風、ゆるりと屋根から翔び降りて、翼ある友を外套内に納めれば、縁側の花に微笑みかける)おや、声がすると思えば。真夜中の梅見でも始めるかい?(潜めた声は夜に溶け、まァそれならもう少し温かくした方が良さそうだが、と続け)
亀甲・桐葉 2020年2月5日
(ねむれない。眠れないなら仕方ない、と諦めを孕んだ顔で縁側の端、薄ら紅に染まったゆび先へ息を吐いていた。割くようにつめたな風に乗って聞こえた聲が耳朶を打つから、その方へと顔を覗かせれば。見知った顔に、笑み綻んだ)――あら、花世さんに、藤次郎さん。今夜は冷えますよ、(だいじょうぶですか、と。ちいさく絞ったその音は、果たして届いたろうか)
蘭・七結 2020年2月5日
(冴えた夜半の刻。あかい羽織をかさね合わせ、園内に佇む姿がひとつ) この色、この香り……また、ウメの花が咲く季節がやってきたのね (この花庭にて春を迎えるのは二度目。目覚めを待つ紅蕾を見映して、何処か懐古するように笑んでみせた)
榎本・英 2020年2月6日
おや。布団の亡霊が歩いていると思ったら。こぞって花見か何かかい?(夜半に漫ろ歩き。ひょっこりと顔を覗かせた)
境・花世 2020年2月6日
そうだよ英、梅見と――贅沢に藤見もできそうだね?(匂やかな紫の気配に眸を細めて、己の温みを移したふとんの端を捲った) 寒かったらおいで、桐葉。
境・花世 2020年2月6日
わたしがこの屋敷に住み着いてから季節がちょうどひとめぐりしたんだよ。初めて見る、二度目の花だ。(七結の背を、その頭上に綻ぶ花枝を見遣って)
イア・エエングラ 2020年2月8日
(ころり、柔らかな布団に埋もれて。夜の向こう、はて、夢の中でも声が聴こえる。遠く、密かに花の香りと)(未だ蟠る夢の中)
レイッツァ・ウルヒリン 2020年2月9日
(布団のなかで寝息を立てて、すやすやぐっすり)(皆の声が聞こえる、今日はきっと楽しい夢だ)
雅楽代・真珠 2020年2月11日
あれ。(如月に抱えられた僕は、見えた姿に少しばかり目を見開いた。)(如月は上を向けた片手に盆を載せ、その上には熱燗を載せている。皆が寝静まった中、一人酒でも楽しもうと熱燗を仕入れてきたのだが、)さっき見た時はいなかったのに、起きてしまったの。
蘭・七結 2020年2月11日
あら、夜更かしさんがこんなにも。こんばんは、よい夜ね。あかいウメの香りに、誘われてきたのかしら。オトナの方々は、花見酒をたのしめそうね。(花枝にそうと手を伸ばしながら、紫彩のみを向けて) カヨさんも二度目の春、なのね。……また、この彩にお逢い出来てうれしいわ。
境・花世 2020年2月17日
あは、真珠、いいもの持ってきてるね?(酒の芳香に鼻をくんくんとして綻ぶ) どうやら今日は梅の馨につられて宵っ張りが多いみたいなんだ。でもまだ寝てるこたちもいるから静かな声で、ね。(唇に押し当てる爪先は、枝に咲く梅の紅によく似た彩をしている) ――そう、七結やイアが最初に来てくれたその直前に、わたしもここの鍵を預ったんだよ。こんなに長く住み着くことになるとは思わなかったなあ。
榎本・英 2020年2月21日
嗚呼。藤も。(視線を遣れば、確かにと独り言ち)嗚呼。君たちはそんなに前からここで移ろいを共にしているのだね。二度目の景色は如何かな。やはり、変わるのかい?
境・花世 2020年2月23日
同じ枝でも、咲く花はひとつとして同じではないんだ。だから――今年はまた全然ちがってきれいに見える。(ふくふくと笑って毛布に包まり直す。屋敷はあの頃よりずっと華やいでいて、梅の馨漂う夜気もどこかあたたかい)
蘭・七結 2020年2月23日
嗚呼、そうね。昨年の彩は、鮮明でうつくしかったけれど……今年のあかは、なんだかあたたかな心地がするの。ステキな春を、感じることが出来そうだわ ( 見渡せば華やぐ面々を視界のうちに捕う。 昨年よりずうとあたたかな風が頬を撫ぜた )
リル・ルリ 2020年2月24日
お花がたくさん目覚めだして、歓びの馨が舞い踊るよう。(あたたかな風が纏う春の気配を、尾鰭をゆらしてたのしみに)
そうか、二度目の景色になるんだ。ふふ、咲いては散って、また咲いて。けれど同じ花はないんだってきいたよ。
雅楽代・真珠 2020年2月24日
盃は自分で取っておいで。(盆に乗るのはふたつ。執事人形の腕から降りて縁側に座れば、その傍らで人形がひとつの盃を満たして僕に渡す。徳利の載った盆は、そのまま縁側に。)二度目、なんだ? もっとずうっと長くから居るのかと思っていたよ。
雛月・朔 2020年2月26日
(一人屋根に上がり、機嫌よさげに鼻歌を歌いながら時折風に乗り運ばれてくる梅の花の甘い香りを楽しんでいる)
イア・エエングラ 2020年2月28日
(たくさん聞き慣れた声がして、それらは優しい色をして、どこか遠く水の中のよに聞こえるものだから――きっとこれは夢だと思ったのだ)(ひとつめの春は秘密の庭で、ふたつめの春は憩いの庭で。まだ一緒に布団の住人をしているあなたと、しあわせそうな寝返り一度)
亀甲・桐葉 2020年3月2日
(おいでと呼ばれた布団へ、失礼しますとそろり潜り。ふたたびの春を言祝ぐやわい皆の聲に、ゆらゆらこうべが船を漕ぐ。うつくしい人魚ふたりの言葉をきいたころ、その瞳は閉じたけれど、)
……さんどめも、そのさきも、みんなで、ここで、
(ぽつりと寝言を零して、安穏な吐息をはじめた)
境・花世 2020年3月2日
(かわいいこをふわふわに包んでそのぬくみを堪能する。やがて聞こえてくる安らいだ寝息も、おだやかな話し声も、清廉に甘い馨も、) たった二度目で、一度きりだよ。はかなくて短いひとときだ。……だけどまた、逢えたらいいね。
境・花世 2020年3月2日
(囁いたのはやさしいひとびとにだったか、あるいは梅の枝にか。いらえるようにそよいだ花は春の気配をいっそう散らして、世界を次の季節に染め変えていった)