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二つの陽の日

備前・編笠丸鬼矗 2022年4月11日

刀が抜けた

二朝

上野が二朝を抜きし時

夜天であるにも関わらず

天が爛々と光を増さん

背後を振り返る上野の目の前に

空に並ぶは二つの異形の陽の日

『ねえ、私に貴方の右腕を頂戴?』
「ねえ、あたしに貴方の左腕を頂戴?」

脳に問いかける二つの陽の日

虎視眈眈と狙うは妖刀引き抜きし両の腕

有無を言わさず巨大な陽の日は上野の腕に溶け込んでゆく

両の腕の中へと流れ込む灼熱は
血管細胞正動脈に至るまで

余す事無く蝕んでゆく
耐え難い熱が両の腕に流れ混み

気付きし時には最早二つ目の朝が訪れる頃

我が両の腕、血液が沸騰し

更なる熱を求めんと陽の日が如く爛々と輝きけり


備前七振りが一人、
号『二朝』正当所持者:上野イオナ

ここに記す




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備前・編笠丸鬼矗  2022年4月13日
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備前・編笠丸鬼矗  2022年4月19日
【情報解禁】
二朝とは二人の幼き禿(かむろ)を原料とした妖刀也

今は昔 備前国に生者の血を凍らせるる鬼 現れたり

鬼 兵者(つわもの)共にて首ねじ切り討たれけり

なれど九日余りして 奇病流行りけり

奇病 猛威奮いて武士 百姓 商人に至るまで身分問わず 血を凍らせ殺しけり

朝顔 朝陽と呼ばるる齢五つの禿 この奇病にかかりて床に伏し 二度と日の目を拝むること叶わず

禿 泣く事叶わず 
身の温もり失いて 最期に陽の日の暖かさ 望みけり

其処へ現れたるは同じ歳の童
名をば「地国」と呼ばるる 悪しき刀鍛冶也

地国 禿の願い聞き賜い 永遠の陽の温もりと引き換えに 妖刀へ変わる事持ちかけり

禿 受け入れ 二振りで二対の妖刀になりにけり

なれど二朝 己が使い手を認めず

我こそはと名乗る兵者共を散々に焼き討ちて灰に還しけり


ただ今日まで 悪しき妖刀『二朝』備前国に封印されたし
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