[1:1] 仮初の静寂に
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
騒乱のあと。
民は護られ、兵卒たちは連行され。
そして、老兵は去って行った。
未だ硝煙の匂いが残る広場には、
猟兵だけが残されている――。
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≪Reserved≫
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ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
(今日は色々なことが有った。老兵相手に、本気で弓を引いたこと。友を射抜き掛けたこと。機械同士の激しい攻防――。)(ふと、愛機に映った己の貌が視界に入る。黒く染まった鞏膜は、疾うに元の白さを取り戻して居た。漸く高揚が解けた気がして、荒れた土を踏み締め乍ら、四つ足の騎士にそうっと凭れた。)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
(もう、敗残兵の王の姿は何処にも見えない。その去りっぷりと来たら、総ての元凶で黒幕の癖に、余りにも颯爽として居て――、)……ふふっ。(潔く敗走する様を想い出せば、自然と笑聲が零れ落ちた。)
鎹・たから 2021年12月18日
(戦場の、硝煙と土煙と鉄と油の匂いがまだ遺る。くふ、と鼻を動かして、ぐるり見渡す)……ヴィルジール(もたれた姿からは疲労と、いつもの綺麗な貌が在る)大丈夫ですか、怪我は……、
鎹・たから 2021年12月18日
………ヴィルジール?(少しばかり怪訝そうに眉を顰める。確かに聴こえたのが、笑い声だったものだから)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
嗚呼、私は平気。寧ろ君の方こそ――……。矢、掠めなくてよかった。(凭れた儘、貌だけで君を見た。いつもの彩を取り戻した眸が、穏やかに弛んで微笑う。)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
ふふ――……いや、ね。余りにも彼、ハイネマンが颯爽と去って行ったものだから。なんかもう、可笑しく成っちゃって。(生かすか殺すかについて、決定的に意見がすれ違った自分たちをさておいて、あの男はちゃっかりと逃げおおせて仕舞ったのだ。あらゆる意味で気が抜けて、くすくす、口端からは笑みが落ちる。)
鎹・たから 2021年12月18日
ど、どこがおかしいのですか。いえ、面白いことなど何もなかったはずです。(む、と少しだけ口をとがらせる)中佐はなんだか晴れやかに去ったのは確かですが、艦長がそんなに笑うことでもないでしょう。
鎹・たから 2021年12月18日
(とはいえ、いつもの穏やかな微笑。それが少女をなんとなく安心させたので)緊張が解けた、ということでしょうか。なら、たからもそうですが。
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
(不機嫌な貌を見れば、口許に苦い感情を滲ませた。)そうかな、私は結構楽しかったけど。新しい装備も披露できたしね。――……ちょっと、後悔してる?(君が縦に頸を振る訳は無い。でも、敢えて悪戯に問いを重ねて。)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
うん、すっかりね。犠牲者が出なかったのは僥倖だし、なにより――。(深く息を吐きながら、言葉を探す様に僅か視線を彷徨わせる。色々と云いたいことも、触れたいこともあった。けれど、)……束の間であろうと、平和を護れたのは良かったと、そう想うよ。(結局は無難なことを宣って、愛機へと頭を寄せた。ひんやりとした感触が、心地好い。)
鎹・たから 2021年12月18日
いいえ、後悔なんてしていません。(首をふるりと横に振って、ぱちりと彼を見て)(ほんの少しの無言のあと、続いた言葉は本物だと判断するけれど)
……。
鎹・たから 2021年12月18日
――中佐は、死にませんでした。ヴィルジールが、中佐を殺しませんでした。だから、たからはこれで良かったと思います。
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
君なら、そう云うと思った。(ふ、と双眸を細めて薄く笑む。太陽でも見上げるかのように。)――……そう。(君のことばだって、本音なのだろう。もう殺す気も無いから、静かな相槌をひとつ、返した。)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
……君がカスパールの前に立ったのも、私を、人殺しにしない為?(聞く迄も無いけれど、心の内を紐解くようにひとつずつ問いを編んで往く。)
鎹・たから 2021年12月18日
……はい。その通りです。たからは、オブリビオンではない、ただの人を、あなたに殺してほしくはありませんでした。
(そっと、四つ足の騎士に触れる)頑張りましたね、カスパール。とても、えらかったです。
鎹・たから 2021年12月18日
……危ないことをしました。ごめんなさい。でも、後悔はしていません。
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
――そう。(また、同じ相槌を打つ。少し言葉を探す素振りを見せたのち、長い髪をさらりと揺らして。僅か、首を傾けた。)それは、どうして?
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
(愛機を撫ぜながら、)ふふ。褒められて善かったね、カスパール。わたしとしても鼻が高いよ。(冗談めかすように戯れて。)
……うん。危ないことだって、分かってるなら別に良いんだ。(怒ってないよ、と小さく頸を振った。)君と私は違う人間なんだから、君は君のしたいことをすれば、それで。
鎹・たから 2021年12月18日
……償えるかもしれない罪を償わせず、死なせてしまうのは嫌です。大切な人が、人を殺すのはもっと嫌です。人殺しはわるいことで、新しい罪になることで、悲しいことです。たからは、友達は悲しいことに染まってほしくはありません。(口にするのは怖いのに、口を噤んでしまうことはなく)
鎹・たから 2021年12月18日
わかっています、たからもあなたも、違う人間です。違うことをして当然なのです。(ゆっくり、しかし途切れず)
だけど、たからはヴィルジールが遠くなるのが怖いです。たからは、あなたについて知らないことが、たくさんあります。
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
……私の為を想ってくれたんだね。(総て、君の云う通りだと思う。だから、口を挟まなかった。)ありがとう、たから。実際、君が止めてくれなかったら、今頃もっと苦い気分に成ってた筈だ。それに、――私も友人を進んで泣かせる趣味はないのでね。
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
私が、遠く――。(そんなものなのかな、と頸を傾ける。年も離れて居るし、性別も違うし、確かに普通にしてても距離は有るかもしれない。)泣いてたのも、それが理由?(淡々としたいつもの調子で、静かに掘り下げた。)きっと、私の知らない君も居るんだろうね。理解が浅いままに離れてしまうのは確かに、惜しいかも知れない。
鎹・たから 2021年12月18日
(彼のありがとうに、黙って頷くことで返事にして)
……たから、泣き虫なのです。寂しかったり、悲しかったりすると、涙が出ます。怖くても、涙が出ます。友達と離れてしまうのは、嫌ですから。
(泣かないように我慢したりするのですが、と零して頬をもちもち触る)
鎹・たから 2021年12月18日
知らないのは、きっともったいないでしょう?ですから、無茶なこともしてしまいました。ちゃんと、戦闘の前に、艦長が中佐をどうしたいか聞いておけばよかったのです。(ううん、と首を横に振って)もっと、たからの知らないあなたについて、前から訊いておけばよかったのです。(じわり、なんだか瞼が熱くなってきた)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
私は学校に通ったことが無いから、君くらいの年頃の子たちのことは、余り分からないけれど――。感情豊かなのは、とても良いことだ。君の内側までは分らなくても、君が今どんな気持ちなのか分かるからね。(涙をこらえる様な仕草に、ふふりと、口許を弛ませて。)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
そうだね、あれは無茶だったけれど。君のしたいこと、して欲しくないことが分かったのは良かった。これからは其れを避けることが出来るから、ね。(聞かれたところで、自身は本当のことを話しただろうか。余り自信がなかったから、少しだけ目を伏せる。)私も、考えてることを話さない方だからね。それに――……もっと知ったら、私のことを「嫌い」に成るかも。(戯れる様な調子で、そう言葉を重ねてみせた。)
鎹・たから 2021年12月18日
(ぎゅっっと目をこする)い、いえ、あんまり泣き虫なのもよくない気がします。心配させてしまいますから。(彼の微笑は嘲笑ではない。それだけは知っている)
鎹・たから 2021年12月18日
(熱い目はこすった分、風に当たれば冷える)
たからも、艦長のしたいこと、してほしくないことは、もっと知りたいですよ。
(伏せられた眼差しを、色硝子がぱちりと見た)
――嫌いになりません。どうしようって、迷うかもしれません。不安になるかもしれません。たからもあなたも、違う人間です。
でも、一度友達になった人を、たからは嫌いになったりしません。(断言する、いちばんはっきりした声色をさせて)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
それも、一種の可愛げだと思うけどね。(きっと、周りから愛されてるんだろうな。そんなことを茫と思いながら、悪戯に片目を閉じた。)
したいことは、その都度あるけど。して欲しくないことは――……余り無いかな。(色硝子を見返す眸が、静かに瞬く。再び長い髪を、さらりと揺らして。)嗚呼、でも。君が不安や不満を感じた時は、今日みたいに聞かせておくれ。戦場でも、何処ででも。(私もなるべく伝えるから、なんて。ぽつり、科白を紡いで。)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
……ふふ。そう言い切られてしまうと、流石の私も隠し事は出来なくなるなあ。(はっきりと響く、君の聲。断言された言葉に、自然と頬が緩んだ。)本当に君は優しくて、頼もしいね。じゃあ、何でも聞いてよ。私も何でも聞くから、さ。
鎹・たから 2021年12月18日
してほしくないこと、ないのですか。なるほど……艦長の新情報です。(ふむ、と)はい、なんでも言います。たから、もっとヴィルジールを知りたいですから。
(きら、と。色硝子がさっきよりも瞬いたように見えたかもしれない)
鎹・たから 2021年12月18日
勿論、言いたくないことは言わなくてもいいですよ。人には秘密というものもありますからね。
(四つ足の騎士を再び撫でて、)そうですね……では、これから食べたい物はありますか?きっと、帰る前に時間があります。(なんでも。まずはお仕事を終えた、これからのこと)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
もし此の先、出来たら教えるよ。(煌めく色硝子に、眸が優しく弛む。)秘密――。そうだね、まあ、それも言いたく成ったら教えようか。(四つ足の騎士から背を離し、ぐっと背伸びをひとつ。)いいね、何か食べて帰ろうか。カスパールで何処にでも連れていってあげる。(そうして、問には暫し思案して――。)
ヴィルジール・エグマリヌ 2021年12月18日
暖かい、クリームシチューが食べたいな。(ぽつり、そんな希望を溢したのだった。)(軈て食事処へ赴いたふたりは、其処でも問いを重ね合うのだろう。互いをよく知る為に――。)