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堕ちた学園を解放せよ

#UDCアース

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#UDCアース


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●狂気に堕ちる
 UDCアースのとある高校、そこは多くの生徒が勉学と部活動を両立する名門校として周囲で評判だった。
 だが、ある一人の少女が現れたのを境に――その名声は地へと堕ちてしまう。
 笑顔に溢れていた生徒たちは気が狂ったかのように豹変、校内には怒号が絶えず、些細なことですぐに暴力を振るうようになったのである。
 当然授業はボイコット、教師をはじめとする大人たちは学校を追い出され生徒たちは学校を完全に占拠した。
 かつての名門校はわずか数日で無法地帯となり果てたのである。
「あははははははははははは!!!!!」
 この狂気に染まった生徒たちによって占拠された学校で、元凶となった少女は愉快そうに笑っていた。

●狂気を除くために
「やぁ皆、少し手伝って欲しいことがあるんだ」
 特徴的な水色のロングマフラーをたなびかせながら、ルリア・アルヴァリズ(理想の守護者・f10775)は集まってきた猟兵たちに事件のあらましを語り出した。
「どうやらUDCアースのある高校に邪神の眷属とその一派が現れたみたいでね、君たちにはそれを討伐してもらいたいんだ」
 予知によると高校に突然現れた邪神の眷属である少女『エミリィ』によって、生徒たちが洗脳されて狂気に飲み込まれてしまったのだという。
「そのせいで現場に行ってすぐに元凶を倒して終わり、とは行かないみたいだね。部外者を生徒たちは許さないみたいで下手に動けば襲ってくると思う。だからまず皆はそれをどうにかしながら敵の下に辿り着いてもらう必要があるかな」
 高校の校舎は4階建てだが2階以降の窓には板が貼り付けられており外の非常階段の扉はバリケードで塞がれていた。
 しかし現在はまだ1階にそのような防備が着手されておらず、そこから侵入することができるようになっているという。
「どうやらエミリィは、生徒たちを邪神の生贄に捧げようとしているらしくてね、それの邪魔をされないように要塞化を進めているみたいなんだ」
 手遅れになる前に手を打たないといけない、ルリアは表情を引き締めて最後の言葉をかける。
「生徒たちを突破して上の階へと進んでいけば足止めにとエミリィの配下がでてくることになるだろう。だけどそれはエミリィへと近づいている証でもある。未来ある生徒たちが犠牲になるのは忍びないからね、よろしく頼んだよ」


小牧葵
 こんにちは。
 通勤で高校生を見る度に、こんな時代が自分にもあったんだなぁと思う小牧葵です。

 今回の舞台はUDCアースです。
 シナリオとしては1章で冒険、2章で集団戦、3章でボス戦となります。
 第1章は、校内に侵入し何かしらの方法を用いながら階段を使って上の階へと進んでいくことになります。
 生徒たちは部外者には問答無用で襲い掛かってきて校舎から追い出そうとします、スペックは一般人の学生レベルです。

 POW、SPD、WIZの内容に囚われる必要はないので皆様の自由なプレイングをお待ちしています。
 ではよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『堕落した名門校』

POW   :    襲い来る生徒達をなぎ払って進む

SPD   :    生徒達から隠れながら進む

WIZ   :    生徒に成りすまして進む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

火奈本・火花
「学園の要塞化など……古い不良ドラマか、学生運動の資料映像でしか見たことがありませんね」

■行動(POW)
下手に隠す必要はありませんし、力尽くで押し通った方が早そうですね
ですが狂気に侵されている以上、生徒たちが退く事も無いでしょう

生徒達の怪我を最小限に抑えるよう、『怪力』で壁にぶつけたりして気絶させながら進むつもりです
ですが短針銃で狙える相手ならば、積極的に『催眠』で短期的に記憶消去を行って無力化しましょう

被害を抑える為ならば、怪我を無視して進行する『捨て身の一撃』となる事も止むを得ません。負った怪我はUCで回復を
ですが万が一、命の危険が迫った生徒が出れば『医術』での『救助活動』を最優先します




「学園の要塞化など……古い不良ドラマか、学生運動の資料映像でしか見たことがありませんね」
 どんよりとした空気を纏った高校、その校門の前に立つ火奈本・火花(エージェント・f00795)は校内を観察しながらそう呟いた。
 今は本来であれば授業が行われているはずの時間帯であるが、校門から見える問題の校舎からは生徒たちが騒ぐ音が絶え間なく聞こえてきていたのである。
 加えて校舎の外にも数十人の生徒がうろつき回っており、無法地帯と化していることは想像に難くない。
 しかしその生徒たちは校舎の外へと出ることはあってもその敷地内から出ていく様子はまったく見られなかった。
「ふむ、やはり校内からはでないように洗脳されているみたいですね」
 邪神に対する生贄を逃がさないためか、洗脳の範囲が校内に限定されているためか、他にも色々な推測ができるが問題が起きていることには間違いない。
 校外から分かることもこれ以上ないだろう、そう結論付けて火奈本は堂々と敷地内へと足を踏み入れた。

 火奈本はそのまま校舎へと足を進めていく。
「あんた誰だ?教師じゃねぇよな」
 それに気付いた生徒の一人が呼び止めようとするが、火奈本はそれを無視して進んでいった。
「待てよ!」
 無視された生徒は後ろから火奈本を止めようと殴りかかる。
「すぐに手がでる、情報どおりですね」
 しかし火奈本は背後に目があるかのようにその動きを捉え、タイミングを合わせて横にずれて拳を避けた。
 そして空ぶった生徒の腕を掴むと背負い投げの要領で地面に叩きつけて気絶させたのである。
「おい!やられたぞ!」
 だがその一連の流れを見ていた別の生徒が声をあげ、それに外をうろついていた生徒たちが反応する。
 殺到してくる数十人の生徒、だが狂気に染まって凶暴化しているとはいえ火奈本の敵ではない。
 火奈本は冷静に壁や床に叩きつけたりして向かってくる生徒の意識を奪い、次々と無力化していく。
「ちっ!他の奴らを呼んで……うっ!」
 次々に仲間が倒れていくのを見て校舎に走りだす生徒、しかし火奈本が放った記憶消去の短針銃がそれを許さない。
「下手に隠す必要はありませんが――」
 狂気に侵された生徒たちが退くことが想定できない以上、増援が来れば余計な被害を生むかもしれないのだ。
 そうして校舎の中にいる者たちに気付かれること無く外に居た生徒たちを無力化していき、火奈本は校舎へとたどり着いた。
 火奈本に怪我は無く、無力化した生徒たちも命の危険は無いだろう。
 しかし生徒たちの被害を最小限にすることにずっと神経を使っていたため、火奈本は精神的な疲労を覚えていた。
 ゆえに火奈本は心の中で演説を唱える。
(『我々は邪悪にも狂気にも屈しない。光の影に闇はあれど、光のある限り闇は出でず。諸君、勝利しよう! ――発見・捕獲・収容!』)
 これによって火奈本は自身の士気を高めて精神的な疲労を取り除く。
「では行きましょうか」
 そして火奈本は校舎へと足を踏み入れ、襲い掛かる生徒たちを無力化しつつ上へ上へと進んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リューイン・ランサード
数日で学校を崩壊にまで導くなんて、恐ろしい少女ですね、ブルブル。
とはいえ同じ学生として、狂気に侵され生贄にされる学生を放っておけません。
頑張って救出します・・・怖いけど。

UDC組織から制服を借り、生徒に扮して潜入。
猟兵は違和感を与えないとはいえ、翼は折り畳み、尻尾は巻いて、【目立たない、忍び足】を使い、目立たないよう行動。

校内で見張っているエミリィ配下に対しては、「指示された通り、食べ物を購入してきました。」と(潜入前に購入した)おにぎりやサンドイッチを渡しつつ【コミュ力、情報収集】で現状を聞く。

潜入に困っている猟兵がいれば、UC:存在希薄化で【手をつなぎ】、一緒に姿を消して見張りを突破する。




 校外の生徒たちが無力化されたことで続々と校舎へと潜入していく猟兵たち。
 その一人であるリューイン・ランサード(今はまだ何者でもない・f13950)は冷や汗をかきながら恐る恐る校舎の中を進んでいた。
「数日で学校を崩壊にまで導くなんて、恐ろしい少女ですね……」
 名門校があっという間に不良校に変わるなど相当な洗脳を施したに違いなく、実際に周りにいる生徒たちは男女を問わず怒気に満ちた表情をしていたのだ。
 幸いにも他の猟兵たちが活発な行動を見せていることに加えて、UDC組織から借りていた制服を着込んでいたこともあってリューインに意識を向けることは無かったが、罵声が近くであがるとついびくっとなってしまっていた。
 彼らが元は規律を守る文武両道の生徒だったとは到底信じられないが、それほど狂気に侵されて歪んでしまっているのだろう。
 今の学生たちとは係わり合いになりたくはないが、このまま放っておけば彼らは邪神の生贄にされてしまうかもしれないのだ。
 それは自身と同じ学生として見過ごすわけにはいかない。
「頑張って救出します……怖いけど」
 そう決意を呟いた後、リューインは自身の翼と尻尾を制服のうちに仕舞い込みながら目立たないように生徒の合間をするするっと抜けていく。

 そしてリューインは階段へと到達し、そのまま一気に4階まであがろうとしたところで上級生っぽい生徒たちに呼び止められた。
「おい、それはなんだ?」
「えーと食べ物を購入してくるように指示されたのですが」
 それに対してリューインは事前に買っておいたおにぎりやサンドイッチが入ったビニール袋を見せて告げる。
「あーでも駄目だ、選ばれた奴しか4階には行っちゃいけないからな」
「その人たちの指示ですが?」
「それでも駄目だ。規則だからな」
 とにかく上にあがらないという部分が洗脳で強調されているのか、とりつくろう暇も無く上にあがるなと繰り返す生徒たち。
 強行突破という手もあるが、下手に刺激しない方がいいと判断したリューインはとりあえず彼らから話を聞くことにして会話を始める。
 そしてリューインはいくつかの会話を挟んだ後に、気になっていたことについて尋ねた。
「その選ばれた人たちってどんな人なんですか?」
 ここまでの道中どこにもエミリィの配下の姿を見かけなかったのが気がかりだったのだ。
「最近来た転校生たちだな、この上の階は全部あいつらのための階なんだよ」
「転校生?」
「ああ、俺たちもよく知らないんだけどな」
 最近来た転校生、そして上の階を占領しているのに生徒たちが何も言わないとなれば十中八九それがオブリビオンだろう。
 対した情報ではないが少なくとも配下を含めて敵が上の階に篭っていることははっきりした。
「ありがとうございます。これ、どうぞ」
 リューインは話をきりあげてビニール袋ごと食料を生徒たちに渡す。
「おお!ありがとな!」
 生徒たちは一斉に袋を漁りだした。
「いえ、それでは僕はこれで。……今、一時、世界から消える」
 そして、自身から集中が外れた隙を盗んでリューインは透明になり、生徒たちに気付かれないように上へと進んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

一ノ瀬・かなめ
ただその学校に通ってたってだけで生贄にされるんじゃ溜まったもんじゃないわよね
さっさと邪神を倒して、被害を最小限に食い止めるわよ

隠れて潜入し、あたしと同じ身長くらいの子から制服を奪うわ
物陰におびき出してから、威力を絞ってUC【サイキックブラスト】で【マヒ攻撃】、気絶したら制服を拝借
下着姿で放置するのは流石にどうかと思うから、あたしが着ていた服を着せておくわ
ハンカチを口に詰め込んで、靴下で手足を縛っておく
起きて騒がれたら困るし

洗脳が解けたらちゃんと謝るから、許してね

制服を奪えたら生徒に成りすまして上の階を目指すわ。怪しまれても【コミュ力】でなんとか切り抜けを試みる
無理なら実力行使もやむなしね




 邪神の眷属によって堕ちてしまった名門校の生徒たち。
 彼らはただ平和に学校に通っていただけなのになぜ邪神の生贄になどされなければならいのか。
「そんなの溜まったもんじゃないわよね」
 今回の事件に対しての思いをそう口にしたのはサイキック少女である一ノ瀬・かなめ(ESPJK・f18244)だ。
 邪神の眷属が学校に現れてからもう数日が経っているとなれば確認が取れていないだけで既に被害が出ている可能性がある。
 となればこれ以上の被害を生まないためにも、さっさとこの学校を占拠しているオブリビオンを倒さなくてはならないのだ。
 そこで一ノ瀬は隠れながら校舎へと潜入後、すぐに物陰を発見してそこに隠れていた。
 というのも一ノ瀬が着ている学生服とこの学校の制服とでは大分形状が違かったのである。
「まずは制服を借りないとね」
 似てれば口八丁で何とかできると踏んでそのまま来たのだが、それが外れたとなれば現地調達をしなくてはならない。
 物陰から周囲の様子を伺うこと数分後、一ノ瀬は自分と同じ程度の体格の女子生徒を発見した。
「ちょっとキミ、これ運びたいから手伝って」
 一ノ瀬は物陰から頭だけ出してその生徒を呼び止めるとそのまま物陰に誘導、おびきだした女子生徒に加減した電流を流し込んで気絶させる。
 そして一ノ瀬はそのまま女子生徒と自身の学生服を交換、ついでに靴下で女子生徒の手足を拘束してハンカチを口に詰めることで起きた後の騒ぎにも対策を行った。
「洗脳が解けたらちゃんと謝るから、許してね」
 気を失っている女子生徒に対してそう告げて物陰を後にした一ノ瀬は、生徒の壁を抜けながら上にあがるための階段を目指す。
 幸いにも他の猟兵が目立つような行動を取ってくれていることもあり、生徒に成りすました一ノ瀬を部外者だと認識する者はいなかった。
 ナンパ目的の男子生徒に何度か呼び止められたものの、その場その場で無難に受け答えしてやり過ごしながら一ノ瀬は無難に3階まで上がることに成功したのである。
 しかしやはり最上階への階段には見張りの生徒が数人立っており、これを無言で避けて通ることはできなさそうだ。
「ま、ここまで来たら実力行使もやむなしね」
 色々と鬱憤が溜まっていたのだろう、一ノ瀬はそう呟くと意を決して見張りの生徒へと向かっていく。
「おい、この先はぐえっ!」
「お前一体なにぐあっ!」
 そして先程の衣替えの時と同様にスタンガンを模した高圧電流によって数人の生徒を手早く無力化した。
 一ノ瀬は気絶させた生徒たちに最低限の介抱を行うと、見張りのいなくなった階段へと向き直る。
「さて、さっさとこの事件を終わらせるわよ」
 そう意気込みながら一ノ瀬は敵の待つ4階への階段を上っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

野槌・三栄子
バーリトゥード!ですが、ここまで来たら行くしかありませんね【覚悟】

行動:WIZ
①《怪物マスク》を被り【恐怖を与え】ながら校内を練り歩く
②【パフォーマンス】【ダッシュ】で移動
具体的には正面を向いた状態で前後左右に同じ体勢、同じ速度で動き始める。
前に歩いているように見せながら後ろに進む珍妙な歩法で、これを左右でもやる。しかも走る。
③誰かに素性を聞かれたら【言いくるめ】。このマスクは自由を押さえつける社会への破壊と解放を象徴してる芸術的行動…私がこの学校のピカソ!
④【聞き耳】を立てて、呪術的な情報を探す
⑤問答無用で襲われた対処は【摩擦を消(しょう)じる】で転ばせて、進む。




 学校の敷地内で行われる生徒たちの行動は何でもあり、まさにバーリトゥード!
 だがこの学校を開放するにはその中を突っ切ってオブリビオンまでたどり着かなければならない。
「ここまで来たら、わたしも行くしかありませんね」
 既に他の猟兵は突入しているのだ、その後に続かなくてはと野槌・三栄子(人としての軸がブレてきてる・f17364)は覚悟を決める。
 そのまま野槌は勢いよく校舎に入って行ったのがほんの数分前の出来事。

 そして彼女は今――色んな意味で校内において一番異彩を放っていた!
「何だあいつは!?」
「あんな被り物見たことないぞ!」
「何あれ怖っ、おい誰か止めてこいよ!」
 口々にざわめきたつ生徒たち、その中心には左右で眼の形状が異なるブルーベリー色の怪物マスクを被った野槌が独特のステップを踏みながら廊下を走っていたのだ。
 最初はマスクを被ったまま練り歩いていた野槌であったがこちらを見て怖がる生徒を見て段々テンションがあがり、いつの間にか走りだしていたのである。
 しかもただ真っ直ぐ走るだけではない。
 顔は正面を向き、体勢は同じのはずなのに動いている方向は前後左右と点でバラバラなのだ。
 前に進んでいるかと思えば後ろに進み、右に進んだと思えば左、あるいはその逆だったりと珍妙過ぎる歩法を走りながら行う彼女は色んな意味で凄かった。
「というかお前どこのクラスだ!?」
「どこにそんなマスクがあったんだ!」
 当然そんな格好をしてステップを踏む野槌に生徒から疑問の声が投げられるのだが、
「このマスクは自由を押さえつける社会への破壊と解放を象徴する芸術的行動です!私がこの学校のピカソ!」
 と言った具合にはぐらかしながら(?)、生徒たちに取り合わずに野槌は上へ上へと向かっていた。
 しかしその言い訳にも限界があった。
「ピカソ?えーと、つまり美術部なんだな!?」
「美術部にあんな奴いたか!?」
「いや、美術部にかかわらずあんな動きできる奴なんていないだろ!」
 恐怖と困惑で遠巻きになっていた学生たちだったが、ようやく状況を飲み込んでおかしいことに気付いたのである。
 野槌を止めようと動き始める生徒たち。
 しかし道中何か探れないかと動きながらも聞き耳を立てていた野槌は彼らの行動をいち早く察知していた。
「おっと、パフォーマーへのお触りはいけません。ツルツルスルリと……」
 野槌は向かってくる生徒たちの上履きと床の間を指定して口にする。
 その途端、唐突に地面の摩擦を奪われた生徒たちは一斉にすっころんだ。
「お先に失礼します」
 立つこともままならない彼らにはもう野槌を抑えることなどできはしない。
 野槌はその横を独特なステップで通り抜けていき、階段をのぼって目的の階へとたどり着いたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「少々手荒でしたが仲間の潜入も助けられたようですね。結果オーライ、でしょうか」

■行動(POW)
変わらず力尽くでの制圧を進めていきましょう
向かってくる生徒達には『怪力』による『グラップル』での『気絶攻撃』か、距離を取れれば短針銃での『催眠術』で対処します
兵力を残し、黒幕との戦闘時に乱入されても厄介ですしね
「かかって来なさい。相手をします」

とは言え私の侵入はかなり目立ってはいますし、バリケードなどが築かれていてもおかしくはありません
鍵の締まった扉や防壁などの障害がある場合は『底力』で排除して進みます

■真の姿
胸から左腕にかけてが樹木化
浮き上がった血管のような根が、顔や腕、脚に張り巡らされている




 部外者を追いださんと殺到してくる生徒たちを一人、また一人と無力化しながら火奈本・火花(エージェント・f00795)は廊下を進んでいた。
 彼女がとっている正面から正々堂々と突っ切る方法は当然生徒たちの注目を集めることに繋がる。
 そのために邪魔をしてくる生徒たちが絶えず、進むのに多少の時間をかける必要があった。
 しかし注目を集めるということは、その分だけ他の猟兵が動きやすくなるという利点もある。
 実際火奈本が表立って行動していることで多くの猟兵たちが上階への潜入に成功していた。
「少々手荒でしたが仲間の潜入も助けられたようですね。結果オーライ、でしょうか」
 そう口にしながら火奈本は飛び掛ってきた生徒にタイミングを合わせて顎を掠めるように拳を放つことで脳震盪を引き起こして意識を刈り取る。
 生徒たちは洗脳されているだけでそのスペックは一般人と変わりないため、被害を抑えるように火奈本は効果的かつ制限された攻撃のみを選択しながら彼らを無力化していた。
 数は多くいる生徒も戦場としては狭い部類に入る廊下では一度に襲い掛かってくる数は制限されるため火奈本は余裕を持って対処していたのである。
「っとまんねぇ!おい!扉閉めろ!」
 そんな中でこのままでは火奈本を止められない、そう判断した生徒たちの一人が叫ぶ。
 火奈本がそれに反応して遠くを見据えると生徒たちが防火扉を閉めようとしていた。
「おい!行くぞ!」
 生徒たちが火奈本を置き去りにして防火扉の奥へと駆けだしていく。
「少々目立ちすぎたようですね」
 だがそれでも火奈本の余裕は崩れない。
 離れていく生徒を短針銃で無力化しながらゆっくりと防火扉へと歩いていく。
「……手加減、しませんよ?」
 そして閉ざされた防火扉を前にして、一つ息を吐いた火奈本は右腕を引き――思い切り叩きつけた。

 グシャ!!!!

 防火扉が本来発することが無い悲鳴をあげて破壊され、大きな音を立てて倒れる。
 その先には顔を恐怖に引きつらせた生徒たちの姿があった。
「かかって来なさい。相手をします」
 そう口にして火奈本はゆっくりと歩みを再会する。
 ここで生徒たちを残せば後でオブリビオンと戦っている最中に乱入され厄介なことになるかもしれないのだ。
 挑発してでも今後のため生徒たち自身のためにも彼らを無力化する必要があった。
「なんだってんだよ!」
「くっそおおおおお!!」
 生徒たちにも恐怖感はある、しかし洗脳もあって闇雲に襲い掛かることしか彼らに選択肢は無かった。
 それに対して火奈本は真の姿の一端を解放して胸から左腕にかけて樹木へと変化させる。
「少しばかり寝ていただきます。目が覚める頃には悪夢は終わっているでしょう」
 そして樹木から太い枝を何本も伸ばして生徒たちを複数人まとめて打ち据えながら無力化していき――目的を達成した火奈本はオブリビオンの待つ4階へと辿り着いたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇塚・レモン
【POW】
所持技能はフル活用!

霊能力探偵の腕の見せ所だねっ!
今回は最速で最短で真っ直ぐに一直線に首謀者のところへ向かうよ!
サクッと片付けよっか!

念動力で空を飛んで、一気に最上階へ!
指鉄砲の霊弾で窓ガラスを吹っ飛ばして強行突入っ!
お邪魔しま~すっ!(シールドバッシュで生徒へ体当たり)
勾玉に霊力を籠めて蛇神様を召喚
蛇神様、背中は任せたよっ!
巨大な白蛇に尻尾でなぎ払う・威嚇して恐怖を与えて怯ませてもらう
あたいはユーベルコードで迫りくる生徒達を残さず縛り上げちゃうよっ!

ねぇ、君?
エミリィさんってどこにいるの?
不可視の鎖を操って窓の外へ生徒を浮遊させたり
バリケードへ突っ込ませたり
拷問?
尋問の間違いだよ?




「おいどうなってんだこれ!?」
「わかる訳ないだろ!何が起きてるんだ!?」
 大多数の生徒たちが無力化されたことで静寂を取り戻しつつあった校舎の中に、複数人の声が響いた。
 それは校舎の隣に立てられていた体育館に集っていた生徒たち、彼らは運よく?制圧された後に戻ってきていたため無事に済んでいたのだ。
 しかし生徒たちはこの時は知る由もなかった、本当に運が良かったのはどっちだったのかということを……。

「霊能力探偵の腕の見せ所だねっ!」
 そんな生徒たちを知ってか知らずか、学校へと転移してきた蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)は問題の校舎を見てそう声を上げた。
 既に先に潜入している仲間からの連絡では校舎の4階に事件を引き起こしたオブリビオンが潜んでいるという情報が入っている。
 なら最速かつ最短ルートで向かっちゃおう、そう意気込んで蛇塚は地面から空へと飛び立つ。
 目指すは最上階、一気にその距離をつめた蛇塚は指鉄砲による霊弾を放とうとして――その下の3階の階段に生徒たちがいることを察知した。
「あーそうだね!ちょっと位は情報収集した方がいっか!」
 探偵と言えば推理パートだ、当然そのための情報収集パートも付きものである。
 蛇塚は狙いを変えて霊弾を放ち、貼り付けられた板ごと窓ガラスを吹き飛ばす。
「お邪魔しま~すっ!」
 そして突入と同時に白金の円盾で進路上にいた生徒を突き飛ばした。
「!?おい!大丈夫か?」
「ここ3階だぞ!どうやって来たんだよ!?」
 突如現れた蛇塚に困惑する生徒たち。
「蛇神様、背中は任せたよっ!」
 その間に蛇塚は純白の勾玉に霊力を籠めて巨大な白蛇神であるオロチヒメを召喚する。
 オロチヒメは蛇塚の声に反応して尻尾で近くにいた生徒たちをなぎ払い、残っていた生徒たちを睨み付けた。
「ひぃっ!」
「ちっ畜生!なんだってんだ!」
 突如として現れた常識外の白蛇、それに威嚇されることで生徒たちは恐怖の余り固まってしまう。
「これが本当の蛇睨みだよっ!」
 それを蛇塚は見逃さず、超霊力オーラによって生成された不可視の鎖で残っていた生徒たちを残さず縛り上げた。
 再び訪れた静寂の下、蛇塚は縛りあげた生徒の一人に近づき質問を投げかける。
「ねぇ、君?エミリィさんって上のどこにいるの?」
 その質問に目を泳がせながら知らないと答える生徒を蛇塚は鎖を操って非常階段のバリケードへと投げつける。
「ひぃ!?」
「じゃあ君は?」
 そして次の生徒へと笑顔で蛇塚は声をかけた。
 しかし洗脳が固いのかなかなか生徒は答えない、それを見た蛇塚はその生徒を窓の外へと放り投げる。
「うわああああああああ!!!」
 鎖に繋がれているため落ちることはない、しかし鎖が見えない生徒にとっては恐怖以外の何者でもなかった。
 それを見ていた生徒が拷問じゃないかと声をあげるが、蛇塚は笑顔のまま取り合わない。
「拷問?尋問の間違いだよ?ほら、早く答えてくれるかな?」
 そのまま蛇塚は外に放り出されている生徒に声をかける。
「わかった!言う!そこの階段を上がって一番奥にある教室だ!よくそこから笑い声が下に聞こえてくるんだ!」
 さすがに恐怖が洗脳を上回った、必死になって記憶を振り絞りながら生徒は答えを告げる。
「そっか!ありがとっ!」
 聞くことは聞いた、蛇塚は生徒を引きあげると残っていた生徒たちと共にバリケードへと投げつける。
 元よりこの後の邪魔になりかねない生徒たちの意識をそのまま残しておく気はなかったのだ。
「じゃあサクッと片付けよっか!」
 そう口にして蛇塚は首謀者の待つ4階へと上がっていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『六一六『デビルズナンバーまきびし』』

POW   :    悪魔の忍刀(デビルニンジャソード)
【忍者刀】による素早い一撃を放つ。また、【魂を削る】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    悪魔の巻物(デビルスクロール)
いま戦っている対象に有効な【忍法が記された巻物】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    悪魔の撒菱(デビルカルトロップ)
自身の身体部位ひとつを【まきびし】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。

イラスト:FMI

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●校舎は戦場と化して
「皆せっかく楽しんでいたのに何て酷いことをするのかしら?」
 4階へとあがった猟兵たち、それを待っていたかのように無邪気そうな少女の声が階全体へと響いた。
 その声の主は言うまでもない、今回の事件を引き起こした邪神の眷属であるエミリィその人である。
 情報によればエミリィはこの階の最奥の教室に居るらしく、おそらくそこから猟兵たちに声をかけているのだろう。
「もう少しで準備が終わるのよ?そしたらいっぱい殺して、殺して、殺すの!邪神様も喜んでくれるわ!」
 続けて聞こえてくる無邪気な声、しかしそれは溢れんばかりの狂気に満ちていた。
「でもそれを邪魔しに来たあなたたちには……天罰が必要ね?」
 その言葉と共に突如現れたのはエミリィの配下である悪魔の忍者、デビルズナンバーまきびしの集団。
 廊下中に展開したまきびしたちは明確な殺意を持って猟兵を排除せんと動きだし――学び舎は戦場へと代わりを告げたのであった。
野槌・三栄子
さぞ名のある忍者とお見受けする!!
鎮まりたまえ!鎮まりたまえー!

〉行動
①明確な殺意を持ってくる忍者軍団に【勇気】【気合い】【覚悟】で立ちはだかる。
②【パフォーマンス】【フェイント】【見切り】【ダッシュ】ムーンウォーク歩行で回避を頑張る
③近づけばなます切りにされかねない。
視認できた忍者の体と天井含めた廊下全体を指定して【摩擦を消じる】のあと、【衝撃波】を放つ。
④毒攻撃も視野に入れて【毒耐性】をセットしておく


一ノ瀬・かなめ
ほんと、はた迷惑な女ね。でも、オブリビオン相手なら容赦しないわ。
準備を終わらせる前に、なんとか突破するわよ。

UC【イミテーションウェポン】で周囲の机や椅子を集めて大きなハンマーを作って、まきびし共を叩き潰してあげる。手当たり次第にまきびしとしての機能を奪い尽くすわ。

ったく、いちいちナンパしてくるんじゃないわよ、こっちはさっさと邪神倒して帰りたいってのに、面倒くさいったらありゃしないわ。
ふぅ。ストレス発散にはちょうどいいわねこれ。

相手が攻撃してきたら【オーラ防御】で軽減しつつ受ける。お礼にはハンマーをたくさんあげるわ。
滅茶苦茶に叩き潰される覚悟があるやつだけ攻撃してきなさい。

連携アドリブ大歓迎!


リューイン・ランサード
うわあ、予想はしてたけどエミリィさんヤバすぎます<汗>。
絶対、半径100メートル以内に来てほしくないタイプです。
と心中ダダ洩れの感想を呟く。

校舎を壊すのは控えたいので、UC:トリニティ・エンハンスで【風の魔力】で攻撃力強化。
廊下内を翼で飛び、壁を蹴る、3次元的な機動で戦闘。

攻撃時はエーテルソードによる【(剣に纏わせた風の)属性攻撃、空中戦、2回攻撃、ジャンプ、怪力】で忍者を斬る。

防御時は【空中戦、第六感、見切り、ジャンプ】で躱し、躱せない時は【オーラ防御、ビームシールドによる盾受け】で凌ぐ。

「学校は学生が学ぶ場所です。物騒なキャンプファイヤーは人を巻き込まずに自分達だけで完結させて下さい。」



●ただひたすら前に
 敵対者である猟兵たちへと向かってくる多数の忍者たち。
 その津波を受け止めるように前に進みでて廊下に立ちはだかったのは野槌・三栄子(人としての軸がブレてきてる・f17364)だ。
「さぞ名のある忍者とお見受けする!鎮まりたまえ!鎮まりたまえー!」
 野槌は大きく息を吸い込み、両手を上げ下げしながら野槌は沈静を促す言葉を何度もかけ続ける。
 しかし殺気に満ちた忍者たちは一向に静まる気配が無く前に出ていた野槌へと殺到した。
 次々と振り下ろされる忍者刀、その一つ一つの起動を見切りながら野槌は高速ムーンウォークで回避していく。
 そして共に戦う2人の猟兵の所まで戻ってきて野槌は呟いた。
「おかしい、止まりません」
「え?本気だったの?」
「流石に無理があると思います」
 真面目な顔で訝しむ野槌に少し驚きつつそう声をかけたのは一ノ瀬・かなめ(ESPJK・f18244)とリューイン・ランサード(今はまだ何者でもない・f13950)だ。
 リューインは2人の前にでてビームシールドを展開して忍者の攻撃を受け止める。
「予想はしてましたがエミリィさんヤバいですよね。」
「そうね。ほんと、はた迷惑な女ね」
「絶対、半径100メートル以内に来てほしくないタイプです」
「でもあの女はオブリビオン、ほっとく訳にも行かないわ」
 本音駄々漏れのリューインに相槌を打ちつつ、一ノ瀬は近くにある教室を見やる。
 そこには当然、数十名の生徒が使っている机や椅子が並んでいた。
「ちょっと時間を稼いどいて」
 一ノ瀬はそう2人に告げて武器を作るために教室へと入っていく。
「任せてください。ではあなた、よろしくお願いします」
 それに答えながら野槌はリューインの後ろへと回り込み腕を組む。
「え!?僕だけでですか!?」
「はい、近づけばなます切りにされかねないので」
 そのやり取りから自身にすべて押し付けられたリューインは驚くが、返ってきた言葉は彼にとって残念なものだった。
 しかし嘆いている暇は無い、涙目になりながらもリューインは忍者の攻撃をいなしつつエーテルソードで斬り捨てながら押し止めて時間を稼ぐ。
「待たせたわね」
 そして数十秒後、教室から出てきた一ノ瀬の手には大きなハンマーが握られていた。
 教室に入った一ノ瀬はイミテーションウェポンによって無機物である椅子と机を組み合わせて即席のハンマーに変換していたのである。
 一ノ瀬はハンマーを振るいリューインに殺到していた忍者たちを一掃。
 それによって忍者との距離が空いた事で体勢を整え直したリューインも自身の翼を広げる。
「じゃ、あの女が準備を終わらせる前に、なんとか突破するわよ」
「はい!行きましょう」
「バックアップは任せてください」
 一ノ瀬の言葉にリューインと野槌はそう答え、今度はこちらの番だと忍者の集団へと向かっていく。

 忍者たちは各々の手足の一部をまきびしへと変異させた攻防一体となったそれと、忍者刀を用いて3人の行く手を阻む。
 しかし3人のコンビネーションを駆使した突撃はそれでは止まらない。
「ったく、いちいちナンパしてくるんじゃないわよ」
 一ノ瀬はオーラを纏いながら正面からハンマーを駆使して忍者たちを叩き潰していく。
 面倒くさがりな彼女としては敵のボスをさくっと仕留めて帰りたいところではあるが、そうも言っていられない。
「ふぅ。ストレス発散にはちょうどいいわねこれ」
 しかし振るえば振るうだけ倒していく快感に一ノ瀬は若干の気分の高揚も感じていた。
 そんなことも考えつつ一ノ瀬はまきびしへと変異した部分を殴りながら棘を砕き、それを無機物としてハンマーに吸収しながら凶悪化させつつ着実に前へと進んでいく。
 そして一ノ瀬を援護するのが野槌の役目だ。
 ハンマーの一撃え数体の忍者を吹き飛ばすことができるがその振りは大きく、制御のために回避等が疎かになってしまう。
 一ノ瀬自身オーラによる攻撃の減衰を行いながらハンマーを叩き続けているようにある程度の被弾を覚悟しての戦闘であった。
 当然、横や上からすり抜けて背後から一ノ瀬を、もしくは自分を忍者たちは狙ってくる。
 だが入ってくる場所が分かれば視界に捉えることも容易だ。
「すべりたまへ!すべりたまへー!……ツルツルスルリと…」
 野槌は視認した忍者たちと廊下の壁や天井との間の摩擦を指定してその全てを奪い去る。
 力の行き場を無くした忍者たちは落下し、転がりと酷い様となっていた。
 後は魔力の衝撃波を放ちながら前へと押し戻すだけだ。
 前へと戻された忍者たちはまともに動けぬままハンマーの餌食になるか、リューインの刃に切り裂かれる。
「これ一体、何体いるんでしょう、ね!」
 そのリューインは遊撃として野槌を護衛しながら一ノ瀬のサポートとして忍者たちを斬り伏せていた。
 トリニティエンハンスによって風を操ることで無風状態の廊下に風を作り、自身の翼をもって廊下内を飛び、あるいは蹴り回りながら機動戦を仕掛けていたのである。
 機動戦と言えば忍者の十八番でもあるが、一ノ瀬のハンマーによって一部を損傷、あるいは野槌によって動きが制限された忍者など恐れるに足らない。
 一人であれば泣き言の一つでも言いたくなるが頼もしい味方が一緒なのだ。
 ゆえに自分は自分の仕事をすればいい、それだけで十分突破できる。
「学校は学生が学ぶ場所です」
 リューインは上を越えてこちらに向かってくる忍者を見据えて飛び、
「物騒なキャンプファイヤーは人を巻き込まずに自分達だけで完結させて下さい」
 そして風を纏わせたソードで素早く振るわれた忍者刀ごとその体を斬り捨てた。
 そのまま前衛である一ノ瀬を筆頭にして、それを野槌とリューインが援護する形で忍者たちの壁を砕きつつ前へ前へと進んでいく。
 終わりは見え始めている、エミリィのいるであろう教室はすぐそこだ。
「滅茶苦茶に叩き潰される覚悟があるやつだけ攻撃してきなさい!」
 一ノ瀬は声を張り上げながら、更に勢いを増してハンマーを振るう。
「忍者なのに毒や麻痺っぽいの使わないみたいですね……少し残念ですが無事なら良しとしましょう」
 その後に続くのはぼやきながら忍者たちの摩擦を奪っていく野槌。
「次はあの少女ですね、早く倒して学校を解放しましょう」
 そしてリューインが回り込んできた忍者を斬り裂きつつ廊下を抜けて決戦の地へと向かっていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火奈本・火花
「随分と馬鹿げた事を言うな。楽しんでいるのはお前一人、喜ぶのもお前一人だ。お前の信じている邪神は天になどいないし、地にも来させはしない」

■戦闘
力押しを続けても問題無いだろう

数には数で勝負だ
遅れて随行させた機動部隊と共に4階へ突入し、眷属供を弾幕でなぎ払おう

奇妙な巻物を呼び出すようだが、使わせる前に先手を取れば有利を得るのはこちらだ
9mm拳銃は『クイックドロウ』での『先制攻撃』で奴らに銃口を向け、巻物の力を発揮させる前に銃撃を開始するつもりだ
機動部隊には忍者を攻撃させ、私自身は『2回攻撃』で巻物を射撃する事で、効力を発揮させずに攻撃をしようと思う

「あれは人型だが人間ではない。徹底的に終了させろ」


蛇塚・レモン
技能はフル活用

へー、本物の蛇神様を前にして天罰とか言っちゃうんだ?
蛇神様、こんな雑魚をさっさと片付けて、あのエミリィってオブリビオンをやっつけちゃおうっ!

というか、廊下で戦うって、バリケードがあろうが、直線という事は逃げ場がないんだよっ?
つまり、敵は迂回できないから直進するほかないんだよねっ!
だったら、召喚した蛇神様がことごとく敵を睨みつけて動きを止めるよっ!
睨まれるとユーベルコードが禁止されるので敵は無力化
あとは、あたいのオーラガンの指鉄砲をサブマシンガンのように乱射して倒してゆくよ!
バリケードに隠れても、あたいの霊弾は障害物ごと貫通するよっ!

他人の命を道具にする自分勝手な奴は許さないよっ!



●弾幕は嵐のように
 先行した猟兵たちによって蹴散らされたかに思われた忍者たち。
 しかし今、横の教室や窓の外から忍者たちが続々と現れて再び廊下を埋め尽くしていた。
 狭い廊下では展開できる数に限りがあるため控えていたのだろう。
 この増援部隊を倒さなくては先へ進めず、先行した猟兵たちが挟み撃ちにあう可能性があるかもしれない。
 そんな中、これに対処すべく2人の猟兵が動きだした。

「随分と馬鹿げた事を言うな。楽しんでいるのはお前一人、喜ぶのもお前一人だ。お前の信じている邪神は天になどいないし、地にも来させはしない」
 そう口にしながら火奈本・火花(エージェント・f00795)は自動式9mm拳銃を取り出した。
 思い返されるのは先程投げかけられたエミリィの言葉、自分本位なその考え方、その有り方に理解を示すことなどありえない。
「準備はできてるな?始めるぞ」
 火奈本は後ろに控えていた機動部隊ひー4へと声をかける。
 彼らは遅れて随行してきた機動隊であり、多数の配下との戦闘を見越した火奈本の緊急要請で呼び寄せていたのだ。
「へー、本物の蛇神様を前にして天罰とか言っちゃうんだ?」
 そして火奈本の横では蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)が光の魔方陣を空間に浮かび上がらせた。
 その魔方陣から現れたのは巨大な白き蛇神であるオロチヒメの霊体、蛇塚と心を通わせる親友である。
「蛇神様、こんな雑魚をさっさと片付けて、あのエミリィってオブリビオンをやっつけちゃおうっ!」
 ここに神がいるのに何が天罰か、邪神など恐れるに足るものではないのだ。
 蛇塚は隣に立つ火奈本を見やりその準備ができていることを確認してから忍者たちへと向かっていく。

 直線に広がる廊下を数に物をいわせて雪崩れ込んでくる忍者たち。
 その各部位は脈打つように蠢いており、そこからユーベルコードによるまきびしを形成しようとしていた。
 しかしその強化は蛇塚と蛇神オロチヒメによって阻害される。
「お願い、蛇神様っ! あいつ、悪い奴だから懲らしめちゃってっ!」
 蛇塚のその願いにオロチヒメの霊体は即座に反応して忍者たちを睨みつけて呪縛を放ったのだ。
 蛇神の呪縛はユーベルコードの使用を封じる呪い、それを受けた忍者たちは気圧されてその勢いを殺される。
「撃て、一体も残すな」
 動きが止まった忍者たち、それを見て火奈本は機動部隊へと発砲の指示をだす。
 それを受けて機動部隊によるアサルトライフルが火を噴いた。
 廊下に響き続けるのは何十もの発砲音、次々と銃弾に撃ち抜かれ倒れていく忍者たち。
 その中で火奈本は冷静に戦況を観察しながら9mmの弾丸を速射していた。
 火奈本が狙うのは巻物を取りだそうとしていた忍者たちだ。
 彼らは蛇神の呪縛を受ける前に弾幕の対処をしようとしていた者たち、火奈本はその力を発揮される前に撃ち抜いていた。
「やるね!あたいも負けないよ!」
 そう口にしながら蛇塚もまた超霊力オーラガンで霊力を増幅して指鉄砲をサブマシンガンの如く乱射する。
 戦場となっている廊下は直線、逃げ場や迂回路なんてものは無い。
 加えて仮に横の教室に飛びこもうと障害物を貫通する蛇塚の霊弾が難なく撃ち抜いていく。
 
 オロチヒメが忍者の接近を許さず、火奈本と彼女に随行する機動隊による銃撃と蛇塚の霊弾が組み合わさった弾幕の暴風。
 その連携によって火奈本と蛇塚は一方的に忍者たちをなぎ払っていく。
「あれは人型だが人間ではない。徹底的に終了させろ」
「他人の命を道具にする自分勝手な奴は許さないよっ!」
 相手に満足な行動を行わせず、常に先手を取って優位を保ち続ける。
 困難であるはずのそれをいとも容易く行いながら廊下に展開していた忍者たちを残さず駆逐したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『邪神に取り込まれた少女『エミリィ』』

POW   :    離れた距離は縮まらない
【邪神の祝福を受けたナイフ】が命中した対象を切断する。
SPD   :    時計の針は進まない
【数分間だけ時間を巻き戻すことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    心の傷は塞がらない
【対象の記憶】から【対象の負い目やトラウマ】を放ち、【心理的ショック】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:かじゃねこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はエミリィ・ジゼルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●血に塗れる決戦の地
 行く手を阻んでいた忍者たちを蹴散らして猟兵たちが辿り着いたのは、空間が捻じ曲げられ本来の数倍の広さを持つ教室。
 その中央に大きく血で描かれた魔方陣の上に、白いドレスを鮮血で染めた少女エミリィが立っていた。
「あら?へえ、そう、あの子たちを倒してきたのね」
 猟兵たちを見て残念そうな表情を浮かべるエミリィ。
 しかしそれもほんの数秒、すぐにそれは満面の笑みへと変わった。
「そうよ!あなたたちも生贄に捧げればきっと邪神様も喜んでくださるわ!」
 自らの手で始末すればいいと狂気に満ちた濁った眼と共に、エミリィは銀の刃を猟兵たちへと向ける。
 ここに、事件を引き起こしたオブリビオンの首魁との最後の戦いが始まろうとしていた。
火奈本・火花
「お前が何故“そう”なったのか、あるいは元から“そう”だったのか知らないが――我々に発見された以上、捕獲・収容されるのがお前の運命だ」

■真の姿
胸から左腕にかけてが樹木化
浮き上がった血管のような根が、顔や腕、脚に張り巡らされている

■戦闘
初手は9mm拳銃での牽制を行おう。『2回攻撃』で銃撃し、当たれば僥倖といった所か
本来の目的は別だからな

銃撃によってわざと弾切れになり、予備の弾が尽きた様に思わせる
舌打ちして、まるで苦し紛れのようにボールペンを投げようと思っている
何の威力もないと思わせて爆弾だったなら、不意打ちにもなるだろうしな

その後は『怪力』で、鋼糸で繋いだ部分を締め上げて攻撃、可能なら切断する



●戦場に轟く銃爆撃
「誰から?誰を生贄に捧げましょうか!貴方?貴女?あははははは!!」
 警戒する猟兵たちを見回しながら狂ったように笑うエミリィ。
 その教室に響き渡る狂気に満ちた笑い声を数発の発砲音が遮った。
「耳障りだな」
 そう口にするのは9mm拳銃をエミリィに向けた火奈本・火花(エージェント・f00795)だ。
「痛い、痛いわ。あはははははは!」
 弾丸を喰らい腹部から血を流すエミリィ、しかし邪神に魅入られた彼女はその痛みすら許容して笑っていた。
「まずは貴女にしましょうか!」
 そしてエミリィは少女の姿に似合わぬ瞬発力を持って火奈本へと肉薄、そのまま邪神の祝福を受けた銀の刃を振るう。
 対する火奈本は真の姿を解放し胸から左腕にかけて変化させた樹木から生やした枝を幾重にも重ねることで防いだ。
「邪神の加護の部類か、そのナイフは厄介だな」
「ええ、ええ!これで貴女を邪神様に捧げられるのよ!」
 再び銀の刃を振り降ろしたエミリィの攻撃を転がりながら避けつつ火奈本は距離をとる。
 そして火奈本は9mm拳銃をエミリィへと向けて発砲、距離を開けての応戦へと切り替えた。
「鬼ごっこ?ええ、いいわ、私が鬼ね!」
 追いかけてくるエミリィを樹木から生やした枝で邪魔しながら火奈本は弾丸を放つ。
 その数十発の弾丸はエミリィを捉え、その身体を貫くが勢いがまるで衰えない。
 邪神に取り込まれた少女はもはや人間と同じ身体構想ではなく、元となった少女の面影はその外見と汚染された精神のみなのだろう。
 そう推察しながら火奈本は発砲を続けていくが拳銃の弾丸は当然有限だ。
「くそっ、弾切れか」
 弾を撃ちつくした火奈本は苦々しい顔をしながら下がる。
「あはははは!もう終わり?なら死んでちょうだい!」
 それを見たエミリィは近場の枝を斬り捨てて火奈本へと走りだした。
「ちっ」
 接近してくるエミリィ、それを見て火奈本は苦し紛れにボールペンを投げつける。
 それは一見ただのボールペンにしか見えない、エミリィは不用意にそれを刃で弾こうとして……教室に爆音が轟いた。
 ボールペンに偽装された小型爆弾こそが火奈本の切り札だったのである。
 爆発をもろに受けて転がり無防備となったエミリィの隙をついて、火奈本はその腕に鋼糸を繋ぐ。
「お前が何故“そう”なったのか、あるいは元から“そう”だったのか知らないが――我々に発見された以上、捕獲・収容されるのがお前の運命だ」
 そして火奈本は樹木化した巨腕によって鋼糸を引き抜き、エミリィの片腕を斬り飛ばしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

野槌・三栄子
貴女の神を否定して殴られる【覚悟】はできている!

〉行動
・移動【ダッシュ】回避は【見切り】

・POW対抗
エミリィの手とナイフに【摩擦を消じる】を使用
"祝福されたナイフ"を落とすなんて、貴女の神に一番不敬なのは貴女自身ではないですか?(シレッと)

・SPD対抗
【第六感】が働けるなら、時間が早戻しされてるかもしれないと気づける


・WIZ対抗
技が当たってしまった場合。
…ネットとは便利な反面、暗黒空間も潜む
少数派マイノリティは弾圧されるのだ
迫害される…目玉焼きに苺ジャム派なんて知られたらまた迫害される…!
(クッ●パッドでこの食べ方勧めたら叩かれまくったらしい
【気合い】【勇気】で立ち直る
ーー人の噂も75日だから


リューイン・ランサード
血で描かれた魔方陣に鮮血で染まったドレス。
何人も殺されたんだ。
彼女は、怖いというよりも・・・嫌い、だな。
(不機嫌な表情で)ここで倒そう。

UCにより【風の魔力】で防御力強化。(珍しく)盾役になる。

エーテルソードに【光の属性攻撃、破魔】を込めて攻撃。
ダメージを与える以上に彼女の『邪神の加護』や魔方陣破壊に重点を置く。

防御では【空中戦、第六感、見切り】で躱し、躱せない時は【ビームシールドの盾受け、オーラ防御、UCの防御力強化】で防ぐ。

トラウマ(過去に迷宮で遭遇した大魔王、心が折れた原因)には「何度も夢に出てくるので慣れました。」と、さらりと流す

エーテルソードに【風の属性攻撃、破魔】の力を込めて攻撃。



●揺るがぬ2つの精神
 飛ばされた右腕、その腕が握り締めていた銀の刃をエミリィが拾う。
「あら?」
 しかしそれを握り直そうとした途端、それはするっと手の内から滑り落ちてカランという音を教室に響かせた。
「邪神様?に祝福されたナイフを落とすなんて、貴女の神に一番不敬なのは貴女自身ではないですか?」
 そんなエミリィを見て野槌・三栄子(人としての軸がブレてきてる・f17364)はしれっとそう言い放った。
 何を隠そう野槌が事前にナイフの柄とエミリィの手の摩擦をこれまたしれーっと消していたのである。
 神への信仰の否定、それを聞いたエミリィの動きと笑いがぴたりと止まり、ゆっくりとした動きで野槌へと顔を向けた。
 向けられたエミリィの顔は無表情、しかしその瞳孔は完全に開いて眼は血走っている。
「……そう、これは貴女の仕業ね?」
「それはどうでしょう、私かもしれませんし彼かもしれません」
「え?」
 圧倒的なデジャヴ感、野槌はエミリィの怒りの矛先を隣に立っていた少年へと受け流す。
 その結果、リューイン・ランサード(今はまだ何者でもない・f13950)は困惑した表情を浮かべることとなった。
 だがそれも一瞬のこと、エミリィの殺意を真正面から受けたリューインは改めて彼女と教室を見渡した。
 血で描かれた大きな魔方陣、鮮血で染まったドレスに包まれたエミリィ。
 それを描くためにいったい何人の血が使われたのだろうか。
「彼女は、怖いというよりも・・・嫌い、だな」
 もう困惑も恐怖心も無く、リューインの心に、表情に唯一浮かび上がったのは嫌悪感だけだった。
「ここで倒そう」
 目の前の悪を倒す決意を固めたリューインは一歩前に踏みだす。
「野槌さん、援護をお願いします」
「成長しましたね、リューイン君」
 そしてリューインの言葉に頷きながら野槌もまたその隣に立ち、二人の猟兵はエミリィへと走りだした。

「風よ!」
 リューインは走りながらトリニティ・エンハンスによる風の魔力を纏って前衛となるべく前にでる。
 そして邪神の闇に対抗するようにエーテルソードに光を纏わせてエミリィへと振りおろした。
「もうどっちだっていいわ!殺してやる!」
 その一撃をエミリィは避けると、持てない柄ではなくナイフの刃の部分を握り締めて突きだす。
 それをリューインは風によって逸らしながら最小限の動きで避け、カウンターの要領でソードを振るいエミリィを斬り裂く。
 その傷は小さいがリューインの狙いはダメージではなく光による邪神への対抗である。
 光を振りまくことで下にある魔方陣から邪悪な気配を浄化しつつ攻撃を重ねていく。
「もう遊びはおしまいよ!」
 しかしそれも長くは続かなかった、本気をだすと言わんばかりにエミリィの動きが加速したのである。
「まだ力を隠していましたか……」
 それによって攻防は逆転、リューインはビームシールドを併用しながらなんとか前線を保つ。
「うん…?何か不自然ですね」
 そんな光景を傍眼で見ていた野槌の脳裏に疑問がよぎった。
 エミリィはこの戦いが始まる前から激昂していたのだ、本当に本気をだしたのかは知らないが彼女の性格からして隠していたというのはおかしい気がする。
 そんな疑問を持って見ていると野槌はあることに気付いた。
 あまりにもエミリィの動きに迷いが無さ過ぎるのだ、まるですべてを知っているかのように。
「謎は解けた!つまり犯人はあなたです!」
 そう、時間が撒き戻されていたのだ。
 動きに無駄が無くなったことで早くなったように錯覚させていたのである。
 ではこの種をどう打ち崩すか、エミリィが戻す前の時間ではやら無かったであろう行動をとればいいのだ。
「殴られる覚悟はとうにできてます!」
 そう口にして野槌は前線へと乱入する。
 突如として介入してきた野槌にエミリィはナイフを突きだすが、ここまで挙動を見てきたこともあり野槌は難なく攻撃を避けていく。
 それによってエミリィの動きが元に戻されたことで再び攻守は逆転したのであった。

 連携によって追い詰められていくエミリィ。
 その焦りが怒りを押し戻し、逆に冷静さをエミリィは取り戻す。
「そう、なら抉ってあげるわ!」
 そして放ったのは黒い波動、それを受けた野槌とリューインに過去の負い目やトラウマが思い起こされる。
 野槌が思いだしたのはネットという便利さの裏側にある暗黒空間で盛大に叩かれた記憶だ。
 良かれと思って某料理サイトで進めた食べ方に非難が殺到、アカウントを作り変えるレベルでの炎上だった。
 そしてリューインが思いだしたのは過去に自身の夢が、理想が叩き折られた最初の冒険。
 意気揚々と入っていった迷宮で遭遇した大魔王、手も足もでずその攻撃から逃げ回るしかなかった過去の記憶。
 しかし、それで野槌とリューインが止まることは無かった。
「少数派は弾圧される運命……しかし人の噂も75日、もう笑い話にしてもいい頃です」
「何度も夢に出てくるので慣れました」
 気合いと勇気、はたまた悪夢として向き合い続けてきた結果か、止まらないのは必然だった。
「このっ!」
 思惑が外れたエミリィは銀の刃を闇雲に振るう。
 それを独特の動きで野槌が回避して気を引き、リューインは纏っていた風もソードへと溜め込み隙を突いてエミリィへと叩きこんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

一ノ瀬・かなめ
はいはい、言いたいことはそれだけかしら?
こういうクレイジーサイコポジティブ女には何言っても無駄よね
さっさとぶちのめしちゃって、帰りにシェイク買って帰ろ

イミテーションウェポンのハンマーを一度分解し、【高速詠唱】剣と盾に作り変えて戦うわ
まあこんな出来合いの盾が上手く機能するとも思わないけど、無いよりきっとマシよ
【オーラ防御】の補助みたいなもんね

邪神本体じゃないとはいえ、あんな禍々しいナイフ受けるなんてゾッとしないし

*敵ユーベルコードのための補足
過去目の前で両親をUDCに殺されたトラウマがあります
その事件がきっかけで猟兵になり、親の形見の懐中時計を見るたび思い出し、湧き上がる感情を力に変え戦います



●懐中時計が少女を導く
「なんで逆らうの?邪神様の生贄になるのは光栄なことなのに!」
 猟兵たちの攻撃によって着実にダメージが重ねられていく中、エミリィは嘆いていた。
「はいはい、言いたいことはそれだけかしら?クレイジーサイコポジティブ女さん?」
 それ皮肉交じりに答えて一ノ瀬・かなめ(ESPJK・f18244)はエミリィへと歩を進めていく。
 エミリィの自分本位でしかない狂った思想と彼女が崇める邪神は誰も救いはしない。
 ただ平和に生きていきたい多くの人々の命を奪い、そして数多の人生を狂わせるだけだということを一ノ瀬は知っている。
 そんな連中を野放しにする気は無い、今はこの眷属の少女をさっさと倒して――
「帰りにシェイク買って帰ろ」
 一ノ瀬はイミテーションウェポンによって作り上げた椅子と机によってできたハンマーを分解して違う武器へと再構築していく。
 先程までまきびしの忍者たちを砕き続けてきたそれは各所に鉄の破片や刃の一部も加わっており、それも有効活用して出来上がったのは鉄の剣だ。
 そして余った材料を用いて机とパイプの盾を作り上げる。
「まあ、無いよりはきっとマシよね」
 心許ないが補助的に使えばいいだろう、そう考えながら一ノ瀬はエミリィと向かい合った。

「邪神様の偉大さを知らないなら教えてあげるわ!」
 エミリィは銀の刃を振るう。
 それは邪神の祝福を受けて通常では考えられない切れ味を誇る一撃であり、邪神本体ではないとはいえ禍々しい威圧感を放っていた。
「まあ……だからどうしたって感じだけど」
 しかしそれで一ノ瀬が焦りを覚えることはない無い。
 オーラを盾に纏わせることで切れ味を鈍らせてそれを受け止め、鉄の剣を振るいエミリィに攻撃していく。
「教えを拒否するの?そんな子には絶望を与えてあげるわ!」
 その刃の応酬の中で不意をつくようにエミリィから放たれたのは黒き波動、それは一ノ瀬の脳を侵食してトラウマを呼び起こす。

 あの日、何の前触れもなく起きた災厄。
 父と母が目の前でUDCに殺された過去。
 あの事件がなければ今も両親と笑って暮らしていただろうか。
 今の自分なら助けられるのに、手を伸ばしても届かない、何度願っても、何度祈ってもあの場所には戻れない。

 様々な感情がフラッシュバックする。
 エミリィはその隙に銀の刃を振るい構えられていた盾を吹き飛ばした。
 その衝撃でよろける一ノ瀬の眼に映ったのは――宙を舞う親の形見である懐中時計。
 それはあの日誓ったものは何だ、自分が今すべきことは何だと訴えかけてきていた。
 一ノ瀬に渦巻いていた負の感情が、己の内から湧き立つ別の感情に押し流される。
 そうして視界がクリアになった一ノ瀬の目の前には銀の刃を大きく振りかぶるエミリィの姿があった。
「よくも人の記憶を覗き見してくれたわね」
「なっ!?」
 エミリィにとって一ノ瀬がこんなに早く動けるようになるのは完全な予想外。
 驚きによって動きが止まったエミリィに向かって一ノ瀬は想いと共に剣を振り抜く。
 その一撃は深くエミリィを斬り裂き、衝撃波で吹き飛ばした。
 一ノ瀬は手元に落ちてきた懐中時計をキャッチし、眼を閉じて大きく息を吸い込んだ。
「よし!」
 そして気合を入れ直した一ノ瀬はエミリィに追い討ちをかけるべく駆けだしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇塚・レモン
<WIZ>
黒幕の御登場ってわけだねっ!
仲間と協力して学校に平穏を取り戻してみせるよっ!
(蛇神様は第2章から出ずっぱり)

【負い目】
腹違いの妹ライムがいたこと
自由を求めて村を脱走したレモンの身代わりで無理矢理に人柱となった事実
そして今は神代の蛇を宿したUDCになっている事

湧き起こる罪悪感で攻撃が止まる
だが、傍らに侍る蛇神様が“愛娘”を叱咤激励
『ライムを邪神に仕立てたのは別の意思に因るもの、レモンに罪はない!』

更にレモンが動けなくとも蛇神様が動ける
蛇神様の破壊念動波で敵に打撃を与えつつ敵UC解除

ライムは必ず『助ける』……此処で立ち止まれないっ!
蛇腹剣クサナギを怪力任せに繰り出して敵を微塵切りだよっ!



●親子の絆が紡ぐのは
 猟兵たちによる連携、波状攻撃によってダメージを重ねられたエミリィは満身創痍に近い。
 しかし邪神を狂信するエミリィの狂気や殺意は揺らぐことは無く、ここに来て更に膨れ上がっていた。
「これも邪神様の与えてくださった試練、ここから彼らを絶望で包むことを望まれているのよ!」
 そんな彼女に最後を与えるべく、蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)はその前に立つ。
「蛇神様、行くよっ!」
『ああ、あやつを終わらせてやるとしよう』
 蛇塚は隣に佇む巨大な白き蛇神様オロチヒメと声をかけ合った後、エミリィへと肉薄し蛇腹剣クサナギを振り上げる。
「私は終わらない、邪神様の加護は永遠なのよ!」
 しかしそれが振り下ろされるより一瞬早くエミリィは激昂しながら黒き波動を放った。
 それは脳の記憶を侵食して負い目を、トラウマを呼び起こす心の傷を抉る外法。
 蛇塚の脳裏にフラッシュバックしたのは……腹違いの妹への負い目であった。

 代々その身に蛇神を宿す呪われた家系の娘であった蛇塚は、本来であれば村のために死ぬ宿命を辿ることになる。
 しかし蛇塚には歴代の者たちが持たない蛇神と意思疎通を取る才能があった。
 ゆえに彼女は外の世界を知り、外に自由があることを知り、それを求めて村から逃げ出した。
 蛇神と自分だけで……妹であるライムを村に置き去りにして。
 そして猟兵となった後に知った。
 自分の身代わりとして人柱にされ、蛇神とは別の神代の蛇を宿したUDCになってしまったライムの現状を。
 どれだけ自分のことを恨んでいるだろう、どれだけ自分を憎んでいるだろう。
 沸き起こる罪悪感が蛇塚の身体を縛りあげていく。
 聞こえてくるのは自分を非難する妹の声。
 それは蛇塚自身が作り上げた幻想に違いないがその声は止まらない。
 そのまま蛇塚の意識は地の底へ、深みへと落ちていく。

 どれ程の時間が経っただろうか、未だに妹の声はなりやまない。
 しかし、その中で蛇塚は自分という愛娘を激励する声を聞いた。
『ライムを邪神に仕立てたのは別の意思に因るもの、レモンに罪はない!目を覚ませレモン!ライムを助けると誓ったであろう!』
 そうだ、自分は誓った、たとえ可能性がゼロに等しくても絶対に助けだしてみせると。
「ライムは必ず『助ける』……此処で立ち止まれないっ!」
 浮上していく蛇塚にはもう、幻想の声は聞こえなかった。

 状況からして永遠に感じられた時間はほんの数秒のことだったのだろう。
 意識を取り戻した蛇塚の目の前には、オロチヒメの念動波によって縛られたエミリィがいた。
 動けていたオロチヒメが破壊念動波によってエミリィのUCを封じ、蛇塚をショックから助けだしたのである。
「いつか絶対に助けだす!でもまずはここの平穏を取り戻すよっ!」
 そう口にして蛇塚はクサナギを振り下ろす。
 力任せに振るわれたそれはエミリィを切り刻み、狂気に満ちた少女は骸の海へと帰っていった。


●終幕
 猟兵たちの活躍によりオブリビオンは討伐された。
 占領されていた名門校は解放され、多くの学生たちの平穏を取り戻した。
 こうして事件は無事に収束を向かえることになる。
 しかしオブリビオンは何処かで蘇り、また事件を起こすだろう。
 その時は再び過去と向き合うことになるかもしれない、しかし彼らなら乗り越えられるだろう。
 この戦いでそれを成し得たのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月16日


挿絵イラスト