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竜の通る道

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 町にある酒場は昼間から飯や酒で腹を満たす冒険者で賑わっている。
 そこでは根も葉もない噂話から実際の体験談まで雑多な情報が飛び交っていた。
「おい、聞いたか? あの赤虎のパーティーが全滅したらしい」
「えぇ? 赤虎って大斧使いの? 結構強かっただろ? 大物狩り専門パーティーだったし」
 ひそひそと声を抑えながら冒険者達が手に入れた噂話を肴に酒を飲む。
「それが日帰りで近場の狩りに出たっきり何日も帰ってこないらしい」
「近場って竜の峡谷か? あそこはモンスターが強いというより足場が一番の敵だろ、足でも滑らせて事故ったんじゃないのか」
 ぐいっと木のジョッキに入ったエールを飲み干し、お代わりを注文しながら骨付き肉を噛み千切る。
「あれくらいのパーティーがそんなへまするかよ。それにな、最近ドラゴンを見たって噂があるんだ」
「ドラゴン!? いやいやっ、竜の峡谷って大昔にドラゴンが通って出来たとか言われてるけど、そんなもんこの町ができるより遥か大昔の伝説だろ」
 与太話かよと並々と注がれたエールのお代わりに手を伸ばした時、ガタガタッとジョッキが揺れてエールが零れる。
「何だ? 酔っぱらったか?」
 不思議に思っているとガタッガタッと揺れが大きくなり、椅子を引っくり返して冒険者たちは身を低くした。やがて揺れが収まり、酒場は静けさに包まれた。不安そうな顔で冒険者たちは皿から落ちた食べ物を戻し食事を再開する。
「地震か……最近妙に多いな……」
「ああ、何でもこの揺れ、この町だけらしい」
「何? どういうこった?」
「それが近所の村に依頼で寄った時この話題を口にしたんだが、そんなもんは知らんと怪訝な顔をされたんだ。それで気になって他の村の奴等にも聞いたが……地震なんて起きてないらしい」
「そりゃあ……」
 何か拙い事が起きている気がする。不安そうな顔で冒険者たちは心に芽生えた疑念を誤魔化すように少し減ったエールを流し込んだ。

「アックス&ウィザーズにある町で頻繁に地震が起きている。その結果、町が地震で壊滅する未来を予知した。それが現実となる前に原因を調査してもらいたい」
 バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が猟兵を迎えるグリモアベースにアックス&ウィザーズの風景が映し出され、町とそこから見える距離にある峡谷も目に入った。
「地震はこの町でだけ起きている地域限定的なもののようだ。町にはドラゴンを見たなどという噂もある。町の酒場で冒険者から情報を得て、周辺を調査して原因を調べ、その原因を取り除けるのなら取り除いて町を守ってほしい」
 最悪の事態となれば町の人々を当てもなく避難させなければならない。そうなる前に事態を収束する方法を探るのが任務だ。
「近くにある溪谷は切り立った崖となっていて足場も悪く、モンスターも出るという。調べる時は気をつけなくては危険な場所だ」
 だからこそ冒険者以外の人も寄らず、調べる価値はあるだろう。
「もし本当にドラゴンが出るならば、戦いの方も大変なものになるだろう。もしもに備え十分な装備を整えておけ」
 冒険では何が起きるか分からない。どんな事にでも備える心構えがあれば困難な冒険も達成することができる。
「町を守れるかどうかは諸君の働きに掛っている。心して向かってくれ」
 グリモアベースが現地へと繋がり、猟兵達は頷き町へと足を踏み入れた。


天木一
 こんにちは天木一です。アックス&ウィザーズで地震で崩壊する町を救うため、その原因を探る事となります。

 情報収集といえば酒場。もしくは地道に町の外を回って足を使うなどなど。自分の得意とする方法で情報を集め、原因への糸口を探しましょう!
 酒場の聞き込みでは未成年はノンアルコールでお願いします。

 第一章で情報収集と探索、第二章で集団戦、第三章でボス戦となります。

 ではファンタジー世界での冒険をお楽しみください!
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第1章 冒険 『地震かな?震源地は…移動中?』

POW   :    震源地を調査

SPD   :    移動経路を調査

WIZ   :    これまでの被害から移動経路を予測

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

香散見・千夜之介
【SPD】
酒場はどこも変わらんねぇ。
俺はシーフやなんかに見えるんやろかぁ?
聞き耳たてて辺りを伺いつつ、まずは一杯。
たぶん儲け話探しよるぐらいにしか見えへんやろねぇ。
「とりあえずエール、……と、あと骨ついた肉もつけてくれはる?」
と、にっこり。
エールは大味そうやけど、地元もんの食べ方はたぶんだいたいアタリやね。

さてさて。
ドラゴンやと仮定して、頻度、条件、あるいは方角。
ちまい情報でもええから集めよかしら。
ただの噂に金払いよったらカモられるよって、
話知ってそうなもんに一杯奢って、世間話のていでいこかしら。
「ねぇ。ちょいとお尋ねしたいんですけどやね、」
ふふ。笑顔と余裕は仕事の潤滑油。笑ろとけ笑ろとけ。


アシェラ・ヘリオース
酒場に寄って【情報収集】を行おう。
「失礼する。この辺りについて教えてもらいたい事がある」
店を見回し、異変について話している冒険者がいれば話を聞く。酒と食事代は受け持ち、後は【礼儀作法】と【コミュ力】だ。
地図を広げ、異変のあった場所に黒い駒を置いて冒険者達との情報と照合し、予測地点には白い駒を置く。
「諸兄らも、何か気が付いたことがあれば教えてくれ。一杯奢らせてもらう」
もし他の冒険者が注意を向けるなら、彼らにも水を向けよう。

『お前たち。今チェックしたポイントの確認だ。手早く頼む』
黒騎達に念話で指示を出し、散らせる。【迷彩、追跡、撮影】
後は連中の拾ってきた情報を整理しよう。

【改変、連携歓迎】



●冒険者の酒場
 町にある昼間の酒場に入ると一仕事終えた者やこれから出かけようという冒険者たちが賑やかに酒と食事を楽しんでいる。
「酒場はどこも変わらんねぇ。俺はシーフやなんかに見えるんやろかぁ?」
 物珍しそうに酒場を見渡していた香散見・千夜之介(爪先散華・f18757)は、自分がどんな姿に認識されているのだろうかと自分の体を見下ろした。
「とりあえずエール、……と、あと骨ついた肉もつけてくれはる?」
「はーい! ちょっと待っててくださいねっ」
 席についてにっこり愛想よく他の客がよく注文している料理を頼むと、まだ年若い女性の給仕も笑顔で頷き、忙しなく他のテーブルにも動き回って食べ物を運んでいく。その様子を眺めながらさりげなく周囲の冒険者達の会話に聞き耳を立てる。
「それででっけえモンスターの影が出たんだってさ! そりゃもうやべーってチビりながら依頼の採集アイテムも忘れて逃げ帰ってきたんだと!」
「はははっ! 竜の谷にそんなデカイ獲物が居るなんて聞いた事ねえな。どうせ崖の影でも見間違ったんだろ」
 そんな噂話を聞いていると、おまたせしましたと元気に千夜之介の元へ木のジョッキに注がれたエールと焼き立ての大きな骨付き肉を持ってくる。
「エールは大味そうやけど、地元もんの食べ方はたぶんだいたいアタリやね」
 まずはゴクリとエールで口を湿らせ、肉にかぶりついてみると鶏肉の歯ごたえと旨みが口に広がる。よく味わいまたエールを飲むと口の中の油がすっと流れ、また肉を食べたくなる。そうして止まらず口と手を油で汚し肉を食べ終えた。
「さてさて、ドラゴンやと仮定して、頻度、条件、あるいは方角。ちまい情報でもええから集めよかしら」
 腹を満たし場に馴染んだ千夜之介は、情報を集めようとエール片手に噂話をしていた冒険者に近づき、手を振って給仕に注文する。
「こっちの2人にエールくれはる?」
「おっ奢ってくれんのかあんちゃん!」
「いいのかい? じゃあ遠慮なくもらうぜ!」
 イイ笑顔で千夜之介がエールを奢ると2人の冒険者は喜んでジョッキを合わせ気持ちよく飲む。
「ねぇ。ちょいとお尋ねしたいんですけどやね」
 一緒に一杯やって機嫌良くなったところで世間話のように話しかけた。
「この辺りに大物のモンスターが出るって聞いてきたんやけどね、なんか知ってへんやろか?」
「大物か、この辺りにゃ中型くらいまでしか出ねえんだが……」
「でも最近噂だけはよく流れるようになったな。竜の谷ってここから目と鼻の先にあるでっけー峡谷があってよ、そこで大きなモンスターがいたって、ドラゴンじゃねえのかって噂もあるくらいでよ」
 酒が口の滑りを良くし、ペラペラと最近酒場を賑わす噂話で盛り上がる。
「なら実際に見たって人はおらんのかしら?」
「そうだな、俺は知らねえな」
「ん~。酒飲み話だからなぁ。みんな話半分ってもんだろ。ただまあ最近あそこでご同業が行方知らずになってやがる。もしかしたら本当に何かいるのかもしれねえ……」
 最後の方になると冒険者がヤバイ話を語るように声を潜める。普段から命を賭け危ない橋を渡る冒険者は流れる噂からきな臭さを感じ取っていた。
「なかなかおもろい話が聞けたわ」
 これは竜の谷に何かがあるのは間違いないと、千夜之介は笑顔で別れを告げ席を立った。

「失礼する。この辺りについて教えてもらいたい事がある」
 入れ替わるように酒場に入ったアシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)が店内を見渡して堂々と冒険者に質問をする。
「おいおい、どこぞの騎士様かい? ここじゃあ何か注文するのがルールだぜ」
 そんなアシェラに向けて冒険者から野次のような声が飛ぶ。
「それは失礼した、では私にも何か飲み物を」
 注文してこちらに声をかけた冒険者の座っているテーブルの空いている席にアシェラが座ると、給仕が果実酒を置く。
「ありがとう。それで、聞きたいのはここ最近の異変についてだ」
 アシェラがテーブルに周辺の地図を広げ、何か心当たりがないかと尋ねる。
「何でもいい何か普段とは違う異変に関する情報が欲しい。情報代に酒と食事代は私が受け持とう」
 そう告げると胡散臭そうに見ていた冒険者たちは現金なものですぐ警戒を緩め、新しいエールを頼んで地図に目を向ける。
「異変ねぇ……そういや竜の峡谷で崖崩れがあったな」
「ああ、狩りに行った時に危なく落ちかけたよな」
「その場所は?」
 思い出したように最近あった変わったことを話す冒険者に、アシェラは黒い駒を渡す。
「んー、確かここら辺だったか?」
「そうだな、そこらだったぜ」
 冒険者が以前の狩りを思い出しながら黒い駒を地図の上に置く。
「他にはないか?」
「んー聞いた話しだから詳しい場所がわかるようなネタはないな」
 さらに質問を重ねると冒険者は首を振った。そして持ってこられたエールを受け取り飲み始める。
「諸兄らも、何か気が付いたことがあれば教えてくれ。礼に一杯奢らせてもらう」
 アシェラは他に知っている者は居ないかと尋ね、他のテーブルに座る冒険者たちにも呼び掛ける。
「おっ俺らも奢ってもらえるのかい?」
「なになに、ここらで最近変わったこと?」
 するとこちらの様子を窺っていた耳聡い冒険者たちが奢りと聞いて集まってくる。
「オレは竜の峡谷で小さいモンスターが逃げてるのを見たなぁ、何から逃げてるのかまではわからなかったが」
「うーん、見間違いかもしれんが、竜の峡谷でデカイ足跡を見た事があるな。ここらじゃ見た事のないサイズの足跡だった」
 そうして冒険者たちから情報を集めると、地図に幾つもの黒い駒が置かれていく。信憑性の高いものから低いものまで情報は色々だった。
「異変の中心地はこの辺りだろうか」
 アシェラは並ぶ黒い駒の中から信用度の高いものを選び、それらの凡そ中心と思える場所に白い駒を置く。
『お前たち。今チェックしたポイントの確認だ。手早く頼む』
 念話で町の外に待機させておいた100体以上の偵察用黒騎士ユニットに指示を出し、竜の峡谷へ情報収集へと向かわせた。
「で、どうだい騎士様、オレ達の情報は気に入ってもらえたかい?」
「失礼、この方々に一杯ずつお酒を」
 そう給仕に注文すると情報を提供した冒険者たちが口々に礼を言って酒を飲み始める。後は黒騎士達が何か手掛かりを掴むのを待つだけだと、アシェラも果実酒に手を伸ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベモリゼ・テモワン
地震で町が壊滅……ね。何もかも、まずは話を聞かなくちゃ始まらない。
酒場に人がいるんだろう。なら、そこから聴取をしよう

「面白そうな話をしているな、腕利きの連中が全滅したって?」
と、あくまで冒険者風に尋ねよう
実際にどんな場所に向かったのか、どんな伝説があるかは知りたいな

相手を盛り上げて、酒を勧めよう
俺は金持ちじゃないが……ま、これくらいは必要経費だ
盛り上がったところで地震について尋ねるさ
詳しい話を聞くなら、まず相手の懐に入らなきゃな
地震の場所、起きる時間帯なんかを聞きたいな

――ちなみに自慢じゃないが、俺は酒が強い方だよ
挑戦があれば、当然乗ろう

連携/アレンジは歓迎だ。自由にやって欲しい


ナイツ・ディン
【WIZ】
酒場で聞き込みをしよう。
しっかし、竜の峡谷ねえ。ディロじゃせいぜい砂山を崩すのが限度だな。
お酒を飲んでケラケラ笑う。頭の上の紅竜、ディロ(竜槍)がベシベシと尻尾で文句を言う
竜連れの妖精なら多少目立つだろう。つかみは上々。

酒飲みながらなら聞き耳や第六感で情報取れそうな奴(マスターや客)に絡んでいこう(コミュ力、情報収集)他の猟兵と呑むのもいいな。冒険者っぽくパーティ組んでたほうがそれっぽいし。

地震の始まった時期、揺れの大きさの変化が分かれば位置も絞りやすい。酒瓶が落ちたりするだろうし警戒してるだろうから記憶してるはずだ。

そうそう、飲み比べの勝負なら受けて立つぜ?これでも強いからな。



●酒盛り
「地震で町が壊滅……ね。何もかも、まずは話を聞かなくちゃ始まらない」
 ベモリゼ・テモワン(アイアン・アーミー・f00062)が町に足を踏み入れるが、人々は平穏に暮らしていて滅ぶとは思えぬ様子だった。
「酒場に人がいるんだろう。なら、そこから聴取をしよう」
 歩く先には冒険者たちの集まる酒場がある。気軽に中に入ると空いている席に座りエールと敵に摘まめるものを注文して周囲を窺う。
「最近あの赤虎の奴見ねえな」
「知らねえのか? 赤虎のパーティーはやられちまったって噂だぜ」
「マジかよ、赤虎んところは凄腕だったろ」
 冒険者たちがここらで名の売れた冒険者パーティーが全滅した話をしているのを聞きつける。
「面白そうな話をしているな、腕利きの連中が全滅したって? こっちにエールを2つ持ってきてくれ」
 冒険者を装ってベモリゼは酒を奢りながら話に加わる。
「まあ飲んでくれ」
「ありがとうよ!」
「奢りの酒は最高にうめえな」
 水でも飲むように冒険者たちはジョッキを傾け一気に空ける。
「それで、いったい何があったらパーティー全滅なんてことになるんだ?」
 ベモリゼもエールで口を潤し話を促す。
「それがよ、なんでも赤虎はドラゴンを探してたらしい」
「ドラゴン? この辺りに生息してるのか?」
 ドラゴンという言葉に反応してベモリゼが疑問を突っ込んでみる。
「いやいや、ドラゴンなんて住んでたらこんな町は作れねえよ。まあ大昔には居たって伝説があるけどな」
「伝説か……どんな伝説なんだ?」
「何でも歩くだけで辺りをぶっ壊しちまうとんでもないドラゴンが居たらしい。そいつが歩いて崩壊させた道から竜の峡谷が生まれたって伝説だ」
 それはこの町に古くから伝わるドラゴンの伝説だった。
「じゃあ赤虎はその竜の峡谷の伝説のドラゴンを探してたわけか」
「そうだろうなあ、最近ドラゴンを見たなんて噂もあったから、真に受けたのかもしれんなあ」
 ベモリゼの推測に冒険者は頷いてジョッキに口をつけ空になっているのに気づく。

「しっかし、竜の峡谷ねえ。ディロじゃせいぜい砂山を崩すのが限度だな」
 いつの間にか当たり前のように隣でその話を聞いていたナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)が、ぐいっとフェアリーからすれば大きく、人から見れば小さな杯に注がれたエールを呷って楽しげにケラケラと笑う。その頭の上には紅竜のディロが乗ってベシベシと文句を言うように尻尾で頭を叩いていた。
「おお、妖精に……もしかして仔竜か?」
「いやいや、ドラゴンが子供でもこんなところにいりゃしないだろ。トカゲの一種じゃないか?」
「妖精だけでも珍しいのにこんな組み合わせは初めてみたな」
 その様子を興味津々に冒険者たちがチラチラと視線を向けた。トカゲ扱いされたディロが怒って口を開けたところに、慌ててナイツが肉を突っ込んで大人しくさせる。
「ここで騒ぎを起こしたら迷惑になっちまうだろ!」
 大人しくしててくれとナイツが諭すと、肉を食べながらベシベシとディロが不満をぶつけるように尻尾でナイツの頭を叩いた。
「ちいせえ体なのにイイ飲みっぷりだな! おーい、オレのとこっちの妖精にお代わりだ!」
 気に入ったと冒険者がナイツに酒を奢ってくれる。
「有難くいただくぜ!」
 小さな杯に注がれたエールをナイツはまたゴクゴクと飲み干す。
「こりゃ負けてらんねえな!」
 それを見て対抗心を燃やし冒険者もまたジョッキを傾けエールを飲み干した。
「そっちこそイイ飲みっぷりだな、飲み比べの勝負なら受けて立つぜ? これでも強いからな」
「そいつぁおもしれえ! なら飲み比べだ! 勝った奴が奢られるってルールだ。勝負する奴は他に居るか!」
 小さな体で大きく胸を張るナイツに冒険者が飲み比べ勝負を挑む。そこへベモリゼが手を上げ目の前に新たなジョッキが運ばれる。なら俺もと他の冒険者も手を上げ、ジョッキがテーブルに並んだ。
「――ちなみに自慢じゃないが、俺は酒が強い方だよ」
 ベモリゼが飲み干すとナイツも冒険者たちも続いて杯を空ける。すると新たに酒が注がれ、またぐぐいっとエールを胃に流し込む。
「どうした? 俺はまだまだいけるぜ!」
 ナイツが空いた杯を掲げ、負けじと他の者も杯を空けた。
「ひっく、まぁだまだぁ!」
 呂律の怪しくなった冒険者が赤い顔で新たに注がれた杯を手にする。その横では他の冒険者たちがテーブルにつっぷして脱落していく。
「そんなもんかよ、だらしないな!」
 その小さな体のどこに入るのか、ナイツはペースを変えずにごくごくと飲み続ける。
 だがそうして酒を楽しんでいる時に、ガタリッとテーブルが揺れる。すぐにガタガタと建物自体が揺れ始める。
「地震だ、落ちてくるものに気をつけろ!」
 すぐにベモリゼが反応して忠告しながら椅子を蹴って身を低くする。
「うおっ揺れる、飲み過ぎた!」
「飲み過ぎじゃなくて地震だって! ディロ頼む!」
 酔っぱらった冒険者がふらふらしていると、ディロが襟を銜えて一度持ち上げ、尻餅をつかせて床に座らせる。
「うぉおお? 飛んでるぅ~」
「空を飛べば地震なんてどうってことないぜ!」
 ナイツは羽を動かして宙に浮きあがり、酒が零れぬようにテーブルごと持ち上げた。そうして暫くすると揺れが収まり、もう揺れが来ないと判断すると皆の警戒が解けて立ち上がった。皆も慣れているのか、食べ物や飲み物を抱え込み、床に落ちてるものは少なかった。
「ここって大きな地震が多いのか?」
「いや、ここ一月ほどか、地震が起こり始めたのは。それも最初は殆ど揺れを感じない小さなものばかりだったんだが、ここ数日で確実に大きくなってやがる」
 テーブルを下ろしたナイツの質問に、冒険者が心落ち着かせるようにエールで口を湿らせながら答えた。
「地震が起き始めたのは最近の事か……」
「そしてどんどん揺れが大きくなってるってことだな。あまり猶予はないようだぜ」
 ベモリゼとナイツが状況を整理し、原因となるものが近づいてきていると想定して他の仲間と情報を共有しようと酒場を後にした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

叢雲・源次
キャッサバ
合同【刃魔】

震源地を調査すると言っても虱潰しに…という訳にもいくまい
こういった情報は人が集まるところにあるというのはどの世界でも同じか
ノイジー、酒場に行くとしよう
お前の容姿なら荒々しい冒険者相手でも難しい事ではないだろうよ

俺は…そうだな
すまない店主、ここ最近を騒がせている地震についてだが噂ではドラゴンによるものと聞き及んでいる。
過去にもそういった事例があれば何か対抗策でも残っていないだろうか?…何?注文をしろ?
…分かった、エールだ。それとそこのフェアリー(ノイジー)にはノンアルコールの物と手羽先焼きでも出してやってくれ

ノイジー、首尾はどうだった
(互いに得た情報を持ち寄って整理する)


ノイジー・ハムズ
合同【刃魔】
可愛くて賢いノイジーちゃん、震源地の方から寄ってきてくれるかもしれません!
けれども、酒場のほうが楽しいので酒場に行きます!
酒浸りの荒くれ冒険者は、相手をしてて最も楽しい人達ですよ☆

たのもー! ちょっとお邪魔しますね☆
わあ! すごい筋肉ですね、さすが冒険者!
一つ伺いたいのですが、あの地震の情報何か持ってませんか?
方角程度の情報でもいいので、時系列情報とか量があると嬉しいです!
ウィンクして上目遣いで、【誘惑】しちゃいますね☆
ボディタッチも! ペタペタ!

あっ! 注文ですね!
じゃあ、私はノンアルコールのミルクで☆
手羽先でも虫焼きでもいいですよ☆

はい、賢くて可愛い私の手にした情報はですね!



●地震の噂
「震源地を調査すると言っても虱潰しに……という訳にもいくまい」
「いえ! 可愛くて賢いノイジーちゃん、震源地の方から寄ってきてくれるかもしれません!」
 論理的に考える叢雲・源次(炎獄機関・f14403)の言葉に、論理とは真逆のテンションに任せ、フェアリーのノイジー・ハムズ(あたまもかるい・f14307)が何の根拠もなく空中で胸を張って反論する。だがそれをいつもの事と聞き流し源次は人の集まる酒場に視線を向けた。
「こういった情報は人が集まるところにあるというのはどの世界でも同じか、ノイジー、酒場に行くとしよう。お前の容姿なら荒々しい冒険者相手でも難しい事ではないだろうよ」
「そうですね! 酒場のほうが楽しいので酒場に行きます! 酒浸りの荒くれ冒険者は、相手をしてて最も楽しい人達ですよ☆」
 源次が酒場を示すと、すぐにそっちの方が楽しそうだとノイジーが前言を撤回する。そして酒場にさっさと突撃してしまった。
「たのもー! ちょっとお邪魔しますね☆」
 ニッコリ笑うノイジーの愛らしさと珍しさに、冒険者たちの耳目を引き寄せた。
「妖精だ、可愛いな~」
「妖精の嬢ちゃん。こんなところに何の用だい?」
 テーブルに座っていたリーダーらしき老いた白髪の冒険者が声をかける。
「わあ! すごい筋肉ですね、さすが冒険者!」
「そ、そうかい? いやーこれくらい普通だけどなぁ」
 気安く愛らしいノイジーの態度に、白髪の冒険者がデレデレと相好を崩す。
「一つ伺いたいのですが、さっきも揺れてましたが、この地震の情報何か持ってませんか? 方角程度の情報でもいいので、時系列情報とか量があると嬉しいです!」
 孫が祖父におねだりするように上目遣いで可愛らしく尋ねると、ズキュンとハートにクリティカルヒットを食らった白髪の冒険者は任せておけと頷いた。
「お前等! 地震で知ってることをこの嬢ちゃんに話せ! いい情報の奴は俺から一杯奢ってやる!」
 奢りと聞けばすぐに冒険者たちは頭を捻り何かあっただろうかと思い出す。
「そういやこの町から離れたところじゃ揺れてないんだっけか」
「ん~。聞いた話しだが竜の峡谷で崖崩れが頻繁に起きてるって言ってたな。薬草採りなんかも最近じゃあそこに足を踏み入れられなくて困ってるって話しだった」
「一月前くらいに小さい揺れを感じたのが初めてだったか……でもここ最近はほんとに驚くくらい揺れ始めたなぁ」
 そう冒険者たちが地震についての情報を出すと、ふむふむとノイジーが頷き、その様子を好々爺のように見ていた白髪の冒険者が酒を奢ってやろうと注文をした。

「すまない店主、ここ最近を騒がせている地震についてだが噂ではドラゴンによるものと聞き及んでいる」
 冒険者はノイジーに任せ源次も違う情報を得ようと、冒険者たちや町の人々の話もよく耳にしているだろう年配で恰幅のいい酒場の主人に声をかける。
「過去にもそういった事例があれば何か対抗策でも残っていないだろうか?」
 そう源次が尋ねると、酒場の主人は黙してチラッと酒樽へと視線を向けた。
「……何? 注文をしろ? ……分かった、エールだ。それとそこのフェアリーにはノンアルコールの物と手羽先焼きでも出してやってくれ」
 その視線の意味を察した源次がノイジーの分も一緒に注文をする。
「あっ! 注文ですね! じゃあ、私はノンアルコールのミルクで☆ 手羽先でも虫焼きでもいいですよ☆」
 その声が耳に入ったノイジーもドリンクの指定をし、注文を受けると酒場の主人が手慣れた様子で酒とミルクと手羽先を焼いたものを用意して口を開く。
「大昔、この町ができる前の伝説みたいなもんだ。その頃はこの辺りに大きなドラゴンが住んでいて、地震も多かったらしい」
 その当時はこの辺りに人は住んでおらず、狩りにもほとんど人が近づかない怖れられる場所だったという。
「だがドラゴンが気まぐれにどこかに行っちまった。元々ドラゴンが縄張りにしてたから他のモンスターも寄りつかなかったんだろうな。安全な場所が残り自然とそこに人が集まりこの町を作った。そんな話が残ってるよ。嘘か本当かは知らんがね」
 そっけなく酒場の主人がそういう言い伝えがあると情報を提示してくれた。
「ではそれに対する対抗策はないわけか」
「もし地震を起こすドラゴンなんてものがいたら、この町の冒険者じゃ倒せんよ。町を捨てて逃げるしかないね」
 エールを飲みながら源次が主人に確認すると、ジョッキを洗いながら肩を竦めお手上げだと主人は首を振った。冒険者の酒場を長年しているのだ、冒険者の力量もよく分かっているのだろう。
「そうか……」
 これ以上は得るものはなさそうだと話しを切り上げ源次は外に出て待つ。すると名残を惜しむ冒険者たちと大きく手を振って別れ、遅れて出て来たノイジーが合流する。
「ノイジー、そっちの首尾はどうだった」
「はい、賢くて可愛い私の手にした情報はですね!――」
 源次が尋ねると自慢げにノイジーが得た情報を喋り出す。
「そうか、やはり竜の峡谷が怪しいな。実際に調べる価値はありそうだ」
「じゃあ出発しましょう! 可愛くて賢いノイジーちゃんならすぐに見つけちゃいますよ☆」
 パタパタと羽を動かして忙しなく飛び回るノイジーを追い、源次は竜の峡谷へと向かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セゲル・スヴェアボルグ
まぁ、酒場での情報だと憶測による主観的なものが多いだろう。
それなら現場を直接見た方がいいかもしれんな。

渓谷は足場が悪いらしいが、飛べる故に問題はないな。
むしろ、俺みたいなのが下手に歩くと足場が崩れそうだしな。

モンスターを避けて探す方が効率は良いのかもしれんが、
むしろ密集地の方が怪しいな。
統率が取れているようなら、ほぼ間違いないだろう。
あるいは、まったく近寄らないような場所も調べるのは悪くない。
警戒して逃げている可能性もあるしな。
いずれにしても、障害になりそうであれば適度に排除しておくか。


西院鬼・織久
広い場所を闇雲に調べるのは時間がかかりますね
噂話などから情報を集めましょう

【行動】
酒場:
周辺地図を事前に用意。「闇寧」を手に旅人として酒場へ
「誘惑+言いくるめ」で「殺気」を誤魔化し「情報収集」
旅の安全のため怪しい場所、危険な噂がないか「聞き耳」を立てているのだと「言いくるめ+情報収集」
必要ならば「誘惑+呪詛」を宿す「楽器演奏」で話しやすいようにする

震源地:
「情報収集+学習力」で得た情報を地図に記入
複数の点を中心に円を広げ、他の円と重なり合う地点を重点的に調査する
常に「呪詛+殺気」を宿す身が不穏な気配を察知しないか「野生の勘+第六感」も働かせ動物が近寄らない場所や地盤が緩んだ場所がないかも調べる


トリシュ・リグヴェーダ
●指矩・在真サンを暫定ご主人に指定。ご主人の命令は絶対な。
(在真とは出会って日が浅いが、彼の力に将来性を感じ、この依頼中のみの主人とする。
知識はあるが、意思と行動力が人格から欠如しているので漠然で曖昧な指示は認識不能)

「トリシュは漠然を解しません。トリシュは何をしたらいいですか?」

●SPD
在真の指示に従って行動。
「命令を理解な」

在真と共に痕跡収集。
竜の足跡や体の一部、崖崩れの現場などを探す。
知識欲は旺盛なので、ふらふらと気になった所へ歩いていってしまうかも?
見つけた痕跡は持ち前の【世界知識】で分析する。

●アドリブ連携歓迎。
しかし他者からのお願いもご主人の命令を中継ぎしないと実行しない。


指矩・在真
同行者:トリシュ・リグヴェーダ(f18752)
絡みアドリブ等大歓迎

地面が揺れるのは怖いなー…
物とか落ちてきたら危ないよ
取り除ける原因なら取り除いた方が安心だね

【SPD】
調査は足が勝負!
町の外に直接向かって、どんなモンスターがいるのか痕跡探しをしてみるよ
トリシュちゃん、協力して情報集めしよう

【キャパシティ・アップ】で僕の分身、カルマを呼んで人手を増やしたら効率が少し上がるかな
爪痕や足跡、食事の残骸、住処等を中心にモンスター関係を『情報収集』
集めた情報を『世界知識』で照合していけば異質なモンスターの詳細が浮かび上がると思うよ
トリシュちゃんにも確認したら、ボクが見落としてたことに気づいてくれるかも



●竜の峡谷
「さて、噂話では竜の峡谷が怪しいようですが……」
 酒場で聴き込みを済ませた西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は、印を付けた地図を手にその場所を目指していた。
「まぁ、酒場での情報だと憶測による主観的なものが多いだろう」
 酒場には与太話も多く混じっているものだと、その隣を行くセゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)は顎に手をやって酒飲み話を思い出す。
「何にせよ現場を直接見んことには確証を得られんな」
 実際に話と現場の状況を照らし合わせるのが一番信憑性を高める方法だと、竜の峡谷へと足を運ぶことにする。
「しかし、楽器を使えば簡単に話が聞けるものですね」
 漆黒の竪琴を奏でて先ほど情報収集してみたが、普段のように怯えられずに話が聞けたことに気付き、今度から一般人に話を聞く時は楽器を使おうかと考える。そうして進んでいると町から少し行った場所に大きな谷がある。それが断崖絶壁の岩壁に挟まれた竜の峡谷だった。
「確か崖崩れした場所が危なく、誰も近づかなくなったと言っていましたね。広い場所を闇雲に調べるのは時間がかかります。まずはその辺りから調べ始めるとしましょう」
 視線の先は巨大な崖となっている。上流では滝が流れ崖を落ちて谷へと繋がっている。それを目印に酒場で聞いた崖崩れを起こしている場所を目指す。すると暫く歩くと最近抉れたように色の違う岩肌の場所があった。そこから下を見下ろすと、下の方まで崩れた場所があった。
「渓谷は足場が悪いらしいが、飛べる故に問題はないな。むしろ、俺みたいなのが下手に歩くと足場が崩れそうだしな」
 竜の翼を広げセゲルは空を飛び、竜の峡谷を見下ろす。そこは岩壁剥き出しの巨大な崖と、その底を流れる川。崖はなんとか徒歩でも上り下りできそうな場所もあるが、足場が悪く今にも崩れそうなところばかりだった。
「モンスターを避けて探す方が効率は良いのかもしれんが、むしろ密集地の方が怪しいな」
 一先ずモンスターの集まっている場所を探ってみようと、空からセゲルは地上を観察することにした。
「群れを作るのはやはり小型のモンスターが多いな。しかし群れといっても動物の群れと変わらんな」
 見つけてもボス的な一体を中心に異性で囲んでいるような小規模な群れがあるだけだった。
「ではこちらも行ってみましょう」
 織久が飛び降りるように崖から身を投げる。そして身軽に崖の出っ張りやへこみに手足を掛けて減速しながらあっという間に地上へと降り立つ。
「崖が脆くなっていますが、モンスターらしきものは見当たらないようですね」
 周囲を見渡すが静かなもので、大型モンスターが居るような気配は感じられなかった。
「ここは外れでしょうか、次の場所を目指しましょう」
 地図にチェックを付け織久は次の場所を目指して歩き出す。

「地面が揺れるのは怖いなー……」
 先ほどの揺れで崖から転がり落ちた石を崖の上から見下ろし、指矩・在真(クリエイトボーイ・f13191)は警戒して周囲を窺う。
「物とか落ちてきたら危ないよ。取り除ける原因なら取り除いた方が安心だね」
 このままでは怪我人が大勢出てしまうかもしれないと、在真は事件解決の為に竜の峡谷周辺を探索する。
「調査は足が勝負! やっぱりこうやって実際に調べてみないとね」
 他の仲間から情報を得ているがやはりこうやって実際に見る事が大事だと、在真は屈んで足元のモンスターの足跡らしきものを調べる。
「あまり大きな足跡じゃないなー……小型のモンスターかな?」
 木の枝を拾い足跡をなぞって形を確認すると、四つ脚の獣型のモンスターの群れが峡谷から離れていくように移動しているのが判る。
「トリシュは漠然を解しません。トリシュは何をしたらいいですか?」
 そんな様子を見ていたトリシュ・リグヴェーダ(知恵の刃・f18752)が、一時的に暫定ご主人に指定している在真の指示を待っていた。
「トリシュちゃん、協力して情報集めしよう。どんなモンスターがここに住んでいるか痕跡を探すんだよ」
「命令を理解しました。トリシュはこれより情報収集を開始します」
 命令を受けたトリシュは近くの足跡や、木に体を擦りつけた跡など、小から中型のモンスターの痕跡を発見していく。そして痕跡の追跡を始めた。
「人手を増やしたら効率が少しは上がるかな」
 そう思った在真はデフォルメされた自分のアバターを呼び出し、共にモンスターの痕跡を探し始める。
「うん、こっちの方が効率がいいね、見る範囲が倍になってるんだから。それにトリシュちゃんもいるし……ってトリシュちゃん?」
 呼び掛けても返事がないので顔を上げて周囲を見るとトリシュの姿が無かった。
「どこに行ったんだろう? ……あっいた!」
 きょろきょろとアバターと一緒に在真が見渡してみると、崖の下に人影が見える。目を凝らせばトリシュがモンスターの痕跡を夢中で探しているようだった。
「いつの間にあんな場所に……でも協力して集めるって言ったし、崖の上と下に別れた方が効率的かな?」
 まあいいかと在真はそのままアバターと共に痕跡集めを再開する。

「これは小型モンスターの足跡と思われます。こちらは鳥の巣でしょうか」
 ふらふらと好奇心のままにトリシュは痕跡を探り、事前に得ていた世界の知識と実際のものとを比べ、分析して知識を経験として蓄積していく。
「大きな足跡があります。人と同じ大きさの足跡も多数あるようです。痕跡を追跡してみます」
 その足跡を追って崖に沿って下の険しい足場を進むと、崖の崩れている場所へと繋がっている。そして崩れた場所は落石の石に埋もれているが、人の通れそうな横穴があり、奥へと続いているようだった。
「モンスターの痕跡はここで途絶えているようです」
 さらに奥まで踏み込んでみようかと暗い洞穴を覗く。そこで声が届いた。
「おーい! トリシュちゃーーん! 何か見つかったー?」
「ご主人が呼んでいるようです」
 在真の声だと判別したトリシュは、探索を止めて戻る事にする。
「あ、いたいた! どうだった? 珍しい痕跡とかあったかな。こっちは普通のモンスターらしき痕跡ばっかりだったよ」
 在真が姿を見せたトリシュに手を振り、合流すると自分の方はあまり収穫がなかったと告げる。
「珍しいかどうかトリシュには判断できません。小さな足跡から大きな足跡までいろいろな痕跡を見つけました」
「え! 本当に!? 大型のモンスターの痕跡があったの?」
 驚く在真に本当でありますとトリシュは頷き返し、早速そこに行ってみようと2人で崖下の崩れた場所に向かう。

 歩いていた織久が気配に気付いて足を止める。何かがこちらに向かってきているのを感じ取る。それはやがて音と地面を蹴る草木の揺れとなって目に見えるようになった。
「グルウルルゥ!」
 獰猛な唸り声と共に姿を現したのは四つ脚の灰色の狼達だった。その中には傷ついたものも混じっており、何かから攻撃を受けて逃げてきたようだった。
「狼のモンスターですか、何かから逃げているようだが……」
 モンスターを視界に入れた瞬間、織久の体から殺気が放たれ狼に浴びせられる。
「キャゥン!」
「キャンキャンッ」
 狼達は怯えたような鳴き声を出し、織久を迂回するように逃げていった。
「逃げてきた方向に向かえば何かありそうですね」
 殺気を抑えた織久が狼の来た方向へと目標を変えて歩き出す。するとそこには人型サイズの足跡が幾つもあった。
「これは人型モンスターの集団のようですね……」
 屈んでその足跡を確認し、周囲を警戒しながら織久が進む。戦いを予感してその体からは抑え切れぬ殺気が気付かぬ内に溢れていた。
 甲高い声を上げ鳥が羽ばたいて逃げていく。その様子に漸く殺気が漏れていることに気付き織久はまだ早いと自らに渦巻く殺意を抑える。
「そろそろ戦いが近いようです……もう少しだけ我慢しろ」
 己の内に呼びかけるように声をかけ、織久は先を急ぐように足を速めた。

「色々とモンスターが生息しているようだが、これといった不審なところはないか……」
 ぐるっとセゲルが空を旋回していると、逃げている狼のようなモンスターを見つける。
「何から逃げている?」
 その原因となるものを探そうとセゲルは針路を変えた。そこには狼を攻撃する人型の群れが存在していた。
「あそこか」
 翼の羽ばたきを止めて速度を緩めながら地上を見やる。人と思しき群れは盾と曲刀を装備して狼を追い散らしていた。
「あれは人の冒険者か? いや、竜人……違う、リザードマンか!」
 目を凝らせばトカゲのような爬虫類の顔をして尻尾もあるのが判る。人型をしたトカゲのモンスターをセゲルは発見した。
「これは怪しいな。少し探ってみるか」
 見つからぬように高度を上げ、セゲルはリザードマンの動きを監視する。狼の群れを追い払うと、リザードマン達は周囲を警戒して崖の方へと歩き出す。そして崖崩れの後のような場所から、中の洞穴へと入り込み姿を消した。
「これはほぼ間違いなく当たりだろう。あの先に何かあるな」
 統率の取れたリザードマンの群れの動きと、周辺のモンスターを追い払っているような行動。そこから推測してあの穴の先に地震の原因があるに違いないと思い至る。
「これは戦いになるな。他の連中とも合流して準備をするか」
 上から見下ろしてその穴に向かってやって来る仲間を見つけ、セゲルは地上へと滑空を始めた。

「この場所です」
「これかぁ……確かに大きな足跡だね。それにこの穴、大きなモンスターが通ったみたいにも見えるよ」
 トリシュに先導されてきた場所には、この辺りでは見かけなかった巨大な足跡と、その先に続く崖に出来た洞窟があった。在真はその穴に足跡が続いているのを確認し、洞窟が使われている事を確認する。
「上から何か来ます」
「え? あれは……敵じゃないよ! 仲間の猟兵だから攻撃したらダメだよ」
 夢中になって調べている主人を守るべく警戒するトリシュに、在真がその肩を押さえて首を振る。
「よう! リザードマンを追ってきたのか?」
 軽く手を挙げたセゲルが着地して声をかける。
「リザードマン? ああ、この人型サイズの足跡はリザードマンだったのか」
「リザードマンの足跡と登録します」
 在真がセゲルとここまで辿り着いた状況を話し、その横ではトリシュが新たな情報をインプットしていると、また先と同じように警戒を示す。
「どうやら同じ場所に辿り着いたようですね」
「トリシュちゃん大丈夫だからね」
 そこへ織久も姿を現し在真がトリシュを止めた。それぞれが得た情報を交換し、他の猟兵にも連絡し洞窟の中を調べてみることが決まった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『リザードマン』

POW   :    シールドバッシュ
【手にした盾で攻撃を受け流して】から【生まれた隙に、盾による殴り付け攻撃】を放ち、【衝撃でふらつかせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    曲剣一閃
【変幻自在に振るわれる曲刀】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    テイルスイング
【太く逞しい尻尾による薙ぎ払い攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●洞窟を守るもの
 猟兵達が灯りをつけて、崩れて埋もれる崖の入り口を潜り抜けて暗い横穴の中に足を踏み入れる。そこは高さが10mを優に超え、広々としていてまさに洞窟となっていた。その中を進んでいくと、奥から足音が幾つも聞こえる。
「マタ侵入者カ」
「狼ドモカ?」
「否! 明リダ! 鱗無キ者達ダゾ!」
 そこに現れたのは武装したリザードマンの群れ。こちらに敵意を剥き出しにして刃を向けて来る。
「ココハ我等ガ神ノオワス神聖ナ場所。何者デアロウト侵ス者ハ排除スル!」
 襲い掛かるリザードマン達を迎撃せんと、猟兵達も武器を構えた。
叢雲・源次
合同【刃魔】

神聖な場所…と言ったか…つまり彼らに取ってドラゴンとは『神』なのだな
ならば、彼らに取って俺達は侵略者以外の何者でもない。
しかし、俺達にも成さねばならない任務がある。
そして、背後には人々が住む町がある。

洞窟の中は薄暗いが、インターセプターの策敵機能とアナライザーの視覚分析を持ってすれば乱戦でも敵を捕捉し続ける事が可能だ。

ノイジーのトライデントフォークがリザードマン達を爆撃している中へ自ら飛び込んでいく。射線は把握している。フォークにより混乱する敵を電磁抜刀で確実に仕留めていく

俺達の後ろにも生きようとする者達がいる
悪いが、これは生存競争だ
お前達が信じる神は誰かに取っての災厄なのだ。


ノイジー・ハムズ
合同【刃魔】

はい、侵入者です!
入り込む者はすべて排除…簡明で素敵な心がけです☆
で、あるならば! 今ここにあるのは、楽しい戦闘タイムのみ!
この手の人達は嫌いじゃないですが、いざ殲滅!

【空中戦】で飛び回り、敵の攻撃は【見切り】ます! 被弾しそうなら【オーラ防御】!
尻尾の攻撃は上手くかわせば同士討ちを誘えますし、隙を作るフリをして発動させます☆

普通の攻撃では、武器の剣に炎の【属性攻撃】を付与して、【鎧砕き】! 魔力で高めた破壊力で、防具ごと叩き斬りましょう!

トライデント・フォーク!
個別狙いではなく、集団に向かって巨大なフォーク群を放ちます!
サクサクっと死にましょう☆

ノイジーちゃんの才能、素敵ですね!



●互いの守るべきもの
「神聖な場所……と言ったか……つまり彼らに取ってドラゴンとは『神』なのだな」
 リザードマンの言葉から源次はドラゴンが敬われていることを悟る。
「ならば、彼らに取って俺達は侵略者以外の何者でもない。しかし、俺達にも成さねばならない任務がある」
 相容れぬ立場にあるならば言葉で解決する事はあるまいと、腰の太刀に手を掛けた。
「そして、背後には人々が住む町がある」
 その人々の為にもここで勝たねばならぬと、大きく踏み込む。それに対して敵が先手を取ろうと曲刀を上から振り下ろす。
「ソノ血肉ヲ神ニ捧ゲテヤロウ!」
 長い太刀を抜刀する間も与えぬリザードマンの鋭い斬撃が頭に迫る。だが鞘に電気が奔り、電磁誘導によって太刀を射出し超高速の抜刀による居合い斬りを可能とさせた。一閃する刃がリザードマンの胴を真っ二つに断ち切った。源次は太刀を静かに鞘に納め油断なく次の敵へと視線を向ける。
「侵入者メ! 我等ガ新タナル神ニ近付ケハサセヌ!」
 新たなリザードマンが曲剣と盾を構え油断なく前に出る。
「はい、侵入者です! 入り込む者はすべて排除……簡明で素敵な心がけです☆」
 その顔の前にノイジーがフェアリーの羽ばたかせて飛び込む。
「で、あるならば! 今ここにあるのは、楽しい戦闘タイムのみ! この手の人達は嫌いじゃないですが、いざ殲滅!」
「羽虫メ!」
 リザードマンがノイジーを切り捨てようと曲剣を振る。だが軽やかにノイジーは飛び回って回避して背後に回る。
「虫じゃないです! 可愛くて強いノイジーちゃんです!」
 失礼なと小さなフェアリー用の剣に炎を纏わせ、敵の背中を斬り裂いた。
「コンナ小サナ生キ物ナド、叩キ潰シテヤレ!」
 リザードマンが盾をぶつけようと迫る。だがその腕が刎ね飛び、曲剣を持ったまま地面を転がった。
「叩き潰されるのはどちらか……口ではなくこの刃に聞こう」
 居合いで腕を斬った源次は太刀を返し、敵が盾を構える前に首を刎ねた。
「鱗無キ者ハ夜目ガ利カン。一斉ニ仕掛ケロ!」
 姿勢を低くしたリザードマン達が数体で盾を構え包囲するように接近する。
「闇の中で見えるのは貴様達だけではない」
 源次の機械の左目が暗がりの中でも敵の姿を捉え、太刀を振り抜き曲剣を弾き、その間に近づこうとする敵の出足を斬り払って転ばせた。その体が他の敵の前進の邪魔をする間に後退する。

「ここで素敵なノイジーちゃんの出番なのです☆」
 ノイジーが200本近い巨大なフォークを宙に浮かべ、敵の固まったところへ放つ。
「盾ヲ構エロ!」
 雨のように降り注ぐ巨大フォークを浴びて、リザードマン達は盾を構えるが防ぎ切れずに手足に刺さり、バランスを崩したところに胴体にも突き刺さっていく。
「サクサクっと死にましょう☆」
「コノ小サナ悪魔メッ」
 笑顔でフォークを放つノイジーを憎々し気に睨み、リザードマンがフォークが刺さりながらも特攻しようと前傾姿勢を取って前に踏み出す。だがそこへフォークを怖れずに飛び込む源次の姿があった。
「ノイジーの攻撃は良く知っている、その射線もな」
 納刀してフォークの隙間を縫って接近した源次は電磁抜刀による高速の居合いで敵の胸を横に切断した。そのまま前進し、さらにリザードマンを斬り倒していく。
「怯ムナ! 命ヲ賭シテ止メロ!」
 リザードマンが尻尾を薙ぎ払ってフォークを叩き落とし、源次も纏めて狙う。だが源次は太刀で受け流しながら後退した。入れ替わるようにノイジーが前に出る。
「この可愛く素早いノイジーちゃんを止められますか☆」
 飛び回りながらノイジーが炎纏う剣を振るう。それを叩き堕とそうとリザードマン達が尻尾を薙ぐ。それを巧みに躱して斬りつけ、敵の群れの中でノイジーが動き回る。するとノイジーを狙う尻尾がリザードマン同士に当たり同士討ちを誘った。
「どうしました? 可愛く素早いノイジーちゃんはここですよ☆」
 ニッコリ笑うノイジーに尻尾ではなく曲剣を振るうが、ひらりと躱される。
「神域ヲ侵ス、神ヲモ畏レヌ蛮族メ!」
「コノ先ニハ決シテ通サヌ!」
 リザードマンがノイジーを捕まえようとすると、その体が腰から両断された。
「俺達の後ろにも生きようとする者達がいる」
 太刀を抜き放った源次がリザードマン達にこちらも引けぬと血塗られた刃を向け、こちらにも守るべきものが居るのだと一歩も引かぬ気迫を見せる。
「悪いが、これは生存競争だ。お前達が信じる神は誰かに取っての災厄なのだ」
 そして鋭く踏み込んだ源次は一閃して袈裟斬りに敵を倒す。
「ノイジーちゃんは楽しいから戦ってます☆ 」
 そんな源次とは真逆に、感情の赴くままにノイジーは飛びながらまたフォークを降らせた。
「コノ小サナ災イヲ殺セ!!」
 リザードマンは盾でフォークを防ぎながら剣を振るおうとするが、ノイジーはさっさと剣の届かぬ場所に移動してしまう。
「ノイジーちゃんの才能、素敵ですね!」
 フォークに串刺しにされるリザードマン達を見下ろしながら、ノイジーは自分を褒め称えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アシェラ・ヘリオース
「押しとおらせてもらう」
原始的だが屈強な兵だ。
侮ってかかるべき相手ではない。

腰から黒刃の軍刀を抜くと、フォースを篭めて四枚刃の風車手裏剣に変化させる。黒剣 と呼ばれる異界の武器と同じ由来を持つ武器だ。
片手をかざしてフォースを注入すれば、掌から少し浮いた所で赤い光を帯びて更に一回り巨大化し、凶悪な回転を始める。【念動力、属性攻撃】
「では、参る」
投擲し先頭の者の盾を狙って放つ。
勿論、受け流しを狙われるだろうがそれが狙いだ。
UCの【念動力】を加えて盾ごとの両断を狙う。
敵を薙ぎ払うように風車を直進させ、指の動きで孤を描いて手元に戻す。【二回攻撃、誘導弾】

「さて、次は誰から挑む?」

【改変連携歓迎】


ナイツ・ディン
灯りを付けずに侵入(目立たない)。暗視、視力で確認しつつ忍び足やダッシュで不意打ちを仕掛ける。
「鱗有りの癖に弱いな?そんなんじゃ駄目だろうが。ディロ、やるぞ?」
『盟約の力だ、本物の竜の力の一端、見せてやろう!』
【竜の血】を使って強化、竜人化して攻撃する。見切りや盾受けで攻撃をしのぎつつ、シールドバッシュで殴り倒す。敵の攻撃と同じ手段で攻撃して力の差を見せつけてやろう。テイルスイングに対しては飛んで避ければいいな。その隙きになぎ払いをしたりしてな。

「弱いぞ、有象無象が!」
竜人化すると傲慢になるのは竜族の業かもしれない。まあ攻撃食らっても激痛耐性でゴリ押しカウンターして串刺しにするだけだが。



●激しき刃の交わり
 戦いの鮮血に洞窟内にむっとした血の匂いが強くなる。血を流しながらもリザードマンは怯まずに剣を振るっていた。
「原始的ではあるが屈強な兵だ。侮れんな」
 敵の戦闘能力を見て取ったアシェラは油断なく腰から黒刃の軍刀を引き抜くと、フォースを篭めて四枚刃の風車手裏剣へと姿を変える。
「押しとおらせてもらう」
 そしてさらにフォースを注ぎ込むと掌から浮き上がり、赤い光を帯びて一回り巨大化し、高速で回転を始めた。
「では、参る」
 フォースの力で飛ぶ刃がリザードマンを襲う。
「コノ程度!」
 正面から向かって来る刃をリザードマンが盾で受け止めた。だが勢いづいた風車は盾を容易く弾いて腕を斬り飛ばし、さらには胴をも薙ぎ払って即死させた。その暴風の如き風車がさらに近くのリザードマンを狙う。
「コヤツ強イ!?」
 ならばとリザードマンが並んで盾を構え、風車を防ぐ陣形を取る。すると風車はその目の前を素通りし、横から襲い掛かってリザードマンを両断した。
「斬リ落トセ!」
 リザードマンが曲剣を叩き込もうとすると、風車はするりとアシェラの手元に戻った。
「さて、次は誰から挑む?」
「離レルナ! 密集シテ突キ進メ!」
 指で指揮するように血塗れの風車を操るアシェラに、脅威を覚えたリザードマンが密集してじりっと間合いを詰めた。
(「暗いところなら明るい場所に目が行く。その隙を突いてやるぜ」)
 そこへひっそりと灯りを付けずに侵入していたナイツがリザードマン達の側面へと近づいていた。そして一息で仕掛けられる場所まで来ると、フェアリーの羽を全力で動かして矢のように飛び、鉄製のカードを盾代わりに構えて叩きつけた。
「グアッ!?」
 顔面に一撃を食らったリザードマンが驚いて足を止める。その所為で隊列が乱れると、アシェラが好機と刃の風車を放ってリザードマンを薙ぎ倒す。慌ててリザードマンが盾をぶつけて風車を弾いた。
「鱗有りの癖に弱いな? そんなんじゃ駄目だろうが。ディロ、やるぞ?」
『盟約の力だ、本物の竜の力の一端、見せてやろう!』
 ナイツは竜のディロと意思を疎通させ、その手を竜槍で傷つけ血の盟約を果たす。すると体が竜の鱗の如き強度を持つ鎧に覆われ、背中の羽からはブレスのような炎を放ち、竜人化して身体能力を爆発的に強化した。
「征くぞ!」
 一瞬にしてナイツは弾丸のように飛んで間合いを詰め、敵に守る間も与えず竜槍を目に突き立てた。勢いよく入った穂先が脳まで届き命を絶つ。
「竜ノ力ダト!? ダガ我等ガ尊キ神ニハ遠ク及バヌ!」
 その竜の力に驚きながらもリザードマン達はしっかりと盾を構え、曲剣で斬りつける隙を狙う。
「数の力で竜の力を得た俺と戦えるつもりか!」
 竜人化し心まで猛々しくなったナイツは槍を振るい剣を弾き、盾の叩きつけを盾で受け止め逆に羽から炎を噴射して押し戻す。そして体勢を崩したところへ首に槍を突き立てた。

「グゥッ拙イ、散開――」
「守りを解いたな」
 ナイツによって陣が掻き回されたところへ、隙を見逃さずアシェラがまた風車を飛ばす。数体を纏めて斬り裂き、回転する刃が血を辺りに撒き散らした。
「どうした、亀のように縮こまって身を固めないのか」
 アシェラの操る風車の刃にリザードマンが盾を構えようとする。
「どこを向いてやがる!」
 注意が逸れたところへ横っ面を叩くようにナイツが飛翔して顔に槍を突き刺した。
「弱いぞ、有象無象が!」
 見下すように罵りながらナイツが槍を振るい、リザードマン達を斬り裂き刺し穿ち傷だらけにしていく。そうして守りを固める暇もなくアシェラの風車がリザードマンの体を切断した。
「前進ダ! アノ遠距離攻撃ヲシテクル奴ヲ先ニ仕留メルゾ!」
 リザードマンは風車を操るアシェラを仕留めんと、一気に突進してくる。
「勇敢だな、だがこちらの武器はそれだけではない」
 迎え撃つアシェラはサイキックエナジーで赤光の剣を生み出し、曲剣と斬り結ぶ。すぱっと曲剣が中ほどで切断され、目を見開いたリザードマンの首が飛ぶ。
「接近したからと勝てるとは思わないことだ」
 そしてアシェラは自ら踏み込んで赤光の剣を振るい、盾で防ごうとするリザードマンに叩きつける。刃が食い込み盾が絶ち切れられそうになったところで、リザードマンが反撃に尻尾を薙ぎ払った。だがその尻尾が帰ってきた風車に斬り飛ばされる。
「惜しかったな」
 そして力を込めてアシェラは盾を切り裂き、光の刃は敵の顔も断ち切った。
「押シ込メ!」
 そこへリザードマン達が決死の覚悟で殺到して圧殺せんと盾を突き出しぶつけて強引に動きを封じ込める。
「捨て身か」
 だがアシェラもまた剣を突き出し正面の胸を貫いていた。だが残ったリザードマンが剣を振り上げる。そこに炎放つナイツが飛び込んでリザードマンを槍で薙ぎ倒した。
「俺に背を向けるだなんて、舐められたものだな!」
 怒りに任せてナイツは槍を突きだし、盾に穂先を食い込ませて貫通して胸にまで達する。そして押し倒し深く心臓を貫いた。だがリザードマンは最後の力を振り絞って抱き着いてくる。
「調子ニ乗リオッテ虫ケラガ!」
 それを振り解き深く刺さった槍を引き抜くところへ、リザードマンが尻尾を振り下ろす。回避は間に合わぬとそれをナイツは盾で受け止めるが吹き飛ばされた。
「調子に乗ってるのがどちらか教えてやる!」
 痛みを無視してナイツは吹き飛ぶより速く飛び戻り、槍を振るって先ほど自分を叩いた尻尾を斬り落とす。反撃にリザードマンが剣を叩き込もうとするが、アシェラの飛ばす風車に首を落とされた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

指矩・在真
同行者:トリシュ・リグヴェーダ(f18752)
絡みアドリブ等大歓迎

穴の先に原因があるんだね
それならトリシュちゃん、ボクたちもリザードマンを倒すために戦おう
あ!猟兵さんたちは攻撃しちゃだめだよ!
あの人たちは敵じゃなくてむしろ協力して戦う仲間なんだから!

『早業』で相手が動き出すより先に【ハック・ユア・マインド】で動きを止めるよ
『範囲攻撃』『二回攻撃』で多くのリザードマンの隙を作らなきゃね
そのあとの攻撃は基本的にトリシュちゃんに任せた!
一応『属性攻撃』の電撃で『援護射撃』はしていくよ
ボク狙いの攻撃は『見切り』で躱したり、借りた槍でさばくようにしたいね
あんまり武器を使ったことはないけど、うん、頑張ろう


トリシュ・リグヴェーダ
同行者:指矩・在真(f13191)
アドリブ連携も歓迎。


在真の指示に従い戦闘開始。
「命令を理解な。対象リザードマン、殲滅を開始な」

錬成カミヤドリで自身の本体である三又槍を複数召喚。
内一本を在真に手渡す。
「ご主人サン、これを。トリシュが守りますです」

残った槍を念動力で空を泳ぐ魚群のように操り、リザードマン達を【串刺し】にする。
特に在真が動きを止めた敵は優先的に攻撃。

反撃があれば自身よりも在真を身を挺して守ることを選択。
在真にまで攻撃が届いてしまった場合は、事前に渡しておいた槍を後方に飛ばすように操って緊急離脱させる。
「手出しさせません、兎にも角にも。在真サン、トリシュを放さないでください」



●不退転の覚悟
 リザードマンを倒し洞窟を奥に進むと、ところどころ崩落している場所がある。そこを抜けてもまだまだ先が見えぬほど続いている。その時何か崩れるような音と共にぐらぐらと大きく地面が揺れ、小石が落ちて来る。猟兵は足を止めて様子を見る。町で感じた揺れ程度ではなく、もっと激しい揺れを感じていた。震源地は近い、そう確信して落下物に気をつけていると揺れが収まり、前から新手が現れる。
「コノ先ニハ決シテ行カセヌ! 長キ年月我等ガ待チ続ケタ神ガ帰ッテラッシャッタノダ! 決シテ邪魔ハサセヌ!」
 不退転の覚悟を持ちリザードマンは信仰の為に命を賭していた。
「穴の先に原因があるんだね。それならトリシュちゃん、ボクたちもリザードマンを倒すために戦おう」
 敵の言葉からこの穴の先に原因となるものが居るのは間違いないと、在真はトリシュと共に肩を並べて戦いに挑む。
「あ! 猟兵さんたちは攻撃しちゃだめだよ! あの人たちは敵じゃなくてむしろ協力して戦う仲間なんだから!」
 融通の利かぬ思考回路を持つトリシュに、先んじて仲間を攻撃しないように在真が命令を下した。
「命令を理解な。対象リザードマン、殲滅を開始な」
 こくりとトリシュが頷き、自身の本体である三又槍を20本以上召喚して宙に浮かべる。
「ご主人サン、これを。トリシュが守りますです」
 そう言ってその内の一本をトリシュが在真に手渡す。
「ありがとう、それじゃあ一緒に戦おう! まずはボクが隙を作るよ!」
 槍を受け取った在真がウィンドウ画面を宙に展開し、無音の妨害電波を周囲に発する。ビリッと肌に感じる違和感の後、リザードマン達が何をしていいのか分からなくなり、一時的に行動不能となる。
「ご主人サン、トリシュが続きますです」
 そこへ念動力によって魚群のように洞窟内を泳ぎ、リザードマンに襲い掛かり、動けぬリザードマン達を串刺しにしていく。
「動ケェ! 盾構エ!」
 何とか気合で体を動かしたリザードマン達が一斉に盾を構えるが、三又槍の群れを全て防ぐ事は出来ず、体中に何本も突き刺さって動けなくなる。
「トリシュちゃん、援護するから攻撃は任せたよ!」
「了解な。リザードマンに攻撃継続な」
 トリシュは続けて三又槍を操り、敵の周囲を泳ぐように旋回して背後から槍の群れがリザードマン達に襲い掛かる。
「円陣ト成レ!」
 リザードマン達は肩を合わせ外を向いて円陣を組み、盾を構えて槍の襲撃に耐える。手足を傷つけながらも、致命傷を逃れようと泳ぐ槍の攻撃を防ぎ続ける。
「一応ボクもこっちにいるからね、無視してたら痛い目に遭うよ!」
 槍に意識が向けられている間に、在真が電撃を放って痺れせる。その防御が弱まったところへ槍の群れが殺到し、リザードマンを貫き、崩れた陣形から一気に串刺しにしていく。

「ゲハッ……マダ行ケル。弱イ方カラ先ニ叩クゾ!」
 血を吐きながらも目を血走らせたリザードマン達が剣を構え、在真に向かって突進してくる。
「ご主人サンをトリシュが守ります」
 それを見てトリシュは急ぎ割り込もうと足を動かすが、その行く手にリザードマンが立ち塞がり、無防備になったトリシュに剣を振るい腕を傷つけた。
「邪魔者は殲滅な」
 すぐに横から槍の群れで襲わせ、リザードマンを吹き飛ばすように排除して在真の元へ急ぐ。
「あんまり武器を使ったことはないけど、ボクもできることを頑張らないと!」
 不慣れな手つきで在真は槍を構え、振り下ろされる剣を弾く。だが剣を避けられるとすぐにリザードマンは盾を叩き込んで来る。それを慌てて在真は槍の柄で受け止めるが、バランスを崩して隙を作ってしまう。そこへ胸目掛けて切っ先が迫る。だが槍が意思を持つように動き在真の体を後方へと押し、切っ先は届かずに空を切った。
「危なかったな、ご主人サン。トリシュの後ろに――」
 間に入ったトリシュが敵の斬撃を割り込ませた槍で受け止める。
「ありがとう助かったよ。ボクは後ろから援護をしておくね」
 感謝の言葉を告げて在真は電撃を放って敵の動き少しでも鈍らせていく。
「オノレ小細工ヲッ!」
 その在真に向けて突っ込もうとするが、その前に幾つもの三又槍がするりと割り込み切っ先を向けた。
「手出しさせません、兎にも角にも。在真サン、トリシュを放さないでください」
「うん、わかった!」
 在真がトリシュの腕を掴む。するとトリシュは首を傾げて振り返った。
「在真サン、トリシュの腕ではありませんです。その槍のことです」
「あ、ごっごめん!」
 表情を変えぬままトリシュが指摘すると、正反対に在真は感情豊かに頬を赤らめて手を離した。
「ではリザードマンを殲滅しますです」
 トリシュは宙を泳ぐ三又槍に操り、リザードマン達に降り注がせる。
「盾構エ!」
 盾で防がれても槍はまたぐるっと旋回し何度も襲い掛かる。
「ボクの援護攻撃で相手を崩すね!」
 そこへ在真が電撃を放って盾を持つ腕を麻痺させ、守りを緩めさせた。そこへ槍が突撃しリザードマンを貫いた。
「よし、このままリザードマン達を倒してしまおう!」
「了解な。在真サンはトリシュから離れないでください」
 声をかけた在真が電撃を放ち続け、トリシュが槍をすいすいと洞窟内を所狭しと泳がせる。電撃を気にしながらどこから来るとも分からぬ槍の群れに翻弄され、リザードマンが傷つき数を減らしていく。2人の連携が効果的にリザードマンを駆逐していくと、蹴散らされたリザードマン達が一旦下がって態勢を立て直した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

西院鬼・織久
ドラゴンと言うのは信仰の対象にもなるとか
この蜥蜴にとっても神聖な存在のようです
ですが、我等の敵であるなら悉く狩り尽くすのみ

【戦闘】
【POW】
「戦闘知識」を活かす為全ての感覚と勘を活用
「先制攻撃」の「殺意の炎+範囲攻撃」
炎を目晦ましに「地形の利用+空中戦」で洞窟の壁面へ
上から「暗視+聞き耳」で明かりが届かない場所の敵の分布も確認
「力溜め+ジャンプ」で敵後方へ
その後も隙が出来た敵グループの所への移動も同じように
他の味方と挟撃する形を作り「殺意の炎」「なぎ払い」の「範囲攻撃」
「地形の利用+空中戦」で洞窟壁面を利用し高所からの攻撃および敵観察を行う
着地点での待ち伏せ等は「殺意の炎」で牽制し「なぎ払い」


セゲル・スヴェアボルグ
何ヲ言ッテイル?
俺ハ鱗有ル者ダゾ?

まぁなんだ。色と容姿的に言っておくべきかなと。
油断でもしてくれれば僥倖だが、生憎、俺は群れのリーダーでもトカゲではないんでな。
特に縁はないので気にする必要はないが、
周りの奴に見間違えで攻撃などされちゃあ、たまったもんじゃないな。

いくら広い洞窟と言えど、下手に武器を振り回せば崩れかねんからな。
少々抑えめにいくとしよう。
多少水浸しになるかもしれんが、閉鎖空間にはお誂え向きよな。
水を切ったところで何の意味はない。
奴等が流水と戯れている間に一致に叩き潰すとしよう。



●信仰に殉ずる
「此処デ死守スル。コノ先ニオラレル神ノ元ヘト進マセテハナラン!」
 絶対に通さないリザードマン達が構え、殺気を漲らせて猟兵を迎え撃つ。
「ドラゴンと言うのは信仰の対象にもなるとか。この蜥蜴にとっても神聖な存在のようです。ですが、我等の敵であるなら悉く狩り尽くすのみ」
 その信仰の対象が人の命を奪う存在なれば一切の容赦はないと、織久は敵に負けぬ殺気を放つ。そして黒い大鎌を振り抜き、生き物の如く蠢く黒い炎を放った。守りを固めるリザードマン達の体が焼け、盾が熱くなって持っていられなくなり手から落ちた。
「熱イッ、散開セヨ! 囲ンデ仕留メル!」
 リザードマン達は炎から逃れるように左右に別れ織久を包囲して近づこうとする。だがそこには既に織久の姿は無かった。
「何処ニ行ッタ!?」
 獲物を見失ったリザードマン達は周囲を見渡す。
「黒焦げの蜥蜴となって我等が糧となれ」
 炎を目晦ましとして敵の後方へと大きく跳躍していた織久が、また大鎌を薙いで黒い炎を生み出す。
「イツノ間ニ背後ヘ!」
 振り向いたリザードマン達が炎に囲まれ慌てて飛び退く。
「鱗無キ者ガ何故ココマデ強イ?」
 猟兵を誰一人仕留められぬ事に苛立ちを覚えリザードマンの口から歯軋りが響く。
「何ヲ言ッテイル? 俺ハ鱗有ル者ダゾ?」
 敵を真似た片言で声をかけながらセゲルが正面に姿を見せる。
「貴様……我等ノ仲間か……?」
 訝し気にセゲルへとリザードマンが視線を向けるが、気にせず友好的態度でセゲルは近づく。すると僅かにリザードマンの警戒が緩むのを感じた。
「まぁ嘘なんだがな」
 目の前の敵に槍を突き入れ、その首を貫いた。ヒュッと息が漏れて仰向けにリザードマンが倒れる。
「貴様騙シタノカ!」
 怒りに燃えてリザードマンが曲剣を振るう。それをセゲルは槍で弾いた。
「生憎、俺は群れのリーダーでもトカゲではないんでな」
 間違っても仲間に攻撃されないようにセゲルは宣言し、そして槍を胸目がけて突き入れるが敵もまた盾で防ぐ。だががら空きとなった足元へ槍を払い、敵を転ばせると隙だらけの胸に張りを突き立てた。
「一気ニ押シ込メイ!」
 盾を前に出してリザードマン達がセゲルに体当たりするように駆けてくる。
「多少水浸しになるかもしれんが、閉鎖空間にはお誂え向きな技をお見舞いしてやる」
 目前に迫る敵の前でセゲルは槍を地面に突き立てる。すると水が湧き上がりあっという間に大波となってリザードマン達を呑み込んで押し流した。
「グハァッ、何ダコレハ!」
 壁に叩きつけられたリザードマン達がよろよろと起き上がろうとする。
「水は切ったところで意味はないし、そんな小さな盾では防ぎ切れんだろう」
 セゲルは錨を振り下ろして盾を構えるリザードマンの盾を粉砕して頭を砕いた。

「我等ト似タ姿ヲシテイルクセニ神ノ領域ヲ侵ストハ! 裏切リ者メ!」
 いち早く体勢を立て直したリザードマンが前傾姿勢で突っ込もうとする。だがその胴体が横にずれ、上半身が地面に落ちた。
「な、何が……?」
 死ぬ前に見上げればそこには大鎌を振るった織久が立っていた。
「我等を忘れるな。我等こそお前達を狩る死神よ」
 織久はすぐに違う敵に向けて大鎌を薙ぎ払い、防ごうとしていた盾を切断し、そのまま敵の首を刎ねた。
「我等ガ神ハ偉大ナル竜。死ナド怖レヌ!」
 仲間の死骸を越えてリザードマンが剣を薙ぐと、織久は大鎌の柄で受け止める。そこへ尻尾が鞭のように襲い掛かるが、後方へ跳躍して躱し壁を蹴って戻ると大鎌を一閃して胸を裂いた。
「我等ガ命ヲ使イコヤツラヲ討ツ!」
 残り少なくなったリザードマン達が命懸けで襲い掛かって来る。その目には恐怖はなく、ただ狂気とも思える信仰だけがあった。
「信じる神の為ってやつか、相手をしなきゃならんこっちにするとたまったもんじゃないな」
 セゲルは先ほど突き立てた槍を抜いて敵の前に飛び込むと、また槍で地面を突き大波を生み出す。リザードマンが盾を構え身を低くして堪えようとするが、全員は耐えられず半数ほどが流されていく。
「こういうのを水を差すって言うんだったか?」
 ニヤリと口元を歪めながらセゲルが錨を立っている敵に叩き込んだ。リザードマンは盾で受け止めるが、盾をぶつし左腕も千切れる。だがもはや命を惜しまぬ敵は引かずに尻尾を叩きつけた。
「尻尾なら俺にもあるぞ」
 セゲルはそれに自らの尻尾をぶつけ、思わぬ応じ手にリザードマンの姿勢が崩れた。そこを見逃さず錨を叩き込み頭を叩き潰した。
「グホッ、マタ水攻メカッ」
 咳込み手をついて立ち上がろうとしたリザードマンの前に、幽鬼の如く織久が立ち塞がる。
「自ら首を差し出すとは殊勝な心掛けよ」
 織久の振り下ろす大鎌の刃がリザードマンの首を落とす。
「相討チダ! 己ガ命ヲ使ッテ殺セ!」
 死兵となったリザードマンが飛び掛かるが、それに対して織久は引きながら大鎌を横薙ぎにして脚を斬り裂いた。同時に黒い炎が撒かれ地面に倒れ込むリザードマン達を焼き払う。
「アアッ神ヨ。ドウカ我等ノ魂ヲ導キタマエ」
 脚を怪我して動けなくなったリザードマン達が祈りながら燃え尽きる。
「そっちも終わったみたいだな」
 最後のリザードマンに止めを刺したセゲルが近づいてくると、織久は頷き他の猟兵達も集まる。そして気を引き締め、奥に居るであろう町を滅ぼす元凶と相対しようと歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『崩竜・ヴァッフェントレーガー』

POW   :    ネーベルヴェルファー
【自身の周囲に生じた魔法陣】から【何もかもを“崩壊させる”火球】を放ち、【超遠距離からの面制圧爆撃】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ヴィルベルヴィント
【顎】を向けた対象に、【消失や崩壊を与える速射のブレス】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    ホルニッセ
【自身の“崩壊”すらも省みない状態】に変形し、自身の【射程距離】を代償に、自身の【巨体による攻撃力や機動力】を強化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●崩竜・ヴァッフェントレーガー
 リザードマンの妨害を退け猟兵達は共にさらに奥へと足を進める。そして竜の峡谷からの方角を考えると、このままずっと進めば町の真下を進む事になるのではないかと推測できた。ぐらりとまた洞窟が揺れる。バラバラと上からも石が落ち、洞窟が不安定であることを示していた。
 足を急がせると目の前に岩があり行き止まりのように道が塞がれている。近づき明かりを照らしてみると、ごつごつした岩肌が色づいているのが分かった。その岩がブンッと動く。それは岩などではない! 巨大な生き物の尻尾だったのだ! 猟兵が退くと尻尾は岩を抉り洞窟がまた広がる。しっかりと明かりの元で見ればそれが蹲った全長10mを超えるドラゴンであることが見て取れる。
『……グァアアアアアアッ』
 ドラゴンは今まで眠っていたのか、目を開けると大きな口から欠伸のように息を吐き出す。その吐息が巻き起こす余波が突風のように猟兵達を襲う。起き上がったドラゴンが吐き出すブレスが壁を砕き消滅させた。すると地盤が弱まり上からその一部分の天井が落ちて轟音と共に大きく地面を揺らす。地盤の崩落による揺れ、これが地震の原因となっていたのだ。
 小さな侵入者である猟兵達を見下ろすドラゴンの眼には何の感情もない。己の脅威となる存在とは微塵も思っていないのだ。
 その恐るべきドラゴンに向かい、猟兵は武器を持つ手に力を込め戦いを挑む。
叢雲・源次
【魔刃】

なるほど、これがドラゴン
実物は初めて見るがファンタジーとはこう言うものか

だがこれは現実であり、脅威だ
この生存競争、俺達が勝たせて貰う

無闇に突撃はせず相手の攻撃パターンを見切る為にまずは防戦に徹する
周囲は崩落で足場はさほど良くはない…ノイジー、空中戦が主体のお前なら揺れに関係なく戦えるだろう

すまないがしばらく頼むぞ

攻撃はノイジーに任せドラゴンの攻撃を回避しつつ太刀にエネルギーを回し力を溜めておく
その後、渓谷の岩場からドラゴンの背中に飛び移りクライミング
「文字通り、その竜骨を折らせて貰う」

『蒼炎一刀』

渾身の一撃を見舞う。所謂部位破壊という奴だ。


ノイジー・ハムズ
【魔刃】
ドラゴンと比べたらなんて小さいんでしょう!
儚げでかわいい! 私です!

はい、源次さんが楽しんでる間、攻撃してればいいんですね!
ドラゴンさん、一緒に遊びましょ☆

小さな体を生かして、崩落物などの影を飛び交って接近!
【鎧無視攻撃】【鎧砕き】で外皮ごと叩き斬ります!
えいっ☆

わあ、敵も攻撃の規模が大きくて素敵ですね!
これはいけません!
私も目立たなくては!

○疑似英雄発動
体の周りを迸るオーラ!
これはきっと攻撃力が強化されましたね!

【属性攻撃】【全力魔法】で剣に闇の魔力を込めて、全力魔法剣!!
魔力と斬撃を一気に放ち、突破口を開きます☆

源次さん、ドラゴン、私の三つ巴の戦い!
誰が一番目立つか、勝負です☆



●竜に挑む者
「なるほど、これがドラゴン。実物は初めて見るがファンタジーとはこう言うものか」
 巨大なドラゴンの姿を源次が見上げる。近づけば大き過ぎて全体を見渡せない程のモンスターが目の前に居た。
「だがこれは現実であり、脅威だ。この生存競争、俺達が勝たせて貰う」
 まずは敵の出方を見ようと、源次は無闇に突っ込まずに防戦に徹して間合いを取る。
「ドラゴンと比べたらなんて小さいんでしょう! 儚げでかわいい! 私です!」
 その横では能天気に自分とドラゴンのサイズを比べて、ノイジーが自分の可愛らしさを再認識していた。
「崩落の跡で足場はさほど良くはない……ノイジー、空中戦が主体のお前なら揺れに関係なく戦えるだろう」
「はい、源次さんが楽しんでる間、攻撃してればいいんですね! ドラゴンさん、一緒に遊びましょ☆」
 遊びにでも行くようにノイジーが飛び出してドラゴンの顔の辺りをちょろちょろと動き回る。
『グアアアアォッ!』
 すると鬱陶しいコバエでも払うようにドラゴンが息を放つ。ノイジーは小さな体で上手く射程から逃れる。宙に向けて放たれたブレスは洞窟の天井を削って落石を消し飛ばした。
「わあ、ドラゴンさんも攻撃の規模が大きくて素敵ですね! これはいけません! 私も目立たなくては!」
 相手の派手なブレスに負けてられないと、ノイジーは迸るオーラを放ってパワーアップする。そして飛び掛かってフェアリー用の魔法剣を振り抜きドラゴンの首を切り裂く。
『グガアアァァッ!!』
 すると鬱陶しそうにドラゴンは魔法陣を周囲に展開し、無数の火球を放つ。
「これはノイジーちゃんピンチです☆ でもキュートでかわいい小さな体でよけきってみせます!」
 面で制圧する圧倒的火力にノイジーは爆風で吹き飛ばされながらも、羽ばたいて直撃を受けないように飛び回る。
「すまないがしばらく頼むぞ」
 そうしてノイジーが気を引いている間に、源次は太刀にエネルギーを回し力を溜める。
『グァァァッ……』
 そんなエネルギーを感知したのかドラゴンの眼が源次を捉える。
「ノイジーちゃんはこっちですよ!」
 その視線を遮るようにノイジーがドラゴンの目の前をうろちょろし、そして源次から注意を外すように宙を飛んで顔を剣で斬りつけた。
『ガァアアアアアアア!!』
 声に怒りが籠り、ドラゴンはノイジーを睨みつけ尻尾で薙ぎ払う。
「ほらほら☆ ノイジーちゃんを捕まえるには大きいだけではダメですよ!」
 当たれば一撃で消し飛びそうな攻撃を避けながら、挑発するようにノイジーは一層オーラを輝かせてキラキラと光る。
『グアアアオオオオッ』
 イライラと怒りが噴出したドラゴンは周囲に先ほどよりも大きな魔法陣を描き、大きな火球を飛ばす。
「これはノイジーちゃんピンチかもしれません!」
 それが次々と宙で爆発を起こし天井を抉り、爆風でノイジーを吹き飛ばした。

「……待たせたな」
 落下して来る岩を避けながら源次は岩場を駆け上がって跳躍し、ドラゴンに飛び移った。そしてクライミングの要領でドラゴンの背中に登り、太刀を引き抜く。その刃には蒼き煉獄の炎が猛っていた。
「文字通り、その竜骨を折らせて貰う」
 地面に叩き込むようにドラゴンの大きな背中に刃を振るう。ざっくりと肉を裂き焼きながら刃は背骨にまで達し、硬く太い骨を中ほどまで断った。だが金属のような骨と強靭な肉に阻まれそこで止まってしまう。遅れて噴き出す血が源次の体を染めた。
「一太刀とはいかなかったか」
 血塗れになりながら背中を踏み太刀を引き抜く。その動作でもさらに肉が大きく裂かれた。
『グオオオオオオ!!!!』
 ドラゴンが痛みに咆え、暴れ回って源次を振り落とす。そして踏み潰そうと大きな前脚を上げて叩きつける。それを源次は転がって躱し、片膝をつきながら太刀を薙いで脚を斬り裂いた。
『ガアアアアアッ』
 大きな咆哮に洞窟が揺れる。そして魔法陣と共に周囲に巨大な火球が無数に生み出され、一面を爆撃するように放たれた。大爆発に源次の体が薙ぎ倒され地面を転がる。
「っ……逃げ場のない洞窟内でこの攻撃は厄介だな」
 口の端を流れる血を手の甲で拭い、源次はすぐに起き上がって太刀を鞘に納めもう一度エネルギーを集める。
『グアアアアオオオッ!』
 だがそれを見逃さぬとドラゴンがズシンズシンと重々しい足取りで迫る。
「すごく目立ってますね! 源次さん、ドラゴン、私の三つ巴の戦い! 誰が一番目立つか、勝負です☆」
 どんな時でもハイテンションなノイジーが、ドラゴンの注意が逸れている間に頭上を取っていた。掲げた剣に闇の魔力を込めて振り下ろす。刃は頭を斬り裂き左の角を断ち切った。
『グアアアアアォッッ!』
 ドラゴンがブレスを吐き出す。薙ぎ払うような破壊の嵐に巻き込まれノイジーが遠くへ飛ばされる。
「残った力、全て乗せてやる」
 源次が太刀の鞘を放り捨てるようにして抜き打った。渾身の力を込めた蒼く燃える刃が左前の脚首を斬り飛ばす。
「動き回られると被害が町に及ぶかもしれんからな。脚の一本貰っていく」
 ドラゴンがバランスを崩して失った左の前脚を地面につく。源次は太刀を返しもう一度一閃し、さらに脚を短く切断した。
『グアオオオオオオオオオ!!』
 ドラゴンが肝が縮むような恐ろしい声で咆え、尻尾を薙ぎ払って太刀で受け止めようとした源次を壁に思い切り叩きつけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アシェラ・ヘリオース
【改変連携歓迎】

「これ程の力を持つのであれば、その傲岸さも無理はあるまいな」

掲げた両掌の間に黒気を収束させ、黒刃へと注げば高速の回転を開始する。
注いだ力に比例して、大きさと攻撃力を増す旋刃をかざす。

「だが、その所業を見過ごすわけにも行かぬ」

・戦闘方針
【黒気収束】と連動して威力を増す風車手裏剣を攻撃の軸とする。
この技は威力は大きいが回避されやすい。常に当てる工夫がいる。
【念動力】による素早い移動で位置取り、【戦闘知識】で攻撃機会の見極めを行う。
遠間は危険なので、近接で回転鋸を押し当てるように【鎧砕き】。
もし飛翔等で仕切り直しをはかれば、すかさず全ての黒気を篭めた風車の【誘導弾】で【傷口を抉る】。



●黒き刃
「これ程の力を持つのであれば、その傲岸さも無理はあるまいな」
 仲間が薙ぎ払われ、洞窟が削られるのを見てアシェラは敵の強さを素に身に感じ取っていた。それでもその目から戦意は失われず、それどころかさらなる闘志が内に燃え上がる。
「だが、その所業を見過ごすわけにも行かぬ」
 掲げた両掌の間に黒いフォースを収束していく。それを黒刃に注ぎ込むと暴れ出すように高速回転を始めた。
『グラアアアッ』
 その力に気付いたドラゴンが振り向いてアシェラを目に捉える。
「気付いたか、だが遅い」
 既にたっぷりとフォースを注ぎ、暴風の如く荒ぶる風車手裏剣となった黒刃を伴ってドラゴンに向かって駆け出す。
『ガアアアッ』
 近づかせまいとドラゴンか魔法陣から火球を放ち爆発を起こす。だがアシェラは風車手裏剣でその爆炎を遮り、少々のダメージを気にせず駆け続けドラゴンの足元まで辿り着く。
「先ほどの戦いで見ていたが、懐に入れば火球は当て難くかろう」
 アシェラは念力で操る風車手裏剣を回転鋸の如く後ろ脚に押し当ててガリガリと硬い表皮を削って肉を抉る。
『ガアアアアアォオオッ!!』
 痛みに怒ったドラゴンが巨大な尻尾を薙ぎ払う。周囲の凸凹した地形が一層され、一瞬にして整地される。
「その攻撃も想定済みだ」
 アシェラは無くなる前に岩場を蹴り上がって跳躍し、尻尾を躱していた。そして上から風車手裏剣を放ち、尻尾に当てて肉を削り取っていく。
『ギアアオオオオオッッ』
 咆哮するドラゴンが眼を光らせアシェラを睨みつける。そして踏みつけようと突進してくる。だがアシェラはドラゴンの周りを反時計回りに移動して進路上から逃れる。ドラゴンはそれを追いかけようとするが、左前脚を失っていて小回りが利かなくなっていた。
「脚が一本失われているのだ、思うように動けまい」
 そうして移動しながらも、アシェラは呼び戻した風車手裏剣を当てて体中に裂傷を与えていく。

『ガアアアアアオオオ!!!』
 ドラゴンは上に向けて幾つもの火球を放つ。それが天井にぶつかり岩を砕いて岩が雨のように降り注いだ。
「そうきたか。これでは逃げ場はないな」
 ならばとアシェラは頭上で風車手裏剣を回し降り注ぐ瓦礫を防ぐ。
『グゥォオオオオオ!』
 そこへ瓦礫など気にせずドラゴンが突っ込んで来る。
「その巨体の強靭さを活かした戦法か、だが――」
 アシェラは右前脚を狙って風車手裏剣を放つ。
『グガァッ!!』
 左前脚を失ったばかりのドラゴンは、反射的にそれを避ける為に左へと方向転換し、アシェラから軌道が逸れていった。
「片脚を失ったのだ、もう一本を失う可能性に体が勝手に反応してしまうものだ」
 アシェラは風車手裏剣を操り手元に戻す。そして敵が後ろを見せた今が好機とフォースを篭めてゆく。
『ガアアアオオオオッ!』
 通り過ぎたところで止まったドラゴンが尻尾を鞭のように振るう。そこへアシェラも風車手裏剣を放つ。両者がぶつかり合い火花が散る。刃は尻尾の傷ついていた箇所を抉り、尻尾は風車手裏剣を軋ませる。そして風車手裏剣が吹き飛び壁に突き刺さった。だが同時に尻尾も半分ほどの長さで千切れて地面を転がり、びちびちと蠢いていた。
「その癖の悪い尻尾もこれで効果が半減だろう」
 すぐにアシェラはその場を離れる、怒りに狂い辺りを無差別に破壊する火球を一面を爆発させた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
これがドラゴンですか。狩り甲斐がありそうです
この巨体、抱えた業はどれ程か
存分に喰らい合うとしよう

【戦闘】
【POW】
崩落の警戒を兼ねて五感と「第六感」を働かせる
敵行動の前兆を逃さず対処

勘と知識を頼りに破壊しやすい箇所を予測し「先制攻撃+影面」で爆破
同じ箇所を「スナイパー」で正確に狙い攻撃を重ねる
高い位置にあるなら「夜砥」を絡ませ「空中戦」の要領で
体表を破壊したら「ダッシュ+串刺し」で傷を付け「二回攻撃+影面」で「傷口をえぐる」

爆撃は魔法陣の発生と火球を見逃さず「先制攻撃+影面」で岩盤を爆破
「怪力+夜砥」で「敵を盾にする」要領で崩れた岩盤を盾に
岩影から出る時は「ダッシュ+残像」を利用


セゲル・スヴェアボルグ
此方もブレスで対抗……と言いたいところだが、
流石に相打ちじゃ笑えんか。
まずは奴の死角に潜り込むのが先決だな。
それまでは盾で凌ぐとしよう。
使えなくなっても新しいのを出せば何とかなる。
立ち位置さえ確保できれば、あとは絶巓の帝を叩きこむだけだ。
顎さえ向けられなければ問題なかろう。
仮にこちらに向こうとしようとも、此方の方が手は速い。
速射がどの程度かは気になるが、俺も槍投げの速度で負けるつもりはない。
とは言っても、自分のことだけにかまけて、
周りのやるらを放っておくわけにもいかんからな。
危険な時は壁役に回らんとな。
いずれにしても、体への直撃だけは避けよう。
装備は大概が具現化したレプリカ故にどうにでもなる。


ナイツ・ディン
「頭悪そうなドラゴンだな。脳筋なディロのほうが幾分理性が有る気がする。」
『我をこのようなケダモノと同様にするでない!』

喰らったら不味そうな攻撃が多そうだ。飛翔し(空中戦)ダッシュ、逃げ足で相手を苛つかせよう。羽虫で結構、そんなやつに貴様は滅ぼされるのだからな。
第六感で避けつつ、喰らうぐらいなら盾受けで防御もするが可能な限り回避。飛び回って十分に速度がついたらフラッシュニードルを叩き込んでやろう。俺の槍は竜だからな、竜の鱗を貫くぐらい造作も無い。(咄嗟の一撃、鎧無視攻撃)
「ディロ、オマエのほうが格上だということを見せつけてやれ!」
『崇められ慢心し、誇りも失った奴など敵ではないわ!』

アドリブ歓迎



●猛る竜
「これがドラゴンですか。狩り甲斐がありそうです」
 その岩壁を前にしたような巨体を見上げた織久は淡々とした様子から一変、殺気を溢れ出させる。
「この巨体、抱えた業はどれ程か。存分に喰らい合うとしよう」
 そして黒い大鎌を手に瓦礫で作られる死角を利用して接近する。
「背中よりも腹の方がまだ斬り易いか」
 背中側の方が鱗が厚そうだと判断し、するりと腹に近づき地面に黒い影を走らせる。それがドラゴンの腹に触れると爆発し、互いを影の腕で繋いだ。
『グオオアアアアアッ!』
 ドラゴンが織久を認識し、火球を放って爆撃してくる。だが織久は地を蹴ってさらに間合いを詰めて懐に入り、大鎌を下から斬り上げて先ほど爆破した腹を斬り裂いた。血が吹き出して織久の頭から赤く染める。
『ガオオオオオッ!!』
 ドラゴンは右腕を下から押し上げるように織久に叩きつける。それを大鎌の柄で受け止めるが、その体は軽々と壁に向けて吹き飛ばされた。だがぴんっと影の腕が伸びきり壁に衝突する直前で空中に静止する。
「見掛け倒しではないということか、我等が糧となるに相応しい敵のようだな」
 そしてするりと着地し仕切り直すように大鎌を構えた。

『グオオォォギャオオ!!』
 ドラゴンの大きく開かれた顎から光が溢れ、ブレスが放たれる。猟兵達は散開しその直撃を避けると、洞窟が削れ新たな道が生まれる。
「此方もブレスで対抗……と言いたいところだが、流石に相打ちじゃ笑えんか」
 ブレス合戦をしてみたいという遊び心を抑え、セゲルは冷静に敵の戦力を測る。
「まずは奴の死角に潜り込むのが先決だな」
 正面から撃ち合うのは分が悪そうだと、重々しい大盾を苦も無く片手で構えて敵の背後へと移動を始める。
『ガギャオオオ!』
 そこへ横薙ぎのブレスが浴びせられ、一発で盾が削れて使い物にならなくなる。
「壊れたか、まあ新しいのを出せばいいだけだ」
 セゲルは新しい盾を用意しドラゴンの背後に回り込むと、突撃槍を投げつけ背中に突き刺した。槍は重量を増し深々と突き刺さる。
『ギィギャオオオォッ!』
 ドラゴンが苦悶の声を上げ暴れる。短くなった尻尾に弾かれた弾丸のように迫る瓦礫を盾で受け止め、左手を痺れさせながらもセゲルは右手で新たな槍を担いだ。
「尻尾が途中で切れているから、この位置には直接届かんだろう」
 尻尾の届かぬ位置から踏み込むと槍を投げ、またドラゴンの背に突き刺した。
『ガアアアッ!』
 ドラゴンは上体を捻って頭をぐるっと回し、大きな口が輝くと溜めもなくブレスがセゲルに向けて吐き出された。それを盾で凌ぎながらセゲルは横へ移動する。
「思ったよりも速いな。だがオレのやり投げも速度では負けていないがな」
 盾を壊されながらもセゲルは次の槍を投げ、敵の口に当たり牙を数本叩き折った。だがドラゴンはブレスを連続で吐き続け、盾が破壊される前にセゲルは地を蹴って弾き飛ばされることで直撃を避ける。

「頭悪そうなドラゴンだな。脳筋なディロのほうが幾分理性が有る気がする」
『我をこのようなケダモノと同様にするでない!』
 ナイツが隣を飛ぶ紅竜のディロを見ると、すぐさま怒って反論し尻尾でナイツの後頭部を叩く。そんな様子をドラゴンがギロリと見下ろす。
「って遊んでる場合じゃなかったな」
『我を見下すとは生意気な!』
 ディロを槍に変化させて手に握ると、ナイツは羽ばたいて飛び回り、的を絞らせぬように宙を飛び続ける。
『グゴアアアアアッ!』
 鬱陶しい羽虫を払うようにドラゴンはブレスを吐き出した。直撃を受けずとも掠めるだけで吹き飛ばされそうになるエネルギーの奔流に真っ直ぐ飛べなくなる。それでも必死に羽を動かし巻き込まれぬように全速で飛んで逃れた。
「鬱陶しい羽虫だとでも思ってるんだろう? 羽虫で結構、そんなやつに貴様は滅ぼされるのだからな」
 ナイツは加速を続けて十分な速度を得ると、敵に向かって突進する。
「ディロ、オマエのほうが格上だということを見せつけてやれ!」
『崇められ慢心し、誇りも失った奴など敵ではないわ!』
 ナイツの言葉に手にした槍が咆えるように震える。その力強さにナイツは口元に笑みを浮かべ、突撃してドラゴンの眉間に槍を突き立てた。フェアリーサイズの小さな槍。ドラゴンの巨体に比べればとんでもなく頼りない一撃。だが目にも留まらぬ速度にまで加速された槍の一刺しは硬い鱗を容易く破り、肉を貫き自身の小さな体が埋まって見えなくなるほど深くまで達する。
『ギィアガアアアアアッ!!』
 痛みにドラゴンが叫び、頭を壁に何度も叩きつけてナイツを押し潰す。その衝撃にナイツの体が宙へと投げ出された。

『グルルラアァァァ!!』
 何もかも纏めて消し飛ばしてやるとドラゴンは無数の火球を空中に飛ばし、頭上から雨のように落下させてくる。
「躱せぬのなら防げばよいだけのこと」
 織久は何とか空中で姿勢を制御して地面にぶつかるのを免れたナイツの傍に寄り、己が影を壁の岩にぶつけて爆発させ、崩れ落ちる大きな岩盤に糸を撒きつけすさまじい力で引き寄せる。それを巨大盾にして火球を防ぎ、熱に煽られながらも直撃を避けた。
「では次はこちらが攻め手だ。その身に宿る業を我等が喰らい尽くす」
 爆発が収まったところで織久は岩陰から飛び出し、あちこちで炎が燃え盛る洞窟を駆ける。
『ガアアアアッ!』
 そこへドラゴンが右腕を叩き下ろす。腕は織久の頭を直撃したが素通りして地面を叩いた。それは織久の残した残像、織久は速度を上げて攻撃を躱し、さらに接近して大鎌を振るう。上から振り下ろされた刃は先に傷つけた腹の傷を抉りつけ、鱗の無くなった場所を深くまで裂いた。分厚い肉を切る感触が手に伝わり、あまりの分厚さに刃が途中で止まる。
『グガァッ!』
 ドラゴンはその巨体で押し潰そうと倒れ込んで、地響きを起こす。だが潰れたはずの織久が眼前にぶら下がっていた。
「その血肉も魂も、全て我等が糧となれ」
 糸を右の角に巻き付けて手繰り寄せ、潰される前に脱出した織久が大鎌を振り抜き右目を潰した。
『ギガアアアアアアッ!!!』
 右の視界を失ったドラゴンが咆えて暴れ、織久を放り飛ばし火球を放った。織久は大鎌を振るって直撃コースの火球を切り裂くが、周囲で起きた爆炎を防げずに薙ぎ倒される。

『グアアアアォオオ!』
 そこへドラゴンが追い打ちの火球を飛ばす。
「こんな狭い場所で無差別攻撃とはな。サウナでも作るつもりか?」
 軽口を叩きながら割り込んだセゲルが火球を受け止める。巻き起こる炎の柱が身体を焼く前に敵に向かって飛び出した。
「サウナにしては少々火加減が強すぎる……な!」
 その勢いを乗せて槍を投げ、ドラゴンの首に突き刺す。
『ガゥアアォォッ!』
 槍の穿った首の穴からブレスと同じような光の粒子が漏れ出し、刺さった槍を押し出した。そしてセゲルを睨みつけてブレスを放つ。セゲルは盾を構えながら飛び退き、腕の表皮を削られながらも射線から逃れる。輝きは岩を砕き地面を深く掘り起こした。
「穴掘りには便利な技だな、モグラにでもなった方がいいんじゃないか」
 左腕に力が入らなくなっていようとも、セゲルは余裕の表情を崩さずに槍を投げつけ右後ろ脚を貫いた。

『グギャオオオッ!』
 後ろ脚が傷ついたことでドラゴンの動きが鈍くなり、右手で盾を構えて下がるセゲルを執拗に攻撃するが逃れられる。
「チャンスだな」
 仲間がドラゴンと戦っている間に、洞窟内を所狭しと飛んで十分な速度を得たナイツはドラゴンへと針路を向ける。
「もう一度、竜の槍をご馳走してやろう!」
『知性の無いケダモノなぞ軽く一蹴してくれるわ!』
 また頭部に向けて急降下すると、ギッと憎々し気にドラゴンの左目がナイツを捉える。そして口からブレスの輝きが放たれた。
「直撃コースは拙いな!」
 ナイツは針路を右目の死角方向へ変えてブレスを掠めて避け、ドラゴンの背中に槍を突き立てた。硬い背中の鱗を貫き、深く槍が刺さりナイツの体が肉の中にまで入り込んだ。そして腹の方へと貫通して大量の血飛沫と共に飛び出す。
「ぷはっ、血と脂でべとべとだ」
『油断するな!』
 全身を血に染めたナイツが深く呼吸をして重くなった体で飛び退く。そこへブレスが放たれ、破壊のエネルギーの発する衝撃だけでナイツの体は軽々と吹き飛ばされた。
「おっと、まあこれだけ手傷を負わせたんだ、よしとするか」
 セゲルがナイツをキャッチし、織久が起き上がるのを確認して前線から下がることにした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ノイジー・ハムズ
【魔刃】

ぷあっ☆
さすが、強敵です!

ですが、私を破壊するには少し足りてなかったみたいですね☆
そして…ドラゴンさんも生きてますね
お互いのバイタリティに、感謝です☆

叢雲さんは…寝てますね!
では…、先に遊んでますね!
まずは死角から、破壊した左角の根本に黒風剣を叩き込みます!

さっきぶりです、ドラゴンさん!
遊びの続きを始めましょ!
どちらかが、壊れるまで☆

攻撃には全力の攻撃を以って! いちばん大切なのは、破壊です!
黒風剣にあふれる魔力と高揚感を乗せて、【全力魔法】【属性攻撃】を敵の攻撃にぶち当てます!

一応、【オーラ防御】と【武器受け】で防御もします!
生きてるって感じで楽しいので、痛みは平気です!【激痛耐性】


叢雲・源次
【魔刃】

咄嗟に防御体制を取ったが…その直後意識を手放してしまった…不覚
あれからどれだけ経った
眼前は炎の海、そして先程自分を浮き飛ばした竜の尾は文字通り半分になっていた…あちらも満身創痍か…ならば

瓦礫にめり込む身体を僅かに起こす
先程仕掛けた時に気付いた
奴は明確に高エネルギーに反応する…ならば

インフェルノシリンダー、稼働率上昇…エネルギー変換…右眼窩へバイパス…
これで奴はこちらへ反応し片足を失っている奴は首を向ける筈…後は…

「ノイジー!!」
眼前で根競べをしている妖精へ叫ぶ
彼女なら意図を本能で分かる筈だ
狙うは

『収束眼光』

最大出力でノイジーの背の向こう、その口、頭を吹き飛ばさんと熱線が走る

アドリブ歓迎


トリシュ・リグヴェーダ
同行者:指矩・在真(f13191)
アドリブ連携も歓迎。


「やー…強敵。在真サン、一か八かの手、使います?」
在真から言葉をかけられたら無表情のまま頬を赤らめる。
「あや…トリシュに意思はありません。なのに、心、ポカポカ?」


在真が呼び出したライオンに乗り、彼の背に身を預けてヨガの姿勢(合掌して両腕を天に向ける)で瞑想。
パルドラクスを発動する準備が出来たら、ライオンから飛び降り竜の息吹を全身で受けとめ、額に開いた第三の眼から跳ね返す【捨て身の一撃】を放つ。

◇戦闘後
「契約終了。ご利用ありがとなのな。
またご主人サンなってくれるなら、その時はトリシュが守る。
だからその時はトリシュの事、また守ってください」


指矩・在真
同行者:トリシュ・リグヴェーダ(f18752)
絡みアドリブ等大歓迎

…おっきいねぇ(ぽかーん)
これだけの大きさだったらそりゃ揺れるよね

【ライオンライド】でレオくん召喚!
トリシュちゃんを乗せて『騎乗』して敵の近くまで『ダッシュ』で移動
足場が良くないなら、壁を蹴っての移動も少し考えとこうかな

出来れば省エネで行きたいし、『迷彩、目立たない』で攻撃対象にならないようにしていきたいね
『見切り』で攻撃の軌道を見極めつつ距離を詰めていこう
敵に見つかったら『援護射撃、属性攻撃』でレオくんの足を止めないようにフォローはしっかりと頑張るよ

攻撃は任せることになるけど、それまではボクにトリシュちゃんを守らせて?



●荒れ狂う竜
『グガアアオオオオオオ!!』
 満身創痍のドラゴンはもう何者も近づけないとブレスを吐き、炎を飛ばし、周囲に破壊を撒き散らしている。攻撃の度に地震が起き、洞窟が拡張されていく。
「……おっきいねぇ」
 在真はぽかーんと口を開けて暴れ回る傷ついたドラゴンを見上げた。ドラゴンが壁にぶつかると洞窟が揺れ、上から岩が落下してくる。
「これだけの大きさだったらそりゃ揺れるよね」
 見ただけで納得してしまう大きさだと迫力ある映画のような光景をぼんやり眺めてしまう。
「やー……強敵。在真サン、一か八かの手、使います?」
 そこへ後ろからトリシュが指示を仰ぐように声をかけた。
「そうだね、でも確実に攻撃を当てる為には近づいておきたいね。ならレオくん召喚!」
 頷いた在真は戦いに集中しようと気合を入れ直し、黄金のライオンを呼び出して跨り、トリシュに手を伸ばす。
「トリシュちゃんが無防備な間はボクが守るからね。攻撃は任せることになるけど、それまではボクにトリシュちゃんを守らせて?」
「は、はい……お願いします」
 その手をトリシュは取って在真の背に身を預けるようにライオンに乗る。
「あや……トリシュに意思はありません。なのに、心、ポカポカ?」
 在真の言葉から伝わる温かさにトリシュは無表情のまま頬を赤らめる。そして身を任せ体温を感じながら己が使命を果たそうと、表情には出ていないがやる気に満ち溢れていた。
「トリシュは在真サンの期待に応えます」
 合掌して両腕を天に向けるヨガの姿勢を取り、瞑想を始めてユーベルコードを発動する準備を行う。
「じゃあ行こう!」
 在真がライオンに迷彩を施して慎重に敵に近づけさせる。
『ガアアオオオオオッ』
 暴れるドラゴンのブレスが薙ぎ払われ、周囲を吹き飛ばし天井からは岩盤が落ちて来た。
「見境なしだね、レオくん上に気をつけて!」
 落ちて来る岩盤からライオンが素早く右に左にと飛ぶように駆けて逃れる。そして在真が邪魔になりそうな落石をアプリで距離計算して衝撃波で吹き飛ばす。
『ガアアオオオオオゥッ!!』
 近づこうにもドラゴンの無差別攻撃は周囲を吹き飛ばし、容易には近づけない。そうして少しずつ間合いを詰めている間に、ドラゴンの左目がライオンとそれに乗る2人を見つけた。
『ガアオオオオオアアア!!』
 怒りの咆哮と共にブレスが吐き出され地面が深く削られるが、ライオンは壁を蹴って射線から逃れていた。
「レオくん、牽制するから逃げて!」
 在真が敵の顔に向けて衝撃波を放って嫌がらせ、攻撃の止んだ僅かな時間にライオンは地面を全力で駆ける。

「ぷあっ☆ さすが、強敵です!」
 先の吹き飛ばされた衝撃で埋まってしまった岩の隙間からノイジーが這い出る。
「ですが、私を破壊するには少し足りてなかったみたいですね☆ そして……ドラゴンさんも生きてますね。お互いのバイタリティに、感謝です☆」
 これでまだ遊べるとノイジーはご機嫌に飛び上がった。
「叢雲さんは……寝てますね! では……、先に遊んでますね!」
 見下ろした視線の先に壁際で倒れている源次を確認すると、元気にまたドラゴンへと飛ぶ。
『ガアオオオッ』
 ドラゴンが在真とトリシュの乗ったライオンを狙っている隙を突いてノイジーは背後から近づき、魔法剣に魔力を込める。そこでようやくドラゴンがその小さな体に気付いた。
「さっきぶりです、ドラゴンさん! 遊びの続きを始めましょ! どちらかが、壊れるまで☆」
 敵の反応よりも速く輝く魔法剣を折った左角の乗った部分に叩き込む。剣から広範囲に広がる魔力が角の根元を砕き内部へと破壊の渦を頭部に伝える。
『グギギギャアアアアッ』
 気分が悪くなるような苦悶の声を上げドラゴンがのたうち回る。その煩い騒音と揺れに源次の意識が戻った。
「咄嗟に防御体制を取ったが……その直後意識を手放してしまった……不覚」
 瓦礫にめり込んだまま自分の状態を確認して、握ったままの太刀を見てまだ戦えると上体を起こす。
「あれからどれだけ経った……あちらも満身創痍か……」
 周囲を見れば炎があちこちで燃え上がり、地形はぼこぼこに変わっている。そして先程自分を吹き飛ばした竜の尾は文字通り半分の長さになっていた。そしてドラゴンはノイジーを追いかけ回しているようだった。
「先程仕掛けた時に気付いた、奴は明確に高エネルギーに反応する……ならば」
 やりようはあると源次は心臓から生まれる地獄の炎を猛らせる。
「インフェルノシリンダー、稼働率上昇……エネルギー変換……右眼窩へバイパス……」
 体内の装置を用いて地獄の炎をエネルギーに変換し、右目へと直結させる。
「ノイジー!!」
 準備はできたと源次が相方の名を呼ぶ。すると剣を振るっていたノイジーがピクッと動いて攻撃を続ける。
『グアアォオオオオ!』
 そのノイジーを無視して、ドラゴンは高エネルギーを溜める源次へと振り向いた。
「今だ――」
 源次の右目に集まったエネルギーが熱線となって最大出力でドラゴンの眼前で戦うノイジーの背中目掛けて放たれる。
「聡いノイジーちゃんと叢雲さんの連携攻撃です☆」
 それをノイジーは背中に眼でもあるようにひらりと躱し、その向こうで噛みつこうとしていたドラゴンの口の中へと熱線が飛び込んだ。熱線は喉を貫き首後ろから飛び出て大穴を開けた。致命傷と思える一撃にぐらりとドラゴンの体が揺れる。
「やった☆ ノイジーちゃんたちの勝利です!」
 ぴょんぴょんと宙を跳ねてノイジーが源次の元に戻って喜ぶが、ドラゴンの眼はまだ死んではいなかった。
「気をつけろノイジー!」
 源次の警告に慌ててノイジーがドラゴンを見ると、ドラゴンは首に穴が空いているにも関わらず大きく口を開けてエネルギーを集めていた。

『ブアアアアワアアア!!』
 首後ろからエネルギーを漏らしながらも、口からブレスが放たれる。ノイジーと源次を纏めて消し飛ばそうとする光の奔流。
「レオくん!」
 その前に在真とトリシュの乗ったライオンが飛び込んだ。そして素早くトリシュが飛び降りてブレスの前に身を晒す。
「生命流転。聖邪鏡合。この世は一つに非ず……な」
 トリシュが伸びやかにとったヨガのポーズでブレスを受け止めると、光の奔流が吸い込まれるように消えてしまう。するとトリシュの額に第三の瞳が開き、ドラゴンの吐いた破壊のブレスを撃ち返す。
『ブギギィィィアアアッ!!!』
 空気の漏れるような悲鳴が上がり、光が消えるとドラゴンの体が右半分ほどごっそりと削られていた。それでもドラゴンは狂ったように濁った左目で猟兵達を見下ろす。そして最後の力を使い魔法陣を周囲に描いた。
「大きいだけあってとんでもなく耐久力があるね。だけどこれ以上はやらせないよ!」
 在真は魔法詠唱プログラムのコードを走らせ、周囲の魔力を利用して土の槍を放って傷口を抉るように串刺しにした。その衝撃のせいか魔法陣が乱れ、現れた火球がその場で大爆発を起こす。
『ブアアオオオオオ!!』
 ドラゴンが爆炎に包まれ体が傾く。
「在真サン、危ないです。トリシュの後ろに下がってください」
 炎の熱と風圧から守るように在真の前にトリシュが出て庇う。だがその頭上からドラゴンが口を開け、倒れ込むように襲い掛かってきた。
「ふっふー☆ とうとうノイジーちゃんと決着をつける時がきましたね!」
 そこへ颯爽と現れたノイジーが突っ込み、もう一度ドラゴンの左角のあった部分に剣を突き刺す。切っ先が深く内部に入り、脳をぐちゃぐちゃに破壊した。ぐるんと左目が裏返り屍となったドラゴンが力を失い崩れ落ちていく。だがその下にはまだ在真とトリシュが居た。
「あっ、ノイジーちゃん失敗です! てへっ☆」
 自分の頭を小突いて可愛い笑顔で誤魔化すノイジー。だが可愛く誤魔化そうとも現実にドラゴンの大きな体が踏み潰すように地面に倒れていく。
「死んでも獲物を仕留めようとする執念は流石だが、やらせん」
 じっと新たなエネルギーを充填していた源次の右目が光る。放たれる熱線は先ほどよりも威力はない。だが敵の体を傾けさせ、倒れる場所をずらすだけの威力はあった。ずしんと誰も居ない場所に倒れまた洞窟が揺れる。そしてグラグラと天井が崩れ落ちてドラゴンの死体を押し潰す。ドラゴンが暴れた所為で洞窟が脆くなっていたのだ。慌てて在真が傷ついた源次をライオンに乗せ、猟兵達は来た道を戻る。通路のほうへと戻ったところで揺れが収まり振り返ると、奥に光が差しているの気付いた。


●地上へ
「おおー! 空が見えますよ! 地上に繋がったみたいです!」
 興味津々で一早く光の方へと飛び出したノイジーが大きな声を上げる。それに続き猟兵達が瓦礫を登ると、時間が経ち日も傾こうかという地上に出た。
「危ないところだったな、もう少し倒すのが遅れていたら町に達していたかもしれん」
 使い切ったエネルギーを回復した源次が礼を言ってライオンから降りて周囲を見ると、その視界には数百メートル先にある町が見えていた。あのままドラゴンが暴れていれば町の直下に届き崩壊していただろう。
「これもノイジーちゃんのお蔭ですね! 町の平和はノイジーちゃんにお任せです☆」
「まあそうかもしれんな」
 調子に乗るノイジーに、源次は言うだけの活躍はしたかと、苦笑するように口元に笑みを浮かべた。

「契約終了。ご利用ありがとなのな。またご主人サンなってくれるなら、その時はトリシュが守る。だからその時はトリシュの事、また守ってください」
「うん! 約束だよ!」
 真っ直ぐ視線を向けるトリシュに在真は大きく頷いて手を差し出す。首を捻ったトリシュは少し遅れて手を合わせ握手した。手から温もりが伝わる。その温かさはトリシュの胸もポカポカと温かくさせてくれる。これはどういう効果なのだろうかと疑問に思い、じーっと繋いだ手を離さずに観察するように見るトリシュ。繋ぎ続ける手に汗をかき、少々恥ずかしいと思いながらも在真は手を繋いだまま優しく微笑んだ。
 戦いは終わり、猟兵達は竜退治の成功を祝おうと、皆で町の冒険者の酒場へと歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月21日


挿絵イラスト