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風になれ

#UDCアース

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#UDCアース


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「風になってみないか、諸君―――精神を研ぎ澄まし揺るがぬ境地へ至り、荒ぶる魂を燃やし天地創造へと至り、いざ風の向こう側へ」
 そう切り出したのはグリモア猟兵、鏑木・良馬(マリオネットブレイド・f12123)だが。
 集まった猟兵たちは『お前は何を言っているんだ』という目で一瞥すると踵を返し見て立ち去ろと―――、
「いやいやいやいや待ちたまえ、これは真面目な話であってつまりUDCアースにて儀式の気配がしてだね???」

 先にソレを言え。

「とあるサーキットで、儀式が執り行われる―――そういう予測を、してしまったわけだ」
 そして、優勝者は生贄として拉致されると良馬は続ける。
 原理は不明だが、どうやら鍵はスピードを競い合うレーサーの描くホイールの軌跡。
 それらがサーキットに魔性の力を与え、やがて儀式は完成する。
 そしてその最終段階として、優勝者を拉致し、その魂を捧げるのだという。
 最後の優勝者の拉致を遂行するために駆り出されるのは、通称UDCキューブと呼ばれる自立機動兵器。
 無数に現れる上、対象の捕獲に最適化された尖兵によって遂行される拉致は、外部から妨害するのは難しいかも知れない。
 たぶん。
 防ぐ手段は唯一つ―――猟兵たち自身が優勝者となり、襲い来る兵器を撃退することだけだ!
 おそらく。

 ………いろいろ不安はあるが置いておこう。
 だがサーキットということは乗るのは車だろうか。 運転免許のない猟兵も当然この場にはいるのだが。
 いや持ってたとしても、レースマシンに乗るとなれば当然話は全く違う。
「それは問題ない。 諸君らに駆ってもらう乗り物はゴーカートだ」
 は???
「向かってもらうのは某大型遊園地だ」
 なんて??????

「残念ながら此度の首謀者は誰なのか、背後にある組織は掴めなかったが―――この儀式を代行で執り行ってる者の名は分かった」
 あらゆる疑問を放置したまま話を続ける良馬曰く、その名をダークゼルトナ。
 自分の力を金と引き換えに提供するUDCの傭兵らしい。
「彼奴は会場のどこかにいるはずだが、姿を見せる気配がない。 だが、我らが勝利を収め尖兵をも討ち倒せば姿を現す―――かも知れない」
 本当に大丈夫かこいつ。
 そんな猟兵たちの思いはつゆ知らず、良馬は続ける。
「たかが遊園地のゴーカートと侮るなかれ。 そこがサーキットである以上、スピードこそが全てを分ける戦場だ」
 パワー、テクニック、メカニック。 猟兵だからこそ辿り着けるスピードの境地があるはず。
 あらゆる手段を講じて、限界を超えたスピードの、その先の世界へと至るのだ―――その先に輝かしき優勝の二文字がある!

 遊園地の子供向けゴーカートで猟兵以外の参加者を超えるのに、そこまで必要ないだろうとは突っ込んではいけない。

「さぁ往こう諸君! サーキットが待っているぞッ!!」


野良山羊
 ゴーカートは自由な発想で改造して良いんだ(※良い子は絶対に真似をしてはいけません)

 やぎです。やぎはいます。
 今回はみなさんに格好良くサーキットを駆け抜けていただきます。

 嘘ですネタに走ります。
 いえ格好良いのがご希望であればその方向で書くんですけど。

 どんな手段でもかまいません。最速を目指しましょう。
 知略謀略改造あらゆる手段を尽くして優勝を目指すのです。

 ちなみにやぎには一般的な運転経験しかありませんし知っててるのは某国民的カートに寄るレースゲームくらいです。
 逆に言うとなんか赤いのを打ち出して妨害するとか無敵になって駆け抜けるくらいは理解があります。

 さぁ自由な発想でサーキットを駆け抜けましょう。
 キャラ崩壊上等の場合、プレイングの最初に☆をつけて頂ければそれを目印に、なんか好きなように書かせて頂きます。
 なければプレイングを見つつ、場の空気に合うような感じになると思います。
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第1章 冒険 『チェイサーズ・ドリフト』

POW   :    攻撃や進路妨害で相手を邪魔する。

SPD   :    加速や機動力で追い抜きをかける。

WIZ   :    知識や装置などで最適解を見つけだず

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ちょっと補足説明
 Q:ゴーカートのコースって狭くない?
 A:スゴクヒロイハイランドのコースはとても広大であることで有名らしく今回さらに専用コースが用意されました

 Q:どんなコースなの?
 A:ヘアピンカーブあり、昇り下りトンネルあり、ジャンプ台もあるし何ならその場で仕掛けが増えるぞ

 Q:子供死なない?
 A:お子様たちは子供用コースで楽しく遊んでいます

 Q:すっ飛んでショートカットあり?
 A:発想自体ではありです
●開会式
「お待たせいたしました!スゴクヒロイハイランドカップ、開会式を始めます!」

 ワァァァァーーーッ!!

 観客席から響き渡る声援の中、レースクイーンらしき女性が高らかに宣言する!
 ……ゴーカートでレースクイーン?

「いえ、いたほうが良いかと思いまして格好だけでも。 わたくし司会進行を務めさせて頂きます久瀬・ルーナと申します」

 どうでもいい情報が追加された。 とりあえずそこは置いておこう。
 
「さぁお集まり頂きました皆様! 本日栄光をその手に掴み取らんと集ったレーサーの勇姿を御覧くださ―――……え」
 司会の声が途切れた。

 無理も無いだろう。 参加者として集まったのは複数の猟兵。
 何やら物々しい装備を備えた者も複数いる。
 不安しか無い。
 
 更に何故か一般参加者にも物々しい装備を備えた者が複数いる。
 不安しか無い。

 というか一般参加者が妙に強そうとかまず想定外である。
 猟兵に緊張走る。
 これは一筋縄では行かなそうだ―――元より正攻法を考えていたかと言われると、無いわけだが。

「―――えー……ち、ちょーっと私の想像を超えていましたが、細かい事は置いておきましょう! とにかく誰よりも早くゴールに付けば勝ちなのですから!」
 この僅かな間にいろいろ諦めたらしい司会が、仕切り直して宣言する!
「では簡単にルールを説明しますね。皆様にはいくつかのグループに分かれて、コースを走って頂きます。全員一度には無理ですから!」
 伝わるのかよく分からないジェスチャーを交えながら、元気よく説明を続ける司会。
「事前にお伝えしている通り、ゴーカートは皆さんで用意したものを使っていただいて大丈夫です!今この場で状況に合わせてチューンするのもいいですね!」
 そんな技術者がきてるかどうかは分からないが、それも一つの手ではあるのだろう。
「あとあと、走る際には必ずスゴクヒロイハイランド特製プロテクタを着用して下さい!安全第一ですからね!」
 これで万が一転倒しても大丈夫。スゴクヒロイハイランドは準備が良いのだ。

「コースは二周の合計タイムで競い、各グループのトップ二名ずつが決勝レース進出となります」
 一周目から飛ばすか、マシンパワーを二周目から追い上げるか―――判断が分かれるわけだ。
 そんな判断が必要になるかは別問題として。
「では皆様、優勝目指して! 準備を―――お願いいたします!」

 スピードの世界での戦いが始まる! ………たぶん。
火奈本・火花
☆「サーキット全体を儀式場とするとは、かなり大掛かりなようですね。ゴーカートは子供のころにやりましたし、レースゲームもやった事はあります。……手を抜く理由もありませんね」

■行動
我々猟兵の誰かが優勝をしなければ始まりません。私自身が優勝を目指すのが分かりやすいですが、優勝に近い仲間がいれば、その人が優勝するように障害を排除するのも良いでしょう。

駆けつけた機動部隊による前方車両の狙撃や、敵対車両への飛び移り(!?)で妨害して優勝を目指します。同乗して後方を銃撃する事で、後続車両を近づけさせない事も重要でしょう。
……仲間はなるべく妨害しませんが。

「我々は手段を選ばびません。冷徹に、優勝を目指します」


片瀬・栞

ゴーカートって乗った事無いのよね
ん?今どんな手でもっていった?

>用意する物
鎖付き棘鉄球、スモークグレネード、フラッシュバン
あそびごころ
ダーティプレイで荒ぶるハート
後で反省するきもち

>行動
【POW】アドリブ、共闘歓迎
折角だからあたしはこの亀王さまみたいなトゲトゲで
当たりが強くて最高速なカートを選ぶぜ!
ぶっ飛ばせー!(ぎゅおーんっとアクセルベタ踏み)
コーナーはオブジェクト、他の車に鎖付き棘鉄球投げて巻き付け強引に曲がる、または体当たりで他の車にぶつけ曲がる。
おっとゴメンね!この車コーナーリングが悪くてね!仕方ないね!

あ、スモークはコーナーで投擲。
フラッシュバンは後ろに付かれたら投擲ね(卑劣)



「さぁAグループのレースです! 皆様盛大に拍手を!」

 ワァァァァーーーーッ!!

 歓声と拍手の中、ゴーカートに乗り込み位置に突いたレーサー達。
 このAグループには二人の猟兵、火奈本・火花(エージェント・f00795)と片瀬・栞(白蓮天弓・f17024)が混ざっていた。

「お、おい……あれってアリか?」
 一般参加の誰か(仮名:Aさん)がぼそっと呟くのは果たして火花に向けてか、栞に向けてか―――

「ゴーカートって乗った事無いんだけど……うん、ちゃんと準備してきたし行けるよね」
 栞のカートはどこかの世紀末に装着されてそうなごっついトゲがいくつも付いていた。
 見る人が見たら第一印象はこうなるだろう―――重く、力強く、そしてスピードに乗りさえすれば最高速度を出せる機体。
 栞のカートの特徴はそれだけに留まらず、更に車両後部には鎖付きの棘鉄球。
 一体何に使うつもりなのか、正直想像もしたくない。
 というかかなり重そうだが、そんなものを装備して走れるのかゴーカート。 走れるのだ。
 何故なら栞は初めからコレを搭載する前提で、このモンスターマシンをチューンし用意してきたからである!
「どんな手でもいいって聞いてきたからね!」
 Aさんに見つめられた栞は清々しく笑顔を見せながらウィンク一つ。
 人懐っこく笑って見せてもマシンの凶悪さは一切隠しきれていないのだが。
 
 Aさんは早くも思考放棄したくてたまらない。

 一方、火花はというと。
「サーキット全体を儀式場とするとは、かなり大掛かりなようですね………」
 静かにハンドルを握りその表情は、冷静な仕事人そのもの。
「ですが問題ありません。ゴーカートは子供のころにやりましたし、レースゲームもやった事はあります」
 そのレースゲームは一体どういったモノなのだろうか。 そう問いたくなる要素が彼女のマシンにはある。

「我々は手段を選ばびません。冷徹に、優勝を目指します」
 【我々】―――そう、我々だ
 彼女の支援にやってきた機動部隊ひー4("四葉のクローバー")が後部座席に数名控え、ライフルを構えていた。
 ……【後部座席】?
 そう! その有様は既にゴーカートではなく複座のレーシングカーである!

 ライフルは一体何に使うつもりなのか、Aさんはこの時点で悪い夢なら覚めてほしいと天を仰いだ。

「司会ちょっとアレ見てって、ゴーカートでアレってあり?」
 マシンの改造は自由とは聞いたがちょっと自由すぎはしないだろうか。
 百歩譲って栞のヘビー級ゴーカートは良いとしても、火花のはカートの域を超えてるのではないだろうか―――。
「えー……スポーツマンシップに則り風になる意志があるならばアリです!」
 だが司会は無慈悲である。 スポーツマンシップってなんだ?
「うっそだろ!?」
 真面目に走ろうとしてた一般参加者Aさんかわいそう。
「あ、火花選手。 人は撃たないようにお願いいたしますね、マシンだけでお願いします!」
「分かっています。 我々はレースをしに来たのですから」
(嘘だッッ!!!)
 Aさんは叫びたかったが、司会が認めてる以上、異を唱えることはできない。
 彼は今、遺書をしたためて来なかったことを軽く後悔し始めていた。

「さぁさAグループ、もうすぐスタートですよー!」
 シグナルが点灯し、火花が、栞が、真剣な瞳でコースの先を見る。
 その瞳に宿るのは最速を目指す意志! 風を突き抜けた先に見るのは一位でゴールする己の姿のみ!
「ではでは、さーん、にー、いーち―――ゴーカートバトル、スタートですっ!!」
 Aグループ、一斉にスタートした!
 レースじゃなくてバトルなのか―――その疑問は誰一人、口にできないままスタートしたのだ!!

 最初に集団から飛び出したのは一般人参加者だ!
「はぁーっはっはっは! 何を企んでいようと先に駆け抜けたほうが勝ちなんだよ!!」
 スピードに特化したらしいBさん、すごい速度で先頭を走り、その後ろを団子状態の後続手段が続く!
 その中に潜む栞、更にその後ろには異様な威圧感を持って迫る火花のレーシングマシンが追う!

 さぁ第一コーナーに差し掛かる!
「おおっあのマシン、スピードを落とさないぞ!」
 ギャギャギャギャっとタイヤを鳴らしながら、素早く駆けていくBさん!
「ちなみに現在一位のマイケル選手ですが、手元の資料によると本業はF1レーサーだそうです」
 Bさんではなくマイケルさんだったらしい。
「何故そんなのが混ざってきて……いえ、いいでしょう」
 誰が相手だろうとやることは一つ―――火花がキラリと、後方で眼鏡を光らせる!
「仕事を―――おっと」
 機動部隊に指示を出そうとしたところで、ふとその手を止めた。
 前を走る団子状態のグループに動きがある!

「さー行くぞー! ぶっ飛ばせー!!」
 グォンッ!!
 果たしてそのぶっ飛ばせとはスピードを出すという意味か、それとも、
「うぎゃああああああ!?」
「おーっとレニー選手ふっ飛ばされたー!」
 栞の重たいマシンが、レニー選手というらしい一般カートに豪快に体当たりをかましながらコーナーを駆ける!
 しかし選手に怪我は一切無い! スゴクヒロイハイランド特製プロテクタは頑丈なのだ!
「おっとゴメンね! この車コーナーリングが悪くてね! 仕方ないね!」
「仕方ないわけあるか!! おい司会ィ!!」
 レニー選手の抗議タイム!
「仕方ないらしいので有効です! あ、コースに復帰しても構いませんよ!」
「できるかッ!!」
 レニーのカートは既に煙を吹いていて、既に消火班が出動して盛大に放水している。
 どう考えても無理だった。

「彼女が抜けましたか……では私達も」
 ダーティプレイでコーナーをクリアし、団子状態から抜け出した栞を見送った火花。
 次は自分も前に出なければならない―――さぁ出番だ、機動部隊!

 パァンッ! パァンッ!! パァンッ!!!

「ぬあああああ!?」
「こらぁぁぁ!?」
 立て続けに上がる悲鳴だか怒号だか!
 火花のマシンに同乗した機動部隊が、前方を走るカートのタイヤを撃ち抜いていく!
 道が開けたところでアクセルをドンッ!!
 唸るエンジンがぐんぐんと出力を上げ、栞に並んできた!

「あのマイケルという選手を何とかしなければ、我々が勝ち残れません―――行けますか?」
「まーかせて、こっちはまだまだ速度あげられるからね!」
 初動の遅い栞のカートは未だに最高速度には達していない。
 風に乗りさえすれば勝てる! はず!
「分かりました。 では私達が先行して、まず彼を止めましょう」
 ぐんっ!!
 火花のマシンがもう1段階速度を上げて先行―――その後ろに栞がついてくる形を取った!
「おーっと栞選手、火花選手の後にぴったりと続く! スリップストリームだ!」
 盛り上がる司会! きっとこの人スリップストリームって言いたかっただけだ!
 さておきそのまま次のコーナーに差し掛かり、

「くっそぉぉぉバケモノマシン相手だろうと負けるか!」
 コーナリングに自身があるらしい一般参加者が、コーナーで攻めてきた!
 ぐいぐいと差を縮めてきたところで、
「ぽいっと」
 気楽な造作で栞が広報に投げたのはスモークグレネードだ!
「うおおおっ前が!前が見えんっ!!」
 動揺しハンドル操作を誤り、コース外へと突っ込んでいく!
 
 ズドォォォォンッ!!
 
 全速力で壁に突っ込んだカートが爆散した!
 だが選手はプロテクタのおかげで無傷だ、よかったね!

 しかし煙幕で誤魔化される選手だけではない―――栞にギリギリまで迫る参加者がまだ1人残っている!
「突如何故か発生した煙幕ですが、ものともしない戦士が走り抜ける! これは――トニー選手だ!」
「卑劣な手をッ! だが私の前では通じんぞ!」
 司会からトニーと呼ばれた男が肉薄してくる!
「そう? じゃはい、これ」
「え?」
 再び気楽な動作で投げられた物体が、トニーのすぐ目の前に転がり―――爆ぜた!

「ぐああぁぁぁあ!?」
 至近距離でフラッシュグレネードを受けたトニー選手、視覚と聴覚にダメージを受けてはどうしようもない!
 コース外へと飛び出していくトニーには目もくれず、栞と火花が駆ける!
「来たかっ!!」
 先頭を走るマイケルが二人に気づき声を上げる!
「私達は優勝しなければいけませんので。 覚悟してもらいます」
「はっはぁ! 出来るものならな!」
「では遠慮なく」
「は?」
 マイケルの機体に豪快に体当たりをかます火花!
 火花の機体はレーシングマシンサイズだ!当然こちらのほうが強い!
「ぐおおっ!?」
 大きく揺れるマイケルの機体だが、それでも速度は僅かに落ちた程度!
「はい、では先に行って下さい」
「よーしアクセルどーん!」
 ぎゅぅいんっ!!
 栞がアクセルベタ踏みにして、火花の機体の後ろから飛び出した!
「ぬぅ!! 負けるか!」
「いえ、貴方の負けです」
 火花が指示を下すと、機動隊員の一人がマイケルの機体に飛び移った!
「なにぃぃぃ!?」
 機動隊員がマイケルを背後から拘束すれば、当然運転するものがいなくなる!
 そしてそのままカートから飛び降り転がる! 痛そうだが当然無傷だ!

 ずどぉぉぉんっ!!

 コントローラーのいなくなったマイケルのカートは、コース外へ飛んでいき星になった。
 これで最早二人を阻むものはいない!

「ゴーーールッ!! Aグループ・決着!! 一位、片瀬・栞選手! 続いて二位に火奈本・火花選手です!」
 司会が高らかに宣言すると、歓声が沸き起こる!
 Aグループは見事猟兵二名が勝ち残ったのだ!

 ちなみに三位はゆっくり後ろからついてきたAさん、四位以降は全員リタイアである。
 びびって前に出なくて本当に良かったとAさんは後に語ったそうです。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

東雲・円月

あー、そういうアレですね
いや、いいですよこういうの。大好きですよ俺も

じゃァ、ひとっ走り付き合わせていただきますか
僕は自分のカートに狗神を降ろし、操作を半自動化
僕自身は周りの妨害に徹する形をとります
大斧を振り回しながら運転とか出来るわけないじゃないですか
どこのソルジャーですかそれ

せっかくやるからには優勝したいので
僕の大斧で一台残らずコースアウトさせれば勝ちは確定、って……?
あれ、いやちょっと狗神くん?
運転適当すぎません?どこいくの?散歩じゃないんですよ?
聞いてます?ちょっと、ねえ?
あ、もしかしてキミあれだね、コースのこととか良く解らないんだね?
そうかそうか、式神だもんね、いやァ迂闊でしたねェ


ルベル・ノウフィル
☆ミ wiz
わあ!楽しいですね

僕のゴーカートはにゃんこな見た目でございます
にゃんこはとっても柔らかい素材です
触るとモコモコ致しますぞ
尻尾もぶんぶん動きます

そして、柔らかいので他のゴーカートと衝突してもぐんにゃりしてダメージを受けません
あと、ジャンプ機能がございますゆえ障害物を発見したらじゃーんっぷで回避できます
Bボタンを押したら猛烈加速も可能
ブレーキは未搭載でございます
僕のゴーカートにはアクセルのみがあればよい…ゴーゴー!イエー!

あと僕実は念動力が使えるので
たまにこっそりゴーカートをぷかぷか浮かせてふおーんって飛びます
空飛ぶにゃんこでございます

乗ってるのはわんこでございますがね
わぅ、わぅ!



「続いてBグループです! 選手の皆さんは準備してくださーい!」
 司会の声に従って配置につくレーサーたち。
 ここに混ざっている猟兵も二人。
「わぁ、わぁ! 楽しそうですね!」
 にこにことスタートを待っているルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)と、
「ええ、ええ、いいですよこういうの。 大好きですよ俺も」
 同調して頷く東雲・円月(桜花銀月・f00841)の二人だ。
 笑い合っている二人だが、考えている内容はまるっきり反対なのだが―――

「はぁいみなさん準備はいいですか? いいですよね? アーユーレディ?」
 無論この場にいる者全て、準備はできている!
「それでは3、2、1……ゴーカートバトルスタートォ!!」
 シグナルと声を合図に、一斉に走り出した!

 二人のカートは一見すると普通だ。
 一見する限りでは。
「じゃァ、ひとっ走り付き合わせていただきますか」
 円月が気楽そうに呟くと、早速ユーベルコードを起動する。
「其は風なり 其は水なり 求に応じ我が手足とせしめんと欲す―――さぁ来なさい狗神よ!」
 己のカートに狗神を宿し駆け抜ける!
 これの意味するものは何か―――そう、運転を彼がしなくてもいいという事だ!
 運転は狗神が行うッ!!
「はっはっは、運転しながらではできない手段もありますからね」
 肩に大斧を担ぎ出して不敵に笑う。
 手段はシンプルだ―――これで他のカートをコースアウトに追い込めば一位。
 完璧な仕事だ!

「さぁ狗神くん、まずはあのカートに寄って下さい!」
 ぐいんぐいんと手近なカートに迫る円月!
「うおおおいっそんなのありか!」
「無しな手段については聞いてませんでしたので」
 大斧を構えた円月にビビるレーサー。そりゃそうだ。
 ぶんぶんと大斧を振り回し威嚇する円月が怖くないわけないだろう。
「はっはっは、申し訳ありませんが覚悟してくださいね。 ではいざ!」
 ぐおんっと大きく斧を振りかぶる!

 すかっ。

 大斧は空を切った。
 何故か? 円月のカートが蛇行を始めたからだ!
「あれ?」
 きょとんと意外そうにする円月。
「……なんか知らねえがあばよーーーーーっ!!!」
 今のうちとばかりに走り去るレーサー。
「あれ、いやちょっと狗神くん?」
 狗神がコントロールするカートが、気まぐれに右へ左へとふらふら走る!
「運転適当すぎません?どこいくの?散歩じゃないんですよ?聞いてます?ちょっと、ねえ?僕らの役割はここのレーサー全ての頂点に立つことでちゃんとコースに従って走らないとねえ聞いてる?待って?」
 聞いてない!とばかりに円月のカートはコースを完全に無視してコース壁に突っ込んでいく!
「ちょっとぉぉぉぉ!?」
 やむなくレールを斧で破壊する!
 ばきぃっと音を立てて吹き飛ぶレール! そのままコースを思い切り横切りショートカットしていくカート!
 結果的には一位になっている!
「って待てやそれは反則だろ!」
 明らかにコースを破壊してショートカットしている!
 当然の文句だ!
「ええと………」
 司会のお姉さん、ヘッドセットで何やら相談し始めた。
「ええ、ええ、……あ、わかりました。 ちゃんと円を描いてコース………???を走ってるのでオーケーです!」
「ふざけんな!!」
 他参加者、キレる。 ごもっともだ

 一方、円月はそれどころではない。
 未だにカートは暴走し続けているのだ!
「あ、もしかしてキミあれだね」
 ぽん、と納得したとばかりに手を打つ円月。
「コースのこととか良く解らないんだね? そうかそうか、式神だもんね、いやァ迂闊でしたねェ」
 はっはっは―――
 種がわかったので朗らかに笑う円月―――完全にコースアウトした彼に、壁が迫る!!
「うん、納得はしたんだけど狗神くん、いやだから君せめてコースに従っ」
 
 ドゴォォォォンッ!!!
 憐れ東雲・円月、壁を破砕する勢いで激突ッ!!

『…………』
 普通にコースを走りながら、横目で彼が激突し土埃を舞い上げる姿を眺める参加者。
 自分たちは普通に走ろう―――そう心に決めたのだった。

 さてその普通に走る集団に着いていくルベル。
 彼のカートは実にファンシーな物だ。
 見た目だけ見ればそれはまさしく猫であった。
 もこもこ、もふもふ、車体後部についた尻尾がぶんぶん揺れる特別仕様。
 改造は自由だと言った―――確かに言った。
 だがこの改造には何の意味があるのだろうか。
 同じコースを走る誰もがそう思ったことだろう。
「じゃーそろそろ加速しようと思います」
 誰に対しての宣言か―――それは分からないが宣言すると、ハンドルにつけられた、なんかBって書かれたボタンをぽちり。
 
 ぎゅぅんっ!!
 
 押した瞬間、ルベルのカートは一気に加速した!
 
「何ぃぃぃっ!!?」
 度肝を抜かれる他の参加者!
 それはそうだろう、なんかもこもこしてるけど後ろに着いてきてるだけのカートが、急にトップ集団に追いついてきたのだ!
「こ……このっ!」
 参加者の一人がルベルに体当たり仕掛ける! ラフプレイ上等のヒール(悪役)だ!
 しかしそれは、相手が悪い―――!
 
 ぐにょんっ
 
 ルベルのもこもこカートは、ぶつかられても柔らかな感触を相手に伝えるだけでノーダメージなのだ!
「あ……なんか柔らかい……これがもふもふ…………」
 謎の心理ダメージを受けるヒール。
 その放心は仇となって、
「あっしまったギャァァァァァア!?」
 勝手にコースアウトして壁に突っ込んでいった!!
「あら、あらら……でも今のは僕は悪くないのでございます」
 そう、ルベルはあくまで普通に走っていただけなのだ。
 これは相手が勝手に自滅しただけ。 無罪。

 しかしルベルに次なる関門が襲う。
 急加速したのはいいが、次はヘアピンカーブだ!
「そんなスピードじゃあこのコーナーは曲がれないぜ!」
 後ろから野次る他のレーサー! しかしルベルは涼しい顔だ!
「ブレーキは未搭載でございます。 僕のゴーカートにはアクセルのみがあればよい…ゴーゴー!」
 ぎゅおんっ!!
 更に加速していくルベル!
「っておいおいおいおい正気か! 止まれ!」
 野次っていた者達すら心配するレベルの超加速! ヘアピンカーブが迫る!!

 ぐにょんっ

『は?????』
 レーサーたち、困惑する。
 ルベルのもふもふカートは全速力でコーナーにぶつかり、その柔らかさを生かして反射―――急角度でコーナーを走り抜けたのだ!!
「機体の特性を活かすとはこういう事でございますね。 では引き続きブーストでございます」
 追加でもう一度Bボタンだ! 轟音を立てて走り抜けるルベルのカート!
「え、いやあんなのありかよ………」
 一般レーサーたちは呆然と見送るしかできない! きっちり適切に速度をコントロールしながらヘアピンカーブを曲がっていく!
 最早完全に独走状態のルベル。
 次なる関門はジャンプ台だ!
 
 何故遊園地のゴーカートコースにジャンプ台があるのかは考えてはいけない。
 なぜなら此処はスゴクヒロイハイランドだからだ。

「あ、ジャンプ台ですね。 ちょうどいいのです」
 ここで一つ解説を挟もう。
 実はルベルは念動力が使えるのだ。
 その彼がジャンプ台において何をするか。

「はいっ」
 ふおーーーーーん
 ジャンプ台を飛び出したルベルのカートは、そのままあからさまにおかしい対空能力を見せながら……
 大回りなコースを飛び出し、その内側をくるっと回って、後続集団の後ろに着地した!
「ってふざけんなぁぁぁぁあ!! 反則だろ今のは!」
 さすがに声をあげる参加者! 当然の反応だ!
「ええと……先程の裁定に照らし合わせますと、円を描いてたのでOKです!」
『クソァ!!!』
 走る誰もが叫んだことだろう。 だが判定は覆らない!
「あ、ちなみに周回遅れで抜かれたら失格になります」
「聞いてねえよそんな事!?」
 慌てる参加者たちだがもう遅い。 相手は全速力で超鋭角にヘアピンカーブを曲がるにゃんこカートなのだ!
 これがコーナリングで差をつけるということなのだ! 次のコーナーで華麗に抜き去っていく!
「ゴール!! 他の参加者に周回差をつけて失格に追い込んだルベル・ノウフィル選手が一位です!」
 過酷! これがスゴクヒロイハイランドデスマッチなのだ!
 ……ところで二位は?
「あ、円月選手がコースに戻ってきましたね。 カートを引きずってますが周回差をつけられた瞬間が確認できませんのでまだ失格になってません」
「え、僕これから一人でこのコース走るの???」
「頑張って下さい!」
 司会は無慈悲だ。 機械的に仕事をこなしている。
 
 ともあれ一位、ルベル・ノウフィル!
 二位、東雲・円月!
 その他全員をリタイアに追い込んでBグループ勝利であるッ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浅葱・シアラ
叫んでる……!シアの中の走り屋(そんな血筋はない)が……!
フェアリー最速になれって、叫んでるの……!
だから、シアは此処で一番になる!
(フェアリー用のゴーカートを見つけて来て子供用コースで安全に走ります)

使用するユーベルコードは「エレメンタル・ファンタジア」
怖いのは妨害だからね……!
【風属性】を【吹き抜ける風】に合成して、分厚い風の壁を纏いながら走るよ
これでどんな妨害が来ても大丈夫!
この風の壁を追い風に変えてスピードを上げることだってできる!

出来るだけアクセルを離さない……!ハンドリングだけで危険なカーブだって乗り切って見せる……!
見てて、フェアリーだって最速になれることを……!



「続いてCグループです! 参加者の皆さんは準備をお願いします!」
 高らかに宣言する司会!
 ……しかし、ここでふと違和感に気づいた。
「……あれ? 観客のみなさーん??」
 いない。 最初は歓声を上げていた観客が、全然いないではないか!
「え?え?あれ……?」
 困惑する司会! だが困惑したところでいまさら観客は増えない。
「えーと……レーサーとは孤高なものです! さぁ準備して下さい!!」
 あくまでも前向きだ! 改めて宣言を叫ぶ!

「準備できましたでしょうか! ひーふーみー……あれ?」
 司会が疑問を浮かべる。 おかしい。
 一人足りないような……。
「あれ? えーっと……」
 参加者一人一人、Cグループの名簿と照らし合わせていく―――やっぱり、一人足りない。
「し、シアラ選手。 浅葱・シアラ選手!(黄金纏う紫光蝶・f04820) いらっしゃいませんかー!?」
 困惑した司会の声が、虚しく会場に木霊した。

 いなくなった観客達は何処へ行ったのか。
 飽きて帰った? いやいやそんなまさか。
 彼らはちゃんといる。 ……子供用コースの方に。

 浅葱・シアラは何処へ行ったのか。
 敵前逃亡? いやいやそんなまさか。
 彼女はちゃんといる。 ………子供用コースの方にッ!!

「叫んでる……!シアの中の走り屋の血が……! フェアリー最速になれって、叫んでるの……!」
 ぐおんぐおんとエンジンを唸らせながら、フェアリー用の小さなカートに乗るシアラ。
 彼女は当然のように、子供用コースを走らんと構えていた!
 君にそんな血は流れていない―――そうツッコミを入れられる人間はこの場にはいない。
 今の彼女は風だ。 サーキット(子供用)を駆け抜ける、一陣の風だ!
「だから、シアは此処で一番になる!」
 だんっ!!
 力強くアクセルをベタ踏みして、シアラは走り出した!
 
 アクセルペダルの下には置物を用意して、力いっぱい踏んでも一定以上の速度は出ないようになっている。
 浅葱・シアラはあくまでも安全運転の優しいフェアリーなのだ!

 しかしアクセル全開でなくても、シアラのカートは充分なスピードを得ていた。
 何故か? それは彼女が、風を纏って走っていたからだ!
 【エレメンタル・ファンタジア】で風の壁を作り、纏い、その勢いを加速に繋げ更に駆け抜けていく!
 彼女は今、風そのものとなって!
 最速の名を欲しいがままにして!!
 このサーキットを駆け抜けているのだッ!!

 ……子供用コースだけど。

 この行動に意味はあるのか? と問われれば、Yesと答えようではないか。
 ではどのような意味があるか―――。

「すっげーー! きらきら光りながらすごいスピードで走ってる!」
 見ていたお子様たちが、一斉にシアラの勇姿に釘付けになっている!
 猟兵は、現地の人々に違和感を持たれない―――。
 故に、フェアリーであるシアラもまた、ただの小さな子どもとして人々の目に映っていた。
 その子供がどうだ、妖精の羽(見えない)に光をまとわせながら、華麗にコースを駆け抜けている!
 子どもたち、大興奮!
 噂が噂を呼び、本会場にいた観客達までもシアラの走りを見に来たくらいなのだ!

 ―――UDCアースに置いて、猟兵はおおっぴらには行動し辛い。
 できるだけ秘密裏に儀式を阻止しなければいけない以上、本会場の観客はいずれ退避させなければならない。
 シアラの走りはその退避させるべき者達の視線を、今この場で独り占めしているのだ!

 シアラの走りは華麗なだけではない。
 子供用コースにあるまじき急カーブさえも、風の力を受けて力強く曲がっていく!
「ねえねえ父ちゃん、俺もあんな感じで走ってたい!」
 どこかで子どもたちの声が聞こえる。
 シアラは今、子どもたちの夢をその一身に感じながら走っているのだ!
 その夢はいずれ新しいレーサーも生むかも知れない!

「みんな、見てて。フェアリーだって最速になれることを……!」
 更にエンジンを高ぶらせて、シアラはコースを駆け抜ける。
 子どもたちの憧れ、大人たちの感心、それらを受け止め走るシアラは。

 今この瞬間に置いて、誰よりも輝くヒーローなのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

リンタロウ・ホネハミ
優勝者になれ、っつってもっすねぇ、オレっちこういうの乗ったことないんすよねぇ
そういうので優勝とか、オレっちにはどう考えても無理……
いや、待てよ?
『鍵はスピードを競い合うレーサーの描くホイールの軌跡』……
オレっちが運転しなくても良いのでは??

つーわけで、豹の骨を食って【〇八三番之韋駄天】を発動し
ゴーカートを押して走るっす
ええ、ゴーカートを押して走るっす
肝心なのはホイールの軌跡であって、運転するかは関係ないっすからね!!
刮目せよ!!
刮目しても見れるかわかんないっすけどね、豹のスピードを再現したオレっちの姿は!!!
風になれ、オレっちとオレっちのゴーカートォ!!!!

アドリブ・絡み大歓迎



「さぁ次はDグループ! ……あれ、なんか人数減ってないですか?」
 なんやかんやでCグループのレースは終わったらしい。
 司会が次を宣言しようとして、ふと首を傾げた。
 開会式の時にはたくさんいた参加者がなんか半分くらいに減ってるよーな……
「ああ、なんかさっきまでのレース見て、結構な人数帰っちまったっすよ」
 Dグループに参加しているリンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)が司会にツッコんだ。
「いやぁさっきからダーティプレイが過ぎたからっすからね、そりゃあビビるやつも出てくると思うっす」
 そこら中でクラッシュしたカートが火を上げていれば無理からぬ事だろう。
 だがそれでも怪我人はゼロである。スゴクヒロイハイランド特製プロテクタすごい。

「……あ、あはは……気を取り直してDグループですよ! 準備して下さい!」
 残った人数だけでも走ろう、司会は切り替えが早かった。

「さーって、どうするっすかね……」
 スタート位置について尚、リンタロウは悩んでいた。
 それもそのはず―――彼のカートは一切の無改造、プレーンなカートだ。
 先のレースを見るに、一般参加者にレースのプロが混ざってても何もおかしくない。
 こちらは偶然にもDグループには猟兵は自分一人―――これはまずい。
 他の二人を勝たせるために立ち回るとかはできない。 自分が勝たなければいけない。
 更に悪いことに、
「オレっちこういうの乗ったことないんすよねぇ……」
 そう、これは大ピンチなのである!
 悩みは晴れないがもうスタートの時間だ!

「さーてさて皆さん準備はいいですかー?」
 司会は無慈悲! 悩むリンタロウを置いたままスタートの宣言がくだされる!
「いきまーす! さーん、にー、いーち―――ゴーカートデュエル、レディー・ゴー!!」
 バトルからデュエルになった。 誰も突っ込まないまま一斉にカートが走り出す!!

 ぎゅおんっ!!
 凄まじいエンジン音と共にいくつものカートがスピードを争う!!
 ただしリンタロウのカート以外がだ!

 ……一方リンタロウ、無改造のカートでゆっくりスタートした。
「いやこれどう考えてもオレっちには無理で―――」
 ―――………。
「いや………待てよ………?」
 その時リンタロウの頭脳に雷走る。
 今回の妙な儀式―――その条件は何だ。

『鍵はスピードを競い合うレーサーの描くホイールの軌跡』

 ホイールの軌跡だ。 そう。
 ホイールがコースの中を駆け巡りさえすれば、手段は問わないのでは?

 つまり―――オレっちが運転しなくても良いのでは??

 その頃戦闘集団……じゃなかった先頭集団。

「うおおおおおっっっ!!」
 レーサーたちの気迫がコースを駆け巡る!
 ついでに投げられた手榴弾が爆裂する! 誰だ持ち込んだの!
「俺が」「僕が」「私が」
『一番速いッッッ!!!』
 この場にいる皆が目指すそれを一様に叫ぶ!

 だが彼らはまだ知らない―――その姿をまともに見てすらいない。
 今このコースを走る者の中で、真の最速が誰なのかを!

 先頭集団が一周目を走り抜けようというその瞬間、一陣の風が突き抜けた!
「!?」「一体、」「誰だ!?」
 一様に疑問を上げる彼らに答えるのは勿論!
「ハッハハハハ!」
 リンタロウだ!
 【〇八三番之韋駄天】! 豹の如き瞬足を体現した彼が!
 無改造のごくごく標準的なゴーカートを!

 自らの手で押して駆け抜けていた!! 一気に一位へと躍り出るッ!!

「何ィィィィッ!!!?」
 自分たちが心血を注ぎ託したマシンが、押して走るのに負けている!?
「刮目せよ!! って言っても見れるかわかんないっすけどね、豹のスピードを再現したオレっちの姿はぁぁぁ………」
 あまりのスピードに、最後の方はフェードアウトして他の参加者たちには聞こえなかった!
「っていうかアレありか!? カートで走ってないぞ!?」
 もっともな疑問が参加者から上がる。
「えーっと……」
 さすがの司会も少し困ったか、ヘッドセットで何やらごにょごにょと。

「………競技の結果、ありです! リンタロウ選手、一位で駆け抜ける!」
「なんでだよ!!!!?」
「いえ、上からそういう判断が下りましたので……というか皆さん、ゴーカート押して走る人に負けて恥ずかしくないんですか???」
『ぐっっっ』
 言葉に詰まるレーサーたち。 そりゃそうだ。
 ここで負けたら何がレーサーか。
 しかも彼は、ただ走ってるだけだ―――他の参加者のように、何らかの妨害を仕掛けているわけではない。
 ただひたすらに―――走っているだけだ!
「うおおおっ負けるか!!」
 続くレーサーたちの魂に火が着いた!
 皆一様に、妨害をかなぐり捨ててコースを走る!

 だが遅い―――リンタロウの脚の前には、遅すぎる!

「ゴーーールッ!! 一位、リンタロウ・ホネハミ選手です!!」

 リンタロウ・ホネハミ―――己の脚のみを頼りに、見事勝利を掴み取った瞬間である!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ヤツカド式神霊存在捕獲機』

POW   :    発見
【サーチライト 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【記憶消去光線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    捕獲
レベル×1体の、【眼球 】に1と刻印された戦闘用【の装備を整えた機動部隊のロボット】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    収容
小さな【収容作業用ロボットアーム 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【対象の願望を発散させる設備の整った収容室】で、いつでも外に出られる。

イラスト:麻風

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「それでは決勝です!!」
 歓声は既にないが、司会が高らかに宣言する!
「各ブロックを勝ち残った猛者たちが此処に集う! そう、ここは最速を競う戦場です! さぁみなさん位置について下さい、このレースで優勝が決まります!」
 それぞれの思いを胸に配置に付く―――勝ち残った一般人も恐怖から棄権し、残ったのは全て猟兵たちなのだが。
「はい、準備いいかな? アーユーレディ? できてるね! それでは―――決勝戦スタートぉ!」

 ぐぉんっ!!

 唸るエンジン音! 走り出すゴーカート達!
 
 そしてそれを追いかけるように飛来した―――あれは通称、UDCキューブと呼ばれる、人々を拉致するオブリビオンの尖兵だ!

「え?え?あれ?」
 司会が疑問の声を上げる。 それはそうだろう、突如わけのわからないものが飛んできたのだから。
 それらはコースに沿って、走り出した猟兵たちを追いかける!

 おかしい―――あれは、1位が決まった瞬間、優勝者を拉致しに来るのではなかったのか?

「………えーっと………。」

 悩む司会。 悩むだろう司会。
 出した結論は。

「………ら、乱入者が現れましたがレースは続きます! さぁ誰がトップを掴むのか!」
 あっさり流された!

 とはいえ当然捕まるわけには行かない。
 レースも続いている……ならば。

 走りながら撃ち落とせばいいッ!
 なぁにこれまで一般人相手にしてきたこととあまり変わらないね?
浅葱・シアラ
ぎゅいーん!
風になるのたのしー!
あっ、何かオブリビオン出て来たね……!
じゃあ走るのに邪魔だから撃ち落とす!

使用するユーベルコードは「神薙胡蝶蘭」
ハンドルは離さないように、エレメンタルロッドを花弁に変えて
花弁を嵐に乗せて、嵐に乗った花弁は刃となるの!
刃の嵐をシアのマシンの周りに纏わせて!
これでオブリビオンが来ての大丈夫!
収容されたくないからロボットアームに触れないように全速力で駆け抜けるよ!

オブリビオンの戦いとレース場の戦いは同じくらい重いの……!
だからシアは、オブリビオンなんかには止められない!
駆け抜け続けるの!!



 一位のカートを狙うように飛来するUDCキューブの群れ。
 それと同時に飛来してきた物がもう一つあった。

 他のカートよりも一回り以上小さい小型のカートが、何処からか大ジャンプしてきてコース内に見事着地!
「おーっと更に乱入者です! あれは誰でしょう―――あ、あれはっ!!」

「ぎゅいーん! 風になるの、たーのしー!」
 子供用コースを駆け抜けていた浅葱・シアラ(黄金纏う紫光蝶・f04820)が、颯爽とコースを走り抜ける!
 風になりすぎたあまり、子供用コースから飛び出してきたようだ。

「あ、あなたは行方不明になっていたシアラ選手じゃないですか!」
 散々探していた司会、ちょっと不満そうだ。
 しかしそんな事はどうでもいい―――何故なら今、彼女は誰よりも風となっているからだ!
「どこに言ってたのかは不明ですが……はい! 戻ってきたようなのでこれより参戦です! 乱入者ありというやつですね!」
 予選とは一体なんだったのか。 乱入者のある本戦レースとは何なのか。
 疑問を抱く観客も既にいない今、コース内は次第に混沌としてきていた。

 サイズ差を物ともせず、先頭を駆け抜けるシアラの元に、UDCキューブが飛来してきた。
 かなりのスピードで飛翔しながら、ちかちかと明滅しながら迫る!
「あっ、何かオブリビオン出て来たね……!」
 なんかじゃないよ君、我々の任務はそれを倒すことだよ。
 誰かが後ろからツッコんだかも知れない。
「大丈夫、大丈夫……とりあえず、走るのに邪魔だから撃ち落とす!」
 走るほうがメインなのか。

 それじゃあ早速―――と、取り出したエレメンタルロッドをくるりと軽く回そうとして、
「……ひゃっ!?」
 コーナーに差し掛かって、慌ててロッドを手放し両手でハンドルを持ち直す。

 安全運転、大事。

 手放したエレメンタルロッドはと言うと―――ふわりと宙を舞う、胡蝶蘭の花びらと化した!
 無数の花びらを纏いながら、華麗なコーナリング!
 そしてその後を、シアラに迫るUDCキューブ!
 彼女を捕獲しようと、ロボットアームを伸ばし―――。

《―――!!!?!?》

 シアラの後ろを吹き荒れる胡蝶蘭の嵐に接触したUDCキューブのアームが切り落とされ、本体にも無数の傷を付けられていく!
 この花弁は彼女のユーベルコード【神薙胡蝶蘭】―――美しい花の舞は、その全てが鋭き刃なのだ!

 それに気づいたUDCキューブだったが、既に遅い。
 花の嵐に飲まれたそれは、やがてバラバラに斬り刻まれて四散した!
「オブリビオンの戦いと、レース場の戦いは同じくらい重いの……! だからシアは、オブリビオンなんかには止められない!」
 爆裂するキューブを後目にちらりと眺めながら、呟くシアラ。
 よかった、レースのほうが優先じゃなかったんだね。

 さておき、無事一機撃破。
 まだUDCキューブは複数残っているが、今のシアラを止められるものか。
 花舞う風と化したシアラに迫れるUDCキューブなど、ここにはないのだ。
「もっと早く、もっと先へ―――駆け抜け続けるの!!」
 ぎゅおんっ!
 更にアクセルを踏み、加速を重ねシアラは走っていった!

成功 🔵​🔵​🔴​

火奈本・火花
「UDCキューブ……やはり谷津角博士が作った捕獲機の事でしたか。しかし今は敵の手に落ちたオブジェクト、速やかに終了措置を取りましょう」

■戦闘
参加者が猟兵のみとなったのは幸いですね

元が優勝者の拉致を狙っていたものですし、トップを走る人を優先的に狙うかも知れません
そうなれば2位、3位を走っていた方がキューブの破壊はしやすいでしょう。敢えてその順位を走りながら、9mm拳銃での『2回攻撃』で撃破します

万が一私を狙ってきた時は『戦闘経験則』で攻撃を避ける事に徹しましょう。不意の攻撃に備えた『咄嗟の一撃』と『クイックドロウ』も使えるように意識はしておきます

「かつて我々の道具だったとしても、容赦はしない」


東雲・円月

アレが今回の敵ですね!
捕まらず、かつ1位になれれば最高なんですが
僕のこのカート、扱い易いけどパワーがないんですね、なるほど!
つまり直線に弱い、これをなんとかしないと……ッ!
でも、どうやって!?

はッ、そう言えば聞いたことがある、確か……!
――円月、円月よ。スリップストリームじゃ
 スリップストリームを使うのじゃ――
え、誰ッ?!
でもそうか、スリップストリームか、解ったよ、誰か解らない人ッ!

小回りは利く、カーブはいい!
ならば直線は前方のカートの真後ろについて……!
今だッ!
スリップストリイイイイイイム!!(グラウンドクラッシャー)

大斧の反動を活かし、敵を殴りつつ飛ぶッ!
これがスリップストリームだね!?



 執拗に一位のカートに追いすがるUDCキューブ。
 その姿に思うところがある者が一人、このコース上に居た。

「UDCキューブ……やはり谷津角博士が作った捕獲機の事でしたか」
 火奈本・火花(エージェント・f00795)が呟き、空を駆けるその姿を眺める。
 正式名称を【ヤツカド式神霊存在捕獲機】というソレは、本来は彼女の味方であるはずの物であった。
 キューブ状の捕獲装置、と聞いて真っ先に思い浮かべた悪い予感が、当たってしまったと言える。
 それをこの手で討たなければならない―――しかし、そこに迷いは無い。
「……今は敵の手に落ちたオブジェクト、速やかに終了措置を取りましょう」
 淡々と宣言し、彼女のカート―――だったはずの実質レーシングマシンは駆け抜けていく!

 彼女はあえて、一位に出ようとしていなかった。
(……元が優勝者の拉致を狙っていたものですし、トップを走る人を優先的に狙うかも知れない)
 その読みは正しかったようで、UDCキューブたちはすぐ後ろに迫る自分たちの事は気に留めても居ないようだ。
 自分が一位に出るより、二位の位置をキープしながら狙いを定めたほうが確実と計算していたのだ。
「よし、そのまま二位を保て」
 いつの間にやらドライバーは機動部隊員と交代していた。
 オブリビオンが相手である以上、彼女自身が自由に動けたほうがいいという事か。
 複座の後ろに座り油断なく自動式9mm拳銃を構える。

 UDCキューブのデータはこちらにある―――何処を狙い撃つのが効果的かもまた、彼女の手の内に。

 一方そんな火花の後ろに付けたカートが一台。
 東雲・円月(桜花銀月・f00841)がいかにして前に出るかを考えていた。
「僕のこのカート、扱い易いけどパワーがないんですよね。 どうしましょうかね……」
 大斧を片手にカートを器用に操る円月。
 しかしその斧で、どうやって前方を飛ぶUDCキューブをとらえるか、悩んでいた。
「つまり直線に弱い、これをなんとかしないと……ッ!」
 パワーが無いのに大斧担いで重量を増してるのが悪いのではないだろうか……などとツッコんでくれる人も居ない。
 さておき悩む円月。 考えろ円月。

「ハッ―――そう言えば聞いたことがある、確か……!」
 その時円月に天啓が降りる!

 ―――円月、円月よ。スリップストリームじゃ
    スリップストリームを使うのじゃ―――

「!!」
 はっきり聞こえた。 これが勝利の鍵だ!
 ……たぶん。
「そうか、スリップストリームか、解ったよ、誰か解らない人ッ!」
 脳内に語りかけてきた何者かに礼を述べると、一気にアクセルを踏み込む!
 本当に誰だったんだお前は!

 パンッパンッッパンッッッ!
 小気味よい音を立てて火花が放った銃弾は、悉くUDCキューブ吸い込まれていく。
 構造上の弱点を把握している彼女の銃撃は浮遊するそれに効果的なダメージを与えていた!

《―――………!》
 仲間……という認識があるのかは分からないが、同型を撃ち落とされたUDCキューブの一つが怪しく明滅すると―――。
 なんと何処からか、小さな人型のロボットが降ってきた。
 脚にローラーが付いてるらしいそれは、なんと高速でコースを滑るように走るではないか!
 そしてその手には戦闘用の武装―――拳銃と、盾を保持していた。
 UDCキューブはあくまで捕獲用―――抵抗を弱めるための戦闘は、こちらで行うということか。

「機動部隊ロボットですか―――あれを召喚する機能もあると資料では見ていましたが」
 しかしこの改造カートのレースに対抗できるだけの機動性があるとは、予想していなかった。
 少しの驚きを見せる火花だが、それでも彼女はプロのエージェント。
「かつて我々の道具だったとしても、容赦はしない」
 落ちついて再び銃を構える!

 銃撃戦が行われているその後方で、円月がじわじわと火花との距離を詰めていた!
「よぉぉぉしッ! 行くぞ!!」
 火花のマシンの後方に陣取り、そのスピードを活かしていく!
 それはまさに!
「おーっと円月選手! 火花選手の後ろにぴたりと付けてきました! これはまさに! スリップストリームだッ!!」
 やはりスリップストリームと言いたいだけであろうこの司会のお姉さん、更にエキサイト!
 だがこの円月という男は、更に1歩先を行く!

「今だッ!! スリップストリイイイイイイム!!」
 ドゴォォォォンッ!!
「…………へっ???」
 司会のお姉さんが呆然とするのを無視したまま、円月は―――飛んだ。
「………す、すりっぷすとりーむ………?」
 グラウンドクラッシャーの要領で大斧をサーキットに叩きつけ、その勢いでカートごと飛んだ!

「さすが谷津角博士の作品、やりますね……」
 銃と盾を持つ機動ロボと銃撃戦をこなす火花。
 彼女の戦闘経験則はその銃撃を見事に見切り、回避し、時にドライバーの機動隊員に指示し距離を測りながら立ち回っていた。
 しかし相手のロボもなかなかやるようで、盾をうまく使い火花の銃撃を捌いていく!
「もう少し違う手段も試し………ん?」
 ドゴォォォォンッ!!
 後ろから聞こえた爆発音のようなものに軽く眉をひそめると、ちらりと後方に視線を向ける―――が。

 何もない。
 ………いや。

 その時には既に爆発音の主―――円月が、空を飛び、火花を飛び越え、機動ロボへ迫っていた!

「喰ゥらえぇえェェ!!」
 ゴシャァァァッ!!
 振り下ろされた大斧が、機動ロボを一撃で叩き伏せた!
《―――!!?!?》
 唐突に飛んできた大斧が、召喚したロボを叩き潰していったように見えただろう―――
 UDCキューブが困惑したように、光を明滅させている!
「今です」
 大斧を抱えたまま飛んだ人物には驚いた。
 驚いたが、それでも尚火花は冷静に―――明滅するUDCキューブを、拳銃で的確に撃ち抜いた。

「ねぇ見た! 見た!? これがスリップストリームってやつよだね!」
「違います」
「えっ!?」
 大斧の円月には驚かされたが―――あくまで火花は冷静にツッコミつつ。
 まだ飛んでくるUDCキューブを見上げていた。

 数は減ってきた―――もう少し。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

片瀬・栞

いやそもそもカートじゃないよね!アレ!(一応ツッコんだ)

>行動
【POW】アレンジ、共闘歓迎。
一応予選と同じカート。でも相手が飛んでるならコースお構いなしよね。
あっさり抜かれておいてかれない様にしなきゃ
まずは回避!ハンドル左右に振って怪しい光線は避ける。
その後、前に飛んで行ったものを優先で攻撃!
グレネードランチャー連射で【範囲攻撃】で【なぎ払い】!

相手が落ちたらそのままカートで攻撃!
「必殺!カートアタック!」
ごしゃっと轢く。コース外に落ちてもわざわざ轢く。

生き残りはUC【バンダースナッチ】を使用
鎖に絡めて【怪力】で別の個体に叩きつける
または絡めた上で地面に叩きつけてレース上を引き回す。ざりざり


ルベル・ノウフィル
☆彡
早業は全活用

念動力で敵を一箇所にまとめ[アイテム:特製ガム]で妨害プレイ
特製成分としてとってもネバネバくっつく魔法成分(謎)をいれておきましたぞ

そうだ、僕のゴーカート
改造してきたのですよ
Yボタンにブレーキ機能を搭載!と見せかけてやはり加速装置
YとB同時押しで勢いが凄すぎてカートが自壊するぐらいの異常加速!

UC:花焔乱舞を使用して僕はコースを火の海にしましょう
火の海の中をボロボロになったカートが走り抜ける、カッコイイでしょう盛り上がるでしょう
猟兵や一般人は対象外にして安全な演出用ファイヤーとしますぞ
でも敵は燃やす対象にしておきます

寿命を削りつつさらに高速化!
これが僕の捨て身の一撃でございます



「さぁリタイアするなんだか空飛ぶ箱みたいなカートの数も減ってまいりましたが! レースはいよいよ最終局面です!」
「いやそもそもカートじゃないよね!アレ!」
 しれっとUDCキューブをカートにカウントする司会に、ツッコミを入れる片瀬・栞(アラクニド・f17024)。
 そもそもこの人なんでこの限界ギリギリのバトルに動じてないんだ。
「とにかくもうちょっとキューブに近づかないと……」
 アクセルを踏み抜き、加速していく栞。
 射程内に捉えたところで彼女が取り出したのは、グレネードランチャーだ!
 構えた栞に気づいたのか、UDCキューブのいくつかが狙いを彼女へと変更してきた。
 先の猟兵達によって何機か落とされている以上、狙ってくるものを先に排除する方向に切り替えたのかも知れない。

《………!》
 サーチライトを光らせながら、無数の光線を放つUDCキューブ。
 栞はそれを右へ左へ、ハンドルを器用に操り避けていく。
 だが―――そのままでは上手く狙えない!

「あーもう……さっきまでじっとしてたくせに!」
 そんな彼女に追いついてきた者が一人―――もふもふカートのルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)だ。
「攻撃が激しいですね。 ではでは、ちょっと妨害プレイを行いたいと思います」
「え、どうするの?」
「こうするのです」
 ちゃきっとルベルが構えたのは、水鉄砲のようなもの。
 無論ただの水鉄砲ではない。
「効果はご覧あれ、でございます。 はい、ぴゅーっと」
 ぴゅーっと。 というには勢いよく水のようなものがUDCキューブの群れへと飛んでいき―――
 びろーんっとクモの巣状に広がると、UDCキューブを絡め取っていく!
 これは―――妨害用のルベル特製ガムだ!
《!!!?!?》
 動けない。どころか動くほどに絡まっていくUDCキューブ達が困惑したように明滅している。
 この間、あまりにも隙だらけ!
「ナーイスプレイ! それじゃゴーゴー!!」
 宣言するや否や、連射されるグレネードランチャー!
 動かない的に当てることなど、造作も無い!
 二回、三回と爆発が起こり、コース上に転がるUDCキューブ達!
 まだかろうじて機能停止していないそれらを、

「必殺! カートアタックッ!!」
 ぐしゃっ。

 栞が轢いていった。
 憐れ交通事故にあったUDCキューブ、爆散。

「あ、そうだ、僕のゴーカート。 改造してきたのですよ」
「改造?」
「ええ。 新たにYボタンを搭載しました」
 自慢げに語るルベル。
 先の予選では、Bボタンで加速していた。
 ならばYボタンは。
「Yボタンはブレーキ―――と見せかけて加速でございます」
「まだ加速するの!?」
 栞のツッコミをよそにルベルはYとBを同時押しだ!
 ギュオッッッ!!
 明らかに異常な音を立てて、ルベルのカートが超加速する!!
 ………あ、転がってたキューブがまた一つ轢かれて爆散した。 南無三。

「これが風になるということなのですね。 とても気持ちのいいものです」
 二重の加速装置による殺人的な加速の中にあっても、ルベルはまだ余裕のありそうな言葉を零す。
 だがカートのほうはそんなことはない。 この加速の中で限界ギリギリだ。
 もう少しでカートのほうが自壊しそうな殺人的加速で、ルベルは一気に一位に駆け上がる!
 これは最早ゴールが先か、自然分解してリタイアが先かの勝負だ!
「そしてここで披露いたしますのは―――【花焔乱舞】でございます」

 呼び出された火の精霊の力を借りて。
 ルベルはこの上で更に加速した!
 今まさに、ルベルはスピードの先の世界を見ているのだ!

 そしてルベルの花焔乱舞の能力は、それだけに留まらない。
 彼が走り抜けたホイールの軌跡は、凄まじい火の海を生み出していた!
「あ、焼くのはオブリビオンだけですので。 猟兵さんたちには無害な演出用の炎ですぞ」
 至れり尽くせり。
 この少年、まさに紳士的な尽くし様であると言えるだろう!

 コースを火の海に変えるのが紳士的かはさておいて。

 そうして風さえも置き去りにして、炎を撒き散らすルベルが、去り際に後方に再び特製ガムを放ちUDCキューブを絡め取っていく!
 スピードにもついていけず、動きを制限され、下からは炎で炙られるキューブかわいそう。
 そんなキューブたちに迫るのは栞のグレネードランチャーだ!
 爆音を上げて転がるUDCキューブを、栞の更なる暴力が襲う!
「よーし! そこだぁっ!」
 飛び出したのは【バンダースナッチ】―――栞のユーベルコードにして、見た目は鎖付きの鉄球だ。
 つまり先のレースでも使った、カートの装備品だ!
 ガムで固まったUDCキューブの塊を一撃し粉砕!
 そしてかろうじて生き残り、コースに転がったUDCキューブを―――なんと鎖で拘束してしまった。
「ハリーハリー! さぁどんどん行くよ!!」
 ざりざりざりっと拘束したキューブを引きずりながら栞がコーナーを駆ける!
 遠心力でキューブはコーナーの壁にぶつかっていった! かわいそう。
 更に最後に残っていた無事なキューブに、鎖付きキューブを叩きつけ、見事に両者爆散!
 ………キューブかわいそう。

「これで全部……かな?」
 徹底した破壊を行い満足げな栞。 後はレース結果だが―――

「さて皆様、ご覧あれ。 これが僕の捨て身の走りでございます」

 自らの生命を燃やし、更にスピードを上げていくルベル!
 その姿、まさしくスピードの化身。
 今この場において誰よりも熱く(物理)、早く、気高く駆け抜ける―――スピードの先の世界の、更にその先まで到達せし者!

「ゴーーールッ!! ルベル選手、圧倒的な走りで見事勝利を掴み取りましたーーーっ!!」

 司会が高らかに勝利宣言を行う!
 ルベル・ノウフィル。 今この瞬間、最速の名を手にした少年に喝采を!!

 尚、次の瞬間彼のカートは限界を迎え爆散した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ダークプルティア『ダークゼルトナ』』

POW   :    切り札切るっす、ダークネス・マスクユニオン!
自身が戦闘で瀕死になると【全身仮面だらけの自身の身長2倍の巨人】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    アンタの闇見せろっす、ダークネス・トラウマ!
レベル分の1秒で【命中した対象の過去を思い出させるコイン】を発射できる。
WIZ   :    銭こそ力っす!ダークネス・ゲルトエロズィオーン!
【闇の力を込めた大量のコインの雨】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【をコインで埋め尽くし闇の力を巡らせる事で】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシズホ・トヒソズマです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「これより表彰式を行います!」
 一位のカートは爆散しているのだが……そんな事はさておいて司会が高らかに宣言する!
「……なんて言うと思ったんっすかねえ」
 すっ―――
 不意にその表情から感情が消えると、どこから発生したやら。
 その体が金貨紙幣の嵐の中に司会は巻き込まれて―――

「もう、アンタたちのせいで計画はメチャクチャ。 なんなんっすか人の仕事邪魔してくれて!」
 長い金髪をポニーテールにした、全身黒タイツの女の姿に変貌した。

 レースクイーンの姿をした司会、久瀬・ルーナ―――彼女こそが首魁、ダークゼルトナだ!
火奈本・火花
「なるほど。司会としてであればレースの推移をみる事も出来ますし、上手い隠れ蓑と言えますね」

■戦闘
だが、優勝者が決まるまで悠長に構えていたのでは意味が無いのではないか?

我々にとっては一気に叩く好機だ
まずは牽制も兼ねて9mm拳銃を連射しよう。機動部隊による援護射撃も合わせて弾幕を張れば、機動力を削ぐ事くらいは出来るだろうしな
もちろん我々の機動力のため、カートには乗ったままだ

UDC相手にどれだけ威力が出るかは不明だが、射撃を続けながらカートをアクセル全開で突っ込ませ、機体を体当たりさせる
とはいえ轢き逃げは出来ないだろうから、ぶつかる直前で我々は車体上から飛び降りて退避しよう
「……良いマシンだった」


浅葱・シアラ
わっ、えっち、えっちで破廉恥なレースクイーンの人だ……!
皆が風になるための最高のサーキットに巣食うオブリビオンなんて許さないから!
今のシアは、風になったんだから……!

使用するユーベルコードは「エレメンタル・ファンタジア」
【炎】を【竜巻】に合成して呼び起こす、【炎の竜巻】!
灼熱のサーキットを駆け抜けるマシンはさながら灼熱の風!
そう、今のシアはこの炎の竜巻そのもの!

そんな神聖なサーキットを穢すあなたを、シアは許さない!
【属性攻撃】で炎属性を、【全力魔法】で魔法そのものを強化して、【高速詠唱】で速く、何度でも!
熱い?痛い?でもダメ……!
それが、サーキットを駆け抜けるマシン達の怒りなんだから!



「なるほど。司会としてであればレースの推移をみる事も出来ますし、上手い隠れ蓑と言えますね………しかし」
 火奈本・火花(エージェント・f00795)が正体を表したダークゼルトナへと一歩踏み出しながら言葉を続ける。
「優勝者が決まるまで悠長に構えていたのでは意味が無いのではないか?」
「そうでもないんっすよ、これが」
 はーやれやれ。 とでも言いたげに手をひらひら、首を横に振るダークゼルトナ。
「優勝者が決まる程度まで走ってもらえたら、そのホイールの軌跡が呪術的な陣を生む―――で、【最も速き者】の魂を捧げる……はずだったんっすけど」
「はず、とは」
 確かに前情報ではそのような話があった。
 ならば優勝者が決まった今、「はず」ではなく、陣ができあがったはずでは?
 素朴な疑問を浮かべた火花。
「―――決まってんでしょー! アンタたち無茶苦茶やりすぎっすコース無視しすぎっす! もう中途半端になっちゃったじゃないっすか!」
「ああ……」
 先程までのレースを思い出す。
 自分は比較的まともに走ってた―――と思う―――が、参加者の中にはコースを突き破ったり空を飛んだりする者がいた。
 言われてみれば、あれでは正しいホイールの軌跡は描ききれてはいまい。
「それはご愁傷様です。 しかし我々の目的は儀式の阻止だったので結果オーライというところでしょう」
 チャキッ―――油断なく拳銃を構えた火花に、鼻で笑う仕草のダークゼルトナ。
「阻止? 確かに半端に終わったっすけど―――もうすぐ完成には違いないっすからね?」
「……何?」
 ニヤリと笑うダークゼルトナが、ぱちんと指を弾き鳴らす。
 するとどうだ―――なんとコース上に、見るからに改造されてるカートが一台降ってきた!
「足りない軌跡はアタシが描けばいいんっすよ! そこで見てるといいっす!」
 ハーッハッハッハァ―――次第に遠くなる笑い声に、咄嗟に火花がマシンに乗り込む!
「これは……誘いですか」
 ここで自分たちが乗って追いかければ、陣の完成を早めることにもなるかも知れない。
 しかし、見た限り先程のダークゼルトナのカートは、それほど速くはない。
 ―――ならば。
「誘いに乗ってあげましょう、ダークゼルトナ。 その上で、最速で貴女を止めます」

 グォンッ!!
 勢いに乗って走り出した火花のレースマシン。
 そして一緒に駆け出した猟兵がもう一人―――浅葱・シアラ(黄金纏う紫光蝶・f04820)だ。
「皆が風になるための最高のサーキットに……巣食うオブリビオンなんて許さない、から……!」
 誰よりも楽しんで風になっていた彼女ゆえに、悪しき儀式でサーキットを汚すダークゼルトナを許すことができない。
 それを止めるためにシアラは今一度、
「今のシアは、風になったんだから……!」

 再びサーキットを駆け抜ける、一陣の風になる!

 フェアリー用のゴーカートで全くパワー負けしていないのは、精霊たちと共に走っているからか。
 文字通り【風を味方につけた】シアラがダークゼルトナに迫る。
「来たっすね……? アタシの走りは邪魔させないっすよ!」
 先頭を走るダークゼルトナ、その後ろにシアラ、火花と続きコーナーに差し掛かる!
「銭こそ力、銭の力を思い知るっす!ダークネス・ゲルトエロズィオーン!!」
 ダークゼルトナが高らかに宣言し右手を掲げると、コーナーに大量のコインの雨が降ってきた!
「ひゃっ……あ、危ない……!」
 コインにタイヤを取られては事故に繋がる―――必死にハンドルを握るシアラ!

「シアラさん、恐れずに最短距離を進んで下さい」
「……え?」
 背後から聞こえた火花の提案を耳にして、軽くまばたきを見せるシアラ。
 どういうことなのかは説明してる時間もない。
 すぐにこちらもコインだらけのコーナーに入るのだ。
 それも恐らくただのコインではない。 ダークゼルトナのテリトリーであろうコインエリアにだ。
「……っ。 信じる、から……ね……!」
 返事を待っている場合ではない―――アクセルを踏みコーナーに突っ込むシアラ。
「機動部隊、構え。 くれぐれも彼女に当てないように」
 火花のマシンに同乗した隊員二名が合図を受けて、グレネードランチャーを構え―――シアラの斜め前方目掛けて撃つ!

 ドォンッ! ドォンッ!

 二度響く爆音がコース上を穿つ。
 訓練された機動部隊の狙いは完璧で、シアラの予測進路上のコインを吹き飛ばしていく!
「っ! ……ありがとう……!」
 全速力で駆け抜けていくシアラ!
 火花の方はシアラより大型のマシンだ。
 シアラが通れる程度にコインを吹き飛ばした程度では足りない。
「我々も続くぞ」
 宣言に答え、再び機動隊員たちが道を開いていく―――

「げっ……もう追いついてきたっすか」
「あんな妨害……シアたちには通じないんだから……!」
 ぐんぐんとスピードを上げて距離を詰めるシアラ。
 一刻も早くこのマシンの足を止めなければならない!
「それに―――コースに物を投げ入れちゃ、いけないんだよ……危ないんだ、から……!」
 そう、それはマナー違反だ。 司会であったダークゼルトナが犯した違反なのだ。
 
「そんな神聖なサーキットを穢すあなたを、シアは許さない!」
 怒りに燃えるシアラを体現するかのように、彼女の纏う風が炎を帯びていく!
 今やシアラは、炎を纏う竜巻そのものとなってダークゼルトナに迫っていた。
「熱ッッちょっと寄るんじゃないっすよ!」
 慌ててハンドルを切って離れようとするダークゼルトナだが―――その腕がふと動きを止めた。

 いや、【止めさせられた】。

「おわっ!? ちょ、これなんっすか!?」
 不意に後方から飛んできた爆発物がダークゼルトナのマシンを爆風で覆い―――
 それが晴れたと思いきや、ワイヤーが彼女の左腕を縛っているではないか!
「追いつきましたよ。 追いかけっこは終わりにしましょうか」
 そのワイヤーの出処は、後方から追いついてきた火花だ。
 宣言するなりブレーキを踏み込む!
「痛い痛い痛い痛いっ! ちょ、止まるなっすよ!!」
 自分のカートと火花のマシン、その双方に引っ張り合われる形になったダークゼルトナが悲鳴を上げる。
 それでもなお進まんとする彼女だが、大幅にスピードダウンしたところを襲うのはシアラの炎だ!
「熱い?痛い?でもダメ……!」
 怒りの炎と嵐、それは何重にも重なり、次第に大きくなって、ダークゼルトナを飲み込んでいく。
「それが、サーキットを駆け抜けるマシン達の怒りなんだから!」
 シアラが叫ぶと同時に一際強くなった炎の嵐が、ダークゼルトナのマシンを完全に包み込んだ!

「熱っってかちょっとこれヤバいって!」
 このままでは機体が爆発するのでは―――迷いがダークゼルトナの動きを鈍らせたその瞬間!
「各員は退避。 突っ込むぞ!」
 ぐぉんっ!!
 火花の宣言と共に、減速から一転して急加速する火花のマシン!
 さすが機動隊員は冷静だ。 指示を受け加速の前にマシンから飛び降りていた。
 彼らが見守る中、火花はぎりぎりまでマシンを加速させ―――
「マシンと共に一緒に散れ、ダークゼルトナ」
 宣言と共に、火花はマシンから飛び降りた!

「あ? ……いや待てってそのマシンこそ火の中に飛び込んできたらヤバ」
 ダークゼルトナのカート、火花のマシンの全速力体当たりを受けてぐにゃりとひしゃげ―――

 ドゴォォォンッ!!

 そのまま二機ともに爆散!
「良いマシンだった……」
 その最期を誇らしく見つめ、黙祷を捧げる火花。

 濛々と立ち込める爆炎の中から、ダークゼルトナがコース上に転がった。
「……や、やってくれたっすね……!」
 純粋な質量からの体当たりに加えシアラの炎に焼かれ身体のあちこちが焦げた様子を見せているものの、さすがにオブリビオン。
 ふらついてはいるものの、未だ平然と立ち上がった!

 ちなみに、シアラの怒りはもっともであるのだが。
 そもそも猟兵たちが爆発物を投げ入れたりしてたとか、そのあたりのことは決してツッコんではならない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルベル・ノウフィル
なんと、司会のお姉さんご乱心

早業の念動力によるトンネル堀りで僕は戦場に地下通路を開通しましょう
それはもう生命を燃やすが如き勢いで死ぬ気で全力で掘りましょう

味方の皆様、地下通路を防空壕の如くご活用くださいませ
入り口には彩花を念動力でプカプカ浮かべましょう
猟兵には暖簾のように無害なこの霊符、敵が触れるとザックリ牙を剥きますぞ

コインの雨は地下に逃げ込んで避け
コインで埋め尽くした地形も掘ってボコボコに崩してしまいましょうぞ
お姉さんの足元も僕がトンネルで崩して差し上げましょう

写夭:
【掘った大量の土】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を掘って崩しまくり】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。


片瀬・栞
やー。一般人の人たちより速度だけは出てたよ
レースにはなってなかったけど
ん。ともあれ、あの人が今回の黒幕かな
やっつけてしまおう!
>行動
【POW】共闘アレンジ歓迎
武器は戦術端末「JB」から取り出して使用
敵本体はサブマシンガン2丁で対応。撃ちまくれー!

>敵の切り札
人型ってだけで何処が急所か判らないね
判らないから手あたり次第かな
「JB!はんまー!」
『set.activated(用意できてるぜ)』
【ダッシュ】【スライディング】で攪乱
巨人の足にUC【レンの蜘蛛の脚】を使用。脛を強打
「ランバージャックね。倒れるまで打つ!
ちょろちょろ走り回って足をがっつんがっつん叩く
倒れたら頭!アッパースイングで叩こう!


東雲・円月
久瀬ルーナ……ダークゼルトナ……
なんでこういうのって名前を捩った感じにするんです?
完全に別の、田中フラワーガールとかにすれば完璧なのにな

さて、ここからはカートなしでいいってことで、降りて戦いますか
命のレースを始めましょう、貴方を栄光の一位でゴールインさせてあげますよ!

俺はダッシュに怪力、二回攻撃に衝撃波、ほらほら、息をつかせない連続攻撃ですよ!
って、なんかデカイの呼び出しましたね……そうだッ!

カートに乗り込んで突撃、そのまま激突間際でジャンプ!
カートを突っ込ませつつ、蹴りながら斧を振れば!
正面と上からの二面同時攻撃、どうですかッ!
名付けてサンダーボルトソニックッ!ウェエエエーーーイッ!



「もう完全に儀式はダメになっちゃったじゃないっすか……どうしてくれんっすかね、これじゃあ金が降りてこないっすよ!」
 大事なのは金の問題らしいダークゼルトナ。
「貴方はレースそのものには本当に興味なさそうですね」
 東雲・円月(桜花銀月・f00841)が呆れたような様子を見せながら、大斧を担いでダークゼルトナへと歩み寄ってきた。
「そりゃあ地獄の沙汰も金次第……レースだって金次第っすよ」
「そうですか。 じゃあもう一つレースに付き合って頂きますよ」
 大斧を油断なく構える円月。 口ぶりこそ軽いが、今の彼は真剣だ。
「命のレースを始めましょう―――貴方を栄光の一位でゴールインさせてあげますよ!」
 見た目に反したスピードで、円月がダークゼルトナへと斬りかかった!

「! 避けましたか……しかし!」
「やれるもんならやってみろっすよ。 そのレーズならアタシは最下位した取ったこと無いっすからね!」
 その動きは見た目の印象通り、まさしく怪盗と行ったところか。
 アクロバティックな動きで大斧を斬撃を躱していく!
 しかし彼女の見込みが甘かったのは―――円月が思った以上に早く、そして執拗だったことだろう。
「し、しつこいっすよ―――ってうわ危なっ!!」
 当たれば吹き飛ばされそうな大斧でありながら、ダガーもかくやという怒涛の連撃。
 更には振り下ろした大斧が、衝撃波を生みサーキットを抉っていく!
「そちらもなかなか速いですね」
「こう見えても……いや見た通りに見えるかもしれないっすけどね、足の速さには自信があるんっす」
 一度止んだ攻撃に一息着いたダークゼルトナ。

 ―――だったが、落ち着かせなどさせない。
 そう言わんばかりに襲いかかる銃弾の嵐!

「うわ、ちょっ危な!―――くっ!!」
 慌てて回避したダークゼルトナが睨む先―――片瀬・栞(アラクニド・f17024)がサブマシンガンを二丁構えている!
「うわ避けるんだ。 ……どこ撃ったら効果的かわからないからバラ撒いてみたのに」
「どこ撃ったって痛いに決まってるっす! あーもういい気になるなっすよ!」
 地団駄踏んでいたダークゼルトナが―――ニヤリと笑う!

「もう容赦ゼロっす。 切り札切るっすよ―――現われろ、ダークネス・マスクユニオン!」
 パチィンッ―――高らかに指を鳴らすダークゼルトナ。
 それに呼応するように空間が歪み、現れたのは……巨人だ!
 彼女の2倍の身長はあろうという、全身仮面だらけの巨人がサーキットに降り立った。

「なんかデカイの呼び出しましたね……!」
「とにかくやってみるよ。 撃ちまくれー!!」
 宣言と共に栞のサブマシンガンが一気に火を噴く!
 ズガガガガガッと小気味よい音を立てながら無数の銃弾が巨人を襲う―――が!
「無駄、無駄っすよ! こいつはすっごい強いんっすからね!」
 巨人を覆う仮面が弾丸を悉く弾き返す。
「さぁ思い知るっす! アタシより二倍でかければ量も二倍! 銭こそ力、ダークネス・ゲルトエロズィオーンッ!!」
 ダークゼルトナと巨人が全く同じポーズで天に右手を掲げると―――黒い光を纏ったコインの雨が降り注ぐ!
「う、うわっ」
「ちょ、っとやばい……?」
 栞と円月が僅かに反応を見せた直後―――
 大量の黒いコインが彼女たちの立っていた場所を覆い尽くした!

「よーしよし、さすがアタシだね!」
 いえーいとガッツポーズをとるダークゼルトナ。 巨人も同じ仕草で嬉しそうだ。
 そうしてコインが敷き詰められて生まれた己のテリトリーを足取り軽く歩くと……ふと目につく物があった。
「ありゃ、なんっすかこれ」
 それは、お札だ。
 どこから迷い込んできたかも知れないお札が、コインの上に浮いている?
 興味を惹かれお札に近寄り手を伸ばすと、

 ざくり。

「いったーーーーーーーい!!?」
 触れたダークゼルトナの腕が、ざっくり斬れた!
 その声を合図にするように爆発が、地を覆っていたコインの一角を吹き飛ばす!
 そこからひょっこり顔を見せたのはルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)だ。
「そのお札、心の悪い者が手を触れるとザックリ牙を剥きますぞ」
「そういう事は先に言うっす!!」
 抗議を聞き流すルベルの後ろから、グレネードランチャーを携えた栞―――コインを吹き飛ばした爆発はこれか。
 それと大斧を携えた円月が、【地面の下から】姿を見せる!

「な……地下に逃げて逃れたんっすか!? ここ地下とか無いっすよ!?」
「なかったら作ればいいと思いませんか。 もう生命を燃やすが如き勢いで。 死ぬ気で全力で掘りました」
 自分のカートが爆散して炎に飲まれて以降、こんなこともあろうかと地下迷宮を建設していたようだ。
 どんな事を想定していたのかは不明だが。
「無茶苦茶言うっすね!?」
 ツッコミに忙しいダークゼルトナをよそに、栞と円月が再び戦闘態勢に移る。
「いやぁ助かりました。 これ知ってますよ、防空壕というやつですね」
「まさか自分でお世話になる機会があるとは思わなかったけどね」
 無傷の二人を見て、憎々しげに表情を歪ませるダークゼルトナ。
 まだだ、まだ自分は優勢。
「二度はそんな手使えると思うなっすよ! やるっす!」
 巨人が1歩を踏み出して、
「あ、そこ」
「……へ?」
 ルベルがぽつっと呟いた「そこ」―――巨人の一歩目は、
 
 ”ずぼっ” ”ぐらっ”

「あーーー!?」
「そこは落とし穴になってました。 地下道を掘った、って言ったのに迂闊ですぞ」
 右足を捕らわれた巨人!
 グラリと体勢を崩し、左足で身体を支える形に。

 その無防備なおスネちゃんに迫るのは勿論、猟兵の魔の手だ!

「JB!はんまー!」
『set.activated(用意できてるぜ)』
 栞の呼びかけに応えた戦術補助端末【JB】が、トゲトゲの着いた物々しい大型スレッジハンマーを彼女の手へと喚び出す!
 それでスネを殴打されたらそれはすごく痛いだろう。
 そして襲いかかるのはそれだけではない。

「さぁさぁ! 二面攻撃をとくとご覧あれ……行きますよ!!」
 円月がなんと斧を片手に、改造カートに乗って突っ込んできた。
 最大速度を乗せて突っ込む―――と見せかけて、
「とうっ!! まずは下からカートッ!!」
 直前で円月は、飛んだ! カートだけが、まっすぐに巨人の膝を狙う!

「ランバージャックね。倒れるまで打つ!」
 栞のえげつないハンマーが!
 円月の全速力で突っ込むカートが!
 同時に巨人の左脛を強打する!!

 巨人がしゃべらない存在で良かったかも知れない。
 もしソレが言葉を発する存在だとしたら、きっと猟兵諸君の心に永遠に残る、悲痛極まりない声を上げていた事だろう。

 声なき巨人が、きっと泣き崩れていることだろう―――強烈な打撃に頭を垂れた、そこに。
「そして上から斧ッ! これぞ名付けて!! サンダーボルトソニックッ!!!」
「いっくぞー! 全力アッパースイングッ!!」
 円月と栞の、容赦のない大斧とスレッジハンマーによる上下からの頭部への挟み撃ち!!

 ………攻撃の結果?
 食欲が減衰することは保証できるので、詳細は割愛させてもらおう。
 とりあえず、巨人は確かに討ち果たされたのだ。

「な……く、アタシの奥の手が……!」
 切り札たる巨人を倒されたダークゼルトナが呻きながら後ずさる。
「さて、残るは司会のお姉さん、貴方だけになりますね」
 別に武器を構えているわけでもないルベルの死刑宣告に、軽く怯えた顔を見せたダークゼルトナだったが、それも一瞬だ。
「ふ―――ふふっ! こう見えてもっていうか見たとおりかも知れないっすけど、アタシ逃げ足には自信あるっすからね!」
 一周回って開き直ったか、両手を腰に上げて宣言する!
「今日のところはこのくらいにしておくっすよ―――それじゃあさよならっす!」
 そうして一歩二歩と後ずざり、

「あ、そこ」
「……へ?」
 ルベルがぽつっと呟いた「そこ」―――ダークゼルトナが後ずさったその場所は。

 ”ずぼっ” 「あーーーーーーーっっ………」

「………落とし穴でございます。 ええ、足元にはくれぐれも注意でございますぞ」
 遠く遠く、フェードアウトしていくダークゼルトナの悲鳴に、ぽつりとルベルが応えた。
「あの、底に激突した音が聞こえてこないんですが……深さはどれくらいですか?」
「それは―――企業秘密でございますぞ。 とりあえずとっても深いのです」
「えっ。 ええ、はい分かりました」
 深く聞かないほうが良さそうだ―――円月がそっと心に決めた横で。
「ま、まぁ……とりあえず! この穴塞いじゃえばあたしたちの勝ちって事で!」
 栞が埋葬を宣言する。

 かくして首魁・ダークゼルトナは埋葬され―――無事に儀式は阻止されたのだ!

「ところで―――久瀬ルーナ……ダークゼルトナ……。 なんでこういうのって名前を捩った感じにするんです?」
 せっせと地下道を塞ぐ作業の途中、円月がぽつりと疑問を零す。

「完全に別の、田中フラワーガールとかにすれば完璧なのにな……」
「いやそのネーミングは無いと思うね」「いやちょっとそれは無いですぞ」

「えっ!?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月04日


挿絵イラスト