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ダイスが躍る物語の御茶会

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 深い青の水底のような迷宮のフロア。
 揺らぐ光が真白の花を美しく輝かせる。
 あたりを浮遊するように泳ぐのは紅色の鰭(ヒレ)を持つモノ達。
 ぷくぷくと泡を立ち昇らせて、揺らぎ光る天蓋でパチリと弾ける。
 ソコで始まるのは小さな御茶会。
 青いフロアにふたつの色を内包させた小さくも大きな存在達の御茶会――。

「グリモア猟兵チャンネル、略してグリチャン!!始まっちゃうかな!!」
 紫の大きな瞳でパッチリとウインクをしてアサノ・ゲッフェンルーク(白耀の魔筆士・f00499)は白いマントを翻す。
「まぁ、流行らないのは知っているからいいとして……ずばり、アルダワ魔法学園の迷宮へ向かってほしいかな!!」
 アルダワ魔法学園のいくつも存在する迷宮のひとつ。ソコを探索している生徒をオブリビオンが襲撃しようとしているらしい。
「猟兵の皆にはまず迷宮に向かってもらって、そこで御茶会をしてほしいかな」
 不意にアサノの口から出た言葉に、幾人かの猟兵が首を傾げる。
「おかしいことじゃないかなぁ。生徒達が迷宮の奥へ進んだ後、フロアをまるまるひとつ、迷宮にいる精霊達が作り替えちゃってね、そこで御茶会をして暇を持て余しているみたい」
 奥へ進むための扉には精霊が封印を施している為、先へ進むことは難しく、何とかして御茶会をしている精霊達の機嫌をよくして封印を解いてもらわなければならない。
「あーっと!!でもね、力づくで精霊さん達をどうこうしようとか、考えたらだめだよ?」
 精霊達はどちらかといえば好意的である。それが敵意に変われば何が起こるか、どうなってしまうかはわからない。
「だから穏便に、友好的に、精霊さん達を満足させて欲しいかな」
 お願いかなぁ、とアサノは波と泡が形を成したような杖を両手で握り、にっこりと猟兵へと告げる。
「オブリビオンに襲撃されたら、学園の生徒ではどうにもならないから……」
 生徒達の安全のためにも、オブリビオンを討伐してほしいと、アサノはクルリと白い装束を翻して頭を下げる。
「先へ繋がる生徒たちが過去に潰されないように、今を守ってきてほしいかな」
 よろしくお願いします、と言葉を発したのち、再び笑顔を浮かべアサノは猟兵に手を振って見送った。


阿離磨
 描写力を強化したいと思いながら最近本を読んでいます。
 はじめまして、お久しぶりです、こんにちは、こんばんは。
 皆様に混沌をお届けしたい、阿離磨(ありま)と申します。
 今回は混沌はお届けしませんまた今度です。

 世界はアルダワ魔法学園の迷宮。
 第一章の情報はアサノが出した通り。
 注意する点も同じです。
 それでは、ご縁がありましたら、ぜひよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『暇を持て余す精霊達と遊ぼう』

POW   :    身体を使って挑戦。<楽器演奏>や<歌唱>など、場を和ませて楽しんでもらおうか。

SPD   :    技術を使って挑戦。<料理>や<パフォーマンス>など、技術を使ってご機嫌を取ってみようか。

WIZ   :    知恵を使って挑戦。<世界知識>や<優しさ>など、感性や知恵で満足させてみようか。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●精霊戯曲

 足を踏み入れればふわりと立ち昇る心地よい風が頬を撫でる。
 目に映るは水底のごとき青の空間。
 揺らめく光の屈折が鮮やかなカーテンのように降り注ぎ、水底と見間違う部屋を照らしていた。
 宙を漂う赤い布は何かと目で追えば、それはレースのような薄い鰭(ひれ)を揺らす紅色の浮遊魚が猟兵を歓迎するように周りでふわりと泳いで回る。
『――□□□□□――』
 不意に耳に響く“音”が聞こえ、そちらへと視線を向ければ、白の花々に囲まれたスペースにいくつかの白いテーブルとイスに座り、手招きをしている精霊達の姿があった。
 魚の下半身を持つモノ、背中に翅の生えたモノ、頭に角を生やしたモノ。
 異なる姿の精霊達がそうして集まっているらしく、御茶会に使っている空間で猟兵の来訪を歓迎しているようだった。
『□□□□――?』
 精霊は聞きなれない音を口にするが、その言葉の意は猟兵心にも伝わった。

――アナタ達はどんなコトをしてくれるの?

 赤い瞳をした精霊が楽しげに猟兵達を見つめると、それを真似するように色とりどりの宝石のごとき精霊の眼差しが、猟兵を捉えた。
「□□□――?」

目を細めて笑っているように見せる精霊は、小さく首を振る。

――難しいことはない。できることをして見せて?

こんな風に、と指を揺らめく水面に向けると、ひらひらと白い花びらが舞い落ちてくる。
青の中に閉じ込められた白と赤は幻想的に輝いていた。
カミリア・オリヴィオン
【WIZ】
・心情
精霊ですわね。
悪魔であるわたくしとお話しは合うのかしら?

・話し
「こんにちは、精霊の皆様。わたくしは悪魔のカミリアと申しますわ」
一礼して、とりあえず自己紹介でもしておきますわね。
「知っていますでしょうか? 精霊の皆様が囁く様に歌声を響かせて言葉を交わす生き物を」
人形ですが『金糸雀』を取り出して、『世界知識』を使い歌う様に様々な鳥の鳴き声を出しますわ。
「世界中の鳥の声を聞いてくださいませ。数えきれないほどに世界で奏でられている素敵な音楽を」
金糸雀はただ歌い続けるだけですわ。
妖精が不満そうにしていたら素直に謝りますわ。

※無表情ですが、多少なりとも言葉に感情を込めたりはします。



●七つの音色も足りない歌に


 青にふたつの色を内包した空間に、静かな金色の輝きを纏う者が現れた。
 宵闇でも輝きを放つような金糸の髪の毛からのぞく、大きく湾曲した2本の角を見た精霊達はキョトリ、と目を瞬かせる。
 ドレスを翻しながら彼女はお辞儀するように頭をさげる。
「こんにちは、精霊の皆様。わたくしは悪魔のカミリアと申しますわ」
カミリア・オリヴィオン(人工悪魔・f01650)の丁寧な自己紹介を見た好奇心旺盛な小さな精霊は、カミリアの真似をしているのだろうかクルンとまわってお辞儀をする仕草を何度か繰り返す。
 赤い目をした精霊はそれぞれの動きを見て口元に笑みをつくると、カミリアの紫水晶(アメジスト)の瞳を見つめる。
 それは無言の催促。カミリアがいったい何をするのか、気になっているということだ。
「知っていますでしょうか? 精霊の皆様が囁く様に歌声を響かせて言葉を交わす生き物を」
 声に楽しさを含んだカミリアの問いに、角の生えた精霊と羽根の生えた精霊は顔を見合わせ同じ動きをしながら首を傾げる。他の精霊達もカミリアにはわからない音を発してその生き物は何かを話し合っているようだ。
 そんな精霊達を見回し、彼女は人形の『金糸雀』を取り出して見せると小さな子供のような精霊達はもっと近くで見ようと目を輝かせて近づいてくる。
 これはなにか、と視線を向けていると、突然『金糸雀』の口が開き、歌うような鳴き声を発する。ソレはいくつもの鳴き声を発して歌い続ける。
 知らない音。知らない歌。その歌声は確かに精霊達の感性を打ち、響かせた。
「世界中の鳥の声を聞いてくださいませ。数えきれないほどに世界で奏でられている素敵な音楽を」
この歌に他の音を混ぜる必要はない。ソレは精霊達にもわかることだった。
美しい歌に聞き入ると精霊達の表情は、真剣で、それでも満足な楽しさを感じているとわかる不思議な空気がカミリアの肌を撫でた。

「□□□□、□□□――」

 赤い目の精霊は優しい微笑みを浮かべて音を発する。

――とても素敵な音楽だった。……次はどんなことかしら。
 赤い目の精霊はそっと視線を滑らせて、次にやってくるであろう誰かを見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仁上・獅郎
精霊との戯れ……なら手抜きはできませんね。
僕からは“春の再現”をお見せします。

学園ならば、無機物には困りませんね。
仰々しく腕を振るえば、物質が次々に光と風に変換され――光が花となる。

まずは草花。
黄色い菜の花、ピンクの撫子、青い勿忘草、空色のネモフィラ。
淡い色が床一杯に花畑を広げます。

次は頭上をご覧あれ。
梅や桜、桃や花水木、樹木に咲く花々。
輝く花弁が降っては風に踊り、宙を舞う。

草花の間から、壁面から、背の高い色鮮やかな花を。
白や黄の水仙、赤い牡丹、紅の薔薇が伸び上がり顔を覗かせる。

再度腕を振るえば、全ての花が宙を舞い――
最後に指を鳴らせば、全て弾けて光の粒へ、元の物質へ。
さて、いかがでしょう?



●百花開々

 黒色の髪がふわりと揺れる。まるで波に遊ばれているかのように。
 瑠璃と宵闇、ふたつの色を持つ仁上・獅郎(片青眼の小夜啼鳥・f03866)は懐中時計をひと撫でして精霊達を見た。
「精霊との戯れ……なら手抜きはできませんね」
「□□□、□□□――?」
 赤い瞳の精霊が音を発するよりも早く、緑の瞳をした長耳の精霊が獅郎へ何言かを発する。獅郎は穏やかに微笑みを浮かべると、仰々しく腕を振るう。
『小寒から巡りて穀雨に至る、咲き散る花の引廻。春の兆しは此処に在り。届く香りは二十と四。花開くを風告げる。此れなる表題は、そう――』
 青い水底の風景のいたる箇所で、光が、風が、ふわりふわりと呼び起こされる。そして、呼び起こされたその現象は、色鮮やかに変化する。
「まずは草花から」
 白色の花々以外に色を持たなかった石畳が萌え、黄色い菜の花やピンク色の小さな撫子に青い勿忘草、空色のネモフィラと、淡く鮮やかな花畑が床一面に広がる。
 美しく広がる光景に小さな精霊達は目を輝かせる。その様子を見て獅郎は腕を高々と伸ばす。
「次は頭上をご覧あれ」
 その言葉につられ、精霊達は水面が揺蕩う頭上を好奇心いっぱいの瞳で見上げると、小さな梅に桜の花、桃に花水木。それは樹木に咲く花々が風と波に踊り、その花弁を輝かせて雪のように降り注ぎ、宙を舞う。
「そして次は……」
 獅郎が軽く腕を振るうと、草花の間から、壁の隙間から。
 白や黄色の水仙がふわりと咲き、赤い牡丹や紅の薔薇が伸びあがり、美しい姿を見せる。
「□□□!!□□□□!!」
 色鮮やかにくるいくるりと変わる光景に、精霊達は驚きと喜びを隠さない。手を叩いて拍手をし、泳げるモノや飛べるモノは花びらと共に宙を踊り、知識よくが強いモノは見たことのない花々を見て顔をほころばせる。
 最後に獅郎が両腕を広げて、指揮者の様に腕を振るえば、全ての花が美しく宙を舞う。
 その光景はまさに絶景。そこにいた精霊達の目が見開かれる。
 パチン、と指を鳴らすと、美しい光景はすべて光の粒子になり、元の青い水底へと戻っていた。
「さて、いかがでしょうか?」
 赤い瞳の精霊に獅郎が声をかけると同時に、言葉として認識ができない、しかし喜びと嬉しさを伝えようと、精霊達が拍手や歌を彼に送った。
――すごい!!すごい!!
 そう伝えるかのように。

「□□□、□□□」

赤い目の精霊も、ゆるりとした動作で拍手をし、満足そうに笑顔をみせる。
――私たちの知らない光景をありがとう。とても美しい時間でした。
 次はどんな楽しい時を過ごせるのか。精霊は視線を滑らせて、次の楽しさを待った。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 楽しいわ。たのしいわ。
 それは精霊達が想ったコトだった。
 迷宮の外に出ることがなく、狭い知識とヒトとはちがう意識がどれほどのものだったのか。
訪れたその『存在』に、精霊達は久しく忘れてしまっていた『楽しい』という想いを思い出していた。
たのしい、けれどもけれども。
――まだ足りないの。
セリア・エーデルワイス
シホさん(f03442)と

精霊さんとのお茶会…なんだか不思議な話ではありますが、戦わずに穏便に済ませる話であればそれに越したことはありません。
シホさんと共にここは向かいましょう。
お茶会も大事ですが、任務も忘れずに…ですね。

紅茶やサンドイッチなどの準備はシホさんに任せようと思います。
なんて手際の良さ…思わず見習ってしまいたくなるほどです。
ではその間、私は精霊さんからお話を伺ってみましょう。
勿論機嫌は損なわせず、上手く引き出させて聞き手に回ろうと思います。

その後は【歌唱】で精霊さんの前で歌を披露しましょう。
シホさんの伴奏と共に、心地よく歌い上げます。

※アドリブ歓迎


シホ・エーデルワイス
【セリアさんと】
アドリブ歓迎

精霊さん達のお茶会ですか…
最近過酷な戦いが続いて疲れていたところですし、
丁度良い機会ですからセリアさんをお誘いして向かいます。

そうですね。話合いで解決できるのが一番です。

も、もちろん本来の目的も忘れていませんよ。


【供宴】で紅茶とサンドイッチをご馳走します。

茶葉は相性を考えてニルギリ、
サンドイッチはトマト、レタス、ハムにドレッシングを和えてみました。

褒めて頂き照れつつお礼を述べます。


普段シスターを務めておられるセリアさんのお話もステキですよ


後はセリアさんの歌にリュートを<優しさを込めた楽器演奏>で伴奏します。

<動物と話す>で精霊さん達と話せたら感想を聞いてみたいです。



●心と想いをスパイスにして

 続いてやってきた2人の少女に、小さな精霊達は興味津々といった様子で飛び回っていた。シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は、持ち込んだ綺麗な編み目のバスケットに鮮やかな色合いの敷布に座り、バスケットの中から食材を取り出す。それは食材であるのだということしかわからぬ精霊達の目にどう映ったのだろうか。
 首を傾げてシホの周りを飛び回る羽根の生えた小さな精霊達を見て、セリア・エーデルワイス(善白に満ちて・f08407)は小さな微笑みを浮かべた。
『捧げるものシホ。感謝を込めておもてなし致します』
ナイフを手にして、赤い実りと黄緑の葉を丁寧に切りそろえ、ふわふわとした香りのいい白い食材と薄いピンクの肉の塊を危なげなく取り扱い、シホはその場で調理を始める。
(精霊さん達のお茶会ですか……最近過酷な戦いが続いて疲れていたところですし、丁度良い機会でしょうか)
 ナイフを動かす手を一度止めて、シホはセリアに青い視線を向ける。セリアは精霊達に言葉をかけて反応を待ちながら、頷いたり首を傾げて見せている。
(精霊さんとのお茶会……なんだか不思議な話ではありますが、戦わずに穏便に済ませる話であればそれに越したことはありません)
 とはいえ、とセリアは少しだけ苦い笑いを浮かべる。彼女が言葉を投げれば、精霊達は反応を見せ、同じように何かしらを返してくれる。しかし、それはセリアとシホにとっては言葉というよりも『何かの音』に近い認識となるものであった。精霊の反応や発せられる音色から、機嫌は悪くないのだとわかるが『会話』としての機能が果たせているかは、少々判断が難しいところであった。
 しかし、精霊達の意識がセリアとの話よりも、その横で座って調理をしているシホの手元に向いているのが分かると、セリアはポンと手を打って同じ様にシホへ視線を向けていた。
「なんて手際の良さ……思わず見習ってしまいたくなるほどです」
『□□□!!□□□――?』
「そうですね、何ができるんでしょう? 楽しみですね」
 セリアが精霊達と褒めると、唇を少し緩めてシホは照れたように頬を染める。
「……褒めても、出るのはサンドイッチと御茶だけですよ」
 そう言って用意されたのは、柔らかなパンに具材を挟んだサンドイッチに、香りのよいニルギリの紅茶だった。
 セリアとシホが手分けして精霊達にサンドイッチと紅茶を渡して回ると、精霊達は様々な反応を見せる。
 パン生地の感触に驚いたり、紅茶の香りに目元を緩ませたり、なぜ挟んであるのだろうとパン生地をめくってみようとしたり。
 多種多様な反応に2人は顔を見合わせて、クスリと笑い合う。
 いただきます。
 シホとセリアが手を合わせてそう言葉にすると、一瞬の間を開けて精霊達もそれに習い、2人を真似して手を合わせて音を発する。
 柔らかなパンを食み、挟まれたみずみずしい野菜をシャキリと鳴らし、しっとりとした少し厚く切った紐巻きハムを噛み千切り、咀嚼する。
「さすがシホさんです。とっても美味しいです」
「……ありがとうございます」
 セリアに頭を下げて照れながら礼を言い、シホは精霊達の反応を見る。口に合っただろうか、と少しの心配を抱いていたが、サンドイッチと紅茶を拙く『食べる』精霊達の姿や表情に、それが過ぎた心配であったことを知り、安心したように微笑みを浮かべた。

 食事を終えると、シホはリュートを取り出し、音の調整を行う。セリアもそれに合わせて喉から涼やかな声を発すると、精霊達は静かに2人へ意識を向ける。
 静まった青の空間に、波を揺らすように響き渡る歌声と演奏は、まるで魔法の様に部屋の中に広がっていく。
 互いの音に同調し、思いやる様に重なり合う美しい曲に、精霊達は目を細め、その様子を愛おしそうに眺めていた。

「□□□――□□□、□□」

 曲が終わると、赤い瞳の精霊が緩やかに微笑みを見せる。優しく、喜ぶようなその表情が、シホとセリアに感謝を向けていることがわかりやすいほどに。



 それが合図だった。白い花々は淡い光の粒子となって解けると、それは何もなかった空間へと集まり、形を作っていく。
 白く美しい装飾がされた光の扉に瞬くような時間だけ意識を向けたその間に、精霊達の姿は消えていた。
 御茶会に満足をしたのだろうか、と無粋なことを口にする者はいない。
 音もなく開かれた光の扉を潜り抜けて、猟兵達はその先へと進み始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『叡智なき書の迷宮』

POW   :    体力に物を言わせて踏破する。

SPD   :    蔦を使ったり、本を引き出し足場を増やす等の工夫で攻略する。

WIZ   :    本の並び等に規則性を見出し、出口を探す。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 無数の書物の迷宮、そう形容するのがふさわしいであろうか。
 上も下も出鱈目な本棚と木の迷路に足を踏み入れた猟兵は目を瞬かせた。
 迷宮の中であるというのに明るい天井を見上げれば、巨大な木の根が絡み合い、その中に太陽の様に輝く白い光を内包していた。
 巨大な図書館と感じるが、何処からか聞こえる水のせせらぎや鳥の鳴き声が、非日常のようなアンバランスさを感じさせる。

 周りを見回せば頁を翼の様に広げて本が飛び回っていたり、思い出したかのように木々が本棚を孕んだまま移動し部屋の構造を変えるように動くそぶりを見せる。

 やはりここはアルダワの迷宮。
 一筋縄ではいかないようだ。
セリア・エーデルワイス
シホさん(f03442)と

無数の書物で成り立つ迷宮…図書館のようでありながらどこか自然も感じさせる、というのはなかなか幻想的ですね

この場所もただ適当に本を並べられている感じではないような気もしますが…本の題名や内容にヒントが隠れてるのでしょうか
【世界知識】で並べられた本の内容から答えを探してみましょう

シホさんからは離れないよう、手を繋ぎながら動いていきます

どのような本を読むのか、ですか?
小さい頃から教会で種類問わず色んな本を読んできましたが…花にまつわる物語やお伽噺が好きです。

…そうでしたか。ではいつか、その記憶に眠った本も探してみましょうか。
物語に触れれば、きっと誰かを思い出すかもしれません


シホ・エーデルワイス
セリアさんと
アドリブ歓迎


そうですね…
本当に不思議で…どこか既視感があります

私が猟兵になったばかりの頃
異世界の私達との様々な知識や経験が混ざっていました

セリアさんはこの本の並びをどう見られますか?

なるほど
では迷宮の構造や本のタイトルを大まかに
<情報収集し世界知識、戦闘知識と照らし合わせ
キーワードを学習力と第六感>で特定

移動は必要に応じて翼で飛び
セリアさんとはぐれない様<手をつなぐ>


そういえばセリアさんは普段どのような本を読みますか?

私も花にまつわる物語が好きです(嬉しそうに)
小さい頃に誰かが読み聞かせてくれて…

誰かはまだ思い出せないみたいです…(寂し気)

ありがとうございます
きっと思い出すでしょう



●本の導で白の花びらは躍り舞う

「無数の書物で成り立つ迷宮……図書館のようでありながらどこか自然も感じさせる、というのはなかなか幻想的ですね」
 白糸の髪の毛をふわりと揺らしセリア・エーデルワイス(善白に満ちて・f08407)はコツリと床を鳴らすと、その前を歩いていたシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が天までの伸びるほどに見える本棚を見上げて、青い瞳を水面のように揺らがせる。
「そうですね……本当に不思議で。……どこか既視感があります」
 その様子を見たセリアはシホへと白く繊細な手を伸ばす。それを見、シホは指を絡めるように手を取る。ふわりと、そこに春風でも通り過ぎるかのような暖かさを纏うと、2人は揃って歩み始める。
「そういえばセリアさんは普段どのような本を読みますか?」
「どのような本を読むのか、ですか?」
 シホの言葉にセリアは灰水晶のような瞳をぱちりと瞬かせ、本棚に並ぶ言語の統一が取れていない本を指でなぞる。少しだけ考えるように首を揺らして、白い髪の毛をふわりと躍らせると、シホへ柔らかな微笑みを向ける。
「小さい頃から教会で種類問わず色んな本を読んできましたが……花にまつわる物語やお伽噺が好きです」
 シホはそれを聞くと、声色に嬉しさが滲む。
「私も花にまつわる物語が好きです……小さい頃に誰かが読み聞かせてくれて」
 そこまで言葉を紡ぐが、その後に続けた言葉にシホは寂し気に顔を俯かせる。けれどセリアがシホと繋いだ手を強く握りなおすと、水面のように揺らいでいたシホの瞳がパチリと見開かれる。
「……そうでしたか。ではいつか、その記憶に眠った本も探してみましょうか」
「え?」
「物語に触れれば、きっと誰かを思い出すかもしれません」
 セリアの迷いのないその言葉に、シホは数舜だけ言葉を黙し、そのすぐ後に小さな笑みを見せる。
「ありがとうございます。きっと思い出すでしょう……」
 それを信じるように互いの手を握り、微笑み合うと目の前で崩れていた階段の先へと視線を向ける。本棚を文字の軌跡や色を辿ってきたが、この先へとまだ何かが続いてると2人は確信を持っている。
 シホは白暖の翼をバサリと広げセリアを再び見る。大切なその相手は信頼するよう瞳を合わせる。翼を羽ばたかせて石畳をけると、2人はゆっくりと宙へ浮き、まだ上と続く階段までのわずかな空中遊泳を楽しんだ。

迷宮を踏破も猟兵の仕事ではあるが、それでも、この数秒の楽しさが、少しでも長く続くことを願い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ネミ・ミミーニーズ
本の迷宮なるほど本の迷宮!よくわかった!
昔のエライ人も本読んで別れて三日ならば、即ち更に刮目して相待つべしって言ってたし!
つまり3日経てば出れるんでしょう!
(何もわかってない顔)

とりあえず何とかしよう!
迷宮っていったって道を覚えれば大丈夫なはず!
って道を覚えればッて言ってるでしょう!そこの本棚勝手に動かない!
(ハンマーでべしべし叩いて大人しくさせる試み)
図書館では大人しくしなさいって言われなかった!?自覚あるのかね迷宮くん!

そんなこんなで動いてる仕掛けを大人しくさせていきましょう。



●角度が大事

 緑の髪と輝く薄い羽を揺らしながらネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)は周りを見まわした。
「昔のエライ人も本読んで別れて三日ならば、即ち更に刮目して相待つべしって言ってたし!」
 それはつまり、と腰に手を当てると迷宮の天井の眩い光を指さして宣言する。
「3日経てば出れるんでしょう!」
 でられません。
 愛らしいフェアリーは周囲の本棚の列を覚えながら、迷宮の踏破を進めていた。しかし飛び続けて少しした頃に違和感を覚える。小首をかしげ、来た道を戻って確かめればそこでは本棚が自由に動き回り、入れ替わりながら迷宮を複雑に作り変えていた。
「道を覚えればッて言ってるでしょう!?そこの本棚勝手に動かない!」
 ネミはどこからかハンマーを取り出すと、力強く唸る様に音を立ててソレを振るう。
『叩けば解決よ!解決!』
 周囲にふわりと複製されたいくつものハンマーを操り、動き回る本棚目掛けて投げつけると、ガゴンっ、と鈍い音を立てて本棚に痕が残る。本棚はハンマーから逃げるようにガゴガゴと動き回るが、やがてネミの前に大きな本棚の壁が迫り、ぴたりと止まる。
「図書館では大人しくしなさいって言われなかった!?自覚あるのかね迷宮くん!」
 目の前の本棚の可愛らしく怒って見せると、本棚の書物がカタカタと突出し、階段のように並びを変える。それを見たネミが本の階段を上り、本棚の上にたどり着くと感嘆の声を漏らす。
 そこに現れたのは、本棚の最上部で形成されたひと繋ぎの『道』だった。どこへ続いているかはすぐにはわからなかったが、ネミは直感的にこの『道』を進もうと決める。
「大人しい迷宮になれるという自覚はあったのね」
 本棚を一度撫でると、ネミはすいすいと羽を動かして進み始めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

赤月・句穏
うちの図書館にも 一つ欲しい本棚ですね
(微笑ましく思い楽しげに見て回ります)しかし、脱出しなければならないのでしたか ああでも、本は読みたいです。少しだけならいいでしょうか
つい本を読み耽り 動く本棚さんを追いかけて一緒に散歩

運が良ければ出口にたどり着くかもしれません



●本と時間に導かれた月

 黒白の外套を翻して赤月・句穏(界渡りの旅行者・f05226)は本棚が行き交う迷宮を歩いていた。縦横無尽に動き回る本棚を見ながら、句穏はクスクスと笑みを漏らして、目に留まった本棚を追いかける。
(うちの図書館にも、ひとつ欲しい本棚ですね)
 この迷宮を抜けなければならないことは、彼女も承知している。しかし、目の前に無数に広がる本に句穏の深い青の瞳は興味の輝きが収まらない。
(少しだけなら、いいでしょうか)
 細い指先が本をとらえ、コトリと音を立てて本を引き抜く。

――ゴトン カラン、カラン

 どこかでそんな音が響いたが、句穏は手に取って開いた古書に興味津々で、その音に気付いた様子はない。黄ばんでいるが読み解ける古文書の類に、彼女はくぎ付けになり、迷宮に座り込んで楽しそうに読書の時間を過ごした。

 一冊の分厚い本を堪能した後、ほう、とため息をつき本棚に本を戻そうとしたときに、句穏はパチリと目を瞬かせた。
 本棚があった場所には、本で囲われた木製の扉が出来上がっていた。彼女は少し首を傾げ、手を打つ。
「もしかして、これが出口でしょうか?」
 ご丁寧に金のドアノブが光っている。ノブを回して扉を開ければ、そこには本と植物が融合して出来上がった通路が先へと続いていた。



 猟兵たちは迷宮を抜けて、出口から先へと進んでいく。
 そしてたどり着いた場所には――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『禍を嗤う者『ダイス』』

POW   :    ファン・ファン・ファンブル
【因果律に干渉することで数手先まで】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    ダイスの邪女神の気質
自身の【誰かが不幸に陥ることで歓喜する性格】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    他人の不幸は蜜の味
戦闘中に食べた【誰かの幸運】の量と質に応じて【人造神としての格が向上し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:安子

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ファン・ティンタンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●黒いダイスと運試し

『ハロゥ、ハロゥ? キャハハ、ようこそ私のテーブルに』
 猟兵が抜け出たそこは、巨大な白い石づくりのホールだった。天井には煌びやかなシャンデリアと、その周りを浮遊する虹色の火の玉。周囲には丸いテーブルがいくつも置いてありそこではアルダワの生徒らしきモノたちがカラカラとダイスを振り続けている。そしてテーブルのひとつに腰を掛けている、1人の褐色肌の女性が猟兵たちへと気さくに挨拶をする。
『ハロゥ、私の名前はダイス。オブリビオンよ』
『貴方たちの目的はダイスの女神が教えてくれたから、言わなくてもいいわ』
『さぁ、私と女神と貴方たちで、運試しといきましょう?』
 オブリビオンは手で遊ばせていた黒いダイスを振るうように投げる。
 カランと音がして、出た出目は24だった。

『悪くない数値ね。キャッハハハ!!さぁ、愉しみましょう!遊びましょう!』
赤月・句穏
あら、サイコロゲームでございますか?
賭け事は程々にと申しますが、仕方ありませんね(ため息をつくと

サイコロですか

ふむと考える
にっこりと微笑むと
ご存知ですか?ダイスの女神はゲームに参加してないからこそ女神と呼ばれるのですよ
プレイヤーになった今この時から、貴方も我々も大いなる女神の手の上かも知れませんね


マイダイスをコロコロする

いつものように炎と氷で応戦
防御は氷の壁を作り敵を弾きます



●ダイスの女神を味方につけて

「あら、サイコロゲームでございますか?」
 足元にコロリと転がったダイスを目に留めると、赤月・句穏(界渡りの旅行者・f05226)クスクスと囁くように笑う。
「ご存知ですか? ダイスの女神はゲームに参加してないからこそ女神と呼ばれるのですよ」
『あら、よく知っているじゃない、キャハハッ』
「えぇ。ですから、プレイヤーになった今この時から、貴方も我々も大いなる女神の手の上かも知れませんね」
 キラキラとした星屑のようにダイスが投げたサイコロが消えると、ダイスの手の中には新しい黒のサイコロがあった。
 句穏は懐から赤と青のマイダイスを指に挟んで見せると、驚いたようにダイスは赤い目を見開く。
『ふぅん……いいサイコロね。運命に弄ばれることには慣れているのかしら?』
「さぁ、どうでしょう。言葉を交わすよりも、サイコロのほうが饒舌ですから」
 青の瞳と、赤の瞳が交じり合うと、2人はどちらともなく手にしたサイコロを宙へと投げる。
 出目が決定する瞬間、天井のシャンデリアから虹色の炎がダイス目掛けて降り注ぐ。それは周りにいるアルダワの生徒には被弾せず、逃げるように身を翻すダイス目掛けて追尾して追いかける。
「炎の流れ星はいかがでしょうか?」
 赤い月を体現したような猟兵の言葉に、ダイスは服の端々を焦がしながら、悔しそうに笑って見せた。

――禍を嗤う者 出目『32』
――赤月・句穏 出目『19』

成功 🔵​🔵​🔴​

カミリア・オリヴィオン
※アドリブ、連携可
楽しそうな事をしていらっしゃいますわね。
何か近しい感じがする気がしますわ。

戦闘:
「他人の運命を手の平で転がす。ダイスの様に」
わたくしの人工悪魔がこのオブリビオンが気に入ったみたいですわね。
UCで姿を変える。
「ダイスとやら、か。よきかな、よきかな……その思考は、我ら悪魔と近しいな」
『フェイント』で攻撃を受けるフリして、大鎌の『呪詛』込めた『なぎ払い』で攻撃をする。
「人造神であるか……我は人工の悪魔。故にお主とは近しい感じがする」
『オーラ防御』で攻撃を受けつつ、人工悪魔のバフォメットが楽しそうにしていますわね。
「ただ、我自身が興味があるだけだ」
ただ興味本位で戦うのが悪魔であろう?



●人工神と人工悪魔

 肩から流した金糸の髪を揺らしカミリア・オリヴィオン(人工悪魔・f01650)はダイスと猟兵の攻防を見つめていた。
「楽しそうな事をしていらっしゃいますわね」
 ダイスはカミリアの言葉を拾うと、ニコリと微笑みを向ける。
『えぇ、女神に微笑みが気まぐれで、楽しいもの!!キャッハハハ!!』
「……何か近しい感じがする気がしますわ」
 手にした腹の細工が美しい『ángel』を一度振るうと、カミリアは紫水晶のような瞳を伏せ、赤い唇を嫋やかに動かす。
『我は悪魔、人工の悪魔。契約者の身体を借りようぞ』
 禍々しいオーラを纏うカミリアを見、ダイスは手にしたサイコロを天高く投げ上げると、テーブルを蹴って大角の女性へと飛び込む。
「ダイスとやら、か。よきかな、よきかな……その思考は、我ら悪魔と近しいな」
 カミリアの口から零れた声は『彼女』のものではなかった。しかしダイスは気にもせず踊る様に宙で回転すると、カミリア……バフォメットへと鍛え抜かれた足から踵落しを繰り出す。ダイスの動きは読めている。バフォメットはあえて隙を作って見せ、攻撃を受ける“フリ”をしてダイスを自身の間合いまでおびき寄せると、呪詛を込めたおぞましい薙ぎ払いを『ángel』から放つ。
 バフォメットの放った薙ぎ払いは、十分に間合いに踏み込んでいたダイスを腹をばっさりと切り開く。驚くように赤い目を見開いたオブリビオンは、腹を抑えて後ろへと飛び退く。開かれた腹からは黒い靄が血の代わりに立ち上り、ダイスの周りを名残惜しそうに漂っている。
「人造神であるか……我は人工の悪魔。故にお主とは近しい感じがする」
『あら、猟兵に同じようなのがいたのね。驚いてしまうわ。……でも、手加減なんてする気はないでしょう?』
「左様」
 ひとつ言葉を放つと、黒の鎌と黒薔薇の花びらを嵐の様に舞い踊らせ、嗤う。
「ただ、我自身が興味があるだけだ」
 乱風はダイスの周りを漂う靄を吹き払い、場の空気を切り替える。
 それを感じ取ると、ダイスは笑いながらも、悔しそうに冷や汗を垂らし、唇を噛んだ。
 いつの間にか落ちていたサイコロは、この結果を愉しそうに眺めていた。

――禍を嗤う者 出目『42』
――カミリア・オリヴィオン 出目『06』

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネミ・ミミーニーズ
ダイスだと!
ダイスに神はいない!
固定値こそが正義!

だがしかしこの状況で固定値が襲いかかってくることは相手も予想して迎撃の用意があるはず。
ここは乱数勝負に持ち込みつつこちらの土俵に引き摺り込もう。
というわけでご用意した乱数装置がこちらになります。
(トランプシャッフル)

よくシャッフルしましたよ!種も仕掛けもないよ!
ほんとだよ!ここ一番でいいカード出てもそれはうんめいちからだよ!
(結果はおまかせ)

そして怯えろ!竦め!自らの乱数を制御出来ぬまま死んでいけー!

引けないとかー!我がうんめいちからをもってしても及ばぬかー!



●予言の切り札

「今度は私と対決しもらうわよ!」
 小さな体で小さな指をビシっとダイスに突き付けたネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)が、宙でカードをシャカシャカとシャッフルする。
 ネミの中ではいくつもの思いと算段が出来上がっているが、あえてそれを口に出すことはせずポーカーフェイス、ならぬ、ぽぉかぁふぇいすを以ってダイスに挑む。
「よくシャッフルしましたよ!!種も仕掛けもないよ!」
『一枚引けばいいのかしら?』
 ダイスはトランプを1枚引く前に、サイコロをコロリと転がす。そしてその間に引いたトランプの柄を見て、ニコリと微笑みを向ける。
 指を器用に使ってネミに見せたトランプの柄は、スペードのAだった。
『キャッハハハ!!なかなかじゃないかしら?』
「ふっふふふ。果たして、私のうんめいちからに勝てるかな」
『なんですって?』
 ネミは不敵に笑うと、両手でトランプの山札の一番上をよっこいせとひっくり返す。
『運命を受け入れる準備はOK?ドロー!!』
 そこから現れた柄は、色付きのジョーカーのだ。
『なッ!?』
 この結果にダイスは雷を打たれたように固まり、よろける。
「怯えろ!竦め!自らの乱数を制御出来ぬまま死んでいけー!」
 ネミの言葉は予言となり、その予言は言葉の弾丸となり輝くとダイス目掛けて撃ち出される。身体を言葉の弾丸で撃ちぬかれたダイスは、そのまま吹っ飛びテーブルをガシャンと巻き込んだ。
 よろりと立ち上がるオブリビオンを見、ネミは力強く笑みを濃くすると、親指をグッと上げた。

――禍を嗤う者 出目『93』
――ネミ・ミミーニーズ 出目『23』

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス
セリアさんと
アドリブ歓迎


他人の不幸は蜜の味ですか…
悲しい人ね
不幸に歓喜しても一時留飲が下がるだけで
貴女自身は何かを得た訳ではないのに…

私も大人しく運命を受け入れる気はありません
最後の最期まで抗います


生徒さん達は何故ダイスを振り続けているのでしょう?

セリアさん
生徒さん達はお願いします


生徒さん達を戦闘に巻き込まないよう<オーラ防御でかばう>等して注意しつつ
【弾葬】を<誘導弾、スナイパー、部位破壊>で
敵の賽の目の数字を削って変える


戦後
生徒さん達が正気に戻っていなければ<破魔と催眠術>で戻し
連れ帰る


ええ
本当に楽しい一時でした
セリアさんの歌声もまた聴いてみたいです

良いですね
ではまた別の場所でよろしくです


セリア・エーデルワイス
シホさん(f03442)と

このサイコロに記された数字こそが、貴女の全てであり、運命なのですね。
職業上、賭け事は好ましくありませんが…貴女の運試しにお付き合いいたしましょう。
私が信じるのはこの身に啓示をくださった我が神と友人の選択です。
貴女の信じた女神も、貴女にも、受け入れるつもりはありません。

シホさんが戦闘で前に出ている間に生徒さん達を巻き込まないように下がらせます。
【オーラ防御】で多少の攻撃をかばいつつ、怪我をしている方には『未来謳う生命讃歌』を使って回復していきます。

精霊さんとのお茶会は楽しかったですね。
次は別の場所で、こうしたお茶会をしてみたいものです。



●ダイスが躍った物語の行方

「他人の不幸は蜜の味ですか……悲しい人ね」
 静かな湖の様な青色の瞳を細め、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は2丁の『聖銃』を撫でながらダイスを見る。
『キャッハハハ。ヒトの幸せなんて誰かの不幸の上にあるものよ?』
 そう嗤いながらダイスがサイコロを振ると、カランと音を立てて出目が現れる。その数字は『06』であった。
『この出目が物語っているわ。貴方達の不幸をね』
「このサイコロに記された数字こそが、貴女の全てであり、運命なのですね」
セリア・エーデルワイス(善白に満ちて・f08407)の淡々とした言葉に、そうよ、とダイスは軽い口調で返す。
『最高の出目の一歩手前。さぁ、昇りつめましょう!!』
「その前に……もう一度、賽を確認したほうがいいですよ」
 シホは『聖銃』を構えると引き金を引き、魔力で生成された弾丸をダイスの振ったサイコロ目掛けて撃ち放つ。弾丸は正確に0の出目のサイコロ手前の床に当たり、その反動でガツンとサイコロが再度宙で回転する。
 ダイスの驚くような目の前で再度出された出目は『9』
 2つの出目を合わせればそれは『96』というファンブルが出来上がる。
『なん、ですって……?』
「職業上、賭け事は好ましくありませんが……貴女の運試しにお付き合いいたしましょう」
 ダイスがセリアへと視線をずらせば、彼女は胸の前で手を結び、青の覗く灰色の瞳でシホを見、そしてオブリビオンを見る。
「ですが、私が信じるのはこの身に啓示をくださった我が神と友人の選択です。貴女の信じた女神も、貴女にも、受け入れるつもりはありません」
「私も大人しく運命を受け入れる気はありません。最後の最期まで抗います」
『キャッハハハ!!……いいわぁ。抗って見せてちょうだい、猟兵のお嬢さん達!!』
 オブリビオンの高らかな宣言を聞いたシホは、行儀が悪い、など考えはせずテーブルの上に足をかけると、白の翼を広げて飛び上がりダイスへと両手に握った『聖銃』の銃口を向ける。
『一曲捧げましょう』』
 噴き出た銃炎は十字架となり、ダイスへ向けて撃ち放たれるとオブリビオンは机の上で踊る様に宙がえりをし、炎を避けるように動き、サイコロを投げるように振るう。しかしダイスの出目が低い数値を出せば、すかさずシホが銃口をサイコロへ向け弾丸を撃ち放ち、出目の再調整を行う。
 セリアはアルダワの生徒の保護に向かい、サイコロを振り続ける生徒の頬をぱたぱたと叩き、正気に戻していた。サイコロを振り続けていた生徒たちは、皆々驚いたようにセリアを見たが、自分達を捕らえた災魔と戦う転校生の姿を見て、慌てたようにテーブルから離れる。
「まってください。傷の手当てをさせてください」
 オブリビオンに捕らえられたときについたのであろう、数人の顔や手に残る傷を見たセリアは祈る様に、謳うようにその喉から鈴のような声を発する。
『聖なる愛よ、燃え盛る命の灯火は太陽のように輝いて。そしてまた明日を導くだろう――』
 それはいつかどこかで誰かが未来へ向けて歌ったのかもしれない生命の讃歌。歌声は奇跡となって傷ついた生徒達の身体を癒す。
 セリアの先導で捕らわれていた生徒達がその場から脱出したのを見、シホとダイスは青と赤の視線を絡め合わせる。
 既に動くには限界が来ていたダイスの身体のあちらこちらには、大きな火傷と焦げ跡が残り、しかしそれでも膝はつかないと足を震わせて立っていた。
 だがオブリビオンもよくわかっているのだ。この盤面は、既に決定的(リーサル)なのだと。
 静かにシホの銃口がダイスを狙う。オブリビオンは何を言うこともなく微笑みを浮かべえると、足元に転がる自身と同じ名前のサイコロ、ダイスを宙へと振り投げた。
「私は、止まれませんから」
 その言葉と共に打ち出された炎と弾丸は正確にオブリビオンの胸を撃ち抜いた。
 致命的な傷から染みが滲みだすように黒いモノがダイスの身体へと広がっていく。
『……あーぁ……負けちゃった。キャハハ』
 最期に赤い瞳で振るったダイスの出目を見れば、そこにあったのは『99』
『……サイッコーのファンブルね』
 黒い染みが四肢まで行き渡ると、オブリビオンの身体は溶けるように崩れ落ち、バシャン、と黒い液体となってその場に消えた。

 迷宮の奥で捕まっていた生徒達は皆無事に学園へと戻り、オブリビオンの起こそうとしていた事件は解決された。生徒はなぜあんなにも熱心にサイコロを振っていたのかは覚えていないようであったが、またいつものように迷宮へと足を運ぶのだろう。

 迷宮からの帰り道に、シホとセリアは手を繋いで歩いていた。
「精霊さんとのお茶会は楽しかったですね」
 御茶会を思い出しながらセリアはシホへと声をかける。その声は静かだが弾んでいた。
「ええ。本当に楽しい一時でした。セリアさんの歌声もまた聴いてみたいです」
「次は別の場所で、こうしたお茶会をしてみたいものです」
 シホはそこでぴたりと足を止めて、セリアへと向き直る。青い瞳を柔らかく細めると小さな微笑みを浮かべ、柔らかな唇を動かす。
「良いですね。ではまた別の場所でよろしくです」
 その言葉に、セリアも微笑みを浮かべ、繋いだ手を握り返して、返事をした。

――ダイスが躍る物語の御茶会は、これにてお開き。
――またどこかで御茶会を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月23日
宿敵 『禍を嗤う者『ダイス』』 を撃破!


挿絵イラスト