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バトルオブフラワーズ⑫〜竜は此処に

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ドラゴンテイマー

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●欲望の傍観者
 システム・フラワーズの中枢、そこから少し離れた場所に紫色のガスが漂っている。
 ガスに包まれるように立っているのは、一人の男だ。
 六枚の異なる翼を背に、赤き剣と化した腕を持った髭の男、『ドラゴンテイマー』は、ドン・フリーダムのいる中枢へと視線を向けて低く呟く。

「……来るか、猟兵。彼らだけでなく私をも倒す為に」

 男の向けた視線の先には多数の影。
 骸の海より甦った男を再び骸の海へ帰さんとする、猟兵達。

「欲望は止められない……ではお前達のそれもまた、欲望か」

 ドラゴンテイマーが、赤い剣を猟兵達へと向ける。

「ならば、私に見せてみよ──お前達のやり方を」

●枝路の戦い
「幹部は倒され、中枢への道は開かれました。残るは首魁、ドン・フリーダムのみ。撃破できれば長く続いた戦争もひとまず幕引きとなるでしょう」

 現在の戦況を確認して、三蔵・迅(晴乞・f04775)は告げる。

「ですが、幹部ともドン・フリーダムとも別にまだ一体、オブリビオンが残っています」

 中枢からは離れた場所、分岐の様に曲がった道の先にそれはいる。
 謎だらけのオブリビオン。自分から動くことは無く、状況を傍観する男。

「その名は、『ドラゴンテイマー』。怪人への占領技術提供など、彼がこの状況に関与しているのは確かなのですが、その行動の理由も、彼が怪人であるかも今の我々には分かりません。分かっているのは名前の通り、彼がドラゴンを操るという事です」

 ドラゴンテイマーは『黒竜ダイウルゴス』を召喚する能力を持っている。赤い剣の腕による攻撃や大型のダイウルゴスを召喚するだけでなく、無機物さえドラゴンへと変えてしまうその力はこれまで戦ってきた幹部と同等、もしくはそれ以上。
 その攻撃へ何の対策も無ければ、彼へ一撃を与える前にこちらが倒れることになるだろう。迅はその危険性と、この戦場を攻略しなくとも戦争の結果には決して影響しない、と一言おいて。

「ですが、ここに彼は一人。復活する間も与えないほどに短期間で一斉に撃破できれば、現時点での復活はほぼ不可能となります……なる、筈です」

 無意味ではないが、本筋からは逸れた戦いに送り出すことへの不安もあるのだろう。視線を僅かに下へ落としながら彼は言う。

「強敵です。撃破するのは一筋縄ではいかないでしょう。勝率はとても低いと、私も思います。それでも、そうだとしても、貴方がたならきっと、と」

 迅が、顔を上げる。胸のブローチを強く握って、言う。

「信じています。祈っています。どうか、勝利を」


本居凪
 お世話になります、本居凪です。今回のボス戦に特殊ルールはありません。しかし難易度はこれまでよりも厳しいものとなっています。
 プレイング不採用、もしくは最終的にシナリオが失敗となる可能性もありますので、以下の特記事項と戦争の説明をよくよく確認した上でご参加ください。


 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

 誰かと一緒に参加する際は【ID】の記載必須です。グループの場合も団体名が確認できないと、プレイングで名前が呼ばれていても採用は難しいです。

 日数的にもこれが最後の戦争シナリオだと思います。彼の撃破は戦略の上では何の意味もありません。目的不明の強敵とただ戦うだけのシナリオですが、それでもと武器を取る人がいるなら、こちらも全力で迎えましょう。

 皆さまの全力を尽くしたプレイングを心よりお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『ドラゴンテイマー』

POW   :    クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:ハルヨリ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

形代・九十九
ダメージを【覚悟】で飛び込み【激痛耐性】でダメージを凌ぎつつ、やられたと偽装して【だまし討ち】を仕掛ける。
ユーベルコード《錬成カミヤドリ》にて、自分の複製品を22体製作し、複製品たちに仕掛けた爆薬を次々と爆発させる【破壊工作】でダイウルゴスを【吹き飛ばし】、自身もその爆風により【残像】を伴う程の速度でダイウルゴスを掻い潜り、ドラゴンテイマーに奇襲、接敵。強引に隙を作って【捨て身の一撃】を加える。


「おまえが何者か、おれは知らん」
「……だが、この騒動に一枚噛んでいるのであれば、よからぬ者だと判断させてもらう」
「おまえにくれてやるものなど、ひとつもない」
「おまえこそ、その野心を此処に捨てていけ」


篁・綾
SPD分野
そう。大物なのね。
なら、それを利用してみようかしら。

相手の動きや連携を【見切り】、突撃。【第六感】で死角にも注意を払い、
いもあらい状態の竜の間を【フェイント、空中戦】を駆使し、【騎乗】でその背中も足場にしながら、指定UCの桜による【範囲攻撃、目潰し】も用い、
【敵を盾にする】ようにして抜けるわ。

攻撃は【残像】や【敵を盾にする】ことで回避を。無理なら【激痛耐性、オーラ防御、武器受け】で防御。

間合いに入ったら相手の動きを見ながら【カウンター】気味に、
【2回攻撃、範囲攻撃、マヒ攻撃、目潰し、属性攻撃、呪詛、破魔、鎧無視攻撃】を駆使して、ボスに指定UCを放つ。
接近戦はUCと剣戟、衝撃波等で対応



●桜の刃、竜を斬る

「お前達は刃を振るうか。ならば、」

 ドラゴンテイマーが赤い剣の腕で地面をコンと、一つ叩く。すると男の足元が水面のように揺れ、巨大なダイウルゴスの頭が地中から浮かび上がってきた。
 首についた逆鱗に刻印された1の字が目立つ大型の黒竜、ダイウルゴス。その巨体の各部を薄青く発光させてその巨大な脚で足踏みすれば、コンクリートの地面がぐらぐらと揺れた。そびえ立つその竜の大きさは3メートル程度たが、何よりも数が多い。一斉に暴れ出す様は怪獣映画もさながらに、猟兵たちを狙って彼らはその力を振るった。

 だが、暴虐に染まった彼らの視界で、白く桜の花びらが舞う。

「そう。大物なのね」

 桜を纏った漆黒の髪と白い長羽織が、風に揺れてなびく。篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)の掌から生み出された【幻桜煌鎖】、ひらひらと舞う花弁は幻想的な光景だったが、黒竜から見ればその花弁は巨体の脚に纏わりついて離れない煩わしいものでしかない。低く唸る彼らを伏せがちな赤い瞳で綾はス、と見上げ、その両手に下げた二振りの刃は光を反射し閃いた。

「だけど、あなたに私は止められないわよ」

 膝を曲げて、綾が跳ぶ。黒い竜の群れる中で、桜の花弁が風に吹かれて巻き上がった。

「止めよ、止めよ、空疾走る闇を心惑わす煌めきの花で艶やかに染め、睡りへと誘え」

 桜吹雪が綾の動きに合わせて舞い、密集するダイウルゴスの目隠しとなる。巨躯を時に飛び越え、時に踏みつけて綾は駆け抜けた。ダイウルゴスもその長い首を伸ばし、尾で振り払おうとも、舞い散る桜がそれを遮り綾への干渉を防ぐ。

 綾がただ竜の群れを飛び越えていくだけならば、きっとそびえ立つ竜の波の果てまで辿り着けはしなかった。召喚された竜の数は彼女が空から見ただけでも両手で数えきれない程。先へ進めば進む程に密集しているダイウルゴスの中を彼女一人で進んでいれば、どこかでその歩みは途切れていただろう。

 だが、彼女は一人では無かった。綾へ気を取られていた巨竜から見れば死角となっていた足下から勢いよく斬り込んできたのは、形代・九十九(抜けば魂散る氷の刃・f18421)である。
 長さ五尺の妖刀「流転迷子」を構えた彼もまた、一人ではない。九十九の年を経て、付喪となった人形の、更にその複製体。数えて二十二体の彼が、巨大なダイウルゴスの元へと共に駆け、斬りつける。

「おまえが何者か、おれは知らん」

 白髪が揺れ、翠眼が黒き竜を通してその先にいる男を睨む。男の顔は長い前髪と髭に隠れて、表情はまるで伺い知れない。

「……だが、この騒動に一枚噛んでいるのであれば、よからぬ者だと判断させてもらう」

 九十九が、指に繋がる糸を引く。傀儡を操るその糸は、かつて己を操る筈であったもの。そして今、己ではない己を操るもの。糸引かれた人形は噛み砕こうとする竜の口へと飛び込んで、落雷の如き轟音をその口内から頭蓋へとかけて響かせた。
 ギャア、と頭を仰け反らせ、竜は苦痛を声に表す。そして一体目の爆発に連鎖するように、九十九以外の人形は次々にダイウルゴスの周囲で爆発する。腕が飛び、足が飛び、千切れたパーツがばらばらと爆風で飛ばされていく。しかし至近距離での爆発に巻き込まれてはいくら猟兵と言えど無事では済まない。衝撃に継ぎ合わせた九十九の体もミシミシと軋んで、痛みを訴えた。

「ぐっ、う……!」

 苦痛を耐え、生まれた風の勢いに九十九は小柄な身を任せて、ダイウルゴスの壁を一気にこじ開ける。反動に痺れながらも流転迷子は決して手放さず、竜の壁の向こうに立つドラゴンテイマーへと一撃を浴びせる機会を狙って、強く握る。
 彼もまた、ただ捨て身に走っているだけなら恐らくは、ドラゴンテイマーと打ち合ったとしても負傷から戦い続けられはしなかった。綾が一部の巨竜の気を引き、力を奪って進んだお陰で、爆風に巻き込まれながらもまだ戦えるだけの力が残ったのだ。

「なるほど、竜たちの間を強引に抜けてきたか」

 紫色の煙を帯びた男が上空から舞う桜と直線に飛び込んでくる人形を見つめ、吹き付ける風を浴びながら呟いたその声音は感心したような、只の事実を確認しただけのようなどちらとも言えない調子だ。

「いいだろう、その刃、その技、私が直に見るとしよう」
「おまえにくれてやるものなど、ひとつもない……っ、おまえこそ、その野心を此処に捨てていけ……!」
「あら、自信があるのね。でもあなたはそのまま、消えるのよ」

 肩で息をしながらも九十九は己を奮い立たせ、綾の瞳は見開かれる。妖狐の昂る心を映してか、桜の花弁が輝き増して重ね咲く。
 長太刀の苛烈な一撃をドラゴンテイマーは赤き右腕で受け止め、しかし返る斬撃は桜の名を持つ太刀が受けて返す。二人の剣士の刃を相手にしてもまだ、ドラゴンテイマーは息一つ乱していない。
 けれどその捨て身の一撃は、鋭き猛者の一閃は、僅かにだが男の肉体を削っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水心子・真峰
侵略樹あう゛ぇすたとは……肩のあれことか?
背中に鉢でも背負っているのかい?

自身の縄飾り型のグリモアを出しつつ
私はあまり使わないが、そんなにも焦がれるものなのかい?

この体は飛べんのでな
此度は相棒(薙刀)の舞台だ

黒竜は巫覡載霊の舞でお相手しよう
地上も空中も薙刀の衝撃波の連撃を以って撃つ
残像を織り交ぜたなぎ払いで避け辛い一撃を放っていくぞ

粗方片付けば竜使いに向かおう
手下に戦わせるよりも白刃戦の方が、楽しいだろう!

柄で受け流して石突による怪力突きから
流れるように刃による袈裟切り、と見せかけフェイント
回転し遠心力を乗せた逆袈裟で斬り上げる
多少の怪我など構わない猛攻で一太刀浴びせにゆこう



●侵略を食い止めよ
 刃振るう剣士達を赤き剣で斬り捨てたドラゴンテイマーへと、新たに向かう人影があった。鮮やかな緑髪が眩しい水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は、その手にした薙刀の刃先を下に構えて軽やかに行く。

「侵略樹あう゛ぇすたとは……肩のあれことか? 背中に鉢でも背負っているのかい?」
 疑問の声に男からの答えは無い。だが、真峰の指先から浮かんだ蝶結び型の縄飾りを模した赤く光るグリモアを見て、男は僅かに口角を上げた、ように見えた。

「私はあまり使わないが、そんなにも焦がれるものなのかい?」
「ふ、焦がれる……? 私はただ、お前達がまだ知らぬグリモアの全てを知っているだけだ。その上でお前達がグリモアをどう使うのかと、観察しているだけのこと」

 尋ねる真峰にそう返し、ドラゴンテイマーは破壊された電柱へと左手で触れる。ぼこぼこと泡立つように電柱の根元が膨れ、ダイウルゴスの首が姿を現す。

「そうか、だが例えいくら見られたとても、このグリモアはやれないな」
 真峰の腕が、薙刀を振りかぶる。神気に満ちた刃が黒竜を映して煌めく。
「さあ相棒、此度はお前の舞台だぞ」

 並ぶ電柱が次々に崩れ、黒き竜の顔が飛び出す。左右から向かってくる首を相手に【巫覡載霊の舞】を舞う真峰が薙刀を振るえば、刃先から生まれた衝撃波が黒き竜に襲いかかっていく。

「やれ、大層な変化だな!」

 頭上の信号機が三つ首の竜となって迫れば、真峰は見上げて斬り払う。足元がぐらぐらと揺れて黒竜の体と化せば、跳躍して足場を斬り捨てる。斬撃と重なる衝撃波の残像は時に黒竜を翻弄し、避けるべきタイミングを見失わせた。
 増していく敵の数は多くの敵を薙ぎ払う薙刀の戦い方には合っていたが、その勢いは侵略と名乗るだけはある。絶えず寄せる黒き竜の攻撃にギリギリの攻防を繰り返しつつ、真峰はドラゴンテイマーへと近づこうと奮闘するも、続々と増える竜の壁は意外と厚く、こじ開けるにも骨が折れた。神霊体への変わり身、その代償として寿命が僅かだが減っていくことも、彼女の消耗が早くなっていた一因だった。

「まったく、手下に戦わせるよりも白刃戦の方が楽しいだろう!」

 痛みは感じていたが今はそれどころではないと振り切って、傷ついてボロボロになりながらも真峰は突き進む。
 目の前にいる男へせめて一太刀を浴びせてやろうと見舞った石突による突きが、赤い剣で弾かれるだろうことは既に見えている。
 だから、真峰は次に上腕を下げ、袈裟切りに刃を振り下ろそうと、

「ダイウルゴスの群れを抜け、私へ刃を届かせた。例え力及ばずとも、お前の意思、見事に見せてもらった」

 薙刀で袈裟に切ると見せて、逆向きにぐるりと回した刀身を振り回して、遠心力を乗せた一撃はしかし、届いたが、届いていない。
 真峰の振るった薙刀はがちりと、男の背に生えた三対の翼によって阻まれていた。止められた刃の動きに、真峰の白い肌へ冷たい汗が伝う。

 赤い剣が翻る、血を吹き出して、真峰の体が傾ぐ。
 それでもその心は折れず。その瞳は研ぎ澄まされた刃の様に鋭く、ドラゴンテイマーの顔をひたと見据えていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

梅ヶ枝・喜介
見つけたぜオッサン
また戦争を起こされちゃ堪らねぇ
アンタはここで倒す

それが俺の考える欲望!
弱い民草を泣かせねぇ方法だ!


相手は実力者
奇跡でも起こらねぇ限りは俺が勝てる目はねぇ
そのくらいは分かってる

だから俺は俺の生存に拘らない
相討ちで構わねぇ
少しでも深く傷を負わせてやる

スッゲー痛い事になるだろうな……一等気合いを入れて、歯を食い縛って耐えなけりゃならねぇ
覚悟が必要だ!

いくぜオッサン!
俺は抜刀して振り上げた木刀で赤き剣を"受けない"
当然体を刺し貫かれるだろうが逆にこの瞬間、この距離なら俺の刀もオッサンに届く

敵がドラゴンを召喚し俺にけしかけるより、俺があらかじめ振り上げた木刀を振り下ろす方が絶対に早い!


琶咲・真琴
【WIZ】

ドン・フリーダムに協力したあなたの目的は何ですか?
どうして、こんな事をしているのですか?

答えないのなら
この世界を守る為に
あなたを倒させてもらいます



カウンター・高速詠唱・スナイパー・2回&範囲攻撃・衝撃波・アートで神羅写成・彩色演舞を使用
黒竜の群れを一掃して
ドラゴンテイマーに力溜め・全力魔法・誘導弾・援護射撃・フェイント・鎧無視攻撃です

ボク自身は
グラッブル・怪力・逃げ足・ダッシュ・スライディング・念動力・空中戦・ジャンプ・オーラ防御・迷彩・残像で防御

勇気・覚悟・気合で間合いを一気に詰めて
零距離からの目潰しの彩色演舞!

五行すべての属性を詰め込んだ
粘着性塗料の魔法弾ですよ!(罠&毒使い)


神元・眞白
【SPD/割りと自由に】
不思議な相手。協力していた見返りは....?
話を聞ければいいけど、あまり余裕もなさそう。
必要なことは必要なだけ。

相手が先に動いてくるし、群れが相手なら符雨、煙幕弾を。そのあとで牽制射撃。
一旦場を仕切り直して本命の攻撃を。
人を隠すなら人の中、人形を隠すなら人形の中。
群れにはこちらも郡で応戦。
場が荒れた所でテイマーさんに接近。
飛威はタイミングを重点に。
でも囮の可能性を捨てずに、武器は1つこっちに。
人形使いが人形を使わないとダメっていうわけではないでしょう?



●人の想い、その熱を知れ
 剣士達の一撃を打ち破ったドラゴンテイマーは赤い剣と同化した右腕を横へ払う。
 その先には、闘志に満ちた瞳の梅ヶ枝・喜介(悩む若人・f18497)を始めとした猟兵達。琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)が薙刀を構えつつ投げた問いへも、ドラゴンテイマーはこの状況にそぐわない程に落ち着き払った様子で答える。

「お前達もまた人間か……ならば、この世界を破壊する程の欲望、理解も出来るのかもしれないな」
「答えが来るとは思っていませんが、一応聞いておきます。ドン・フリーダムに協力したあなたの目的は何ですか? どうして、こんな事をしているのですか?」
「小さき子供よ、案ずるな。その答えはいずれ知る事となるだろう。今はただ私にその力を見せるがいい」
「では、この世界を守る為に、あなたを倒させてもらいます!」

 男の言葉を聞いていた喜介が、怒りも顕わにドラゴンテイマーへ食ってかかっていく。

「見つけたぜオッサン、また戦争を起こされちゃ堪らねぇ、アンタはここで倒す!」
「倒せるものであるならば。私の目的は既に果たされている、それともそれが、お前の望む欲望なのか」
「ああそうさ、それが俺の考える欲望! 弱い民草を泣かせねぇ方法だ!」

 言い切る喜介にも、ドラゴンテイマーは興味は無いとばかりに一蹴する視線を向けた。右腕の剣にはめ込まれた緋色の宝玉が脈打つように輝きを増す。

「そうか、だが、その欲望は果たされない」

 男の背に生えた翼が一斉に広がり、ドラゴンテイマーが地を蹴った。
「……いくぞ」
 神々しくもあり、禍々しくもある異形の六枚翼で宙を舞い、ドラゴンテイマーの鋭い斬撃が喜介に襲いかかる。腰から抜き放った木刀で受け止めるつもりか、正面構えた喜介だが、実力で劣っていると分かっていても。良く耐えたと、健闘を称えるべきだろう。

「……へ、まだまだだ……!」
 相打ち覚悟に、あえて剣を受けない、そう選択した喜介の体を赤い剣が貫いていく。勝てることは最早奇跡が起こらない限りは無いだろうと、そう感じたのは間違いではない。痛みに眩む視界、刺し貫かれた傷が深くなるのも構わず喜介は木刀を振り上げる。どれほど耐えても、おそらくはこの一撃が最初で最後だ。

 振り上げた火の構え。
 ……それでも渾身の一撃は、届かなかった。

「くっ、こ、のっ……!」
「耐えた、が……そこまでだな」

 男の目が、喜介を向いた。かち合った視線、昏い瞳が少年の顔を覗き込む。力の入らない身体からずるりと抜けていく剣は、元の赤とは別の赤に染まっていた。

「せめて痛みの続かぬ内に、退け」

 剣と化していない男の左手が、宙を掴む。空に掛かった見えない幕を剥がすような手の動きと同時に現れるのは、巨大な黒竜ダイウルゴスである。そして周囲の標識や散乱していた車の残骸までもが次々にダイウルゴスへと変換されていき、黒竜は敵意を持って猟兵達を睨みつけている。

「やはり現れましたね、ダイウルゴス」

 神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)を護る様に、彼女の操る二体のメイド型戦術人形が刀と銃を竜の群れへ向けて立つ。竜に囲まれつつ垣間見るドラゴンテイマーを、眞白は不思議な相手だと思う。怪人たちに協力していた見返りが一体何だったのか、彼の口から聞ければとも思っていたが。

「話を聞ければいいけど、あまり余裕もなさそうね……符雨、煙幕弾を!」

 こちらが動くよりも先に押し寄せるダイウルゴスを一掃し、ドラゴンテイマーへ攻撃を届かせなければならない。
 眞白は戦術器の一体、遠距離を得意とする符雨を前へ立たせ、煙幕弾による目くらまし、続く銃撃で黒竜の群れを牽制する。煙幕で眞白たちを見失った黒竜が受けるのは、【百器大波乱】による絡繰り人形による一斉攻撃だ。

「人を隠すなら人の中、人形を隠すなら人形の中……群れにはこちらも群れで応戦。さあ、皆、行って」

 人形の軍勢による襲撃に黒竜たちは足並みを乱れさせる。真琴がそれに続く様に、薙刀を振りかぶりつつ高速で【神羅写成・彩色演舞】の詠唱を行う。煙幕の中に見える黒竜を狙って、薙刀から飛んだ衝撃波が降り注いだ。

「この世を彩りしものよ、舞い踊れっ!―――神羅写成・彩色演舞っ!!」

 煙幕の中を、五色の魔法弾が飛び交う。おおよそ百六十以上の赤、青、黄、白、黒の魔法弾。炎が燃やし、突き立つ樹木、切り裂く鉄の刃、岩石は流星の様に降り注ぎ、全てを水が押し流す。
 真琴の攻撃に一掃されていく竜の群れの中で、巨大なダイウルゴスが押し寄せる攻撃にも倒れず、真琴へ向かって咆哮と共に長い尾を振り回す。

「わあっ……!」
「飛威、斬りなさい」

 寸での所で、真琴へ迫っていた尾はスッパリと両断される。竜の硬い外皮ごと斬り捨てたのは長い黒髪をなびかせたメイド、飛威だった。飛来した刃がそのまま、黒竜の首を斬りつければ、それが止めとなって巨大なダイウルゴスは沈黙した。
 壁となっていた黒竜を撃破した二人はドラゴンテイマーへと更に接近する。この場にいた竜の群れは絡繰り人形の奮闘と広域に撃ち出された魔法弾によってほぼ半壊し、もう動くことは無い。敵が動く前に。真琴はダッシュで間合いを詰める。ドラゴンテイマーは黒竜が倒されてもまだ、焦った様子さえも顔には出していなかった。ただ、真琴たち猟兵の動きを観察している。
 二人の距離はついに零距離となり、真琴を包む藤色の闘気が、ドラゴンテイマーの周囲に漂う毒ガスと混ざりあう。

「くらいなさい、五行すべての属性を詰め込んだ、粘着性塗料の魔法弾ですよ!」

 真琴の手から、光の弾幕が迸る。眩しさに男は目を細めた様な顔になり、だがその目は、光を映してはいなかった。真琴へ振り下ろされた大振りの右腕も狙うべき対象を捉えられてはいないのか、頭すれすれを過ぎていく。距離を取る為に離れた真琴の位置すら、今の男には大まかにしかわかっていないだろう。
 ならば飛ぶのは、眞白と飛威だ。閃く刃がドラゴンテイマーの体を切り裂いていく。真琴の薙刀と飛威の剣、二者の攻撃を受けて傷だらけになりながらなお、右腕の剣で抗うドラゴンテイマー。
 その一撃が飛威を捕らえ、吹き飛ばす。けれど遂に男は、荒い息を吐いた。

「ハ、………ッ」

 吐いた息。吐き出された血。
 胸を貫く、飛威の剣。だがその持ち手は主である眞白だった。

「フ、人形遣いが、剣を振るう、か」
「人形使いが人形を使わないとダメっていうわけではないでしょう?」

 銀髪の下から見上げる青い瞳に、ドラゴンテイマーは苦笑し、その瞼を閉じる。

「ああ、分かった。ならば、今回はここまでだ」

 撃破されたダイウルゴスと同様に、ドラゴンテイマーの体も骸の海へと消えていく。消えていく声、何かを追い求めるかのように、左手は宙に伸ばされる。

「だがいずれ、またいずれ、私は私として再び甦る。グリモアを再び手にするまで、私は……」

 全ては空に消え、この世界からオブリビオンが排除された。
 青い空を見上げて、猟兵達は勝利を噛みしめる。
 これでようやく、このキマイラフューチャーに真の意味で平和が戻ってきたのだ。どこか遠くで聞こえる花火は、きっとどこかのキマイラがいいね狙いに打ち上げたものだろうけれど。
 平和を守った彼らには、それが祝砲に聞こえたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年06月01日


挿絵イラスト