バトルオブフラワーズ⑫〜暗躍するネハシム・セラフィム
●六翼と黒竜
――果てない自由と欲望を謳う『てんさい』の影に隠れる花の足場にて、その暗黒は佇んでいた。
「『欲望は止められない』……。ドン・フリーダムの思想は単純明快だ。そして、それは明確に世界を破壊する思想。……私が与するに相応しい」
それぞれが異なる形をもつ熾天使の如き六枚羽を広げ、禍々しく輝く真紅の剣を右腕に携えた男。
彼は紫の靄を全身に纏い、ドン・フリーダムと対峙する猟兵達を傍観する。
その目的は観察。自らの敵となる現在の牙達の動きを理解するための思考。
「いずれ私はグリモアは再び手に入れる。……お前たちの力、観せてもらおう」
顔に浮かぶのは虚無。喜怒哀楽の一切が掻き消えたかのような瞳が揺れる。
その姿は神々しくもあり、果てしなく不気味だった。
●
「まずは三幹部の打倒おめでとう! お陰でオブリビオン・フォーミュラであるドン・フリーダムへと通じる道を拓くことができた。これはみんなのおかげだよ!」
招集した猟兵達に向けて、三千院・操(ヨルムンガンド・f12510)はにっこりと微笑んで祝辞を述べる。
既に彼の手の内にはグリモアが展開されており、システム・フラワーズ中枢から僅かに離れた場所が映し出されていた。
その場所よりも存在感を放つのは、異形の六翼を広げた男。
「――その甲斐あって、ドン・フリーダムの裏側に潜んでた奴が姿を現したよ。みんなの中には視た人もいるかな? こいつの名前は『ドラゴンテイマー』。グリモアを求める謎の多いオブリビオンで、『黒竜ダイウルゴス』って存在を召喚する強敵だよ」
操は語る。彼と戦う上で特別な制約はないが、此度の戦争でこれまで出現したどの敵よりも強い力を持っている。用心して向かわなければ手痛い反撃を食らうだろう。
「だけど、ドラゴンテイマーは必ずしも倒さなきゃいけない敵ってわけじゃない。戦略的には無視しても問題ない。だけど」
顔に浮かぶのはどこか挑発的な笑み。操は続ける。猟兵達の戦意を撫でるように。
「わざわざ表舞台に現れた黒幕を倒さない手はないよね?」
折角姿を見せたのだ。ならば今こそが好機。
再び影に潜まれて、姿を眩ませられる前に潰してしまおうと彼は言う。
「ま、こうしておれの呼びかけに答えてくれたきみたちには愚問だったかもしれないけどね」
操の掌に浮かぶグリモアがゆっくりと回転する。
「くれぐれも先制攻撃には気をつけてね。敵は強い。何よりも強い」
回転は光を生み出し、光は回路を作り出す。
「それじゃあ、行ってらっしゃい!」
――紫の閃光が満ちれば、竜飼いの待つ戦場へと転移した。
ヒガキ ミョウリ
竜ってかっこいいですよね。ヒガキミョウリです。
ついにこういう依頼出せました! ヤッター!
今回の判定は厳しめです。厳しめですよ! 気をつけてください。
以下はご熟読お願いします!!!!!!!
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敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
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第1章 ボス戦
『ドラゴンテイマー』
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POW : クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ハルヨリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バルディート・ラーガ
敵はドラゴンかー。怖いなアー。
……あっしはどこまで通用するやら。
敵サンは当然剣での近接攻撃を狙いに来るハズ。
コッチからも「ダッシュ」で接近し、勢いを稼いどきやす。
間合いに入ったら敵サンの剣戟を見極めつつ、さながら「ダンス」ステージの如くその場でぐるりとターン。
「長い蛇の尾」をブン回して急所を「かばう」ように一撃を受け、間髪入れず尻尾を自分の意志で自切。
勢いそのまま遠心力を利用し、なるべく高く遠くへと「投擲」!
竜の群れの攻撃をわざと尻尾にエイムさせ、急所から反らす狙いです。
決まったらさらにその場でもう一回転スピン。
尻尾の勢いで剣の跳ね上がったトコへ、傷口から吹き出す地獄の炎をお見舞いしやしょ。
●獄炎のナーガラージャ
――空気が、軋んでいる。
ドラゴンテイマーの待つ戦場へと降り立ったバルディート・ラーガ(影を這いずる蛇・f06338)は直感する。
「敵はドラゴンかー。怖いなアー。……あっしはどこまで通用するやら」
映像越しでは分からなかったが、こうして直に同じ空間に立てば嫌でも理解できる。
この男は、これまで戦ってきた敵の誰よりも強い。
「……来たか」
熾天使の如き六枚羽を広げ、そこ佇んでいるだけなのにも関わらず肌をびりびりと撫でる圧。
ラビットバニー、エイプモンキーとは比較にならないほどの甚大な力。
低く腰を落とし、その脚に力を込めながらバルディートは思考する。
敵は必ず先制攻撃をしてくる。それならば。
「フッ!!」
少しでも勢いを稼ぎ、それをいなす力とするために疾駆する!
「……私の剣を恐れぬ蛮勇か、それとも現実の分からぬ痴愚か。或いは、何か策があるのか。いずれにせよ」
その言葉が終わったと同時、走り出したバルディートの目前にドラゴンテイマーが移動する。
それはバルディートと似た疾駆の歩法。相手と自分との距離を即座に詰める業。
(「ッ、速い……!」)
「間合いに踏み込めば斬られる。それが摂理というものだ」
赤き剣が、そのままバルディートの肉体を切り裂かんと逆袈裟に振り上げられる!
咄嗟にバルディートは自らの長い蛇の尻尾を振り回し、急所をかばうように一撃を受ける。激痛に意識を乱しそうになるも、そのまま間髪入れずに尻尾を自切し、振り回した遠心力のままに上空へと尻尾を放り投げ――。
「ヒヒッ……。とんでもねェ、分かっていやすよ。だからこそ……ッ」
蛇が嗤う。高く飛び上がった尻尾に黒竜の群れが殺到するのも構わずに、独楽のように肉体を回転させる。
羽織った衣がふわりと揺れた、次の瞬間。
「燃えちまいなァ……!」
千切れた尻尾の傷口から噴き出した紅蓮の炎が、ドラゴンテイマーへと襲いかかった。轟々と燃え上がるそれは無数の蛇にして地獄の具現。徐々に変容しつつある己の内側に潜むモノ。灼熱を伴ったそれは至近距離のドラゴンテイマーへと燃え移り、巨大な火柱となって花の足場を焼いていく。
しかし。
「足りないな。竜を焼くには、蛇では足りない」
斬、と炎が切り裂かれ、ドラゴンテイマーの澱んだ瞳が向けられる。
――戦いは、まだ始まったばかりだった。
成功
🔵🔵🔴
霧島・クロト
……しっかしこんだけ群れが大量にいちゃ困ったもんだなァ。
移動に関しては【フェイント】を仕掛けて向こうの動きを牽制しつつ、
実際の攻撃は【オーラ防御】と【属性攻撃】を織り交ぜた氷の盾で防ぎながら進む。
先制攻撃をある程度捌けたら【高速詠唱】からUCを起動。
高速移動も加えて氷の盾とフェイントでの攻撃誘導でなるべく最小限に被害を留めながら
【属性攻撃】【マヒ攻撃】【2回攻撃】の氷の波動でダイウルゴスの動きを鈍らせつつ、
間合いを取れたらテイマーに【全力魔法】【属性攻撃】【鎧砕き】の氷の波動をぶっ放すぜェ。
「まー、竜には氷がよく聞くなんつー話も聞くけど。アンタにゃ関係のねー話かァ」
※アドリブ・連携可
●氷戒のドゥーベ
「――やはり、猟兵というものは面倒だな」
炎を斬り裂いたドラゴンテイマーは冷たく吐き捨てる。既にその姿は猟兵達と離れた足場に移動していた。
「来い、ダイウルゴス」
赤き剣が虚空を切り裂けば、そこから現れるのは夥しい大型の黒竜。逆鱗に一つの数字が刻まれたそれは、総数にして七十五。
花の足場を埋め尽くし、召喚主であるドラゴンテイマーを守護するかのように猟兵達へと牙を向ける。
吹きすさぶ竜たちの殺意の嵐の中、霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)はやれやれと首を振った。
「……しっかし、こんだけ群れが大量にいちゃ困ったもんだなァ」
徐々に迫ってくる黒竜の軍勢は確かに強い。まともに打ち合いすればこちらが消耗し、格好の餌食となるのは明白。
「けど、縫えない隙間じゃァねェ」
意識を切り替えるように大きく一呼吸し、全身の筋肉に力を込める。
強大にして巨大なダイウルゴス達の間を視覚し、そのまま。
「フゥッ!!」
これまで培った経験と技術を利用し、フェイントを仕掛けるように脚と脚の空隙を駆ける。
「グォォォオオッ!!」
咆哮とともに振り下ろされる爪は、自らの闘気を応用した氷盾にて防ぎ。
「ガァァァアアッ!」
飛び回る羽虫を落とすかのごとく振られた尾による一撃は、僅かに身を浮かせて回避。
そしてそのままの勢いで口遊むのは、星の加護を呼び起こす異能の言の葉。
「――我が身に北天に座す『貪狼』の加護を」
ぞわり。
クロトの纏う空気が凍てつき、その身を零度の魔力が覆う。其は氷を司る魔術の一つ。最も結びつきの強い貪狼星より力を賜る戒めの装法。
同時、クロトに向けて脚爪の一撃を放とうとしていたダイウルゴスの動きが止まる。かと思えば爪先から徐々に霜が昇っていき、やがてそれが脚の付け根まで到達すれば轟音を立てて倒れる。見ればダイウルゴスの脚はぴくりとも動かなくなっており、それは即ち――壊死を意味していた。
「……ほう?」
その光景に、ドラゴンテイマーが興味深けに言葉を漏らす。
「悪ィな。この波動はとっておきだ。触れたらタダじゃ済まねェ」
群れの彼方にいるドラゴンテイマーをその双眸で捉えたまま呟けば、先程とは比較にならない速度で再びクロトは駆け出した。
足場を凍らせ、氷盾でいなし、波動で動きを阻害しながら次々と黒竜を突破し、やがてクロトはドラゴンテイマーの間合いへと辿り着く。
「ハッ! 漸くたどり着いたぜェ、ドラゴンテイマー!!」
そしてそのまま拳を突き出し、全力を以て氷の波動を彼へと打ち込む! 激しい冷気と衝撃が走り、巨大な氷華が咲き誇る!
「まー、竜には氷がよく聞くなんつー話も聞くけど。アンタにゃ関係のねー話かァ」
くるりと背をむけ呟くクロト。その声に。
「――あぁ、そうだな。生憎私は竜ではない。だが、狼に負けるほど『やわ』ではない」
ガギンッ!!
氷の華を砕いて姿を現した六翼が、答えた。
成功
🔵🔵🔴
ジェイソン・スカイフォール
向かってくる竜の群れに対して「正当防衛」を発動。
本来はカウンター攻撃が身上の技だが、防戦に徹する。
防御に集中することで可能な限り被弾を抑えながら、相手を観察し反撃のチャンスを待つ。
竜の群れをかいくぐって敵本体に近接できる経路を見出し、間合いに踏み込む。
ひとりでこの強敵を倒せるとはもとより考えていない。
猟兵の強みは皆で協力できるところにある。
一矢、ただ一矢を報いて、あとに繋げることだけを考える。
退路は考慮せず、聖痕の力を一点に集中して渾身の一撃を。
おそらく反撃は避けられないが、グリモア猟兵に回収してもらえばいい。
余力があれば、次に攻撃する猟兵のために最後の力で援護射撃を浴びせておく。
●防護するツニート
――殺意の嵐は未だ止まず、黒竜の群れの前に立ちはだかるジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)をも飲み込もうとしていた。
「予想はしていましたが、やはりこの数は尋常ではありませんね……」
眼前に広がる七十を越える黒竜は、刻一刻と仲間と己の元へと迫ってきている。
強靭な牙と脚は咲き誇る花々を無惨に散らし、果てしない闇の如き瞳は絶対なる力を示していた。
竜の身は紛れもない巨躯。もしもその一撃をまともに受ければ大打撃は免れない。骨の数本は持って行かれるだろうし、下手をすれば内蔵が粉砕されるだろう。巨大であるということはそれだけで脅威だ。なにせ内に在る力も比例しているのだから。
「ですが、退くわけにはいきません。あとに続く皆のために、僕は今、僕にできることを」
竜たちが殺意を向けているということは、ジェイソンにとっては好都合だった。
「正当防衛により、制圧しますッ!!」
悪意あるもの、害意なすもの、殺意向けるものから護る力が発動する。
それは本来は制圧を目的としたもの。しかし今この時は防戦に徹するために肉体を動かす。
(「まずはしっかりと観察するんだ。反撃のチャンスは必ず来る……!」)
体得した軍隊格闘術を応用し、黒竜達の攻撃をいなしながら隙間を潜る。だが、それでも完全にいなしきることはできず、ジェイソンの体は切り裂かれ、血液を散らしていく。
それも当然の摂理。格闘術とは人の肉体を捉えるもの。人間でない竜の一撃を捌くことは本来は不可能。それでも同等に立ち回れているのは、ジェイソンが猟兵であり、埒外の力を有していたからに他ならない。
「グ、ゥッ……!!」
神経を傷付けられる痛みに苦悶の声を漏らしながら、召喚主であるドラゴンテイマーへと着実に近づいていく。
退路のことは考慮しない。いざとなればグリモア猟兵に回収してもらえばいい。
(「一矢を報いて、あとに繋げることだけを考えるッ――!!」)
そうして。
「……そうか。ダイウルゴスの群れを掻い潜ったか」
ジェイソン・スカイフォールはドラゴンテイマーの肉薄に成功する。
「ッ、オォォォォッ!!」
ドラゴンテイマーの声が聞こえたと同時、ジェイソンは肉体に刻まれた聖痕の力を起動。
全身全霊の力を己の拳に集約して、放つ!!
「グッ――」
剛力。
『護ること』よりも『制すること』に長けた術の真価が発揮される。
ジェイソンの手に確かな手応えが伝わる。それは戦場を渡る上で何度も体験した、人の肉の感触だ。
(「入った!」)
「……なかなかやる。だが」
ドラゴンテイマーの右腕が振るわれる。視界の端に、真紅の刃。
「ここは、私の間合いでもある」
「ッ!!」
――鮮血が舞う。
だが、ここまではジェイソンの読みどおり。後の猟兵達に打倒を託し、彼はこの戦場から退避するのだった。
成功
🔵🔵🔴
ヘンリエッタ・モリアーティ
――ドラゴン、テイマー……!
彼が黒幕だというのなら、ここで破壊してしまわないと……ッ
彼が確実に先手。わかるもの、私よりずっと「こういう場に」慣れている。
だから、――確実に、対処する
負傷はもちろん作戦のうちだわ
「負傷すればするほど強くなる」の、私は
【犯罪王の代理人】を使用する
――はは、悍ましい数だこと。かかっておいで!
黒竜の群れには放電で対処をするわ、でも――全力の一撃は、「彼」のためにとっておく
――今!
ある程度負傷して確実に仕留められる、力の増幅を確信してから
彼めがけて竜を押し退け「フォン・ヘルダー」を叩きこみましょう
無傷で貴方を「食べれる」なんて思ってないわ
――その命で払ってもらうわよッ!
●雷鳴のマルコシアス
「量を揃えれば斃しきれると? 随分と、舐められたものだな」
次々と戦場へと現れる猟兵達を前にして、ドラゴンテイマーは深く暗い声音で吐き捨てた。
付近に浮遊する花の足場がぞわりと蠢動し、次の瞬間にはそれは無数の黒竜の群れへと変貌した。地に満ちる六十に、空を飛び交う二十のダイウルゴス。
花々の咲き誇る美しいその場所は、刹那にして黒く染め上げられていく。
「『文明侵略(フロンティア・ライン)』」
竜飼いの繰る異能が一つ。周囲の無機物を自らの従僕へと変生させる埒外。
「――はは、悍ましい数だこと。かかっておいで!」
それらを前にして、ヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)は強気に微笑む。しかし頬を伝うのは紛れもない冷汗。
本能だろうか。ヘンリエッタには理解できた。目前の敵は、自分よりもずっと『こういう場』に慣れている。互いに命のやり取りをし、刹那の油断が死を招く一瞬の油断も許されない殺し合いの場所。
だからこそ、確実に処理をする。
「……竜か。まだ幼いが、故に発展途上、か」
まるで道端の缶を蹴飛ばすかのような軽い調子で、ドラゴンテイマーは真紅の剣の切っ先をヘンリエッタへと向けた。
「――摘まなければな」
飛翔する純黒が、地に立つ漆黒に殺到する。幾多の鳥に死体を啄ませることで葬送を為すことを鳥葬と呼ぶのならば、これはさしずめ竜葬と言えよう。二十とはいえ、それなりの体躯を持つ竜達が一人の人間に集中するのだ。それを『葬送』と言わずしてなんと呼ぼう。
「ガッ、ァアァアアアアアッ!!!」
然し、それはただの人間が相手の場合。
今此処に在るのは過去を殺し、未来を生かす猟兵だ。故にその葬送は成り立たない。
黒竜達の群がる中心から、獣の如き絶叫が聞こえ――。
「……悪いけど、ここであなたに殺されるつもりはないのよ。勿論、『あなたたち』にもね!!」
雷光が、爆ぜた。
黒き殺意の中に輝くのは迸る稲妻の十字架。その中心に立つのは、狼の如き黒のUDCを纏ったヘンリエッタ。
『犯罪王の代理人(インフェルノ・デバイス)』。
負傷と空腹感によって己の力を増幅する反逆の異能。それは二十の竜による乱撃により、ほぼ限界値まで力を溜めることに成功していた。
(「――今ッ!!」)
増幅した筋力と脚力により、瞬時に竜たちを押しのけ跳躍。
無傷で彼を『喰える』などとは思っていない。幾らUDCを纏っていようとも黒竜によるダメージは骨を軋ませ神経を嬲る。
「――その命で、払ってもらうわよッ!」
ドラゴンテイマーとの距離を限りなく縮め、そのまま通り過ぎざまに両手に構えたフォン・ヘルダーで斬りつけるッ!!
ガギンッ!!!
激しい金属音の後、ドラゴンテイマーの頬にはしるのは一筋の傷。ツゥ、と鮮血が流れれば、男は初めてヘンリエッタへと眼を向けた。
「なかなかやるものだな。猟兵」
「どういたしまして、オブリビオン」
無量の殺意が戦場を支配する。それは過去のものか、或いは現在のものか、それとも――。
成功
🔵🔵🔴
未不二・蛟羽
◎
グリモアもキマヒュも大事で、守るっす!
俺は今の世界が好きっす、だから、勝手になんかさせないっす!
【武器改造】で【No.40≒chiot】(以降シオ)を腕に巻きつけ、【武器受け】で赤き剣を受けるっす
痛くても、【激痛耐性】で我慢っす!
続いての攻撃がくる前に【ブラッド・ガイスト】で【No.322】を虎の手足へ、間に合えばシオを狼の大口へ変化させて
シオと二手に分かれ、竜の群れを仔犬が引きつけて貰うっす。攻撃を受けたのはシオだから、竜はきっとそっちに行く筈っす!
シオ…ごめん!
その隙に【ダッシュ】で敵へ接近して、爪で引き裂くっす!
【生命力吸収】【大食い】で、黒竜もドラゴンテイマーさんも全部もぐもぐっす!
●悪食のジズ
「グリモアもキマヒュも大事で、守るっす! 俺は今の世界が好きっす、だから、勝手になんかさせないっす!」
何よりも真っ直ぐな眼差しで見定め、竜の彼方に坐すドラゴンテイマーに宣言するのは未不二・蛟羽(花散らで・f04322)。
彼のその言葉に、ゆっくりとドラゴンテイマーが視線を向ける。
ぞわり。
まるで、背筋を冷たい刃物で撫でられたかのような感触だった。ただ『見られた』というだけなのに、己の野生の勘が絶叫している。
少しでも気を抜けば、死ぬと。
「ッ……!」
「良く吠えた。だが、現実が見えていないようだな、合成獣」
瞬間。先程まではるか遠くに在ったドラゴンテイマーの気配が、背後に移動する。
それは氷狼の猟兵の前へと動いた時と同じもの。距離をなきものとする、移動法の極致。
「飼育してやろう」
「グウッッ!!」
ギィンッ!!
咄嗟に振り返り、右腕に巻き付けた影の子犬によって赤き剣の一撃を受ける。しかしその威力は絶大にして強大。激しい圧力が蛟羽の全身を駆け抜け、びしりと地面に罅が入る。
子犬が苦しむ声が聞こえる。
己の骨の軋む音が聞こえる。
痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い――!!
「ガッ、ァァァアアアアアアッッ!!」
だが、ここで押し負けることは死を意味する。握りつぶされるかのような痛みを必至に堪え、全身の筋肉に力を込めて剣を弾き。
「『ブラット・ガイスト』ッッ!!!」
己の血液を代償に、暴食の異形を顕現させる。
右腕の刻印は獲物を斬り裂き貪り食う虎の爪へ、巻き付けた子犬は世界をも飲み込むかのような狼の大口へと変化させ、ドラゴンテイマーの肉体を噛み千切らんと手を伸ばす!!
「……言ったはずだぞ」
然し、飼育者は冷たく零す。
「"飼育してやろう"とな」
虚空が歪み、亀裂が走り、その中から現れるのは無数の黒竜ダイウルゴスの群れ。
赤き剣に捉えられたものは、皆等しく竜の餌食となる。真紅の傷がある限り、その運命からは逃れられない。
『クリムゾンキャリバー』。
ダイウルゴスの群れは狼の大口とその宿主である蛟羽めがけて突進する。
「読めてるっすよ……シオ!!」
だが、それは想定の内。黒竜が完全に自分たちに到達する前に、右腕の異形との一体化を解く。
再び子犬となった飢餓の獣が駆け抜ければ、ダイウルゴス達はそちらへと誘導されていく。
攻撃を受けたのは腕に巻き付けた彼であって蛟羽ではない。故にダイウルゴス達は蛟羽ではなく子犬を狙い、そこに大きな隙が生まれる。
「計ったな、合成獣ッ……!!」
(「シオ……ごめん!」)
その間に、なんとしてもドラゴンテイマーへと一撃を食らわせる。それが蛟羽の狙いだった。
猛禽の翼を広げ、低く地面を滑空するように走りドラゴンテイマーとの距離を縮め。
「ッ……」
「いただき、ますッ―――!!!!」
飢渇の爪が、その肉を抉った。
成功
🔵🔵🔴
フォー・トラン
予め"破壊工作"で鍛えた爆弾製作技術で2種類のトリックボックスを準備しておく。
閃光弾、そして爆風だけが発生するように細工を加えたものだ。
竜がアタシの眼前まで迫った瞬間に閃光弾を炸裂させ、それと同時に"変身魔法"でツバメに変身する。
一拍遅れて第2の爆弾を炸裂させ、爆風に乗ってドラゴンテイマーに肉薄する。
閃光弾による視覚封じ、急激なサイズ変更による撹乱、爆風を利用した高速回避の3つの策のうち1つでも成功すれば、反撃する程度の体力は残るだろう。
上空方向から回り込んでドラゴンテイマーにキスできる距離まで近付けたら、変身を解くと同時に"全力魔法"の電気ショックを叩き込む。
これでもくらえ!
●造作するテーレウス
フォー・トラン(精霊術士・f12608)の肉体を赤き刃が切り裂いたのは、一瞬のことだった。
ざっくりと斬りつけられた腹部からは今まで自分が何度も見てきたものが溢れ出し、今まで感じたことのないような激痛が走る。
「ガ、ァァッ……!!」
普段は破壊工作や情報収集といった闇に潜む任務に従事しているフォーにとって、真正面から戦うことはまさに鬼門だった。
それでもこうして彼女が戦場にたったのは、なんだかんだ善良な性分のせいだと言わざるを得ないだろう。
あぁ、まったくもって損なことをした。こんなに痛いんだったら、前に出るんじゃあなかった。
どさりと、体が花の足場へと落ちる。血液が地面に染み込み、花々が赤く穢れていく。
「脆いものだな。その程度で私の前に立つなど、嗤わせる。――喰らえ、ダイウルゴス」
まるで一切の興味を失ったかのように吐き捨てれば、虚空より召喚された黒竜の群れがフォーの元へと走り往く。
倒れているが故に、フォーには姿を見ずともよく理解できた。間もなく竜達は自分の元へと辿りつき、自分は彼らの餌になるのだろうと。ズシンズシンと重い足音が徐々に地に倒れている己へと近づいてくる。
その接近が完了するまで、おおよそ五秒。
四、足音はやがて地響きとなり。
三、獲物を前にした歓喜の唸り声が聞こえ。
二、生臭い吐息が空気を満たし。
一。
――そして、世界に閃光が充ちる。
「何、だと……ッ!」
キィィィン、と光と共に鼓膜を激しく叩くのは閃光弾特有の耳障りな高音。
それによりダイウルゴス達は激しく感覚を見だされ、その使役者であるドラゴンテイマーも僅かに体勢を乱される。
そのような所業を、一体誰ができるのだろうか? 決まっている。決まりきっているのだ。そんなことは。
「見くびられたモンだな。このアタシが、ただ馬鹿みてぇにてめぇの攻撃を受けたと思ってんのかよ」
フォー・トラン。見ぬほど知らずで、真面目で善良な、一人の猟兵。
「お前……まさか、わざと攻撃を受けたというのか……! 『これ』を発動するために、わざと!」
「ハッ、答える義理はねぇな。――ねんじろ!」
光で眩む視界では、誰もフォーのことを捉えることはできない。
たとえばもし、フォーが己の姿を別のモノに変化させようとも、それを認知することは絶対にできないのだ。
フォーの声が聞こえたと同時、激しい爆風が吹き荒れる。それは何よりも疾く在りたいと願った女の如く荒々しく、そして力強い突風。
彼女が設置して起動させた、第二の爆弾。
「クッ……!! 小賢しいッ……!!」
戻りつつある視界の中、地面に剣を突き刺して突風に耐えるドラゴンテイマー。
「よう、きょうだい。風は嫌いか?」
直後、彼の背後から女の声。
「しまッ……!!」
そこにいたのは、先程まで地面に倒れ伏していたはずのフォーの姿。
「あんまりアタシ達を舐めてるじゃねぇぞ!! これでも、くらえェェッ!!!」
――雷撃が、竜飼いの体を焦がした。
大成功
🔵🔵🔵
土斬・戎兵衛
◎
文明を侵略などさせねーさ
発展した経済社会あってのお金ちゃんだからね
ダイウルゴスとやらがどのような生物かは知らんが、蜥蜴ではなく竜と言うならば相応の大きさはしていよう
であるならば、無機物からの変化も瞬きの間にとはいくまい
何が竜に変わるか【見切り】、変換が終わる前にその物体に【早業】でUCの投げ銭を雨あられと食らわせよう
竜として生まれ出づる頃にはそれなりに弱らせているのが理想
さすれば、いくら恐るべき群竜と言えど、拙者の剣で斬り殺せるはず
落ちた銭の分だけ拙者の身体能力は上がるでござるしな
隅の暗がりは人斬りの領域(せかい)
隠れ潜んだ場が悪かったでござるな
もっとも拙者では骸の海までは追えないが
●拝金のミダス
積み重ねられた猟兵達の攻撃、そして電撃と飢餓の一撃によってドラゴンテイマーは確実に消耗していた。
肌は焦げ付き、羽根の一部は折れたかのようにだらりと力なく弛緩し、その瞳には僅かな焦燥の色が滲んでいる。
――このまま押し切れば、勝てる。
土斬・戎兵衛("刃筋"の十・f12308)を含めた多くの猟兵がそう思うことだろう。
だが。
「『文明侵略(フロンティア・ライン)』……!」
目前の現実はどこまでも厳しく、そしてどこまで強靭だった。
竜飼いの埒外が迸る。足場を構成している大地がぼこぼこと盛り上がり、そこから現れるのは無数の黒竜ダイウルゴス。
地面というものは幾つもの層によって構成されている。生物の死骸や植物根からの分泌物、砂、微生物、そして――鉱石。無機物であるそれは、土を構成する層のなかでもかなりの下層に位置するものだ。
「お金ちゃんッ―――!!」
それを知っているからこそ、戎兵衛は盛り上がる大地に向けて投げ銭を連射する。
敵は蜥蜴ではなく竜。加えてかなりの体躯を誇るものと来た。であれば変化には相応の時間が掛かるはず。
地面を構成する無機物から竜を作り出すなどとは想定外だったが、それでも完全に竜化するまえに傷を負わせることができれば、こちらの有利に繋げることができる。
できるだけ多く、できるだけ疾く、この銭はいずれ回収するのだ。ならば加減などはしていられない。
(「まぁ、落ちたお金ちゃんを竜にでも変換させられた最悪だけどね……!」)
たとえ外れたとしても、落ちた銭の数だけ戦闘能力は上昇する。戎兵衛の埒外はそういうものだ。金はすばやく回収しなければならない。ましてや相手は無機物を変換する能力持ちときた。
やがて完全に顕現した竜の一撃が戎兵衛を襲う。一撃目、二撃目と躱すが、三度目に繰り出された竜爪が彼の体を斬り裂いた。
「グッ、ハァッ……!!」
機構である肉体が抉れる。投げ銭によって弱体化しているとはいえど、通常の人間よりは強度の高いはずのそれはまるで紙切れ同然のように容易く切り裂かれた。
鮮血の如き液体が吹き上がり、激痛が全身を貫く。すぐ側まで近づいてきた死の気配に、本能的な恐れが込み上がり膝をつく。
それでも。
「ハハ………文明を侵略など、させねーさ」
土斬・戎兵衛は倒れない。
黒鉄色の直刀を地面に突き刺し、ゆっくりと立ち上がる。
割かれた傷が激しく痛む。せっかく買った侍っぽい着物がずたずただ。
「お金ちゃんの、ためにもね……!!」
金というのは、発展した文明社会があってこそ成り立つものだ。
もしもそれを弄くられては拝むべき金が金でなくなってしまう。そんなことは、戎兵衛にとって由々しき事態だ。
それに先程ばらまいた金も回収していない。ここで倒れたら、あれは誰が回収する?
「……拙者では骸の海までは追えないが、それでもお主ら」
直刀を鞘に収め、戎兵衛はもう一つの刀を抜き放つ。
「隠れ潜んだ場が悪かったでござるな。隅の暗がりは人斬りの領域……、土斬・戎兵衛。参るでござるッ――!!」
白刃一閃。
ひどく脆く、しかし何よりも切れる分渡の刃が、黒竜達を斬り裂いた。
苦戦
🔵🔴🔴
ニュイ・ルミエール
昔
災厄には
命を捧げて鎮めたって聞いたの
ならおじちゃんは
にゅいで、満足してくれますか?
元々形に囚われぬ体、心
早業と変装、防具改造で致命傷を避け斬られ
後は胎に納まるだけ
──うそつき。
魂を穢す神さまを降ろし
狂乱索餌する群龍を支配
──ふふ、…ねぇ?
そんなに美味しい?
だったらいいよ?
もっと激しくして
無限大の欲望
止められないんでしょ?
貴方達の全テを懸けて
にゅいノ全てを奪っテ
ドロドロに1つになろウ?
意識も視界モ真赤に焦がスノっ
蕩ケて滾ル劫火ノ坩堝のヨウに♪
炎獄ノ炉へ紅ノ剣サエ鋳熔カしテェッ♡
風花舞ウ幻想ヲォ始原ノ灼海ヘト焼キ帰スノォオッッ❣❣
アッハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \────ッ🖤🖤🖤
●恍惚するジャヒー
災厄というものは、いつだって理不尽だ。
神であれば贄を捧げればその暴行は留めることができたかもしれない。悪魔であれば呪言によって祓うことができたかもしれない。
ニュイ・ルミエール(神さまの遊び場・f07518)という一人の聖者はそれを信奉していたのだ。命を捧げることと引き換えに災厄を鎮めることができるという、救いのない永夜の世界に囁かれる言葉を。
故に捧げた。この身を、この心を。赤き剣という絶大なる災厄を不定形の肉体で受け、そうして鎮めようとした。
けれど。
『――うそつき』
災いは鎮まらない。それどころか、虚空に空いた穴から現れた黒竜の群れが、もう目の前に迫っている!
嗚呼、嗚呼、なんということだろうか。総ては虚構。真実に非ざるまやかしだった。
この身を捧げど災厄は止まらず、尊い犠牲などというものは存在しない!
ならば総てを燃やしつくそう。過去の脅威も現在の災厄も蕩かし尽くし、無謬の安息を為そうではないか。
斯くして、少女の肉体に『神』が降りる。
少女の肉体が黒竜たちに貪られたのは、同時だった。
――それが、灼熱の呼び水となる
「……下らん思想だ。私がお前で満足するか、だと。ありえんよ、そのようなことは」
ドラゴンテイマーがそう吐き捨て、背を向けた時、『それ』は起こる。
『──ふふ、………ねぇ? そんなに美味しい?』
黒竜ダイウルゴスの群れ。そのうちの一匹が、"蕩けた"。
刹那にして液体へと変わったそれに、ドラゴンテイマーの眉間に驚愕が刻まれる。
「………何だ?」
蕩けた一匹の内側から、一人の少女が姿を見せる。
穢れた炎に身を包み、先程とは比べ物にならないほど邪悪な表情を浮かべた彼女(かみ)の名は――ニュイ・ルミエール。
「さぁ、貴方達の全テを懸けて、にゅいノ全てを奪っテ」
歌うように紡がれたそれは神威を纏った大いなる言霊。御言葉を紡ぐのは神の特権であり、その特権は何よりも優先される。
ニュイの言葉に誘われるように、ドラゴンテイマーの召喚した黒竜達がニュイへと食らいつき、されど叶わず蕩かされる。
「止まれダイウルゴス………! 私の声が聞こえないのかッ!!」
「アッハハハ!! 意識も視界モ真赤に焦がスノっ! 蕩ケて滾ル劫火ノ坩堝のヨウに♪」
災厄というものは、いつだって理不尽だ。
だがソレ以上に、狂った神は理不尽だ。狂喜に笑う少女の姿をしたソレは、神話に語られる悪意もつ太母の如く花の足場を燃やし、黒竜たちを液体へと変えていく。
ひどく恍惚とした表情を浮かべたニュイは、はじめにドラゴンテイマーの前にたった聖者とはあまりにもかけ離れていた。
「炎獄ノ炉へ紅ノ剣サエ鋳熔カしテェッ♡ 風花舞ウ幻想ヲォ始原ノ灼海ヘト焼キ帰スノォオッッ❣❣」
「……意思持つ災害(かみ)、か。く、くくく……いいものを見せてもらったぞ、猟兵ッ!!」
――此処にあるのは悪樹齎した六翼と、幻想を焼く魔天。
悦楽の哄笑が響き渡る。それは六翼のものか、魔天のものか、或いは。
成功
🔵🔵🔴
秋月・信子
・SPD
あの影…あれが今回事件を裏で糸を引いていた黒幕ですか
そうであればみすみす見逃せません
ですが…ドラゴンテイマーを名乗るだけあって使役する竜を召喚してきますか
あの数字が書かれた鱗は…もしかして逆鱗?
もし…伝承通りに逆鱗が弱点ならば…いい的ですね
【破魔】の力を宿す銀の銃弾に竜の鱗を貫通させる【鎧砕き】のイメージを込めた魔弾を、合体される前にボルトアクションライフルで狙撃(【スナイパー】)します
うまく召喚した竜を倒せたならば、続けて召喚者をターゲット
瞳を蒼く輝かせて発動させるUC【魔眼の射手】は影になっても貴方を逃しません
灰は灰に、塵は塵に、過去は過去に…還りなさい
※アドリブ&連携歓迎です
●洗礼するザミエル
――紅く紅く燃え盛る花の戦場にて、再び竜飼いの霊言が響く。
「"九十九の意思を束ねよ、其は一つの現在を喰らうために"」
六翼を以てゆっくりと空中へと浮かび上がりながら、ドラゴンテイマーは右腕の赤剣で虚空へと門を刻む。
門はゆっくりと開き、その中から再び大型のダイウルゴスの群れが姿を現す。然し、それは先程までとは様相が異なっていた。黒き鱗はより昏く、闇の如き瞳はより深く、全身に纏う殺意は槍のように鋭い。
「あれが今回事件を裏で糸を引いていた黒幕ですか。そうであれば、みすみす見逃せません」
秋月・信子(魔弾の射手・f00732)はゆっくりとボルトアクションライフルを構えた。
(「『ドラゴンテイマー』を名乗るだけあって、使役する竜を召喚してきますか。しかし、この感じは……」)
次々と地面に降り立つ黒竜達を見て、信子は直感する。
――凶暴性が、増している。
おそらくドラゴンテイマーが何らかの干渉をダイウルゴス達に施したのだろう。飼育者にのみ許された手法。それが何かは信子には想像もつかないが、ただでさえ相手は強大な力を持つ竜だ。警戒を、解いてはいけない。
(「あの数字が書かれた鱗は……もしかして逆鱗? もし……伝承通りに逆鱗が弱点ならば……」)
ライフルに装填される銀の弾丸に込めるイメージは鎧砕き。あらゆる鋼を貫き通し、肉を引き裂く拷問弾。
「いい的ですね……ッ!!」
やがて黒竜達が自分へと突進すると同時に、信子も走りだす。
狙いを定め、トリガーに指をかけ、黒竜達が合体する前に逆鱗を射る。
「ッ――」
暴れる竜の起こした風がすぎれば、頬にぴしりと一筋の傷がはしる。
間違いない。この竜達は。
「狂化、しているっ……!!」
「……ほう、気付いたか。これらは些か不安定でな。その分強力だが、そのままでは飼いづらい。故に普段は『首輪』を付けているのだが、解かせてもらった」
「そうですか。だけど、敵にそんなことを喋っていていいんですか? 情報はあらゆる場面において対策をもたらす種になります。『首輪』が外されたなら、もう一度つければいいこと」
「くく、飼育者でもないお前たちがこの竜に首輪をつけると? 奢るなよ猟兵。そんなことを言っていると――死ぬぞ?」
「ご心配なく」
ズドン。
背後から己を噛み千切らんと迫ったダイウルゴスの一体の首を振り向きもせずに射抜けば、信子の瞳が青く輝く。
「あなたはここで落とします。"主よ……どうか我が手と我が指に、戦う力を与えたまえ"!」
それは際限なく見通す魔眼の発露。信子の持つ埒外の力の一つ――。
『魔眼の射手(ディバイン・ハントレス)』。
「ッ――!!」
ドラゴンテイマーの元へと一条の蒼光が駆ける。それはあらゆる防護を貫通し、血肉を抉る砕きの弾丸。
故に、彼が己を護るように展開した六翼の防壁など意味を為さない。
「グ、ゥゥゥッ――!!」
硝子の砕けるような音がして、ドラゴンテイマーの苦悶の声があがる。
見れば、彼の翼の幾つかに穴が空き、抉れていた。
「灰は灰に、塵は塵に、過去は過去に……還りなさい」
毅然とした態度で言い放つ信子を、憤怒をたぎらせる竜飼いが見つめていた。
成功
🔵🔵🔴
ブリッツ・エレクトロダンス
何者だお前。旧人類―――というには雰囲気が違いすぎるな。
この惑星に由来しない、ここに存在するはずがない…って感じだ。
おおっと、そんなに沢山ドラゴンなんぞ召喚してくれて…
片っ端から!撃ち落としてやる!合体の頭数を思いっきり削ってやる!
(ピューマ8045Fを抜き、1の刻印を狙って銃弾を片っ端から叩き込みにかかる。)
(使用技能:2回攻撃、クイックドロウ、スナイパー、視力)
さて、今度は俺の手番だ。
起点、奴の足元。ベクトル、真上。出力、最大。
上空へと吹き飛びな…疾風(シュトルム)ッ!
で、どうせ空中で体勢を立て直すのは分かってる。
ならば下に堕としてやるよ、追撃の疾風(シュトルム)、ベクトル真下!
●迫撃するアネモイ
「……何者だお前。旧人類―――というには雰囲気が違いすぎるな」
黒竜の群れ、その向こうで殺意を燃やすドラゴンテイマーにブリッツ・エレクトロダンス(DJ.Blitz・f01017)が問う。
その眉間には警戒を意味する皺を刻まれており、光を飲み込む色彩の毛がぞわりと逆毛立っていた。
「この惑星に由来しない、ここに存在するはずがない………って感じだ」
これまで対峙してきた怪人達とは明確な違いを感じる。
色とりどりの花畑に打たれた黒点のように、宝石の中に紛れ込んだ鋼のように。
ドン・フリーダムが撃ち倒された今、その違和感は何よりも目立っていた。
「イカれてるぜ」
「さてな。お前たちは知っているのではないか? 私は『ドラゴンテイマー』。それ以上でも、それ以下でもない」
「ハッ、答える気はねぇってことな……」
やれやれと首を左右に振るブリッツ。
「にしても、そんなに沢山ドラゴンなんぞ召喚してくれて……」
眼前に広がる黒の群れに辟易する。何体かは他の猟兵達が倒してくれているが、それでもこの量は多すぎる。
十、二十、三十、四十、五十……あぁ、数えなくてもわかってるさジシ201X。
とんでもねぇ数だ。だったらやることは決まってる。こいつら全部が合体したらきっと太刀打ちなんてできねぇ。
「片っ端から!撃ち落としてやる!」
「――貪れ、ダイウルゴス」
ブリッツが自動拳銃【ピューマ8045F】を抜くのと、ドラゴンテイマーがダイウルゴス達を動かしたのはほぼ同時だった。
しかし、僅かにブリッツの方が速い。ドラゴンテイマーへと疾走しながら逆鱗に刻まれた『Ⅰ』の数字を狙って次々と弾丸を撃ち込んでいく。
己を飲み込もうとする牙、肉を裂こうとする爪、抉り飛ばそうとする脚。それらがブリッツに届く前に、黒竜達は倒れていく。
やがて、ブリッツはドラゴンテイマーへと肉薄し――。
「さて、今度は俺の手番だッ!」
起点は敵の足元。ベクトルは上空。出力は最大。
すべてを設定し終えたと同時に、ブリッツの身に流れる埒外が目を開く。
「吹き飛びな……『疾風(シュトルム)』ッッ!!」
「ガッ……」
轟ッッ!!!
突如足元に発生した激しい風力によって、ドラゴンテイマーは狙い通り上空へと舞い上がる。
負傷した六翼で体勢を立て直そうと試みるも、万全ではないそれは隙を生み。
「読めてるぜ……落ちろォッ!!」
今度は真下へと叩きつけようとした時、ブリッツの耳に声が聞こえた。
「奇遇だな。――私もだ」
「ッ?!」
次の瞬間、ドラゴンテイマーとブリッツ、その『両名が地面に叩きつけられる』。
「ガ、ハァッ!?」
全身に激痛が走る。まるでひどく重いものに押し潰されるような痛み。押し潰されるような、痛み?
「ッ――!!」
「クッ……ククク……」
ゆらりとドラゴンテイマーが立ち上がり、嗤う。
その背後には、彼を護るように逆鱗に『ⅢⅩ』の文字が刻まれたダイウルゴス。
「お、前ッ……! まさか、あの一瞬で……ッ!」
「然り。頭数は随分と削られてしまったが、それでも充分だろう。――さて、どうする猟兵。此処で此奴の餌となるか、それとも私に殺されるか。選ばせてやろう」
「冗談ッ、抜かせ……! どっちも御免だ! 俺は、俺達は、此処でお前をブッ倒す!」
その怒号に、竜飼いが歪に微笑んだ。
苦戦
🔵🔴🔴
リダン・ムグルエギ
事前に半キロ先の安全地帯にコネのあるキマイラ達を呼び
望遠撮影&フラワーズ内部に生放送してもらうよう依頼
穴が前後2つ開いた巨大な袋のような布も作るわ
中に1枚金属ボタンを仕込むの…触媒として
転送後は袋の上で待機
見せて頂戴なアナタのドラゴンさん
アタシの作品の糧にしたいの
狙いは竜に袋…中で召喚され布を突き破り四肢を出すことで完成する服を着せる事なの
空けた穴は首と尾用
見た者の距離感を狂わせる模様を縫い込み
騎乗容易化用の突起を作り
敵の操作を想定し着用者の動きを制限する形にしたの
騎乗の練習もしたし騎乗服も改造済み
他竜の牙も少しは避けるし通さないわ
ドラゴンに乗ってみた!
この映像、アナタの琴線に触れられるかしら
●抑圧するバフォメット
「――えぇ、そうなの。だからあなたたちに頼んでるのよ。住んでるところが真っ二つに割れてしかもなんだか賑やかなことが起こってるのに、あなたたちはそこで見てるだけだなんてそんなのつまらないじゃない。そうでしょう? それにきっと沢山の猟兵が集まってくるわ。ねぇ、それをよく見てみたくない? 世界の誰よりも近くでそれをカメラにおさめてみない? ……え? まぁ、確かにちょっと危ないかもしれないけれど大丈夫よ。たぶん。それじゃあ、よろしくね」
と、そんな風にリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)がコネのあるキマイラ達に連絡を回してシステムフラワーズ内に呼びつけ、とっておきの触媒と布を一から作り出し、準備を万端にした状態でドラゴンテイマーの戦場に訪れた頃には、戦闘は佳境も佳境、大佳境に差し掛かっていた。
キマイラ達もどうやら丁度到着したようで、目前で繰り広げられるド派手な戦闘に歓喜の声を漏らしたり時折吹き飛んでくる土塊や聞こえてくる咆哮に震えたりしている。
(「少し遅れちゃったかもしれないけど、概ね想定どおりね」)
ざく、ざく、ざく。
戦闘の余波によって削れた土を踏みしめながら、リダンはドラゴンテイマーとの距離を縮めていく。
纏う服に秘められた暗示は彼の視線を自然と引きつけ、少しずつ彼女の術中へと嵌っていく。
――それに、彼が未だ気づくことはない。
「はじめまして、ドラゴンテイマー。アタシはリダン。早速で悪いんだけど……見せて頂戴な、アナタのドラゴンさん。アタシの作品の糧にしたいの」
キマイラ達のカメラがしっかりと回っていることを確認しつつ、リダンは言葉を紡ぐ。
「……よほど死にたいようだな。いいだろう。望み通り――殺してやる」
本来の彼であればそのような言葉は口にしなかっただろう。先程合体させた『ⅢⅩ』のダイウルゴスを使い、速攻リダンを殺していた。
しかし、今彼が対峙しているのは幾多の要素を用いて他者を操る暗示使い――リダン・ムグルエギ。
彼女の服が、言葉が、匂いが、仕草が、その総てが彼を意のままに操る毒となる。
危機感の剥奪。警戒心の歪曲。殺意の増長。そして選択肢の盲目化。
「『文明侵略(フロンティア・ライン)』!」
リダンの思惑どおり、ドラゴンテイマーはダイウルゴスの群れを召喚。
そのまま目の前の宇宙山羊を食い殺さんと竜達は殺到するが、そのうちの一匹の動きが止まる。
止まる? 否、それは『始めから止まっていた』のだ。
「何………?」
「ふふ、ばっちり撮れてる? それじゃあ行くわよ? あ、これサムネね。せーの」
リダンがふわりと笑う。彼女の視線は先程よりかなり高くなっていて、その下には黒い、黒い巨大な何かが。
当たり前だ。何故なら彼女は。
「――ドラゴンに乗ってみた!」
黒竜ダイウルゴスに、騎乗しているのだから。
「なっ……!!」
「あなたに途中で気づかれたらどうしようかと思ったけれど杞憂だったみたいね。アタシのことを見てくれたし、ちゃんと布の内側に召喚してくれた」
「馬鹿な……認識を狂わせたのか……! あの刹那に、あの瞬間に! いいや……まさか、『初めから』!」
「今更気付いたってもう遅いわ。ただ一つ教えてあげられるのは、これがアタシの能力ってこと」
『トレンドメーカー・GOATia(トレンドメーカーゴーティア)』。
「さぁて、行くわよダイウルゴス。あなたのご主人様と友達も、まとめて全部蹴散らして!」
斯くして宇宙山羊の思惑通りにことは進む。竜飼いを騙し、竜を手に入れた彼女によって、ダイウルゴスの群れは次々と倒れていった。
成功
🔵🔵🔴
ニコラ・クローディア
はん、たかがトカゲを操る程度で悦にいるとは
真なる龍とは如何ほどのものか、教育してやろう!
龍とはすなわち、孤高の誇りを魂に抱いた者――その姿、貴様の魂に刻むがいい!
相手の攻撃は激痛耐性とオーラ防御で堪えつつ、ユーベルコードを発動だ
その先制攻撃、全てオレサマの力としてやる!
祖龍、顕現――魂の誇りとはかくもあらん!
そちらの攻撃が激しさを増すほど、オレサマは力を増し傷を癒す
配下のトカゲで事を済まそうとした己の迂闊を呪うがいい、トカゲ使い!
祖龍顕現さえ使えればあとは無機物操作を警戒してのスデゴロ勝負へ持ち込むぞ
アドリブ・連携歓迎
●拳撃のラハブ
「――気に食わんな」
戦場に降り立ったニコラ・クローディア(龍師範・f00091)が最初に口に出した言葉はそれだった。
竜を飼育するもの、ドラゴンテイマー。『祖龍』の名を冠する彼女にとってそれはひどく忌まわしく腹立たしい。
「はん、たかがトカゲを操る程度で悦にいるとは。真なる龍とは如何ほどのものか、教育してやろう!」
故に彼女は男の前へと立ちはだかる。
六翼は折れ傷は蓄積しているものの、敵は未だ刃のような圧を放っている。
しかしそれにニコラが怯むことはない。傲岸不遜にして唯我独尊の龍は、凛とした佇まいでドラゴンテイマーへと啖呵を切る。
「……フン、笑えんな」
頬や肉体に受けた傷は癒えず、六翼は折れた。しかしそれでも、男の様子は変わらない。
「ならば一つ、『質問』してやろう」
大地が揺らぐ。地層の底の鉱石が再び変動し、その姿を黒竜へと変える。
「"真の龍とは、烏滸がましくも他者に『教育』などと吠える俗物なのか?"」
刹那、ニコラの足元から現れた無数の竜の爪が彼女を切り裂く。
「グゥゥッ……!!」
咄嗟に身を闘気の膜で覆うものの、それでも肉体への傷は避けられない。膜を貫通した爪が柔肌を撫でればそこがぱっくりと裂かれ鮮血が噴き出す。巨躯から繰り出される一撃は重圧を伴って身を圧迫し、それが己の周囲を囲むことによって肉を潰すプレス機の如く作動している。
全身を激痛が飲み込み、気が狂いそうな痛みが脳を支配する。
「が、っぁぁ! 『祖龍(アンセスタル)』ゥッ、『顕現(コール)』ッ!!」
――魂の誇りとはかくもあらん!
それはニコラの真の姿を擬似解放する言祝ぎ。龍詞と呼ばれる彼女独自の言語が空気を震わせれば、肉体が変質していく。
衝撃を弾く漆黒の鱗が肉体を覆っていき、瞳孔は細く爬虫類の如く変わる。『祖龍』と呼ばれたモノの片鱗が、ニコラと同化し、現出した。
「俺様を……俗物だと……?! 言いやがったな……、殺す! 殺す殺す殺す殺す殺す殺すッ!!」
暴君(かのじょ)にとって、己を侮辱する敵は万死に値する。
ドラゴンテイマーに負けずとも劣らずの殺意を全身から放出し周囲のダイウルゴス達を弾き、そのままドラゴンテイマーに肉薄!
「配下のトカゲで事を済まそうとした己の迂闊を呪うがいい! トカゲ使いッ!!」
敵から攻撃を受ければ受けるほどに、『祖龍顕現』を用いるニコラの力は増強される。
それは物理攻撃は勿論のこと、彼女が『攻撃』だと認識すればたとえそれが精神攻撃であろうと何であろうと『攻撃』となる。
故に己への侮蔑であれば、何よりも激しい『攻撃』だ。
「クッ……なんだ、この力は……ッ!」
「貴様が繰り出した攻撃はすべて俺様の糧にさせてもらった! 貴様の力も頂くッ!」
繰り出されるのは瞬足にして剛力の拳。正面からの拳を受ければ次は右から、右からの拳をいなせば次は下から、更にその次は腹部への正拳――。
触れた相手の生命力を奪う力を纏うその一撃は、防ごうと喰らおうと命中すればその時点で敵の命はニコラに喰らわれる。
事実、ニコラと攻防を繰り返す内にドラゴンテイマーの動きは徐々に遅くなっていく。
動きが緩慢になるというのは即ち、それだけ隙を生みやすくなるということにほかならない。乱打の末に生じたそれを、ニコラが見逃すはずもなく。
「龍とはすなわち、孤高の誇りを魂に抱いた者――その姿、貴様の魂に刻むがいい!」
龍を謳うものの拳が、竜を飼うものの顔面を捉えた。
成功
🔵🔵🔴
甲斐・ツカサ
◎×∞
▲
文明を侵略する竜の群れ!
つまり、向こう側は文明の無い未知の世界って事だよね!
それならこの戦いは立派な冒険、燃えてきた!!
文明侵略の範囲外ギリギリ、文明圏の水際までバイクで突っ込んで、その勢いを借りて竜の領域に飛び込もう!
そこから先の冒険に持って行くのは身体と身に着けた装備、それに勇気と覚悟だけ!
空気を足場に、竜の体をワイヤーの支点に
竜の群れを山や谷、ジャングルのように乗り越えて潜り抜けよう
目指す場所、狙う相手はドラゴンのおじさんだけ!
そう、そこまでの道のりの全てが冒険!
言葉だけじゃない、全身を使ってその冒険譚を紡いで、この冒険を締めくくる為の力を!
勿論、オレだけじゃなくて皆の力を、ね!
●撃ち落とすスキールニル
ドラゴンテイマーの体が揺れる。砕けた鼻骨を無理やり再生し、顔面の血液を拭って前を向く。
「ク、クク……ッ! やってくれたな、猟兵ッ!!」
呼び出した竜たちは次々と撃ち倒され、己の肉体に重なった疲弊と痛みは限界へと到達しようとしている。
最早己の負けは確定しているということを、ドラゴンテイマーは悟っていた。
(「逃がすなどという選択を取る可能性は極めて低い。ならば、私の取る選択肢は一つか」)
全身に流れる埒外の力を一点に集約する。それは全力にして死力。後に退く道がないというのならば、目前の障害は破壊し尽くすまで。
それを為すための力が己には在る。故に。
「『文明侵略(フロンティア・ライン)』――!!」
六翼の竜飼いは、ここに絶望の具現をもたらす。
大地が、空気が、その総てがドクンと脈動し暴虐の黒竜を形成する。地の下の鉱石の欠片や砂、空に充ちる酸素や二酸化炭素、そのすべてが元となって造られた黒竜たちは、世界の終幕をもたらすかの如き様相だった。
これこそが文明侵略の極致。何一つして逃さない。目前にあるものは一切合切侵し尽くす!!
だが、それを認めぬものがいる。
――竜の足音と羽音に混じって聞こえてくるのはエンジンの駆動音。
蒼光を反射して光のように輝く黒銀の馬に乗った、一人の猟兵が竜の群れへと迫っていた。
「文明を侵略する竜の群れ! つまり、向こう側は文明の無い未知の世界って事だよね!」
甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)。
果無い冒険と未知を求めて、少年は大地を駆ける。
「それならこの戦いは立派な冒険、燃えてきた!!」
瞳に勇気と覚悟の炎を灯して、彼は狂乱する竜の群れへと飛び込んだ。
「わざわざこの嵐の中に飛び込むとは勇敢だな猟兵! 然し、それは蛮勇だと知るがいいッ!」
「確かにすっごい気迫! ……だけどっ!」
咄嗟にバイクと空気を蹴り上げてツカサは竜の一体へとワイヤーを引っ掛ける。未知の標となるその鉄線は見事鱗に絡まり、ツカサを導く力となった。そのまま山や谷、ジャングルのように竜の群れの間を潜り抜け、駆け抜け、ただ一人の倒すべき敵の元へと接近する。
「クッ……それが、お前の埒外か……ッ!」
ドラゴンテイマーの全力を以てして作り出した竜の軍勢。本来であればその隙間を通り抜けることも、ましてや足場とすることもできない。研ぎ澄まされた感覚は近付く獲物を即座に補足し、獲物を切り裂く起点となるからだ。
だが、ツカサはそれをなし得ている。
「これは昔々に始まって、そして今日も続いている、明日へと続く夢と希望に満ちた冒険の話さ!」
『暁運ぶ風の道程(ウィンド・オブ・フューチャー)』。
人が前へと進む限り、人が希望を棄てない限り、その物語は永遠に終わらない。
バイクを繰り、竜を越え、そうして親玉であるドラゴンテイマーに接近した道のりの全てが『冒険』となる。
言葉だけでなく、ツカサの全身がそれを物語ることによって彼の力も、周囲で戦う猟兵達の力も際限なく上昇する!
「うぉぉぉぉおおおっ!!」
「させるかァァァアアッ!!」
始まりから終わりまで燦然と輝く心を模した蒼刃が、竜飼いの右腕となった暗黒の紅刃と激突する。
力と力が衝突し、その余波は衝撃波となって花々を散らす。
刃は僅かな間拮抗する。しかし。
「いっけぇぇぇええぇッ!!」
冒険は終わらない。彼が歩み続ける限りいつまでも。
押し切った蒼光の刃が、ドラゴンテイマーの肉体を斬り裂いた。
絶叫と共にドラゴンテイマーの肉体は霧散し、それと同時に出現したダイウルゴス達は消滅した。
斯くして、猟兵達は六翼の暗黒に勝利したのだ。暗闇に潜む悪意は、もうどこにもいない。
成功
🔵🔵🔴