バトルオブフラワーズ⑫〜黒竜を制する者
●敵はドラゴンテイマー
「皆さんの活躍で、とうとうシステム・フラワーズの中枢への道が開けました」
エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は、誇らしげに猟兵達の戦果を称えた。
「ですが同時に、中枢から少し離れた場所に存在する謎のオブリビオン『ドラゴンテイマー』への道も発見されました。みなさんには、そちらに向かってもらいたいのです」
ドラゴンテイマーはシステム・フラワーズの修理に協力しているとはいえ、戦略的に考えれば今回は倒す必要のない存在だ。
「ですが、ドラゴンテイマーをこのまま放っておいては、後々厄介なことになりそうな予感がするんですよね……」
エルシーはそう言って眉を潜める。
「ドラゴンテイマーは同時に一体しか存在しませんが、何度でも骸の海から蘇ります。ですが他の幹部同様、短期間に許容値を超える回数倒されれば、復活は不可能になる、筈です」
ですが、とエルシーの声が深刻そうな響きを帯びた。
「ドラゴンテイマーはかつてない強敵です。単純な戦闘能力だけでいえば、オブリビオンフォーミュラーである銀河皇帝やドン・フリーダムよりも強いかもしれません」
彼の能力は『黒竜ダイウルゴス』を召喚する力。だがその能力は破格だ。ほぼ無尽蔵に、黒竜を召喚し続けることができるのだという。そしてその召喚も、瞬時に完了する。ゆえに、彼相手に先制攻撃をかけるのもほぼ不可能だ。
「今回の戦いは、相当厳しいものになるはずです。それでも、皆さんなら、この強敵を必ずや撃破できると、ワタシは信じています」
エルシーは祈るようにそう言って、猟兵達を送り出したのだった。
J九郎
こんにちは、J九郎です。
今回は超強敵との戦いになります。
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
それでは、皆さんの渾身のプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『ドラゴンテイマー』
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POW : クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ハルヨリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シャノン・ヴァールハイト
アドリブや他猟兵との連携歓迎
心情
当方は強くなりたい。
そして、強い奴が居ると言うのならば、挑戦するだけだ
先制攻撃に対し…
技能『怪力』を利用して攻撃を防御する。
しかしながら、高い威力を持つ攻撃なので、攻撃が当たる瞬間に肘から先を回す事で攻撃を身体の外側に反らすようにして流すようにするつもりだ。
POW
武器の剣と『怪力』を使用して防御
剣の間合い=一歩踏み込めば、徒手空拳の間合いなので剣を捨て、技能値287の『怪力』を使用して右腕を掴みUCを使用する。可能ならそのまま他参加者が攻撃し易いよう動く
SPDやWIZ
大型については、隙を見つけて倒しに行くしか無いが、手数が無いので可能な限り他参加者と連携して戦う
アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可
赤剣対策としてライドランを槍形態にして【槍投げ】して相手の勢いを逸らしつつ右手に構えたバスターホーンで【盾受け】。剣が刺さったタイミングで【ジャンプ】しながら右腕のブーストアームを発射。反動を使ってドラゴンの群れが来る前に距離を取るぜ。
まあ、素直に逃がしてくれるとは思えんが、こっちも尻尾を巻いて逃げるつもりはねぇ。
距離を取ったら直ぐに左腕に仕舞ってあるフラッシュブレードを取り出し【サウザンド・フラッシュエッジ】で応戦。群れがどの位の数なのかが気になるが…ただ呑まれてやるってわけにはいかねえよな!
●強さへの挑戦
「来たか、猟兵共。お前達の力、私に見せて見ろ」
傲然と佇むドラゴンテイマーは、現れた猟兵達を見下すように睥睨する。圧倒的強者故の、その傲慢、その余裕。
(「当方は強くなりたい。そして、強い奴が居ると言うのならば、挑戦するだけだ」)
対するシャノン・ヴァールハイト(死者の声を聞き、招く者・f10610)の心は、静かだった。相手が強者であることをただ認め、されゆえにこそ、挑むためにここに来た。
「お前達が俺に挑む資格があるのか。まずは小手調べと行くぞ」
ドラゴンテイマーが、動いた。右腕の赤き剣を振りかぶると、一瞬で猟兵達との距離を詰める。
「くっ、速えっ!!」
アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)が、あらかじめ槍形態に変形させておいた大型バイク『ライドラン』をドラゴンテイマー目掛けて投げつける。
「……ふん」
だがドラゴンテイマーは、わずかに赤き剣を振るうことでライドランの軌道を逸らし、そのままアーサーに斬りつけた。
「くっ!」
アーサーはその斬撃を、右手に装備した巨大盾『バスターホーン』で受け止める。だがドラゴンテイマーの膂力は、その程度では止まらない。赤き剣が『バスターホーン』を砕く勢いで、盾に食い込んでいく。そして、
「来い、ダイウルゴス。猟兵共を喰らいつくせ」
ドラゴンテイマーが黒竜ダイウルゴスの群れを召喚したのと、同時に。
アーサーは『バスターホーン』ごと、右腕を高速射出していた。
「何?」
流石のドラゴンテイマーもわずかに驚愕の表情を浮かべる。アーサーは腕を切り離した反動を利用して後方に大きく跳び、ドラゴンの群れから距離を取らんとする。
「追え、ダイウルゴス」
ドラゴンテイマーの指令を受け、黒竜の群れが逃げるアーサーに殺到。だが、後退するアーサーとダイウルゴスの間に、シャノンが立ちはだかった。
「こちらの“力”がどれだけ通用するか、試させてもらう」
シャノンは手にした『堕銀の剣』と、腕に嵌めた『ナックルガード』で、ダイウルゴスの群れを次々と受け流そうと試みる。
「愚かな。たった一人でダイウルゴスの群れに挑むつもりか」
ドラゴンテイマーが侮蔑の眼差しをシャノンに向けた。だが、すぐにその表情が驚きのそれに変わる。
シャノンはドラゴンの突撃を受ける寸前に、肘から先を回す事でドラゴンの軌道を身体の外側に反らし、受け流すように次々とダイウルゴスの攻撃を凌いでいた。だが、どんな体術の達人であろうと、強大な力を持つ竜を捌くことなど、容易にできるはずはない。
「貴様。それはどういうカラクリだ」
「カラクリなんてない。コレはただの暴力だ」
シャノンが、拳を前方に向けて大きく振りぬいた。何の変哲もない、只の拳打。だがその【全力全壊の一撃】は、激しい衝撃波を巻き起こし、まとめてダイウルゴスを薙ぎ払っていった。
「……馬鹿な」
そして、ドラゴンテイマーがあまりのことに動きを止めた一瞬の隙にシャノンは剣を投げ捨てると、ドラゴンテイマーに駆け寄り、その腕に組み付いた。
「そうか、この力。貴様はその怪力に能力を特化させているのか」
動きを封じられたというのに。ドラゴンテイマーは、研究者の眼差しで興味深そうにシャノンを観察する。だが、そこにできた隙は、距離を取っていたアーサーにとっては最大の好機となる。
「こっちも尻尾を巻いて逃げるつもりはねぇ。【Select……SLASH ACTION!】全部まとめて……ぶった切るぜ!!」
黒竜の群れから後退し続けていたアーサーは、反転すると迫る黒竜の群れに真っ向から向かい合う。そして左腕に格納されていた『フラッシュブレード』を取り出すと、無数の光刃【サウザンド・フラッシュエッジ】を、一斉に撃ち放った。
「いくら数が多くたって、ただ呑まれてやるってわけにはいかねえよな!」
黒竜の群れと無数の光刃が正面から激突する。互いに対消滅を繰り返しつつも、先程のシャノンの攻撃で大きく数を減じていた黒竜の群れをすり抜けた光刃のいくつかが、ドラゴンテイマーに迫る。
通常であれば、赤き剣の一振りで軽く消滅させられるであろう攻撃。だが今は、シャノンの持ち前の怪力に抑え込まれ、自由に身動きの取れない状況だ。
「くっ……」
結果的にいくつかの光刃の直撃を受けたドラゴンテイマーは、屈辱に顔を歪めたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
白斑・物九郎
●POW
●対先制
・【野生の勘】を敵右上肢に傾注、出端を悟らん
・「モザイク状の空間」を励起させると共、斬り掛かり来る瞬間に絞りモザイクを更に濃くし(残像)、回避力増を期す
・「L95式サイドアーム」の【クイックドロウ】で剣の刀身目掛け銃撃
・竜の群れが向かう対象を「その銃弾」とさせ攻撃を空振らせる狙い
●戦闘
敵の剣は回避にて対処
回避困難な際は剣を受けるのにとにかく己の身以外を用いる
・「茶斑の三毛」を矢面へ繰り出す
・拳打に番えた「心を抉る鍵」で受け鍵束を即手放す
この手際を二回分シノぐ手数とする
敵攻撃対処の間隙に、ここぞの機に「心を抉る鍵(大)」をいきなり取り出し【怪力】でブチ込む(喧嘩極意・命中率重視)
●野生の力
ドラゴンテイマーが赤き剣を構える瞬間を見逃さぬよう、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)はその右腕の動きを注視していた。
「さあ、見せてみろ貴様の力を」
そして、ドラゴンテイマーが剣を振りかぶると同時に、己の周囲の空間の色彩と輪郭を狂わせ、モザイク状の空間を励起していく。
「俺めのモザイク、見切れますかい?」
「面白い技を持っているな。だが所詮はただの目くらまし」
構わずに振るわれた赤き剣を、剣の軌跡だけモザイクの濃度を濃くすることで目測を誤らせようとする物九郎。だが、彼の野生の勘は、それだけでは足りないことを告げていた。
「だったら、これでどうでさァ」
後ろに跳び退ると同時、寸前まで自分のいた場所に三毛猫型ドローン『茶斑の三毛』を繰り出す物九郎。果たして赤き剣は『茶斑の三毛』を一刀両断に切り捨てるが、物九郎は直撃は避けることに成功する。
「自らの下僕を身代わりにするか。その発想は嫌いではないが」
ドラゴンテイマーは振り抜いた赤き剣の先端を、距離を取った物九郎へと突きつけた。
「来い、ダイウルゴス。あの者を喰らいつくせ」
そして召喚された黒竜の群れが、一斉に物九郎目掛けて襲い掛かっていく。
「おっと、その手は喰らえねェ」
迫る黒竜の群れに、物九郎は『心を抉る鍵』を握り込んだ拳で殴り掛かった。だがダイウルゴスは突き出されたその拳ごと、物九郎を喰らいつくそうとする。
「おおっと危ない」
物九郎は咄嗟に『心を抉る鍵』を手放すと、後方に大きくバックジャンプ。ダイウルゴスが『心を抉る鍵』に喰いついている隙に『L95式サイドアーム』を構え、【クイックドロウ】で撃ち放つ。狙うは黒竜の群れではなく、その彼方にいるドラゴンテイマーの右手の一部と化している赤き剣だ。
「愚かな。数を撃てば当たると思ったか?」
ドラゴンテイマーはその銃撃を、赤き剣を振るって弾いていく。だが、【クイックドロウ】の真の狙いはドラゴンテイマーへのダメージを与えることではない。
――竜の群れが銃弾を目標にしてくれれば、ドラゴンテイマーへの反撃の隙になりまさァ。
銃撃の真の目的は、それだった。
しかし、ドラゴンテイマーはどこか失望したように首を横に振る。
「貴様の狙いは読めている。黒竜が統制の取れぬ存在であれば或いはその手も通じたかも知れぬが、あいにくとダイウルゴスは全て私の支配下にある。私が命じさえすれば、いかようにも動くのだ」
果たして、黒竜の群れは銃弾には一切目もくれず、物九郎に殺到していった。
「終わったな」
ドラゴンテイマーが勝利を確信し、剣を下ろした時。
「ブチのめしてやりまさァ。ブチネコだけに」
いつの間にか懐に飛び込んでいた物九郎が、モザイク空間から取り出した『心を抉る鍵(大)』を、大きく振りかぶっていた。
「!? 貴様、いつの間に!?」
「お前さんにはモザイクの目くらましは効きやしなかったが、竜達には多少効果があったようでねェ」
自分の周囲に展開したモザイク空間でダイウルゴス達の目をくらましつつ、野生の勘を最大限に発揮して竜達の攻撃によるダメージを最小限に抑え、逆に竜達の存在を目くらましに利用することで。それでも避けきれなかった攻撃によって満身創痍になりながらも、物九郎は最大のチャンスを掴んだのだ。
「覚悟はいいですかい?」
そして、物九郎のなんでもアリの喧嘩殺法が、ドラゴンテイマーに叩き込まれていったのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
マユラ・エリアル
純粋に強く、厄介な敵だ
それだけにやりがいがあるというもの
さあ、勝負といこうじゃないか
対策
敵の射程範囲内に入らないように、様子を見る
黒竜の群れが召喚されたら『フェイント』をかけつつ黒竜の群れを翻弄しよう
接敵したら攻撃は『武器受け』で直撃を逸らし、鉤爪で『なぎ払い』黒竜に少しでもダメージを与えよう
『2回攻撃』も活用して連撃で黒竜の群れに対するぞ
耐えている間にも『全力魔法』『属性攻撃』で魔法をブースト
チャンスを見て【氷刃展開】を発動
90本の氷の刃は黒竜の群れに対して牽制も兼ねて攻撃
残り100本はドラゴンテイマーの周囲を包囲するように展開して一斉攻撃だ
避ける隙間を与えぬ飽和攻撃を受けてみろ
アドリブ歓迎
アノルルイ・ブラエニオン
竜が現れたら即逃げるんだよォーッ!
動きを【見切り】つつ【ダッシュ】【ジャンプ】を使って逃げる
充分に距離をあけるのだ
目的は演奏をする為だぞ
わずかなりとも隙ができたらリュートを奏で、UCを使用し始める
【楽器】【歌唱】【パフォーマンス】を併用し全力で奏で、語るぞ
神話に曰く……
太古の昔 神々の戦いがあった
破壊の神は何頭もの竜を敵に差し向けた
芸術の神はこれに対し
静かに座し、楽器を奏でたという
すると竜達は攻めるのを止め
その演奏を聞き入った
そして芸術の神を傷つけることなく帰ったという……
神話のように竜の動きを止めることができたら
他の猟兵に攻撃を頼みたい!
●歌声と魔法
「純粋に強く、厄介な敵だ。それだけにやりがいがあるというもの。さあ、勝負といこうじゃないか」
マユラ・エリアル(氷刃の行方・f01439)は、感情のこもらない声でドラゴンテイマーに宣戦布告をした。
「そろそろ猟兵との戦いにも飽きてきたところだ。ならば速攻で勝負を決めてやろう」
ドラゴンテイマーが左手を振るうと、周囲を漂っていた花びらが凝集し、いくつものドラゴンの形を作っていく。【文明侵略(フロンティア・ライン)】と呼ばれる、無機物を黒竜ダイウルゴスに変換する、ドラゴンテイマーの神の如き能力だ。
「竜が現れたら、即逃げるんだよォーッ!」
その様子を見て、迷うことなく逃走を選択したのはアノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)。アノルルイはわき目もふらず、全力でダッシュして黒竜ダイウルゴスから逃走していく。
「ほう。わき目もふらず逃げ出すとは、随分と思い切りのよい猟兵もいたものだ」
ドラゴンテイマーが、感心と呆れの入り混じった微妙な表情を浮かべた。
アノルルイは後ろを全く見ずに一目散に逃げているようで、その実、背後から襲い掛かるダイウルゴスの動きを見切っているのは、流石というべきだろうか。
一方、マユラは『ルーンソード』を巧みに操ってフェイントを仕掛け、竜の群れを翻弄してみせていた。たまに直撃しそうなダイウルゴスの攻撃はルーンソードで受け流し、隙を見ては鉤爪を有するガントレット『in vitro world』による連撃で黒竜へ反撃していく。それでも受け流しきれずに少なくないダメージを負ってはいたが、まだ致命的なものではない。まだ、耐えきれる。
そんな中、十分に竜達との距離を取ったアノルルイは、乱れた息を整えると、腰に下げていたリュートを手に持ち奏で始めた。リュートの音色に合わせて、アノルルイの澄んだ歌声が、花びら舞う戦場に響き渡る。
『神話に曰く……
太古の昔 神々の戦いがあった
破壊の神は何頭もの竜を敵に差し向けた
芸術の神はこれに対し
静かに座し、楽器を奏でたという
すると竜達は攻めるのを止め
その演奏を聞き入った
そして芸術の神を傷つけることなく帰ったという……』
まるで今のこの戦いをなぞるようなその歌詞。
しかもその歌は、只の歌ではない。【サウンド・オブ・エンタイスマント】と呼ばれる、れっきとしたユーベルコードだ。そしてその歌声は、元々が無機物であったダイウルゴス達の心すら、揺り動かす。
「どういうことだ……。黒竜達が私の指令を無視するなど」
【サウンド・オブ・エンタイスマント】の歌声に感動したものは、例外なくその動きを止めてしまうのだ。そしてそれは、有機物だろうと無機物だろうと、変わることはない。そう、まるで歌われている神話そのままに。
そしてダイウルゴスがわずかの時間とはいえ動きを止めたことは、黒竜の攻撃を耐え続けていたマユラにとっては絶好の反撃の機会だった。
「待っていたぞ。この時を」
ダイウルゴス達の攻撃に耐えながらも、反撃の時に備え魔力を高め強化していたマユラは、即座に魔法の詠唱を開始した。
「氷刃の名は伊達じゃないという事だ。覚悟しろ」
詠唱の完成と共に出現したのは、総数190本にも及ぶ氷の刃。斬りつけるような冷気を伴うその氷刃が、マユラの号令と共に、一斉に放たれた。まず90本の氷刃が拡散し、動きを止めていたダイウルゴス達を射抜いていく。そして残された100の氷刃が、ドラゴンテイマーに殺到する。
「チッ」
咄嗟に背中の翼を閉じて身を守るドラゴンテイマー。だが、ドラゴンテイマーの受けたダメージの大きさを物語るかのように、黒竜ダイウルゴスの群れは消滅し、元の花びらへと姿を変えていったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
レクシア・ノーレッド
【堕神・リカィちゃん(f16444)と共闘】【POW】
戦争も終局…だけど、こいつ放っておきたく無いなぁ。
私一人じゃ厳しいし、お願いねっ!
初撃は私が受け止めるよ!
相手が振るってくる剣は腕に直接くっついてるみたいだし、
その挙動を《野生の勘》も絡めて《見切って》、私自身の剣で防ぐ!
受け止めてできた時間に、すぐに【接続/解放】で自分を強化する!
上手く行けば感電も狙えるだろうし、
そうはいかなくても押し負けることはないはずだよ!
初撃を受けきったら反撃に転じる!
リカィちゃんの体に強化状態にある私の体を変形させて纏わせ、
リカィちゃんの装備の出力を引き上げるよ!
死角は私が見る、だからめいっぱいぶち込んじゃえ!
堕神・リカィ
レクシア・ノーレッド (f01101)との共闘/POW
「さぁて、ラスボスよりもこの裏ボスを倒さないとね…あの全裸女は別のやつに任せるわ」
敵の目的も気になるし
初撃をレクシアが受け止めてくれるのを【オーラ防御】と【念動力】でシールドを作り、サポート
最初の攻撃を防いだ瞬間、UC《ホロプシゲイム/クリムゾン〓パンツァー》で、赤いゲイムアーマーを纏い突撃
レクシアを纏うことで電気をもらい、出力さらにUP
「さぁ、貫くわよ! 奴より速く!」
背中のブースターで飛翔。迫るドラゴンは肩の散弾砲で迎撃、ドラゴンテイマーには右腕のパイルバンカーを叩きつける
「ボルテック・ギガ・インパクトッ!」
※アドリブ歓迎です
無累・是空
共闘前提に立ち回るぞ!
独力でどうこうできる相手ではないからの!
無尽蔵に、かつ瞬時に竜を呼び出す術者か。
そういうのはだいたいは術者自身は大したことないパターンが多いが、長生きしてれば煮え湯も辛酸も飲み慣れているのでの!油断はせんぞ!
初撃は【オーラ防御】と【地形の利用】で凌ぐぞい!連中が飛び回るなら【空中戦】のノウハウも活きるじゃろ!
『魂縛絶禁呪』で彼奴の術を封じる。わしの【念動力】をもってしても長くは維持できんじゃろうが、解かれたら掛け直すだけじゃ!攻撃は味方頼りじゃな!わしはわしの役割を果たす!
此奴はここで仕留めておかねば後顧の憂いとなる!
●連携の果てに
「まさかな。私がここまで傷を負うとは」
所々穴が空き、或いは氷のまとわりついた自身の翼を眺めながら、ドラゴンテイマーはどこか他人事のように呟いた。
「いよいよ戦争も終局……だけど、こいつ放っておきたく無いなぁ。私一人じゃ厳しいし、お願いねっ!」
そんなドラゴンテイマーに油断なく視線を向けつつ、レクシア・ノーレッド(『捕食者』・f01101)は傍らに立つ堕神・リカィ(レベル0・f16444)に呼びかけた。
「そうね、ラスボスよりもこの裏ボスを倒さないとね……。あの全裸女は別のやつに任せるわ」
ドン・フリーダムのフリーダム過ぎる姿を思い浮かべつつ、リカィもドラゴンテイマーを見やる。
「嬢ちゃんたち、協力させてもらうぞい。この者は独力でどうこうできる相手ではないからの!」
無累・是空(アカシャ・f16461)はレクシアとリカィにそう声を掛けると、悠然と佇むドラゴンテイマーに目を向けた。
「無尽蔵に、かつ瞬時に竜を呼び出す術者か。そういうのはだいたいは術者自身は大したことないパターンが多いが、長生きしてれば煮え湯も辛酸も飲み慣れているのでの! 油断はせんぞ!」
そんな猟兵達を一瞥すると、ドラゴンテイマーは自身の体に刻まれたいくつかの傷に目を向ける。
「これ以上傷を負うのは危険か。ならば速攻で決着を付けさせてもらおう」
そんな呟きを残し、ドラゴンテイマーが動いた。赤き剣を振りかぶり、大きく踏み込むと、リカィへと問答無用で切りかかる。
「その初撃は私が受け止めるよ!」
そんなドラゴンテイマーとリカィの間へと、レクシアが強引に割り込んでいった。野性的な勘でドラゴンテイマーの動きを見切っていたからこそできた、神速の反応。レクシアは黒喰剣『PHY(ファイ)』でドラゴンテイマーの赤き剣を受け止めると、即座にユーベルコード【接続/解放】を発動させんとする。だが、
「私の攻撃を受け止めたまでは見事だが、私の方が速かったようだな」
レクシアが【接続/解放】を発動させるよりも、ドラゴンテイマーが黒竜ダイウルゴスの群れを召喚する方が速かった。たちまち湧き上がった黒竜の群れが、猟兵達を飲み込んでいく。
「むう。お嬢ちゃん達、無事か!?」
ダイウルゴスの猛攻を、花びらを巻き上げオーラを纏わせて盾代わりにしながら、是空がレクシアとリカィに声を掛けた。
「貯蔵魔力接続、増幅魔力強制解放。……ESC、SIG、出力最大」
レクシアは、竜達の攻撃を受けつつも【接続/解放】を完成させ、魔法の雷を纏った身体に変身する。そして襲い掛かってきたダイウルゴス達を、次々と感電させていった。
リカィも或いは念動力で黒竜を受け止め、或いはオーラを身に纏って致命傷を防ぎながらユーベルコードを発動させる。
「粉塵満ちる荒野、駆け抜ける鉄の戦騎。赤き血潮巡る強きゲイム、スタート!」
突如宙に浮かんだゲーム画面から、真っ赤な戦車が飛び出してきた。戦車はリカィの元まで突撃してくると、その場でバラバラに分解、赤いゲイムアーマーに変形すると、リカィに装着された。
それぞれに超強化されたレクシアとリカィは、ダメージ覚悟で黒竜の群れを粉砕していく。
「これなら押し負けることはないはずだよ!」
「でも、黒竜が多過ぎるわね。このままじゃ埒が明かないかも」
背中合わせで戦いながら、2人の顔に焦燥の色が浮かぶ。超強化された代償に、2人の肉体には過度の負担がかかっている。このまま戦える時間は、限られているのだ。
「ならば、ここはわしに任せてもらおう」
是空は手にした鎖に、神通念動力を込めていく。そして、
「魂魄掌握。汝の狼藉を禁ず」
その鎖を、はるか後方のドラゴンテイマー目掛けて伸ばした。
「むう?」
距離が離れているためか、油断していたドラゴンテイマーに鎖が絡みつく。
「なんだこの鎖は。この程度の束縛で、私の動きを封じたつもりか?」
ドラゴンテイマーの冷ややかな問いに、しかし是空は首を横に振った。
「残念じゃが、わしの力ではおぬしの動きを封じることまではできん。じゃが、お主の召喚能力ぐらいは、封じて見せるぞい」
その是空の言葉と共に、鎖が光り輝く。同時に、あれだけ大量にいたダイウルゴスの姿が、次々と消滅していった。
「これならいける! なら、一か八かあれ、やってみる?」
「そうね。このままゲームオーバーってわけにはいかないし」
黒竜達が消滅した隙に、ブラックタールであるレクシアの体が、不定形の黒い塊に変化する。そして、見る間に黒い衣に変じると、リカィのゲイムアーマーを覆うように纏われた。
「私の高圧電流で、リカィちゃんの装備の出力を引き上げるよ!」
「ありがとう、レクシア! これならいける!」
出力を増したレクシアは背中のブースターで一気に飛翔。右腕のパイルバンカーを構えた。狙うは、ドラゴンテイマー只一人。
「頼んだぞ、嬢ちゃんたち。わしはわしの役割を果たす! 此奴はここで仕留めておかねば後顧の憂いとなる!!」
是空の言葉に、リカィが力強く頷いた。
「ええ、任されたわ。さぁ、貫くわよ! 奴より速く!!」
「うん。死角は私が見る、だからめいっぱいぶち込んじゃえ!」
そのまま、ブースターを逆噴射させて一気に降下を開始。
「小賢しいな」
ドラゴンテイマーは力づくでまとわりついていた鎖を振りほどくと、周囲の花びらを黒竜に変換し、迎撃に向かわせる。
だが、後方から迫るドラゴンはレクシアの放電が、正面から迫る黒竜はリカィの肩の散弾砲が迎撃し、遮るダイウルゴスの群れに強引に穴を開けながら、リカィは真っ直ぐにドラゴンテイマーへと突っ込んでいった。
「この速度、避けきれないか」
ドラゴンテイマーは翼で全身を覆うことでリカィの一撃に備えた。
「そんなもので、アタシとレクシアは止められない! いくよ、ボルテック・ギガ・インパクトッ!!」
右腕のパイルバンカーが、ドラゴンテイマーへと叩きつけられる。高圧電流を纏わせたパイルバンカーはドラゴンテイマーを覆う翼を割き、そしてそのまま、ドラゴンテイマー本人の胸を刺し貫いていた。
「なるほど。猟兵達への評価を、多少修正せねばならないようだな」
胸部から血を吹き出しながら、ゆっくりとドラゴンテイマーが倒れていく。
激戦の末、猟兵達は遂に、ドラゴンテイマーを討ち果たしたのだった。
苦戦
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