3
バトルオブフラワーズ⑫〜竜も主も粉砕するとき

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ドラゴンテイマー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦争
🔒
#バトルオブフラワーズ
🔒
#ドラゴンテイマー


0




●とある場所にて
 猟兵と怪人の戦いの余波が及んだかのように、揺蕩う花々が乱れる。
 ひとり静寂に佇む者――ドラゴンテイマーはその花景色の向こうに、システム・フラワーズの中枢を透かし見ていた。
 微動だにせず、ただ悠々と6枚の翼を揺らしながら。
「後は彼ら次第。私の役目は『持ち帰る』のみ」
 キマイラフューチャーを巡る戦いに関与する気はない。
 この世界がどうなるか。それは彼のあずかり知らぬところである。
 けれどその足は、いまだシステム・フラワーズの花畑を踏んでいる。
 理由は、ただひとつ。
「奴らの出方も見ておきたい。いずれ私が、グリモアを再び手にする時の為に……」
 戦いが佳境に向かう中――ドラゴンテイマーは、ただその場に立ち続けている。

●グリモアベースにて
 猟兵たちが集まると、プルート・アイスマインドはゆっくりとその場を歩き回りながら、話を始めた。
「諸君の力のおかげで、ついにドン・フリーダムに手が届くところまで来た。だが、今回おまえたちに頼みたいのは奴の相手ではない」
 ぴたり、と歩を止めたプルートは猟兵たちの顔を見渡す。
「システム・フラワーズの中枢からは少し離れた場所に、『ドラゴンテイマー』というオブリビオンがいることが確認されている。何者なのか、何を目的に動いているかもわからんが、奴が今回の戦争に一枚噛んでいるのは間違いないだろう」
 素性がわからぬ。
 得体が知れぬ。
 だからこそ、ドラゴンテイマーを放置してはおけない。
 それがプルートの言い分だった。
 そして猟兵たちも、思考なり直感なりで同じところを感じていた。
「ドラゴンテイマーは紫色のガスに包まれ、右腕を赤剣としているが、その力の本分は『黒竜ダイウルゴス』を召喚することのようだ。それ以外に特別な力はないようだが、その強さは大幹部たちをも上回るかもしれん」
 最大限の注意をもって、挑んでほしい。
 プルートの声はややためらい気味であった。
 それほどの強敵に猟兵たちを送ることに、幾ばくかの心苦しさを感じていた。
 だが、その手に収まるグリモアの輝きを止めることはない。
「のちに禍根を残さんためにも、奴は討たねばならん」
 頼んだぞ、という言葉とともに、猟兵たちの姿は戦場へと送り出されていた。


星垣えん
 イケオジ……イケオジやないか!!
 はい、星垣えんです。

 というわけで中枢からポッと離れたところの『ドラゴンテイマー』が今回の相手です。
 イケオジです。(3回目)
 以下、彼との戦闘における注意点となります。

 ====================
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
 ====================

 ドラゴンテイマーは幹部たちをも超える強敵です。
 お気をつけて。

 それでは、ご武運を!!
95




第1章 ボス戦 『ドラゴンテイマー』

POW   :    クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:ハルヨリ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マーリス・シェルスカナ
主格のドンと一緒に妨害されたら厄介だったケド、別行動とは…何か狙ってるネ?Meの勘と情報が言ってマス、ユーは「最後に一人勝ちを狙う」ッテ。

(WIZ:アナライズアンドリプロダクション)
マズは先制による黒竜の攻撃に対しテ、なるべく直撃の回避をしながら反撃の機会まで耐えるヨ(第六感+激痛耐性)

その間、MeのUCを展開しながら敵UCの情報入手(情報収集+学習力)
そしてアレが無機物に対しての介入なら…Meは、電脳を介して敵が使った無機物の黒龍にアクセスして、機能不全か…うまく行くなら解除を狙うネ(ハッキング)

時が来たら、今度はこちらがUCで再現した【黒龍ダイウルゴスの群れ】で反撃ですヨ!(カウンター)


ハロ・シエラ
私もあまり良い予感はしません。
この敵を放置しては置けない。
そんな気がします。

さて、かなりの強敵。
とにかくあの赤き剣に集中して攻撃を【見切り】避けます。
準備として髪を括り、上着なども脱いでおきます。
どこに剣が命中してもまずいでしょうから。
ガスで隠した攻撃や剣以外の攻撃も【第六感】で感知し、捌いていきます。
赤き剣以外は最悪【武器受け】してもいい、その後動く事ができればですが。

隙を見てユーベルコードを発動し、敵の注意をレイピアにひきつけておいて【早業】でダガーを【投擲】します。
そっちが本命、と見せておいてレイピアで【鎧無視攻撃】を。
この【フェイント】と【だまし討ち】のあわせ技、届けばいいのですが。


バル・マスケレード
とんでもねェ数の竜……しかも合体すると強くなるってか。
よし、逃げに徹するか!

疾走に向いた戦場だと先の幹部が証明してくれたんでな。
宇宙バイクに跨りスピード全開
【騎乗】技術も活かして徹底的に距離を離して先制攻撃を躱し
その後もフルスロットルでひたすら逃げ回る。

反撃?
逃げながらでも出来るとも。
胴体か、頭か、どこでもいい
UCで適当な場所を次元ポータルに変化させ、そこに銃弾を撃ち込む
ポータルの力でドラゴンテイマーの足元、頭上、背後、時には正面
あらゆる場所から銃弾が現れて敵を襲うって寸法よ。
【スナイパー】技術で狙いも確かだ。

俺がトドメを刺す必要はねェ
そのスカした面ァ崩すため、嫌がらせと削りに徹してやらァ。



●掻い潜れ
 花、吹雪く中、ただ遠い眼を見せている男。
 ドラゴンテイマーは近づいた猟兵の気配へ、背を向けたまま問うた。
「私を狩りに来たか。猟兵よ」
「あなたを放置しては置けない。そんな気がしますから」
 軍帽の鍔を指で押し上げ、ハロ・シエラが赤い双眸を向ける。
 良からぬ予感があったからこそ、少女はこの場の花を踏んでいた。
 そしてそれは、ハロの隣で魔導の衣を翻らせるマーリス・シェルスカナも同じだった。
「ドンと別行動とは……何か狙ってるネ?」
「狙う、か。果たして私が何を狙っている?」
 わずか肩を揺らしたドラゴンテイマーへ、マーリスは白く細い指を差し向ける。
「Meの勘と情報が言ってマス、ユーは『最後に一人勝ちを狙う』ッテ」
「ほう。そう思うか」
 マーリスとハロへと振り返り、その顔を見せるドラゴンテイマー。
「では貴様が量ったとおり、一人勝ちさせてもらうとしよう」
「そうはさせまセン!」
「ええ、私たちが止めてみせます」
 六翼を羽ばたかせ、圧してくるドラゴンテイマーへ、マーリスとハロが身構える。
「貴様にはこれをくれてやる」
 ドラゴンテイマーが指したのはマーリス。
 黒に覆われた手を軽く握ると、途端、漂う紫のガスの一部がみるみる有形に変異し――咆哮轟かす黒竜の群れに姿を変えた。
 マーリスは足場を蹴りつけて、その場から飛びすさる。直感を研ぎ澄まし、黒竜たちの振るう爪牙から辛うじて逃げおおせる。
 だが――。
「ぐッ……厳しいですカ……!」
 追いすがる竜たちの猛攻は容易に凌げるものではなかった。大きな負傷は避けているものの、次第に傷は重なってゆく。
「マーリスさん……」
「よそ見をする余裕が、あるか?」
 一瞬、マーリスの状況を見たハロに赤き剣が振るわれる。刃は機敏に身をよじらせたハロのすぐ横を通過した。髪を括り、上着も脱いでいなければ、剣はどこかしらに掠ったかもしれない。
「よく動くな……ならばこれはどうだ」
 ドラゴンテイマーから放たれるガスが強まり、辺りが紫色に霞みがかる。
 ハロは目を細め、流れるガスを注視した。
 滞留するガスが乱れる。
 切り裂くように飛び出したのは赤剣。ガスに紛らせた刀身。
 ハロが顔を引く。予想できていたからだ。
 だが、切っ先がかすかにハロの頬を裂く。
「……!」
「呑まれるがいい」
 巻き起こる黒竜。
 群体となったダイウルゴスがハロに殺到し、薙ぎ払うような攻撃をぶつけてゆく。
「まずいですか……」
「どうした猟兵。その程度か」
 黒竜の猛威が、ハロを、マーリスを、蹂躙する。
 宇宙バイクを走らせるバル・マスケレードが到着したのは、そんな瞬間だった。
「やべェ状況か……? いま行くぜ!」
 アクセルを入れ、全開でドラゴンテイマーとの戦闘の渦中へ吶喊するバル。
 新たな猟兵の接近を感じ取ったドラゴンテイマーはゆっくりとバルへ目線を向けると、瞬く間に何十体もの黒竜の召喚し、防衛線を敷いた。
「狩ってこい。ダイウルゴス」
「とんでもねェ数の竜……よし、逃げに徹するか!」
 立ちはだかる黒竜たちを前にしたバルはハンドルを切り、急速旋回。
 進路を90度変えて、フルスロットルで花畑を疾走する。
 花々を巻き上げ、猛追する竜たちから逃げる逃げる。
「こんだけ逃げりゃ……っと!?」
 上から降ってきた竜の爪が、バルの肩をかすめた。抉られた傷から血が噴き、激痛がバイクを操縦する手を鈍らせる……が、落車だけは避ける。
 遠くに、ドラゴンテイマーの嘲る声が聞こえた。
「逃げるだけか。それでは私には届かないぞ」
「あァ?」
 耳に入ったその声に、険のある声音を返すバル。
 迫りくる竜たちの攻撃を間一髪かわしつづけながら、バルは懐から銃を抜いた。
 そしてその銃口を、自身の腹に向ける。
「反撃なんてな、どっからでも出来んだよ」
 紫色の蒸気弾が、腹に撃ちこまれた。
 しかし弾はバルの腹を貫きはしない。腹に発生していた次元ポータルに吸い込まれ、次の瞬間にはドラゴンテイマーの足元から飛び出していた。
「銃弾……!」
 蒸気弾が、腿をかすめる。
 ドラゴンテイマーの顔が一瞬歪んだのを、ハロは見逃さなかった。
「こちらを見なくて、いいのですか?」
 レイピアを霊力解放状態にして、群がる黒竜たちを振り払ったハロがそのまま斬りかかる。
 ドラゴンテイマーの眼が、切っ先へ向く。
 刹那、ハロの手は隠し持っていたダガーを投擲していた。
「鬱陶しい攻撃を……!」
 喉元へ迫るダガーを打ち落とすべく、ドラゴンテイマーの右腕が振るわれる。小さな刃はすべて、一振りで花の上へと落ちた。
 が、その瞬間、ドラゴンテイマーの背部をレイピアが刺していた。
「な、に……ッ?」
「こちらが私の本命ですよ」
 涼しい顔で、言ってのけるハロ。
 背を貫く痛みに、ドラゴンテイマーの集中が乱れる。するとマーリスを襲っていたダイウルゴスたちの挙動も、幾ばくか鈍くなった。
 マーリスはすぐさま、ユーベルコードを発動する。
 いや、正確には発動していた。
「少しお休みなさいデス」
 マーリスが指を鳴らすと、黒竜たちに更なる異変が起こる。獰猛な眼光がその鋭さを失い、次々と翼を畳んで眠るように花の足場に落ちていった。
 得意の電脳を介して、マーリスは黒竜たちへの干渉を果たしていたのだ。
「それじゃあ、反撃ですヨ!」
 マーリスの再現プログラムが奔ると、ついさっきまで彼女を襲っていた黒竜たちがそっくりそのまま中空に再現される。けしかけるマーリスの意思に従い、ダイウルゴスたちはドラゴンテイマーに突撃し、牙を突き立ててゆく。
「これが猟兵……ただではやられないということ、か」
 その身を竜に喰らいつかれながらも、ドラゴンテイマーはいまだ平静を保っている。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

アイン・ローレンス
【POW】

戦争に勝利しても安心出来ませんね
何を『持ち帰る』のか知りませんがさせませんよ
…いやーイケメンさん!こんなに素敵なおじ様だなんて聞いてません!
はっ。こ、心を乱してくるとはなんて恐ろしい攻撃を…許さん!

【第六感、見切り】で右腕の剣に集中し避け常に敵の左側を位置取り逃げ回る
「新緑のローブ」を敵の顔目掛けて脱ぎ捨て視線を遮り距離を取る

「友の現身」背中合わせに召喚し、メープルで剣をガード
メープルが竜の群れから逃げるよう装い、敵の背後に回り
【属性攻撃、全力魔法、範囲攻撃】
地を這うように雷【マヒ攻撃】を発生させ
【2回攻撃】炎で燃やし尽くす

ごめんなさいメープル、あとでしっかり治してあげますからね


シャノン・ヴァールハイト
アドリブや他猟兵との連携歓迎

心情
首魁よりも強い怪しい輩か
通用するかは解らぬが、当方の一撃…甘くみるな

先制攻撃に対し…
技能『怪力』を利用して攻撃を防御する。
しかしながら、高い威力を持つ攻撃なので、攻撃が当たる瞬間に肘から先を回す事で攻撃を身体の外側に反らすようにして流すようにするつもりだ。

POW
武器の剣と『怪力』を使用して防御
剣の間合い=一歩踏み込めば、徒手空拳の間合いなので剣を捨て、技能値287の『怪力』を使用して右腕を掴みUCを使用する。可能ならそのまま他参加者が攻撃し易いよう動く

SPDやWIZ
大型については、隙を見つけて倒しに行くしか無いが、手数が無いので可能な限り他参加者と連携して戦う


アシェラ・ヘリオース
「奈落を見た目をしているな、竜の御仁」

黒の外套を靡かせて浮遊。
【黒刃】を四本の片刃の短剣に変え【念動力】で四方を守る。

「加減はなしだ」
両掌の間にフォースを圧縮開始。
それを赦さぬ先制の赤の一撃を四つの短剣を用い、受け止め自身も背後に飛んで衝撃を流す。【戦闘知識、オーラ防御】
自身を【衝撃波】で更に飛ばして距離を取り、奴の追撃を前に僅かながらでも【時間稼ぎ】。

「集え四刃」
黒竜の群れを前に、短剣を合体させ風車のような手裏剣を構える。
収束させた力を載せ超速度で回転させ。

「黒渦!」
竜の大群の向う側に向け放つ。
威力は極大だが回避されやすい技だ。

「猟兵を舐めるな」

故に戻りで必殺を狙う。
【二回攻撃、誘導弾】 



●叩きつけろ
「あれが、ドラゴンテイマーか」
 黒竜たちが踊り狂う戦場へ、花の道を駆け下りて向かいながら、シャノン・ヴァールハイトはその視界にかの男の姿を捉えていた。
 どれほどの強者かわからない。
 だが必ずや一撃は浴びせてみせる、とシャノンの拳には力がこもる。
 並走するアイン・ローレンスも、必ず討つという思いは同じものだった。
 同じだったのだが――。
「……いやーイケメンさん! こんなに素敵なおじ様だなんて聞いてません!」
 現在はどことなく嬉しそうだった。
 両頬に手を当てるほどオトメチックだった。
 が、内心を声に出してから、我に返るアイン。
「はっ。こ、心を乱してくるとはなんて恐ろしい攻撃を……許さん!」
 アインの青と緑の瞳に闘志が満ち満ちる。
 そんな感じで理不尽な必殺認定を受けたのを感じ取ったのか、ドラゴンテイマーさんは駆け下りてくる猟兵たちを振り向いた。
「新手が来たか。さあ、お前たちはどう立ち向かう」
 猟兵を見据えるドラゴンテイマーの眼は、凍ったように静かだ。
 人の姿でありながら、人らしいものは微塵もない。
 アシェラ・ヘリオースは、その眼を見て言った。
「奈落を見た目をしているな、竜の御仁」
「……そう言えるということは、お前は奈落を見たということか?」
「さてね、どうだろうな」
 銀河帝国の近衛としての歴戦の記憶を思い起こすアシェラだが、答えは返さない。
 そして代わりに、両掌の間にフォースを凝集し、圧縮する。
「加減はなしだ」
「許すと思うか?」
 アシェラの力が高まるのをすぐに察したドラゴンテイマーが、地を蹴った。六翼が禍々しく風を打ち、それを推進力として――気づいたときにはアシェラの目前に迫っていた。
 無慈悲に振りぬかれる右腕。
 だが、赤剣は何かの抵抗を受けて止まる。
 短剣が浮いていた。アシェラの周りには、四本の闇色の短剣が四方を守るように浮かべられていたのだ。赤剣を受けたのはそのうちの一本。
 もちろん、その防御で黒竜の群れは召喚された。だが同時にアシェラも後ろに飛び、竜たちの牙にかかることを免れていた。
「逃がしはしない」
 再び肉迫せんと、脚を溜めるドラゴンテイマー。
 しかしその脚力が解放されるより早く、アインとシャノンがその前に立ち塞がる。
「私たちがいることも忘れないで下さい!」
「当方の一撃……甘くみないことだ」
「私の前に立つか。見上げたものだ」
 邪魔立てするならば、とドラゴンテイマーの矛先が対象を変える。
 振るわれる赤き刃。その斬撃の軌道を見切ったアインは身を低めてかわし、さらにドラゴンテイマーから追撃しにくい右腕の逆側へと移動する。
「定石だな……だがそれだけで避けられるか?」
「これだけじゃありません!」
 威勢よく答えたアインが、肩にかけていた新緑のローブを脱ぎ、投げつける。
 ドラゴンテイマーの顔を覆ったそれは、見事に彼の視界を一瞬ほど遮った。
 そして邪魔なローブを払い落とすと――。
「今度は当方が相手だ」
 すぐ目の前に、シャノンの鋭い眼光が閃いていた。
 彼は、反応よく振るわれたドラゴンテイマーの赤剣を、自身の銀剣で受け止めた。戦場を幾多経て穢れた剣が、赤い刀身を滑らせるようにしていなす。
 が、ドラゴンテイマーの口元は嗤う。
「出でよ、ダイウルゴス」
 空間を破って湧きだした黒竜の群れが、シャノンに喰いつかんとする。
 斬撃はいなした。だが受けたことに変わりはなく、ならば黒竜は召喚される。
 そう知ればこそドラゴンテイマーは嗤ったのだ。
 しかし、誤算があった。黒竜を前にしたシャノンは退くどころか、さらに1歩踏みこんでいた。剣が届く間合いから近づけたなら、それはもう拳も届く距離だ。
 加えて、銀剣を放り捨てると、ダイウルゴスの群れは一瞬そちらへ誘導された。
 その間、シャノンは好きに動ける。
「喰らえ」
「ぐッ……!?」
 赤剣の右腕を掴んだシャノンが、尋常ならざる膂力のままにドラゴンテイマーの体を放り上げ、叩きつける! 砕けるような痛みが、背部を襲った。
 さらに――。
「集え四刃」
 遠く距離をとっていたアシェラが、四本の短剣を束ね、風車のごとき手裏剣をくみ上げる。
 圧縮させたフォースを載せた刃は超高速で回りだし、圧倒的速力でドラゴンテイマーへと放たれていた。竜の大群を切り裂いて、まっすぐ。
「……っく!!」
 跳ね起きたドラゴンテイマーは、紙一重でアシェラの手裏剣をかわす。
 しかし――。
「猟兵を舐めるな」
「っが……!?」
 負傷した背部へ、さらなる痛みが奔る。
 避けたはずの手裏剣は反転して舞い戻り、深々とドラゴンテイマーの背中を裂いていた。
「これが猟兵の力、ということか……」
「まだです!」
 ゆらり立ち上がったドラゴンテイマーへ、最後の一撃を仕掛けんと走るアイン。
 迎撃すべく、ドラゴンテイマーの赤剣がアインへと疾駆。
 だがその瞬間、剣の軌道上に3m級のツキノワグマが出現し、その体でもって斬撃を阻んだ!
 ツキノワグマはアインに目配せをすると、出現する黒竜たちを引き連れて彼方へと走ってゆく。
 囮となって、アインに攻撃の時間を与えたのだ。
「ごめんなさいメープル、あとでしっかり治してあげますからね」
 きゅっと唇を噛んだアインが、ドラゴンテイマーへ向き直り、掌に雷光を生み出す。
 放たれたそれは蛇のように地を這い進み、ドラゴンテイマーの脚を伝って全身を奔り、身動きもとれぬほど痺れさせた。
 そして――。
「さあ、燃え尽くせ!」
 翻って、業火を放つアイン。
 炎がドラゴンテイマーの体を巻きあがり、喰らってゆく。
「ぐっ……オオオオオッ!!!」
 咆哮をあげるドラゴンテイマー。
 その声には、もうすっかり余裕の色は失せていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アリス・セカンドカラー
早業の空間属性攻撃の念動力で空間にハッキングして鍵開けで封印を解くと亜空間トンネルを掘る。その亜空間トンネルを通じて空間ジャンプによる転移で回避を試みる。
そして、転移先のイケオジの頭上で降り注ぐアリスだったモノ、技能だけで亜空間ジャンプとか無茶すぎたんや。

おや、アリスだったモノのようすが……!?

ポコポコと産みだされるミニチュアなアリス……のコスプレをしたSAN値直葬な神話生物群、オリュンポス腐海四天王だ。五人の四天王とその配下5個師団がアリスの細胞片から産みだされていく。なんということでしょう、妄想し続けた結果アリス自身が邪神の群と化してしまったぞ。
そんな邪神群が盗み攻撃でエナジーを簒奪します


蒼汁之人・ごにゃーぽさん
リポップ前提でも喰らったらあかんのね。
ギャグ属性攻撃で世界にハッキングし世界知識と照らし合わせながら位相のズレタ次元の裏側へとトンネルを掘るとその向こう側へ退避だ。フェアリーサイズの次元の穴だ、そこ通し此方へ届かせる攻撃の手段も限られる故に見切り回避するのも難しくは無いだろう。

あまりにも危険なために誰にも認識できぬようかけていたボクの本名の封印を解く。

ソレを理解してはならない

ソレを知ってはいけない

知ることは知られるということ。
”  ”に知られてしまえば『  』のへと連れて行かれてしまう。
だが、一時的にだが封印は解いた、念のため理解してはならないモノへの強制理解の呪詛も放つ。

空間の軋 音  こ 



●カオスすぎてもう何がなにやら
「想像していたよりも強靭だな……だが!」
 焼け焦げた体が倒れそうになるのを堪え、立ちつづけるドラゴンテイマー。
 その眼が次に捉えるのは――アリス・セカンドカラー。少女性と妖しさに満ち溢れたエプロンドレスに身を包み、なめるような眼差しを向けていた。
「好物というほどではないけど……悪くないイケオジね」
「何を言っているかわからんが、前に立つなら容赦はしない」
 右腕の赤剣を突き出して、瞬時にアリスに肉迫するドラゴンテイマー。刃が奔り、アリスの白い肌を撫でんとする。
 だが、剣は空を切った。
「……どこに、消えた?」
 辺りを見回すドラゴンテイマー。
 斬りかかったはずのアリスが、忽然と消失していた。
 どこだ――と身構え、ドラゴンテイマーが周囲を警戒する。
 その瞬間だった。
「……上か!!」
 頭上を見上げると、そこには蠢く何かが発生していた。
 アリスが念動力で空間に干渉し、形成した亜空間トンネルだ。空間をこじ開け、そこへ身を投じることでアリスは敵の剣をかわした。
 ……そこまではよかったんすよ。
「何だこれは?」
 ぼとぼと、と肉塊のような物がドラゴンテイマーの体に降りそそいだ。
 無茶やっちまってな……アリスさんは爆発四散(?)しとったんや。
 しかしただ散ったわけでもない。
 アリスだったモノはみるみる形を変え、恐ろしい邪神群へと変異していた。無数の邪神が蠢く中、一際大きな邪神が5体……これぞアリスのユーベルコードで召喚されるオリュンポス腐海四天王である!
 幹部たちとの戦いでさんざっぱら邪神を妄想しつづけた結果、アリスさんはもう帰れない場所にまで行ってしまったかもしれない。
「鬱陶しい! まとわりつくな……!」
 5体の四天王とその配下5個師団に群がられ、エナジーを奪われたドラゴンテイマーは苦しげに呻きだしていた。
 あ、効いてる。

「アリス、面白い姿になってるね」
 腐海四天王とドラゴンテイマーのわっしょい祭りを遠く見やるのは、蒼汁之人・ごにゃーぽさんだ。愛騎のペットロボ『ハルケギニア』に跨って、鼻歌混じりに見物している。
 だが悠長に高みの見物してられる状況でもなかったようで。
「奴を喰らえ……ダイウルゴス」
「おや、ボクも見えていたんだね」
 フェアリーサイズのごにゃーぽさんを目ざとく見つけたドラゴンテイマーが、すぐさまダイウルゴスの群れを解き放っていた。
 対するごにゃーぽさんは、その押し寄せる大群を前にして、世界にハッキングをしかけて次元の裏側にトンネルをひらく。
 ……っておい! それはさっきアリスがやって粉微塵になったのと同じ手法じゃないのか!
「いや大丈夫。あれはアリスがミスを犯していたんだ」
 ミス……だと?
「そう。転移するんだったら、念動力を空間属性じゃなくてギャグ属性にするべきだったんだ!」
 どーん。
 何をとは言わないが色々と台無しにする台詞だった。
「というわけで出発♪」
 極小の次元トンネルに身を滑りこませ、竜たちの牙を回避するごにゃーぽさん。
 そのまま安全圏まで移ったごにゃーぽさんは、異なる位相からドラゴンテイマーの姿(邪神と戯れ中)を捕捉する。
 そして――自身の『本名』の封印を解いた。
「ソレを理解してはならない。ソレを知ってはいけない。知ることは知られるということ。”  ”に知られてしまえば『  』へと連れて行かれてしまう」
 そっと、その名を囁くごにゃーぽさん。
 耳に染み入る『それ』を認識した途端、ドラゴンテイマーの全身を悪寒が駆けのぼる。
「な、何だ。私に何が起こっている……?」
 己を守るように翼で覆うドラゴンテイマーだったが、名を認識してしまった彼に、攻撃を避ける術はなかった。
 空間が軋むような、何かが聞こえた。
 それが、彼がダメージを受けて我に返るまでに覚えている、最後の記憶だった。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

チャド・アランデル
【心情】
こいつを逃したら、後々不味い気がするよねー。
今回の異変も元凶はこの人みたいだし、痛い目見てもらわないとねー。

【戦闘】
【チャドの薬瓶】を薬として使用、口に含み振り掛けながら回復を行う。
【チャドの結界石】を範囲を自分に指定して発動【身代わりの木】でダメージを【かばう】という防御策。
ダイウルゴスの攻撃を【野生の勘】で【見切り】【激痛耐性】で耐えながら【逃げ足】を生かし時には【武器受け】したり【敵を盾にする】事により回避に専念。

機を見て選択UCによる【範囲攻撃】、ダイウルゴスへの対処を【フェイント】とし【目立たない】よう【動物使い】で蛇を使役しドラゴンテイマーへ【暗殺】を仕掛ける。



●喰らうか、喰らわれるか
「あらー。もう結構やられちゃってるねー」
 頭を押さえ、悶え苦しむ姿。
 戦域に転移してきたチャド・アランデルは、そんなドラゴンテイマーの有様を見て白い犬歯を覗かせる。すでに猟兵たちの攻撃を受けて追い詰められていることが、目に見えてわかった。
 が、その眼光はいまだ衰えることはない。
 チャドの気配を察するや、ドラゴンテイマーは自身の周囲に何十体もの黒竜を生み出す。
「奴を狩れ……喰らい尽くせ、ダイウルゴス!」
 主の意向を受けた黒竜が宙をうねる。寄り集まったそれらは溶けあって5体の巨大な竜と化し、翼で暴風を巻きながら吶喊してくる。
「これは、まともにくらっちゃ危なそうだね!」
 着崩した上着を羽織りなおし、駆ける歩を速めるチャド。
 そして竜たちの爪牙が迫った刹那、チャドは懐から抜き出した石――結界石を自身の胸に叩きつけた。不可視の壁がチャドを覆い、ダイウルゴスの爪を受け止める。
「強烈……!」
 結界の耐久力を憂うチャドだが、不安は的中する。群がる竜の攻撃を一挙に受けた結界は瞬く間に瓦解し、襲い来る爪はチャドの持つ『身代わりの木』に深々と痕を刻む。
「うわー強烈……でも止まってらんないからね!」
 花の足場を滑るように身を低め、チャドは上空から降りそそぐ黒い攻撃を紙一重で避けてゆく。
 竜の群れを抜ける。
 そのとき、荒れ狂う尾がチャドの背中に激突した。
「ぐっ……!!」
 身が砕けたかと思う激痛が、腹を貫く。
 けれどチャドの足はしかと地を踏んで堪え、反転した。
「さあ、あいつらを喰らうんだ!」
 チャドがしならせた腕から、1匹の大蛇が迸る。蛇は色鮮やかな鱗を光らせ、空中の黒竜たちに次々と牙を突き立ててゆく。
「何をしている。振り払え、ダイウルゴス!」
 ドラゴンテイマーの命を受けた竜が高度を下げ、花の足場に身をこすりつけて大蛇を引き離した――が。
「今だよ!」
 振り払われた大蛇が高速で地を這い、ドラゴンテイマーに肉迫。黒竜が巻き上げた無数の花々に紛れ、一息にドラゴンテイマーの肉体に喰らいついた。
「ぐ……おっ……!?」
 肉を突く牙が骨を貫き、全身を噛み砕く。
 敵をズタズタに引き裂き、充足した大蛇が吐き捨てるようにドラゴンテイマーを解放した。人形にように落ちた彼は、もはや顔を上げることも叶わず、虚ろに目の前の花弁を見つめている。

「これが猟兵の力か……なるほど……な…………」

 か細く呟いたドラゴンテイマーの体が、活動を止める。
 そして次の瞬間には、その屍体は灰のようにぼろぼろと消えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月29日


挿絵イラスト