バトルオブフラワーズ⑫〜黒竜血戦
システム・フラワーズの中枢は、もう目と鼻の先だ。
しかし、猟兵たちはその異様な雰囲気に足を止めざるを得ないだろう。
悪魔を思わせる六枚の翼。禍々しい紫のガスを纏い、赤き剣の腕を下げる、その男。
目が合えば、誰もが感じるだろう。
この男は、危険だと。
◆
「キマイラフューチャーの戦争も、いよいよ勝ちが見えてきたわね」
言葉とは裏腹に、チェリカ・ロンド(聖なる光のバーゲンセール・f05395)の表情は固い。
それもそのはずだ。まだ真打ちと呼べる強敵が残っているのだから。
一人は、敵の総大将ドン・フリーダム。
そしてもう一人が、決戦の場にいながら異常なほどに静かな男。
「こいつの名前は、ドラゴンテイマー。……ほとんどが謎に包まれたままのオブリビオンよ」
俯き気味にその名を口にして、チェリカは難しそうに眉を寄せた。
この敵についての予知を見た猟兵は、多いと聞く。しかしその目的は、今も不明なままだ。
ただ一つ、確かに言えることは、このオブリビオンは恐ろしく強いということだろう。
これまでの、誰よりも。
「……こいつは手の赤い剣と、竜を召喚して戦うわ。他のオブリビオンとは別格、正真正銘の化け物よ。絶対に、油断しないで」
もし攻めることだけを考え、敵の攻撃を意識しなければ、そこには逃れられない敗北が待っている。
守りも攻めも、チャンスは一瞬。機を逃せば、次はない。
「ドラゴンテイマーを倒さなくても戦争は終わるわ。でも……、それじゃダメな気がするの。こいつは放置してちゃ、ダメだと思う」
本能的な危険察知とでも言おうか。チェリカの必死な言葉を否定する猟兵は、いなかった。
一同が得物を握りしめたのを確認し、チェリカは祈るように手を組んだ。
「みんな……無事に帰ってきてね」
キマイラフューチャーへ。グリモアが、輝く。
七篠文
どうも、七篠文です。
今回はキマイラフューチャーです。
まずご注意です。以下熟読してください。
====================
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
====================
以上がルールです。
先制攻撃への対抗手段に防御系UCを使う場合、「なぜ間に合うか」が書かれていないと失敗します。
また、他プレイヤーとの連携などの敵に明確なダメージを与える方法がない場合も、同様に失敗します。
攻撃に使えるUCは『一人につき一つ』のみです。敵はいくつも技を使うのを待ってくれません。
一撃に全てを賭けて、ボコボコにしましょう。
戦闘の難易度は極めて高いです。先制攻撃を対策出来た上で、非常に厳しくダイスを振ります。
失敗もありえます。覚悟を持って挑んでください。
七篠はアドリブをどんどん入れます。ただし、今回はいつもより短めです。
また、成功以上でもダメージ描写をすることがあります。これはただのフレーバーですので、「無傷で戦い抜く!」という場合は、プレイングに書いてください。
「傷を受けてボロボロになっても戦う!」という場合も、同様にお願いします。
それでは、よい戦いを。皆さんの熱いプレイングをお待ちしています!
第1章 ボス戦
『ドラゴンテイマー』
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POW : クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ハルヨリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ニィ・ハンブルビー
ただでさえ凶悪なドラゴンを大量召喚…恐ろしい敵だね!
まともに戦ったら袋叩きだし…
よし!ここは敵を盾にして時間稼ぎしよう!
まず一番近い竜に【ダッシュ】で突撃!
爪や尾を全力【ジャンプ】で回避しつつ!顔面めがけて一直線だ!
ブレスや噛みつきの為に口を開けたら好都合!
『ウェポンエンジン』で自分を【吹き飛ばし】て急加速して!竜の口の中に飛び込むよ!
そのまま勢いを殺さずに!脊椎や頭蓋の中まで突き進む!
時間を少しでも稼げればよし!
その隙に全魔力…いや!全身全霊を込めた【報いと贖いの魔法】を発動!
できる限り沢山の竜を呑み込んで!
敵に叩き返す!
正直怖いしエグいしやりたくない戦法だけど…
手段を選んでたら、勝てない!
対峙した瞬間、それらは召喚された。
ドラゴンテイマーが何かをしたようには見えない。ただ突然、虚空から無数の黒いドラゴンが飛び出してきたのだ。
「くっ……!」
ニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)はドラゴンの恐ろしさを知っている。これだけの数と真正面からまともに戦って、ただで済むわけがない。
なればこそ。ニィは先頭を飛ぶ黒竜ダイウルゴスへと、真っすぐに飛んだ。
「まずはこいつをッ!」
フェアリーの体と比べればいかにも巨大な竜の体躯に、彼女は臆さない。ただ直線に、ダイウルゴスの顔面を狙う。
瞬間、ニィの体から鮮血が散った。爪だ。避けようと思う暇もなかった。
遅れて届く激痛に顔をしかめつつ、それでもニィは、止まらない。
「まっ――けるかぁぁぁぁっ!」
次に繰り出される爪は当たる直前に避け、振るわれた鞭のような尾を飛び越えて、ダイウルゴスへと肉薄する。
黒竜が口を開く。噛みつきか、ブレスか。
その瞬間を、待っていた。ニィの体が、背負うウェポンエンジンによって超加速する。
「いっけぇぇぇぇ!」
激痛を引っ提げて口に飛び込み、吹き飛ばされたような勢いを殺さずに、むしろ加速する。脊髄を突き破り、なおも止まらない。
竜に飲み込まれたその一瞬は、確かにドラゴンテイマーの視線から外れた。それは、ニィが掴んだ一瞬にして、絶好のチャンス。
これを逃せば、もう勝ち目はない。頭蓋を打ち破って現れたニィは、わずかに目を見開いている敵に向けて、その力を解き放つ。
「呑み込めぇぇぇぇぇッ!」
叫びに応えて現れた巨大な闇の球体が、周囲を飛び交う黒竜を、呑み込む。抵抗する竜の爪に裂かれ尾に撃たれながらも、ニィは力の解放を止めない。
痛みと出血に意識が薄れていく。だがそんなものでは、彼女の信念を崩すことなど、できはしない。
「叩き返すぞ! ドラゴンテイマァァァァッ!」
渾身の力を注いだ闇の球体から、取り込んだばかりのダイウルゴスが、解き放たれる。それらは今この一瞬に限り、ニィの武器となった。
無数の竜に襲われた刹那、ドラゴンテイマーの右手、赤い剣が煌めいた。自身が召喚したドラゴンたちを斬り裂きながらも、そのすべてを防ぐことは、叶わない。
ドラゴンテイマーもまた、竜の爪に捉えられた。咄嗟に庇った左腕を大きく切り裂かれ、紫のガスが激しく噴出する。
全てのダイウルゴスを斬り捨てたあと、敵は忌々しそうに舌打ちをして、ニィを睨みつけた。
「……小癪な真似をする」
「手段なんか……選べるもんか……! 世界を守るためなんだっ!」
深手を負いながらも、力強く言い返す。
倒すには至らずとも、傷は与えた。完璧な作戦とはならなかったが、成すべきは成した。
強大な敵に対する突破口を開くという大役を、ニィは見事に果たしてみせたのだ。
苦戦
🔵🔴🔴
千栄院・奏
戦争の原因なんて聞いたらヒーローとしては黙っていられないよね。『スプラッター』参上したよ。
敵の右腕を両手の鎖鋸剣の「2回攻撃」で狙うように迎撃するよ。鎖鋸剣に右腕が命中してるから黒竜召喚は止められないけど、傷を負わされて黒竜と戦うよりよほど楽だ。
初撃には間に合わずとも召喚した黒竜の迎撃には【血濡れの『スプラッター』】が間に合う。ジェノサイドモードに変形した鎖鋸剣と10枚の丸鋸飛刃で足や翼を狙って攻撃、機動力を奪って障害物にすれば敵の数の利は小さくなるよね。
自分とドラゴンテイマーの間に「障害物」が入ったタイミングでそれを斬り裂き割って接敵、両手の鎖鋸剣による「2回攻撃」を味わってもらおうかな。
ドラゴンテイマーを視認した瞬間、千栄院・奏(『スプラッター』・f16527)は両手の鎖鋸剣を交錯させていた。
直後に衝撃と金属音。眼前に、赤い刃があった。
「速いね」
言いながらも、奏は冷静だった。ドラゴンテイマーは何も言わない。ただこちらを見据えている。
瞬間、剣が交わるその一点から、黒竜の群れが放たれた。視界が一瞬で漆黒に包まれ、巨大な驚異が奏を包囲する。
しかし、手は打っていた。握る二本の鎖鋸剣が変形し、ジェノサイドモードと化す。
十の丸鋸飛刃が舞った。殺戮の権化となった鎖鋸剣の唸りが、キマイラフューチャーに響く。
ドラゴンテイマーが後退するのを追わず、飛来するダイウルゴスへと刃を振るう。
返り血が、奏をどす黒く染める。翼を落とされ四肢を切断された黒竜たちが、激昂の叫びを上げる。
しかし、空も飛べぬ、地も這えないドラゴンなど、もはや「障害物」に過ぎない。
無力化されて落下するダイウルゴスが、後続の進行を妨げる。
十分すぎる量の肉塊が、奏とドラゴンテイマーの間を壁のように遮った、その刹那。奏が動く。
叫ぶドラゴンの成れの果てをさらに切り裂き、忌々しい血を引っさげて壁を突破。一気に敵との距離を詰める。
無残な肉片が付着した二振りの鎖鋸剣は、今も一切を破壊せんとする変形を解いていない。
悪しき血に塗れがら敵へと肉薄するその姿は、あまりにも鬼気迫るものがあった。
右のひと振りが、赤い剣に受け止められる。眼前のドラゴンテイマーが、眉を寄せた。
「……貴様は、なんだ」
「ヒーローだよ。戦争の原因なんて聞いたら、黙っていられない」
驚異的な力で押し切られた奏は、その腕力を受け流した勢いで回転、必殺の一撃を放つ。
「『スプラッター』参上、ってね」
左の薙ぎ払い。受けられる。だが右がある。
振り抜く。鎖鋸剣が吼える。腹部に突き刺さり、無数の刃が高速で回転。黒竜使いが、目を見開いて血を吐いた。
勝機。奏は左の剣も今一度振り抜いた。肉を裂く感触を覚えるも、怪訝な顔をしつつ後退する。
「浅い? いや……」
手応えはあった。仕留めたはずだ。しかし、なぜかそう思えない。
腹と胸を回転刃で切り裂かれ、ドラゴンテイマーは苦しげに呻きながら紫のガスに包まれた。
直後に、何もなかったかのように六枚の翼を羽ばたかせ、奏の前に立つ。
これこそがオブリビオン。過去からいくらでも染み出す、世界の驚異。
「……いいよ。そういうことなら、いくらでも」
相手になってやる。奏は鎖鋸剣を構えた。
ヒーローとして、猟兵として。倒れない敵など、退く理由には、ならない。
成功
🔵🔵🔴
フランチェスカ・ヴァレンタイン
では、一戦交えると致しましょうか…!
先制攻撃は野生の勘と第六感も駆使して見切り、空中戦――全スラスターをフル稼働させた変則マニューバで初撃を躱します
避けきれそうもない場合は、赤き剣に向けて強制パージした外殻装甲をぶつけることで初撃の対象を狂わせ、上空へと退避する一瞬の隙を作りましょう
先制を凌げましたら空戦機動で斬り結び、撃ち合う裏でUCによりばら撒いた不可視の念動アンカーと爆導索で包囲網の構築を
いずれ打ち負けて弾き飛ばされましたら好機です。急速離脱すると共に一気に爆導索を巻き締めて包囲網を凝縮、間髪入れずに起爆して爆縮と参りましょう…!
「花火と洒落込むには少々、空気が剣呑すぎますかねー…?」
死を纏うかのような赤い斬線に対し、フランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)は身を捻った。
頼ったのは野性的な勘と、五感を超越したもう一つの感覚。二つを合わせたものをあえて呼ぶならば、『女の勘』とでも言おうか。
直撃すれば重症は不可避。ともすれば命すらも落としかねない、危険な博打だ。
しかし彼女は、賭けに勝った。血のような刀身が、わずかに逸れて空を切る。フランチェスカの体には、なぞるような剣風だけが届いた。
直後に外郭装甲を強制パージ。すでに振るわれていた返しの刃を妨害し、上空へ舞い上がる。
外郭装甲と衝突した剣から、膨大な数の黒竜が生まれたのが見えた。深淵の如き瞳をこちらに向けて、ダイウルゴスが咆哮する。
身を震わせるような雄叫びにもひるまず、フランチェスカは斧槍を一回転、穂先をドラゴンテイマーに向けた。
「では、一戦交えると致しましょうか……!」
飛来する黒いドラゴンは、そのすべてが巨大だ。ともすれば一飲みで喰われてしまいそうだが、空中での高速戦闘は、フランチェスカに分があった。
竜の爪を受け、牙を躱し、尾を掻い潜る。そして、突き、切り裂き、叩き潰す。
キマイラフューチャーの中枢を自在に飛び回り、恐るべきドラゴンを相手に一歩も引かない。が、気になることがあった。ドラゴンテイマーだ。
「……動きませんわね」
本丸と斬り結びたいところだが、その名が示す通り、接近戦よりはドラゴンたちを使役する戦法を主とするか。
ならばそれもよし。フランチェスカの作戦は変わらない。すでに、敵は彼女の手中にあると言えた。
彼女がダイウルゴスと機動戦を繰り広げきたその軌跡に、不可視の念動式ワイヤーが張り巡らされていた。すでに、ドラゴンテイマーを包囲している。これがフランチェスカの切り札だ。
戦鎚で竜の頭を叩き潰して、さすがに息が切れてきたことを認める。これ以上長引けば、不利は必至だ。
「では、仕上げといきましょうか」
不要な装甲を全てパージし、身一つも同然となったフランチェスカは、突如方向を転換し、急速にその場から離脱した。
ダイウルゴスが追ってくる。ドラゴンテイマーは、油断するでも警戒するでもなく、こちらを見ていた。
「必死に過去から染み出す割に、クールを気取っているんですわね」
冷やかに微笑んで、念動ワイヤーを一気に巻き締める。不可視の包囲網が一瞬にして縮まり、ドラゴンテイマーが何かに気づいた素振りを見せた。
しかし、遅い。ワイヤーに仕込んだ爆導索を点火。ワイヤーの至る所に仕掛けられた見えない爆薬が、閃光する。
直後に発生した爆発音に、黒竜の絶叫が入り混じる。空を覆う凄まじい光と衝撃波に目を細め、爆風に金の髪を巻き上げられながら、フランチェスカは呟いた。
「花火と洒落込むには少々、空気が剣呑すぎますかねー……?」
戦争すらも呑気な雰囲気のあるこの世界においては、なおのこと。そんなことを考えていると、光が収まり、無残な死骸となった竜の群れが現れる。
その奥――爆発の中心点で、ドラゴンテイマーがふらつきながらも体勢を整えるのが見えた。
ダメージは甚大だろうが、息の根を止めるにはまだ遠い。やはり、別格の強さだ。
「タフですわね。でも、いつまで持つかしら」
フランチェスカは妖艶に微笑む。果てしない強敵に対して、あたかも勝利を確信しているかのようだった。
成功
🔵🔵🔴
ルカ・ウェンズ
ただでさえ強いのに竜の大量召喚……ギリギリ死なない程度に戦うわ。
【行動】まず戦う前に【戦闘知識】を使い臭いをできるだけ消してから【忍び足】で隠れながら敵が見える所に移動して【怪力】使って業物の刀を投げて頭を潰す、それでも生きてるのなら怪力まかせの攻撃やUCで【暗殺】するのを狙うわ。
見つかって先にUCで攻撃されたら【残像とダッシュ】を使い敵を惑わし初撃を外せたら私のUCで足に攻撃して動けないようにしてから怪力で死ぬまで攻撃するわよ。
【心情】敵のUCに当たった時のために備えて【オーラ防御と激痛耐性】を使い反撃できるようなら竜の群れは無視してドラゴンテイマーを狙いUCで攻撃するわ。
「無駄だ」
冷たく重い声と共に、血のように赤い剣が振るわれる。ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)は、迫る斬撃を投げるつもりでいた刀で受け止めた。
直後に生まれる、無数の黒竜。遅るべき爪と牙に襲われて、一時後退を余儀なくされる。
「くっ……!」
油断したわけではなかった。殺し屋としての技能をフルに使い、気配だけでなく臭いすら殺していた。先手さえ取れたなら、確実に仕留める自信があった。
だがそれでも、見抜かれた。まるで初めから見えていたかの如く、迷いのない剣だった。
ドラゴンテイマーなるオブリビオンは、今までの敵とは比較にならない。この男の前では、いかなる先制攻撃も封殺されてしまうとでもいうのか。
「まだ……!」
敗北が決まったわけではない。せめて、一太刀。不利を承知で残像を展開、ドラゴンの群れに飛び込んだ。狙いは本丸のみ。黒竜は一切無視して突き進む。
しかし、遠い。距離は一向に縮まらず、むしろ遠ざかっているかのようにすら思える。
竜の爪が、ルカの纏う黒鎧を引き裂く。飛び散る血と激痛に耐えながら、刀を握る手に力を込める。
例えこの身が砕かれようと、死なない限りは戦える。血染めの黒鎧の中で重くなっていく体を叱咤しながら、ドラゴンテイマー目がけてひた走る。
敵はそれでも動かない。ただこちらを見据えていた。
「まだ、ギリギリ……生きている。まだ、やれる……ッ!」
残像をさらに広範囲へと展開、消耗が激しく、眩暈がする。しかし狙い通り、黒竜の群れが散開した。
道が開けた。今しかない。
大きく一歩踏み込んで間合いを詰め、怪力を以て叩き潰す要領で、刀を振り下ろす。
「はぁぁッ!」
肉を斬る感触はあった。しかし、浅さも同時に感じる。見れば、ドラゴンテイマーの体には、太刀筋に沿って紫の煙が吹き出ていた。その顔に、苦悶はない。
もう一度、体が動けば。そう思った瞬間、ルカは赤い剣によって無慈悲に斬り飛ばされていた。虚空に伸ばした手から、刀が落ちる。
「恥じることはない」
満身創痍になり崩れ落ちるルカへと、ドラゴンテイマーが言った。その言葉の意味するところは何か。考える余裕は、彼女にはなかった。
駆け付けた猟兵へと敵が向かう後姿を見ながら、痛みすらも薄れていく意識に逆らえず、ルカは深い闇に誘われるがままに、目を閉じた。
失敗
🔴🔴🔴
トリテレイア・ゼロナイン
※ボロボロ
ドクターオロチと同じく外部顧問といったポジションでしょうが、実力は間違いなく上でしょうね
後顧の憂いを絶ちたいところですが、刃が届くかどうか……届かせて見せます
初撃の剣は●武器受け、●盾受けで凌ぎます。黒竜の群れが飛来した際に●防具改造で仕込んでいた煙幕発生装置を起動。煙幕で●目潰しし、盾を遠くに投げ音を出し囮にして此方への攻撃を少しでも遅らせます
その隙にUCを発動。熱源センサーで敵の位置を●見切りつつ、3.9秒の未来予測で竜を回避しつつテイマーに接近
自身を●ハッキングしてスラスターのリミッターを解除、●スライディングで急速接近し●怪力で斬撃…はブラフ
本命は格納銃器での●だまし討ちです
基本に忠実な防御姿勢。それがトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の出した最適解だった。
足を踏みしめ大盾を突出し、剣を構える。直後に襲う斬撃は、思った以上に、軽かった。
しかしそれは、敵の攻撃の本命ではない証拠でもある。現に眼前のドラゴンテイマーは、真っ直ぐにこちらを見据えて、動揺のかけらもない。
瞬間、大盾と剣が触れている一点から、黒い奔流が噴き出した。そのどれもが、ドラゴンの形を取っている。
黒竜ダイウルゴスが、群れを成してトリテレイアを取り囲む。機械の身でありながら恐怖を覚える光景に、しかし彼は、策を打っていた。
ボディパーツに仕込んだ煙幕発生装置が作動し、全身から真っ白な煙幕が噴き出す。一瞬で視界を奪われたドラゴンたちが、攻撃目標を見失う。
「効きましたね」
小さく言って、トリテレイアは大盾を投げた。巨大な金属が地面を転がり大きな音を立て、黒竜の殺気と雄叫びが、大盾に群がる。
トリテレイアは熱源センサーを起動、白煙の奥に佇むドラゴンテイマーが、視界に赤く表示された。
「捉えましたよ……! コード入力【ディアブロ】!」
ブレインが加速、四秒弱にも及ぶ未来予測演算を開始する。同時に煙幕が上空へと登り消え、ダイウルゴスの群れが再びトリテレイアへ襲い掛かった。
怒涛の如き竜の爪や牙は、その多くが空を切った。かつて存在した銀河帝国最強のウォーマシンを模した演算能力により、トリテレイアは今、真の守護騎士たる防御能力を会得していた。
しかし、全てを防げるわけではない。鋭い爪や牙、破壊的な尾の一撃が、鋼鉄の体を切り裂き打ち据える。
構わず、己の制御プログラムをハッキングし、破壊する。スラスターのリミットを解除、敵の想像を上回る速度を得るべく、全推進力をこの一瞬で、燃やす。
「この刃……届かせてみせます」
スラスターから噴き出した炎により、ダイウルゴスが吹き飛ばされる。爆発的な推力が、トリテレアの全身を驚異的な速度で加速させた。それはもはや、射出と呼ぶのがふさわしい。
足を含めた下半身から、一瞬で応答がなくなる。スラスターが爆発し、脚部パーツのほとんどが崩壊した。それでも慣性のままに突き進み、トリテレイアはオーバーロードした腕力で、儀式用の剣を振り下ろす。
衝撃。赤い刃が目の前にある。
渾身の一撃は、受け止められた。
「……及びませんか」
「自壊覚悟の突撃。煙幕の時点で、貴様の手は読めていた」
冷たく言い放つドラゴンテイマーの表情は、動かない。そこに一種の余裕が含まれていることを、トリテレイアは感じた。
だからこそ、呟くように言い返す。
「それは、どうでしょうか」
肩口、腕、胸部が展開、隠されていた格納機銃が現れる。間髪入れずに銃声とともに火が噴き、撃ち出された弾丸が、敵の体に突き刺さる。
くぐもったうめき声が聞こえた。相当数の弾に撃ち抜かれてもなお倒れないことに驚きながらも、ダメージを与えたことを確信する。
赤い剣で押しのけられ、トリテレイアは地に伏した。脚が崩壊している以上、体を支えられる道理はない。
「……ですが」
全身から毒々しいガスを噴き出しよろめくドラゴンテイマーを見れば、決して無駄な結果ではない。
猟兵は、一人で戦っているのではないのだ。この一歩がいかに小さくとも、勝利に近づいたのであれば、必ず誰かが繋いでくれる。
その信念と誇りがあるからこそ、レッドアラートからブラックアウトへと転じていくブレインの中で、トリテレイアは自分を褒めてやることができたのだろう。
成功
🔵🔵🔴
露木・鬼燈
竜も竜使いも殺す。
我が一族が磨き続けてきた竜殺しの武。
証明して見せるです。
竜殺しの化身鎧装である<竜喰>を発動。
いつも以上に宿る力と意思が荒れ狂ってるですね。
でも、これは僕の戦い。
黙って従えっ!
大百足と英霊を捻じ伏せ竜使いに向かって疾走。
進路上のダイウルゴを連結刃で切り裂く。
魔弾と化した棒手裏剣で貫く。
合体で強くなる?
合体する前に倒せばいい!
疾く、敵が反応するよりも疾く斬り伏せる。
忍体術<絶影>で更に加速。
連結刃の先端は音速を超え、衝撃波を放つ。
竜使い視界に捉えたら魔剣を魔弾として投擲。
生命力を糧に更に加速。
魔剣の影に隠れて格闘戦をしかけるです。
濃縮した呪詛と呪炎を纏った一撃を叩き込むっぽい!
ドラゴンテイマーを取り囲むように飛び交う巨大な竜の群れ。それらと対峙した刹那、黒竜ダイウルゴスは一斉に襲いかかってきた。
血がうずく。露木・鬼燈(竜喰・f01316)は、湧き上がる衝動を抑えることができなかった。
飛来する竜に呼応するかのように、足元から赤黒い呪炎が立ち上る。身に宿すムカデの大妖と竜を呪う聖騎士の英霊が、精神の中で暴れ狂う。
邪魔だと感じた。これは、鬼燈の戦いなのだ。
「黙って従えッ!」
叫んだ彼の顔には、狂気的な笑みが浮かべられていた。竜殺しの化身鎧装を纏い、呪炎をひっさげて、ドラゴンテイマーとの間に立ち塞がる黒竜へと疾駆する。
跳躍。迫る牙を蹴り折り、漆黒の魔剣を連結剣へと変形させて振り回す。巨大な体躯を持つ黒竜が、いともたやすく切り裂かれていく。
体が悲鳴を上げる。骨が爆散するのではないかという痛みに襲われながらも、鬼燈は止まらない。
棒手裏剣を抜き放つと同時に投擲、魔弾と化した直線的な手裏剣が、幾体ものダイウルゴスの脳天を貫き撃ち落とす。
「ははっ!」
なぜ笑ったのか、鬼燈自身も分からなかった。分かろうとすることもない。
考えずに、ただ疾く、疾く。竜が剣の動きを目で追う頃には、すでに首を落とされているほどに。
忍びの体術「絶影」により、その身はさらに軽やかに、そしてさらに速くなる。精神は体の動きに合わせて研ぎ澄まされ、もはや無心の境地に近かった。
連結刃の切っ先は音の速度を超え、無慈悲な衝撃波となって黒竜たちを襲う。
ただの一人。本来ならば竜という一族の歯牙にもかけられないであろう一人の剣士に、ドラゴンの群れが圧倒されている。
その最たる理由は、彼の心にあると言えよう。今彼は、竜殺したる己を最大限に楽しんでいたのだ。
合体によるダイウルゴスの強化も許さず、一方的に喰らい尽くして、鬼燈の目はとうとう本丸を捉えた。
わずかに目を見開いているドラゴンテイマーへと、魔剣を、投げる。視認が不可能な速度で投擲された魔剣を追うように、彼自身も走る。
生命力を力に変えて、抜けていく命の感覚を無視して加速。纏った化身鎧装が、自壊していく。
得られる速度に比例して近づく死をねじ伏せて、鬼燈は自然と口走っていた。
「竜も竜使いも殺す」
竜喰となった今、そこに例外は、ない。
魔剣を右手の赤刃で弾いたドラゴンテイマーが、鬼燈に気づく。
よくぞ反応できたものだと心のどこかで思ったが、思考が言葉の形を取るより速く、鬼燈は体に凝縮された呪詛と呪炎を纏う。
赤黒く粘質な火炎が噴き出す強烈な蹴りが放たれる。右手が動くも反応しきれない敵の顔面を、捉えた。
凄まじい威力にもんどりうって吹っ飛んだドラゴンテイマーが、何度も床をバウンドし、やがて転がり倒れた。
二人の間に、相当な間合いが開く。一瞬の静寂の後、鬼燈は膝をつき、激しく吐血した。
「はっ――これ――やば――」
死が近い。すぐ隣にいる。視界は色を失い、感覚から音と匂いが消えた。今までのどの反動よりも、命の危険を感じる。
遙かに格上の相手に有利を取れるまで、肉体と精神を酷使したのだ。その代償は想像を絶する。
だがそうしなければ、果たして鬼燈の戦い方で、刃が届いただろうか。それを思えば、安い代償だとも思える。
どうせまだ死にはしない。こんなにも楽しい戦いが、まだまだあるというのだ。死ねるものか。
六枚の翼を揺らめかせて立ち上がるドラゴンテイマーを、色のない霞んだ視界で見つめて、鬼燈は吐血しながら、笑った。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
戦略では他者を唆し戦術では龍に戦わせる臆病者よ。
自ら動く勇気のないあなたは己の手では何一つ掴めません。
あれほどの巨龍、まともに相手をしても埒があきませんね。
スナイパー・投擲・見切り・早業で、狙うはただ一点――龍の逆鱗です。
倒せはしませんが、狂乱状態になり、まともに行動が出来なくなった龍には、私の「残像」でも相手にしていてもらいましょう。
もちろん暴走した巨龍の攻撃、見切りや第六感を使っても無傷とは思っていません。
覚悟と激痛耐性で耐え抜いて。
さらにあなた自身の攻撃は我が鎖の範囲攻撃による攻勢防御で一瞬の隙を。
そして満身創痍となったこの身だからこそ……。
噴き出す鮮血の霧があなたの滅びを呼ぶでしょう。
虚空から突如として現れた無数のドラゴンへ、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は鋭い視線を向けた。「あれほどの巨龍、まともに相手をしても埒があきませんね」
黒竜ダイウルゴスは互いに衝突を繰り返し、その肉体を強化しつつ、魅夜へと迫っている。
鎖を構える。回転させて勢いをつけ、狙いを定める。目標はただ一点――竜の逆鱗。
群の中へ、直線的に鎖を放る。一直線に伸びていく鎖は、暴れながら迫る竜の動きをすべて見切り、最も凶暴化している竜の逆鱗を、打ち抜いた。
直後、おぞましい絶叫がキマイラフューチャーに響き渡った。怒り狂ったドラゴンが、同族を巻き込みながら暴れまくる。怒りは伝播し、竜の群は一瞬で暴走状態に陥った。
即座に残像を展開――と思った刹那、逆鱗を打たれたダイウルゴスが、魅夜に一瞬で迫った。合体による強化と狂乱状態の能力は、予想を遙かに凌駕している。
口が、開かれる。鋭く巨大な牙が、魅夜の頭を噛み砕かんと迫る。
「ッ――!」
強引に身を引き、牙が並ぶ口は彼女の目の前で閉じられた。一瞬でも遅れていれば、首がなくなっていただろう。
狂乱のダイウルゴスたちは、互いを食い合いその力を増幅させながらも、今なお魅夜を狙っている。展開した残像は、即座に竜の一撃で掻き消された。
今でも正確にこちらを補足しているのは、ドラゴンテイマーが操っているからだろう。敵の力は、確かに相当なものらしい。
「……でも」
召喚したドラゴンに任せるがまま、悠々と構える敵の姿が、気に入らなかった。戦略では他者を唆し、戦術では龍に戦わせる。臆病者のすることだ。
魅夜は鎖を打ち払いながら、正体不明のオブリビオン目がけて疾駆する。
鎖の攻撃は広範囲に及び、攻防一体の戦闘を繰り広げる。が、黒竜ダイウルゴスの攻撃を全て防ぐことは、到底叶わない。
縦横無尽に襲い掛かる牙と爪に身を裂かれ、血が流れる。残像はその数を減らしていき、敵に肉薄すればするほど、魅夜の傷は増えていく。
ふと、ドラゴンテイマーが口を開いた。
「お前……グリモアを持っているな」
「……?」
黒竜と激闘を繰り広げながら、慎重に耳を傾ける。竜を繰るオブリビオンは表情をほとんど変えないまま、淡々と続けた。
「よく操れているようだ……が、全ては知らないらしい」
「なんですって?」
「……」
再び黙して戦いを見守る敵に対し、魅夜は腹が立った。血塗れになりながらドラゴンを鎖で貫き、冷たく鋭い目をドラゴンテイマーに向ける。
「あなたは……あなたが何を望んでいようと、自ら動く勇気のないあなたは、己の手では何一つ掴めません」
「自ら動く勇気? 違うな」
一歩、敵が動いた。右手が上がる。瞬間、魅夜は悲鳴を上げた。ドラゴンたちが一斉に活性化し、勢いを増して彼女の身を切り裂いたのだ。
血飛沫が霧のように舞う。黒と赤に染まる世界で、強大なオブリビオンは語るように言った。
「これは武器だ。お前の鎖と同じこと。黒竜ダイウルゴスが戦うことは、私が戦うことと同義だ」
反論しようとして、膝をつく。急速に失われた血液に意識が揺らぎ、力は入らない。
上空から襲い来るドラゴンたちを、なす術もなくぼんやりと見上げた。
魅夜の血の霧に包まれた視界。この世の全てが、そこに閉ざされているようだった。
彼女自身は無論、そこには黒竜も、そしてドラゴンテイマーもいた。皆、赤い霧の中にいる。
あぁ、こんなにも。魅夜は目を閉じた。
こんなにも――。
うまくいくなんて――。
「……なに?」
敵の呟きを合図にするかのように、突如として全てのドラゴンがのた打ち回り、絶叫を始める。明らかな苦痛を訴えていた。
その腹部が蠢いたかと思うと、硬い皮を打ち破り、体内から幾本もの鎖が、どす黒い血をまき散らしながら飛び出してきた。
生き物のように蠢く鎖に臓腑を食い破られて、黒竜の群はなす術なく倒れていく。そしてその効果は、彼らの主にも牙を剥いた。
ドラゴンテイマーが、血を吐いた。胸を突き破るように現れた鎖を掴み、苦痛を顔に浮かべる。
「がっ――おのれッ!」
鎖を掴んで無理やりに引き抜き、血の霧から退避する敵を、魅夜は追いかけることができなかった。
失血により、力が失われていく。屍と化した竜に紛れて、倒れる。
意識が飛ぶ間際に見えたのは、血を流しながらも未だ立ち続ける敵に立ち向かう、仲間の背中だった。
成功
🔵🔵🔴
エーカ・ライスフェルト
目を疑うほど強いオブリビオンね
【黒竜ダイウルゴスの群れ】をけしかけられたら、先頭の黒竜を【念動力】で横に押すわ
少し方向が曲がるだけでも後続の邪魔になるだろうし転がすことができたらもっと邪魔になる、と思いたい
目的は私のUC発動までの時間を稼ぐ事
敵のUCは圧倒的な先制攻撃ではあるけど、私のUCの発動を封じる訳ではないはず
「だから時間を稼ぐ。稼いだ時間でこちらのUCを使う。作戦はそれだけよ」
まあ、【自動追尾凝集光】で出したレーザー(風の炎)は、黒竜ダイウルゴスには当てず、少し迂回させてドラゴンテイマーを直接狙うという小細工はするけど
可能なら目や鼻や口を狙い、集中を乱すとかさせて敵UCを解除させたいわ
どうやら傷の修復が間に合わないらしいドラゴンテイマーは、血の混じった咳をした。
夜色のスカートをなびかせて立つエーカ・ライスフェルト(電脳ウィザード・f06511)は、その様子に肩をすくめる。
「目を疑うほど強いオブリビオンね。どうせまだ余裕なんでしょう?」
「死にはせん。が、無傷でもない」
正直に答える辺り、潔いとも思う。しかし、このオブリビオンはエーカの言うとおり、驚くべき力を持っているのだ。
弱っていることを知られたとて、それが致命的なミスにはなり得ないということだろう。
舐められているとは思っていない。実際、エーカはこの敵を殺せないだろうと思っていた。
キマイラフューチャーの中枢を担う機械類が、一斉に黒く変色する。それを視認した瞬間、ドラゴンテイマーの周囲にある無機物が黒竜となり、飛び上がった。
何の前触れもない奇襲に、エーカは落ち着いて右手を上げた。その瞬間、先頭を切って飛来するダイウルゴスが、その真横から殴られたように転倒した。エーカの念動力だ。
後続が巻き込まれて追突し、ドラゴンが互いに咆哮し責め合いながら体勢を整える。
「時間は稼がせてもらったわ」
わずか数秒、あるいはそれにも満たない時間だったかもしれない。だが、エーカが魔術を展開するには、十分な時間だった。
広げた両手の指から、十本のレーザー型火炎魔術が放たれる。迫る黒竜の間を縫うような直角起動で、直接ドラゴンテイマーを狙う。
十本ものレーザー火炎に襲われれば、さしものドラゴンテイマーとて集中を乱され、術を解除せざるを得まい。エーカはそう踏んでいた。
赤い熱線が、オブリビオンに届いた。七本は右手から生えた剣に切り払われたが、十のうち三本が左肩と腹部、右大腿に突き刺さる。
ドラゴンテイマーが苦悶に顔を歪めて膝をつく。同時に、エーカの眼前に迫っていた竜の爪が、消えた。
わずかに斬られた桃色の前髪が舞い落ちるのを見ながら、口の端に笑みを浮かべる。
「……手負いとはいえ、正直博打だったわ」
もしも敵の術が解除されていなかったら、よくて重症、最悪エーカは死んでいたもしれない。
敵が万全であったなら、ドラゴンは消えなかった可能性もある。どのような条件が重なったのかは分からないが、結果が全てだ。
長い髪をかき上げて、エーカは冷めた目でドラゴンテイマーを見据えた。
「で? まだやる?」
「……」
無言で立ち上がるオブリビオンは、身に纏う紫のガスをより多く噴出しているように見えた。
本気で来るか、余裕がないのか。どちらにせよ、この敵はまだ戦えるらしい。
「そう。ま、いいんじゃない」
さっさと倒れてくれるとは思っていなかったが、それでも面倒くさそうに言って、エーカはドラゴンテイマーに向けて、肩をすくめてみせた。
「せいぜい最期までがんばりなさい。私たちの力を、骸の海でも毎日夢に見るくらいにね」
大成功
🔵🔵🔵
ヴロス・ヴァルカー
【芋煮艇】で行動を。
彼は必ずここで止めます、たとえどんな手を使ったとしても。
先ずは蒸気煙幕を展開し竜達への【目潰し】を、それに併せて自立行動する触手を切り離しデコイがわりに。
煙幕の中、ボゴさんのマッピングを頼りに一番歌が響く場所へ、そこでユキさんとボゴさんのUCと共に【歌唱】を、我々の歌が遥か彼方まで響くように。
竜達が眠りについたら、私は歌のリズムを変え【黒き心臓】を奏でましょう。
全ての竜を混ぜ合わせ一つの巨大兵器へ、個々の力は減ったとしてもこれで補えます。
名前がないと呼びにくいですね…さぁ、行きなさい叛逆騎士よ。
たとえ目前で竜の力を失い瓦礫と化しても、その質量をもって敵を叩き潰せ。
ユキ・コシイ
【芋煮艇】で出撃
この世界にはそぐわない…妙な空気をこの男から感じる
これまでとは勝手が違う…尽くせる手はすべて尽くしましょう
ヴロスさんの煙幕と同時に【パフォーマンスドローン】から様々な方向に飛び立つ…わたしの立体映像を投射
少しでも敵の気を引き…囮にする
そして…ここからが本番、ボゴさんがドラゴンが減速させているうちに
マッピングを参照。音が効果的に響く位置を取って
【Cradle Song】を戦場に響かせ、眠りを誘い続ける
心強い二人の唱者と共に歌うこの歌…竜であろうと、聞こえないとは言わせない…!
ヴロスさんの生み出した「叛逆騎士」による攻撃を成功させるため
わたしの魂の歌、最期まで聞いて貰うよ…!
ボゴ・ソート
【芋煮艇】で出撃!
■先制攻撃対策
宇宙仕込みの【ロープワーク】によって蜘蛛の巣状に張り巡らせたワイヤーを盾として竜の群れの勢いを削ぎつつ【激痛耐性】で耐える。
余裕があれば味方もかばってあげたいね。
■反撃
敵の攻撃を防ぐ程に硬く張り詰めたワイヤーを【怪力】で掻き鳴らす。
【ダンス】で培ったリズム感を存分に活かしたプレイにより発生させた【超音波】で敵の精神を狙い撃ちして、味方の歌の効果をさらに強化するよ。
同時に超音波マッピングによって戦場を解析、取得したデータを味方に伝えて反撃に活用してもらう。
やっちまえ!
ここが俺たちのステージだ!
ありとあらゆる無機質が、竜と成り代わる。それは、背筋の凍る光景だった。
無数の――もはや数えるのも馬鹿馬鹿しくなるほどの黒竜ダイウルゴスが、三人の猟兵へと迫る。
傷を負いながらも――あるいはだからこそ、これほどの量が召喚できたのか。
「まぁいいさ。まずは受け切ってなんぼってな!」
仲間を庇うように前へ出たボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ × 探索者・f11583)が、フック付きのワイヤーを投げる。
どういう原理か、幾本ものワイヤーは複雑に絡み合いながらも均一に動き回って、一瞬で蜘蛛の巣状に張り巡らされた。
巨体のボゴをもやすやすと包み込むワイヤー網に、ドラゴンの群が突っ込んだ。大きく揺らぐ鋼鉄製の蜘蛛の巣に止められ、黒竜が吼える。
「どうだっ、宇宙仕込みのロープワークは! ……っておいおいおい!」
次々に突撃してくる黒竜に、ワイヤーの網が歪む。維持のために動けないボゴへ、ダイウルゴスたちが一斉に口を開けた。
「ちょっと待てって、なぁ! そんなの聞いてね――」
放たれたのは、紫のガスを凝縮したブレスだった。これまでに戦った猟兵には見せなかった技を正面から食らい、ボゴのワークキャップが吹き飛ぶ。
全身に得も言われぬ苦痛を感じながら、彼はしかし、気丈に叫んだ。
「ちくしょー! 気に入ってるんだぞあの帽子!」
「ボゴさん……! ヴロスさん、私たちも」
仲間を想うユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)の言葉に、ヴロス・ヴァルカー(優しい機械・f03932)が間髪入れずに頷く。
「えぇ。彼はここで止めます。例えどんな手を使ったとしても――」
体を構成する触手を掲げ、ヴロスが激しく蒸気を噴出した。煙に等しく視力を奪う蒸気煙幕に包まれ、ボゴが一度退避するのが見えた。
触手をデコイとするべく分離させながら、ユキへ振り返る。
「今です!」
「はい……!」
パフォーマンスドローンが放たれ、空中に幾人ものユキが浮かび上がる。黒竜たちが一斉に散らばり、実体のない少女に襲い掛かった。
ヴロスが放った触手のデコイもまた、黒竜たちを引き付けていた。しかし、敵の全てを惑わせたわけではない。
ドラゴンテイマーは、惑わせていないのだ。彼が手を差し向けた瞬間、いくらかのダイウルゴスが、三人に向かった。
「おとなしく騙されとけよ! まったく!」
やけくそ気味に言いながら、ボゴがさらなるワイヤー網を構築する。鋼糸の尖端を手で掴んでいるだけだというのに、そこに受ける振動で脳裏に危険を知らせるアラートが鳴り響く。
だが、受け止めた。三人に襲い来るダイウルゴスの勢いは、殺した。
「よっし……反撃開始といくか! 二人とも、準備はいいかい!」
「いつでも」
「いけます……!」
ヴロスとユキの返事を聞いて、ボゴは口元に笑みを浮かべた。
「そうこなくっちゃな。へへ、じゃあいくかぁ! 熱いナンバーをよぉ!」
膨大なパワーを受け続けて張り詰めたワイヤーを、力任せに掻き鳴らす。感覚を超えた超音波が戦場に響き渡り、竜たちの動きが鈍る。
中には泡を吹いて落下するドラゴンもいた。超音波が精神にダメージを与えているが、彼の本領は、ここからだ。
「もう一丁!」
さらに弾く。音波が広がる。波動は戦場の地形を詳細にボゴへと伝え、彼はそのデータを、即座に機械的信号によって仲間たちに伝えた。
二人の歌が、最も響く場所へ。暴れる竜へ一匹漏らさず、二人の歌を届けられる場所へ。
マッピングデータを受け取ったユキとヴロスが、歌唱の準備を整えながら移動する。
蒸気の霧が晴れ、ダイウルゴスが行動を再開する。敵が一斉に動いた瞬間、ボゴがあらん限りの声で叫んだ。
「やっちまえ! ここが俺たちのステージだ!」
渾身の声を受けて、ユキがサウンドデバイスを展開した。
「私の魂の歌……最期まで聞いて貰うよ……!」
柔らかで愛おしく、母に抱かれているかの如き優しい声音が、空に響き渡る。
黒竜に母を想う心があったかは分からない。だが静かな夜の海を思わせる声音は、彼らを等しく眠りに誘った。ドラゴンたちが、力なく落ちていく。
「チッ……!」
舌打ちは、ドラゴンテイマーのものだ。新たなダイウルゴスを生成しても、現れた矢先にユキの歌声で眠ってしまう。
ボゴの超音波を伴奏に歌いながら、ユキの目は真っすぐに、強大なオブリビオンを見据えていた。
おおよそこの世界にそぐわない、異質な空気を纏う男。これまでとは、明らかに違う。故にこそ、尽くせる手段は尽くすと決めた。
例えサウンドデバイスが壊れても、仲間が強敵を討ち倒すまで。共に歌ってくれる二人の唱者がと共に、彼女は歌い続ける。
例えドラゴンであろうとも、聞こえないとは、言わせない。
いま一時だけはすべてを忘れ――。
私の胸で眠りなさい――。
深い眠りに誘われるがままに落下していく黒竜へ語るかけるように、ユキは温かく歌い続ける。
最後まで抵抗していた一頭がついに脱力した瞬間、ボゴはヴロスへと振り返った。
「次はヴロスくんだ! 最高にハイなのを期待してるからな!」
「精進しましょう。我々の歌が、遥か世界の彼方まで響きますように」
機械の身でありながら咳ばらいを一つ、ヴロスは仰々しく触手を広げて、地鳴りの如く響く低音で、唸るように歌い始める。
助けを求める声を拒むべからず――。
破壊されし器は新たなる剣へと――。
メロディーもリズムも、その印象すらも違うブロスとユキの歌を、ボゴが怪力を以て奏でる聞こえない音がまとめ上げる。
凶悪な竜をも黙らせるポリフォニーが、世界に染みていく。
ユキの歌によって眠った竜たちが、不可視の力に持ち上げられた。
ヴロスの歌唱が響くたびに肉体が爆ぜ、強靭な体躯が混ざりあい、不気味な人型を取っていく。
ボゴの超音波が一層激しくなり、新たな竜を呼び抵抗を試みたドラゴンテイマーを縛り付け、片膝をつかせた。
三人の歌が作り上げた、巨大な人型の肉塊。ユキの歌を受けながらも眠りにつかず、ただ主たるヴロスの言葉を待っている。
「名前がないと、呼びにくいですね。ふむ……」
数秒考え、ヴロスは触手をうねらせて、その全てをドラゴンテイマーに向けた。
「さぁ行きなさい、『叛逆騎士』よ。我らの敵を――叩き潰せ」
名を与えられた恐るべき肉の騎士は、開かない口から咆哮を上げて、肉に染み込んだ黒竜の力を全身に纏う。
ゆっくりと歩み寄り、超音波と眠りの歌に体を縛られたオブリビオンを、真上から覗き込んだ。
「……」
ドラゴンテイマーが、自身に影を落とす竜たちの成れの果てを見上げる。その顔には、諦めと屈辱が張り付いていた。
叛逆騎士の体が、崩れた。ボトボトと不快な音を立て血を飛び散らせながら、かつて竜だった時の主へと数多の肉片が注がれる。
黒竜の力は纏ったままだが、その力が使われることはない。もはや、ただの超大質量の肉塊に過ぎない。
しかしそれでも、ドラゴンテイマーを押しつぶすには十分すぎた。肉の滝を避けることもできず、どす黒い肉に埋もれていく。
やがて、歌が止まった。超音波の演奏も終わり、積み上がった竜だったものを、三人は無言で見つめる。
あまりにも惨い戦いと言えたかもしれない。だが、こうでもしなければ、強大かつ危険なオブリビオンを止めることは、叶わなかっただろう。
これで終わった。ユキが安堵の息をつく。
「よかったです。みんな無事で……」
その微笑に、ボゴとヴロスも頷いた。放っておけば大変な脅威となる敵であることは、戦う前から分かっていたのだ。
しかし、これで終わったのだ。もう脅威は――。
「ユキさん!」
突然叫んだヴロスの触手が、ユキを絡め取って引き寄せた。直後に彼女が立っていた場所へ、ドラゴンの爪が突き立つ。
見上げれば、空にはまた、幾十ものダイウルゴスが飛び交っていた。
「まさか、そんな……」
「おいおい、冗談きついって」
下ろされたユキと二人を庇うように立つボゴの視線の先。肉塊を吹き飛ばした紫のガスの中から飛び出した、六枚の翼。
「やってくれたな、猟兵」
全身がどす黒い血に塗れ、左手を失い、右腕の剣が半分欠けてなお、ドラゴンテイマーは、死んでいなかった。
黒竜たちを従えてこちらを見下ろすその姿は、世界を滅ぼす悪魔を描いた絵画の如く。
奴がまだ、生きている。その事実に、ボゴとユキ、ヴロスは、戦慄を隠すことができなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ルカ・ウェンズ
まだ完全とは言えないけど真の姿で反撃するわ。
【行動】生きているし、まだ動けるから仕返し…八つ当たりよ
前と同じように残像とダッシュを使いオーラ防御と激痛耐性で身を守り、ドラゴンテイマーに突撃、今回は対オブリビオン用スタングレネードを使いドラゴンテイマーか竜の群れ、どちらか一方でも恐怖を与えることによって少しでも動きを止めるのを狙うわ
竜の群れは虫の本で呼び出した昆虫型機械生命体の群れに任せて、私は怪力を使い右手のオーラ刀で防御、変形した左手で敵を叩き潰したり、握り潰すような2回攻撃でドラゴンテイマーに八つ当たりをするわ
【心情】ドラゴンテイマーの首をとる首がとれないなら、せめて腕や足だけでも潰す。
黒竜を従えて着地したドラゴンテイマーに、鮮血を滴らせながらも立ち上がったルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)が、得物を向ける。
「悪いけれど……まだ生きているし、まだ動けるの」
「……」
「それは、あなたも同じことね」
沈黙を守る敵に、小さく笑った。ドラゴンテイマーもまた、満身創痍だ。誰がどう見ても、長くは持つまい。
だがそれは、戦わない理由にはなり得ない。この敵を逃がしてやる理由など、どこにあるというのか。
ルカは持てる力を、解放した。漆黒の鎧に包まれた左手が変形し、右手に握る変形式オーラ刀は、より禍々しい黒の光を纏う。
傷が癒え、力が漲る。最後の一撃を放つに相応しい、それは彼女の真の姿。
ドラゴテイマーの折れた赤い剣が、ルカを示す。直後、全ての竜が一斉に急降下し、その爪を少女の体に向けた。
ルカが身に着ける腰のポーチが自然に破れ、中からいくつかの球体が落下する。地面に接触した瞬間、球が弾けた。
一瞬だった。凄まじい光と音が戦場を支配し、ドラゴンの群が悲鳴を上げる。明らかな恐怖を感じている絶叫だった。
さらにユーベルコードを展開、どこからか取り出した本を広げると、そこから無数の昆虫型機械が顕れ、黒竜へと襲い掛かる。
敵の脅威を見事に封じ込めていながら、ルカの目はまるでダイウルゴスを見ていない。怪訝な顔でこちらを睨むオブリビオンへと、彼女は平然と言った。
「私の狙いはあなた一人よ、ドラゴンテイマー。だって私は――」
腰を低くした刹那、ルカの体が消える。ただの一歩で距離を詰め、反応した敵の赤い剣をオーラ刀で受け止める。
眼前にあるドラゴンテイマーの目を覗き込み、ルカは目を細めた。
「私は、殺し屋ですのよ」
折れた剣を弾き飛ばして踏み込み、懐に入りこむ。変形した左手で、その肩口を掴んだ。
そのまま力任せに、握りつぶす。肉と骨が潰れて砕ける音が響き、さしものドラゴンテイマーも苦痛に声を上げた。
「ぐあッ……貴様……!」
「まだ耐えるの? そう。あなたタフなのね。それともやせ我慢? 男の人って、そういうところあるわよね」
やけに饒舌なルカは、しかし攻撃の手を緩めない。右腕を失い接近戦ができないドラゴンテイマーの両足を、変形した左手でもって叩き潰す。
赤黒い血が地面に広がり、紫のガスが立ち込める。禍々しい色どりの中で、四肢のうち三つを奪われた敵は、それでも力強い意志を持っていた。
ついでとばかりに左腕を肘から斬り飛ばし、ルカはその切っ先をドラゴンテイマーの眼前に突きつける。
「ねぇあなた。なんでそんなに強気でいられるのかしら? また蘇られるから? それとも……もっと大きな、あなたなりの『希望』があるというの?」
「……いずれ分かることだ。お前に答えてやる義理はない」
敵の目が、宙を泳いだ。上空のドラゴンたちが恐怖を振り払い、一斉にルカへと降下してくる。
最期の抵抗だ。だがその爪は、あまりにも、遠い。
「そうそう、言い忘れていたけれど……これは仕返し。八つ当たりよ」
無慈悲に動いたルカの右手、その手に握られた黒い刀が、横一文字を描く。
一瞬だったと思う。だが、あまりにも長く感じた。
竜たちが空中で動きを止め、まるで初めからそこにいなかったかの如く、消えた。
ルカが剣を収める。同時に転がり落ちるは、ドラゴンテイマーの、首。
次に体が崩れ落ち、ルカはそちらを見もせずに、動かなくなった強大なオブリビオンに、背を向けた。
風が吹いた。それで、この戦いは終わった。
to be...continue...?
大成功
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