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バトルオブフラワーズ⑫〜竜を従えし者

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ドラゴンテイマー

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 システム・フラワーズの中枢からやや離れた場所。
 戦の趨勢を見守るように、その男は佇んでいた。
 六枚の翼を持ち、ドン・フリーダムに侵略技術を提供し、傍観する男。
 彼は竜を従える者、ドラゴンテイマー。

「さて、いよいよ戦争も最終段階、ドン・フリーダムとの決戦……だけどよ。ゲームだとボスと戦う前に全部の脇道をチェックしたくなっちゃうんだよね、おじさん」
 富士王は集まった猟兵に、まず今回の依頼は達成してもしなくても戦略的には問題ない相手だと念押しした。
「でもさ、ドン・フリーダムに技術を提供するほどの男、無視しろってのも酷な話だと思わないかい? そこでちょっかい、かけてみちゃおっかって訳よ」
 気軽に言う富士王だが、ドラゴンテイマーが強敵なのはその強者めいた装いからも容易に想像できる。
「クリムゾンキャリバーとかいう赤い剣の腕、そして黒竜ダイウルゴス……どちらも恐ろしい上に、向こうはこっちと同じ強さの攻撃を先制して放ってくるみたいなんだよね」
 まるで鏡のように、同じ威力の攻撃を先に打たれる。何かしら対策を練っておかなければ、為す術も無く完封されてしまうことは想像に難くない。
「ま、こっちの強みは敵の手を先に知れることだよね。相手の手がわかってるなら、いくつか対策はあるはずだ」
 各人、どのような対策を取ってドラゴンテイマーに挑むかは任せると付け加え、富士王は猟兵たちを送りだす。
「竜は従えられても猟兵はそうはいかないってところ、見せてやろうぜ!」


蘇我真
 どうも、蘇我です。今回の相手はドラゴンテイマー。戦略的には戦う必要のない相手ですが、どうせなら完封目指したいですよね。
 注意事項をこちらでも。

 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
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第1章 ボス戦 『ドラゴンテイマー』

POW   :    クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:ハルヨリ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ケイ・カルオーマ
ドラゴンテイマー…ね。そう簡単に俺を乗りこなせると思うなよ?
先制攻撃の赤き剣を【武器受け】し、殺しきれないダメージは【激痛耐性】で耐える。
ダメージはある。が、あくまで余裕たっぷりに「来いよ、『ドラゴンテイマー』。名の通り俺を屈服させてみせろ」と【挑発】し竜の一斉攻撃を【釣り】上げる。
あれほどの数の竜を一斉に差し向ければ──あんたは俺の事を視認できないだろう?
UC発動。竜魔人となって強化された肉体を以って迫りくる竜の中からドラゴンテイマーへの微かな道筋を【見切り】【ダッシュ】で駆け抜ける。
さあ一対一だぜ。この刹那のチャンスに【捨て身の一撃】で獄炎の拳を叩き込む!!


数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】

竜使いの名前に違わねぇって訳かよ……!
さすがにこの数はきつい、まずはなるべく数を減らす!

『騎乗』『操縦』『ダッシュ』でカブの速度を上げ、
黒竜の群れの攻撃から逃げ回る。
『属性攻撃』『マヒ攻撃』込みのサイキックの電撃を
『範囲攻撃』として反撃し、
数を頼む戦い方じゃなくて合体させようとするよ。

強さがどうでも黒竜が1体になった時が仕掛け時さ。
前脚の一撃を食らったように見せかけて、
カブをバラして【人機一体】で纏う。
そのまま腕を駆けのぼり、
首元……というか背中辺りに陣取るよ。
世の中にゃ竜を乗りこなすドラゴンライダーもいるらしい。
アタシの『騎乗』で、
じゃじゃ竜だって乗りこなしてみせる!



「来たか……!」
 猟兵の転移を確認したドラゴンテイマーは、何よりも先に自らが動く。
 標的は最初に降り立ったケイだった。赤き剣と化した右腕がケイの能力と同じ速度、強度で放たれる。
「ぐっ!」
 それをケイは武器で受けた。
 クリムゾンキャリバーの一撃が命中したので、ドラゴンテイマーは自動的に黒竜ダイウルゴスの群れを放つ。
 ケイ自身、先制攻撃への対策はしていたがその初手が武器受けというのはいささか相性が悪かった。ケイ目がけて突進してくる黒竜たちに、為す術もない。
「痛ぅっ……!」
 突進がケイの肩に、腕に、足に、ぶつかっていく。激痛を耐性で耐えようとするが、それでもやはり殺しきれない。
「蹂躙せよ!」
 ドラゴンテイマーの短い命令。更なる黒竜たちがケイを突き飛ばし、轢き殺そうと迫る。
「させるかっての!」
 ケイを救助し、宇宙バイクに乗せた者がいる。多喜だ。
「2ケツでノーヘルだけどよ、超法規的措置だ!」
 多喜はケイを座席に乗せると自らは立ち乗りし、ハンドルを捻る。
「いくぜ、ダッシュだ!」
 迫りくる黒竜の群れを前に、多喜は前進を決断した。
 ギャリギャリと地面を抉りながら猛スピードで黒竜の群れへと突っ込んでいく。
 下手に反転して逃げていては追いつかれる。それならば、敢えて群れに突っ込み、隙間を縫うようにしてやり抜ける。
「ヒュウ!」
 黒竜と黒竜の間をすり抜け、次にやってくる黒竜は頭をかがめて股抜きをする。
 宇宙バイクに遅れて多喜の口笛がやってくる。
 生死をわかつギリギリのドライビング、そのスリルを多喜は楽しんでいた。
「すまない、助かった!」
「何、いいってことよ! それよりやっこさん、別の手で来るよ!」
 ドラゴンテイマーは今度は大型ダイウルゴスを大量に召還する。
 首元、逆鱗に1と刻印された黒竜たち。それぞれが合体すると、逆鱗に刻まれた数値が増えて強くなっていく。
「よし、ここまででいい」
 ケイは宇宙バイクの座席から跳躍する。
 多喜は一瞬引き留めようとするが、ケイにも何か考えがあるのだろうと判断し、それ以上は何も言わない。
 それぞれが合体していくダイウルゴスたち。ケイはその融合で生じた僅かな道筋を見切り、駆け抜けていく。
「竜眼――反転。コード・サラマンドル」
 ダイウルゴスの群れの中、ドラゴンテイマーがケイを視認できないうちに獄炎の竜魔人へと変身し奇襲攻撃をしかける。
「ならば!」
 ドラゴンテイマーはケイを見つけるべくダイウルゴスたちを素早く一体へと融合していく。
 今度は、それが多喜の狙いだった。
「よっしゃ、相棒!」
 宇宙バイクが変形、分解してパワードアーマーとなって多喜の身体に装着されていく。
「アタシたちは、一心同体さ!」
 そうして多喜は最後の一体、超レベルになったダイウルゴスへ飛び乗ると暴れる恐竜を乗りこなしていく。
「ドラゴンテイマー、そう簡単に俺を乗りこなせると思うなよ!」
 右からは地獄の炎を纏った竜魔人、ケイの拳が迫る。
「そっちがテイマーなら、こっちはライダーだ! 乗りこなせてみせる!」
 左からは多喜の乗ったダイウルゴスが、彼女を振り落とそうと暴れながらドラゴンテイマーへと迫る。
「ぬうっ……!」
 左右からの同時攻撃を回避できず、ドラゴンテイマーを中心に轟音と爆炎が上がった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ネムネ・ロムネ
※今回一切喋りません
セリフNG
心情描写歓迎

このオブリビオンからとても危険な遺志を感じます
いつか全世界を呑み込んでしまう程の絶望的な邪悪を
故にネムはここに来たのです

ふわりとスカートを持ち上げてお辞儀をしましょう
ネムの交渉成就を祈りながら


ここはシステムの中
床も壁も黒龍に変化するかもしれねーです
世界が絶望に塗りつぶされた瞬間唯一の有機物花弁が舞う筈です
その大量の花弁に隠れ【逃げ足】で常に移動
攻撃を極力躱すのです
龍の体を足場に火器で【破壊工作】を敢行
龍の世界を揺らすのですよ
もし敵に肉迫できたのならエンジンを起動させるのです
黒龍を無機物に還す為
恐怖を【勇気】で掻き消しナイフでの白兵戦に持ち込むのです



 爆破を前に、スカートの両裾をつまみあげ、ふわりと頭を垂れる者がいた。
 ネムネだ。それはオブリビオンを前にした恭順の意思表示か、それとも最後通牒か。
 ただ、頭を下げながらも琥珀色の瞳はじっと前を見据えていた。
 爆発が治まるよりも早く、ドラゴンテイマーが動く。
 爆心地を中心に、無機物が放射状に黒竜ダイウルゴスの群れに変換されていく。
 システムフラワーズという無機物の中、ネムネの足元、足場さえもが黒竜へと変わっていく。
 しかし、花の足場の花は有機物だ。ネムネはそれを待っていたかのように小さくひとつ息を吸うと、舞い上がる花吹雪の中に紛れていく。
 黒竜の群れが、ネムネを食い殺そうと飛びかかる。その鼻先をつま先でステップし、飛び越える。
 音も無く呼び出したガトリングガンから弾丸をばら撒く。狙いはつけない。つける必要もない。大きく見開かれた瞳に映る黒、その全てが標的なのだから。
 黒竜の背を渡り歩きながら、交渉道具として持ち歩いている重火器を使い捨てていく。
 スペアのガトリングガンを撃ち尽くし、手榴弾は投げ終わり、狙撃銃も弾切れだ。
 数が減ってきた黒竜たちのうち、一匹がネムネの矮小な体躯を一飲みにしようと大きな咢を開けて突進してくる。
 ネムネは死の臭いを嗅ぐ。こめかみに一筋の汗が流れる。
 震える手で狙撃銃からスコープだけを素早く外してバズーカ砲へとセッティングし、狙いをつけて発射する。
 キマイラフューチャーの重力、風速、コリオリ力、あらゆる数値を計算に入れた偏差射撃。発射。命中。爆発。
 黒竜の頭が至近距離で四散し、飛び散る肉片は役目を終え無機物の足場へと再び戻っていく。
 破壊工作は完了とばかりに、無機物へと回帰した足場へ着地するネムネ。 その手には、全ての火器を使い果たした証である最後の武器、シースナイフが握られていた。
 狙いは黒竜の一体、その背に乗るドラゴンテイマー。
 ナイフを逆手に持ち替え、身を低くして地を這うように走り出す。
 身体のすぐ横を、黒竜が掠めていく。銀糸のような髪の毛が一房、千切れて宙を舞う。
 ネムネの瞳に昏い影が宿る。それでも、彼女は下唇を噛みつつ、突進を止めようとしなかった。自らの身体をバネのようにして思い切り跳躍、上空から、ナイフを突きたてようとする。
 一方、ドラゴンテイマーはクリムゾンキャリバーで受けようとした。
 防がれる。判断を刹那で下したネムネはディファレンスエンジンに火を入れて、無理やりに自らの軌道と標的を変える。
 赤黒い羽根が、中空に舞った。
 ドラゴンテイマーの翼、そのうち鳥の羽根を模したものをナイフが斬り落としていた。
 ただ、攻撃箇所を変えたその代償として、赤き剣もネムネの肩を貫いていたが。
 ドラゴンテイマーは右腕を振る。ネムネの肩口から刃が抜け、彼女は遠くへと放り捨てられる。最後の力を込めて投擲したナイフは、蝙蝠を模した翼を切り裂いた。
 肩を代償にして得たものは、二対の翼の破壊。一旦距離を取ったネムネの口元が、三日月型に歪んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
「化物だよ。竜よりアンタが…能力も、瞳の奥に見える闇も」

竜が合体する前なら群れの足元に隠れたりと目立たないよう行動。
見切り・敵を盾に、も活かして凌ぐ。
合体し始めたら爆弾《カウントダウン》を竜内部に投擲…ここぞでドラゴンテイマーの気を一瞬でも引く仕込み

反撃開始は妖魔解放。ハーピーの魂を霊着しドラゴンテイマーに突撃。
神鳴&アークウィンドで二刀流

竜はダッシュと高速移動で突破狙い。
赤剣は短剣で武器受け…あわよくば武器落としで折る。
飛翔まで想定し叫びで音属性の衝撃波。
「知ってるかい?『昨日より今日!今日より明日!』さ。ドス黒いオブリビオンは昨日(過去)に還れ!」
爆破罠が炸裂したら神鳴投擲…ブチ抜いてやる


メイスン・ドットハック
【SPD】
大量の大型ドラゴンが待ち構えておると考えるとのー
じゃけどやるしかないかのー

電脳魔術で展開できるだけの障壁・防壁を張る
さらに空間を【ハッキング】して、システム・フラワーズに干渉し、花びらの結界を作り先制攻撃を防ぐ

攻撃を凌ぎきったら、「星の海を制覇せし船」の大型宇宙戦艦の内部に転移
黒竜の群れの中の一体を集中砲火して、ドラゴンテイマーの攻撃経路を作る
一瞬の穴が出来たら、そこに向かって広域破壊ミサイル【誘導弾】を発射
回避されても爆裂でダメージ範囲が拡散するような一撃でダメージでを狙う
来る黒竜の攻撃は戦艦の装甲で何とか耐え凌ぎ、破壊となったら離脱する

これが猟兵の力の一端、というものじゃのー



「さって、どうしたもんかのー……」
 メイスン・ドットハックは困っていた。
 攻撃を凌ぎきったあとならば、ダメージを与える公算はある。
 だが、攻撃を凌ぐべく空間をハッキングしてシステム・フラワーズに干渉するには時間が掛かりすぎたのだ。
 電脳魔術で障壁や防壁、各種ウォールシステムは既に持ちうる限り展開している。
 しかし、そのプロテクトは1枚、また1枚と大型ダイウルゴスに破壊されているのが現状だった。このままでは間に合わない。
「耐え切れればいいんだよな?」
 そこへ助け船を出した者がいる。燦だ。
「おおっ!? おったのか?」
「まあな、目立たないようにこそこそ隠れてたんだよ」
 一方、燦は対応策はできていてもそこから一撃を入れるまでには希望的観測が多かった。様々な事情が想定できる分、そのどれに対応するかで一瞬迷ってしまいそうだ。得てして勝負は、その一瞬が致命的になることを燦は知っていた。
「それじゃ、ここはひとつ協力だ」
「うむ、すまんのー」
 メイスンと燦が話している間にも、ダイウルゴスは強力な結界を破るべく合体を繰り返して強力な一個体へとなろうとしている。
「合体するなら、こいつもとっときな!」
 燦は敵を引きつけるべく単独行動を取る。そうして景気づけとばかりに爆弾をダイウルゴスの口内目がけて投げ込んだ。
 飲み込むダイウルゴス、数瞬の後、竜の体内から大爆発が巻き起こる。
「そこか……!」
 ドラゴンテイマーの視線が燦へと向く。その瞳は、闇よりも深く濁っていた。
「……化物だよ。竜よりアンタが」
 詠唱を省略し、ハーピーの魂を霊着させる。
 自らの寿命を削っての超強化。闇夜を切り裂く流星の如き突撃でドラゴンテイマーへと迫る。
「はぁっ!」
 雷を帯びた剣での一撃を、ドラゴンテイマーは赤き剣で受け止めた。
「もういっちょ!」
 ならばとばかりに空いた手に握られた短剣、アークウインドを赤き剣の右腕、その根元へと差し込んだ。
「これしき……!」
 短剣での刺し傷程度ではドラゴンテイマーは止められない。それは、燦もわかっていた。
「リリース!」
 短剣を軸に、ハーピーの霊力を借りた衝撃波を放出する。音属性の一撃が、振動で鉱物と化した右腕、その劈開を突いて粉々に打ち砕いた。
「知ってるかい? 『昨日より今日! 今日より明日!』さ」
 武器の無力化に成功した燦が更なる攻撃を加えようとするが、反撃はここまでだ。
「ドス黒いオブリビオンは――げっ!?」
 再び召還された大型ダイウルゴスの群れ。その群れに、燦はあっという間に取り囲まれる。
「ちっと調子に乗りすぎちまったかなー……なんて」
 ドラゴンテイマーは、無言で指示を出す。喰らえというシンプルな命令。
 大型ダイウルゴスたちが融合しながら一斉に燦へと向かう。
 喰われる。燦は思わず目を閉じて、被弾を覚悟する。
「ん……あれ?」
 しかし、いつまで経っても痛みはやってこない。恐る恐る目を開ける。
「ここは?」
 燦は見知らぬ宇宙船の中にいた。
「いやーいやー、待たせたのー」
 のんびりとした口調のメイスンが、隣の席に鎮座している。
「ここは僕のユーベルコード、『星の海を制覇せし船』の内部なのじゃー」
 電脳魔術製の大型宇宙戦艦。大型ダイウルゴスには大型宇宙戦艦をぶつける。シンプルながら、だからこそ破りにくい一手。
「主砲を狙え!」
 ドラゴンテイマーも被害を最小限に抑えるべくダイウルゴスへ指示を出すが、艦隊戦ならばメイスンにも一日の長がある。
 ドラゴンテイマーの射線上にいる一体を撃破すると、その先に向かって広域破壊ミサイルを放つ。
「電脳魔術もここまでやれば立派な兵器よのー」
「ぐうっ……!」
 ドラゴンテイマーはダイウルゴスに庇わせはするものの、範囲攻撃は防ぎきりようがない。襲い来る灼熱の奔流に、ドラゴンテイマーの残りの翼もイカロスの翼のように焼け焦げ、落ちていく。
「やったな!」
「そちらが時間を稼いでくれたおかげで、猟兵の力の一端を味合わせてやれたのー」
 燦とメイスンは互いに有効打を与えたことをたたえ合うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ネムネ・ロムネ
※セリフアドリブ可

「まだネムは帰還してねーです
交渉は終わってねーんですよ」


敵は全ての翼を失った
でも
自身の肩はもう上がらない
武器も全て使い果たした
周りからは次々と大型ダイウルゴスが出現している
黒龍の合体は止められない
ダイウルゴスの文明に飲み込まれてしまうのは最早防げない

ダイウルゴスの文明の中で悪魔の機関の【封印を解く】
短時間に二回もエンジンを駆動させる事が意味するのは大量の出血と頭の割れるような激痛という負荷
それに機関の暴走の誘発

嘗て一つの都市を滅ぼしたディファレンス機関の暴走は
周囲の次元を急速に早送りさせて風化させてしまう
それは敵味方関係なく飲み込む悪魔の力

暴走後は戦況に関係なく意識を失います



 猟兵たちはドラゴンテイマーへと有効打を与えていた。
 あとは最後の一撃、トドメを与えるだけだ。
 しかし、手負いのドラゴンテイマーがそのまま素直に引き下がるとは思えない。
 ならば。
 ネムネはその時、初めて口を開いた。
「みんな、ここはネムに任せて離れるです」
 貫かれた肩口に片手を添え、立っているのがやっとな様子だ。
「交渉は、まだ終わってねーんですよ」
 不敵に笑うその姿は、自らの命を犠牲にしようとしているように見える。
 その身体で何ができると、猟兵たちも止めないわけがない。
 同時に、ネムネのオブリビオンを倒したいという気持ちを、止められるわけでもなかった。
「ダイウルゴス!」
 ドラゴンテイマーが叫ぶ。掲げようとした右腕は既にない。
 召還された大型ダイウルゴスが溶け合わさり、額には圧倒的な数字が刻まれた個体が誕生する。
 丸飲みにしようと向かってくる個体に、ネムネは無策だった。
 策を弄じようにも、武器がないのだ。
 己の身体しか。
 ネムネの周囲の空間ごと、大型ダイウルゴスに飲み込まれる。
 その中には、無数の文明が存在していた。
 はじまりのダイウルゴスと99体の文明代表者。彼らがネムネを新たな文明の一員であると承認していく。
 そんな文明を滅ぼすべく、ネムネは自らの封印を解く。
 悪魔の機関、ディファレンスエンジン。
 己の体内動力機関であるこのエンジンを短期間に二度も駆動させれば、暴走して文明を、自身を滅ぼしてしまうだろう。
 そのような強力な自爆攻撃に仲間を巻き込まないために、ネムネは敢えて喰われたのだった。
「一人、仕留めたか……」
 大型ダイウルゴスの側、ドラゴンテイマーは勝利を確信している。
 自爆攻撃を行えば有効打になるはずだ。それなのに、ネムネはまだ封印を解けきれない。
 二度、三度と大きくせき込む。口から、鼻から、耳から、肩口の傷から、大量の鮮血が噴き出す。
 額が割れるかのような頭痛が襲う。手が震え、身体が震え、最後の一歩が踏み出せない。
 意図的に自らを追いこみ、暴走させることへの恐怖。死にたくない。唇が幽かに動く。
「たすけて」
 そう呟いたとき、ネムネの霞んだ視界に見慣れた光が飛び込んできた。
 ナイフだ。投擲したシースナイフもまた、このダイウルゴス文明に飲み込まれていたのだ。
 純金で出来たそのナイフは、文明の中でも壊れずにその輝きを保っていた。黄金色の、温かい光。ネムネはそのナイフをまだ動く方の腕で取り上げる。
「……ッ!!」
 唇を硬く結び、震える腕でナイフを握りしめる。
 意を決し、一息にナイフを胸へと突き刺した。
 ナイフの先端がネムネの駆動部、エンジンのリミッターを破壊する。
 彼女を中心に、文明の崩壊が始まる。ディファレンス機関の暴走がそこにある生物、無生物、敵、味方を関係なく襲う。
 それは次元の早送りだ。有機生命体ならば生命の終わりが、無機物ならば風化し朽ちるほどの年月が一瞬のうちに経過する。
 大型ダイウルゴスの体内、文明が消失していく。多くの文明を失ったダイウルゴス内の秩序が乱れ、連鎖的に崩壊しだす。
 崩壊熱が発生し、外界、ダイウルゴスの体外にまで影響が出始める。
「なっ……!!」
 ドラゴンテイマーが異変に気付いたときには、既に遅かった。
 メルトダウンにも似た、自壊からの大爆発に巻き込まれ、光の奔流に飲み込まれる。
 断末魔を上げる暇もなく、彼はそこから消失する。
「―――」
 その場に残されたのは、意識を失い横たわるネムネと、彼女が握りしめた勇気のナイフだけだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月23日


挿絵イラスト