バトルオブフラワーズ⑫~Dark Eclipse
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「『キマイラフューチャー』の戦争は、三体の怪人たちを退けることに成功し、ようやく『システム・フラワーズ』の元でドン・フリーダムとの決戦を迎えるに至った。しかし――」
ダンピールの黒騎士、ヴォルフラム・ヴンダー(ダンピールの黒騎士・f01774)が、いったん、言葉をおいて。
眉間にしわを寄せ、厳かに続ける。
「ドン・フリーダムとの会敵と同時に、謎のオブリビオン『ドラゴンテイマー』の出現が確認された」
ドラゴンテイマーは、怪人軍団に占領技術を提供した者と目されているが、その存在も、目的も、詳しいことはなにひとつ判明していない。
「キマイラフューチャーの戦いからすれば、戦略的には無視しても問題のないオブリビオンだ。ヤツに戦力をさき、ドン・フリーダムを逃すことになれば、そちらの方が痛手となるだろう」
「だが、それでも」と、ヴォルフラムは続ける。
「それを承知で、おまえが殲滅に向かいたいと言うのであれば。俺はおまえを、あの男のもとへ転送しよう」
ドラゴンテイマーは、同時に一体しか存在することができず、何度でも骸の海から蘇ることができる。
しかし、短期間に許容値を超える回数(戦力分)倒されれば、復活は不可能になる「筈」だと考えられている。
「ヤツは必ず先制攻撃を仕掛け、『黒竜ダイウルゴス』を召喚する能力で戦う。これまでの、どのオブリビオンよりも強い戦闘力をもつ存在だ。無策で立ち向かえば、返り討ちにあうのは必至だ」
ヴォルフラムはそこまで告げると、手のひらにグリモアを掲げ。
猟兵たちをまっすぐに見やり、言った。
「俺は転送経路の安全を確保するため、おまえたちに何があっても、助力できない。――武運を祈る」
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システム・フラワーズの中枢から離れた位置に、ひとりの男が佇んでいる。
あたりにはおぞましい気配の紫のガスが満ち、その背には六枚の翼が見てとれて。
右腕は赤く、ひとの形を成してはいない。
赤き剣の腕――クリムゾンキャリバーを持つ男は、現れた猟兵たちへ暗い眼を向け、言った。
「ほう。……ここまで来たか」
場を侵食するようにふくれあがった殺気は、男の力量を物語り、猟兵たちを怯ませるには十分だ。
猟兵たちは、敵うかどうかもわからない謎の敵を前に。
覚悟を決め、戦闘態勢に入った。
西東西
こんにちは、西東西です。
本シナリオは、『キマイラフューチャー』の戦争「バトルオブフラワーズ」に関するシナリオとなります。
マップ【12】『ドラゴンテイマー』での戦闘となります。
●特殊ルール
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
●プレイングについて
ここまでの戦争シナリオと異なり、厳しめに判定を行います。
挑戦多数となった場合は全採用とならない可能性がありますため、あらかじめご了承ください。
それでは、ご武運を。
第1章 ボス戦
『ドラゴンテイマー』
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POW : クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ハルヨリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セルマ・エンフィールド
まともに相手をしていては体力が持ちません、短時間で決めましょう。
視界内の敵の挙動は「見切り」、数を活かした視界外からの攻撃は「第六感」で察知し、「クイックドロウ」したデリンジャーで武器のように振るわれる爪や尻尾を「武器落とし」して弾くことで防ぎます。
「ダッシュ」で、時には大型の敵の下を「スライディング」でくぐってドラゴンテイマーに近づき、合体した強力な個体を【氷枷】のうち手枷と足枷を使用、動きを鈍らせます。
動きの鈍った大型の敵を利用しドラコンテイマーの視界から姿を消したなら「暗殺」の要領でこちらの姿は晒さずに狙いをつけ、「スナイパー」らしくマスケットで首を狙い【氷枷】最後の首枷を撃ちます。
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その男――ドラゴンテイマーは、佇むだけで他を圧倒していた。
まるでこの世に恐れるものは何もないといった風情で、猟兵たちが眼前に現れたところで、微塵も気にかけはしない。
セルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)が駆けつけた時もそうだ。
男は暗い眼で一瞥し、短く告げるのみ。
「殺せ」
命令ひとつ。
地に満ちよ、といわんばかりに、黒々とした肌の大型ドラゴン『ダイウルゴス』が顕現し、システム・フラワーズの一角を占拠していく。
淡色に、黒のインクを垂らしたかのように。
それらは、加速度的に戦場の床を『黒』で染めあげていった。
「っこれ……! 一体どれだけ出てくるんですか!?」
セルマの身長をゆうに超え、複数の大型ダイウルゴスは岩山のごとき厳めしい巨躯を震わせ、それぞれ行動を開始する。
翼を広げただけでごうと風が逆巻き、トゲのような突起もつ尾は大蛇のように蠢いた。
地を打つ竜尾の一撃を第六感で回避し、セルマは走りながら、スカートの中に隠していた小型短銃(デリンジャー)を抜き、撃ち続ける。
的は大きい。
しかし、岩のごとき黒肌は弾丸を弾き、かすり傷を負わせることも難しい。
一体だけでも手を焼く竜が、すでに数十体召喚されている。
「まともに相手をしていては体力がもちません、短時間で決めたいところですが……!」
口ではそう唱えるも、戦力差は圧倒的。
――これは、一方的な蹂躙である。
それに気づいた時、セルマは肌が泡だつのを感じた。
『どちらか』が倒れるまで、始めた戦いを降りることはできないのだと――。
死角から振るわれた爪を間一髪で回避し、巨躯の下を駆け抜ける。
とにもかくにも、一撃を喰らえばひとたまりもない。
スライディングであえて間合いに飛びこみ、逆鱗の見える腹下で、ユーベルコード『氷枷』を発動!
「少々、小細工をさせてもらいましょうか……!」
小型短銃を構え、部位を狙い、たて続けに引鉄を引く。
あたりに冷気が満ちたかと思うと、爆ぜた弾丸が氷の手枷・足枷・首枷に変化し、1体の大型ダイウルゴスの動きを鈍らせた。
すかさず大型のマスケット銃に持ち替え、ドラゴンテイマーの姿を探す。
(「この隙に、ドラゴンテイマーを暗殺できたなら――」)
しかし、残る大型ダイウルゴスの姿が視界をさえぎり、標的の姿はどこにも見当たらない。
狙いをつけようにも、対象が居ないのだ。
「このままでは――」
焦りにかられた、次の瞬間。
別の大型ダイウルゴスの尾が鞭のようにしなり、セルマの華奢な身体を中空へと跳ね上げた。
臓腑を叩き潰され、呼吸が止まる。
続いて別の一体の爪が閃き、胴に傷がはしった。
「か、はっ……!」
受け身をとることもできないまま地に落ち、こみあげる血を吐き捨てる。
立ちあがろうにも、手足が動かない。
全身が痛い。
どこか痛いのかも、もはや判別ができない。
「こ……、んな……」
倒れたセルマの上に、ふいに、影が落ちた。
全身を黒で包んだ、まるで闇から這い出たかのような男――ドラゴンテイマー。
大型ダイウルゴスを召喚したその時から、この男はセルマの動きを把握し続けていた。
狙いを付けるつもりが、逆に、狙われていたということだ。
「こんなものか」
男は、顔色ひとつ変えずにそう零し。
倒れた少女を、赤き剣の右腕で薙ぎ払った。
苦戦
🔵🔴🔴
飛鳥井・藤彦
「おお、怖い怖い。でも兄さんなかなか絵になる男前やねぇ。ちょっと僕とも遊んでや」
必ず先をとられるっちゅーことならあちらさんが【文明侵略】で攻撃してくる前提で準備をしとこか。
まずは黒竜の群れの動きを【見切り】、輝紅篠画で【なぎ払い】、受け流したり回避を気張させて頂きます。
とりま一体二体掛かってくる分はええけど、問題は三体以上同時に襲ってきた時。
せやから逃げ回っとる最中に袖から零れた体を装って自分の周りに花鳥風月符を撒いといて、僕に【黒竜ダイウルゴスの群れ】が群がった時が仕掛け時やね。
【高速詠唱】で【藤花繚乱】を発動、僕に群がってきた【黒竜ダイウルゴスの群れ】全部にぶつけて相殺を試みますわ。
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ドラゴンテイマーの隙をみて、駆けつけた猟兵たちが、重傷者を急ぎ後方へと運んでいく。
「おお、怖い怖い」
身の丈ほどもある大筆『輝紅篠画』を携え、飛鳥井・藤彦(浮世絵師・藤春・f14531)が前に出た。
先に召喚した大型ダイウルゴスが狙い定め、爪を向けるのを、筆先で薙ぎ翻弄する。
「でも、兄さんなかなか絵になる男前やねぇ。ちょっと僕とも遊んでや」
美人画を得意とする浮世絵師である藤彦は、敵の姿にも、ついモチーフを探してしまう。
茶とも黒とも見える髪は、輪郭を隠して。
不健康めいた顔は、貫禄のある口ひげが印象的だ。
そして、これまでの生き様を語るような、剣呑なまなざし。
闇そのものをまとったかのような装束に、背には6枚の翼。
一対ずつ、異なる3種の翼が生えている。
(「ほんに、絵になるわぁ」)
さらに観察をしようにも、周囲は大型竜の群れで満ちている。
「この戦場で最も謎多きお方。お話に興じたい……なんて、こいねがうことは、許されるかしら」
キャロライン(f01443)もはせ参じ、先端に虹色の宝石をつけた杖『レインボーワンド』を手に、黒竜の間を駆け抜けた。
新手の猟兵たちの出現にも、ドラゴンテイマーはさして興味が無い様子で。
ひと言、
「蹂躙せよ」
それだけを告げると、男の足元を中心にして、黒泥のごとき闇が広がっていく。
――『文明侵略(フロンティア・ライン)』。
システム・フラワーズ――人工的に造られた花に満ちた空間は、どこまでも無機物に満ちた世界。
広大な花の野を炭と化すがごとく、暗黒がシステムを呑みこんでいく。
黒竜ダイウルゴスの群れは、さながら、『地獄』という卵から孵化した雛のよう。
次から次へと咆哮をあげ、翼を震わせ、一番最初に眼にした生き物へと牙をむく。
この場においては、それは藤彦ら、戦場を駆ける猟兵の姿だ。
「これは……、悪い方の予感が、当たってしもたみたいやねぇ!」
一体、二体の相手であれば、まだ耐えられた。
しかし、召喚された黒竜の群れは、ゆうに10体を超えている。
(「一太刀も入れられんまま倒れるなんて、冗談やない」)
攻撃の手を止め、見切りや受け流しに注力すれば、青白磁の生地に墨色の柄が映える着物の袖から、はらりはらりと、『花鳥風月符』が舞い落ちていく。
成功
🔵🔵🔴
キャロライン・ブラック
この戦場で最も謎多きお方
お話に興じたい……なんて、許しては下さらないかしら
竜の群れが出てきましたら
レインボーワンドを用い
周囲に緑色と青色の塗料をまきましょう
目的は相手の目から逃れること
放つと共に竜の陰へと隠れますわ
わたくしにも塗料を被り、鼻からも逃れますが
さて、隠れきれるか微妙なところかしらね
それに、隠れたとしても
たやすく奇襲出来る相手でもないでしょう
ですから、ただの塗料にUCの青い塗料も紛れ込ませますの
翼や爪を固めることで回避や同士討ちを狙い
青が危険、緑は目眩ましという認識を植え付けますわ
そうして、ドラゴンテイマーに近づき
UCに黄色の塗料を混ぜ、緑色にしてから放ちましょう
さあ、いかがかしら?
●
ダンピールのキャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)もまた、ダイウルゴスのあぎとを避けながら、レインボーワンドの力で緑と青の塗料をばらまいていた。
続けて、キャロライン自身も全身に塗料を被る。
自身の匂いを打ち消し、黒竜を隠れ蓑として、ドラゴンテイマーの眼から逃れるためだ。
――隠れたとしても。たやすく奇襲できる相手ではないことは、承知の上。
だからといって、手を止めるわけにはいかない。
さきほどばらまいたただの塗料には、ユーベルコードで生み出した塗料『氷河の青(レインボーパレット・グレイシャー)』も混ぜ込んである。
竜たちが気まぐれに振るう尾の鞭の一撃を回避し、キャロラインは胸中で色彩魔法の呪文を唱えた。
(「青い、透き通るような、氷河の色。冷たく固めてしまえば、――ほら、綺麗なままでいられるわ?」)
瞬間、青の塗料は、『氷』へと変化した。
青の塗料を被っていたダイウルゴスたちが凍りつき、ある個体は牙を。
ある個体は爪を。
また、別のある個体は、脚が凍りつき、動きを鈍らせる。
(「――さあ、いかがです」)
今が好機とレインボーワンドを握り締め、キャロラインが黒竜の影から飛びだそうとした。
その時だ。
――グァアアアオオオオオ!!!
横合いから突進してきた1体のダイウルゴスが、キャロラインの脇腹に牙を立てた。
鋭利な刃はブラックドレスを貫通し、華奢な腰を圧し潰さんと、力を加えていく。
――青は危険。緑は目眩まし。
可能であれば、黒竜たちにそんな認識を植え付け、かく乱したかった。
だが、蹂躙することのみを命じられた竜たちは、理性も知能も持ちあわせてはいない。
色の識別など、難しい芸当。
そも、ダイウルゴスの群れは色彩を認識しているかも怪しい。
「ぅ……ぐっ」
赤の色彩に染めあげられながら、キャロラインは黒竜の向こうに、彼の者が駆け来るのを見た。
――浮世絵師・藤春。
持ちあわせの『花鳥風月符』をばらまき、高速で唱えるは『藤花繚乱(グリシナ・プレーステール)』の詩。
「恋しけば 形見にせむと 我がやどに 植ゑし藤波 今咲きにけり……!」
発動とともに、戦場各地に落ちた『花鳥風月符』が藤の花弁へと変じて。
黒に染まっていた世界に、鮮やかな藤色が舞い踊る。
キャロラインを捕らえていたダイウルゴスも攻撃をうけ、たまらず少女を吐きだした。
藤彦(f14531)はすかさず大筆を振りまわし、周囲の黒竜を牽制すると、
「ダンピールの嬢さん、命あっての物種や。今はこらえや」
有無を言わさず担ぎあげ、即座にダイウルゴスの群れ内から離脱する。
藤彦の戦略は数体の黒竜を屠るに至ったが、今のままではドラゴンテイマーには届くまい。
悔しさをにじませながら、藤彦は走り続ける。
己を救い出した猟兵の着物が、赤の色に染まっていく。
それは、今も戦場の真中に君臨する、あの、謎の男の右腕の色にも似て。
(「ああ。赤い、赤い、鮮やかな――」)
そこで、キャロラインの意識は途切れた。
苦戦
🔵🔴🔴
ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
ふはは、強い相手ほど燃えるというものよ。
こちらは『ドラゴニック・エンド』で行く。
絶対先制とは厄介だが、【見切り】で一撃目の剣を躱すのが最優先だ。
避け切れなかった時のために【覚悟】は決めておく。
その場合は右腕を【かばい】、後は意識と気力さえ保てれば良い。
群れの間を縫うのは難しいやも知れないが、【槍投げ】でドラゴンテイマーを狙おう。
貫けずとも良い。
槍がどこかに当たりさえすれば、召喚した蛇竜で一撃喰らわせるくらいは出来る。
大博打だが、やらんよりはマシだ!
私の竜が貴様を屠るぞ!
ツーユウ・ナン
●剣対策
歴戦の【見切り】と反応反射【野生の勘】を駆使し、
練った氣【オーラ防御】を纏わせた手で武器を受け捌きかわす。【武器受け】
腕に装着し手首が固定された剣は威力が高い反面、手で握る剣に比べ操作範囲が狭く反動も逃がしにくい。特に密着戦では死角が大きい。【戦闘知識】
→格闘の間合に持ち込む
●黒竜対策
小さい相手というのは、存外やりにくいものじゃ。
・巨体の死角を突いて立ち回り、同士討ちを誘う
・目や鼻、喉等急所を突き、ボスへ
『UC』
・鎖を利して距離を詰める
・攻撃を【激痛耐性】で凌ぎ【カウンター】で踏込む
→鎖を敵の腕剣に絡め、背に回り込みつつ首に巻き付けて絞首&肘撃【グラップル】【怪力】
「哼フン!」
銀座・みよし
対策:
セトさんにトンネルを掘ってもらい、攻撃が来る前にそこへ隠れます
隠れるタイミングはセトさんの野生の感と自らの第六感に従います
そのトンネルの地形を利用をしながら出来る限り敵へと近づき、
気付かれた際に攻撃力を高めたセトさんに攻撃を任せます
…というのが理想でございますが、理想通りにはいかないでしょう
空を飛ぶ事を知る竜には、地に潜る存在なぞ不可解なモノでしょう
さりとて完全に無視できる筈もございません
悪神セトはいずれ討たれるもの…ええ、わたくしどもの役目は囮にございますゆえ
猟兵の皆様にお願い申し上げます
人任せというのは何とも歯痒くありますが…どうかあの敵を倒してくださいませ
(連携やアドリブ歓迎
●
蹂躙は終わらない。
システム・フラワーズの一角はただれた闇に蝕まれ、ドラゴンテイマーは今なお、その真中に佇んでいる。
次から次へと現れる猟兵を、一瞥。
視線の先には、この戦場にあって歯を見せて笑う灰燼色の青年が立っている。
「ふはは、強い相手ほど燃えるというものよ!」
騎士装束をひるがえし、ドラゴニアンのニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)は、傍らに控えていた黒い蛇竜『Ormar』を長槍へと変え、握り締めた。
負傷者の追撃を狙っていた黒竜ダイウルゴスを串刺しにすると、倒れゆく竜の骸を足場に、跳ねる。
――狙うは謎のオブリビオン『ドラゴンテイマー』。
中空で槍を構え直し、渾身の突撃体勢へ。
しかし、底知れぬ闇をまとった男の挙動は、ニルズヘッグが至るより早い。
赤き剣の右腕。
その名は、『クリムゾンキャリバー』。
ヒトに似た姿でありながら、男の右腕だけは異質だった。
「死に急ぐか、猟兵」
六枚の翼が羽ばたき、おぞましい紫のガスを蹴散らして。
ドラゴンテイマーは右腕で鮮血のごとき軌跡を描きながら、ニルズヘッグの首めがけ、薙いだ。
肺の空気を吐くと同時に、叫ぶ。
「ッハ! 笑止!!!」
――ガギン!!
鈍い金属音が鳴りわたり、黒い長槍に手指が痺れるほどの衝撃がはしった。
(「かわしきった……!」)
そう思ったのも、つかの間。
交差した長剣と槍の切っ先が、互いの身を貫いている。
ドラゴンテイマーの昏い目が、間近からニルズヘッグを覗きこんだ。
「我が大願を飾る、糧と成れ」
次の瞬間、天をつんざく咆哮が響いて。
黒々とした竜の群れが、牙が、爪が、尾が。
青年を貪り喰らわんと迫りくる。
右腕をかばうので精一杯だった。
切り裂かれた腹が熱をもって痛みを訴え、ニルズヘッグの思考をかき乱す。
――右腕と、意識だけは手放すまい。
ただそれだけを考え、覚悟を決めた、その時だった。
ふ、と血と炎の匂いが香って。
今にもニズルヘッグを喰らわんとしていた黒竜の首に、オーラの鎖が絡みつく。
「黒槍の御仁! 伏せておれ!!」
声に続き、鎖をたどり一気にダイウルゴスとの距離を詰めたのは、ツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)。
ツーユウは鍛え抜いた腕で軽々と竜の首にとりつくと、馬の尾のごとく結わえた紫髪を振り乱し、逆鱗へと痛烈な肘撃ちを叩きこんだ。
――ギャアアオオオオン!
ダイウルゴスが怯んだ隙に黒竜から離れると、ニルズヘッグの首根っこを掴み、
「みよしどの!」
視線を向けず、渾身の力で後方へと投げ飛ばす。
次の瞬間、ツーユウの耳元で声が聞こえた。
「――餌が増えたか」
地獄の底から響くような声音。
意識を向ける前に身体が反応したのは、歴戦の経験と野生の勘。
そして、鍛錬の賜物だったろう。
瞬間的に身体をよじり、直撃を回避。
続く下段からの回し蹴りでドラゴンテイマーの体勢を崩すと、練った氣をまとわせた手で刃を受け、捌きかわした。
呼吸の間も惜しい。
ツーユウはひゅっと短く息を吐き、瞬間的に、次の動きを弾きだす。
(「腕に装着し、手首が固定された剣。威力が高い反面、通常の剣に比べ、操作範囲が狭く反動も逃がしにくい。――特に密着戦では、死角が大きい!」)
格闘の間合に持ちこめば、こちらのもの。
間を置こうとするドラゴンテイマーに追従するよう迫ると、敵を戒めるべく再びオーラの鎖をはなった。
しかし、
「盾と成れ」
命中したのは、横合いから飛びこんできた黒竜ダイウルゴスの1体。
ツーユウはやむなく竜の首に鎖を巻きつけ、
「?(フン)ッ!!」
絞首&肘撃の連撃で、2体目の竜の息の根を止めた。
一方、その時。
ツーユウから、重傷のニルズヘッグの身柄を託されたシャーマンズゴーストの銀座・みよし(おやしきのみならいメイド・f00360)は、ニルズヘッグを後方支援の猟兵に引き渡し、次の行動へと移っていた。
ツチブタ『セトさん』に頼み、システム・フラワーズの花の足場、あるいは闇にただれた床に穴を掘ってもらっていたのだ。
縦横無尽に経路を掘り進めたおかげで、準備は万端。
みよしは地下経路をたどり、ドラゴンテイマーの足元まで至ろうとしたが、
――ドゴッ!!!
地下通路の天井が崩落したかと思うと、血紅色の刃がのぞいた。
(「そうでしょう。空飛ぶことを知る翼もつ者には、地に潜る存在なぞ、不可解なモノなのでしょう」)
理想通りにいかないことは、織り込み済み。
嬉しい誤算だったのは、地下天井があったおかげで、クリムゾンキャリバーがみよしの元まで届かなかったことだ。
地下通路の前を歩くセトへ。
みよしは、約束の言葉を告げ、頷いた。
「さあ、セトさん。招かれざるお客様の、お帰りにございますよ!」
――解きはなつは、『土豚を象りし暴風と雷鳴(セト・セティ・タイフォン)』。
神話級の巨大ツチブタに変身した『セトさん』は、己の掘り進めた地下天井を突き破り、その身をオブリビオンたちにさらけ出した。
出現位置に、ドラゴンテイマーの姿は見あたらなかったが、
「黒竜たちを相手取るだけでも、十分です」
なぜなら。
「悪神セトはいずれ討たれるもの。ええ、わたくしどもの役目は囮にございますゆえ……!」
巨大化したセトは、黒竜たちめがけ、決死の突撃を開始した。
ツーユウが、ドラゴンテイマーを死に物狂いで抑え。
みよし&巨大化セトが、決死の覚悟で黒竜ダイウルゴスを抑え。
そして、ニルズヘッグは――。
「ふ、ははは……! 大博打だが、やらんよりはマシだ!」
応急処置を受けた身体に鞭打って、ふたたび黒槍を手に、立ちあがっていた。
治療術で無理やり回復を促進したものの、回復は万全ではなく、痛みまでは抜けきっていない。
それでも、ニルズヘッグは歯を食いしばり、笑んだ。
――今、この時。この瞬間を逃して、なんとする!
全身は悲鳴をあげ続けていたが、護り通した右腕は無事だ。
漆黒の槍を構え、右腕を高らかに振りかぶる。
反らし、いっぱいまで狙い絞った腕を、一気に解きはなつ。
槍の進路上にいた黒竜は、巨大化セトが体当たりで弾き飛ばし。
遠距離攻撃に気づいたドラゴンテイマーは、ツーユウがオーラの鎖で絡めとり、逃がさない。
「おぬしは、ここで我らに討たれるのじゃ!」
「貴様……!」
男は懸命に抗うも、すでに時遅し。
「ドラゴンテイマー! 私の竜が貴様を屠るぞ!!」
叫んだニルズヘッグの槍が、男の左肩に、深々と吸いこまれて。
次の瞬間、召喚した蛇竜がドラゴンテイマーの身体に喰らいつき、ごっそりとその身を抉った。
「ぐぁあああ……!!」
それが。
この戦闘が始まっていらい、猟兵たちが初めて聞いた、男の苦悶の声だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マレーク・グランシャール
黒竜を、そして俺と同じ技を使うか
さればお前の存在を竜であるこの俺が許せるはずもない
赤き剣の初撃を【竜骨鉄扇】で武器受け
受けきれずともダメージは多少軽減されよう
敵が追撃に黒竜の群を召喚したら俺も【炎竜轟天】を成就
竜には竜を、群れには群れを
炎竜の群の業火・爆風で俺を狙う黒竜をなるべく凌ぐ
同時に炎竜の一部を敵に差し向け、近づく隙を与えず【碧血竜槍】を投げる
【金月藤門】のフェイントと残像を用いれば意表を付くことも出来ようか
これは俺が接近するための策
【黒華軍靴】でダッシュしたら【魔槍雷帝】で串刺して雷撃するぞ
俺の真の目的は敵の力を知り再戦に供えること
グリモアは渡さない
次は必ずこの手でお前を討つ
鷲生・嵯泉
如何に力量差が有ろうとも、引く事等出来はせん
見切りと第六感、戦闘知識を駆使して致命傷だけは避ける様に努め
激痛耐性とオーラ防御、武器受けで耐えつつ
カウンターでの範囲攻撃となぎ払いでの攻撃軽減を試みる
刃振るう腕1本を残す事すら難しいかもしれんが
この五体が砕けようと屈しはせん
妖威現界、此の血も精神も好きなだけ喰らうが良い
怪力・鎧砕き、己が膂力と乗せられる力の全てを加え
如何な隙とて見逃がしはしない
柄に喰らい付いてでも此の斬撃、届かせてくれる
己が身を惜しんで勝てる相手では無い事は承知している
だが斃す為に使えるならば、幾ら削る事になろうと構いはせん
成すべきを為すために、我が身我が刃は在るのだから
フィロメーラ・アステール
「ただ見逃すってのも悔しいもんな!」
勝負は時の運なんて言うが!
ひっくり返すまで迫れなきゃ話にならないぜ!
やるぞ! 自分に【気合い】入れて【鼓舞】する!
【第六感】で攻撃察知!
【残像】による【迷彩】効果でかく乱!
大型相手ならこっちの方が小回りは効く!
【空中戦】技術と【スライディング】を駆使してすり抜け!
回避の難しい攻撃には【オーラ防御】も併用!
同士討ち覚悟の攻撃にも注意するぞ!
接近したら【内なる星海の羅針】だ!
敵を竜の攻撃に対して盾にし、本体の攻撃は予測で対応!
でもあと一押し! そこで!
「アヴェスタって何だ?」
敵はなんか思考を遮断しようとするはず!
その隙に【全力魔法】を込めた【踏みつけ】キックだ!
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底知れぬ闇の味は、甘美であるのかもしれない。
ドラゴンテイマーを喰らった蛇竜は、さらに男の身体に牙をたてようとしたが。
己のはらわたを喰いちぎろうとした蛇竜の口腔に、男は赤き剣の右腕を刺し貫いた。
そのまま、力まかせに頭部を両断。
蛇竜の首は、闇に蝕まれた床に音をたて、落ちた。
ぐしゃりと形を歪め、床を血紅で染めあげる様は、まるで潰れた果実のよう。
ひと呼吸遅れ、首をうしなった巨躯がどおっと音をたて、倒れて。
喰い破られた腹を左手で押さえ、男は自嘲するようにかすかに嗤った。
「不覚をとったか。……まあいい」
横倒しになった蛇竜の瞳に、男の剣呑とした瞳が映る。
「遊びの時間は、終わりとしよう」
傷ついた仲間たちと入れ替わるように前へ出た猟兵たちは、その言葉に驚愕する。
男は重傷を負ったことを、さほど気にかけてはいないようだった。
この身体が朽ちたとしても、再び、どこかで新たな己が立ちあがる。
まるで、それを確信しているかのように。
「これが、『遊び』だって……!?」
フェアリーのフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が憤慨したように声をあげ、
「黒竜を、そして俺と同じ技を使うか。されば、お前の存在を竜であるこの俺が許せるはずもない」
ドラゴニアンのマレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)も紫の瞳を向け、武器を構える。
送葬の軍装をまとった隻眼の剣豪、鷲生・嵯泉(烈志・f05845)も、己に言い聞かせるように、拳を固めて。
(「己が身を惜しんで勝てる相手では無いことは、承知している。だが――」)
「あの『邪悪』を斃すために使えるならば。この身を幾ら削る事になろうと、構わん」
闇色纏う禍断の剣『縛紅』を構え、ドラゴンテイマーの元へ、跳躍。
「成すべきを為すために、我が身、我が刃は、此処に在るのだから……!」
ドラゴンテイマーは迫る嵯泉の刃を力でねじ伏せ、その身をクリムゾンキャリバーで斬り裂いた。
腹の中身を喰い散らかされた身体のどこから、そんな力を繰りだすことができるのか。
「いかにもな戯れ言だ。――死ね」
続けて召喚された黒竜ダイウルゴスの群れが嵯泉に食らいつき、とっさに展開させたオーラ防御は消失。
しかし、攻撃を喰らう寸前、見切りと第六感でわずかに身をよじっていたのが幸いした。
傷を負いこそすれ、手腕への致命傷は避けられた。
もっとも激痛耐性がなければ、とっくに意識を失っていたであろう深手は、負っている。
嵯泉はいったん間を置き、次の機を狙う。
――勝負は時の運。
そんな言葉があることを承知の上で、フィロメーラも意を決した。
「ただ見逃すってのも悔しいもんな! どうせ挑むなら、状況をひっくり返すまで迫れなきゃ話にならないぜ!」
22.2cmの小さな身体ではあっても、その意気は猟兵のだれにも負けない。
なぜなら、フィロメーラは信じている。
『後先は深く考えず、やりたい行動がいい結果に繋がる』ということを――。
「いよぉーし、やるぞ!!」
ドラゴンテイマーも、もはや様子見不要と決めている。
フィロメーラめがけ複数の大型ダイウルゴスを召喚。
「殺せ」
その抹殺を命じると、死角から再び斬りかかってきた嵯泉を蹴り飛ばす。
フィロメーラは場を埋めつくすほどのダイウルゴスたちを一手に引き受け、その合間を駆け抜けた。
「ほらほら! お前たちの餌はこっちだぞ!」
きらきらと輝く燐光を振りまき飛ぶさまは、まさに流星のよう。
黒竜と精霊の体格差は大きく、星くずの妖精は小回りの効く身体を最大限に活用しながら、ダイウルゴスたちをかく乱していく。
視界近くでわざときらきら輝き目くらましを仕掛けた後、敵と敵の間へスライディング!
ダイウルゴスたちは小さな敵に意識を向けるあまり、出会い頭に衝突。
共倒れになっていく。
フィロメーラの活躍は、他の猟兵たちの動きを大いに助けた。
マレークは薙ぎ払われた赤き剣の腕を、漆黒の『竜骨鉄扇』で武器受け、その威力を軽減。
黒竜ダイウルゴスの群れが召喚されると同時に、自らもユーベルコードを解き放つ。
――竜には竜を、群れには群れを。
「炎獄の竜よ来たれ。我が血、我が憤怒をもって、焦土灰燼と化すまで焼き尽くせ――!」
『炎竜轟天(ドラゴニック・エクスプロージョン)』。
ドラゴンテイマーによって召喚された漆黒の肌もつ竜ダイウルゴスの群れと、マレークによって召喚された業火・爆風を操る竜の群れが激突する。
ぶつかりあう、竜と竜。
「ふーむむ……なるほどな!」
フィロメーラのユーベルコード、『内なる星海の羅針(エントヴァースマインド)』は、対象の思考や感情を読む。
「敵を駆逐する」という意識にまみれた竜たちの思考を読むのは、容易かった。
フィロメーラが再び戦場を駆ければ、竜たちは入り乱れ、咆哮をあげながら喰らいあった。
次々と地に伏していく巨躯、そしてまき散らされる業火と爆風を避けながら、嵯泉も走った。
同時に、自身の装備武器の封印を解くユーベルコード、『妖威現界(ヨウイゲンカイ)』を発動している。
「――此の血も精神も、好きなだけ喰らうが良い」
封印解放の代償に与えられるのは、天魔鬼神の力。
「柄に喰らい付いてでも。此の斬撃、届かせてくれる……!!」
渾身の一撃が、ドラゴンテイマーの左腕を斬り落とす。
横合いから間合い深くに踏みこみ、さらにマレークが斬撃を繰りだそうとした、その時だ。
――ドッ!
鈍い音が響き、ドラゴンテイマーの胸から、碧玉を嵌めた優美な長槍が生えた。
見れば、己の背中側に、長槍の持ち主であるドラゴニアンの男、マレークが佇んでいる。
「この混戦にあって、残像はよく効いたらしいな」
聖痕『金月藤門』の能力を使っての、フェイント。
「く、は……!」
血を吐いた男は、そこで初めて戦場に膝をつき。
己が、どれほど猟兵たちを見くびっていたかを思い知った。
それでもなお、反撃をしようとした瞬間、
「――アヴェスタって何だ?」
ふいに声が響き、ほんの一瞬ではあったが、意識を奪われた。
フィロメーラには、それで十分。
ありったけの全力魔法をこめ、ドラゴンテイマーの横っ面を蹴りつける。
入れ替わるように、飛びこんできた嵯泉が一閃。
クリムゾンキャリバーの反撃を受け足を斬られ、倒れゆくも、その視線は彼方を向いていた。
視線の先。
漆黒の軍靴が地を駆け、マレークが空高く舞いあがる。
手にするは、蒼い稲妻を纏った槍――『魔槍雷帝』。
「滅びよ」
はなたれた槍がさらにドラゴンテイマーの身体を刺し貫き、瞬間、稲妻がその身を焼き尽くす。
男の身体が地に伏すと同時に、あたりを圧倒していた黒竜ダイウルゴスの群れが、一斉に姿を消した。
鮮やかな花の野は、もはやどこにもなく。
漆黒に埋めつくされた地には、男が血を流し、倒れるのみ。
マレークはドラゴンテイマーの絶命を悟り、宣言した。
「グリモアは渡さない。何度蘇ろうとも。次も必ず、この手でお前を討つ」
「同じく。この五体が砕けようと、私達は貴様のような『邪悪』に、屈しはせん」
満身創痍の嵯泉もそう告げて。
ドラゴンテイマーは喉の奥でくつくつと嗤うと、剣呑な眼だけを動かし、猟兵たちを睨みつけ、言った。
「……お前達は……グリモアを良く操れている。……だが、それがグリモアの……全てでは無い……」
「なんの話だ! それに、アヴェスタの返事も聞いてないぞ!」
「……いずれ、知る事となるだろう――」
フィロメーラの言葉に、それだけを告げて。
謎の男――ドラゴンテイマーは、塵と化し、消えていった。
大成功
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