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バトルオブフラワーズ⑬〜ドン・フリーダムの見えざる檻

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #オブリビオン・フォーミュラ #ドン・フリーダム

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「手ごわいやつらを倒して、いよいよシステム・フラワーズの中枢に突入できることになった。そこにいるのは、キマイラフューチャーの『ドン・フリーダム』オブリビオン・フォーミュラ。システム・フラワーズを創造した張本人だ。そいつを完全に倒しさえすれば、この戦争は勝利に終わる」
 グリモア猟兵、滝乃家・吾平が説明する。
「ほかの幹部と同様、ドン・フリーダムは倒しても何度でも骸の海から蘇ってくるが、短期間に倒し続けることで、復活する事は不可能になる。加えて、これまでに倒された幹部の分、戦力が弱体化している。かといって容易い敵ではないけどな」
 一体どんな能力があるのか? 猟兵からの質問に端的に答える。
「3幹部の使っていた特殊能力全部」
 猟兵らが、その言葉にざわめく。
「で、少なくとも奴らより更に能力値が高い。それと今までの奴ら同様、対抗手段を考えない先制攻撃狙いは絶対に通用しない」
 ざわめきが静まらない中、彼は猟兵たちに訴える。
「極めて厄介な戦闘になるだろうと皆も感じてると思う。それでも戦地に向かってほしい。だって、ドン・フリーダムは自由のための装置を作っていると言ったが、システム・フラワーズの完成形は絶対自由なんかじゃない」
 吾平は言葉を続ける。
「あの女はこう言ってた。『我慢しなくていい、欲望は止めなくていい』そんな言葉自体が自由ではない、ただの許可だ。このはじめっから間違ってる計画を、ぶっつぶしに行ってくれ、頼んだぜ」


八雲秋
 戦闘ルールです。必ず目を通してください。

 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 加えて、ドン・フリーダムは使用する能力値別に違う対処が必要です。これらに対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

 POW:絶対無敵バリアを展開します。エモいものを見せれば無効化できます(エモいの基準はラビットバニーと同じ)。
 SPD:風で足場を崩してきます。
 WIZ:猟兵のユーベルコードの弱点を見抜き、確実に反撃するマシンを作り出してきます。 その反撃マシンに反撃する方法を考えなければいけません。

 これらの能力はそれぞれ「ラビットバニー」「ウインドゼファー」「エイプモンキー」と同じですが、ドン・フリーダムは彼ら以上の実力者です。
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第1章 ボス戦 『ドン・フリーダム』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:由依あきら

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

香神乃・饗
片方の苦無に剛糸を通しておくっす
光が無いと回復できないっすから死角から闇で閉ざしてくるんじゃないっすか
闇で閉ざされても殺気は読めるっす
突然の闇で混乱し戦う気を失ったフェイントをかけつつ殺気に向け進み暗殺を狙うっす

少々不得手な力っすけど鍛えた技能を全て使い必ず討ち取る覚悟で応戦するっす
糸つき苦無を敵の側を通過する様投げはずした風のフェイントをかけ、俺自身はそのまま残りの苦無で斬ると同時に投げ苦無を糸で引き戻し俺とは別の方向から挟むよう撃つ
投げ苦無は刺さらなかったら手元に戻し双つ刃で斬る、これを更にフェイントにし剛糸で締めたり、手を緩めず追い詰めるっす

強すぎる感情は毒になるっす!程々が良いんっす!


御霊・タタリ
えっと、自分がやれる事をやるだけです……が頑張ります

あの、ゴッド・クリエイションはwizなので死角から攻撃されても防げる、または耐えられる様に頑丈を1番上げた創造物を作ります
あのえっと、自動防御では必ず死角からの条件から外れますし

産み出す物はスクラップを集めた装甲車と言う感じです、わざと掻き集めた様な壊れやすい物を装甲にしているなら壊れても衝撃は和らぎますから、頑丈でショックに強い……はず?
自分の考えでは行けると思っていますが

自分は、か、神と言われていますが……貴女が言う無責任な事は見過ごせない
貴女からの縁は自分が全て絶たせてもらう……だから、ここが貴女の最後と知りなさい



「えっと、自分がやれる事をやるだけです……が頑張ります」
 御霊・タタリの呟きにドン・フリーダムは目を細める。
「おや、可愛らしい、でもそないなんでも手は抜きませんですの」
 ドン・フリーダムがタタリに向かっていく。
 マニアックマシンで来るというのなら、自分もまた創造物、ゴッド・クリエーションで対策を。タタリは頑丈な装甲車を作り上げようとするが、
「同時のユーベルコード勝負なら、あんたさんの勝ち目は虫けら程ですのよ」
 ドン・フリーダムはタタリが完成させるより早く三本のアームを持つ重機を出現させた。
アームは装甲車の頭上と両脇を挟み込むように襲いかかる。装甲車は重機に幾分かのダメージは与えたが、重機を破壊するまでには至らず、装甲車は破壊された。
「あらあら、もろすぎですの」
「大丈夫っすか。今、治療するっす。痛いの痛いの……」
 香神乃・饗が身を乗り出し、香神一閃を唱えかけるのを見て、ドン・フリーダムが、おや、と呟く。
「他にも、いやがりました? あんまり、だんまりさんで、気づきませんでしたわの。それに同時の技の出し合いはあんたらが負ける、といったはずですの!」
 周囲が闇となる。彼の治癒の力は光に由来する。
 饗が立ちすくむ。間を置かずマシンが彼を襲う、が。
「くっ!」 
「つっ!」
 ドン・フリーダムと饗がほぼ同時に呻き声をあげた。マシン自体の殺気は無いが、その先の彼女の殺気に向かって苦無が放たれていた。
「わたくしも傷つけられはしましたけども、まだマシンは生きてございますわ、さぁもう一撃」
「こっちもまだっす!」
 手にする剛糸をぐいと引けば、糸に結わえ付けられていたた苦無が敵の身から引き抜かれる、戻る勢いに剛糸はマシンに絡みつき、
マシンの動きを鈍らせ、その隙に苦無の攻撃をマシンに重ねていく。
 彼女のマシンはダメージを受け、戦場は再び明るくなる。
 饗がタタリを振り返ると、彼女は言う。
「こちらは治療は……無用ですから」 
 タタリの様子にドン・フリーダムが首を傾げる。
「装甲車ごとつぶせなかったですかいの」
「頑丈さに、能力をふった割には、早く、つぶされましたけど」
 タタリは言葉ほどには残念そうに見えない。
「あの装甲車はわざとスクラップを掻き集めた様な壊れやすい装甲にして衝撃を和らげさせていますから」
「へぇ、面白い考えでございますわね」
「自分は、か、神と言われていますが」
 興味深げにタタリを見る。タタリは言葉を続ける。
「……貴女が言う無責任な事は見過ごせない」
「無責任? ふふ、自由をそう捉えるんですの」
「貴女からの縁は自分が全て絶たせてもらう……だから、ここが貴女の最後と知りなさい」
「なかなか大口たたくやないですか」
 一見して頼りなげな風体のタタリだが、彼女は真っすぐ、敵を見据え、言い切る。
「私に想定ほどのダメージを負わせる事は叶わなかった、それは事実です」
 ドン・フリーダムは不愉快げに眉をしかめる。
 全てのくびきが外された世界、それはきっと個々のエゴが感情が衝突しあう世界、
 饗が声をあげる。
「強すぎる感情は毒になるっす! 程々が良いんっす!」
 猟兵たちは、まだ、戦う意思をもって彼女の前に立つ。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

テラ・ウィンディア
対エモ
ふわふわもこもこなフリルが一杯ついたもこもこ羊さんファッションで参上!
てら・うぃんでぃあです!宜しくお願いします!(なれない敬語とお辞儀

対赤べこ

ふわもこバリアー!
おれのバリアで防げない攻撃は無いぞ!(火力重視を誘うハッタリ!

攻撃の瞬間
【残像・見切り・第六感・空中戦】での全力回避(尚もこもこファッションはしっかりパージで身軽になるぞ!

それでも見破られたり避けられないなら致命を避ける為【早業】で剣と太刀を展開して両腕を犠牲にしてでも致命だけは防ぐ

元々チャンスは少ないんだ…全力で生かす!

【属性攻撃】で炎を脚に付与!

メテオブラストで反撃!【踏み付け】も付与して更に火力強化!

何が何でも届かせる!


藤塚・枢
正面戦闘は私のジャンルじゃないのだけれど、そうも言っていられないようだ
場所を弁えない裸族に、常識を教えてやる必要がある

相手の先制攻撃は、フォリーくん(人形)を盾にしながら突っ込んで、傷を可能な限り軽減する
崩れた足場はどうにもならないので、UCで空中を移動して近付くとしよう
危なっかしいようなら、鋼糸をロープ代わりに利用したりもするよ
適度に近付けたら足場に気をつけながら交戦
地形を利用した不意打ちを狙いつつ、グレネードや鋼糸による攻撃をしかける
他の猟兵もいるだろうから、巻き込みには注意しつつ、援護も忘れずに
勿論フォリーくんがまだ使える状態なら、盾にしながら暗器にしてある機銃とかで掃射したりしてやろう



 テラ・ウィンディアはふわふわもこもこフリル一杯の羊さんファッション。とてとてとドン・フリーダムの前に歩みでると
「ええと……じゃない。てら・うぃんでぃあです! 宜しくお願いします!」
 普段と違って慣れない敬語を使い、それから深々とお辞儀する。その姿にドン・フリーダムは目を細め、
「かっわええなぁ」
 無意識に感に入った言葉を発した彼女は慌てて言いなおす。
「……って、言うても、あんたさんは敵ですの、いてこまそうと思います。かわいい羊さんで来るというのならこちらは……」
 ドン・フリーダムが仕掛けてこようとするのに合わせて、
「それなら」
 テラが両手を広げ声をあげる。
「ふわもこバリアー! おれのバリアで防げない攻撃は無いぞ!」
 勿論、彼女がそんな能力を持ってはいない、エモのダメ押しだ。
「うっ、そないな事でわたくしが!」
 言葉と裏腹に、バリアがシャボン玉のように弾け、赤べこキャノンがシュルシュルと縮む。そこから発射された弾も威力は弱まっている。
 それでもテラは油断せず能力全開、全力回避でのぞむ。
 ドゥム! 轟音と共に白煙が広がる。
 大きな毛玉の塊のようなものが奈落へと落ちてゆく。
「あれ、やられてしもうたですの? 存外弱……」
「そっちは違うよ」
 声の方を向けば、テラが腕組みし、ニッと笑っていた。戦闘に不向きな羊さん服は脱ぎ捨てられるようになっていたのだ。
「裏切られた気持ちですの」
 地団太踏むドン・フリーダムを冷めた目で見るのは藤塚・枢だ。
(「場所を弁えない裸族に、常識を教えてやる必要があるな」)
 ドン・フリーダムは枢の視線に気づき、
「こっちはなんや、かあいらしいはずの娘さんが可愛くない事考えてはるですの?」
「よくわかったね」
 だるそうに答えると、
「生意気さんもいけずさんも結構結構、それもまた自由でございます!」
 ドン・フリーダムは笑ってそう言うとすかさず攻撃を仕掛けた。
 枢は予め備えていたからくりぬぐるみのフォリーくんを盾に、できる限り直接ダメージを受けるのを避けながら、
ドン・フリーダムのもとに突っ込んでいく。
 と、不意に強い風が吹き、枢の足元が崩れる。ドン・フリーダムのレボリューション・ストーム。
 枢は颯の歩法で粘る。空中を何度も蹴り、ジャンプする。だが、距離が足りない。
「まだまだ」
 鋼糸をロープにさらに前進しようとした、その一瞬の隙に、
「生意気な口、二度と動かんようしといたりますの」
 ドン・フリーダムが手を振り上げる。その刹那、
「させないよ!」
 頭上からテラがメテオブラストを仕掛ける。ドン・フリーダムが枢を気にしすぎて見せた隙、チャンスは逃さない。届け、いや、届かせる!
炎の属性を脚に纏わせ、踏みつけの能力でさらに加速をつけて、
「……受けろぉ!!!」
 超重力を纏った踵落としがドン・フリーダムの脳天に叩き込まれ、彼女は呻き声をあげ、足をよろつかせる。
「フォローありがとう、助かった」
 枢は短く礼を言うと、フォリーくんを盾に構え、そこから機銃を取り出し、掃射する。
「つっ! ただのぬいぐるみさんやなかったとは、仕込んでる獲物の種類見てもあんたさん、なかなか、物騒な人やようやですの」
「本来は正面戦闘は私のジャンルじゃないんだよ。今日はそうも言っていられないようだったからね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フローライト・ルチレイテッド
キャノンは【地形の利用】をして撃たれづらい位置取りをしつつ、【野生の勘】で感知し【早業】で回避を。
あたったら【激痛耐性】で耐えます。

では行きましょう!
アリスの夢よ、世界を走れ!

そしてエモさで攻撃です。
【真っ赤な夜】の音量を最大にして、【Dress】でステージ衣装に。
翼を広げながら、指定UCで妖精を召喚。
【楽器演奏、歌唱、存在感、早業】を駆使してライブ【パフォーマンス】を決行。
要所で【誘惑】するような流し目を送ったり、微笑みを送ったりしながら演奏。
防御が解けたら、【マヒ攻撃、催眠術、範囲攻撃、援護射撃】を駆使して周囲の妖精を飛ばして攻撃しましょう。

アドリブ連携歓迎ですー。


ヒバゴン・シルバーバック
アドリブアレンジ絡み可能。使用はSPD

「ラスボス上等ウホ、かっ飛ばしていくウホ!」
ゴリラ型ロボットのヒバゴン・シルバーバックはレース用カートに乗ってドン・フリーダム目掛けて爆走する。
「出でよぶんしーん!」
現れるもう一匹と一台、二人プレイで接近し、ヒバゴンズはドンの攻撃を凌ぐ為にカートを乗り捨てると、そのまま二匹で走り出すも、足場が崩れされる!
「この瞬間を待っていたウホー!」
崩れる足場の先に肩を組み飛び込む二匹、虚空に吸い込まれそうな次の瞬間、ヒバゴン(本体)は分身を踏みつけて高々と跳躍!恐竜を乗り捨てする配管工の如し!
「ウオオーホォー!」
ヒバゴンはドンに向け捨て身の一撃を繰り出すのであった。


煌燥・瑠菜
うわぁ、なんですかこのエセ方言痴女……いや気は抜きませんけど!

最後は精霊術師らしくいきます!
先制攻撃、早業、高速詠唱、全力魔法でUCを構えつつ野生の勘、見切り、残像、逃げ足でギリギリ躱しUC発動!四方八方から波状攻撃です!
……とはいえ水なので、凍らせると止まるのが弱点なんですけどね。しかしそこは想定済み!
超天才なら当然知ってますよね?花って凍らせるとパリパリに砕けるんですよ。じゃあ、このパリパリの足場を力溜めて怪力で叩き割ったらどうなりますかね!
さっきから無駄撃ちしてたのは凍結攻撃の余波で花の足場を凍らせ叩き割るため!
足場が割れ体勢が崩れた一瞬の隙に、その無防備な腹に一撃食らわせてやりますよ!



 猟兵たちはラスボスに対峙する。これを倒せば戦いも終わる。
 両者の間に緊張が走る中、煌燥・瑠菜が口を開いた。
「うわぁ、なんですかこのエセ方言痴女」
 つい出てしまった、正直な感想。一気に粉々になったシリアスな空気をとりなすように彼女は付け加える。 
「……いや気は抜きませんけど!」
 ドン・フリーダムは若干イラっとしたのか投げやりに言う。
「なんでもええわ、さっさと来ぃやですの」
 その言葉を皮切りに猟兵らが挑んでいく。
「ラスボス上等ウホ、かっ飛ばしていくウホ!」
 ゴリラ型ロボット、ヒバゴン・シルバーバックがレース用カートでドン・フリーダム目掛けて爆走する。
「出でよぶんしーん!」
 車ごとジャンプし、車も人も分身し、更なる攻撃の強化を試みたかに見えた。しかし、意地悪くドン・フリーダムが笑う。
「技の唱えあいで私に勝てると思うてるのですの」
 ヒバゴンらが乗っている車2台が地についた途端、レボリューション・ストームの力で彼らの足場が崩れ去る。
 彼らはすかさずカートを乗り捨て、前進しようとするが、その踏み出した足の先すら、もろくも崩れていく。絶望か? いや、ヒバゴンは声をあげた。
「この瞬間を待っていたウホー!」
 2匹が肩を組み、躊躇いなく一歩を踏み出す。そして、そのまま文字通り奈落に沈んでいくかと思われた。しかし。本体ヒバゴンが分身の肩に右足を置くと、そのまま分身を蹴りつけた。  
 仲間を踏み台にした? ではなく。この場合は、むしろ某恐竜を乗り捨てする某赤い配管工のように。
 彼は高く飛んだ!
「ウオオーホォー!」
「くっ! 意外としぶといですの」
 ドン・フリーダムが吐き捨てるように言う。
 瑠菜が向かって行く。最後は精霊術師らしく! 早業、高速詠唱、全力魔法はユーベルコードの能力あげのために。相手の先制攻撃は野生の勘、見切り、残像、逃げ足でかわし切る覚悟で。
 マニアックマシンが出現し、機体からホースが伸びる。
「あんたはこれでも食らうが良いのです」
 瑠菜への攻撃は霧だった。ただの霧ではない。それに触れれば凍り付かないものはない、魔の霧。
 彼女が能力を駆使してなお、よけきれず肘についた霧は氷塊となり、彼女の動きの妨げとなる。
「なるほど。それなら今度はこちらのターンです!」
 精霊融合・雷撃水断。精霊魔法を用い、電撃を伴うウォーターカッターをあらんかぎりの速さで放ち続ける。
 瑠菜の猛攻撃を何とかいなしながら、ドン・フリーダムが言う。
「マニアックマシンはまだ動けるですの。あなたの水などあっちゅうまに凍らせます」
 霧が放たれる。ウォーターカッターが次々凍っていき動きを止める。だが、瑠菜は怯まない。
「それも想定済み!」
 それから両の拳を固めるとドン・フリーダムを見、
「超天才なら当然知ってますよね? 花って凍らせるとパリパリに砕けるんですよ」
 精霊術師、ただしパワータイプの彼女は続け、
「じゃあ、このパリパリの足場を力溜めて怪力で叩き割ったらどうなりますか、ね!」
 凍り付いた足場は叩き割られ、地割れのようにそのひびは広がっていき、ドン・フリーダムの足元にも及ぶ。一瞬の体勢の崩れ。隙。
 瑠菜が一気に距離を詰める。彼女は拳を再び握りしめ、
「その無防備な腹に!」
「ガフッ!」
 強烈な一撃が決まった。
 赤べこキャノンの発動に、フローライト・ルチレイテッドはできる限りの回避を狙う。
 地形を見、キャノンの軌道からできる限り外れる位置に動く。赤べこキャノンが彼に容赦なく襲う。野生の勘で感知し早業で回避にかかるが、それでも、
「つぅっ!」
 左肩を撃ち抜かれる。肩を押さえると苦し気に眉を顰め俯く。が、次に顔を上げた時、彼は冷や汗をかきながらも笑みを見せていた。激痛を耐えきるほどの価値のある物が彼にはある。次は自分の番だ。
「では行きましょう! アリスの夢よ、世界を走れ!」
 ライブが始まる。
 彼の近くに浮遊するスピーカーポッド真っ赤な夜の音量は最大限。その身はステージ衣装に包まれる。
『夢見るアリス』、彼の音楽と広がる翼に魅かれたかのように、彼の周囲に光の翼で飛ぶ音の妖精達が現れた。
 エモぢからを全開に、楽器演奏、歌唱、存在感、早業、全てを駆使してのライブパフォーマンス。
 演奏をしながらドンフリーダムに視線を送る。殺意ではない誘惑の視線。そして男女問わず心を動かされそうになる、微笑みをみせる。
「ぐ、こんなことぐらいで心を動かされたりなんか……」
 ピシ。言葉と裏腹にバリアにひびが入る。
 音楽の盛り上がりと共にそのひびは広がっていき、遂にはバリアは砕け散った。
「まだまだライブはこれからだよ!」
 演奏は続く。マヒ攻撃、催眠術、範囲攻撃、援護射撃の力を用いながら、妖精たちを攻撃に向かわせる。
「ウホホー!」
「かっこいー、かわいー!」
 ヒバゴンと瑠菜は声援を送りながら、援護し、攻撃していく。 
「ああ、もう、うっといですの!」
 ドン・フリーダムは反撃を試みるが猟兵たちの勢いは止まらない。ダメージは蓄積され、遂に彼女は膝をつく。
「ちぃ! 私の理想の世界が……」
 その存在を薄れさせていく中、猟兵たちを見回す。皆、まっすぐ、彼女を見据えている。
 彼女の口から息が漏れる。ため息なのか笑みによるものなのかはわからない。
「私の理想は、皆さんの信念に負けたのかもしれませんね」
 その言葉を最期にドン・フリーダムは完全に消滅した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月29日


挿絵イラスト