バトルオブフラワーズ⑫~黒竜の猛威
●
「……何者なんだろうね、このドラゴンテイマーって相手は」
グリモアベースの片隅で北条・優希斗(人間の妖剣士・e02283)が誰にともなく呟いている。
彼が呟いているのは、キュマイラエンパイアで現在、行われているバトルオブフラワーズの中で等々表舞台に姿を現した、ドラゴンテイマーの事である。
「グリモアを求めているらしいことは聞いているけれど、理由はまだ判然としていない。ともあれ、彼を倒すことはバトルオブフラワーズに戦略的な影響を及ぼさないにしても、意味があることだと思う」
そのドラゴンテイマーと戦って欲しい、と言うのが優希斗の言い分だった。
「とは言え、ドラゴンテイマーは強敵だ。先ずは先手必勝で皆に攻撃を仕掛けてくる」
先ず、この最初の一撃……ドラゴンテイマーのユーベルコードに如何にして対策するかを考えなければ、そもそも攻撃さえさせてもらえないからねと念を押す優希斗に、猟兵達が其々の表情で返事を返す。
「このドラゴンテイマーは少数との戦いを望んでいる………と言うか、少数で戦いに赴かないと、戦闘出来ないみたいだ。だから、皆一人一人に掛かる負担は恐らく大きくなるだろう」
それでもそれが戦える機会を見逃す理由にるのだろうか。
いや………ならないだろう。
「彼に勝利するために皆にとっての最善の知略、作戦、行動を取り、どうかドラゴンテイマーの撃破と言う最良の結果を出してきて欲しい。皆、どうかよろしく頼む」
優希斗の言葉に背を押され、猟兵達はグリモアベースを後にした。
長野聖夜
ーー其は、黒竜を操りし剣士なり。
いつも大変お世話になっております。
長野聖夜です。
と言うわけで、ドラゴンテイマー戦です。
皆さん、どうか最善を尽くしてください。
尚、今回はシチュエーションの関係上、1VS1、或いは2~4人の少数連携シナリオにぬります。
因みに判定は厳しくいきます。
連携については連携のリターンとリスクを踏まえた上でご希望の方はプレイングの頭に連携可とご記載下さい。
また、判定の都合上、成功・失敗問わず、判定値に達した段階でプレイングを却下させて頂く予定でおりますのでご了承下さい。
以下、今回のシナリオに適用されるルールです。
====================
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
====================
執筆予定:5月24日(金)夜~5月26日(日)
他OPとの兼ね合いもありますが、この期間内には執筆させて頂きます。
ーーそれでは最善の戦いを。
第1章 ボス戦
『ドラゴンテイマー』
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POW : クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ハルヨリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
雨咲・ケイ
彼が何者なのか存じませんが邪悪な意志を感じます……。
滅ぼしましょう、ここで。
【POW】で行動します。
「私は雨咲ケイといいます。尋常に勝負願います」
と一礼し、正面からの勝負を誘います。
先制攻撃に対しては敢えて動き回らず、
敵の行動に惑わされないよう五感を研ぎ澄まして集中し、
本命である赤き剣の右腕に対して【第六感】で反応して
【光明流転】で反撃に出ましょう。
成功した場合は【シールドバッシュ】による
【2回攻撃】で追い打ちをかけます。
失敗した場合は【盾受け】と【オーラ防御】を
併用してダメージを最小限に抑え、
余力があれば再度UCでの反撃を狙いますが、
ダメージが深刻であれば【地形の利用】を駆使して撤退します。
●
(「彼が何者なのか存じませんが、邪悪な意志を感じます……」)
目前に相対したドラゴンテイマーの放つそれを真正面から強く感じ取り、無意識にゴクリ、と唾を飲み下す雨咲・ケイ。
「……ほぅ、正面から来たか。潔いな」
――ドクン、ドクン。
まるで赤黒い血の様に。
怪しげに脈動する赤き剣の右腕に思わず息を飲みながら、ケイが両手を重ね合わせて一礼した。
「私は雨咲ケイといいます。尋常に勝負願います」
「私との正面からの打ち合いを望むか。良かろう。我が名はドラゴンテイマー」
赤き剣を胸元で構えるドラゴンテイマー。
(「この身のこなし、そして佇まい……やはり只者ではありませんね……」)
深呼吸を一つ行い、自らの氣を整え、静の構えを取るケイ。
ヒヤリとした汗が背筋を流れていくが決して怯まぬケイの様子に、ほぅ、と息をつくドラゴンテイマー。
「その心意気や良し。では……行くぞ」
――声よりも早く目前に現われた赤き剣の切っ先に、ケイが思わず息を呑んだ。
(「……っ! この速度……音より速いとでも言うのですか……!」)
ドラゴンテイマーの氣の流れを読みとり、咄嗟にブラックスターを嵌め込んだ右手を握り込み、深く腰を落とした正拳突きを放つケイ。
だがその手を予測していたのか、ギリギリまで間合いを詰めていたドラゴンテイマーは素早く体を右に傾ける。
左頬と耳朶を掠め取られ、そこから赤き血を流しながらも、赤き剣を振り切るドラゴンテイマー。
「くっ……!」
己が闘気の高まりと共に激しく光り輝くアリエルで、ケイが咄嗟に受け止めるが。
アリエルその腕を斬り裂かれ凄まじい痛みが彼の全身を駆け巡った。
「私の氣の流れを読み、斬撃を受けながらも私に一打を与えたのは見事だったが……どうやら、運は私に味方してくれた様だな。……弾けろ、黒竜」
ドラゴンテイマーの呟きと共に。
赤き剣にアリエルごとその腕を貫かれて身動きを取れ無くされていたケイに向かって、無数の黒竜ダイウルゴスの群れが飛びかかる。
ダイウルゴスの群れが、無慈悲にケイを蹂躙した。
「此処までの様だな」
――ズブリ。
ゆっくりと赤き剣をケイの腕から引き抜くドラゴンテイマー。
ケイは意識こそ失っていないが、立っているのがやっとだった。
――勝負あり、か。
周囲にある柱に身を隠すケイを追撃せず、ドラゴンテイマーは残心する。
「その心意気確かに受け取ったぞケイとやら。或いは、私がお主のその気配を感じ取る力に気がつかなければ、致命打を受けたのは私だったかも知れぬな」
そう告げて。
悠然とした足取りで、その場を立ち去るドラゴンテイマーにケイが息を一つ吐く。
(「これが、ドラゴンテイマーの力、ですか……」)
敗北感に身を苛まれつつ、速やかにケイはその場から撤退した。
苦戦
🔵🔴🔴
キルク・レニシュ
ドラゴンテイマーですか?ふふん、自分を手懐けるなら力と高待遇が要りますよ
後美味しいものと~、カタログでしか見たことないような名物をぺらぺら上げていきます
~ってシカトですかーはやっ!?
目なんて瞑って講釈を垂れていたため攻撃を浴びてしまいます
いつつ~っ……テイマー何て言って直接攻撃してくるんですかーはえっ?
現れた黒竜の群れに囲まれて、てんやわんやの大乱舞
慌てて丸くなって致命傷を防ぐも、元々多い体の傷がどんどん増えていきます
うぅぅ~……もう……ぶちギレましたよーっ!!
近くの黒竜に噛りついてドラゴンオーラ炸裂
連鎖するチェインを竜の血により変貌させた巨大な手で掴み、テイマーに黒竜ごと殴り付けぶん投げます
●
――カツン、カツン、カツン。
猟兵の一人を下したドラゴンテイマーの足音が次の猟兵の元へと近付いていくる。
自分に向かって近付くその音を耳にしたキルク・レニシュが、自慢げに鼻を一つ鳴らした。
「ドラゴンテイマーですか? ふふん、自分を手懐けるなら力と高待遇が要りますよ?」
更にふんずと胸を張って目を瞑って講釈を垂れ続けるキルク。
「後美味しいものとか~」
「……」
様々なカタログで見たことのある料理を名前としてあげるキルクに何を言うでも無く、ドラゴンテイマーが一瞬で肉薄。
無拍子で接近し、脈動する赤き剣でキルクの胸を貫いていた。
貫かれた鋭い痛みを感じ、キルクが思わず目を見張る。
(「~ってシカトですかーはやっ!?」)
「すまぬが、間に合っているのでな」
律儀にそう返事を返しながら、グリグリと傷口を抉る様にキルクの胸に突き刺さった剣を捻り込むドラゴンテイマー。
その痛みに悲鳴を上げることも出来ぬままに喀血するキルク。
「眠れ、竜の娘よ」
告げながら左手で掌底を繰り出し、キルクを吹き飛ばすドラゴンテイマー。
蹈鞴を踏みながら後退し、無防備となたキルクに黒竜ダイウルゴスの群れが飛びかかった。
「げっ……ええ~!?」
現われた黒竜ダイウルゴスの群れに両腕と両足を噛み砕かれ、更に他の黒竜ダイウルゴスの体当たりをまともに受ける。
――最早それは戦いではなく、蹂躙だった。
あまりの攻撃に怒りを覚えてユーベルコードを起動するよりも先に意識を飛ばすキルク。
地に伏せたキルクを見下ろしながら黒竜ダイウルゴス達を呼び戻すドラゴンテイマー。
「私と戦うのであれば……もっと策を練って挑むべきであったな」
そう冷たく言い捨てて。
ドラゴンテイマーは、キルクに背を向けその場を後にした。
失敗
🔴🔴🔴
アリス・フェアリィハート
アドリブ等や他の方との連携も歓迎です
ドラゴンテイマーさん…
この世界で
好き勝手にはさせません…!
敵さんの
【WIZ】の先制攻撃に対して
こちらも
UCで
周囲の無機物を
『勇猛な白の騎士の兵団』に変換させて操作
敵さんの
【黒竜ダイウルゴスの群れ】に
突撃させます
『勇敢な、白の女王の騎士さん達…出撃です…!』
そして自身も
『ヴォーパルソード』を手に
【属性攻撃】【鎧無視攻撃】
【なぎ払い】
【2回攻撃】での時間差攻撃等の剣戟や
剣からの【衝撃波】
剣の光焔の【誘導弾】等の
遠距離攻撃等で敵と戦闘
敵の攻撃は
【第六感】【見切り】
【残像】【オーラ防御】で
防御・回避
『ドラゴンテイマーさん…貴方は、一体何を画策しているんですか…!?』
●
傷一つ負うこと無くその場を後にしたドラゴンテイマー。
最初の戦いで負った頬の傷を拭いゆっくりと歩を進める彼の前に、一人の少女が立ちはだかった。
「今度は幼子、か」
無表情のままに静かに息を吐くドラゴンテイマーを、祈る様に胸の前で両手を組んでいたアリス・フェアリィハートがきっ、とした表情で睨付ける。
「ドラゴンテイマーさん……。この世界で、好き勝手にはさせません…!」
決意の表情で告げながら組んでいた両手を解き、腰に佩いた空色の光焔を纏い白銀に輝く剣身を持つヴォーパルソードを抜き放ち勇ましい姿を見せるアリス。
それは、王女と呼ばれるに相応しい気高く美しきノーブレス・オブリージュ。
それを感じ取ったか、剣士としての礼をドラゴンテイマーは取った。
「幼子、と侮った無礼を詫びよう。お主の名、聞かせて貰おうか」
「私の名は、アリス・フェアリィハートです、ドラゴンテイマーさん……!」
答えながらヴォーパルソードを正眼に構えるアリス。
ヴォーパルソードに刻み込まれた『鋭き剣』を意味するルーン文字が、アリスの意思に呼応する様に淡く輝く。
「あの男と同じその気迫、気に入った。行くぞ、アリスとやら」
淡々とそう告げて。
辺り一帯の柱等を黒竜ダイウルゴスの群れへと変化させるドラゴンテイマー。
そして、赤き剣の切っ先をアリスへと向けて命じた。
「行け、我が僕達よ」
それに応じる様にアリスの全方位から突進してくる黒竜ダイウルゴス。
アリスはすかさずヴォーパルソードの切っ先を天へと翳し、祈りと共に声を張り上げる。
『勇敢な、白の女王の騎士さん達……出撃です……!』
それは奇しくもドラゴンテイマーと同じく、周囲の無機物を己が白の騎士団に変換する王女の御業。
ドラゴンテイマーの呼び出した黒竜ダイウルゴスの数とは比べるべくもないが、それでも無数の白騎士団達が呼び出され、黒竜ダイウルゴスの群れに向けて馬を駆り、勇猛果敢に突撃する。
それは正しく、黒と白の舞踏。
互いに突進し、消滅させ合っていく白騎士と黒竜ダイウルゴス。
練度も数も、ドラゴンテイマーの操る黒竜ダイウルゴスの方が勝っていた。
故に、勇猛果敢な白騎士の軍勢を突破しアリスに向かって猛追を仕掛けてくる黒竜達。
だが……。
「負けるわけには、行かないんです……!」
白騎士達の戦いを無駄にするわけには行かず、アリスは空色の結界を自ら纏い赤き剣を構えて待ち構えるドラゴンテイマーに向かって駆ける。
――そんなアリスの強き意志に、戦女神が微笑んだのであろうか。
白騎士達を突破した黒竜ダイウルゴスの群れは、ドラゴンテイマーに肉薄するアリスの曳いた残像に向かって突進を繰り返し続け、本体であるアリスを捉えることが出来ずにいた。
「行きます、ドラゴンテイマーさん……!」
残像に惑わされず自らに向かってきた何体かの黒竜ダイウルゴス達の鉤爪を空色の結界で抑え込みながら、正眼に構えたヴォーパルソードを袈裟に振るうアリス。
剣身が纏った空色の光焔が軌跡と共に鋭刃となり、ドラゴンテイマーの体を袈裟に斬り裂く。
そのまま肉薄し、逆袈裟にヴォーパルソードを振るい追撃するアリス。
すかさずドラゴンテイマーが赤き剣を突き出しアリスの空色の結界を貫通させその肩を貫くが、アリスの光属性を得たヴォーパルソードの一閃もまた、ドラゴンテイマーの左肩を斬り裂いた。
『ドラゴンテイマーさん……貴方は、一体何を画策しているんですか……!?』
空色の結界ごとその身を貫かれ苦痛にその顔を歪めさせながらも、咄嗟にバックステップを行いそれ以上の追撃を受けぬ様後退しつつヴォーパルソードを突き出すアリス。
ドラゴンテイマーから距離を取ったアリスの剣先から放たれたのは光の弾丸。
「さて……流石にそれに答える義理は無いな」
その弾丸を赤き剣で受け止め肉薄してくるドラゴンテイマーに、ヴォーパルソードを撥ね上げて大気を斬り裂き、空色の光焔をアリスが解き放った。
ドラゴンテイマーはそれを正面から受け止め、左手で掌底を叩き付ける。
「ぐっ……!」
鳩尾に叩き込まれた掌底に息を詰まらせながらも尚、ヴォーパルソードを横薙ぎに振るうアリス。
横薙ぎに振るわれたそれがドラゴンテイマーの胸を斬り裂き、その身に強かな斬撃を加えた。
――クリティカルヒット。
そう言っても差し支えが無いであろうその一撃にドラゴンテイマーが口元に微笑を閃かせつつ赤き剣を袈裟に振るう。
振るわれたそれが空色の可愛いピナフォアドレスごと、アリスの右肩から左腰にかけてを斬り裂いた。
「くぁ……っ?!」
「中々見事ではあったが……此処までだ」
返す刃でアリスの左脇腹から右肩に掛けてを斬り上げるドラゴンテイマー。
その傷に耐えきれず地面に倒れ伏すアリスを見つめ、ドラゴンテイマーは静かに礼を取った。
「中々、楽しませて貰ったぞ、アリス・フェアリィハート」
そして、ドラゴンテイマーは顔を上げてその場を立ち去る。
――次に来る猟兵に備えるために。
成功
🔵🔵🔴
ユーフィ・バウム
あなたは、一体……?
いえ。……どんな相手でも、ここで倒します!
きっと初撃が、全て。
【勇気】とともに【ダッシュ】で踏み込む
【オーラ防御】にて相手の右腕の剣を防ぐ…
ではなく、オーラを左側面にフル集中させて
相手の右二の腕に接触、斬撃の軌道を反らし
攻撃を一度でいい、無効化させるのを試みる
ただの防御なら防げなくても、
集中したオーラありったけならどうですか
一打、隙ができれば【怪力】を生かし【空中戦】の
《トランスクラッシュ》体をめいっぱい、ぶつけます!
体のどこかが触れればいい、少しでもダメージを与える
以後は体が動く限り。【グラップル】。剣より内側、
拳の間合いをキープして相手の態勢を崩しつつ
拳を、体を叩き込む
●
(「ふむ……」)
自身の胸の傷と、掠め取られた耳朶を左手で軽く確かめながらドラゴンテイマーは一つ頷く。
負傷は軽微。
猟兵達の士気は少しずつ削がれている状態。
けれども互いに互いを制圧しきるのは難しい状況。
そんな状況の中……。
「あなたは、一体……?」
両拳を構え囁きかける様に問いかけたのは、ユーフィ・バウム。
「一体の意味が何者か、と言う事であれば私はドラゴンテイマーと呼ばれし者だが?」
「そう、ですね」
――このオブリビオンは、一体どんな存在なのか。
そう言う意味での問いではあるが……。
(「いえ」)
或いはドラゴンテイマーがどんな存在であろうと、それは考えても詮無き事。
何故ならば……。
「どんな相手でも、ここで倒します!」
「良かろう。ならばお主の力、私に示してみるが良い。名を聞いておこう、娘」
「ユーフィ・バウムです。……行きます!」
震える体を叱咤して突貫するユーフィ。
一気に間合いを詰めるユーフィを見て、上段の構えに赤き剣を構え、その場に不動の如く立つドラゴンテイマー。
(「?! ですが……やることは変わりません!」)
勇気を奮い立たせ、薄絹の白きケープを風に靡かせ、ユーフィは戦場を駆ける。
懐に入る直前、迎撃態勢を取っていたドラゴンテイマーが赤き剣を振り下ろした。
「真っ直ぐな良い動きだ。だが……」
(「……今です!」)
まるで、死の刹那、僅かな時間の感覚が伸ばされているかの様に。
振り下ろされる速度が僅かに遅く感じられる間に懐に飛び込み白きオーラを左側面に全力展開。
「むっ?!」
「ただの防御なら防げなくても……」
一瞬、目を見開くドラゴンテイマー。
「集中したオーラありったけならどうですか!?」
雄叫びと共にユーフィが全身の力を込めて右上腕部に肘打ちを放った。
「ぐっ!」
白き結界を纏った肘打ちに斬撃の軌道が逸れ、ユーフィを斬り裂く筈だった刃が彼女の横を掠め、赤き剣が甲高い音と共に大地を割る。
「そこです!」
僅かに生まれたその隙を見逃さず一気に自らの全身のバネを利用して、全身に白い闘気を覆い捨て身の体当たりを繰り出すユーフィ。
「良策だな!」
感嘆の声と共にユーフィの体当たりの威力を減じるべくバックステップするドラゴンテイマー。
それにより致命打とはなり得なかったが。
ドラゴンテイマーの腹部をユーフィの体当たりが強打。
その衝撃が振動となって大地に伝わりドラゴンテイマーの立つ大地を陥没させる。
「まだ……まだです!」
休む間もなく懐に飛び込み、赤き剣を振るえぬ様にせんと追撃を掛けるユーフィ。
だが、ドラゴンテイマーもまた歴戦のオブリビオン。
ユーフィの疾苦に合わせて左手で掌底を繰り出していた。
「剣を振るう以外に身を守る術を私は持たぬ訳ではないぞ、ユーフィとやら」
「グァッ……!」
踏み込みと共に放たれた掌底がユーフィの鳩尾に諸に入り、喀血するユーフィ。
すかさずドラゴンテイマーが回し蹴りを放ち。
ユーフィを近くの壁へと叩き付けた。
「ゲホッ……ゲホッ……まだ……まだです!」
全身を苛む激痛を堪えながら勇敢に立ち向かうユーフィに敬意を賞する様に。
「此処までだ」
ドラゴンテイマーが赤き剣の右腕を振るい、ユーフィの体を薙ぎ払う。
「く……はっ……!」
抗魔の結界が辛うじてユーフィを守るが、その時にはドラゴンテイマーは黒竜ダイウルゴスの群れを召喚していた。
――ドドドドドドドドッ!
怒濤の如く突進してくる黒竜ダイウルゴスの群れに踏み躙られ、遂にユーフィがその意識を手放す。
一方で腹部を撫でながら、ドラゴンテイマーが紛れもない賞賛の笑みを浮かべた。
「良き戦いであった。だが……私を倒すには及ばなかったな、ユーフィ」
そして、ドラゴンテイマーは前進する。
――次なる強敵を求めて。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・つかさ
何がどうあれ、あの腕の剣をやり過ごさない事にはどうしようもない、か。
零式・改三と刃噛剣を両手に持ち、金属扉を防具改造した盾は両腕に括り付ける
まず隙を見つけるまでは風の刃で牽制しつつ、焦らずに防戦に徹するわ
振りの小さく隙の少ない、剣そのものの威力が低めと思われる攻撃は全て見切り、早業で「武器受け・盾受け・オーラ防御」を間に合わせて直撃を防ぐ
あっちが焦れて剣を大振りしてくるまでじっと耐える
大振りになったならそれを見逃さず、剣を振り切って身体が開いたタイミングを見切って一気に踏み込む
ここまできたら武器は不要、手放して奴の右肩を左手の怪力で抑えて戻りを封じ
密着状態から【螺旋鬼神拳】を奴の胴に叩き込むわ
●
(「何がどうあれ、あの腕の剣をやり過ごさない事にはどうしようもない、か」)
先に挑んだ仲間の猟兵達の戦いを一頻り知った荒谷・つかさはそう思う。
程なくしてつかさの前に目的の敵が姿を現していた。
「次の相手はお主か、羅刹」
零式・改三、歯噛剣の二刀流。
そしてその両腕に括り付けられたのは防具として改造され小型の盾と化した、何処にでもある金属扉である。
「ええ、そうよ」
「……良かろう。汝も猛者の様だ。いざ、尋常に勝負と行こう」
「ええ……来なさい」
呟きながら白き結界を生み出すつかさ。
そうして敵の動きの軌跡を見つめているつかさへと一足飛びに突進してくるドラゴンテイマー。
(「筋肉の動き、剣撃の流れ……その全てを読み切って、必殺の一撃を放つ」)
つかさの読み通りと言った所であろうか。
ドラゴンテイマーが素早く赤剣を横薙ぎに振るう。
振り具合からその一撃そのものは、彼からしてみれば軽い挨拶の様なもの……直撃すればただではすまないが……と悟り、その刃を鬼瓦で結界を張り、刃噛剣の剣の背に刻み込まれたギザギザの歯で受け止めるつかさ。
だが、ドラゴンテイマーの次手に気がつき、しまった、と表情を歪めた。
つかさが赤剣の攻撃を受けきるや否や、ドラゴンテイマーの背に無数の黒竜ダイウルゴスの群れが現われたから。
「防御を固めるのは決して愚策では無い。だが、私の刃を一太刀でも正面から受け止めれば、この者達は私の命に応じて動き出せる」
その背に呼び出された黒竜ダイウルゴスの群れ達に指示を出すべく、左手を挙げるドラゴンテイマー。
「確かに完全に受け止めたとは言え、赤き剣と化した右腕による一撃を受けているのは変わらない、か」
――グルァァァァァァァァァァ!
黒竜ダイウルゴスの群れ達が雄叫びと共につかさへと迫り来る。
無数の黒竜ダイウルゴスの群れによる噛み付きを零式・改三の刃で受け止め、その牙を歯噛剣で砕きそれでも尚迫り来る黒竜達を、風の刃で迎撃する。
しかし黒竜ダイウルゴスの群れの攻撃を囮に、ドラゴンテイマーが赤剣を袈裟に振るった。
「ふん!」
「くっ……」
振るわれた剣を鬼瓦から生み出された結界で強化した金属扉の盾で受け止めるが、その度に黒竜ダイウルゴスが補充され、絶え間なくつかさを襲う。
圧倒的な、手数の差。
それでも尚つかさが倒れぬのは、彼女が防御態勢を整え、竜達の軌道を見切り、攻撃を受け流していたからだろう。
(「剣への対処に気を取られすぎたってわけね」)
内心で呟く間にも体中に増えていく傷の数。
そこにドラゴンテイマーの小技とでも言うべき赤剣による連撃が容赦なく加えられていく。
ドラゴンテイマーのそれらの斬撃の軌跡を見切り、何とか紙一重で躱し、辛うじてその場に踏み留まるつかさ。
「成程、これだけの攻撃を受けても尚立ち続けるか。ならば、これで終わりにするとしよう」
黒竜ダイウルゴスの群れと自らの赤剣による一撃にも辛うじて耐え抜いたつかさに向けて。
遂にドラゴンテイマーが大きく赤剣を振り上げた。
(「今なら……まだ……!」)
傷だらけで悲鳴を上げる自らの体に叱咤激励し、黒竜ダイウルゴス達にむしゃぶりつかれながら、双剣を投げ捨て腰を深く落とすつかさ。
――斬。
「はぁ!」
裂帛の気合いよりも一足早くに振り切られた音速を越えた一太刀に、左肩から右脇腹にかけてを斬り裂かれながら……。
『抉り込むように……そこよ!』
辛うじて僅かに残った最後の力を振り絞り、正拳突きを繰り出すつかさ。
引いた拳を突き出す直前に加えた体の全身の捻りを伝えた半回転が、まるで拳銃の弾が螺旋状に回転する軌道を描くかの様な、螺旋状の拳圧となって迫り、暴風の如き拳圧にほんの僅かにドラゴンテイマーが傷を負った体を押し返される。
そこに伸びきったつかさの拳が命中。
――熟練故の、技であろうか。
奇しくもその拳は、先の猟兵の一打により、脆くなっていた腹部を貫いていた。
「ゴハッ……!」
口から大量の血を吐き捨てながらよろよろと後退するドラゴンテイマー。
だがその時には、黒竜ダイウルゴスの群れが一斉につかさに飛びかかっている。
全身に黒竜達の体当たりを受け、腕、足に噛み付かれ、腹部と肩胛骨の間に黒竜の牙を受けたつかさが耐えきれずにどう、と地面に倒れ込む。
(「……後は……」)
任せたわ、と胸中で呟きながら。
血溜まりの池に浸ったつかさの意識は失われた。
成功
🔵🔵🔴
館野・敬輔
【SPD】
僕もグリモアを持つ者だ
おそらく無意味な問いだろうが、あえて問う
ドラゴンテイマー、何のためにここに来た?
戦闘用大型ダイウルゴスの召喚を止める術はない
極力ダイウルゴスとの真っ向勝負を避けてドラゴンテイマーに肉薄
「先制攻撃、視力、暗視、地形の利用」でダイウルゴスの死角を探し
「ダッシュ」で一気に駆け抜ける
ダイウルゴスに接敵したら【魂魄解放】発動
高速移動で一気に駆け抜けドラゴンテイマーに接敵
黒剣で「2回攻撃、範囲攻撃、怪力、生命力吸収、マヒ攻撃、鎧砕き」を乗せた斬撃+衝撃波攻撃で
ダイウルゴスごとまとめて攻撃
防御は「見切り、オーラ防御、武器受け、激痛耐性」で
黒剣でがっちり受け止め耐える
●
――ポタ、ポタ、ポタ。
「くっ……流石に少々深手を負ったか」
特に深手となっているのは腹部。
まだ、体は問題なく動く。
だが、それでも尚あの2打の直撃を受けたのは誤算であった。
――と、その時。
それの気配を感じ取り、ドラゴンテイマーがゆっくりと其方を振り向く。
そこにいたのは、一人の少年。
そしてそこから嗅ぎ取られるものは……。
「……グリモア、か」
「ああ、そうだドラゴンテイマー。僕もグリモアを持つ者だ」
そう静かに呟く館野・敬輔にそうか、とドラゴンテイマーが愉快そうに息を吐く。
「それでは、相応に手厚く迎えねばなるまいな」
「ドラゴンテイマー」
無意味な問いだが、と一言加えながら。
黒剣の切っ先をドラゴンテイマーに向け、敬輔が問う。
「何のために、此処に来た?」
「確かに、無意味な問いだ。私がお主のその問いに答える義理は無いからな」
(「やはり、か」)
そっと愛おしそうに赤剣を撫でると同時に、無数の逆鱗に1と刻印された戦闘用大型ダイウルゴスを召喚するドラゴンテイマーに溜息を一つつき、剣先を突きつけていた黒剣を胸元に携え、祈りの構えを取り赤と白と黒のオーラを練り上げる敬輔。
「行け、ダイウルゴス」
赤剣を突きつけ、戦闘用大型ダイウルゴス達が一斉に突撃を開始。
その突撃に臆すること無く敬輔は、1の数字の付けられた全てのダイウルゴス達の死角を探った。
(「正面からの打ち合いは、皆に比べれば非力な僕には不利だ。ならば……」)
ダイウルゴスが接近し、その牙を敬輔に突き立てる直前。
(「皆……僕に力を貸して」)
――ダン。
ダイウルゴス達の隊列の間隙を縫って、敬輔が駆けた。
全身に、恐怖と憎悪に塗りつぶされた白き波動を身に纏って。
それは嘗て敬輔が戦い、黒剣に喰らわせた少女達の成れの果て。
彼女達の力を借りる敬輔が支払うべき対価は、己が寿命か、或いは彼にとって大切な『何か』
それが塗り潰されていく感触を味わいながら、ダイウルゴス達の間隙の群れを抜いた敬輔がドラゴンテイマーに接敵した、その時。
『ゴァァァァァァァ!!』
戦場全体に轟かんばかりの雄叫び。
それは、『10』と逆鱗に描かれたダイウルゴス達。
数で押し潰すのは不可能と判断したドラゴンテイマーが敬輔が近付く直前、ダイウルゴス達を合体させたのだろう。
「奪え、黒竜」
ドラゴンテイマーの指示に従い、『10』の数値を持つダイウルゴス達の鉤爪が敬輔を斬り裂く直前。
「喰らえ、黒剣!」
叫びと同時に、自らを円の中心に据え置いて。
全身の力を込めて黒剣を大地と水平に構えて正円を生み出す敬輔。
全方位に向けて放たれた白い巨大な衝撃波が斬撃となってダイウルゴス達とドラゴンテイマーに迫る。
「ちっ!」
腹部の凄まじい痛みにまともに後退できず、赤剣でその攻撃を受け止めるドラゴンテイマーだったが、その斬撃は赤剣をすり抜け、ドラゴンテイマーの右肩の傷を鋭く抉った。
「がっ!」
「もう一撃!」
ダイウルゴス達の鉤爪に残虐に背中を斬り裂かれつつも、先程ドラゴンテイマー及びダイウルゴス達から奪った生命力で辛うじてその場に立ち続けた敬輔が返す刃で左脇腹から右肩に向けて黒剣を振るう。
振るわれた黒剣から放射された斬撃の衝撃波が、今度は、ドラゴンテイマーの体についた逆袈裟についた傷を抉っていた。
――だが……。
「これで終わりだと思うな!」
全身を朱に染めたドラゴンテイマーの赤剣が撥ね上げられ、敬輔の体を襲う。
「ぐ……はっ……!」
ドラゴンテイマーの刃をまともに喰らい、宙へと弾き飛ばされ身動きの取れなくなった敬輔を、『10』の数字のダイウルゴス達の鉤爪が残虐に斬り裂いた。
そのまま瀕死の重傷を負って地面に叩き付けられ、グゥ、と呻き声を上げて敬輔が倒れる。
「これ以上、この場に留まるのは危険だな」
ダイウルゴス達を呼び戻し、ドラゴンテイマーが戦場から離脱するべくその場を後にする。
――ドラゴンテイマーの撃破まで、後一息。
成功
🔵🔵🔴
ウィリアム・バークリー
初めまして、竜使い。そして、さようなら。
Active Ice Wallを「高速詠唱」でまず展開して、防御を固めます。「盾受け」「オーラ防御」「念動力」で初撃を回避。
やり過ごせたら、トリニティ・エンハンストスチームエンジンで攻撃力アップ。
Icicle Edgeで引き続き「串刺し」を狙います。
傷ついた人がいたら、生まれながらの光で回復サポート。
ここからが本番ですよ! って、手札は全部使ってますけどね。
氷塊の盾に上手く隠れながら、氷槍でドラゴンテイマーを傷つけて、ダメージの累積を狙います。
後に続く人のためになるように。
限界を感じたら、氷塊を掲げながら懐に入りルーンスラッシュ一閃!
これが今の最善です!
シズホ・トヒソズマ
※アドリブ・連携OK
・SPD
事前にUCでラビットバニーの『おはなハッキング』を解析し◆情報収集、ハッキングコードを解析
黒竜らや本体の初手はリキッドメタルでの◆盾受け、シュヴァルツヴィアイスの予測演算による◆見切りで捌き、その間にシステムフラワーズに◆早業◆ハッキング
成功したら足場を崩したり竜の視界を花で封じたり翼を花で封じたりと妨害しまくり攻撃を凌ぎます
反撃のUCでは銀河皇帝の『フォースインベイジョン』でLV二乗m内の竜らに動きだけでも封じる様、◆催眠術の効果と装備ギャラクシーシンフォニーの強化を乗せて使用、範囲外の竜や本体の攻撃は初手対処手順で捌き接近、本体にヴィアイスの偽三呪剣で◆2回攻撃
郁芽・瑞莉
連携可
これもグリモアの導きですね…。
今回の戦いの切っ掛けを与えた貴方を、
このまま見逃すなんてことはさせません!
因果の報い、受けて貰います!
敵の攻撃は残像や迷彩を使い身体の位置の認識を微妙にずらして。
第六感や動きの情報収集から見切って、
ダッシュやジャンプ、スライディングで敵を盾にして身体スレスレで回避。
直撃は武器やオーラ防御で受け流して。
すれ違いのカウンターで逆鱗に早業で武器によるなぎ払いを叩き込んだり、
苦無を投擲し誘導弾の様に操りスナイプ。
突破後刀に破魔の光を宿らせたフェイントで注意を逸らして。
本禍ノ生七祇に力を溜めた本命の捨て身の一撃。
反撃は激痛耐性で止まらずに串刺しと衝撃波を見舞いますよ!
黒玻璃・ミコ
※美少女形態
◆行動
【黒竜の遊戯】で串刺しにしましょう
ブラックタールである私にとって人の姿とは仮初めのもの
重要な内臓などの器官は体内でその位置をずらし
積み重ねた戦闘経験と乙女の感で
致命的な一撃だけは避けて見せましょう
とは言え強敵相手です、身体の半分でも残れば上等
思考を加速し、痛覚を麻痺させ、肉体の限界を超える
文字通り劇毒にも等しい薬を体内で精製し
この一投に全身全霊を振り絞ってお見舞いです
仮にこの身が倒れ伏そうとも尽きぬ執念でその加速させ続け
怨敵の生命を啜ってでも魔槍で穿ちましょう
咲き誇る花、仲間の猟兵の影、地の利、人の利
時の利さえ駆使してでもです
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブ歓迎
●
「これもグリモアの導き、と言う事ですね……」
撤退しようとしているドラゴンテイマーの目前に姿を現した郁芽・瑞莉。
『人形が吸いし過去の影、我が身に宿り力となれ。応報を持って因果を制す!』
シズホ・トヒソズマがそう叫ぶと同時に、嘗て自身が葬り去ったオブリビオンの影達と共に、先日倒したラビットバニーを解析。
――程なくして。
(「おはなハッキングの解析は完了しましたが……現時点で使いこなすのは難しそうですね」)
内心で結論づけたシズホは、目前で瀕死の重傷を負っているドラゴンテイマーを見つめていた。
最も、自身が追い詰められている事はドラゴンテイマーも重々承知なのだろう。
今すぐにでもこの場から撤退してしまいそうな、そんな雰囲気だ。
「成程。数で押してくるか」
感心したと言う様にパチンと一つ指を鳴らし、無数の逆鱗に『1』と刻まれた無数の戦闘用ダイウルゴスを召喚するドラゴンテイマー。
――と、その時。
「初めまして、竜使い」
「この場であなたを滅しましょう、ドラゴンテイマー」
ドラゴンテイマーの背後に現われる2つの人影。
1人は、ウィリアム・バークリー。
もう1人は、美少女形態を取った、黒玻璃・ミコ。
既に傷だらけの所に、猟兵達による包囲網が完成したが故に、流石のドラゴンテイマーも内心で冷汗を垂らしつつ、不敵な笑みを口元に閃かせた。
「……ならば、お前達を残らず血祭りにあげるのみ」
或いは包囲の一角を切り崩し、この場から速やかに撤退するか。
幾つかの仮想戦術プランを脳裏に思い浮かべながらドラゴンテイマーは、さて、と小さく息を吐いた。
「お主達全員が私に倒されるか、それとも私がお主達を一人残らず血祭りに上げるか……最後の戦いを始めるとしよう」
そう呟きながら。
召喚した戦闘用ダイウルゴス達に自らの背を任せて瑞莉達にけしかけると同時に、穴の空いた腹部と、袈裟と逆袈裟に斬り裂かれた裂傷の苦痛を全て意志の力で撥ね除け、ウィリアムへと一気にドラゴンテイマーは肉薄するのだった。
●
(「……っ! Active Ice Wallが間に合わない?!」)
いつもの戦いの通り、氷塊の盾を作り出すべくルーンソード『スプラッシュ』の先端で幾重もの魔法陣を生み出そうとするウィリアムだったが、傷だらけとは思えぬドラゴンテイマーの加速に驚愕の表情を浮かべた。
「くっ、Freeze Brand!」
やむをえずActive Ice Wallの詠唱を中断、魔法陣に集まっていた氷の精霊達をルーンソード『スプラッシュ』に這わせて氷剣を作り、深手をこれっぽっちも感じさせない横薙ぎに振るわれた赤剣を受け止める。
「お主が如何に高位の術士と言えど、私の剣速に追いつける程の力は無いことを思い知るが良い!」
ドラゴンテイマーの叫びと共にガツン、と鈍い手応えをルーンソード『スプラッシュ』越しに感じて表情を歪めるウィリアムの目前に現われるは、黒竜ダイウルゴスの群れ。
「行け!」
「くっ……今までの戦術が通じる程甘い相手ではない、と言うわけですか……!」
黒竜達の群れに全身にむしゃぶりつかれ、深手を負うウィリアム。
(「ですが、これで終わりではありませんよ……!」)
ウィリアムを盾にする様に。
その背後から美少女形態のミコが飛び出し、黒竜剣・第三圏『貪食者之地獄』を魔槍形態へと変化させドラゴンテイマーを穿つべく、最大限の力を乗せて突き出した。
(「思考加速……痛覚麻痺……肉体限界突破……!」)
自らに暗示を掛け、美少女形態を保つだけの莫大なリソースを消費して、徐々に人間の皮膚が解け、本来の姿である黒いブラックタールの姿を剥き出しにしながら突き出したその一撃。
『いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第参の竜よ!』
それはミコ……屠竜の魔女……に宿る黒竜の魔力を爆発させた強大な一撃。
「小娘……いや、擬態者か! お主の一撃で倒せるほど、私は甘く無いぞ!」
魂を削らんばかりの強烈なその一撃を傷だらけのドラゴンテイマーは左腕を犠牲にして受け止めて返す刃で赤剣を振るった。
ミコの頭部を、斬り裂く様に。
(「……っ!」)
咄嗟に重要気管である脳を自らの腹部へと移動させ致命傷は避けるが、頭から顔の右半分を斬り裂かれ、大量の黒い液体が血飛沫の様に宙を舞った。
「あなたの言うとおり、私は人間に擬態せしブラックタール! 例え如何に斬り裂かれようとも、倒れ伏すことはありません!」
「だが、限界以上の負傷を受ければ、倒れ伏すだろう」
大量の黒竜ダイウルゴスを召喚し、ミコとウィリアムを纏めて押し潰させようと攻め込ませるドラゴンテイマー。
『ゴァァァァァァァァァァ!』
大地を震撼させ、根源的な恐怖という感情を呼び起こさせる叫びをあげた黒竜の群れが一斉にミコに群がり、その左腕を引き裂き両足に食らいつく。
その時、まだ辛うじて意識を残していたウィリアムが小さく祈りを捧げた。
(「こんな事しか出来ませんが……」)
それは、生まれながらに与えられた光。
既に負傷の深いウィリアムの祈りが彼の疲労を加速させるが、それでも尚ミコと自身の傷を癒し、辛うじて黒竜ダイウルゴスの群れからの攻撃を凌がせてくれる。
(「ですが、ぼくに今出来るのはこうして祈りを捧げることだけ。ミコさんも限界を越えて戦っている以上、あまり長くは持たないでしょう」)
――だから……。
「頼みますよ。瑞莉さん、シズホさん」
黒竜ダイウルゴスの群れと、背水の陣のドラゴンテイマーの苛烈な攻勢をミコと協力して耐えながら、ウィリアムは願いを込めて、戦闘用ダイウルゴス達と交戦している瑞莉達へと祈りを捧げた。
●
一方その頃、大量の逆鱗に『1』と数字の書かれた戦闘用ダイウルゴスの群れと奮闘していた瑞莉達は……。
「当たるわけには……行きませんから!」
「その攻撃、やらせません! リキッドメタル、シールドモード!」
瑞莉が自らの残像を曳いて戦闘用ダイウルゴス達からの攻撃の照準を狂わせて致命傷を辛うじて免れ、更にマスクドMリキッドメタルをシールド形態に変形させたシズホがそれらの攻撃を受け止め、戦闘用ダイウルゴス達の攻撃を捌き続けていた。
「瑞莉さん、少し時間を稼いで下さい!」
「! 分かりました!」
このまま戦闘用ダイウルゴス達と戦い続けていても埒が明かない。
全身を蝕む毒を感じながらシュヴァルツヴィアイス……白騎士と黒騎士の能力を解析して作り出した三本腕の騎士人形……の未来予測演算から与えられた情報を基に叫ぶシズホに応じた瑞莉が、飛苦無 飛燕を投擲し、戦闘用ダイウルゴス達の一体の目を潰す。
『グルァァァァァ!』
目を潰された戦闘用ダイウルゴスが隣で瑞莉に鉤爪を振り下ろそうとしていた戦闘用ダイウルゴスと合体し、その数値を『1』から『2』へ。
それまで『1』の動きを見切り、その速度での攻撃を予測していた瑞莉に振るわれる爪の速度が上がり、それが今、正に瑞莉に直撃しようとする。
「やらせません!」
禍ノ生七祇を咄嗟に盾にしながら、その身に纏う白装束、和装束 陽炎から発された白き波動で結界を作り上げ、その攻撃を辛うじて受け止める。
(「この痛み……皆さんの想いの全てを力に変えて、今回の事件の切っ掛けを与えたドラゴンテイマーを倒すためにも……!」)
「負けるわけには行かないんです!」
叫びと共に白き結界で黒竜の鉤爪を押し返し、駆け抜け様に禍ノ生七祇を『2』の文字の浮かぶ戦闘用ダイウルゴスの足に向かって振るい、その場で、どう、と地に伏せさせる。
そのまま戦場を駆け回り、時には残像を曳きながらスライディングで足下をすり抜けて戦闘用ダイウルゴス達の同士討ちを誘い、戦闘用ダイウルゴス達を確実に仕留めていく瑞莉。
だが流石のこの数に瑞莉もまた、疲労から肩で息を切らし始めていた。
(「これだけの数は、厳しいですね……」)
瑞莉がそう思ったその時。
「瑞莉さん! 屈んで前方に向かって飛んで下さい!」
「! 分かりました!」
シズホの指示に従い、瑞莉がそのまま前転する様に戦闘用ダイウルゴス達を越える様に飛ぶのに合わせて、シズホがギャラクシーシンフォニーを起動。
「システム・フラワーズハッキング完了! あなた達の動きもこれまでです!」
シズホがそう叫ぶと同時に、シズホがハッキング出来たシステム・フラワーズの一部……正確にはこの戦場……の風景がぐにゃりと歪み。
戦闘用ダイウルゴス達が立つ足場を崩し、或いは花弁でその視界を塞ぎ、背に着いた翼を花で封じ込めた。
突然起きた不測の事態に、ギャラクシーシンフォニーによる催眠術の効果もあり対処できず混乱を来した戦闘用ダイウルゴス達の姿を、口元から流れ出した血を拭いながら見つめたシズホが叫ぶ。
「今です! 瑞莉さん!」
「はい!」
それに応じた瑞莉が本禍ノ生七祇で動きを止めた戦闘用ダイウルゴス達を薙ぎ払い、遂に一体残らず骸の海へと還すことに成功した。
「思ったより、時間を取られてしまいました。急ぎましょう、シズホさん!」
「はい!」
瑞莉の呼びかけにシズホが応じ、シュヴァルツヴィアイスを率いて駆ける。
――ドラゴンテイマーとミコ達が戦うその場所へ。
●
「例え、この身の半分が朽ち果てようとも……この場で倒れることになろうとも……この一投だけは、外しません……!」
ガボッ、と辛うじて残っている体半分から黒い液体を吐き出しながら呟くミコ。
ウィリアムも疲労に顔を青ざめさせながら、辛うじて戦場に立っている。
「ここで、諦めるわけには行きません。あなたをこの場で倒すためにも!」
「その心意気や良し。ならば、最後まで抵抗してみせよ」
ルーンソード『スプラッシュ』を杖代わりに立ち続けて嘯くウィリアムにドラゴンテイマーが静かに息を一つ吐く。
吐息と共に、血液が口から零れ落ち、それでも尚立ち続けるその姿は、成程、流石に今回の戦争の発端人だけの事はあった。
「そろそろ、決着を付けるとしようか」
呟き右手の赤剣を地面に擦過させ、その場で振り上げるドラゴンテイマー。
縛鎖から解き放たれた様な音速の赤剣の一撃が、ウィリアムのルーンソード『スプラッシュ』の纏った氷の精霊達を破砕し、同時に召喚された黒竜ダイウルゴスの群れ達が、ミコの全身を斬り裂き踏み砕く。
――だが……。
「この一撃だけは……必ず!」
「断ち切れ! 『スプラッシュ』!」
ミコとウィリアムが最後の力を振り絞って肉薄し、ミコが魔槍形態の第三圏:貪食者の地獄を突き出し、ウィリアムがルーンソード『スプラッシュ』を袈裟に振るう。
「最後まで抗うか!」
ミコの魔槍の刺突の位置を急所からまだ残っていた左肩へと逸らしてその肩から大量の血飛沫を迸らせ、ウィリアムの最後の力を込めた一閃を、赤剣で受け流す。
――殺った。
その背に黒竜ダイウルゴスの群れを召喚し、その群れにウィリアムとミコをドラゴンテイマーが襲わせようとした、その時。
「シュヴァルツヴィアイス!」
シズホの命に応じた三本腕の騎士人形が、過去を弱める偽三呪剣でドラゴンテイマーの身を背中から切り刻み、更に。
「ドラゴンテイマー! 因果の報い、受けて貰います!」
瑞莉が踊る様に飛び出しながら、その命の危機に応じて現われた十束剣で逆袈裟に斬りかかった。
「! 戦闘用ダイウルゴスが全滅したか!」
ウィリアムに黒竜ダイウルゴスの群れを突進させて赤剣を自由にして素早く振り返り、その刃を以て瑞莉の十束剣を受けきろうとするドラゴンテイマー。
破邪の力を秘めたその刃は、だが、ドラゴンテイマーに届かない。
――何故なら、それは……。
『私達が戦いで放出し、相手に届かずにこの場にある力、その全てを束ねて。一撃必倒の力に!!!』
フェイント、だったのだから。
今までに多くの猟兵の仲間達が戦い、そして積み重ねてきた無限の想い。
そこにあるのは、激闘の中で其々の猟兵達が託した沢山のモノ。
届かなかったもの、届いたもの、届かせようとしたもの……。
それらの力の全てを、太極において『黒』の意味を持つ本禍ノ生七祇が吸収し、これまでに無い程の凄まじい輝きを放つ。
「私達の全ての想い……受け取りなさい!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
十束剣がフェイントであったことを悟り、すぐさま追撃するべく赤剣を突き出すドラゴンテイマー。
そして天にも昇らんばかりの眩い光を放ちながら、吸い込まれる様に、突き出される瑞莉の本禍ノ生七祇。
それは、ドラゴンテイマーの心臓を貫き。
そしてドラゴンテイマーの赤剣もまた、瑞莉の胸を貫いていた。
「殺せなかった、か。お主達の執念がどうやら私を越えたらしい」
ゴフッ、と喀血し、本禍ノ生七祇をドラゴンテイマーの心臓に突き刺したまま、大きく仰け反り、その場に崩れ落ちる瑞莉。
その彼女の姿を見ながら、ドラゴンテイマーは灰と化して消えていく。
――かくてこの地のドラゴンテイマーは、その『死』を迎え、骸の海へと還っていくのだった。
成功
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