2
バトルオブフラワーズ⑫~人の祖を標榜せし者

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ドラゴンテイマー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦争
🔒
#バトルオブフラワーズ
🔒
#ドラゴンテイマー


0




「みんな、いよいよドン・フリーダムへの道が開いたね」
 青みがかった妖精の翅を大きく広げ、存在を主張しつつフルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)が集まった猟兵に説明を始める。

「皆もご存知のとおり、ウインドゼファーの守りを破ったことで『ドラゴンテイマー』への道も拓かれた。こちらはフォーミュラでも何でもなく、怪人軍団に占領技術を提供した謎のオブリビオン……ということだけれど、気になる人もいるよね。かくいう僕もそうだ」
 何度でも蘇るが、短期間に戦力回数分倒されれば復活は不可能な『筈』という何とも歯切れの悪い予知に何らかの予感めいた感情を擽られる猟兵も少なくないだろう。

「これまでの強敵と同様、絶対的な先制攻撃は避けられないよ。敵より先にこちらがユーベルコードを使うことはできないから、皆しっかりと対策をして挑んで欲しい。どう対策するかと、その後どうやって反撃するか。これはしっかり念頭に置いておくといい」
 さんざんマニアックな理論を求められたりエモい戦いを繰り広げたりした直後、急にヒロイックなハイスピードバトルを浴びせられたばかりだ。温度差でテンションがおかしくなってしまいそうだが、今回は真正面から戦いに集中しよう。

「そういう訳だから、任務が失敗してしまうことだってあるだろう。でも、大丈夫だ。向こうが何度でも骸の海から蘇るように、こちらも何度でも転送を繰り返して挑み続けていれば、そのうちドラゴンテイマーの許容値を超える回数だって、倒すことができるだろう。そうなれば復活は不可能……な、はず、なんだ」
 いろいろと疑問の余地は残るが、完全に放置するよりもここで力を削いでおいた方がよい、そんな存在だ。

「まあ、他人の空似ということもあるしね。余計な情報に気を取られてばかりでは勝てる戦いに勝てなくなるということもある。ほどほどで頼むよ」
 そう言うとフルムはグリモアを薔薇の形に変え、猟兵達を送り出すのだった。
 


みづかぜ
 みなさんこんにちは、みづかぜです。初めましての方は初めまして。オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。

 こちらは【⑫『ドラゴンテイマー』】該当シナリオでございます。
 ついに……来てしまったか……。

 今回は普段よりもプレイング不採用が発生しやすくなっております(詳しくは雑記にて説明をしておりますが、参加にあたって必ずしもそちらをお読みいただく必要はありません)。
 ご承知おきいただければ幸いです。

 微力ではありますが全力で猟兵の皆様の冒険をお手伝いする所存でございますので、宜しくお願い致します。

●特殊ルールについて
====================
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
====================
30




第1章 ボス戦 『ドラゴンテイマー』

POW   :    クリムゾンキャリバー
【赤き剣の右腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黒竜ダイウルゴスの群れ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ギガンティックダイウルゴス
レベル×1体の、【逆鱗】に1と刻印された戦闘用【大型ダイウルゴス】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    文明侵略(フロンティア・ライン)
自身からレベルm半径内の無機物を【黒竜ダイウルゴスの群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:ハルヨリ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御宮司・幸村
共闘希望

おじさんのUCは無効化タイプ、やりようによっては攻撃に転化も出来るけど
敵LV×1と言う事は相当な数の筈
ならば、無効化に特化して自分含めて仲間の分もなるべく無効化を試みる

敵の動きから攻撃を予測、敵の攻撃直前までリラックス
焦るな、緊張はミスを産む
信じろ、自分の力を

万一の被弾に備え【見切り、残像、オーラ防御】の何れかを臨機応変に
同戦場に仲間が居たら、おじさんはこの方法でひたすら敵先制攻撃を対処
攻撃は味方に託す

攻撃手が少ない等の場合
上手く無効化出来て、余裕があれば左手を敵に向けて排出
【カウンター、咄嗟の一撃】を狙い
さらに【フェイント、だまし討ち】を交えた【鎧無視攻撃、鎧砕き、2回攻撃】で攻撃


ステラ・アルゲン
お前は一体何者なんだ?
このキマイラフューチャーの住人だったとは思えないな
だがオブリビオンである以上、倒さなければならない相手なのだろう

文明侵略とやらの範囲には入らないように距離を取る
無機物から作られた竜か……それは一種の呪いとも言えそうだな
お前ならその呪い、祓えるだろう?
手にした【月光槍】のルナにそう語りかけ【高速詠唱】にて【天満月】を発動する
聖なる【祈り】と【呪詛耐性】の力を持って無機物にかけられた竜の【封印を解く】

竜を消しされたら、そのまま穂先を向け【全力魔法】による【属性攻撃】の雷をテイマーに落とそうか

(アドリブ・連携OK)


ジィン・カデシュ
「やー、遠くからよくキマイラフューチャーまで遊びにきたっすね」
歓迎はしないけど。正直な所コイツの来訪自体が空気を読めてないのだ、急にシリアスとかされても困っちゃう。いいねはあげれないな。ドラゴンたちを≪メカニック≫的に分析、関節の動きから行動を≪見切り≫、視角だけではなく≪聞き耳≫も使って行動を把握、それでも足りない分は≪野生の感≫を頼りに回避、ガジェットによる≪属性攻撃≫で【逆鱗】を狙い撃ち、合体を防ぐ。本人に接敵したらUCによる攻撃、後手に回るとヤバい予感がするので、先手の塗料でダメージを与えておきたい。



「お前は一体何者なんだ? このキマイラフューチャーの住人だったとは思えないな」
 視界を覆い尽くさんばかりに溢れる花の舞う園に降り立った一筋の流星、ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は眼前のキマイラのような男――ドラゴンテイマーをそう評する。
「骸の海の住人……とでも言おうか」
 消防署の方向から来ました、並みの詭弁だ。こんな男に消火器を買わされてはたまったものではない。
「やー、遠くからよくキマイラフューチャーまで遊びにきたっすね」
 一方でジィン・カデシュ(未だ形の定まらぬ・f14713)が言葉だけの実感の篭らぬ歓迎を口にする。だがその気怠げにも見える金の瞳は、僅かでも動きの癖を読み取ろうとしている。
「私は遊びに来たのではない」
 消火器ならぬ侵略樹の押し売りに成功したドラゴンテイマーは、その成果を見届けんとこの芸術と遊興の象徴世界たるキマイラフューチャーに逗留していた。
 本当にこの世界に長く居て一ミリも遊んでいないのかは非常に疑わしいが、今はそういうことにしておこう。
「おじさんだからって恥ずかしがることはないんだよー」
 外見年齢だけなら近そうな御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)はバトルゲーマーでもあり、遊びの道を極めた者である。『大人がゲームしてたっていいんだよ?』と諭すような口調はとても穏やかで落ち着いている。
(焦るな、緊張はミスを産む……信じろ、自分の力を)
 ユーベルコードの発動に脱力が必要な幸村は、リラックスすることに専念していた。ドラゴンテイマーから発せられる毒瓦斯のような邪気にひりつく肌を落ち着けて、相手の出方を窺っている。
「遊びだというのならば、遊びの時間は終わりとしよう」
 ドラゴンテイマーが、一歩動いた。
 黒曜石の塊のような歪な巨岩が次々と花畑より出でて、その一つ一つが竜の形をつくる。
 逆鱗に仄光る青火で刻まれた1という数字が、それらが黒竜ダイウルゴスであることを示していた。
「ダイウルゴスよ、『ゆけ』」
 重なり合う黒曜石が更に大きな竜の形をつくる。比例するように逆鱗の火はより大きな数字を示す。
「急にシリアスとかされても困っちゃう。いいねはあげれないな」
 ジィンはドローンの分析を基に集団の端にいるダイウルゴスに狙いを定め、その逆鱗をガジェットで撃つ。
 手に負えないサイズになる前に落とし、ドラゴンテイマーへの道を作る。
 一方で、すでに真っ先に成長して大きくなったダイウルゴスは前線で何もしていない幸村へと石柱のような脚を振り下ろしていた。
 咄嗟に向けられた右手ごと幸村を踏み潰した――と思いきや、ダイウルゴスは忽ち砂の様に崩れ、花畑へと降り注ぐ。
「ふぅ……ギリギリ成功、っと」
 いかに巨大化したダイウルゴスといえど、『一般人究極奥義、のんべんだらりの術』に成功すればただのユーベルコードで発生したオブジェクトに他ならない。失敗のリスクは大きいが、敵が必ず先制する事を逆手に取れば脱力状態を警戒される可能性も低く、相性は良かったと言えよう。
「まだ終わりではない。お前達は文明侵略(フロンティア・ライン)の内側にいる」
 周囲の無機物――無効化されたギガンティック・ダイウルゴスの残滓が再び黒竜ダイウルゴスへと変わる。かつて竜巻をも従えた文明侵略は花びらを乗せた風を取り込み、黒き竜は再び飛翔する。
 空気の濃度に影響が及んだことによって、幸村の脱力状態が緊張へと変わった。
「うーん、おじさんが右手で受けられる分以外は、まずいかもー」
 今度の黒竜は合体しない分、威力は低いが手数が多い。ジィンの射撃でも数を減らしてはいたが、すべてを落としきる事は叶わない。
「ルナ。お前ならその呪い、祓えるだろう?」
 ステラが囁くように金の月光槍にそう語り掛けると、祈りにより出現した聖なる月光が一匹の黒竜を照らす。
 天満月によって無機物にかけられた文明侵略の呪いが解けるとともに黒竜の羽ばたきは止み、再び砂となって散った。
 ステラは疲労をものともせず月光を拡げる。文明侵略の範囲すべてを照らさんと、全身を苛む倦怠感を堪えて意識を祈りへ向ける。
 月光槍もステラとともに祈るように、その黄金色の輝きで周囲を照らす。
 聖なる光を浴びた黒竜は少しずつ大気に溶け、システム・フラワーズに穏やかな風が蘇りつつあった。
「オラッ」
 数を減らしつつあった黒竜の隙間を縫って、近づいたジィンが躊躇0(クイックエイム)でスプレーからインクの弾丸を放った。
「ふざけた攻撃だ」
 ドラゴンテイマーは剣と化した右腕で塗料を払うが、その赤い剣が冗談みたいなビビッドなピンク色に染まってゆく。剣戟とスプレー噴射という奇妙な立ち回りの結果、重ねて黒で撃たれたインクによって剣の右腕はなかなかイカしたサイバーなデザインに塗りあがった。
「どうすか、このリフォーム」
「どうも、こうも……」
 一応はユーベルコードによる攻撃だ、痛みが伴わないとはいえ、ドラゴンテイマーという存在はダメージを負っている。黒いコートも、ピンク色でまだらに染まって残念な様子だ。平たく言えば――ダサい。
「頼むよ」
 文明侵略の範囲を浄化しきって疲労で遂に膝をついたステラは、敵へと向けた月光槍の穂先から雷を放つ。ありったけの全力を込めた天罰は、ドラゴンテイマーの翼を二対ほど焼き焦がした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ユキ・コシイ
この気配…異質だね。あなた、本当にこの世界の存在なの…?

竜の群れが召喚されてからUCを発動、援軍を要請
…勿論、それでも分が悪いにも程がある
あくまでこの援軍は…敵への道を開く為のもの

砲撃後、艦船から飛び出しドラゴンテイマーへ一直線に飛翔
…ドラゴンが殺到し、攻撃も飛んでくるでしょう
でも…何であっても、わたしを…止めることは出来ない
だって、【パフォーマンスドローン】が作った、立体映像の偽物ですもの

本物のわたしは…直に沈むであろう、宇宙艦船の上で光学【迷彩】を展開
静かに、動かず…【スターブリンク】の一撃を狙っている
危険を顧みない二重の囮…。そこまでしないとあなたは引っかかってくれなさそうだからね…!


空廼・柩
さて――ドラゴン退治と洒落込もうじゃないか

流石に大量の竜に襲われたら俺だってやばいっての
とはいえ大型なら的も大きく狙い易い筈
自身の目立たなさを最大限に活用
音を立てぬよう遮蔽物に隠れて竜へ近付いたならば
死角から【青き侵蝕】のだまし討ちで麻痺を狙う
気付かれて攻撃された時は攻撃を見切りや武器受けで致命傷は避ける
後は激痛耐性で何とか凌ごう
ただ攻撃されるだけじゃアンフェアだし
カウンターにゼロ距離から一発撃ち込んでやろう
俺の攻撃自体、殺傷力は少ない
だからこそ医術で敵の急所を可能な限り捉え、無力化を試みる
誰かの為に道を開く事だって立派な俺の仕事
…まあ、一発叩き込めるならそれに越した事はないけれど

(共闘希望)


渡塚・源誠
…君の喜びは、きっと途方も無い滅びの上で成り立つ

…それを見逃せるほど、僕も楽天家じゃあないんだよね
(真顔気味で淡々とした口調)


敵の攻撃は金属札で受け止め、間違っても僕に直接当たらないよう気をつけるよ

攻撃があたった札はすぐに真上に全力で【投擲】して僕自身はその場を離れるよ

竜の群れは札の方にご退散してもらうとしようか


それだけじゃない…剣が札に当たった正にそのタイミングで、札中の魔力を彼に流し、彼の右腕の触覚と視覚を可能な限り削っていこう

もし竜の発生条件が、攻撃が当ったという彼の「認識」なら、竜はもう出なくなるし、そうじゃなくても動きは鈍るはずさ


後はユーベルコードによる札の【一斉発射】といこうかな


リグ・アシュリーズ
【JLS】で共闘

『剣闘士の影』を身に降ろし、高速戦闘モードに突入。
ルーナさんに射出してもらい、一直線に敵本体へ。
殺気を隠してアルメ君の補助のように振る舞い、【目立たない】ように。
脅威度を低く見積もってくれたら御の字。
敵が召喚した竜は十分脅威だし少しは応戦するけど、あくまで狙いは敵本体。
剣を刺して背中を駆け上がるなど、真っ向勝負は極力回避。

アルメ君がテイマーの注意を惹く間に肉薄し、【暗殺】――奇襲攻撃。
低姿勢からの突き上げで脇腹を深々と突き刺す!
奇襲失敗でも【激痛耐性】で踏みとどまり、そのまま致命打を与えるまで粘るわ。

これは剣士としての勘だけど。
アナタみたいな手合いはね、放っておけないのよ……!


待宵・アルメ
チーム『JLS』でリグさん(f10093)とルーナさん(f10093)参加

武器としてスクラップの塊を召喚してその影にリグさんを隠す。
ルーナさんに塊ごと飛ばしてもらって龍が来たらUCで増やしたグローブで迎撃。
数には数で対抗。

敵本体に接近したらリグさんから意識がそれるように派手に【存在感】を発揮しながらスクラップを展開して、グローブにスクラップを組み込んで巨大化、パンチのラッシュを叩き込む!
たぶん僕自身は攻撃されちゃうけど【覚悟】決めて【激痛耐性】で歯を食いしばって耐えて攻撃の手は緩めない。

たまにはお姉さん方にカッコつけたいよね。
僕も男の子だしさ。


ルーナ・セリオン
チーム『JLS』で出撃。

まずUCによってリグを内包したスクラップごとアルメを敵本体めがけ射出するガジェットを召喚しよう。
当然ながら準備・射出においてテイマーに召喚された竜からの妨害は避けられないだろうから、
ワタシが【おびき寄せ】つつ脚部ガジェットによる【武器受け】を駆使しながら【空中戦】で囮に徹する。

射出が終わった後はアルメとリグを追いかけつつ敵の本体は任せ彼等を狙う竜どもを引きつける。
ガジェットによる【見切り】や【踏みつけ】を行いつつ回避主体の動きで立ち回って【時間稼ぎ】だ。
こうして竜どもを抑え込めばその分2人が動きやすくなるはずだ、その結果多少腕が外れるくらいは承知の上さ!



 ごつごつとした岩の群れが飛翔する。
 象徴に『文明』を謳うにしてはあまりにも野蛮な黒竜ダイウルゴスはひとりの男を取り巻くように羽ばたき、新たに駆けつけた猟兵達へと襲い掛かる。
「さて――ドラゴン退治と洒落込もうじゃないか」
 吹き溜まりに出来ていたやわらかな花びらの山に紛れるようにして息も音も殺し、空廼・柩(からのひつぎ・f00796)が縫うようにして地を進む。
 数多の竜が前線の猟兵を目指し、編隊を組んで飛行する音が真上に聞こえる。
 羽ばたきに舞う花びらは蝶のように柩の肩に止まり、ほのかに香る。
「あと少し――」
 気づかれぬならそれに越したことはない。
 柩は用意した注射器をいつでも使えるように強く握った。

 花園に宇宙戦艦が飛来した。
 ワープ航法か何かで突如現れた宇宙戦艦を、ダイウルゴスは敵と認識し、群れて襲い掛かる。
 戦艦はユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)が呼び寄せたユーベルコードの援軍であった。
 ステージ衣装のドレスに身を包んだ雪色の歌姫は、戦艦の砲撃とともに派手に飛翔する。
 黒竜の優位性であったはずの数が仇となった。
 小さなユキを狙うために、大きなダイウルゴス同士がぶつからざるを得ない。
 ユキの進行をある程度許した黒竜の群れはその間に数を減らし、逆鱗に刻まれた数字を上げて強くなる。
 凶悪性を増した精鋭型ダイウルゴスの追撃からユキを守ったのは、ルーナ・セリオン(機械仕掛けの探求存在・f13441)であった。
「デコイは多い方が良いだろう?」
 さきほど射出用のガジェットを設置して、仕込みを済ませて飛んできたところだ。
「ありがとう、でもわたし……だから……」
 ユキの音声がやや途切れる。ルーナは瞬時にユキの言わんところを察する。
 翼で打ちつけてきたダイウルゴスを足蹴にして踏み台代わりにし、ユキをさらにドラゴンテイマーの元へと送り出す。
「こうして竜どもを抑え込めばその分二人が、皆が、動きやすくなるはずだ。その結果多少腕が外れるくらいは承知の上さ!」
 統率者に肉薄する者がいれば、護衛は戻るのが筋だ。
 ならば今は少しでも、相手に『危機だ』と思わせるべきだ――それがたとえ竜の巣に飛び込み、その中で暴れることになっても。
「大丈夫、ワタシは独りじゃない」
 見遣ったさきには独りの――手懐けた竜に戦わせ、悠々と戦況を眺める男。
 逆鱗の数字を『20』程度にまで増やした複数のダイウルゴスに、ただ命令を下すだけのドラゴンテイマー。彼の目前に迫るルーナを迎え撃たんとする右手の刃は、先ほどの交戦で冗談みたいなイカしたデザインに塗り直されていたが、宿る殺気は並みのオブリビオンをはるかに凌駕している。
 交差するように飛翔する黒曜の翼を寸前で避け、竜を同士討ちさせてルーナは後方の仲間を想う。
 重力を伴い落下の衝撃のまま打ち付ける黒竜の猛烈な頭突きをもろに受けそうになったルーナが拉げるのを覚悟して脚部を大きく振り上げたとき、地上から花びらと共に舞い上がってきた無数の金属札がダイウルゴスの岩肌を裂いた。
 すんでのところでルーナへの直撃は免れる。
「もうすぐ、皆来るよ」
 黒竜を札でいなし首魁の元へ向かっていた渡塚・源誠(風の吹くまま世界を渡れ・f04955)であった。
 源誠の言うとおり、固定砲台型ガジェットから射出されたスクラップの塊が轟音とともに彗星のごとく猛スピードでドラゴンテイマーの元へと飛来している。
「それなら……!」
 今はもう、ダイウルゴスの合流を防ぐ段階に入っている。
 ルーナは残る気力を振り絞り、再び宙を舞う。
「来たよ!」
 飛んできたスクラップの塊にしがみ付いていた待宵・アルメ(路地裏のミュルクリエイター・f04388)が、その塊を展開して廃材製グローブへと取り付け、巨大化させた。
 派手な演出で自分達と同じようなギミックで強化されるアルメのツギハギグローブ目掛けて、黒竜も集う。
 主への忠誠心などではなく、ただ遣われるままに無心で敵を屠ろうとする。
「文字通り、手数を増やすよ!」
 愚者の複製拳(フールボッコ)とダイウルゴスがぶつかり合い、岩のような肌をスクラップの拳が殴り、殴り、また殴る。
 かつて栄華を誇りし百の文明が廃材に砕かれてゆく。
 だがすぐに、滅びた文明を使い捨てるように別のダイウルゴスたちが飛来する。
「たまにはお姉さん方にカッコつけたいよね。僕も男の子だしさ」
 ここは僕に任せて先へ行って! そう言ってみたい場面だ。けれどアルメはそれを口に出すことはない。少しでも、種は明かさない方が良い。
 集結するダイウルゴス達を一匹でも多く自分の元へ集め、刺し違えてでも倒す――覚悟を決めて、アルメは歯を食いしばり拳に意識を集中するのだった。

 間合いまで迫ったドレス姿のバーチャルキャラクターは刃の一振りで消えた。
 そういう種族だということは承知の上でも呆気ない斬り応えにドラゴンテイマーがわずかに惑ったその刹那を狙い、薬液入りの注射器が振り切った彼の腕を取り囲む。
 刺さる直前、文明侵略によって多くのダイウルゴスが花畑より発生したが統率者の元へと集まるには遅すぎた。
「ちょっとちくっとするだけだよ」
 柩の青き侵蝕だ。ドラゴンテイマーに刺された針から入った青い毒がその身を蝕む。痛みよりも、感覚を鈍らせるそれは従えた竜の多くを戻せない今、致命的なものだ。
「それで、勝ったつもりか」
「いやいや、まったく」
 柩が言う通り黒竜の群れが柩を突き、ドラゴンテイマーの元から引き離す。
 一方的な蹂躙の痛みに耐え、活路を開こうと武器を構え直す柩の目に映ったのは、飛来するスクラップの塊。
「誰かの為に道を開く事だって立派な俺の仕事」
 柩には直感的な安堵があった。あれは味方の武器だ。
 ドラゴンテイマーも『それ』に気付いて刃を構え直すが、先に直撃したのはスクラップの塊ではなく、ダイウルゴスの合間を縫って集束する光の束であった。
「そこまでしないとあなたは引っかかってくれなさそうだからね……!」
 ユキのスターブリンクによる砲撃だ。ユキは宇宙戦艦と、自らの立体映像による二重の囮で自らをドラゴンテイマーに『倒せた』と思わせていたのだ。
 黒衣に覆われていた左腕を露出させ左側の翼を焦がし、彼の『ヒト』であった部分を曝け出させている。
 その事実に彼は別段何の感慨もなかった。
 ただ反射的に損傷の状態を見るために左手を見たドラゴンテイマーの隙をつき、短剣で脇腹を深々と刺す者がいた。
「これは剣士としての勘だけど。アナタみたいな手合いはね、放っておけないのよ……!」
 ルーナとアルメが遠距離から送り出したスクラップの塊の内部に隠れていたリグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)であった。
 レーザーの直撃を音の隠れ蓑にして近づき、至近距離においても低い姿勢からの奇襲――それは、始めの射出から一瞬でも気取られれば失敗する綱渡り。
 今それは成功し、確かな結果として結実している。
 普通の存在であれば致命傷であるが、このドラゴンテイマーは得体の知れないオブリビオン。
 ここからが始まりだ、と言いたげに僅かな笑みを見せると右手の刃による薙ぎ斬りで反撃する。
「――いざ、勝負」
 リグは剣闘士の霊魂を纏い、スピードと反応速度を増大させた魔剣士となってその剣戟を見切った。
 腕そのものの剣は関節を持つものより遥かに単純なはずだが、刃そのものが生物であるかのように自在な剣筋で的確にリグの急所を狙う。
「……君の喜びは、きっと途方も無い滅びの上で成り立つ。……それを見逃せるほど、僕も楽天家じゃあないんだよね」
 合流した源誠が淡々とドラゴンテイマーへ告げる。確信はなかったが、相対してみて改めて実感した。それほどの邪悪を見過ごすわけにはいかない。
 リグが黒剣で弾くクリムゾンキャリバーへ金属札を当て、札中の魔力を流してドラゴンテイマーの感覚を奪う。柩が麻痺させた神経が、触覚だけでなく視覚をも巻き込みさらに鈍ってゆく。
 寿命すら代償にして戦うリグと、ここまで力を奪われてやっと互角の勝負となるドラゴンテイマー。
 かつて彼はいかなる世界から放逐されたのか。このキマイラフューチャーでないことは確かだろう。
 猟兵達の感じる違和感、疑問、予感、それらをひとまとめに嘲笑うように、この魔物じみた男は右手の刃で源誠の放った金属札の一枚一枚を滅多刺しにかかる。
「刃一本で、無茶苦茶だね」
 力奪う札を刺し尽くしたドラゴンテイマーはリグへと向き直るが――
「いい加減、折れなさいっ!」
 二の腕とも、刃の柄ともいえる部分にリグの重たいくろがねの剣が直撃した。叩き折れこそしなかったが、その接合はぶらんとして弱くなっているように見える。
「そうか……此度は『ここまで』か」
 まるで、時間切れでも告げるように。
「竜たちよ、『帰る』ぞ」
 アルメやルーナ、柩を襲っていたダイウルゴスの群れが、ドラゴンテイマーの一言で霧のように消える。
「猟兵達よ、『また』相まみえよう」
 復活できない『筈』の男は自信たっぷりにそう云い放つ。
 ただのはったりにしては堂々としすぎているその姿が消えるまで、猟兵達は警戒を解くことはなかった。

 花園に穏やかな風が戻る。芳しい香りと、美しい大輪の色と風に舞う花びらが戦いの終わりを祝福する。
 この度の首魁はとうに倒されているが、それでもまだ残党は健在だ。
 今後の未来を思い、猟兵達は帰路に着く――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月30日


挿絵イラスト