バトルオブフラワーズ⑬〜打倒、ちょうてんさい
●ドン・フリーダム
キマイラフューチャーで続く戦争『バトルオブフラワーズ』。
3人の幹部を撃破した猟兵達は「咲き乱れる花々の空間」を歩いて、「システム・フラワーズ」の中枢へと至る。
「あらあら、もうみんなぶっ殺されたですわの?」
そいつは、ゆっくりと振り返る。
顔に逆さになった笑顔の面を被り、ほぼ全裸に近い女性の姿をしたこいつこそが……。
「このわたくしが、かつてシステム・フラワーズを作り上げたちょうてんさい、『ドン・フリーダム』でございますわ」
合わせ、彼女はキマイラフューチャーに住む人々、そして、猟兵達へと聞こえるように、放送を開始する。
ちなみに、ちょうてんさいは「物凄くかしこい」と「物凄く迷惑」のダブルミーニングなのだとか。
「でも、迷惑なんて失礼しちゃいますわ。わたくしはただ、システム・フラワーズを『修理』しているだけなのですのに」
コンコンコン、コンコンコン……。
その後の言葉は、何か修理を進める音が入ってよく聞き取れない。
ただ、修理を終え、完成をお待ちいただきたいと、ドン・フリーダムは告げる。
「我慢しなくていいのですよ。欲望は止めなくていいのです」
――オール・フォー・フリーダム! 自由こそが、この世の全てなのです!
ともあれ、このオブリビオン・フォーミュラを放置するわけにはいかない。
猟兵達はこの戦争における最終局面、ドン・フリーダムとの一戦に臨む。
●3幹部の技を同時に?
システム・フラワーズへと向かうことに決めた猟兵達へ、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)が声をかける。
「戦うのはいいけれど、準備は必要よ」
確かに、ドン・フリーダムを倒せば、この戦争は勝利する。
しかしながら、彼女の討伐はそう簡単ではない。
「彼女は3幹部、エイプモンキー、ラビットバニー、ウインドゼファーの能力を使用するわ」
それぞれの能力は幹部の能力と同じだが、それらを全て使うことを考えれば、幹部以上の実力者なのは間違いない。
幹部と同じく、ドン・フリーダムもまた先制攻撃を仕掛けてくる。
対策なしだと返り討ちにあってしまう為、万全の対策を期して勝負を挑みたい。
「ドン・フリーダムは同時に1体しか存在しないけれど、幾度も躯の海から蘇るわ」
ただ、許容量を超える回数分倒されれば、復活は不可能になる。そうなれば、この戦争は勝利となる。
敵は幹部の能力を使うことができるゆえに、これまで倒された幹部の分、戦力が弱体化している。一気に攻め込んで、勝利したいところだ。
「説明は以上よ。この戦争の勝利を皆で勝ち取ってきて」
皆の勝利を願うセレインを背に、猟兵達は戦地、システム・フラワーズの中枢へと赴いていくのである。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
キマイラフューチャーの戦争も大詰めです。
振るってご参加の上、ドン・フリーダムの討伐を願います!
こちらのシナリオは、1章構成、『ドン・フリーダム』とのボス戦。
ただし、以下の特殊ルールが適用されます。
●特殊ルール
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
加えて、ドン・フリーダムは使用する能力値別に違う対処が必要です。これらに対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
(POW):絶対無敵バリアを展開します。エモいものを見せれば無効化できます(エモいの基準はラビットバニーと同じ)。
(SPD):風で足場を崩してきます。
(WIZ):猟兵のユーベルコードの弱点を見抜き、確実に反撃するマシンを作り出してきます。 その反撃マシンに反撃する方法を考えなければいけません。
これらの能力はそれぞれ「ラビットバニー」「ウインドゼファー」「エイプモンキー」と同じですが、ドン・フリーダムは彼ら以上の実力者です。
最速のプレイングが届いてから、そちらが失効する前(3日以内)にリプレイを執筆いたしますが、戦争シナリオなので、10名程度の参加が確認できましたら、執筆を開始することもあります。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 ボス戦
『ドン・フリーダム』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:由依あきら
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
露木・鬼燈
ドン・フリーダムにエモさでしかけるですよ。
秘伝忍法<凶>でムカデを召喚。
撮りためた可愛い子猫動画をホログラフ投影。
どんどん子猫が増えていくですよ?
バリアが解けたら子猫と一緒に突撃。
本物だとかわいそうでできないことだよね。
でもホログラフなら気にせずイケルイケル!
縦横無尽に動き回る子猫の群れに紛れて駆け抜けるです。
赤べこキャノンは以前見たラビットバニーのデータを参照。
攻撃予測線をサイバーアイに表示。
データに基づいた予測と直感で攻撃を回避しながら接近。
躱せないものは魔剣を盾に防ぐ。
最後は魔剣を投擲して魔弾に。
懐まで潜り込んで血霧腕を叩き込むのです。
身体の内側にたっぷりと呪詛を注ぎこんであげるですよ。
ローズ・ベルシュタイン
偽葉(f01006)と一緒に行動
WIZ判定の行動を行う
■心情
どんな強敵でも、偽葉と一緒なら怖くないですわ!
■先制攻撃対策
私の夕暮れ時に薔薇は踊り咲く(UC)は半径36mが射程ですので
反撃マシンは、その範囲外の死角から来ると予想
偽葉と互いの死角の範囲をカバーし合う様に
第六感や見切り等で周囲を警戒しますわね
偽葉に攻撃が飛んで来たら、かばうで守って、盾受け、武器受けで防御
私は、偽葉の反撃マシンを破壊しますわ
スナイパーの技能で、反撃マシンに向けて精霊銃を放ち破壊を試みますわ
■反撃
先制攻撃を凌げたら、範囲攻撃を駆使してUCを使い
広範囲を攻撃して確実に当てる様にしますわ。
燈夜・偽葉
ついにボスのお出ましですね
凄い格好…ですが、それはおいておきましょう
ローズさんと一緒にあなたを倒します!
私のUCの弱点は、刀が妖力で出来ていること
妖術が乱されてしまえば刀を生成できません
ですからそういう波長をだす機械を出すでしょう
ですがそれは妖力以外なら通じるということ
ローズさんと死角を補うように立ちつつも
予め戦闘知識で自分やローズさんの死角の範囲を把握しておきます
敵がUCを使って来たらお互いの死角に出現したマシンを壊します
私はローズさんへの反撃マシンを黄昏の大太刀を投擲して破壊します
硬くても鎧砕きで確実に壊しますよ
マシンを壊したらUCを発動
範囲攻撃、全力魔法、串刺しを乗せて一斉発射です
クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
※アドリブ&絡み歓迎
「エモさ……自主開発したホバー戦車の見せ所でしょうか」
【POW】 装備:全地形対応型 重戦車『ヴォルフ』で攻撃
●先制防御&SPD対抗
戦車を【運転】し、その装甲で【武器受け】します。 ホバー戦車なので、足場が崩れても砲撃が届けばある程度は問題ないかと。
●POW対抗
独製戦車を元に、ホバー、アームドフォートを砲塔に採用。
「エモさ、インスタ映えすること間違いなしです」
そして戦車(の砲塔のアームドフォート)から『荷電粒子砲』発射。同じエンジニア(【メカニック】)であるドンに響くかと。
砲兵ではありませんが【スナイパー】故、砲撃戦は十八番です。
リズ・ルシーズ
【全世界サイボーグ連盟】で参加、アドリブ歓迎だよ!
【SPD】
足場を崩されても、代わりのものがあれば!
【ロープワーク】で高分子ワイヤーを張り巡らせて、【敵SPDUC】で壊された足場の代わりにするよ。反重力装置と【空中戦】で、貼り終わるまでの【時間を稼ぐ】よ
そっちの攻撃が終わったなら、こっちの番だよね!
緑色のナノマシンの光を放ち、【リジェネイト】で皆の傷と足場を再生させるよ。その後は、【迷彩】を施して【スナイパー】として遠距離から擬似刻印の光【属性攻撃】のレーザーで皆の【援護射撃】だね
正面から対峙するだけが戦い方じゃないよね、皆、回復と援護は任せて!
バスティオン・ヴェクターライン
【全世界サイボーグ連盟】で参加、アドリブ、絡み歓迎「えもい…?よく分かんないけど多分こういう事かな!」【POW】クネウス君(f02209)のホバー戦車の上に乗せてもらうよ。タンクデサントって奴さ。戦車の上で敵を挑発して攻撃を自分に向けさせて、【武器受け(剣)】【盾受け(右義腕)】【激痛耐性】総動員で攻撃を受けて戦車の損傷を抑えるよ。敢えて挑発して危険な目にあうほどUCで強くなる。それに生身で砲撃を受けるってのもイカすもんでしょ?バリアが破れたら、UCで上がった心肺機能を活かして勝鬨の声を上げると同時に敵に鬼気を飛ばす。【恐怖を与える】ことでほんの一瞬でも隙が生まれればそれが攻撃のチャンスだ。
ウィンディ・アストレイ
全世界サイボーグ連盟で参加
アドリブ&絡み歓迎
【SPD】敵が暴風を起こしたら
オーラバリアとシールドザンバーでダメージをいなしつつ
Blanches Aileの安定翼とフラップで風を捕まえて風に乗り
その勢いに逆らわず、一気に舞い上がります
「動力を使わず、風に逆らわず…風に乗る。名付けて『翼竜飛び』です」
(空中戦&第六感&見切り&オーラ防御&盾受け)
敵の攻撃を凌いだら、バーニアとスラスタ全開で加速
舞い上げられた、その勢いを乗算して速度を上げ
仲間のバリア破壊に併せて【Schwert Angriff】で突撃します
(空中戦&ダッシュ&戦闘知識&鎧無視攻撃&第六感&見切り)
「これが、全サ連と猟兵の力です!」
リーデ・クインタール
【全世界サイボーグ連盟】の皆様と参加
アドリブ&絡み歓迎
ドン・フリーダム…格好はアレですが、その技術力は同じ技術者として尊敬に価します…オブリビオンなのが残念です…
・SPD
足場の破壊ですか…問題ありません【空域戦線】で飛翔すれば、別に落下が始まってからでも対処できます。暴風は「念動力」である程度いなしながら抵抗せずに大人しく飛ばされましょう…
・戦闘
キャノンとレフトで距離を保ちながら攻撃(スナイパー・念動力)、味方の援護に回ります。前衛に出た方が良い場合はスラッシャーとライトで前に出ます(怪力)この際も味方の準備が整うまでの時間稼ぎに動きます。
頭部以外の損傷は無視してOKです
アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、【全世界サイボーグ連盟】で参加
キャノン対策は、ライドランの【槍投げ】やフラッシュブレードの【投擲】でキャノンの直撃を避けつつ、飛んでくる砲弾をバスターホーンの【盾受け】と【オーラ防御】【激痛耐性】で耐える。
そして絶対無敵バリア対策…これは不要!
何故なら俺のUCはエモさの塊! いくぜ皆、【イェーガー・サイクロン】発動だ!
俺の右手にあるサンストーンを、右腕のブーストアームごと【爆弾】に変え、全サ連の仲間を無許可で巻き込み、連携攻撃だ!
ヒーローっぽいエモさを存分に感じてくれよな!
ちなみに俺は【桃】の立ち位置、最後に決める【赤】の人が必要だが……いや、最後は全員で決めた方がエモい! 多分
●可愛らしいエモさと共に
「システム・フラワーズ」中枢。
そこに、今回の戦争『バトルオブフラワーズ』を引き起こした張本人がいる。
「このわたくしが、かつてシステム・フラワーズを作り上げたちょうてんさい、『ドン・フリーダム』でございますわ」
惜しげもなく豊満な体を晒すあたり自由ということだろうが、これだけ開けっぴろげだとさすがに戦う猟兵の方が逆に困惑してしまう。
その見た目だけで調子を乱されてしまいそうだが、この女オブリビオンを倒さねば、キマイラフューチャーに平穏は訪れない。
――オール・フォー・フリーダム! 自由こそが、この世の全てなのです!
高らかに主張するその女へ、中性的な容姿の露木・鬼燈(竜喰・f01316)が真っ先に仕掛ける。
(「エモさで仕掛けるですよ」)
エモさについては、猟兵達もラビットバニー戦で学習したところ。
鬼燈はユーベルコード【秘伝忍法<凶>】で、サイボーグのムカデを呼び寄せた。
多機能なそのムカデに、鬼燈はホログラフで花々の上へと投影させたのは……撮り溜めた可愛らしい子猫動画。
「うみゃう」
「みゃー」
愛らしいその姿は、エモさとしても群を抜く。
なお、ホログラフという形にしたのは、本物だと戦いに巻き込まれて危険と判断したからだ。
「どんどん子猫が増えていくですよ?」
花々の上へと増えていく猫達。
「ああ、良いわね……」
それにドンがうっとりとすれば、攻撃のチャンス。
「ホログラフなら、気にせずイケルイケル!」
その子猫達と一緒に、鬼燈は突撃していく。
子猫達は縦横無尽に動き回るが、彼は赤べこキャノンを手に取る相手の動きを察知し、攻撃予測線をムカデのサイバーアイで表示させる。
このキャノンの予測線もまた、ラビットバニー戦データの流用だ。
直感を活かし、接近する鬼燈。あとは攻撃を叩き込むだけ……と思いきや。
「あら、別に攻撃はキャノンである必要などありませんわ」
再度、バリアを展開することなく、ドンは攻め来る。
赤べこキャノンが使えぬ彼女だが、その長い脚で蹴りつけてきた。大事な部分は舞う花々と長い髪が隠してくれるので安心である。
ただ、繰り出される蹴りに安心などあろうはずもない。
鬼燈はとっさに魔剣と盾を使って衝撃を軽減させるが、それでも体を強く揺さぶられる。まともに喰らえば、一撃でKOだろう。
ただ、丁度その時、駆け付けた2人組の少女の対処を、ドンは迫られることとなる。
「凄い格好……ですが、それはおいておきましょう。ついに、ボスのお出ましですね」
1人は、白髪の少女。燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)は黄昏色の瞳で敵を見据える。
そして、もう1人。こちらは夕焼けを思わせる髪を靡かせ、紅白のドレスを纏うローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)だ。
「どんな強敵でも、偽葉と一緒なら怖くないですわ!」
「ローズさんと一緒に、あなたを倒します!」
「ふふ、可愛らしいお嬢さん達ですね。たっぷり可愛がってあげますわ」
ドン・フリーダムは次に、エイプモンキーのマニアックな機械を取り出し、応戦の構えを見せたのだった。
●背中合わせの黄昏少女達
ドン・フリーダムにはいかなる攻撃をもってしても、必ず先に攻撃を受けてしまう。
その手段として敵は使うのは、これまで猟兵達が倒してきた三幹部のユーベルコードだ。
エイプモンキーのマニアック知識は、攻撃する相手のユーベルコードの弱点を突き、マニアックマシンを使って相殺してしまうというもの。
頭脳プレイで攻めるローズ、偽葉もそれぞれ、自分達の技の欠点はしっかりと分析していて。
「私の【夕暮れ時に薔薇は踊り咲く】は、半径36mが射程ですの」
だから、ローズはその範囲外、かつ死角となる場所から飛んでくると予想する。
「私のUCの弱点は、刀が妖力で出来ていること。妖術が乱されてしまえば、刀を作り出すことができない」
その為、偽葉は機械がそういう波長を放つだろうと推察する。
「……それなら、これでいかがですか?」
2人の狙い通り、彼女達のユーベルコードを分析したドンは2種類のマシンを展開してくる。
ローズ、偽葉は互いの死角をカバーし合うように警戒して。
近距離から飛んでくるマシンは、電磁波を発しながら偽葉を狙う。
それをローズが『薔薇のラウンドシールド』を突き出し、カバーする。
だが、遠くから煌めく物体が。
ローズの死角から、飛来するビットマシンの銃口が彼女を狙っていたのだ。
こちらは、偽葉が素早く『黄昏の太刀』を投擲する。
同時に、ローズは弾き飛ばしたマシン目掛け、精霊銃『プリンセス・ローズ』を発射する。
太刀と銃弾は同時にマシンを穿ち、それらは花々の上で爆ぜ飛んだ。
ただ、そのタイミング、投擲された剣はもう1本あった。
フリーとなった鬼燈が自らの魔剣『魔剣オルトリンデ』を魔弾として、ドンに向けて投げつけていたのだ。
「小癪な真似を……」
ドンは自らの長い髪で魔剣を弾き飛ばすが、その間に鬼燈はドンの懐へと潜り込んで。
「身体の内側に、たっぷりと呪詛を注ぎこんであげるですよ」
相手の腹から体内へと彼は拳を突き入れ、臓物を引き出そうとする。
「いい一撃ですわ。しかし……」
だが、ドンが舞わせる花びらが鬼燈を包み込む。
彼はそれに精神を侵されてしまい、そのまま意識を失って倒れてしまう。
渾身の一撃ではあったはず。
例え、先制攻撃を凌いだとしても、自力伴ってのオブリビオン・フォーミュラ。
ドンを名乗るのは、伊達でないということだろう。
「さあ、どうぞ。私、隙だらけですのよ」
素っ裸で両手を広げ、何も持っていないとアピールするドン。
しかし、その髪や舞う花びらは彼女の意志に従い、攻防に利用できる。隙などあろうはずもない。
「「…………」」
仕掛けるタイミングをはかるローズ、偽葉。
そこへ、さらなる猟兵達がチームで姿を現す。
「敵を目視で確認……如何しましょうか」
先頭に立っていたのは、機械の体を持つ眼鏡の青年、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)だ。
機械の体を持つのはクネウスだけではない。
彼に続く5人もまた、体の一部、あるいはそのほとんどを機械とした者達。旅団【全世界サイボーグ連盟】のメンバーだ。
「ドン・フリーダム……」
普段は女性の姿をしているリーデ・クインタール(戦闘狂+改造狂・f14086)だが、戦闘形態となり、全身をロボット風の容姿へと変えている。
「……格好はアレですが、その技術力は同じ技術者として尊敬に価します……」
「システム・フラワーズ」を造ったのが自分だと、ドンは主張している。
それだけに、彼女がオブリビオンであることをリーデは残念がっていた。
●自由に立ち向かう改造人間達
そんなサイボーグの一団へ、ドン・フリーダムは颯爽と近づく。
サイボーグ達は男女でその戦略方針が分かれている為、ドンもそれぞれに対して対処を行う。
「まずは……、これでいってみましょうか」
女性達へと放つは、巻き起こる暴風【レボリューション・ストーム】。ウインドゼファーが使ってきた技だ。
荒れ狂う風は花々を散らし、メンバー達の足場を崩す。
それによって落下し、態勢を失ったメンバーを、ドンは追撃してくるはずだ。
「足場の破壊ですか……、問題ありません」
リーデは飛翔機構を纏い、高速空戦形態となることで飛翔する。
その間、リーデは念動力を使って暴風をいなし、しばらく風を堪えつつ大人しく飛ばされていた。
清楚な印象を抱かせる少女、ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)も白翼を思わせる背部推進ユニット『Blanches Aile』を展開して風に乗っていた。
「動力を使わず、風に逆らわず……風に乗る。名付けて、『翼竜飛び』です」
とはいえ、その暴風は対策なしだと体を引き裂くほどの威力を持つ。
空中で起こる衝撃に備え、全身をオーラで包むウィンディは肩懸架型簡易可変式巨大楯『シールドザンバー』を構え、そのダメージから身を護っていた。
一方で、リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は飛ぶ様子がない。
「足場を崩されても、代わりのものがあれば!」
銀髪の整った顔立ちに対し、体はブラックをベースとした装甲を展開させたリズ。
彼女は周囲へと高分子ワイヤーを張り巡らせ、それを足場の代わりとする。
反重力装置を稼働させたリズは飛んでくる花々を迎撃しつつ、花々が再度張るまでの時間を稼ぐ。
ドン・フリーダムは同時に、男性達にも対処を行っていた。
絶対無敵バリア展開した彼女は赤べこキャノンを携え、メンバー達を狙っていたのだ。
「いただきますの」
講じるべきはラビットバニー対策、エモさだ。
「エモさ……自主開発したホバー戦車の見せ所でしょうか」
クネウスは乗り込む全地形対応型重戦車『ヴォルフ』を運転し、ドンの放つ砲弾を装甲で受け止めて見せる。
戦車と言えば、キャタピラで動くものを想像しがちだが、クネウスの乗る戦車にはそれがない。
ホバー戦車とはホバークラフトを使ったもので、空気を設置面に吹き付けることで僅かに浮遊し、移動するというものだ。
「えもい……? よく分かんないけど、多分こういう事かな!」
眉間から右頬へと傷跡のあるバスティオン・ヴェクターライン(戦場の錆色城塞・f06298)はそのホバー戦車の上へと着地していた。
「タンクデサントって奴さ」
バスティオンが告げるそれは、戦車に跨って移動する歩兵戦術のことである。
「おじさん1人すら、撃ち落とせないのかな?」
さらに飛んでくる砲弾はバスティオンが引きつけ、ドンを挑発すらしてみせる。
「わたくしを侮辱するとは……、上等ですわ」
さらに、キャノン砲を発射してくるドン。
バスティオンはその直撃を、『ソード・ウィズ・ガード』や右義腕に取り付けた鱗の様ないくつかの盾で受け止める。
それでも、その身に痛みが駆け巡るが、バスティオンはそれに耐えながらも相手へと言い放つ。
「生身で砲撃を受けるってのも、イカすもんでしょ?」
そして、最後に駆け付けた赤いマフラーを靡かせる改造人間、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は、槍に変形させた大型バイク『ライドラン』を投げ飛ばし、砲弾を空中で爆発させる。
さらに、アーサーは左義手と一体化した籠手から発した『フラッシュブレード』で飛んでくる砲弾を切り飛ばしつつ、爆炎は巨大な盾『バスターホーン』と展開したオーラで堪えて見せていた。
戦場で立ち回るサイボーク男子達は、実に絵になる。
砲撃を行っていたドンもしばし、彼らの雄姿に見とれていたようで。
「敵ながらに、カッコいいですわね……」
自分達にエモさを感じる敵に対し、落下するクネウスは仲間達と共に攻撃のタイミングをはかるのである。
●機械人間達の共演
サイボーグ達へとドン・フリーダムの注意が向いているこの機を、ローズ、偽葉も逃しはしない。
「さぁ、数多に咲き誇りなさい!」
「空に突き立て、空を焼き、空より来たる、それはきっと空の涙」
自らの武器を、無数のオレンジ色の薔薇としたローズ。
偽葉も刀身に狐火を宿す200本近くある妖力の太刀と、数千もある短刀を展開させる。
彼女達はその花びらと刃を、一斉にドン目掛けて発射していく。
バリアはすでに解けており、それらは一気にドンへと浴びせかけられたはず。
しかし、敵は素肌に傷を負ってはいたものの、そこに直立したままだ。
「さすがは猟兵……と、言っておきましょう」
これだけの猟兵相手にも一歩も引かず、ドン・フリーダムは揺らがせる長い髪を全方位に発して彼女達の攻撃の大多数を受けていた。
その上で、ドンが舞わせる花びらに包まれたローズ、偽葉は、それらを必死になって振り払っていく。
彼女達が抵抗している間に、旅団【全世界サイボーグ連盟】のメンバーが一気に仕掛ける。
「いくぜ、皆。【イェーガー・サイクロン】発動だ!」
叫ぶアーサーに合わせ、まずはリズ。
「そっちの攻撃が終わったなら、こっちの番だよね!」
彼女は緑色のナノマシンの光を放つ。
ユーベルコード【Re-Generate】は仲間達の受けた傷を癒し、さらに足場を再生させていく。
それらは自旅団の仲間だけでなく、ドンの攻撃を堪えるローズと偽葉。それに倒れていた鬼燈の体をも癒やしていた。
「正面から対峙するだけが戦い方じゃないよね」
その間、リーデは敵から距離を保ちつつ、右腕のキャノンと左腕に内蔵された火器を使って攻撃し、仲間達が立て直す時間を稼ぐ。
「今のうちに早く態勢を」
舞う花びらや伸びてくる髪の毛に攻撃されながら、リーデは仲間達へと呼びかけていた。
ようやく復活した足場へと着地し、戦車を浮かせて態勢を整えたクネウス。
そして、その上に乗っていたバスティオン。
先ほど、敵を挑発して危険な目に遭っていたバスティオンは自らの心肺機能を活かし、鬼気を飛ばしながら大声で叫ぶ。
「これ以上、でかい面できると思うなよ……!」
「なんですの……!?」
少しでもドンが恐怖を感じ、隙が生まれれば、バスティオンの思惑通りだ。
このタイミングで、クネウスはアームドフォートを戦車の砲塔として展開して。
「エモさ、インスタ映えすること間違いなしです」
このフォルムには、同じエンジニアであるドンにも響くはずと考え、クネウスは照準を合わせる。
砲兵ではないものの、スナイパーとしての技能を持つクネウスは、十八番の砲撃戦で勝負を挑む。
「いいですわ。手元に置いておきたいくらいですわね……」
ただ、バリアを展開できなければ、ドンは赤べこキャノンは撃てない。
ユーベルコードを使わず応戦するドンの頭上では、ウィンディが風に揺られ続けていた。
「炉心出力、オーヴァドライブ……」
先ほどの暴風の勢いも乗算し、ウィンディはバーニアのスラスタを全開にする。
速度を高めるウィンディは、一点攻勢のタイミングを窺っていた。
髪の毛と花びらで応戦するドン・フリーダムに、猟兵達が立ち向かう。
そんな中、後方から己に迷彩を施すリズが擬似刻印を体表へと浮かび上がらせ、ドン目掛けて光属性のレーザーを放って援護射撃を行う。
「皆、回復と援護は任せて!」
そんなリズの支援を受けながらも、攻め立てていくこの場の猟兵達。
「これは……まずいですわね……」
応戦を続けるドン・フリーダムも、代わる代わる攻撃を繰り出す猟兵達に押されてきている。
その綺麗な素肌に傷が増え、操る花びらも髪の毛も徐々に勢いがなくなっていく。
正面から仕掛けるアーサーは、右手のサンストーンを右腕のブーストアームごと爆弾へと変えて。
「ヒーローっぽいエモさを、存分に感じてくれよな!」
アーサーが仕掛けるのと同時に動く【全世界サイボーグ連盟】の面々。
リズのレーザー、リーデのキャノン、クネウスの荷電粒子砲の走者に合わせ、バスティオンが叫ぶ。
「俺達の力、見せてやろうじゃないの……!」
仲間達の援護射撃を受け、アーサーが突撃する。
「【Select……CYCLONE ACTION !!】 皆の力……貸してもらうぜ!!」
特攻自爆していくアーサーに合わせ、頭上からウィンディがトップスピードで特攻する。
「……突撃、敢行! これが、全サ連と猟兵の力です!」
ユーベルコード【Schwert Angriff】によって、その姿を光の矢に変えたウィンディ。
アーサーの爆撃とウィンディの突撃が同時にドン・フリーダムの体を打ち付ける。
強く突き飛ばされ、敵は一際大きく爆ぜた。
「……お見事」
【全世界サイボーグ連盟】メンバー全員の攻撃によって全身を焦がしながらも、エモさを感じるドン・フリーダムは花々へと落下していく。
その姿を徐々に薄れさせながらも、彼女は高笑いして。
「ですが……まだ、終わってはおりませんのよ……!」
――ほほほ……。
これで敗北ではないと言い残し、彼女は完全に姿を消したのだった。
大成功
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