バトルオブフラワーズ⑪〜何より疾く~
●なによりも早く、速く
「――次のミッションだ」
真剣な様子で零井戸・寂(f02382・PLAYER)が言う。
「カワイイ怪人『ラビットバニー』撃破は完了したけど、また次の怪人だ。名前はスピード怪人『ウィンドゼファー』」
その名の通り、スピードに特化した怪人だ。恐るべきそのスピード、これまで対峙したエイプモンキーやラビットバニーら、トリッキーな強さとは違う純粋な強さ。彼もまた厄介な難敵と言えよう。
「風や竜巻を操る他、ウィンドゼファー本人も恐ろしいまでの速さを持ってる。先手を取るのは容易くないだろうね」
純粋な速度を以て、猟兵達の先手を取り攻撃して来ることが予期される。ただ単純に攻めるだけなら苦戦は免れまい。
「――ただ、君たちなら」
集った猟兵達を見渡し、メガネのグリモア猟兵が言う。中には速さにおいて自負のあるものも、あるいはそうでなくとも敵にこの世界を好きにさせぬと固く胸に秘めるものとているだろう。
「どんな敵でも撃破してくれると信じてる。さて――」
宙に浮かぶバーチャルスクリーンに示される画面が変わる。
「ブリーフィングと行こう。今回僕が提示する作戦は少数精鋭、一度に同時にウィンドゼファーに向かって行ってもらい連携の上で奴を撃破してもらいたい。最短最速でケリをつけよう」
敵がスピードに長じるなればこそ、勝負は最短で決着が着くだろう。
「さあ、準備はいいかい?――それじゃ、いっておいで。――グッドラック」
転送が始まる。
瞬きすら許されない勝負が幕を開ける――!
戦雨匠
戦雨です。三作目となります。
対ウィンドゼファー戦です。
戦争の状況などを鑑みて文字通り"最速"でシナリオを終わらせるつもりでやらせて頂きます、何卒ご理解を頂けますよう。
少ない採用数かつ分量も少なめになるかと思いますが、それでもいらしてくれて戦雨が執筆する方はなるべく格好良く書けるように精一杯努めさせて頂きます。
それでは、宜しくお願い致します!
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●0:00:00.01
「――来ましたね」
花の足場の先、こちらに向かい来る幾人かの影を見る、スピード怪人『ウインドゼファー』!
「――簡単にやられはしません」
彼女の纏う風が、身体のタイヤが唸りだし、花弁のステージが暴風に揺らぎ出す!
「――――いざ」
戦いが、幕を開ける――――!!
虹結・廿
了解、任務を遂行します。
目標確認次第、銃を構え……初撃は甘んじて受けます。
そして、本体の機能を停止させると同時にUC【代替の効く躯】【分隊編成】を使い、新しい義体と同時に、4体の義体を召喚し、相手の隙を突き【ヴァリアブル・ウェポン】を使い集中砲火。
纏めて撃破されない様に散り散りになり、撃破は狙わず、とにかく当てる事に集中し相手の体力を削ります。
最速であろうと、関係ありません。
クロスファイヤで確実に削いで行きます。
もちろん、廿だけではやられてしまいます。
ですが、他の猟兵も居る中、逃げ場を塞ぐ銃弾の嵐というのは、とてもうっとおしい物でしょう?
性格が悪い……、心外です。
これも立派な戦略です。
アイン・セラフィナイト
風、か…対処が難しそうだね。
先制攻撃は『乖離咒・災禍封滅』の魔力のオーラ、『神封の書』で空間の歪みを造り出して『オーラ防御』する。
反撃は…『万象』、キミの出番だ!巻き起こる竜巻には『目』があるはず。防壁に小さな穴を開けて、ボクに襲いかかっている竜巻の『目』に向かってそこから『万象』を飛び立たせるよ。
行け、万象!【魔烏の看破】だ!弱点を創り出し、光の刃でウインドゼファーに一撃を!
キミたちの時代はとうの昔に消え去った……今を生きるキマイラさんたちのためにも、これ以上思い通りにはさせない!
アルトリウス・セレスタイト
手札の数で勝負する俺には辛い相手だが
それならそれで、試しにはなろう
魔眼・封絶で拘束を図る
変身から攻撃に移る、僅かなりとも隙になる期を見切って起動
そうでなくとも、身を隠すでもなく飛び回る意相手が心内から消えることもない
音や体に感じる風も含む周囲の環境変化、第六感なども無視せず心眼に捉え拘束に
偶には一つに拘ってみようではないか
拘束すれば一度高速回転モードも解除されるはず
具象化し纏った概念を攻撃的に運用して可能な範囲で自身の行動の精度・強度を最大化
魔力を溜めて単純強化した打撃で攻める
ダンスより先に教わったからな
多少なり痛いはずだぞ
ハゼル・ワタナベ
【SPD】
よォ
アンタ、速さに自信があるンだってな
それが欲望ってゆーのか?いいなァ、貪欲なのは嫌いじゃねェ
斯く言う俺は蛇だ
風を越えようと、何だろうと―喰らいついてやるぜ!
ウロボロスの毒牙(鞭形態)を擬似生成
可能なら蛇骨を利用し、ゼファーの捕縛を試みる
もし間に合わず足場をバラバラにされちまえば
落下する前に蛇骨を伸ばし、残った足場に引っ掛け登攀
…けっこー間一髪だけどよ
知ってるか?蛇の恐ろしさは毒だけじゃあねぇ
瞬発力も中々のモンだ
速さ比べといこうじゃねえか、なぁ?
そのままゼファーにウロボロスの毒牙の刃を絡ませ、『毒使い』の神経毒を注いでやる
――いくぜ、刻器身撃!
苦しみやがれ、無限にな!
ロク・ザイオン
ごめん。
花畑、少し荒らす。
(「轟赫」を延ばし炎を周囲に放つ。
風に煽られる程、炎は膨れ上がるものだ。その上この炎は、おれの意志で燃え続ける。
竜巻が炎を呑むなら、それも、おれの意志で操れる)
……タイヤ、ってやつ。
熱でとけるな。
(炎の檻。焔の竜巻。
病を囲むように全て束ねてひとつに。
風も。呼吸も。焼け爛れて灰に還れ。
近づけるなら、炎の中に切り込んで確実に焼き潰す)
お前は病だ。
古い人間じゃない。
ユーフィ・バウム
※アドリブ・連携歓迎
勝負はきっと一瞬……
よし、ならばめいっぱいで勝負するのみです!
ゼファーの動きを【見切り】と【野生の勘】で予測、
凌ぐことを試みます!
暴風は【衝撃波】【なぎ払い】で相殺を狙い、
ゼファー本人の攻撃を避けきれなくても、【覚悟】をもって
【オーラ防御】で耐え抜く――1撃を当てるまでは、
耐えるっ!必ず!苦痛ダメージは【激痛耐性】で我慢し、
【勇気】と共に反撃の【カウンター】を!
めいっぱい【力溜め】た、飛翔しても【空中戦】でおいつき、
体を浴びせる《トランスクラッシュ》!
仕留めきれなくても、【グラップル】で捕まえ
続く仲間の攻撃を当てるようにします
必要あれば仲間を【かばう】ことで勝利への道を拓く
ヴィクティム・ウィンターミュート
最速で出し抜くなら、俺も最大の火力でいかねえと
まずは先制攻撃対処
気休めかもしれねえが…チューマ、お前のくれた戦闘服、使うぜ
【ハッキング】開始、各種サイバネを限界出力
痛覚遮断、耐久向上
車輪剣の攻撃を真っ向から耐える!スピードじゃ奴には勝てねえからな
【激痛耐性】と【覚悟】で耐え、致命的な攻撃は【見切り】でやり過ごす
「両腕程度ならくれてやる」
痛みも傷も、脳を騙して耐えやがれ
いつだって悪党はニヒルに笑って、何てことはねえって言うんだよ
…死に体だと思ったか?あぁ、ナイフも握れねえ
だが…残念、俺のUCは意識を向けりゃいい
「こいつが俺のナイフだ!くたばりな!」
お前がどれだけ速くてもな
──凍える宙には届かねえ
無累・是空
わはは!速さのみならず出力でもわしを凌駕するとはのう!見事というほかあるまい!
じゃが勝つのはわしのほうじゃな!
必ず先手を取るというのなら、そこに付け入る隙もあるじゃろう。
戦場の地形が分からんので出たとこになるが、【地形の利用】と【オーラ防御】でとにかく全力で初撃をやり過ごすぞい。わはは!長生きしとるとカッコイイばかりでなく泥臭い立ち回りも手馴れてくるでな!
最速ならば、おそらくはフルスロットルでの一撃。であれば地表スレスレじゃろうけど【空中戦】での凌ぎようもある。
パワーもスピードも上じゃろうが、空でのテクならわしが上じゃ!超神足通でバチバチ殴り合いっこじゃ!
お互いスピードが乗ってるから痛いぞい!
●0:00:00:27
接近するは8つの影――!
此度集まった八人の猟兵達が、この花の足場にいる門番を倒さんと征く!
――――ヒュゴオオオッッッッッ――!!
一番槍とばかりに迫るはこの中で最も速く動く男、否、神!赤いマフラーを靡かせる無累・是空だ!その速度、凡そ890m/s!念動力の障壁を纏いつつ、音速の二倍を優に超える飛翔を以て、花弁の足場を滑空する!
敵との距離あと500m、一気に迫り敵をぶん殴ってみせる――そう思ったところ!
――――ビュオッッ――――
(――――ッ!!?)
ガ゛ッッ キ゛ ィィィイイイイイイイン!!!!
目の前に突如現れた紅いマスク――ウィンドゼファー!
それが正面から是空とぶつかる!
暴風とオーラの障壁がぶつかり爆ぜる!
先ず爆風と言わんばかりに二人がぶつかった衝撃、それが嵐のように吹き荒れ、次いで衝突音!!最早遥か彼方に音の速さを置き去りにしている!
ざりり、と花弁を削りつつ僅かに後退する是空!
(――速さと出力でわしを上回るとは!)
恐ろしき強さ!だが!神は勇ましく笑う!
(じゃが最後に勝つのは――)
そのままもう一度、果敢に突き進む。その後ろ――!
(――わしらの方じゃ!)
●0:00:02:19
是空がオーラを纏いつつもウインドゼファーに再び接敵、拳を振りかざす!対して、固めた暴風を射出し対抗するウインドゼファー!圧縮された風は馬鹿げた破壊力とともに、是空を砕かんと飛び――!
(させません――っ!)
果敢にそこへ飛び込むのがユーフィ・バウム!是空の間に滑り込むように割って入り、野生的なその勘を以て――
(そこぉっ!)
「――!」
ガギィィッ!
オーラを纏う拳で風塊を弾き返しそのままウインドゼファーへ!
自分へ撃ち返されたその風塊、それを怪人は腕の刃をギュルルと廻す!
切断される風塊!敵に届くことはなかったが――僅かに隙は出来る!
(――会敵・友軍を援護します)
割って入ったのは虹結・廿!そしてその他4体、彼女の義体による計5人の小規模軍隊!是空・ユーフィが先陣を切ってくれた事により、義体を犠牲にする事なくこうして5体揃う事が叶った!
(β、γは牽制射撃。私含む他三体で敵の経路予測、予測地点への射撃を敢行)
言葉なく、同期化された電脳通信を元に繰り広げられる正確で無駄のない連携!それは是空の超速移動による援護も借り的確にウインドゼファーの動き先を狭めていく!そこへ――!!
(今です!)
"トランスクラッシュ"!直感を以て相手の動きを見切ったユーフィにより、闘気を湛えたボディアタックがウインドゼファーへ!
(――っっ!!)
どごぉぉぉっっ!!
衝突音!確かにユーフィの吶喊がウインドゼファーを捉える!数メートル吹き飛ばされるウインドゼファー、しかしそれが風を起こす!!
「――っ、きゃっ!?」
ドォウッッ!巻き起こる風により引き剥がされ、吹き飛ばされるユーフィ!それを是空が飛翔し受け止め助け!
BLATATATATA!!
廿がカバリングしウインドゼファーの追撃を阻止!
(――なんとやりづらい!!)
頭の裏でウインドゼファーも悪態を吐く中、後続の猟兵たちが迫る――!!
●0:00:05:63
「――――」
一撃をまともに受けよろめくウインドゼファー。更にやってきた猟兵を見据える。
厄介だ、ならばどうする、簡単だ。
ただ一つ、シンプルにあることを思う。願う。
(――――――何よりも 疾く―――――― !!!!)
ビュゴオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!
悍ましき迄の風!!
そして!
ズ ドンッッッッ !!!!!
((((――――っ!!))))
ウインドゼファーの足が地を、花弁の足場を蹴る!!
圧倒的な爆風、それにより割れる足場――!
"フルスロットルゼファー"により速度と強さを限界まで増したウインドゼファーが、その暴風により足場を破壊!
何人かは落ちそうになるも、ある物は飛び跳ね、ある物は自らの武器で地を駆け、ある物は翔べる者の手を借りて新たな足場へ!落ちる事はなかったのはまた幸いだ。然し、別れた足場により猟兵らは寸断された!先のような接近戦での連携は取れない――さらに!!
《ギギギギギギギギ――――――!!》
軋るような、嗤い声にも聞こえる暴風!否、渦巻くそれは竜巻であろう!
それが戦場内を荒れ狂うようにうねる!更にウインドゼファーは戦場内を飛翔し目にも止まらぬ速さで飛び交う!!
身動きの取りづらい割れた足場、更に視覚で捉え得ぬ敵の動き――手も足も出ぬまま敵の嗤う竜巻に飲まれて終わってしまうか?!
●0:00:09:71
――否!!否である!!
ヒュパッッ!
――業、轟、豪ぅゔぅうぅ――――ッッ
《ギギ――ギ!?ギギィィイいいい゛ぃ!?》
突然竜巻の方にと幾本かの赤い糸めいたものが!そしてそれが渦の中に届くと同時に――なんと!それが燃え盛り焔の渦へと化す!!
ロク・ザイオンが放った"轟赫"、その炎だ!巻き込まれた花弁達をも火種とし、取り込み続けた空気も相まってそれは最早橙色の蟒蛇の如し!そしてそれが――"ウインドゼファーへ襲い掛かる"のだ!!
(――――!!?)
此れには彼女も驚愕を隠せない!しかし轟赫の炎は焼け広がった分も含めロクの意のままに操れる!最早風ではなく炎塊と化したそれをロクが操れぬ筈もない!
(なんと小癪な――――!!)
燃え広がった炎はウインドゼファーに狙いを定める!
(いいでしょう、その炎程度――!!)
この場で誰よりも疾く翔ぶウインドゼファー、それが自らに暴風を纏い真っ向から炎の渦へと飛び込んで行く!!
圧倒的な速度、纏う風はシールドのよう!それでも炎の渦もその生みの親だったものを呑まんとするも、ウインドゼファーの方が出力が勝る!!
風のシールドをじりじり削りつつも、炎の蟒蛇のほうが先細っていき――
(破っ――)
さくり。
(――た――?な、)
一片の、刃。取るに足らないであろう、片手のひらほどのサイズもないそれ。しかしそれは確かにウインドゼファーの肩に刺さり。"毒"を注ぐ。
●0:00:11:44
炎の蟒蛇の中に潜んでいた蛇腹剣、その鞭めいて伸びた刃。まさに毒蛇の刃とも言うべきそれを仕込んだのは、ハゼル・ワタナベ。謎めいた『結社』と呼ばれる組織、そのⅧを担う青年。その武器が持つ神経毒を武器の特性ゆえに"循環"させ、咬んだ相手をじりじりと毒で侵していく。
くらりとめまいを覚えるウインドゼファー。
(――くっ!!小賢しい手を――!)
どの猟兵だ?!いや誰でも構うものか、再度ギュルリと車輪剣を廻す!形成された"嗤う竜巻"で敵を薙ぎ払ってくれようと、それを飛ばす!渦巻くそれが青髪の少年に向かっていった!それが花の足場ごと少年を呑――――
――ばさり!
(――っ!!?)
少年を呑むのを見る前、ウインドゼファーの目の前に白い鴉が!青髪の少年――アイン・セラフィナイトの相棒のうち1羽、"万象"だ!それが魔力を伴う視線を向け――!!
――カァァ!
――――ギュインッッ!!!
「ぐ――っ!?」
光の刃が貫いた!思わず呻きを上げるウインドゼファー!看破の力を持つ白鴉が竜巻の"目"とも言うべき無風地帯、それを見極め接敵!魔力を込めた目で敵に"弱点"を無理矢理に創り出し、そこを穿つ!纏った風の鎧を引き裂いて、それはウインドゼファーを穿った!黒い翼を一時的に生やし、辛うじて逃れたアインもそれを確かめ――続きは別の猟兵に託す。
●0:00:12:01
たかがまだ肩を貫かれただけ。それだけだ。毒は体内を廻り始めている。傷が何するものぞ、それより疾く動き敵を殺さねば――
そう思う彼女が、ぴしりと止まる。
ある男が、彼女を"視て"いた。
感じる音や身に届く風、そして第六感すらも駆使して見せ――そうして、手傷を負い、毒にすら侵され動きを鈍らせた敵を捉えるのは。
男――アルトリウス・セレスタイトには余りに易き所業だった。
"魔眼・封絶(マガン・フウゼツ)"。
心の眼で視つめたものを、世界の根底たる部位より縛り捉える魔眼。
一度それに捕まれば、持つ力を使うことも、身動きすらもままならず――
故に、この時点で彼女の命運は定まったも当然。
●0:00:13:13―― THE END
(――全く)
最後の一撃を担った、その猟兵は一人脳裏で独りごちる。
(なんともまぁ、頼りになる主役どもだ!)
腕を犠牲にする間もなかった。
まぁ結果オーライだ。
あまりの速度に知覚もままならなかったが、今の奴は完全停止中だ。それも僅かな、コンマ一秒あるかないか程度の時間かもしれないが――
"意識"を向けるのにさく時間など、その十分の一でいい。
ニューロンが灼けつくように熱を帯びるのを感じつつ、"impulse(超速)"を以て伝令を出す。
――『ANNIHILATOR』待機状態解除、リンク完了。
射出対象指定・目標地点補足。
レーザー線:射出用意――――発射。
――ギュインッッッッ――――――!!!
――――ZAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAP!!!!!
天から照射された光は、ウインドゼファーの体をちょうど真ん中から、左右に両断するように通り。
花弁の足場をもその光線で左右にわり、命中後余波の熱を以て過去の化身を焼き払った。
花弁が、ひらひらと敵のいなくなった中を散る。
八人の猟兵たちにより齎された勝利。
それは時間にして、たった十三秒、それと僅かばかり。
言葉を発す間もない程。
しかし言葉なくとも、見事という他ない連携を以ってして。
あまりにも疾く、駆け抜けるように。
ひとつの戦闘が、ここに幕を下ろす。
大成功
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