バトルオブフラワーズ⑪〜暴風の女帝
桃色が目にまぶしい花の足場。そこに彼女は立っていた。
白い外套、両手には二本の車輪剣を装着している。
細身の身体、スマートな佇まい。一陣の風が吹く。花弁が舞う。
彼女は動かない。身に纏った衣服もまた、動かない。
彼女は門番。彼女は風の支配者。
その名は、ウインドゼファー。
「皆のおかげで、エイプモンキーに続いてラビットバニーも撃破することができた。まずはその礼を言わせてくれ」
富士王は集まった猟兵たちへ、頭を下げて感謝を表した。
「……おかげでおじさんは楽できたしね」
殊勝な物言いにはものぐさスタイルの裏があったのだが。
「ま、それはさておいて……次の強敵について案内しようか。ウインドゼファーだ」
顔を上げると富士王はさっそく今回倒すべき相手について説明を始める。
「スピード怪人と名乗っているだけあって、単純に素早い相手だ。風を使った身のこなしは攻撃にも防御にも使えるだろうな」
戦闘能力および飛翔能力を増大させ、暴風や二本の車輪剣で攻撃してくる。
「とにかく敵は素早い、まず先手を取られるとみて間違いない。どうやって対応するかを考えないと、苦戦は必至だろうね」
風を操り先制攻撃してくるウインドゼファー、その能力はシンプルなだけに対処方法もシンプルになりやすいかもしれない。
「ま、対抗策があっても単純に向こうが強くて苦戦ってこともあるだろうけどね。なんせ幹部クラスの強敵だ。気を抜かずに挑んでくれ」
そう付け加える富士王。強敵を前に気を引き締めるべく、パンと両手を勢いよく叩く。
「よし! だらだら説明してもしゃーないし、これでブリーフィングは終わり! 皆の健闘を祈る!」
蘇我真
どうも、蘇我です。今回の敵はウインドゼファー。速さは強さ。
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
三千院・操
うわっ!! なにこの暴風!! やば! やばすぎ! 飛んじゃう!
さすが幹部クラスのオブリビオンは強いなぁ。
無限大の欲望を食らいつくそうとするだけあるね!
――でもね、無限ってのはなくならないから『無限』なんだよ。
確かにおまえは超速くて超強いかもしれないけど、それでもその力は『有限』でしょ?
決してなくならない不滅でもなければ、決して死なない不死でもない。
限り有るものは、限り無いものを飲み込むことはできないってこと!
UCはレディ・リリスの氷属性の力を使って足場を氷結して分解を防ぐよ。攻撃には氷壁を鏡みたいに展開して防御!(属性攻撃)
その後は【ねじれた巨舌】で背後から食らいつく! (だまし討ち+暗殺)
「っ!!」
操は転移した瞬間、自らに向けられた風圧に思わず身じろいだ。
(「さすが幹部クラスってことか!」)
言の葉を紬ぐ暇もない。
「―――」
ウインドゼファーは猟兵の出現を察知し、すかさず攻撃に移行する。
レボリューションストーム。花の足場をバラバラにするほどの暴風が、彼女を中心として放射状に吹き荒れる。
それは何者も、何事も寄せ付けないという拒否の表れにも思えた。
暴れ狂う風は、操にまで届かない。
彼の前には、風とはまた別の、透明の壁があった。
「掴んだぜ、風の尻尾はよ」
氷属性の魔法で足場を凍らせ、氷の壁を形成したのだ。
氷で足場を崩させず、暴風壁とする。
「馬鹿な、私の風を捉えるとは――」
驚愕でウインドゼファーの足が一瞬止まる。
「確かに、おまえは超速くて、超強いかもしれない。でも、その力は『有限』でしょ?」
その一瞬だけで、操には充分だった。
「限りあるものには、限りないものを飲み込むことはできないってこと!」
ウインドゼファーの背後から聞こえる操の声。
「おまえも、ドン・フリーダムってやつでもな!」
ウインドゼファーが相対していたのは、魔法の氷壁がその場に映し留めていた、操の残影であった。
「ッ!!!」
巨大な海蛇の頭部に変貌した操の利き腕が、ウインドゼファーの左胸を刺し貫く。暴虐な咢が彼女の肉体を外套ごと噛み裂き、咀嚼していく。
「―――はたして、それはどうでしょうか」
人間なら一撃で心臓を噛み砕かれていた、殺しの一撃。
しかし、ウインドゼファーは人ではなかった。操の持ちかけた問答にも、不敵な微笑みを浮かべて答える。
「無限大の欲望といえども、この世界に概念として存在する限り、いつの時点でもその瞬間には総量が決まっています。飛んでいる矢が、止まっているのと同じように」
それはゼノンのパラドックス。自らへと吹き荒れる暴風を察知し、操は腕を人型に戻してバックステップ、距離を取る。
刹那、鎌鼬にも似た風が空間を切り裂く。操の展開していた氷の粒子が切り刻まれ、ダイヤモンドダストのようにウインドゼファーの周囲を照らす。
「ならば、無限より速ければ、無限大の欲望も喰らい尽くせるッ!」
成功
🔵🔵🔴
ボアネル・ゼブダイ
【ブルーダイヤ】
今度の敵はかなりの手練れだろう
心してかからなければならんな
由貴が吹き飛ばされたら動揺するふりをして【彼方からの来訪者】を発動
相手が二本の剣ならこちらは四本の剣だ
竜巻を二本の剣で切り刻み残る二本の剣で攻撃
来訪者と連携を取り相手を攻撃する
由貴がやられただと!?
おのれ!よくも由貴を!
敵の攻撃を『見切り』でかわしつつ由貴の回復を待つ
拮抗状態になれば来訪者を操る私に狙いを定め勝負を決めに来るだろう
その瞬間がチャンスだ
全力で集中し相手の攻撃を『見切り』『カウンター』でその腕を『串刺し』
敵の動きを一時的に止める
あとは来訪者の怪光線を由貴と合わせるだけだ
風は止んだ
タイミングは私に合わせろ、由貴
駆爛・由貴
【ブルーダイヤ】
よっしゃ!赤ヘル野郎をぶっ飛ばしてやるぜ!
え?女?…まじ?
まずはボアネルと一緒に相手の攻撃を受けて
俺はそのまま吹き飛ばされる
…なんてな!
俺のスティール・ラバーに魔力を通して軽量化
攻撃を『見切り』最小のダメージで派手に吹っ飛ばされたら後はそのまま死んだふりだ
バレねーようにベロボーグの『マヒ攻撃』で軽く自分を傷つけて仮死状態になるぜ
回復したら後はボアネル待ちだ
頼むからバレるなよ…
よっしゃ!
攻撃を軽減?だったら効くまでぶち当てるだけだぜ!!
ボアネルの合図が出たらアイツの来訪者と同時にバサンの『鎧砕き』で奴のタイヤを攻撃
さらに【ヘイル・シュート】を発動!
砲撃の集中豪雨を敵に降らせるぜ!
「よっしゃ! 赤ヘル野郎をぶっ飛ば……え? 女? じゃあなんて言えば」
「そんなことを言っている場合か!」
次に転移してきた由貴とボアネルがそんな掛け合いをしている間にもウインドゼファーは動き出していた。
ソード・オブ・ダイアモード。全てのタイヤが高速回転する。
彼女の踵に装着されているタイヤも、彼女の両の手に握られた二本の車輪剣もだ。
ガリガリと凍った花畑を引っかく音。車輪剣を地にこすりつけ、スパイクタイヤのように扱いながらウインドゼファーが二人へと肉薄する。
「せいッ!」
カーブを描いて由貴の懐へと潜り込んだウインドゼファーが、車輪剣のうち片方を切り上げる。地から伸びるような一撃。
「ぐあぁっ!!」
直撃を受けた由貴は、軽々と宙を舞い、吹っ飛ばされる。
凍っていない花の足場へと着弾する由貴。土煙と花弁とが舞う。
あまりに手ごたえが軽すぎたこともあり、ウインドゼファーの身体がよれ、続く払い抜けの仰角が僅かに上がる。
「由貴っ!」
そのおかげで、ボアネルは自分へ向けられた斬撃を回避することができた。
身体をのけぞらせるボアネル。その鼻先を回転するタイヤブレードが掠めて通り過ぎていく。
「由貴がやられただと!? おのれ、よくも由貴を!!」
パートナーの敗北を強調する物言い。
「来たれ!」
ボアネルは焦った様子で彼方からの来訪者を召喚する。
その異形の剣士は四本の腕を持ち、それぞれに剣を握っている。
「相手が二本なら、こちらは四本だ」
四本の腕が、それぞれ異なる剣筋で同時にウインドゼファーを襲う。
卓越した手腕により逆袈裟と袈裟懸け、左右の切り上げが一斉に向かっていく。
普通の人間なら回避することは能わない。
だが、ウインドゼファーもまた人には能わない。
持ち前の速度で四閃の軌跡をすり抜けるように真っ向から突破していく。
「はっ!」
幹部クラスのオブリビオンなら当然抜けてくる、ボアネルもそう確信していた。
突破位置へ、置いておくように自らの一撃を繰り出しておく。来訪者の攻撃を、ウインドゼファーの進路を限定させるためだけに使ったのだ。
「!!」
読み通りの一撃、だったはずだ。しかしウインドゼファーの姿が、直角に曲がった。
ボアネルの予測以上の速度を持って、彼女は疾駆する。対象を認識しても神経へ信号を伝達しきれないはずの速度。それでも彼女なら避けられる。
「しまっ――」
直角ドリフトから半円を描くようにボアネルへと接近するウインドゼファー。
その腹に車輪剣のタイヤブレードが突きたてられる。
ボアネルが吠えた。
「今だ!」
「おうっ!」
中性的な声が戦場に響く。
由貴のライフルポッドから射出された弾丸が、車輪剣のタイヤブレードを破壊していた。
「なッ!?」
一撃で倒したと認識していた相手からの攻撃に動揺するウインドゼファー。その隙をボアネルが逃すはずもない。
抜かれた来訪者を呼び戻し、四本の腕でウインドゼファーへ縋りつかせる。
「ちぃッ!」
それでもウインドゼファーは繰り出される斬撃を回避していく。
十字切りを下がって避ける。翻る外套。その外套に、別の刀が突きたてられた。
「ッ!!」
刀で外套が地へと縫い付けられる。
刹那の硬直。外套が刃で千切れてウインドゼファーの身体が自由になるまでの僅かな時間。
「放てっ!」
「ターゲットロック! 一斉に撃ち込め!」
その一瞬を、七色の奔流が塗りつぶしていく。
由貴の自律ポッド達による一斉射撃と来訪者の口から吐き出される怪光線。持てる力を全て合わせた砲撃。もうもうと立ち上る煙の中、ウインドゼファーは確実に手傷を負わされていた。
「死んだふりとは……」
「お、気づいた? スティール・ラバーでちょいちょいってな」
由貴は自らが仕掛けた手品のタネを明かす。
衣服に魔力を通し軽量化させ、ウインドゼファーの攻撃と同時に自ら後ろへ跳ぶことで威力を抑え、油断させたのだ。
「そして合図を出すのは色黒の方、と……なるほど、良いコンビのようですね」
ウインドゼファーは改めて車輪剣を構え直す。折れない信念を示すかのように、砕かれたタイヤブレードが再生していく。
「ですが、私は負けません……無限大の欲望を喰らうまでは!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シェルティス・レグナード
レオウ・ヴァナタークと連携
先制攻撃ソードオブダイヤモードは『野生の勘』で相手の攻撃を『見切る』
持ち前の『早業』にて大剣を駆使し『武器受け』しつつレオウを『救助活動』で『かばう』
受けきれないものは『激痛耐性』で耐えましょう
竜巻は『第六感』で発生を感知し『残像』でターゲットを反らします
「行くぜレオ!振り落とされるなよ!」
先制攻撃を凌ぎきったら巨狼へ変身、レオウを乗せ『時間稼ぎ』に専念しましょう
「準備はいいか?よし!一気に離脱する!」
『早業』にて瞬時に脚へ『力を溜め』レオウの攻撃準備が終わったら衛星砲砲に巻き込まれないよう遠くへ『逃げ足』で離脱します
アドリブ歓迎です!
レオウ・ヴァナターク
シェルティスと連携
「オイラはレグを信用してるのだ。」
身体能力が格段に低い、変身していない状態の出撃。
レグにゼファーの初撃を任せて、【人工衛星による超荷電粒子砲】を放つべくモニターがついた銃のようなビーコンをゼファーに向け、強力な粒子砲のチャージを始める。
ゼファーの初撃をレグが抑えたのを確認したら、ビーコンを向けたまま狼化したレグにライドし、とにかくゼファーの追撃を回避する。(回避はレグに依存、レオウはレグにしがみついたままビーコンの向きを決してゼファーから逸らさない)
「あと80%…もう少しなのだ。」
モニターの数値が100%に達したらレグに回避を命令。
喰らうのだ、天から降り注ぐ最大級の矛を!
ウインドゼファーの先制攻撃を前に、次のコンビは違う対処法を取った。
「そこだッ!」
花の足場へと降り立った瞬間、シェルティスは大剣を天高く掲げた。
その大剣へ吸い込まれるように、上空から星が落ちてくる。
「ぐっ……!」
大剣を横に寝かせ、剣の峰に片手を当て、星を――飛翔状態から急降下してきたウインドゼファーを受け止める。
第六感、インスピレーションだった。相手の攻撃を見切ろうと思ったが、まず『視』ることさえできなかった。
飛翔能力を得た者ならば、頭上から攻めてくるに違いない。そう信じて頭上を防御したのである。
衝撃の後、遅れて音が聞こえてくる。ソニックウェーブ、衝撃波が地上のシェルティスと、彼が庇っているレオウを襲う。
「うわぁっ!」
「レオ、しっかり捕まってろよ!」
シェルティスの大剣が、二本の車輪剣に押し込まれる。
タイヤブレードが回転し、大剣を削って火花を散らす。
重力加速度が加わった強烈な一撃に、レオの足元が凹む。陥没してできたクレーター。そこでレオウは、天へと銃口を向けていた。
「シーケン202から512までを省略、エネルギーチャージ開始なのだ……」
シェルティスにしがみついたまま、銃型のビーコンをウインドゼファーへと向け続ける。
「何を企もうと、遅いッ!」
ウインドゼファーは自らの体重をかけるように、更に押し込んでくる。
大剣が抉れ、それを支えているシェルティスの両腕も軋みをあげる。
「うっ、くうっ……!」
「エネルギーチャージあと20%……40%……」
中空、シェルティスとウインドゼファーの頭上に人工衛星の光が輝く。
エネルギーを溜めているその姿は、真紅の月に似ていた。
「朱き月よ!」
シェルティスの肉体が変貌する。人の腕から、巨狼の前足へと組成が作り変えられていく。
「ぐうッ!?」
押していたはずのウインドゼファーが、押し返され始める。
「力では、負けぬ!」
狼の口から響く、地を轟かせるような重低音。
「80%……あと少しなのだ!」
「オオオォォォッ!!」
レオウの声に、シェルティスが雄叫びを上げる。両腕の血管が切れ、鮮血が迸る。
「100パー! レグッ!!」
「ふざけた、力をッ!!」
ウインドゼファーを力比べで完全に押し戻したシェルティス。ウインドゼファーは反動で宙に浮く。
「オォンッ!!」
力を失いだらりと垂れ下がった両腕、シェルティスはレオウの首根っこを咥えると、その場を跳ぶように離脱する。
「I've gotta give it my all!」
刹那、先ほどまでシェルティスたちがいた地点へと赤光の柱が降り注いだ。
レオウが発射を命じた、人工衛星からの極大粒子砲である。
「ぐあああぁぁッ!!!」
ビームは無防備なウインドゼファーを巻き込み、花の足場ごと消滅させる。
「レグ、信用してたのだ」
「あぁ……離脱するぞ」
防御をシェルティスへ完全に任せた、レオウの渾身の一撃。
「おの、れ……」
粒子の奔流の中、ウインドゼファーはそれでもまだ命をかろうじて繋いでいた。
「次の猟兵に任せるのだ」
「ああ。でも、次のやつも油断するなよ、手負いの獣は、手ごわいからな……」
これ以上の継戦はこちらにもかなりの被害が及ぶと判断し、退却する。二人の顔にはやりきったという満足感が浮かんでいた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
雷田・龍子
◎SPD
ウインドゼファーが風を操るなら、私はそれを利用する。
対象の先制攻撃は受けるのではなく【見切り】、対象の力を利用し少しだけベクトルに変化を与え、いなす。
対象の力が強力であればあるほど効果がある。
受けてしまったダメージはアイテム【ドラゴンコイル】で攻撃力に変換する。
対象の先制攻撃に対処出来ても出来なくても構わずUC発動。
私に足場は関係ない。
私は雷を操る。
雷は暴風程度に負けない。
全身を帯電させる。
対象を【催眠術】にかけ惑わせようと試みる。
花の足場を【念動力】で操り、こちらの有利に働かせようと試みる。
対象の攻撃を【見切り】【カウンター】で渾身の【マヒ攻撃】を試みる。
「風雲急を告げるという言葉があるが――」
現れた人影に向け、ウインドゼファーは暴風をぶつける。
「暴風と雷は、龍が現れるのに相応しい演出だろう」
暴風が、霹靂により引き裂かれる。現れたのは、ドラゴニアンの剣豪かつ竜騎士の龍子だった。
身に着けていたドラゴンコイルが暴風を吸収しきれずに火花を散らし、爆発する。
小爆発は龍子の身体に煤を作らせるが、彼女は全く意に介さない。
どのような状況でも、するべきことは決まっていたからだ。
「ウインドゼファーが風を操ろうが、関係ない」
足に、腕に、全身に、龍の気を纏い己を強化する。
ウインドゼファーの霞む目には、龍子の姿がぼやけて見える。
それは全身を帯電させた影響か龍子の催眠術か、それともウインドゼファー自身の負った傷のせいか。
ともかく、ウインドゼファーは龍子の速度についていけなかった。
「雷は暴風程度に負けない」
風よりも、光の方が速い。
雷速で動く龍子に、風速のウインドゼファーは置いて行かれる。
打拳のラッシュを捌き切れない。車輪剣の間隙を縫って、雷の拳が幾度もウインドゼファーの顔を捉える。
「うっ、ぐうッ……!」
その度にウインドゼファーの頭が後ろへと弾け、防御が緩む。
防御が緩めばその分だけ龍子の打撃が増え、サンドバッグと化していく。
「はぁ、は、はぁ……くそッ……こんな、こんなとこ、ろ……でッ!」
「五体万全ならば、また違ったのだろうが……」
それまでの猟兵が与えた痛みが、ウインドゼファーの身体を確実に蝕んでいた。
だからといって、龍子が手心を加えることはない。雷は同情などしない。
「終いだっ!」
全ての触れるものを、平等に焼き切る。
操が開けた左胸の空洞へ、拳を突き入れ、放電する。
「――――」
全神経が、雷で爆ぜる。身体から黒い煙が立ち上り、ウインドゼファーはそのまま背中から地へと倒れ込んだ。
「……これが私の、全力だ」
事切れたウインドゼファーへ、龍子はそう声をかけるのだった。
成功
🔵🔵🔴