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バトルオブフラワーズ⑤〜バトル音ゲーをクリアせよ！

作者：七転 十五起

「みんなっ！　キマイラフューチャーの『バトルオブフラワーズ』もいよいよ佳境に差し掛かってきた頃だけど、『ザ・ステージ』の攻略も忘れちゃだめだからねっ？」
　なぜならば『ザ・ステージ』の戦力を継続的に叩き続けておかねば、オブリビオン・フォーミュラであるドン・フリーダムへの道が閉ざされてしまうからである。
　グリモア猟兵の蛇塚・レモン（叛逆する蛇神の器の娘・f05152）は早速、集まってくれた猟兵たちへ今回の予知の解説を始めた。
「今回は『ザ・ゲームステージ』を攻略してもらいたいんだよっ！　このステージはゲームのデータのようなステージで、判りやすく説明すると、猟兵のみんながゲーム機を操作するのではなく、ゲームの世界の中に入り込んでゲームクリアを目指す必要があるんだよっ！」
　つまり、最近流行のＶＲゲームのような感覚なのだろう。
　体感型ゲームならば、猟兵としての身体能力も充分に発揮できるに違いない。
　して、ゲームのジャンルは何だろうか？
「音ゲーだよっ！　高速で飛来する音符型砲弾を次々とタイミングよく撃ち落とすと、きちんとしたメロディが鳴って高得点をゲット！　撃ち落とす武器は近接武器でも銃火器でも魔法でもＯＫだよっ！」
　なんでも、ベストタイミングになると砲弾が一瞬だけ赤く変色するらしい。
　そのタイミングで撃ち落とすとボーナスポイントを獲得できるそうだ。
「ひとつ撃ち落とすと500点！　ベストタイミングで撃ち落とすと更にボーナスで獲得得点が10倍なんだってっ！　各楽曲10万点獲得でクリア！　……なんだけど、オブリビオンが終盤で妨害してくるよ」
　音符砲弾と一緒に出現し、猟兵へユーベルコードで攻撃を仕掛けてくるのだ。
　しかも集団で襲ってくる上に、戦闘中も音符砲弾を撃ち落とさねばならない。
「音符砲弾を撃ち落とせないと、爆発して思わぬダメージを被るほか、減点1000点になるから注意してねっ！」
　なかなかシビアな戦闘判断が求められるだろう。
「でも、みんなならうまくやってくれると信じてるよ！　自分のやりやすい楽曲で挑戦するのが勝利のポイントっぽい！」
　レモンは猟兵たちの戦闘知識と音感とリズム感を信じ、頭上のグリモアで割れたキマイラフューチャーの『ザ・ステージ』へ転送してゆくのだった。

第1章 集団戦 『模倣怪人ノッペロイド』

POW   :    倒錯のマスク 自身の【なりきっている役柄にふさわしい振る舞い】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。 SPD   :    対策のマスク いま戦っている対象に有効な【役になりきれる絵柄の仮面】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。 WIZ   :    贋作のマスク 対象のユーベルコードを防御すると、それを【使い手の猟兵の顔が描かれた仮面に変換して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。 イラスト：傘魚 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　猟兵たちが『ザ・ゲームステージ』へ転送されてきた。
　ゲームの中に没入するようなステージ、01データの流星群、そして『INSERT THE COIN』という文字が宙に浮いていた。
　……お金取るのかよ。
「んー……、音ゲーはやったことあるけど、武器でって言うのは初めてかな。ノーミスは難しいかもだけどやるだけやってみよー！」
　片瀬・栞（白蓮天弓・f17024）はスマホに模した戦術補助端末『ＪＢ』を起動させると、二丁一対のサブマシンガン『chatter dogs』を異空間から取り出した。
「ん、コインを入れて、難易度はNORMALで、そして曲は……ロック調の激しいやつ、これ！」
　ARスクリーンへ入力を完了させると、片瀬の前方に突然、６門もの砲台が出現！
　イントロが鳴り始めると、砲台から次々と片瀬を狙って音符砲弾が撃ち出される！
「え、こういう感じなの？　うわ、来た！」
　サブマシンガン……通称わんわんで音符砲弾を狙撃すると、片瀬の目の前のARスクリーンに【500p】と表示される。
　どうやら今獲得した点数らしい。
「クリアポイントは10万点だっけ？　これはタイミングを見計らないと……！」
　砲弾が赤く光った瞬間に片瀬は引き金を引いて砲弾を撃ち落とす！
　BLAMEBLAMEBLAMEBLAMEBLAME！
　すると、一気に獲得得点が跳ね上がってゆく！
　赤く光った砲弾は、獲得点数が10倍、つまり【5000p】だ！
「この調子で10万点を目指そう！　よいせっと！」
　片瀬はコツを掴んできたのか、ユーベルコード『エアリアルステップ』で空中多段ジャンプ！
　そのまま狙撃しやすい高度と位置を確保すると、ロック調のＢＧＭに合わせて身体を動かして踊りだす。
　バレット・ダンス！
　だが、銃の欠点は弾切れだ。弾倉（マガジン）をいちいち再装填していたら音符砲弾を浴びまくって減点、片瀬自身も怪我を負ってしまうだろう。
「でも大丈夫！　『ＪＢ』を起動して、よっと！」
　いきなり片瀬は呼び出した異空間ホールにマシンガンごとと突っ込んだ！
　そして再び手を引っ込めると、なんと銃弾が勝手に再装填（リロード）されているではないか！
「一旦『ＪＢ』に格納してすぐ出せば、御覧の取り、リロードは簡単だよ！」
　これによりコンボを途切れさせることなく音符砲弾を撃ち落としてゆく。
　しかし、終盤のラスサビに入ると、砲弾と共にオブリビオン『模倣怪人ノッペロイド』が砲台から射出されてきた。
「今ちょっとノってるとこだから邪魔すんなー！」
　なんだか手段が目的に変化しているがご愛敬。
　多段ジャンプも回数切れになり、あとはどこぞのゲームキャラのように、赤い砲弾へ連続で飛び移って踏み落としながらサブマシンガンによるガン＝カタでノッペロイドを次から次へと射殺してゆく！
　だがノッペロイドも仮面を切り替え、赤い砲弾に擬態して片瀬へ突撃してきた！
　これでは本物の音符砲弾が判別付かない！
「こうなったら、赤い砲弾を片っ端から撃つよ！」
　片瀬が踊る度に銃弾の雨が降り注ぎ、砲弾だろうが怪人だろうが全てが蜂の巣になってゆく。
　そして、ＢＧＭが止まってゲーム終了。
　目の前のARスクリーンには【19500p】と表示され、ファンファーレと共にゲームクリアと表示されていた。
「ん、やったね！」
　猟兵側、まずは大勝利！
　この調子で、このステージの突破に弾みをつけたいところだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　続いて、ルク・フッシー（やると言ったらやる・f14346）が転送されてきた。
「うーん……リズム、ですか……。得意じゃない、ですけど……が、がんばりますっ」
　ルクはダンスよりも絵を描くことが好きな内向的なドラゴニアンの少年だ。
　それでも、このステージをクリアしようという意気込みは充分だ。
「えっと……ゆっくりしたピアノの旋律の曲がいいです……」
　難易度はＥＡＳＹだが、油断は禁物だ。
　流れてきた楽曲は、有名なクラシック音楽。
　ゆったりとしたテンポに合わせて、音符砲弾が飛んでくるのはなかなかシュールである。
「が、頑張ります……！」
　ルクは早速、ユーベルコード『花宴描画（フラワーズ・ドロー）』を発動。
　愛用の特大絵筆を振るうと、飛び散った塗料が花びらになって空間に描かれてゆく。
　その花びらに砲弾が命中すると、獲得得点の数字と共に消滅してゆく。
　描いた花びらに当たり判定が発生しているのだ。
「……ふぅ……綺麗な曲……」
　ピアノの旋律に聞き惚れながら、ルクは自然と身体が動いてゆく。
　その動きはまるで見えない意思に操られてゆくかのようだ。
　完全にルクは砲弾を見ていないにもかかわらず、描いた花びらに音符砲弾が吸い込まれるように、しかも赤くなるタイミングの位置で撃墜されてゆくのだ。
　もはやルクの天性の芸術センスが為せる奇跡ともいえよう。
「……はっ！　なんだか曲に集中しちゃって、砲弾を全然見てませんでした……！　って、あれ……？　でもいい感じで得点が増えてる……？」
　気が付けば、余裕に10万点は突破しており、もうすぐダブルスコアの20万点に手が届くところだった。
　ルクはこの要因をすかさず察知した。
「そ、そうか……リズムに乗るのが大切……なんですね」
　新たな描き方を知ったルクは、すかさず会得した方法で踊るように花びらを絵筆で咲かせてゆく。
　空間に咲いた花吹雪、そして音符砲弾がぶつかると、荘厳なピアノの旋律で辺りが満たされていった。
　しかし、それを邪魔しようと砲弾に紛れて飛来してくるオブリビオン『模倣怪人ノッペロイド』たち。
　怪人たちは空間に描かれた花びらを掻い潜ると、真っ白な仮面にルクの顔が浮かび上がったではないか。
　それを一斉に被った怪人たちもまた、空間に花びらを描いてルクへと差し向けてゆく！
「……あ、オブリビオン……！　で、でも、ボクは負けません！　真似っこは、駄目なのです……！」
　ルクは特大絵筆をフルスイングすると、飛び散った塗料を花びらに変えて花吹雪にして吹っ飛ばした！
　横一文字になぎ払われたそのひと振りは、迫りくる怪人の花びらの絵を塗り潰し、音符砲弾を撃ち落とし、怪人たちの身体までも掻き消していった！
「それ……っ！　舞い上がる花びらのように、攻撃しますっ！」
　ブンブンッと何度も特大絵筆を左右に振り回して、怪人たちの仮面を次々に塗りたくって撃破してゆけば、いつの間にかゲームをクリアしていたルク。
　この戦いで、新たな可能性に目覚めた、かもしれないルクの活躍により、猟兵たちはこのステージを半分まで制圧することに成功した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　順調にステージを制圧し続ける猟兵たち。
　今度は水島・可奈（少女自由に夢幻を掴め・f01117）が転送されてきた。
　だが、ステージの概要を改めて確認した水島は、途端に苦笑いをした。
「えーと、これ、UDCアースのゲームセンターで前に見たことある……銃で音符撃つやつだ……」
　そんな筐体が昔あったなぁ……と遠くを眺める水島。
　早速、コインを入れてゲームを起動させた。
「とりあえず、私はこの、えくす、とりむ？？　なにこれ？　なんて読むの？　よく判らないけど字面がカッコいいからこれにしよっと」
　おい待てそれは地獄の入り口だぞ！
　しかも選曲がよりによってフューチャーベースとか死ぬ気かコイツ！？
　案の定、水島の目の前の砲台が、一気に、３倍に増えた。
「なんでーっ！？」
　だってそれ、最高難易度……。
　しかも連符の多いフューチャーベースだから余計に……！
「え、ちょ、もはや弾幕……っ！？」
　破れかぶれで水島は二丁の愛銃『パープルフォース』と『ブルーローズ』を構えて、ガン＝カタめいて砲弾を撃ち落としてゆく！
　なんとか打ち漏らしは阻止し、得点がマイナスへ食い込むことだけは防ぐことが出来た。
「これは、腕が２本だけじゃ足りない……！」
　やむを得ず、ユーベルコード『エレクトロレギオン』を発動させ、155体の小型戦闘機械兵器を召喚！
　横一列に配置し、絶え間なく押し寄せる音符砲弾の波を攻撃し続けさせる水島。
　次第に砲弾の上をサーフィンのように飛び取ってオブリビオン集団が飛来！
「ああ！　もう邪魔っ！　機械兵器たち、時間稼ぎよろしく！」
　水島の指示を受けた待機中の機械兵器たちが、一斉に怪人たちに飛び掛かって砲弾から蹴落としてゆく！
　怪人たちが『エレクトロユニオン』をコピーする前に、機械兵器たちは仮面を粉砕して怪人を最短手数でノックアウト！
　その間に、津波のように浴びせられる音符砲弾を、水島は半泣きで撃ち落としていた。
　流石に後半の初見殺しゾーンで被弾しつつも、終わってみれば、獲得点数は10万500点。
「ギ、ギリギリだった……！」
　どうにかクリアした水島の活躍によって、また一歩、猟兵たちはステージの制圧実現へ一歩を踏み出したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　いよいよ、このステージも終盤。
　締めを飾るのは女武者の鍋島・小百合子（朱威の風舞・f04799）だ。
「いつぞやの“げーせん”の時を思い出せばよろしいのじゃな」
　それはUDCアースで子供たちの失踪事件を追っていた際に体験した異世界の射撃遊戯。
　あっさりとコツを掴んでハイスコアを叩きだしたあの日の感覚は、今も鍋島の身体がしかと覚えている。
「では参ろう。ここに硬貨を入れるのじゃな？　ふむ？　……難しさを決める際の文字が読めぬが左端のこれでよいじゃろうか？」
　そこには『ＥＡＳＹ』と書かれていた。
　鍋島に運が味方した。
　誤って『ＥＸＴＲＥＭＥ（最高難易度）』を選んでしまわずに済んだようだ。
「ほう！　多種多様な曲目が揃っておるのじゃな？　おや、この曲は聴き慣れた感じで趣深いのじゃ。して、思い思いの武装で臨むのならば、わらわは弓で推して参る！」
　鍋島が選んだのは、和琴の旋律が美しいスローテンポな楽曲だ。
　音符砲弾の数はそこそこ多いが、飛来する速度がかなりゆっくりな初心者向け楽曲を直観で選んでいた。
　今日の鍋島は、幸運の女神に愛されているようだ。
　音楽と共に音符砲弾が順々に山なりの軌道を描いて鍋島目掛けて飛んできた。
　かなりゆっくりであるため、赤く輝く瞬間が掴みやすい。
　鍋島は難なく赤く輝く砲弾を射抜いて高得点を次々に獲得してゆく！
　だが、初見殺しゾーンとして、いきなり３連符が５回続く！
　弓の弱点は次弾の装填速度だ。どうする、鍋島？
「この程度は想定済みじゃ。わらわの弓の腕前を見くびるなかれ！」
　なんと鍋島、一度に３本の弓を番えると、それを一斉に放った！
　３本の矢は見事に目標へ全弾命中、一気に15000点獲得だ！
　この後も、残る４回の三連符も、鍋島の卓越した技量により、文字通り矢継ぎ早に処理をしてゆく。
　中盤を超えたところで、ここでオブリビオン集団が出現！
　ノッペロイドたちは氷の仮面を被り、自らの身体と音符砲弾へ氷のバリアを展開！
　これでは矢が弾かれてしまいかねない！
　しかし、鍋島は自らの勇気の心を燃やすことで、これを打開せんと試みる。
「我は燃やす己が胸の内にある勇炎の心……！」
　鍋島の手の中に現れるのは、勇気の発現にて生みだされた火矢の束だ！
　それを一度に複数本、弦に番えて狙いを澄ました。
「爆ぜよ！　これがわらわの遊び心じゃ！」
　大量の音符砲弾に群がるノッペロイドたちへ火矢を放てば、着弾するたびに爆発を起こして、音符砲弾ごとノッペロイドたちを吹き飛ばしていった！
　そして一度に赤い音符砲弾を吹き飛ばしたことによりコンボが発生、大量に得点を獲得！
「どこぞの世界で聞いたことがあるのじゃ。『芸術は、爆発がが如し』とな？」
　それを体現した鍋島は満足げにARスクリーンを眺める。
　ちょうど音楽が鳴り止み、ゲームが終了する。
　結果は、１７万５５００点！　ステージクリア！
　これにより、猟兵たちはこの『ザ・ゲームステージ』の制圧に成功した。
　いよいよキマイラフューチャーの戦争は大詰め。
　黒幕との決戦が猟兵たちを待ち受けている……！

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年05月24日