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バトルオブフラワーズ⑪〜突風爆速ウインドゼファー

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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 猟兵たちはエイプモンキーに続きラビットバニーをも下し、破竹の勢いで戦場を駆ける。
 しかしその速き進軍を疎ましく思う者が存在していた。
「それが今回の関門となるスピード怪人『ウインドゼファー』っスね」
 ホワイトボードに描いたサルとウサギの絵にバツ印を上塗りしていた文坂・いち子(人間のサイキッカー・f13991)が猟兵たちに振り返り顔を見せる。
 ウインドゼファーは先のエイプモンキーやラビットバニーの想像を創造する、あるいは絶対無敵バリアのような一見すると『ズルい能力』を持っているわけではない。
「ただただ速い。これに尽きるっスね。ああでも勘違いしないで欲しいんスけど、速いっていうのは厄介なわけなんスよ」
 その名の通り風を自在に操り、体の各所にオートバイを思わせる装備品を身に着けている見た目からして「あ、こいつ速いな」と相手に強い印象を与える恐るべき怪人である。
 外見のイメージだけでなく、その速さは本物。
 ウインドゼファーに先んじて攻撃を成功させられる猟兵は残念ながらいないだろう。
 暴風を操り、あるいはシステム・フラワーズ内に形成された花の足場を吹き飛ばすように崩してきたり竜巻を放ってきたりするだろう。
「なので、必ず相手の動きにどう対抗するのかを考えておかなければいけないっス!」
 ちょっとやそっとのテクニックや技量では負けてしまうかもしれない。
 しかし、それを上回る何かがあれば決して後塵を拝する相手ではないはずだ。
「ちなみに彼女……」
 ふと気づき、「ウインドゼファーは女性みたいなんスけど」と補足するいち子。
「何やらドン・フリーダムは無限大の欲望を使ってヒトを怪人にしたりだとか、その欲望を喰らい尽くすだとか不穏な言葉が出てきているようっスけど……何はともかく倒してしまえば悪巧みなんてできないっス!」
 いち子はホワイトボードを隅の方へガーっと押しやると。
「きっときびしい戦いになるっス。でもそれもきっとあとちょっと。皆さんの活躍を期待しているっスよ!」
 力強く親指を立てながら猟兵たちを戦場へと転送するのだった。


黒柴好人
 風の強い日に空を仰ぎ物憂げな表情をしたい。
 黒柴です。

 ウインドゼファー戦は次の点に注意してプレイングの作成をお願いします。
====================
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
====================

 それではよい風との戯れを!
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

二子塚・たがや
※多賀哉人格

速いだの風を操るだの関係ねぇ…

オブビリオンなら、ぶっ潰すだけだろうが…!


とはいえ敵の攻撃は余程の小細工じゃなけりゃそう簡単には避けられねえか

だがそれならむしろ迷わずに、首断散華での【武器受け】での受け止めに徹するだけだ

クソ面倒だが【怪力】【ダッシュ】での攻撃威力の相殺もやってみて【時間稼ぎ】しつつ、敵の動きを【学習力】で出来る限り察せるようにしとく


一度でいい…敵の攻撃方向が読めたら、後は首断散華の刃を敵に向けとくだけだ


…その速さで、敵が向こうから真っ二つになりに来た後は、敵が刺さったままの首断散華をそのまま全力で叩きつけてやるよ

…敵に【殺気】で徹底的に【恐怖を与え】ながらな



「速いだの風を操るだの関係ねぇ……」
 二子塚・たがや(追究者面・f04972)には二つの貌がある。
 穏やかな研究者としての『タガヤ』、そして。
「オブビリオンなら、ぶっ潰すだけだろうが……!」
 今の彼、オブリビオンに対して尋常ならざる憎悪を持つ攻撃的な『多賀哉』。
 殺意を剥き出しにしたような無骨で巨大な鉈様の得物、首断散華で空を薙ぎ、システム・フラワーズに咲き乱れる花々を散らす。
「敵に抱く感情を隠さない、狂犬といったところでしょうか」
 少しの間合いの先には肩の力を抜き堂々と佇むウインドゼファー。
「成る程。少しは向き合う相手への恐怖の与え方を知っているようですが、その程度の気迫で私が怯むとでも?」
「いいや、安心したぜ。ご自慢のスピードで逃げられでもしたらこの手で潰せなくなっちまうからな」
 多賀哉が放つ……いや、隠しきれずだだ漏れになっているかのような殺気にも微動だにしないウインドゼファーは、やはりそう簡単に叩きのめすことのできる相手ではないようだ。
 勿論多賀哉もそれは理解している。多少の小細工は通用しないと。
 だからこれは。
「いいでしょう。ならば逃げ惑うのは貴方の方だと理解させてあげましょう」
 挨拶代わりの撒き餌だ。
「見せてみろよ、テメェのスピードをよ……!」
 言うや、気を抜けばその瞬間に吹き飛ばされてしまいそうな暴風が多賀哉の全身を打つ。
 刹那、ウインドゼファーの姿が消えた。
「!」
 消えたと認識した次の瞬間にはウインドゼファーは多賀哉に肉薄していた。
(「速ぇ……!」)
 そのスピードを維持したままタイヤに無数の刃が埋め込まれた丸鋸のような武器を振るうウインドゼファーに、しかし多賀哉は鉄塊のような首断散華を盾にして凌ぐ。
 超スピードを保ち飛行するウインドゼファーは、攻撃しながら通り過ぎるとすぐさま転換し、二度三度と多賀哉に襲いかかる。
 まばたきなど出来ようもない。忙しなく眼球を動かし、血眼になりウインドゼファーの行方を追う。
「おらぁ!!」
 何度目かの一撃に、ついに多賀哉は反応する。
 インパクトの瞬間に力の限り押し返し、衝撃の相殺を試みたのだ。
 僅かな抵抗。
 それはウインドゼファーからしてみれば児戯に等しい可愛らしい反撃に見えただろうか。
 多賀哉は最早この程度しか反撃の術がないのだと。この速さを追うだけで精一杯ではないか。ならば攻撃の手を緩めることはない。このまま速さに溺れ沈めてしまえばいいと。
(「……そう思ってるなら都合がいいってもんだな」)
 一体何度の火花が両者の間に散っては消えたか。
 火打ちの石は、突然に崩れる。
 多賀哉の盾は、矛に変わった。
 鋭く目を光らせた多賀哉は、ある瞬間に首断散華の刀身を素速く回転……即ちウインドゼファーに刃を向けるように構えたのだ。
「何!?」
 気付いたウインドゼファーは高速飛行中に武器を交差させ自らの身体が両断されないように受け止める。
 が、それこそ多賀哉が待っていた瞬間だった。
「ブンブンとうるせぇ、そのまま潰れてろ……!!」
 ただ振り回しただけでは当てられる筈もない単純な力の放出。
 受け止めた姿勢のままのウインドゼファーが逃げる間もなく地面へと押し潰す。
「ぐあっ……!」
 花の地面が大きくへこむ程の衝撃は、しかし致命打とはならなかったようだ。
 全力で首断散華を弾き、ウインドゼファーは離脱した。
「逃げるのはテメェの方だったな」
 赤い仮面で表情はわからないが、悔しさに満ちていることは確かだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
敵攻撃に備えるため戦場を選ばないといけないわね。
なるべく高低差のある所を選んで、敵のスピードを阻害するようにするわ。
上下方向に逃げ場が多くある場所が良いわね。

地の利を活かしてスピードを阻害しつつ先制攻撃のソード・オブ・ダイアモードは見切り13と、武器受け15を使って回避・あるいは受け流し。
2本の攻撃を凌げば、スナイパー32、誘導弾19つきのユーベルコード【マルチプルバレット】。
狙い撃ちした誘導される33レベル×5本=165発の【雷】属性の【銃弾】の雨、よけられるものならよけてみなさい。

「雨の中をいくら走っても、当たる雨粒は同数なのよ?」



「この地形は……成る程、考えたものですね」
「私は決してあなたを侮ってはいないと理解してくれたようね」
 ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は起伏に富んだ足場にウインドゼファーを誘引していた。
 直線的な地形ではないという点は、それだけでウインドゼファーは不利になるとヴィオレッタは考えたのだ。
「勢いよく突っ込んでくれば坂道に沿ってどこか遠くへ飛んで行ってしまうのは確かよね?」
「私を子供の玩具のようなものだと思っているのですか?」
「正直、似たようなものだとは思っているわ」
 ヴィオレッタのあっけらかんとした応えに笑うように肩を小刻みに動かすと、ウインドゼファーは全てのタイヤを高速回転。ソード・オブ・ダイアモードと呼ばれる形態に移行する。
「この姿を甘く見ないでいただきましょうか!」
 嗤う竜巻。
 そう謳われる暴風の猛威は、しかし地形を無視したり貫通するほどのものではない。
 起伏とヴィオレッタの優れた観察眼による的確な回避行動により、相手の先制攻撃を最小限の被害に留めることに成功した。
 しかし攻撃を切り抜けた瞬間こそがスタート地点。
「そのように逃げ回るだけでは私には勝てないと知りなさい!」
 風を纏いながら地形に沿って駆けるウインドゼファー。
 自らの体を風の力で押さえつけ、あらぬ方向に吹っ飛ぶことを防いでいるのだ。
「確かに逃げてはいたけれど」
 ヴィオレッタは美しい合成弓を天に掲げると、
「次はそちらの番よ」
 光の束を迸らせた。
 その光は……いや、ただの光ではない。雷の銃弾、それもとてつもない密度がより合わさっている。
「雷を逃げる隙のない雨のように降らせ、制圧するつもりですか。ならばその範囲から離脱してしまえば……」
 ウインドゼファーははたと気付く。
「高速で移動していると周囲の認識があまくなる、ということね」
 今、ウインドゼファーは『窪地の中』にいる。
「まさか、私が誘導されていたのですか……!?」
「私が単に上下方向へ逃げていただけだと思っていたようだけど、高低差がある地形はこうして攻撃にも使えるのよ」
 椀の中にシャワーを注ぎ込む、と想像すれば状況を飲み込みやすいだろう。
 飲み込んだウインドゼファーの心境までも解るかもしれない。
「狙い撃った誘導する165発の雷の雨、よけられるものならよけてみなさい」
「これしき…………!!」
 タイヤを高速回転させ、受ける衝撃を緩和させながら地を駆るウインドゼファー。
「雨の中をいくら走っても、当たる雨粒は同数なのよ?」
 それは傘を強風に吹き飛ばされ、雷雨の中を逃げ惑う様にも似ていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋薙・冬香
「風も嫌いじゃないのよ?」
想いを乗せた一陣の風は何よりも速いでしょう
勝手なシンパシーなんていらないでしょうけど……
せめて正々堂々貴女の風を超えていくわ

ウインドゼファーの前に立ったら即座に血統覚醒
ゼファーの動きについていく下準備
先制攻撃を完全回避できるほどのテクは持ち合わせていないけど
血統覚醒の強化と同時に早業のように残像を作り出し撹乱
ゼファーが外してくれたら御の字
そうじゃなかったらギリギリまで動きを見切ってダメージを軽減させる咄嗟の一撃をお見舞いするわ!
今度は私の番ね
「私の炎、貴女の風で消せるかしら?」
『血筋に眠る浄化の炎』で反撃よ!
ひとつずつ操って時間差による波状攻撃
当たるまで何発でも!



「風も嫌いじゃないのよ?」
 緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)は真正面からウインドゼファーと対峙する。
 古い友人に会った時のようなどこか懐かしげで寂しそうな顔で……。
「嫌いではない……ですか。しかし今から嫌いになりますよ」
「そう、少しはシンパシーを抱いたものだけれど……残念ね」
 小さく息を吸った冬香は――別人と化した。
 ヴァンパイアとして覚醒した冬香は漂う風に赤黒いオーラを交えるが如く、相対する者にえも言われぬ存在感を示し出す。
「せめて正々堂々貴女の風を超えていくわ」
「敵にしては天晴れ、とでも言いましょうか。後悔しても遅いですが、ね!」
 ウインドゼファーの加速は一瞬。
 常人の知覚を超える速度が迫る。
 死が見えない速度で飛んでくるのだ。恐怖しないわけがない。
 しかし冬香は、それでもウインドゼファーの動きについていく覚悟を揺るがさない。
「このスピードを完全に避けるほどのテクはないけど……!」
 目を見開くと同時に冬香が何人にも増えた。
 正確には冬香が生み出した残像なのだが残像体も殆ど本体と見分けが付かず、増えたと表現してもあながち間違いではないだろう。
 高速で飛行するウインドゼファーにしてみれば、これ程厄介なものはない。
 広範囲に渡り何人もの冬香が一斉に出現したのだ。
 本体を叩けばいいというのは理解しているだろうが、いや、そうだ。
 ならば超高速で「全てを破壊すればいい」だけのこと。
(「とでも思っていそうな動きね」)
 次々とかき消される残像。
 冬香も次々と残像を残していくが、そう遠くない内に追いつかれて本体を攻撃されてしまうだろう。
(「守ってばかりもそろそろ退屈してきたところだし……」)
 行動を起こせるのは僅かな瞬間。
 一瞬でもタイミングが遅れる、あるいは早ければ悟られてしまう。
 ウインドゼファーが残像に接触した――今!
「さあ、私の番ね」
 20は超える緋色の炎。
 本体の冬香から一斉に放射されたそれらは、それぞれを冬香の思うがままに操ることができるのだ。
「かくれんぼは終わりですか?」
「そうね。次はおにごっこなんてどうかしら」
 炎は追う。1つ目が外れ、2つ目がかき消され、3つ目は叩き伏せられ。
「さあ……私の炎、貴女の風で消せるかしら?」
 4つ目、5つ、6つ……。
 軌跡で紅く染まった空の中、浄化の炎は一度、二度とウインドゼファーの身を焦がし出す。
「っつ!」
 操ることのできる限界の数を撃ち尽くして、それはまだ宙に佇む。
「……少し浅いようね。それでも、まだ!」
「侮っていたつもりはありませんが、しかし、認識を改める必要がありますね」
 紅い炎の冬香と黒く煤けたウインドゼファー。
 両者は今再び同じ目線で対峙した。

成功 🔵​🔵​🔴​

火霧・塔子
世界のシステムをブッ壊す、なんだか反逆イズムを感じますね!
でもですね、自分達の作った社会システムを気に入らなくなったからポイなんて『悪しき統治』です! 許しがたしです!

「嗤う竜巻」に対してUCを【一斉発射】です!
風の供給とはすなわち酸素の供給! これで火炎瓶の炎はより強く燃え上がります!
さすがに竜巻が直撃したらかき消されてしまいそうですが、私の炎の"長所"は延焼力。花びらに燃え移り、舞い燃える炎全ては消し切れないでしょう!
直撃を免れた炎は風を吸って大きくなり、辺り一面火の海にしちゃいます!

ぜファーさんのことは好きにはなれませんでしたが、内燃機関がありそうで良く燃えそうなところは素敵ですよ?



「世界のシステムをブッ壊す、なんだか反逆イズムを感じますね!」
 叛逆センサー何かが引っかかったのか、微妙に鼻息の荒い火霧・塔子(火炎瓶のヤドリガミ・f16991)。
「ふむ。すると貴女は私を見逃すのですか?」
「いえいえそんなまさか! 自分達の作った社会システムを気に入らなくなったからポイなんて『悪しき統治』です! 許しがたしです!」
「理解を得ようとは考えません。私達が気に入らないのならば……力で止めてみせるといい!」
 ウインドゼファーは全てのタイヤを全力で回転させ、『車輪剣』を振るう。
 回転の力は風を巻き込み、それは僅かな時間で竜巻へと成長した。
 嗤う竜巻と呼ばれるそれは、強大な破壊の力を渦巻きながら塔子へと迫る。
「きましたね! 風の供給とはすなわち酸素の供給!」
 しかし塔子は防御でも回避でもなく、どこからともなく顕現させたあるものを手の中に握り締めた。
「これで炎はより強く燃え上がります! そう、この火炎瓶の炎が!」
 自らを火炎瓶のヤドリガミと呼称する塔子の反逆心の現れこそ、この数え切れない程の火炎瓶の投擲である。
 火炎瓶は一般的に瓶状のガラス容器の中にアルコール度数の極めて高い酒や可燃性のオイルを満たし、容器の口の部分から芯となる布などを入れ、それによく中の液体が染み込んだところで着火。火が付いた状態のものを目標へと投げつけることを目的とした簡易的な焼夷手りゅう弾である。
 芯に灯された火は強風でもほぼほぼ消えることがなく、瓶が割れると中に入った可燃性の液体が飛散し、周囲を燃やし尽くす。
「火炎瓶、ですか」
 竜巻の後を追いかけるようにして進んでいたウインドゼファー。
 その周囲に次々と火炎瓶が放り込まれていくが、焦る様子はない。
「いくら炎に囲まれようとも、風を一点に集中させれば鎮火は容易いものですよ」
「確かに竜巻や圧縮された強風が直撃したらかき消されてしまうでしょう。しかし、私の炎の『長所』は延焼力!」
「む、これは……!」
 着火されているのはただの炎ではなく延焼性の高い魔炎。
 ひとつの火炎瓶が割れれば、たちまち辺り一面炎の海と化す。
 魔炎がウインドゼファーの竜巻を囲むと、炎が上昇気流を生み出し更なる巨大な火柱が形成される。
「馬鹿な! 自分もろとも焼き尽くすつもりですか!!」
 炎は舞い散る花びらにまで燃え移り、さながら弾丸のようにウインドゼファーを打つ。
「悪しき統治を挫くには、これしきのリスクを乗り越えなければです!」
「覚悟を甘く見ていましたか……くっ!」
 やがて破裂したかのような大きな炎の渦がウインドゼファーを飲み込んだ。
「ぜファーさんのことは好きにはなれませんでしたが、内燃機関がありそうで良く燃えそうなところは素敵ですよ?」

成功 🔵​🔵​🔴​

片瀬・栞
なんか上手いトコ利用されてる感がするけどねこのゼファーって子
ともあれ今は邪魔になってるんだからなんとかしないと

>行動
【POW】アレンジ共闘歓迎
敵の先制攻撃は【気合】で【ダッシュ】しヘッド【スライディング】で避ける!
こればっかりだなあたし!でも他に手はない。全力で避ける!

サブマシンガン掃射して【なぎ払い】
避けられるのは承知。

不利を装い…いや、実際不利なんだけど
こっちに直線的に向かってくるタイミングを測る。
そこでフラッシュバンを後ろ手に後方へ投げて【目潰し】。
「音速は超えても光速は超えないでしょ!JB!とげとげ!あといばら!」
怯んだ隙にUC【バンダースナッチ】
絡めてショットガンを近くから撃ち込む



 片瀬・栞(白蓮天弓・f17024)は全力で走っていた。
「とぉりゃあああああ!!」
 何かを察し、地面に上半身からダイブし滑らせる。
 ヘッドスライディングが決まったのと同時に栞の背中ギリギリの位置を何かが超高速で横切っていく。
「こればっかりだなあたし! って、止まったらダメだった!」
 うつ伏せの状態からころころと前進しつつ立ち上がると、全身に花びらがまとわりつくことも気にする暇もなくまた走り出した。
 栞は持ち前の健脚となかなかの気合……だけでウインドゼファーの暴風飛翔攻撃を避け続けていた。
 どう考えても無謀だが、
「どう考えても無謀でしょ!」
 まあ、実際その通りで。
(「なんか上手いトコ利用されてる感がするけどねこのゼファーって子……っとお! 今はあんまり考えてるヒマはないよね!」)
 ボテボテな内野ゴロでもどうにかセーフにできるくらいの速力とヘッドスライディングでもう一度攻撃を避ける栞は、通り過ぎたウインドゼファーに向けてサブマシンガンを掃射する。
 舞い飛ぶ花びらには幾つかは当たっただろうが、肝心のウインドゼファーにはかすりもしない。
(「モチロン、そんなのは承知。むしろ当たったら自分の才能が怖いくらいだよね」)
 栞の作戦は次のフェーズに移っていた。
 そう、今までの不利な状況は相手を油断させるフェイクだったのだ!
「いや、実際不利なんだけど……さておき!」
 ウインドゼファーは未だ空を飛び、すぐにでも栞に襲いかからんと様子を見――いいや、これはもうこちらに向かってきているのでは。
「きた!」
 栞は完全に足を止めてしまっている。
 これではスライディングもできず、ただただシューティングレンジのターゲットのように黙って風穴をあけられるだけになってしまう。
 ウインドゼファーの軌道は真っ直ぐ。真っ直ぐだ。
 しかし手を背中側に回し立つ栞は、笑っていた。
 ――世界が光った。
「!?」
「音速は超えても光速は超えないでしょ! JB! とげとげ! あといばら!」
 僅かに姿勢が崩れ、進路がブレた……そのすれ違いざまに戦術補助端末から武器を呼び出し散弾の雨あられととげとげしい鉄球を投げつける。
 光の正体はフラッシュバン。スタングレネードとも呼ばれる円筒状の手投げ弾であるが、殺傷能力はほぼない。その代わりに強烈な閃光と耐え難い爆音を放出する。
 直視した者、有効範囲内にいる衝撃対策をしていない者の視覚と聴覚を一時的に奪い、方向感覚などを喪失させるのだ。
 バンダースナッチでウインドゼファーを絡め取った栞は、ショットシェルを撃ち尽くすまで散弾を発砲し続ける。
「うぐあ……ッ! な、何も考えていなさそうな少女だと思いましたが……なかなかにやるものですね……!」
「ん? 今とても失礼なコトを言ったよね?」
 栞はJBに追加の武器を要請するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナイ・デス
無限大の欲望を前に、過去と同じ滅亡か、喰らい尽くして別の結果か
勝ち目があるとしても……
自分達だけでなく、今の全てまで賭けられては、困ります

オブリビオンであるならば、どちらにしろ、世界は滅ぶでしょうし

素早い敵の動きを【第六感】で察知して、視認
暴風を防ぎ切れないのは【覚悟】
意識を失ったり、視線を外さないよう【オーラ防御、かばう】
手足を失っても【念動力】で武具操り防御して
【激痛耐性】で耐え
『フェイタルムーブ』
瀕死の肉体をその場に捨て、新しい肉体に意識を
敵死角からの【暗殺】
【鎧無視攻撃、傷口をえぐる】刃を通して急激に力を奪う【生命力吸収】
倒せなくても、後に影響するダメージを

邪魔はされて、当然でしょう?



「無限大の欲望を前に、過去と同じ滅亡か、喰らい尽くして別の結果か……」
 白く長い美しい髪に赤い瞳の――推定少年、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は感情の読めない表情のままウインドゼファーに語りかける。
「勝ち目があるとしても……自分達だけでなく、今の全てまで賭けられては、困ります」
「困る、ですか。困るだけならば今すぐこの場から立ち去りなさい」
 強い口調で警告するウインドゼファー。
 ナイは小さく首を振り、その意思がないことを表す。
「オブリビオンがやることであるならば、世界は滅ぶでしょうし。それは私も見過ごすわけにはいきません」
「……なるほど。では、死ぬかもしれませんよ?」
「色々な犠牲の果てに得ようとする欲望がそれほど大事、ですか」
「……」
 ウインドゼファーは両腕を広げると、自らを中心に荒れ狂う風を纏った。
 暴風は鋭い槍のように、しかし理性を失った獣のようにうねり、不運にも直撃した花の地面に穴を穿つ。
「この風の力を見てもなお、私達の邪魔をするのですね」
 ナイは返答の代わりに一歩、ウインドゼファーへと足を踏み出した。
「愚かな……!」
 ナイの傍の地面が爆ぜ崩れる。
 ナイは武具を構え、一歩進む。
 鋭い風の鋒が頬を掠める。
 視線は外さずウインドゼファーを捉え続ける。
 防御を固めた身体に横殴りの突風が直撃する。
 弾き出された先で地面を削り取りながら直進してきた風に煽られ。
 紙切れのように舞った肉体は乱杭に吹き荒れる暴威に弄ばれ。
「何という精神力……」
 しかしナイは意識を失うことなく、守りを崩さない。
 だが。
 もう耐えられまい。
 直接手を下すことなく、ナイの命は尽きるだろう。
 ……見たことか。遂に四肢は力なく投げ出され、地面に落ちた。
「斃れましたか。強い意志を感じましたが、それならばなぜ何もしなかった……?」
 何も出来なかっただけか?
 しかし……と、不思議に思いながらウインドゼファーは徐に背後を振り返る。
 振り返ることはできなかった。
「邪魔はされて、当然でしょう?」
 今し方死したであろうナイが自分に組み付いているではないか……!
 フェイタルムーブ。
 ナイは仮初の肉体が瀕死になったとき、それを放棄することで新たな肉体へと意識を移し、相手の死角となる位置から攻撃を加えることができる……自己の犠牲あっての一手を持ち合わせていたのだ。
 装甲の間に突き刺した刃を抜き、ナイはまた正面に立つ。
 生命力をも吸収され、片膝を折るウインドゼファー。
 覚悟があるのはウインドゼファーだけではない。
 猟兵は、ナイは全てを賭して世界を護るために花の大地に立っているのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ゼット・ドラグ
「さあ、勝負と行こうぜ、ウィンドゼファー!」
相手の先制攻撃に対して自分のバイクである【ドラゴンチェイサー】を盾にして凌ぐ。
先制攻撃を凌いだら、左手首からミサイルを発射し、爆風と爆炎で相手の暴風の弱体化と視界を遮るように立ち回りつつ、相手の隙を伺う。
相手が隙を見せ、暴風が弱まっていたら右手の【ギガンティックハンド】による【怪力】で【ドラゴンチェイサー】を投げつけ、後を追うようにジャンプ。
バイクを躱したり、弾いたところで【ドラゴンチェイサー】をバスターブレイド形態に変形させ、【ディスコード「地裂断」】を放つ。



「さあ、勝負と行こうぜ、ウインドゼファー!」
 ゼット・ドラグ(竜殺し・f03370)は彼が『ドラゴンチェイサー』と呼ぶバイクに跨り、爽やかに親指を立てた。
「ほう、まさか私にスピード勝負を挑むつもりですか」
「そんなところだ! 遠慮なくかかってこい!」
 その言葉がシグナル代わりとばかりに、ゼットは飛び出した。
 ウインドゼファーは暫くゼットの背中を目で追い、やがて宙に浮かぶとバイクなど目ではない速度で後を追った。
 数秒も掛からずにゼットに追いついた、いや追い抜いたウインドゼファーは相対距離数十メートル程の距離で反転すると――。
「うおっ、速!」
 ゼット目掛けて正面から突撃してきた。
 車輪剣がゼットの頭にめり込む……寸前、バイクから飛び降り車体を横に向け、その影に隠れる。コンマ何秒といった差で激しい金属音が響く。
 普通のバイクであれば木っ端微塵、ゼットもバラバラになっていたかもしれないほどの衝撃が盾にした車体から伝わってくる。
「ギリギリだったな。けどその超スピードでも俺のドラゴンチェイサーは一発では壊せないことがわかったぜ!」
 そっと顔を覗かせると更なる追撃が迫り、慌てて顔を引っ込めるゼット。
「このままじゃただ的になるだけだな。なら、コイツで……!」
 車体から左手を伸ばし、手首を曲げる。
 すると発射口のようなものがあらわれ、ミサイルが射出された。
 サイボーグならではの意外性のある攻撃だが、狙いを付けたのはウインドゼファーではない。
 周囲の地面に向けて放たれたミサイルは着弾と同時に爆発。
 生じた爆炎と大量の煙がゼットを包み隠した。
「……煙幕のつもりですか。考えは理解しました」
 視界が煙で覆われれば、さすがのウインドゼファーも一度止まらざるを得ない。
「しかし、無駄なあがきであると言わせて貰いましょう!」
 風を操るウインドゼファーに煙幕は無意味である。
 数秒もせずに煙や炎は消し飛ばされ、視野はクリア。今日もとてもいい天気だ。
 ゼットはこの隙に逃げ出しただろうか。
「いいや、無駄じゃないぜ?」
 ゼットはそこにいる。同じ位置に立っている。
 そして、竜骨からこしらえた大型の義手から得た膂力で何ということか……愛車たるドラゴンチェイサーを空中にいるウインドゼファーに向けて投げつけたではないか!
「自棄を起こしましたか!?」
 車輪剣で軽々と上方に弾き飛ばすウインドゼファー。
「こんなもの当たるとでも……」
「当たるぜ。今からな!」
 バイクの影に隠れ追い掛けるように跳躍していたゼットが手を伸ばすと、ドラゴンチェイサーは瞬時にその形を変える。
 巨大な剣、バスターブレイド形態へと変形したドラゴンチェイサーの柄を掴み取ると、それは大上段の構え。
「いくぜっ!」
 中空から地面へ叩きつける強烈な、まさしく地を裂く一刀。
 絶対的なゼットの怪力に一度捕まればスピードで振り切るなど不可能。
 ウインドゼファーは地面に人型の穴をつくり出しながらめり込んだ。
「ぐっは……っ! まさか、こんな……!」
 ゼットが離れると、ウインドゼファーは爆発。
 その姿は舞い散る花々と共に消えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月23日


挿絵イラスト