バトルオブフラワーズ⑪~願いの在り処~
●疾風の
フォン、と軽くすら感じる音を立てて、その踵の、そしてその手にした剣の車輪が回転した。
紅い仮面に覆われたその表情は窺えないけれど、しかしオブリビオンとして蘇った女はただ静かに武器を構え、猟兵達を『見た』。
「かつて、ドン・フリーダムが解放した『無限大の欲望(リビドー)』は、人類を怪人化させ、滅亡へと導いた。だけど今なら、オブリビオンとして蘇った私達なら、無限大の欲望も喰らい尽くせるはず」
いでたちに似合わぬ、どこかあどけなさを感じさせるような声音だった。
言い聞かせるような、声だった。
「私達は全てを手に入れる。……誰にも、邪魔は、させないッ!」
踏み出す音が耳を打つよりも疾く、女は──ゼファーは跳ぶ。
「私は門番。世界を掻き乱す侵略者、猟兵はいらない」
●過去を踏み抜いて
「世界を掻き乱す侵略者、ねぇ」
スピード怪人『ウインドゼファー』の言葉をなぞり、セロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は掌の上のグリモアを眺めながら小さく息を吐いた。
オブリビオンとして蘇る前に抱いていた大きな意志が彼女にはあったのかもしれない。そんな気配が伝わって来る。そしてそれをオブリビオンとして蘇った今、改めて成し遂げようとしているようだ。そうした想いは、願いは、伝わって来る。
伝わっては──来るものの。
「……知ったこっちゃねーんですよ、そんなこと」
現在キマイラフューチャーでは既に人類は滅び、新たな種族達が生きている。
その生活を、世界を壊して成し遂げるなにかは、そんなものは、間違っている。
「どうあっても、相容れない。そういうことなんでしょう。だからおれから言えるのは、ただ倒せ。それだけです」
セロは硬い声音で短くそう告げた。
簡単にも聞こえる言葉だが、問題はそう単純ではない。否、第一、第二の関門のエイプモンキーやラビットバニーのような尖った能力はない。けれど風を操るウインドゼファーのユーベルコードは純粋な戦力として決して軽視できない。
「ゼファーの疾さ、攻撃への対策は必ず立ててくださいね。じゃねーと擦り傷なんかじゃ済まねーですよ」
信念。妄執。その強さは、判る者には痛いほど判るだろう。
そこまで告げて、セロは少しだけ口角を上げて見せた。左頬のハートのペイントが微かに歪んだ。
「けどま、絶対に勝てねーと思ってる場所に送り出すつもりはねーですよ」
──行ってらっしゃい。そう伝えて、彼は青い翼にも見えるマフラーを翻した。
朱凪
目に留めていただき、ありがとうございます。
どうぞ、全力の戦闘を。朱凪です。
※まずはマスターページをご一読下さい。
▼OP補足
====================
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
====================
戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
▼執筆について
集まってくださる人数にも拠りますが、プレイング募集は19日いっぱいくらいの気持ちです。
(19日内にプロットを練り始める予定です)
では、風と戦うプレイング、お待ちしてます。
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●システム・フラワーズ
淡色の花弁の舞う、花々そのもので出来た足場を踏んで、ゼファーはゆっくりその腕と一体化した剣を持ち上げた。
「一歩ずつ進んでいく──そんな道を選んでいる暇はない。誰よりも速く、迅く、私は、進むッ!」
そして視界へ捉えた『邪魔者』達へと、剣を振るった。
信楽・黒鴉
SPD
UCの暴風を舞い散る花弁の動きで【見切り】、【武器受け】で凌ぐ。
敵の攻撃に紛れ、【目立たない】よう【殺気】を抑え気配遮断(【迷彩】)し接近。
【暗殺】の要領で相手を【串刺し】、【コミュ力】を生かす【言いくるめ】で気勢を削ぎ、超至近距離からUC発動。
あんたらはもう、終わったんでしょ?
……なら、そのまま終わっときましょうよ。
あんたらの歩みの後に、残ったのがこの世界なら、今ここに生きてる連中も、言うなればあんたらの後輩みてぇなモンでしょ。
後を託そうってお気持ちにゃなりませんかね。
そーかい。 じゃあ、終わっときな!
クソみてぇなOBOGはどこの部活(セカイ)でも厄介者扱いされンだよ!
アドリブ歓迎です
クレム・クラウベル
我を通すならそれを是としない我とはぶつかり合うしかない
立ち塞がるなら乗り越える
それが此方の我だ
駆ける速さでは並べまい。己にある一番の速さで対抗を
拳銃側に閃光弾を装填、クイックドロウで撃ち出し目潰しを狙う
いくら速くとも精度が鈍れば幾らか躱しやすい
動きよりも音と風に注視し相手の動きを予測、致命傷だけは避ける
それこそ片腕くらいならやられても良い。いざとなれば左腕盾に
初撃やり過ごせば即座に反撃
無理に距離は取らない。寧ろ至近なら当てやすい
タイヤのある部位は避け関節部や右腕のダイアモードとの接合部へ一雫の銀
可能ならそのまま連続で同じ箇所へ数発。鎧砕きを狙う
致命にはならずとも、その速さを削げるなら十二分だ
「……っ、これは」
信楽・黒鴉(刀賊鴉・f14026)は思わず小さく呻く。
暴れる狂風は、花の足場を破壊し崩壊させるほどの威力でウインドゼファーを中心とした円の間合いに入ったすべてを、無差別に、斬り裂き叩きつける。
己の白いマフラーも風に翻弄され、花弁は見切るよりも疾く巻き上がり躍り狂い、空の彼方へと消えていく。
そして、
「く、」
白銀のリボルバー──マレ・インブリウムを構えたクレム・クラウベル(paidir・f03413)が素早く照準合わせトリガーを引くその刹那。瞬いたその間隙に「っ、」紅い仮面が眼前へと迫っていた。
「させないよ。私が一番速いの。絶対に」
「ッ!」
囁く声と共に馳せ違う、ただそれだけで彼女の引き連れた暴風がクレムの銃を構えた右の腕を──左腕。考えたときには既に、間に合わない──斬り裂いた。溢れた赤の雫が白いコートを汚すと同時に大粒の赤い雫となって風に舞い散る。花弁と共に、空へ、空へ。
痛みは、噛み殺す。湧き上がる感情は、ただ静かに敵を睨む双眸にのみ宿らせて。
「!」
次の動きへと備えるべく踏み出そうとしたクレムの、暴風の中でも踏み出しゼファーへと距離を詰めようとした黒鴉の、両者の足許が大きく崩れた。
彼女の攻撃によって足場が崩れ得ることを、知っていたはずだったのに。
──甘かった、ってとこですか。
黒鴉は口に広がる苦い味を奥歯に噛み締めた。ふたりは共に崩落する可能な限り大きな塊を素早く視線走らせ見付けては足掛かりにして跳ぶ。けれどそうすれば暴風の円の中に帰らざるを得ない。
頬。腕。腹。足。
斬れた瞬間の痛みはもはや麻痺して、失う血はあまりに多かった。
けれど。
「確かに、……疾いな」
彼等は、諦めない。
微かに風勢の緩んだその一点を、過たずに縫い通す弾丸がゼファーの直前で弾け──視界から白以外の色を奪う閃光を放った。
「!」
仮面に阻まれ、ウインドゼファーにその光がどれだけの効果をもたらしたのかは定かではない。しかし確実に、隙は生まれた。
「ようやく、ここまで近付けた」
にぃい、と。普段は柔和な表情の下に隠した悪鬼の笑みを浮かべて黒鴉はゼファーを見上げた。離れるまいと、楔にした刃長二尺八寸の刀を敵の脇腹に突き立てて。
「あんたらはもう、終わったんでしょ? ……なら、そのまま終わっときましょうよ」
「終ってない。私達は蘇った。まだ、終ってない」
腹を貫かれてなお揺るがぬ声音は、相対す敵もまた埒外の存在であることを示して。
『それ』を強者と認める心もありつつ、黒鴉はやれやれと自らの血に滑る掌に力を籠め直す。
「あんたらの歩みの後に、残ったのがこの世界なら、今ここに生きてる連中も、言うなればあんたらの後輩みてぇなモンでしょ。後を託そうってお気持ちにゃなりませんかね」
「なりませんね。欲望を失い、ただ与えられて生きているだけ──それは、真の幸せですか?」
「は、そーかい。それじゃ、もう一回終わっときな!」
くらり、視界の歪む中でも黒鴉は吼えた。
「クソみてぇなOBOGはどこの部活(セカイ)でも厄介者扱いされンだよ!」
刀を引き抜きざま放つ、禍魔異太刀──カマイタチ。己には風の防壁を、そして敵にはお返しとばかりに妖力を帯びた鋭い風の刃を叩き付ける。
「っ、」
咄嗟に翳したその剣と一体化した右の腕へ、鋭く高い音を立てて弾け飛んだシルバー・バレット。ゼファーの『視線』が、白いコートを赤く染めて、揺れる照準に小さく舌打ちする男を射抜いた。
「我を通すなら、それを是としない我とはぶつかり合うしかない。立ち塞がるなら、乗り越える。……それが此方の我だ」
「……いいですね」
ぶわ、と再び花が舞い始める。風が躍り出す。
ゼファーが『笑った』ような気がした。
「どちらが正しいかは、歴史が決めてくれる」
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
岡森・椛
風使いさんだって!
アウラ、会いに行かなくちゃ!
毎秒命を削って…あの人も命懸けなんだね
すごく強い意志を感じる
でも私だって【覚悟】はできてる
【視力】で敵をしっかり確認し疾さに惑わされない
【勇気】を出して【オーラ防御、武器受け】で攻撃を受け止める
車輪剣の勢いに圧倒されるけど、アウラも風を起こして援護してくれる
だから大丈夫
耐え切って体勢を立て直す
アウラ、あなたの風は絶対負けないよ
私はよく知ってるもの
小さなあなたが巻き起こす清らかな風がどれだけ強いかを
さあ反撃の【科戸の風】で吹き飛ばそう!
攻撃を軽減されてる不利は【戦闘知識】を活用し【鎧無視攻撃】で補う
強烈な突風で【武器落とし】も狙っちゃおうね、アウラ!
アルバ・アルフライラ
やれ、侵略者とは云いたい放題だな
身の丈に合わぬ欲に溺れる者は足元を掬われるぞ?
腕の動きより車輪剣の軌道を第六感で予測、見切りを試みる
間に合わなければ仕込み杖で受け僅かでも軌道を逸らす
急所を突かれぬ限りオーラ防御及び激痛耐性で凌ぐ
五体満足で避け切れるなぞ思っておらぬ
四肢の一本や二本、持っていかれようと構わん
一本でも残っていれば魔方陣は描ける故な
一度砕けてしまえば後は罅が入ろうが怖い物はない…否、従者の反応は怖いが
機械の類は冷気に弱いと聞く
放つは高速詠唱による全力魔法の【女王の臣僕】
身体の自由は勿論、その得物ごと氷漬けにしてくれよう
ふふん、生憎諦めが悪いでな
オブリビオンを滅する迄、死ぬ訳にはいかぬ
風が巻く。
────ヒャヒャヒャヒャヒャ!
女が腕を振るう度、刃を備えた車輪が超高速で回転し淡い花々を刻み、弾き上げられた足場の破片が渦巻く暴風に乗って大気を引き裂き、まるで嗤うような音を立てた。
ッキン、パキキ……っ。
柔らかく長い黎明色の鉱石が風に攫われ、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)の白い肌へ疵をつけ、罅を走らせていく。
「やれ、侵略者とは云いたい放題だな。身の丈に合わぬ欲に溺れる者は足元を掬われるぞ……っ?」
口角を上げて見せる彼に、けれどオブリビオンは仮面の顔を肯いて見せた。
「そう。掬われてしまった。でも今の私達なら、その欲望も喰らい尽くすことができます」
ヒャヒャヒャヒャヒャ! 風が勢いを増し、更に台風が嗤う。
「っアウラ、がんばって……!」
風使いの相手。同じだと、ほんのちょっぴりの親近感を抱いて向かった岡森・椛(秋望・f08841)の前で、風の精霊『アウラ』が化した杖から懸命に風を喚び起こし、ウインドゼファーの竜巻に耐え忍ぶ。
けれど赤い炎のような気迫を生み続ける仮面の女は、竜巻を従える時間が長ければ長いほど、命を削るのだという。
──すごく強い意志を感じる……。
あの人も命懸けなんだね。そう思う。けれど椛は秋色の瞳に決意を、勇気を、覚悟を宿した。
風は身を裂き、椛の肌には細やかな傷、あるいは深く血を弾け飛ばした無数の傷が刻まれ、「っ、」やむを得ない。察したアルバの突き出した左腕を、まるで小石のように弄された巨大な瓦礫が、──バキン! と風の向こうへ連れて行った。
ぎ、と奥歯噛み締め、それでもアルバは痛みを意識の奥へ追いやって笑った。
──五体満足で避け切れるなぞ思っておらぬ。
全身に刻まれていく傷は彼らも同じ。しかし、避けられぬ先制攻撃に対してその意志が違った。傷付いてもいい。失ってもいい。
それでも、倒す。
そのために致命傷だけでも避けながら、反撃の機を狙い続ける覚悟が。
みしみしと狂風に圧されて音を立てる杖を両手で支え、椛は精霊へと囁き、祈る。
「アウラ、あなたの風は絶対負けないよ。私はよく知ってるもの。小さなあなたが巻き起こす清らかな風が、どれだけ強いかを……、ッ!」
斬り裂く風が、彼女のスカートの裾をからげてその脚に深く深く傷を刻み、ぐらりと椛の袋瀬宇が崩れる。それと、同時。
「……っ、」
は、と。
ウインドゼファーが微かに息を零した。
その刹那を、逃しはしない。
白い六条の光を宿した双眸でアルバは鋭い劈開を起こした左腕を一瞥し、そして右手でくるくると『星追い』を握り直した。
一度砕けてしまえば後は罅が入ろうが怖い物はない──……否、従者の反応は怖いが。静かな眸でなにも言わずにじっと食い入りこの左腕を掴むであろう竜の視線を想像し、彼は小さく喉で笑う。
だが、砕けてしまったものは仕方ない。それよりも今は、この『風』との戦いに集中する必要があるのだから。
「一本でも残っていれば魔方陣は描ける故な」
機械の類は冷気に弱いと聞く。アルバは残る腕に握った刃で中空を裂いた。浮き上がる薄氷色の魔方陣は、女王の臣僕──ヴィルジナル。
「……控えよ、女王の御前であるぞ」
きらきら、風の隙間を縫って泳ぐのは蒼く光る、全力で放つ無数の蝶の幻影。冱てる鱗粉を撒き散らし、その二本の剣を操る腕を鈍らせる彼のユーベルコードに続いて、ふらつきながらも椛もその杖の先をゼファーへと差し向けた。
「行くよアウラ、あなたの風であの竜巻を吹き飛ばしちゃおう!」
湧き起こる、科戸の風。碧翠の風がゼファーのへの路を閉ざす竜巻へと襲い掛かり、切り拓く。
「……っ邪魔を、しないで……!」
「ふふん、生憎私も諦めが悪いでな」
たとえ力を求める代償に此の身が崩れようが、再び繋ぎ直せば良い。総てはオブリビオンを滅するまで──そう秘めた想いは、あるいは共感と呼ぶのかもしれない。
ふたりは視線を交わし合い、更に敵の懐へと飛び込んでいった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シェーラ・ミレディ
彼……いや、彼女か?
まぁ、どちらでも敵には変わりないのだが。
韋駄天が如き彼女に銃弾を当てるのは、中々骨が折れそうだ……!
敵がUCを使ってきたら距離をとり、竜巻の軌道を見切って躱す。
後退しながら4丁の銃を乱射し、弾丸を『艶言浮詞』で砂嵐の精霊へと変化させて攻撃だ。
敵はどうやら、タイヤを高速回転させて攻撃を弾いている様子。ならば、内部機関に砂を噛ませてやれば防御力が低下するだろう。質より数で押すぞ!
僕の推測が外れていようが、精霊たちが攻撃し続ける限り高速回転モードを解除できまい。寿命を削れば消耗も狙えよう。
『艶言浮詞』の範囲に注意。
敵から38m以上離れないよう気を付けねばな。
※アドリブ&絡み歓迎
紫・藍
誰よりもと望む気持ちは分かるのでっす!
誰よりも可愛くなりたい藍ちゃんくんなので!
で・っす・っが!
おねーさん、ちっとも楽しそうじゃないのでっす
とっても速いはずなのに、過去の失敗や責任に追いかけられてるように見えるのでっす
速くなることよりも、やり直しに囚われてるんじゃないでっすかー?
もしや人類の怪人化や滅亡に責任を抱いてるのではー?
挑発コミュ力時間稼ぎ言いくるめ!
攻撃を軽減できても、口撃ならどうでっしょかー!
ただの本音なのでっすが!
速すぎるだけに感情的になることにより少しでも手元が狂えば、大きなズレになるのでは!?
回避防御間に合わぬなら相手に致命打ずらさせるのでっす!
疾風より速く喋れ藍ちゃんくん!
「彼……いや、彼女か? まぁ、どちらでも敵には変わりないのだが」
攻防一体としたウインドゼファーの戦い方に、シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)は手にした精霊銃を握り締める。
「韋駄天が如き彼女に銃弾を当てるのは、中々骨が折れそうだ……!」
今まさに二本の車輪剣から繰り出された竜巻に、苦味帯びて口角をつり上げながらも素早く彼は後ろへと跳躍した。
まずは竜巻の軌道を──、
冷静に見極めようとしたシェーラの選択は、悪くはなかった。それが、ただの竜巻相手ならば。
ヒャヒャヒャヒャヒャ!
「この剣は、飾りじゃないんですよ」
「っ?!」
哄笑の如き暴風の沸き起こるさ中にもしめやかな声音が彼の耳飾りを掠めた。
それと同時に振り下ろされた高速回転する刃が、シェーラの愛玩用に造形された身体を掻き裂いた。
削れる体躯の、硬質な音。
けれど、『だからこそ』理解る。予測できる。どれだけ精巧であろうと、否、精巧であるからこそ、小さな歪みが大きく狂わせる結果を生むことを。
避けられれば十全だったが、それほど甘くはない。この状況は望むところだ。だが狙いを達成するには、足りない──。
白く眩んだ視界に飛び込んできたのは鮮やかなドレス。その紫の瞳が、シェーラのそれと合ったように思えたのは一瞬。
ドレスの主──紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)はその暴力的なぎざぎざの歯を見せて笑った。大声で。高らかと。
「誰よりもと望む気持ちは分かるのでっす! 誰よりも可愛くなりたい藍ちゃんくんなので!」
で・っす・っが!
凛と見据える、紅い仮面。口から生まれた鳴き鴉、疾風より速く喋れ藍ちゃんくん!
「おねーさん、ちっとも楽しそうじゃないのでっす。とっても速いはずなのに、過去の失敗や責任に追いかけられてるように見えるのでっす」
「、」
台風は容赦なく彼のドレスを斬り裂き、白い肌から血を舞わせていく。攻撃が軽減されてしまう全タイヤ高速回転モードでも、口撃ならば隙を突けるのではという藍の狙いも、悪いものではなかった。
相手の攻撃がひと振りの太刀のような、そんなものであれば。そしてゼファーの攻撃に対してあまりに無防備な彼の身体は腕も脚も、かろうじて繋がっている──そんな状態だ。
そんな状態でも、良かった。
語り喋り囀りうたう、喉と舌さえあれば!
「おねーさん、速くなることよりも、やり直しに囚われてるんじゃないでっすかー?」
「っ!」
「もしや人類の怪人化や滅亡に責任を抱いてるのではー?」
「ッそれがあなたに、なんの関係があるの……っ」
千切れるようなウインドゼファーの叫びに応じるかのように彼の前に『藍ちゃんくん愛用マイク』が現れ、藍はにっ、と笑う。
『こいつうるせええ!』……とはさすがにゼファーも思ってはいないだろうが、そんな感情を与えることに成功したときのみ発動する、彼のユーベルコード。藍ちゃんくんワンマンショー!
「おねーさんにもう一度眠りについてもらうために、必要だったのでっすよー!」
!!!!!!
大気すら引き連れて吹き飛ばす錯覚。収束型藍ちゃんくん大大音響美声衝撃波、大音声の子守唄。
「っ、」
いくつものタイヤが回転してその音を掻き消そうと試みるも、すべてがうまくいくわけではない。
隙だらけになったゼファーの眼前で、
「よくやってくれた」
「、なに」
飛び込んで来た銃弾が弾けて『砂嵐の精霊』と化した。それが続く。続く。続く。
堪らずその射出先へと振り向いた彼女の視線の先で、壊れた肩で、指先で、それでも四丁の銃を投げ上げては代わる代わる弾丸を撃ち出すシェーラが不敵に笑った。
「その機構。内部機関に砂でも噛ませてやれば、防護力は低下するのではないか?」
それが全くの当て外れだったとしても構わない。質より量で押し続けたなら、それを彼女がソード・オブ・ダイアモードで防ぎ続けたなら、その寿命を削り取ることもできるはずだ。
「くっ……!」
舞い上がる砂塵と叩きつけられる衝撃波に、仮面の奥で彼女が『歯噛みした』。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
リュカ・エンキアンサス
オズお兄さん(f01136)と
ゼファーの風はお兄さんが防いでくれるらしいから、そこは任せる
いこう
銃を撃って攻撃。視線はゼファーに固定しているけれどもお兄さんの動きも端にとどめておく
防御は無視する
万が一ゼファーが目の前にきても回避は思考から捨てて撃ちまくる
先ずは腕。その声、うるさいんだ
黙れ
…いや、何となくこれだけは言っておかなくちゃいけないかなって
ある程度手を砕いてからは急所を狙って倒すことに専念する
多少足場が乱れても、気合と最後には第六感で当てる
その頃にはお兄さんも傷だらけだろうから、
もういい、引いて、と声をかけるかどうか悩んで
結局かけずに最後まで戦闘を続行する
多分、あとで自己嫌悪に陥る
オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と
攻撃を【武器受け】
リュカのすぐ前に立って
リュカと自分の右腕を守りきればいい
武器でカバーしきれない部分は体で止めてでも
傷ついても声は出さないよう我慢
よけないけど、勝つよ
すぐ【ガジェットショータイム】
花はないけどバラの弦のような鞭
崩れた足場の一部にでも巻き付けて落下を防ぐ
散り散りになった足場を飛んで前へ
リュカのところには行かせないよ
相対して気を引いてみせる
剣は鞭で拘束できないか試み
シュネー、お願いっ
【目立たない】よう上に放っていたシュネーを
引き寄せるようにして強襲
【時間稼ぎ】で狙いやすいよう留めておく
リュカが気にしちゃいそうだから
見える場所にはめだつ傷がつかないといいけどな
桃の、白の、水色の。
舞い散る淡色の花弁を更に吹き上げる暴風。目まぐるしいほどの色彩の氾濫の中、紅い仮面の女を中心として風刃が無差別に奔り、
「リュカ!」
ガシュ、と蒸気を噴いたのは細やかな関節を組むことでバラの蔓の如き鞭へと姿を変えたオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)の愛用のガジェット。
崩れ落ちる足場から未だ浮遊する塊へとその鞭を巻き付けて浮力を確保し、ただひたと灯り木──愛用のアサルトライフルの照準を定めることに全神経を注ぐリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)の身体を掻っ攫うようにして宙空へと飛び出す。
敵の生み出す暴風ばかりではない風が前髪を嬲るけれど、リュカの視線も決意も、揺らがない。
「とぶよ、リュカ」
「ん」
任せるよ、の単語は言外に。オズは相変わらずの笑顔で、右側に抱えた彼を庇うために左半身を前面に呈して。
ガシュ、と再び鞭と化したHermesが蒸気を噴く推進力は、振り子の状態だった彼らの身体を暴れ狂う風の中をゼファーへの直線を確保できるひとつの『浮島』まで運び上げた。
「っ、」
『島』へ着いたからと言って、暴風が止むわけではない。素早く手許に戻した鞭を休む暇なく繰り出して、オズは風刃の相殺に意識を集中する。護りの『手』が足りなければ、身体を使ってでも。
ぱきり、ぴきり。毀れる音が嫌に大きく聴こえるのは自分にだけだといいなあなんて、オズは背後に庇う大好きなともだちを思う。にんげんのように血が溢れ出るからだでないことを、今ばかりは良かったと思う。
──リュカが気にしちゃいそうだから。
「……」
風に紛れ花弁と共に時折舞う『かけら』を、視野に入れぬほど少年は粗忽ではなかったけれど、
「……」
もういい、退いて。そんな幼い言葉で、信を置く友達の選んだ道に口を挟むほど無粋でもなかったから、
「……先ずは腕」
だから少年はひたすらに引き金を絞った。全身に跳ね返る反動が、撃ち出す幾多の流星の威力を知らしめる。届け、願いの先へ──バレット・オブ・シリウス。
「その声、うるさいんだ」
────ヒャヒャヒャヒャヒャ!
「黙れ」
────はい。……とは、応えが返るわけもなかったけれど。
リュカの放った弾丸がガリガリとゼファーの右腕を削り弾いて、先に仕掛けていた猟兵達から受けたダメージも累積しているのだろう、車輪剣は一時、その回転を停止した。
訪れた僅かな静寂にオズは「シュネー!」くんっ、とその指を曲げた。
「お願いっ」
「なっ?」
仮面の女の肩へと直下したのは、青薔薇のドレスの少女人形。暴風に舞い上がる花弁に紛れて上空に巻き上がった足場へと待機させていた、オズの姉。
ふわりと笑うように見える人形の鋭い薙ぎ払う手刀を「っ!」すんでのところで大きく上体を傾がせて躱したゼファーの右腕を、
ギンッ、──ギィンッ……!
遂にリュカの銃弾が吹き飛ばした。刃のついた車輪の腕が遥か眼下へと消えていくのを見送ったのは瞬きの間。
ゼファーが踏み出した、その瞬間には左手の剣がリュカへと肉迫していた。
「誰にも、邪魔は、させないッ!!」
リュカは、
「……」
避けない。身動ぎもせず、ただ灯り木の照準だけを定め続ける。あと半拍、──そこ。
高速回転する刃からの風が彼の帽子を叩く、間際。その刃は、横から飛び出したオズの腕を斜めに斬り落とした。
「──っ、」
いたい、なんて声にはしない。ぎりと彼が奥歯を噛み締めたときには、まるですべてを知っていたみたいに火を噴いた銃口からの流星が紅い仮面の眉間を射抜いていた。
「どう、して」
ぱきぱきと仮面に罅が走り、それが割れるよりも前に、ウインドゼファーの姿は霞が如く掻き消えた。
「私は、すべてを」
そんなか細い、嘆きを遺して。
オブリビオンが骸の海へと沈んだのを見送って、リュカはオズへと振り返る。
「……、」
「? どうしたの、リュカ」
大小様々な傷痕に、吹き飛んだ左腕。猟兵は埒外の存在だ、またミレナリィドールである彼の治療はおそらく人間のそれとは異なりはするだろうが、復元は問題ないはず。
彼だけではない。他の傷付いた猟兵達にもそれは当てはまる。
だけど、けれど、そうではなくて。そうでは、ないのだけど。
結局リュカは開きかけた唇を引き結び、帽子のつばを下げて首を振ったのだった。
「……なんでもない」
成功
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