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バトルオブフラワーズ⑪〜暴風

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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●嵐の前の
「モンキーに続きバニーまでとは、驚きました」
 赤い仮面の下から発せられた声は、意外にも女性らしいものだった。
 足元の花々が隆起し、いくつもの長い足場を形成していく。それはまるで、次はお前だとでも言わんばかりに。間もなく相対すべき敵が現れるのだろう。
「でも、私の役目は門番。ドン・フリーダムがシステム・フラワーズを取り戻すまでの時間稼ぎならば、私の『風を操るユーベルコード』でも、決してあの2人にひけは取りません」
 その声は自信に、そして期待に満ちていた。構えるは2本の車輪剣。
「かつて、ドン・フリーダムが開放した『無限大の欲望(リビドー)』は、人類を怪人化させ、滅亡へと導いた。だけど今なら、オブリビオンとして蘇った私達なら、無限大の欲望も喰らい尽くせるはず」
 スピード怪人ウインドゼファーは、自らの欲望のままに荒れ狂う暴風を纏い、文字通りの花道の先を見据える。
「私達は全てを手に入れる。誰にも、邪魔は、させないッ!」

●グリモアベース
「人類を怪人化、か……」
 灰色のツインテールが静かに揺れた。鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)は、胸の奥に鈍い痛みを感じつつも、自らの予知に駆け付けてくれた猟兵達を前に、凛とした声で話し始めた。
「皆、集まってくれてありがとう」
 バトルオブフラワーズ。キマイラフューチャーで起きたこの大規模な戦争は、多くの猟兵達の活躍によって第一第二の敵幹部を倒すまでに至っている。そして次は第三の関門だ。
「スピード怪人『ウインドゼファー』、風を操るスピードに長けた怪人よ。名は体を表すとは言うけれど」
 本当にそのまんまね、と苦笑する小太刀。
「彼女は、先のモンキーやバニーみたいな特殊な技は使わない。怪人相手にこういうのも変だけど、至ってまともな戦い方をするわ」
 それでもあの怪人軍団の中で幹部の一角を担っていられるのは、小細工せずとも見合うだけの実力を持っているという事だ。ただ真っ直ぐに、己の欲望を磨き上げる。それはそれで怪人らしいと言うべきか。
「彼女もまたオブリビオン、同時には一体しか存在しないけど、倒しても倒しても骸の海から蘇る。それでも限界はあるわ」
 これまでの幹部達と同じく、短期間に何度も倒されれば復活は不可能になる。ここでも一つ一つの積み重ねが肝要なのだ。
「油断ならない相手よ、先手を取られるのは確実だから覚悟しておいて」
 どの攻撃もまともに喰らえば一撃で戦線離脱もあり得る威力だ。何かしらの対策をしなければ、こちらの攻撃どころでは無くなってしまうだろう。
「べ、別に心配してる訳じゃ無いけど……でも、気を付けて」
 猟兵の誰よりも格上の相手だ、激しい戦いに恐らく無傷とはいかないだろう。それでも皆なら大丈夫、きっと。見送る小太刀の紫の瞳には、仲間達への信頼の気持ちが現れていた。
「説明は以上よ。どうか皆、よろしくね」


クロネコ
 はじめまして、クロネコです。
 ご存知の方は、改めて宜しくお願いいたします。
 初依頼です。めっちゃ緊張しますねこれ。
 至らない点も多々あるかと思いますが、皆様のプレイング力をお借りして、物語を書き上げて行きたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

●特殊ルール
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

●運営シナリオ数について
 運営シナリオ数に制限はありません。戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。

 難易度は『難しい』です。油断なくご対処ください。
 皆様の熱い熱いプレイング、お待ちしています!
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

彩瑠・姫桜
欲望が全て悪かっていったら、そうじゃないって私は思うけど
でも、貴方達の野望はここで止めてみせるわ

(SPD)
先制の暴風は足踏ん張って飛ばされないように耐えるわ
少しでも敵に近づくためにまずは凌ぐ
地味でもそれが確実だと思うからね

足は地面から離さずに敵に向かってにじり寄り、距離を縮めていくわ
ドラゴンランス二刀流を十字に構え【武器受け】で流す
頭と胴へのダメージは喰らわないように気をつけるわね

接近時も暴風続くなら
schwarzを地面に突き刺し飛ばされないよう位置固定
Weiß構え、敵の【串刺し】を試みるわ

暴風止まったタイミングで【咎力封じ】使用
踏ん張ってた足に力込めてジャンプ
拘束ロープで投げて縛り上げるわね



 花咲く道の先に最初に現れたのは、金の髪の少女だった。
「欲望が全て悪かっていったら、そうじゃないって私は思うけど、でも」
 青く澄んだ瞳が赤い仮面の奥を射る。
「貴方達の野望はここで止めてみせるわ」
 彩瑠・姫桜(冬桜・f04489)は、傍らの白き竜と黒き竜を槍へと変じ、決意と共にその両の手に構えた。
「邪魔をするなら倒すだけ、再び吹き始めたこの革命の風は絶対に止めさせはしない」
 対するウインドゼファーの声も揺らぎはしない。纏う暴風がその勢いを増していく。
「そう、何を犠牲にしても!」

 暴風が放たれた。それは速さも威力も圧倒的だった。姫桜の身体は逃れる術なく呑み込まれる。吹き飛ばされまいと身を低く構え足元を踏みしめるが、その足場すらバラバラにされていく様に姫桜は息をのんだ。
 鋭い刃と化した空気の塊が、猛獣の様に周囲を蹂躙していく。自身の身も例外ではなかった。白い肌を抉る様に幾筋もの傷が刻まれる。それでも耐えねばならぬ、凌がねばならぬ。SchwarzとWeiß、二本のドラゴンランスを十字に構え、襲う衝撃と激痛に歯を食いしばった。頭や胴への深手だけは避けながら、ただひたすらに機会を待つのだ。風の緩む瞬間を。

 しかしてその時は来た。倒れぬ姫桜に業を煮やしたか、ゼファーがその身を躍らせた。
 運が良かったのかも知れない。暴風の中で受けた傷は浅くないが、それでも動く。今はそれで十分だ。Schwarzを地面に突き立て身を支え、ゼファーが接近したその瞬間に、姫桜は『咎力封じ』のユーベルコードを放った。
 【手枷】は身を捻り避けられた。【猿轡】は車輪剣に弾かれた。そして【拘束ロープ】は、車輪剣を持つ左腕を捕らえギリギリと縛り上げる。
「!?」
 ゼファーの動きが止まった。ほんの一瞬だ。その一瞬に全てを賭けた。
「あなたの咎ごと串刺しにしてあげるわ!」
 縛り上げたゼファーの腕にWeißを突き立てる。貫いた鎧の下の傷口から赤い血が流れた。

 次の瞬間、車輪剣が姫桜の身体を弾き飛ばした。もう限界だ、姫桜の細い体に戦える力は残っていない。それでも姫桜の顔には笑みがあった。
 ウインドゼファーは強敵だ、だが既に無傷では無い。姫桜が与えた傷の意味は大きかった。一撃一撃を重ねていけば、勝機はあると確信できた。

(そうよ、私には後を託せる仲間がいるのだから)

成功 🔵​🔵​🔴​

黒岩・りんご
純粋に強く、そして早い相手ですか
それならばあえてその攻撃受けましょう
無防備に、脱力したまま
レボリューションストームの流れの中に身を任せ
ええ、そしてそれを無効化しつつ、逆にわたくしの可愛い人形の喜久子さんが跳ね返して差し上げます
【オペラツィオン・マカブル】
先制攻撃を喰らうのなら、返し技で受ければ済むことです

「さて、いきますよ喜久子さん!いざ戦いの舞を!」
その後は、喜久子さんと共に前線へ駆け、喜久子さんを糸で操りながら、わたくし自身も偃月刀を振るい攻撃します
喜久子さんとわたくしのコンビネーションで追いつめていきましょう
「これでもくらいなさい!」



「次はわたくし達がお相手ですわ」
 傷を負った猟兵を庇う様に宣言したのは、白衣を着た羅刹の女性だった。手には長柄の太刀を持ち、その隣には同じく長柄を構えた袴姿の少女……いや、一体の精巧なからくり人形が立っている。ウインドゼファーはその姿を認めると、改めて車輪剣を構えた。
「何人相手でも同じ事。あなたもその人形も、革命の嵐に呑まれなさい!」

 再び放たれたレボリューション・ストーム。吹き荒れる暴風に、黒岩・りんご(禁断の果実・f00537)は妖艶な笑みを浮かべた。体中から力を抜くと渦巻く風に身を任せる。あり得ないほど無防備に、あり得ないほど簡単に。バラバラに散りゆく足場と共に、その身が花びらの様に舞い上がった。
 りんごにとってこれは賭けだった。純粋に強く、そして早い相手だからこそ、敢えてその攻撃を受けたのだ。『オペラツィオン・マカブル』、りんごの使うユーベルコード。失敗すれば被害は2倍、何も為さぬうちに戦線離脱どころか重傷も必至だろう。普通に考えれば分の悪い賭けに違いない、それでも勝率はゼロではなかった。リスクを承知で勝負に出る、それだけの覚悟がりんごにはあった。

 突如として風が止む。りんごは改めて操り糸と、神龍偃月刀を構えた。
「さて、いきますよ喜久子さん!いざ戦いの舞を!」
 無効化した風は反転し、からくり人形である喜久子を包んだ。やがて強風となり、暴風となり、ゼファーへと放たれる。
「く……、まさか跳ね返すとは。本当に厄介」
 りんごと喜久子は追い風に乗り、花舞う宙を駆けた。ゼファーが誰よりもと誇った風の力が、今だけは二人の力となってゼファーの動きを阻害する。
「これでもくらいなさい!」
 りんごの神龍偃月刀が、喜久子の長柄が、ゼファーの肩を足を抉った。

成功 🔵​🔵​🔴​


「猟兵の力、やはり侮れない……」
 忌々し気に言葉を吐くウインドゼファー。まだまだ致命傷とはいかぬものの、浅くはない傷に疲労の色は隠せない。しかし休む間もなく次なる相手が現れる。
アルファ・オメガ
「がう、風使いの女の子かー」
あれだよね、風が強すぎるともふもふの毛並みが乱れるっていうか
え?そこじゃない?
そっかー残念
それじゃキミを突破して先に行くよ!

先制攻撃にはこれ!
ウインドゼファーと相対したら
全力魔法のエレメンタル・ファンタジア発動だよ!
「いっくよー! 風ノ竜巻!」
ボクとウインドゼファーとの間に竜巻を展開
盾代わりにして、ウインドゼファーの攻撃を受け止めるよ!
制御に失敗したら目も当てられないけど
今回は大丈夫って野生の勘が言ってる!

先制攻撃を凌いだら
「がう、風には風だ!風ノ濁流!」
荒れ狂う川のような風の流れで攻撃だー!
ここで制御に失敗したら…
がうー濁流にボクが巻き込まれそうだなー



 それは三度笠を被った旅装束の男だった。左目の傷が歴戦の武者である事を物語る。
「がう、風使いの女の子かー。あれだよね、風が強すぎるともふもふの毛並みが乱れるっていうか」
「……」
「え?そこじゃない?」
 こげ茶色の目を瞬きながらこてんと首を傾ぐ彼は、茶トラなドラ猫……もとい、アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)、ケットシーの少年だった。

 ゼファーは無言のまま車輪剣を構える。決して毒気を抜かれた訳ではない、ないのだ、ないよね? ……肩の、そして剣のタイヤが高速回転を始めた。唸り声の様な回転音はやがて哄笑へと変わる。
『ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!』
 ソード・オブ・ダイアモード。耳障りな哄笑は渦を巻き、竜巻となって放たれる。迫りくる脅威にアルファはニヤリと笑った。

「竜巻が来る事はお見通しなのさ、だからこれ!」
 目には目を、歯には歯を、竜巻には竜巻を。もふもふな両の手を突き出して、全力魔法で対抗する。唱えるは『エレメンタル・ファンタジア』、属性と自然現象を合成するユーベルコードだ。新たな渦を巻き始める風、ここにどんな属性を加味するというのか。警戒し距離を取るゼファー。
「いっくよー! 風ノ竜巻!」
 まさかのそのまんまであった。渦巻く風に風を重ねる。風マシマシである。
「風使いに風で勝負を挑むとは、いい度胸だ」
 挑発と受け取ったのか、再び車輪剣を振るうゼファー。嗤う竜巻は更に威力を増していく。
「まあ、制御に失敗したら目も当てられないけどね。でも今回は大丈夫って野生の勘が言ってる!」
 えへんと胸を張るアルファ。
「ボクの勘はよく当たるんだ。具体的には37%ぐらい!」
 37%ぐらい! 高いのか低いのかよく分からない数字に嗤う竜巻が増々嗤った。

 竜巻と竜巻がぶつかり合い、喰らい合う。実力で言うならばゼファーの方が遥かに上だ。生まれたばかりの小さな風は、巨大な竜の腹の中へと忽ちのうちに吸収されてしまった。風マシマシのマシである。そこで遂に異変が起きた。

 竜巻を操るウインドゼファーに焦りの表情が見え始める。
「……まさか、制御が効かない!?」
『にゃふっ、にゃふふふっ、にゃふふふふふふふふうっっ!!』
 哄笑がどことなく猫っぽくなった。
「あ……暴走、しちゃった? もしかしてこれ、やばいやつ?」
 やばいやつだった。だが見方を変えれば、ゼファーから風を制御する力を奪い、より強力にして叩きつけているとも言える。先程の人形遣いといい、風使いとしてのウインドゼファーのプライドはズタズタである。
 しかして双方の制御を振り切った風が濁流となり、荒れ狂う川のようにゼファーを、アルファを、そして戦場全体を押し流していった。合掌。
「がうぅうううううう!!!」

成功 🔵​🔵​🔴​


 肩で息をするウインドゼファー。何とか戦線復帰は果たせそうだ。しかしその左手に剣は無い、暴風に持っていかれたか。先に穿たれた左腕の傷を忌々し気に見やる。猟兵の力は多様に過ぎる、格下などと油断出来る相手ではなかった。ならばこちらも全力で相対するしかないではないか。持てる力の全てを賭けて、この先には行かせない。このウインドゼファーの名にかけて!
久留米・圓太郎
【SPD】
これはまともに対抗しちゃ駄目、だな。
早速師匠に教わったばかりの、Witchcraft AXELの出番だ。
(全力魔法と、世界知識、属性攻撃、地形の利用付きで)

俺の足元にかけて、暴風が来ても、やり過ごす
(師匠はこれを「柳に風」といってたが、よく解らないなぁ)
暴風が来ても俺の足元がガッチリしてる訳じゃないから、その暴風を逆に利用してやるぜ

防御は、オーラ防御、地形の利用、戦闘知識、学習力、力溜めで…かわせるだけかわす。

これで俺の攻撃手段は徒手空拳だけ。
ならばこの足元使って、ウィンドゼファーにはかなわないまでも、滑りながら速度を出して、2回攻撃、属性攻撃、地形の利用、ダッシュで叩く!

※連携歓迎



 荒れ狂った戦場の有様に、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)は考える。
(これはまともに対抗しちゃ駄目、だな)
 三毛猫の耳と尻尾、そして背中に鳩のような翼を持つキマイラの少年は、手元の魔導書の見慣れた表紙に目を落とした。

 再び吹き荒れる革命の嵐。花陰に圓太郎の気配を感じ取ったウインドゼファーによる先制の攻撃だ。暴風が圓太郎の身体を捕らえ、瞬く間に上空へと撥ね上げた。
 無論それだけには止まらない。風の刃が切りつけると共に、体勢の整わぬ間に車輪剣が容赦なく襲い来る。圓太郎は咄嗟にオーラ防御を広げ、光の魔導書を盾のように翳すが全てを防げる訳ではなかった。鋭い衝撃と痛みに全身が悲鳴を上げる。
 早い。これまでの戦いでゼファーもかなりの傷を負っている筈だ、それでも速さに陰りは無く……否、勢いを削がれても尚且つこれ程に早いのだ。強敵である事に違いはなかった。
 だが圓太郎とてここでやられる訳にはいかない。舞い散る花々を足場に体勢を整え、師匠の言葉を思い出す。あの時彼女は何といったか、柳に風?よくわからない。でも圓太郎にはそこに糸口があるように思えた。Witchcraft AXEL、教わったばかりの魔法(ユーベルコード)。
(……大丈夫、きっと出来る。俺は師匠の、偉大なる魔法使いの一番弟子なのだから)

「出でよ、極光(オーロラ)!!」
 翳した杖の先から生み出すは虹色の光、そして何もかもを氷結させる獄寒の地の冷気。それを向けるのは敵ではなく、足場でもなく、圓太郎自身だった。包む冷気がその身を凍らせていく。
「何を!?」
 意図が掴めずに困惑するゼファー。一瞬距離を置き警戒の色を見せるも、直ぐに攻勢に戻り右腕の車輪剣を突き立てる。だがそこに圓太郎の身体は無かった。

 風の捕縛をするりと抜けて、花の足場に身を屈める圓太郎。氷結により摩擦抵抗を極限まで減らした彼の身体を風が滑り抜けていく。押し潰す様な風圧はもう感じない。なるほど、これなら暴風も凌げそうだ。
(だがこれで俺の攻撃手段は徒手空拳だけ、ならば一か八か、やってやろうじゃないか!)

 吹き飛ばされバラバラになった花の一つに飛び乗ると、風に乗り高く舞い上がる。舞い飛ぶ花の足場を渡り、走り、目指すは嵐の最上部だ。
 十分な高さまで登り切った圓太郎は、今度は花の嵐の中を躊躇なく滑り降りた。それはまるで巨大な滑り台のようで、氷結によって極限まで摩擦を抑えた圓太郎の身体は重力の力を借りてスピードを増していく。
(ウインドゼファーの速さには敵わないまでも、これなら!)

 高めたスピードをそのままにゼファーへと突進する。狙うは仲間の槍に抉られたゼファーの右肩。防御にと放たれた突風をも滑り抜けて、圓太郎の蹴りがゼファーの右肩を、そして肩のタイヤを遂に砕いた。

成功 🔵​🔵​🔴​


 積み重なったダメージに堪らず肩を抑え、片膝を付くウインドゼファー。
このくらいの傷が何だというのだ。革命に痛みは付きもの、今までだってそうやって生きてきた。
(生きて……?)
 いや、分からない。私はオブリビオンだ。そうなる前の存在があったのだとしても、今の私とは別物だ。それでも何かが、胸の奥を締め付けた。
 ほどなく花園に舞い降りたのは、一人の魔法少女……少女? いや、少年だった。
 年の頃は7歳ぐらい。フリルが可愛い桜柄のミニスカートに白いエプロンを合わせたメイド服には、ふわっふわの丸い尻尾も付いている。白く長いウサミミと艶やかな灰色の長い髪を風になびかせるその姿は、控え目に言っても可愛らしい。
 少女と見紛うばかりの姿だが、輝く紫の双眸は決意に満ちた少年のそれだった。
(強い人と戦いたいというのは、ボクも何となくだけれどわかります。でも)
「行くよ、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん!」
 呼ばれて応えるは2体の人形。それぞれに片翼を持つ少年少女の人形たちが、駆けだす少年を護るように導くように飛翔した。

「お前も猟兵か。子供とて容赦はしない、ソード・オブ・ダイアモード!」
 右手の車輪剣のタイヤが再び唸りを上げ始める。だが砕かれた肩のタイヤは動かず、左手の剣は既に無い。それでもゼファーは右腕の車輪剣を力強く振り、嗤う竜巻を呼び起こす。
『ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!』
 神経を逆なでするような嗤い声が辺りを再び支配した。

「うるさいね、お父さんの駄洒落よりうるさいね」
 真琴は臆することなく構えると、防御のオーラを身に纏い、更に念動力をもって自らを空間に縫い止めた。自身の身体が飛ばないように、(あと、スカートも捲れてしまわないように)。
 お祖父ちゃんお祖母ちゃんと呼ばれた片翼の人形たちもまた、真琴の両のうさみみに掴まり押し寄せる風圧に耐えていた。

 暴風に屈せず立ちはだかる。その狙いは成功したと言えるだろう。だがそれは諸刃の刃、その場から一歩も動かぬその姿は格好の的でもあった。ゼファーがその状態を見逃す筈もない。渦巻く哄笑の中を駆け、車輪剣を振りかぶる。その姿を見た瞬間、真琴の紫の瞳がきらりと光った。

「この世を彩りしものよ、舞い踊れっ!―――神羅写成・彩色演舞っ!!」
 真琴の小さな手から5色の魔法の弾が放たれる。その数165発。速さに長けたゼファーであっても、至近距離で放たれたそれらを全て避け切る事は出来なかった。ゼファーに触れた弾は勢いよく弾け、内包した金属片で無数の傷を刻むと共に、その身体をカラフルな塗料で染め上げる。
「!?」
 驚き距離を離そうとするゼファーだったが、周囲には既に多数の弾が取り囲むように待機していた。

「五行思想――あなたが使う風は木行。そしてこの弾に込めたのは、金行の力。金属がたくさん込められています。当たると痛いですよ?」
 悪戯が上手くいったとでもいう風に、誇らしげににこりと笑う真琴。次の瞬間、魔法の弾が次々とゼファーへと降り注ぐ。刻まれた無数の傷と飛び散る塗料が、ゼファーの鎧を白きコートを一層カラフルに染め上げていった。
琶咲・真琴
【WIZ】

強い人と戦いたいというのは
ボクも何となくだけれど
わかります

でも


行くよ
お祖父ちゃん、お祖母ちゃん!


念動力で自分の身体が飛ばされないようにする

神羅写成・彩色演舞を
スナイパー・誘導弾・フェイント・全力魔法・高速詠唱・早業・鎧無視攻撃・野生の勘・第六感・戦闘知識をフル活用でカウンター使用

グラッブル・オーラ防御も使って防御


五行思想――あなたが使う風は木行
なら、今回の弾は金行の力を塗料弾に込めます
衝撃波も込めた範囲攻撃で盛大に目潰しです

あ、魔法の弾ですし粘着性もあるので
そう簡単には風で吹き飛ばせません
それに塗料の中に金属類の粉がたくさん込められているので痛いですよ?(罠&毒使い



アドリブ
連携大歓迎



 ほどなく花園に舞い降りたのは、一人の魔法少女……少女? いや、少年だった。
 年の頃は7歳ぐらい。フリルが可愛い桜柄のミニスカートに白いエプロンを合わせたメイド服には、ふわっふわの丸い尻尾も付いている。白く長いウサミミと艶やかな灰色の長い髪を風になびかせるその姿は、控え目に言っても可愛らしい。
 少女と見紛うばかりの姿だが、輝く紫の双眸は決意に満ちた少年のそれだった。
(強い人と戦いたいというのは、ボクも何となくだけれどわかります。でも)
「行くよ、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん!」
 呼ばれて応えるは2体の人形。それぞれに片翼を持つ少年少女の人形たちが、駆けだす少年を護るように導くように飛翔した。

「お前も猟兵か。子供とて容赦はしない、ソード・オブ・ダイアモード!」
 右手の車輪剣のタイヤが再び唸りを上げ始める。だが砕かれた肩のタイヤは動かず、左手の剣は既に無い。それでもゼファーは右腕の車輪剣を力強く振り、嗤う竜巻を呼び起こす。
『ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!』
 神経を逆なでするような嗤い声が辺りを再び支配した。

「うるさいね、お父さんの駄洒落よりうるさいね」
 真琴は臆することなく構えると、防御のオーラを身に纏い、更に念動力をもって自らを空間に縫い止めた。自身の身体が飛ばないように、(あと、スカートも捲れてしまわないように)。
 お祖父ちゃんお祖母ちゃんと呼ばれた片翼の人形たちもまた、真琴の両のうさみみに掴まり押し寄せる風圧に耐えていた。

 暴風に屈せず立ちはだかる。その狙いは成功したと言えるだろう。だがそれは諸刃の刃、その場から一歩も動かぬその姿は格好の的でもあった。ゼファーがその状態を見逃す筈もない。渦巻く哄笑の中を駆け、車輪剣を振りかぶる。その姿を見た瞬間、真琴の紫の瞳がきらりと光った。

「この世を彩りしものよ、舞い踊れっ!―――神羅写成・彩色演舞っ!!」
 真琴の小さな手から5色の魔法の弾が放たれる。その数165発。速さに長けたゼファーであっても、至近距離で放たれたそれらを全て避け切る事は出来なかった。ゼファーに触れた弾は勢いよく弾け、内包した金属片で無数の傷を刻むと共に、その身体をカラフルな塗料で染め上げる。
「!?」
 驚き距離を離そうとするゼファーだったが、周囲には既に多数の弾が取り囲むように待機していた。

「五行思想――あなたが使う風は木行。そしてこの弾に込めたのは、金行の力。金属がたくさん込められています。当たると痛いですよ?」
 悪戯が上手くいったとでもいう風に、誇らしげににこりと笑う真琴。次の瞬間、魔法の弾が次々とゼファーへと降り注ぐ。刻まれた無数の傷と飛び散る塗料が、ゼファーの鎧を白きコートを一層カラフルに染め上げていった。

成功 🔵​🔵​🔴​


 風に舞い踊る花々の中に立ち、空を見上げるウインドゼファー。決して油断していた訳ではない、速さで後れを取ったとも思わない。だが一筋縄ではいかない猟兵達の攻撃には感心させられる一方だった。
「世界はこうも色彩豊かなものだったか」
 そう呟く仮面の奥の表情は、見えない。
館野・敬輔
強敵なのはわかっている
今は自分の力を尽くすだけ

初撃はウインドゼファーの挙動をよく観察し
暴風発生の前兆を見逃さないようにした上で
「見切り」で回避を試みる
回避不能なら「オーラ防御、武器受け、激痛耐性」で軽減を

暴風で崩れた足場を「地形の利用」で把握しつつ飛び移りながら【魂魄解放】発動、過去に食らった魂を力に替え「ダッシュ」で接近
黒剣で「2回攻撃、怪力、生命力吸収、マヒ攻撃、鎧砕き」つきの斬撃と至近距離からの衝撃波をぶつける

1度攻撃したら距離を取り、攻撃を「見切り」で回避or防御したら再び足場を利用して急接近、黒剣で刺突攻撃
【魂魄解放】の効果で高速移動可能なのを利用して、ヒット&アウェイを心がける



 新たな猟兵の気配にウインドゼファーは再び身構えた。
 黒い鎧を纏った青年だった。館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)の、優しさと激しさを秘めた青と赤の瞳がゼファーを睨みつける。
(強敵なのはわかっている、今は自分の力を尽くすだけ)

 ゼファーが右手の車輪剣を振り上げた。直後に風が唸りを上げる。暴風発生の予兆だろうか? だが逃げ切れる速さでは無い。敬輔はそう判断し、その身をオーラ防御で包んだ。黒き呪いの宿る剣を前方に突き出し、押し寄せる巨大な空気の塊を受け、斬り裂く。直撃する風は辛うじて逸らしたものの、その衝撃に身体が軋んだ。だがここで膝を折る気は毛頭無い。激痛を耐えその場に立ち続ける。

 やがて足場が崩れた。バラバラになった花々が空へと流される。まるで花吹雪だ。それらの位置を把握し、飛び移りながら戦場を駆ける。
 覚悟などとうに出来ている。敬輔はその手の中の呪われた剣を改めて構えた。
「喰らった魂を、力に替えて」
 魂魄解放。黒剣から影が滲み敬輔に絡みつく。それはかつて黒剣が喰らった魂のなれのはて。怒りもあったろうか、悲しみもあったろうか、業を抱え渦巻くそれが塊となりエネルギーとなり、敬輔を加速させた。

「速さでくるか、面白い」
 ゼファーも駆ける。右腕の車輪剣が敬輔の身を切りつけようと狙ってくる。互いに譲れぬ思いを胸に、魂を削り合うように激しく打ち合う剣と剣。
「くっ……」
 スピードは衝撃となり、互いの身を襲う。その重みを前に二の太刀を振るえる余裕はない。痺れる腕を抑え距離を取る。

(恐らくは次が限界だろう。だが手応えは確かにあった、ならば)
 黒剣を構え再び走り出す敬輔。
「託された役目を果たすだけ!」

 花の足場を蹴る。身をひねり、更に足場を蹴る。高まる速さに合わせて神経を集中させる。チャンスは一度きり、……今だ!

 車輪剣が敬輔の腹を切りつけた。
 同時に黒剣が、ゼファーの胸を貫いた。
 吹き荒れた暴風が、遂にその動きを止めた。


 崩れ落ちるようにして倒れるウインドゼファー。その上に花びらたちが音もなく積りゆく。
「猟兵の強さ、これほどのものでしたか」

 同じく倒れ込む敬輔。
「当たり前だ。個人の強さで叶わなくとも、僕達には仲間がいる。同じ願いを託せる仲間達が」

「そうですね」
 ゆっくりと答えたゼファーの声は、意外にも穏やかなものだった。
 仲間を信じて一つ一つを積み重ねていった猟兵達。それが強さであるというのなら、
「……ならば私も賭けてみましょう、ドン・フリーダム、貴女に。この革命の結末を」

 花降る空を見上げたウインドゼファーは、その空に身を溶かす様にして跡形もなく消えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月26日


挿絵イラスト