バトルオブフラワーズ⑪~西、つむじ風
●西風より速く
「モンキーにバニーがやられましたか……」
システム・フラワーズにて。一輪バイクのような武器を持ったオブリビオンが、静かに風に吹かれている。
「では、もうすぐ此処に猟兵がやって来るという事ですね」
風はまるで、彼女の従者のように。花は傾き、さながら彼女の臣民のように。
「私はあの二人のように特異な能力を持っていませんが……ドン・フリーダムがシステム・フラワーズを取り戻すまでの時間稼ぎはさせて頂きます」
うおん、と手に持った剣の車輪が鳴った。其れはひどく攻撃的な音をしていた。
●グリモアベースにて
「みんなーっ! 差し入れだよー!」
メッティ・アンティカ(f09008)が用意したのは、おにぎりがいくつか。これが鮭で、これが昆布。これはツナマヨ、と指差して示し、好きなのを取ってね、と集まってくれた猟兵に配り歩く。
「ふう。えっと、ラビットバニーの討伐お疲れ様! みんな、本当にすごいや! この調子で敵の首謀者まで辿り着けるといいね、……って思うんだけど、まだまだ配下はいるみたい。今度は“ウインドゼファー”ってオブリビオンが、道を塞いでる」
魔女帽子をかぶり直しながら、何故か己が申し訳なさそうにメッティは眉を下げる。時折伺うように、おにぎりは美味しいかと聞きながら。
「彼女は……風を操る能力を持ったオブリビオン。今までの敵のように、不思議な能力を持ってる訳では無いみたい。でも、それって、それだけ強いって事だから―― 一概に良い事とは言えないな」
そして、先んじての二人と同じく、先手を仕掛けてくる。小手先だけのトリックでは打ち破られるという事だろう。
純粋に強い。それがウィンドゼファーの強み。
「でもでも、みんなで挑めばきっと大丈夫だよ! 僕らの強みは協力できることなんだ、たった一人の怪人には、絶対に出来ない事だから!」
では、おにぎりを食べた人からどうぞ!
グリモアの門を開いて、魔法猫は誘う。門の向こうでは花がゆらり揺れて、不穏に風が吹き荒れていた。
key
こんにちは、keyです。
今回はシステム・フラワーズの第三関門です。
●注意
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●目的
「ウインドゼファーを撃破せよ」
●エネミー「ウインドゼファー」について
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
また、戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
●立地
引き続き、花咲き乱れる足場となります。
●
これまでとは違い、純戦シナリオとなります。
特殊能力がない分、逆に厄介かも知れませんが――どうか頑張って。
では、いってらっしゃい。
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
風が強い。
猟兵がシステム・フラワーズに降り立ってまず感じたのは、異様な大気の流れだった。
「来ましたね」
其の中央に、彼女はいる。うおん、と鳴ったのは、手に持った車輪か、其れとも風の唸り声か。
「此処から先へ通す訳にはいきません。あなた達には、此処で斃れてもらいます。――ドン・フリーダムがシステム・フラワーズを取り戻すまでの時間稼ぎ程度なら、私にだって。……私たちは全てを手に入れる。欲望のままに奪い取る。邪魔はさせないッ!」
高柳・源三郎
まず、たぬきの着ぐるみを身に纏い戦場に現れる。
相手が風で攻撃してくるなら戦場に花びらが舞うはず。花びらで視界が悪くなったら技能【早着替え】で着ぐるみを脱いで【たぬき人形たろう】と【はな】を着ぐるみの中に忍ばせてわしは隠れる。
操り糸に神経を集中して敵の攻撃が着ぐるみに当たった瞬間にUC【荒れ狂う「はな」びら】を使い2体のたぬき人形と着ぐるみを【たぬき人形はな】の花飾りの花びらに変えて戦場に舞う花びらに紛れ込ませる紛れ込ませる。
攻撃でわしが四散したと思わせると同時にUCの花びらが戦場に舞う花びらと見分けがつかず相手はこの後素早く動けないはずじゃ。
後は動きを封じつつUCの花びらで攻撃するんじゃ。
「ふ、風を操る能力か……花弁が舞って雅じゃのう」
「来ましたか、猟兵……ん?」
ウインドゼファーは仮面で見えないが、首を傾げた。目の前にいるのは想像していた猟兵とは違う、ファンシーで大きなたぬきさんだ。
「……ん?」
「うむ、紛れもなく猟兵じゃよ」
頷いたのは、とってもファンシーなたぬきさんだ……ウインドゼファーは僅か黙った後、いえ、と顔を上げた。
「姿格好に然程意味はありません。相手が猟兵ならば、私はこの車輪剣で切り裂くのみ!」
「雅な風景に似合わぬ物騒な言葉じゃ。まあよかろう、わしとて花より団子、団子より一合の酒じゃからのう。花より風な者がおってもおかしくはない」
「戯言を。この花弁を貴方の血で染め上げてご覧に入れる!」
ウォンンンッ!
二振りの車輪剣が唸り、風が周囲に吹き荒れる。ファンシーなたぬきさん、もとい高柳・源三郎(流浪の酔いどれおやじ、たぬき人形と共に・f15710)目掛けて、車輪剣に集った風を解き放つ。
「嗤えッ!」
高らかに笑い声――轟音を立てながら、竜巻がたぬきの着ぐるみに迫る。たぬきは避けようともしない。花弁が竜巻で巻き上げられ、切り裂かれ、哀れ宙に舞う。
「嗤え……そして、果てろッ!」
まさしく其の速さ、風の如し。一瞬でたぬきに接近したウインドゼファーは、車輪剣を振り上げ、切り裂き、振り抜く。
びりびりと着ぐるみの布が裂かれ、中にはいった綿が――不意に“咲いた”。
「! なッ!?」
ぶわっ、と花弁が溢れ出す。たぬきの着ぐるみは一瞬にして花弁と咲き誇り、雲散霧消――いや、花なのだから消えてはいないか。
「目晦まし……! 本体は何処に、」
「“はな”が花になる。ついでにたろうもな。綺麗なもんじゃろう? ――拙者、高柳 源三郎。ウインドゼファー殿、其のお命頂戴致す」
「っく……!」
花弁が吹き荒れる。全てを切り裂く筈だった車輪剣に、鋭い傷跡がいくつも刻まれていく。ウインドゼファーの服と肌を、花弁に紛れ込んだ源三郎のユーベルコードが切り刻む。
風を起こしては花弁が舞う。其れでは相手の起こした花弁が判別できない……
「小癪……! ならばッ! 竜巻で花弁を吸い集めれば!」
竜巻が嗤う。車輪剣が巻き起こした竜巻が、周囲の花弁を吸い集め、切り刻んでいく。
そしてウインドゼファーは――気付いてしまった。
「……!!」
360度、彼女の全方位に――源三郎の花(いと)が張り巡らされている事に。
薄まった花弁と竜巻の向こう。好々とした表情を厳しく変えた男が、ウインドゼファーを睨みつけていた。
「頂戴仕る」
無数の花弁が、ウインドゼファーの全身を切り刻む……!
どさ、と倒れた怪人。その姿はさらりと灰になって消えたが――きっとまたすぐに現れるだろう。
「たろう、はな、ご苦労さんじゃったな」
源三郎は愛用の人形に礼を言う。人形“はな”の花飾りが、誇らしげに輝いた。
大成功
🔵🔵🔵
ナナシ・シロナ
戦闘前
おにぎりを口に積めながら次の敵の情報を聴き対抗策をしばし考える。(おにぎりが美味い)
戦闘
敵の先制攻撃については、致命傷を負わないように頭や首筋などの急所の守りに集中して、敵の攻撃を地獄の炎で物質化した肉体(おもに四肢や下腹部)で受け止めるよう心掛ける。
敵の素早い動きに翻弄されているふりをしながら【ブレイズフレイム】の地獄の炎を体の内部で爆発寸前まで溜め込み、攻撃を受けた瞬間に傷口から爆発が放たれるようにカウンターを仕込む。
長期戦を見越して、常に足から炎を噴き出し辺りの花畑などを燃やしフィールド全体に熱風を発生させて相手が熱さ疲弊したところを一気に畳み掛ける。
【アドリブ、絡み等歓迎】
「おにぎりうま」
ナナシ・シロナ(焼却炉の魔術師・f15608)は頭部の炎を滾らせる。戦意とかじゃなく、純粋におにぎりが美味しかったので。
もくもくもく、と食べる。これはグリモア猟兵が握ったのだろうか。昆布にしとけばよかったかな。美味い。なんて考えてるうちに、あっという間におにぎりはなくなって。
「じゃ、いくかの」
花溢れる敵地へと、足を踏み入れた。
「――来ましたか」
「うむ、来たぞ。さっさと始めよう」
「其の決断の速さは認めましょう。ですが、決意したのは私の方が速かった。そう、私は誰より速い。誰よりも速くなければいけないのです、速く、速く――風よりも!」
まるで憑りつかれたように叫んだウインドゼファーの姿が、一瞬で掻き消えた。ナナシは迎撃の構えを取る。力が入りすぎている個所も抜けている個所もない。そして頭と首――急所を直ぐに庇える腕の構え。歴戦の兵だと感じさせる、隙のなさ。
だが。
「どんな構えであろうと、私の車輪剣はあやまたず切り裂く!」
其の声さえ、彼女の速さの前では置いて行かれる。
凄まじい速さで繰り出された車輪剣が、ナナシの頤を狙う。腕を交差させ、其のとげとげしく回転する刃を受けるナナシ。血が零れ出し、炎となって散る。
「うむ、……速い」
「いいえ、もっと速くなります。もっと、もっとね……!」
右へ、左へ。交差しながら斬り付けられているだけなのに、反応するだけで精一杯だ。其れほどにウインドゼファーは速かった。
ナナシは防御の構えを解かぬまま、じっと琥珀色の眸でつむじ風と化した敵を見つめていた。右へ、左へ。ちりちり、と頭部の炎がくすぶる。
「どうしました! 手も足も出ませんか!」
「そうじゃのう。この速さはちと想定外じゃった。急所を守るので精一杯。じゃが……
ところでおぬし、疲れてはおらんか?」
「! ……何?」
「速度が落ちておるぞ。わしの目でも追い付ける」
そんなばかな、とウインドゼファーは言おうとして……不意に、暑さに気付く。システム・フラワーズはこんなに暑かっただろうか?
「己の速さにこだわる余り、気付けなかったんじゃろう。準備はじっくりと行うものじゃて」
「な……貴様、システム・フラワーズを……!」
燃えていた。
システム・フラワーズの足場となる花が、ごうごうと燃え盛っている……! 火元は間違いなく、ナナシの燃え盛る足!
「大事の前の小事、見逃して貰うほかあるまい。どうした? 自慢の速さはおしまいか? ならわしから征こう」
ウインドゼファーはこの時初めて、彼に傷をつけ続けた事を後悔した。
そして其れは、“遅すぎた”。
其の時には既に、傷口から噴き出した鮮赤の炎が彼女を包み、灰にしていたのだから。
「………ふむ」
怪人が炎になったのを見届け、火を消したナナシ。周囲は足場どころではなく、一面真っ黒に染まっている。
「ちとやりすぎたかの。 おーい、グリモアよー」
きっと呼んだら気付いてくれるだろう。ナナシはのんびりと常と同じように、グリモア猟兵へ呼び掛けるのだった。
成功
🔵🔵🔴
黒瀬・ナナ
差し入れのおにぎり(こんぶ大好き)食べてきたから元気百倍よ!
いざ、勝負!
何が来るか判らないから、迂闊に近付かず最初は充分距離を取っておく。周りの皆と協力し合い警戒は怠らずに、注意深く相手を観察。『聞き耳』で僅かな音も逃さずに。攻撃の素振りを見せたら回避に専念。避けきれなければ『オーラ防御』使用。近くにいる人がいたら『手をつなぐ』ことで、一緒にオーラで守れるように。それでも当たったら『激痛耐性』と『気合い』で我慢!
先手は取られたけれど、今ので攻撃は見切ったわ!お願い、風神様!
暴風で花の足場がバラバラにされても、華麗に天を駆けて。相手の頭上から、落下の勢いも乗せて薙刀を突き立てる!
※アドリブ歓迎
アウル・トールフォレスト
みんなで挑めば…うん!そうだよね
みんなの力を合わせれば、きっと勝てるよね
先制攻撃には自慢の怪力で。
風には風を。オーラで守りながら、同じものを腕に乗せて放つよ!(怪力、範囲攻撃、属性攻撃、衝撃波、オーラ防御)
花の足場は崩されないようにオーラで覆って、それに苔や蔓植物達に根を下ろして貰って強度を高めておく。
反撃はみんなの力を借りて!
【破光・森羅龍輝】の光の槍を、思い切り投げつける!
絶対に外さないんだから…!(野生の勘、視力、追跡)
(※好きにお任せします)
「はッ!!」
ウインドゼファーが薙ぐ。
「謳えッ!」
猛風が吹き荒れる。其の風は黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)とアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)の頬を、腕を、足を、あらゆる肌と言う肌を切り裂き、彼女らの装束を赤く染め上げていく。
「足場を崩すつもりだね? でも、そんな事させない……! せ、え、のッ!!」
アウルが腕を振りかぶり、思い切り宙を殴りつけた。其れは、わん、と空間すら歪ませて、そしてウインドゼファーにとっての向かい風を吐き出す。吐き出された風と風がぶつかり、暖かな色彩の花畑がふわりふわりと散っていく――が、足場を失う程ではない。
「いざとなったら気合で我慢……って思ってたけど、助かったわ!」
「えへへ、それでも傷だらけにはなっちゃったけどね。大丈夫?」
「ええ! 先手は取られたけれど、相手の攻撃は大振り……純粋な剣技では負けないって判ったから!」
ナナとアウルは笑みを交わし合う。いざとなれば手を繋ぎ、己のオーラを分け合う事も考えていたナナだが、二人とも防御の術を持っていたので、被害は想定内だ。
「じゃあ私が行くわね。――……わたしはあなた、あなたはわたし……」
ナナが呟く。其れは祈り。其れは願い。其れは宣誓。其れは断言。この脚は天を翔ける風神様の脚。誰にも追い付けないし、追い付かせない。そう、其れは風でさえも!
「小癪な……他でもない私に風で勝負を挑むとは」
「寧ろあなただから……かな? 風で挑まれたら、風で返したくなるでしょ?」
小首を傾げ、挑発するように告げるアウル。ウインドゼファーの僅かな沈黙は、苛立っているようだった。
「そう、其れが貴方の弱点よッ!! 風に頼りっきりで、剣技を磨かなかった貴方のね!」
「!」
声は遥か上空から。ウインドゼファーが見上げれば、ナナが大気を蹴って頭上へと。薙刀を構える姿に動揺はそよ風ほどもなく。落下する速度は、まさに春風の如し――!
一直線急転落下、ウインドゼファーの脳天めがけてナナの薙刀が振り落とされる!
「ッ、ぐううううッ……!」
「まあ、これも純粋な剣技かって言われると疑問だけど……ッ!! でも、私たちには絶対に貴方に負けない理由があるのよ!」
交差させた車輪剣で迎撃するウインドゼファー。しかし落下により数倍に肥大した薙刀の威力は、彼女の両腕をナナへと縫い留めて。
「そう。貴方に負けない理由。其れは私たちが、“私たち”だったこと!」
「一人だったら勝てなかったかもしれない……でも、私たちは、私たちだから!!」
アウルがマナの塊を構える。其れは細い針のような槍の形をしていた。趨勢がこちらに傾いているからこその、威力の低下――だが、其れで良い。投げられるなら、其れで良い。アウルは全力を右腕に籠め、一気に……投げ放った。
「ごっ……!!」
其の槍はまさに光のような速さで、ウインドゼファーの胸元にすとん、と突き立った。酷く呆気なく――去り際もまさに風のように――崩れて落ちるウインドゼファー。
すとん、と代わりに降り立ったのはナナ。振り返って、アウルに満面の笑みとブイサイン。アウルも思わず笑って、ブイサインで答えた。
大成功
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落浜・語
そもそも直接戦闘は苦手なんだが、まぁ、やれるとこまでやってみるか。最悪、肉体消えるだけだし。
暴風は十分脅威なんだが、相手の暴風はあえて受ける。そのまま足場から落ち、カラスを呼んで、相手の頭上を取る。おいかけっこになりそうな気もしなくはないが、そこはカラスを信じて。落ちたことで気を反らしてくれてると、とりやすくて良いんだがな。
その上で直滑降で奇襲を。接敵直前にカラスを離脱させて、俺は落下の勢いのまま、奏剣で【捨て身の一撃】。
単純な競り合いじゃ、俺の勝ち目はほぼないが、勢いと自重が乗っていればあるいは。
最悪、死のうが肉体消滅しようが、他の人の一撃に繋ぐことができればそれでいい。
アドリブ、連携可
最悪、肉体が消えるだけ。
落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は暴風で足場を崩されながら、そんな思いを抱いていた。
「(だって、正面からぶつかってもこれじゃあ勝ち目は薄い)」
果てしないプログラムの奈落へ落ちていくかと思われた語だが、其の姿を拾う大きな黒い影がある。
「呆気ない。抵抗もしないとは――む?」
呆れたように頭を振ったウインドゼファーだが――ふと舞い上がる鳥を視界にとらえた気がして、上空を見上げた。いや、紛れもなく鳥がいた。大きな鴉が、不安定な風を翼でとらえて飛んでいる。
「(正面からぶつかっても)」
「勝てないなら――そうですか、上から」
「ってのは、どうだい?」
鴉が下向く。よだかは星目掛けて飛んだというが、果たして鴉は風の中心目掛けて飛んだ。急転直下の超速落下。そして、語は鴉の背を蹴る。
「面白い――其のやる気のなさで何処まで出来るかやってみるといい!」
「(やる気のなさ……か)」
そう思われても仕方がない、と語は思った。己の命の重みは、きっと、他の誰かよりも軽い。そう思えて仕方がないのだ。――剣の柄を両手で握り、落下の勢いのまま、ウインドゼファーに突貫する。
ウインドゼファーは車輪剣を横に薙ぎ――
――誰かに繋げれば、其れで良い。
――本当に?
――繋ぐために、本当に必要なものって、何だ?
は、と語が気付いた時には、ウインドゼファーの車輪剣が己の剣を削っていた。其の回転が遅く見えて……一瞬が引き延ばされているのだ、と気付いた。
死が近いから、時を遅く感じるのか? 初めての感覚に、語は戸惑う。死なんて恐れた事はない。本体が折られたとしても、其れは勝負の時の運。次に繋げれば――
――繋ぐために必要なものって、何だ?
また誰かが問う声がする。繋ぐために必要なものって、何だろう。俺はそもそも、どうして、自分から相手の刃に落ちて行ったのか。
判らない。判らないが――
「……何だろうな。何だろうな……!」
剣を握る手に力が入る。死線をはっきりと感じて、全身が緊張する。何だろうな、この感覚は。俺にはなかった、今までなかった感覚だ。判らない、名前を付けるにはまだ早い。だけど……
「繋ぐためには、負けたら駄目なんだよな……ッッ!!!」
自ら車輪剣の死線に飛び込むように、語は剣と己を“前へ”進めた。
……。
…………。
「……生きてる」
血飛沫。痛み。風は穏やかで――語は生きていた。本体にも損傷はない。
ウインドゼファーは……気配を感じない。灰になり去ってしまったのだろう。そして、次が来る気配は……ない。
「……勝った、のか」
判らない。実感が薄い。――ただ、語は満たされていた。やりきった、という感触が両手に痛いほど残っていた。ああ、と息を吐く。
いま死ぬのは惜しいな。
そう、思った。
●終幕
風を巻き起こしていた主は去り、システム・フラワーズ深部への扉が開かれる。
美しい花々は何も語らず、ただ、猟兵たちに進む道を与えるばかり。
しかし、花弁を散らさずに済むのが嬉しいような――そんな気配がわずかばかり、花畑に広がっていた。
成功
🔵🔵🔴