バトルオブフラワーズ⑪〜刹那の攻防
モンキーに続きバニーまでとは、驚きました。
でも、私の役目は門番。
ドン・フリーダムがシステム・フラワーズを取り戻すまでの時間稼ぎならば、私の『風を操るユーベルコード』でも、決してあの2人にひけは取りません。
『私達は全てを手に入れる。誰にも、邪魔は、させないッ!』
スピード怪人『ウインドゼファー』は幹部たる能力の高さを持ちながら、慢心はしていない。己の本分は門番、時間を稼げばいいと理解している。そして、そのスピードを生かした時間稼ぎの方法とは……?
「と、いうわけで、こいつは凄いスピードで逃げ続ける。なかなか割り切った面白いヤツだね」
ははっ、と笑いながら肩を竦めて透音・アリア(逢魔刻の独唱曲・f00078)が言った。本気なのか、冗談なのか、笑うしかないのか、それともそのすべてなのか。表情からは伺い知ることはできない。
「いや、失礼。別に面白がるために君たちを呼び止めたわけじゃあない。こいつを攻撃できるタイミングを何度か『見た』んだ。だからそれを教える。今回はその一瞬に攻撃を加えることを繰り返すというミッションだ。だが、流石は幹部級の存在、そんな不意を突くような攻撃に対してでも先制攻撃をしてくるようだね。つまり、一瞬の勝機にカウンターを入れることが求められるよ。どうだい、燃えてきたかな? 」
アリアは、にぃっと意地の悪そうな笑みを浮かべてあなた達を見回した。
「それじゃあ、タイミングを合わせて転移させるよ。Are you Ready? 」
豊葦原中津国
はじめましての方ははじめまして。そうでない方はまた見て下さってありがとうございます。
豊葦原中津国(とよあしはらなかつのくに)と申します。
本シナリオは、『キマイラフューチャー』の戦争「バトルオブフラワーズ」に関するシナリオとなります。
マップ【11】スピード怪人『ウインドゼファー』での戦闘です。
また、今回は(アリアも文中で言及していますが)以下のような特殊ルールがあります。
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
また、戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
それでは、御用とお急ぎでない方、よろしければ参加してみて下さいませ。
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アカネ・リアーブル
花咲き乱れるフィールドはまるで舞台のよう
ここは舞台
ウインドゼファーは共演者
そう思えば恐れることはありません
「ダンス」で身を軽くし「フェイント」「見切り」で回避
ダメージは「激痛耐性」「武器受け」で耐え抜きます
何があっても笑顔を絶やしません
ウインドゼファーを魅了してみせましょう
攻撃を耐え抜きましたら【退魔封縛の舞】で攻撃を
無数の鎖を放ち、ウインドゼファーの車軸へ絡ませます
回転は軸への異物に弱いものです
一部で足を止め残りで一斉に攻撃を
続けて踏み込み舞薙刀で「二回攻撃」
予想される反撃はUCと同様に回避
キマイラフューチャーはキマイラの皆様方の舞台
退場した時点であなた方のものではありません
どうぞお引取りを
銀糸の髪がふわりとなびいて、花咲き乱れるフィールドに彩りが添えられる。彩りの主はアカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)、民族衣装風の衣服に身を包んだオラトリオだ。少女からお姉さんへ、ちょっと背伸びしたら届くくらいのお年頃の見目麗しい娘だが、れっきとした猟兵であり、目下決戦中のウィンドゼファーとの戦うため、この場に転送されたのだった。
「花咲き乱れるフィールドはまるで舞台、ならばここでともに舞うのは共演者。……そう思えばウインドゼファーも恐れる対象ではありません。逆にアカネの舞で魅了して差し上げましょう」
タイミングを計って深呼吸。丁度、飛び回っていたウィンドゼファーが姿を現した。
「ほう、この瞬間を狙ってくるとは。しかし! 」
流石は門番を任されるほどの使い手である。待ち伏せされても即座に先制攻撃を仕掛けてくる。
「嗤え……」
手にした二本の車輪剣が哄笑を上げて竜巻を呼ぶ。まずは一撃。有無を言わせぬ速さはアカネがフェイントでタイミングをずらそうとするのを許さない。そして追撃。
「……っ! 」
回避はできぬと見切ったアカネはすぐさま対応を防御に切り替える。握る舞薙刀が迫りくる竜巻の軌道をわずかに逸らした。直撃を避け、痛みをおしてアカネの反撃が放たれる。
『君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな』
ユーベルコード【退魔封縛の舞】で生み出された無数の鎖が車輪剣へ、ウィンドゼファーの身体へと殺到していく。狙うは回転する物体の急所ともいえる軸だ。
「くっ、嫌なところを……しかし、まだまだっ」
ダメージはあたえたようだが、捕らえきるには足りず、ウィンドゼファーは再び高速機動に入り逃走していく。
「キマイラフューチャーはキマイラの皆様方の舞台。必ず退場して頂きます……!」
逃げ去るウィンドゼファーの背中に、アカネは決意の言葉を投げるのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
花盛・乙女
敵前にあって刃を構えるではなく逃げるときたか!
はっはっは!面白い、ではこの花盛乙女も久方振りに、鬼ごっこと参ろうか!
敵の速度は侮れん。
私の「怪力」と「ジャンプ」力の「追跡」でなんとか食らいついていこう。
それにしても凄い速さに風だな!
何をどうしたらそこまで速くなるのだ!?
追いつくかは分からんが、話が出来る相手なら声をかけながら追い縋ろう。
その様を見せて、気を緩めるまではなくとも「私が絶対に追いつけない」という認識を与える。
悪いが速度に関しては私にも奥の手があるぞ!
息を深く吸い、止め、一拍。
【火喰鳥】から放つ我が居合【雨燕】。
油断大敵という奴だ。
さて、次は貴様が鬼の番。
心してかかって来るがいい!
ごう、と響く轟音が衝撃を追ってやって来た。音の速度などとうに超えた速さがもたらす威力は、ステージの花々を盛大に吹き上げた。そうして舞い散る色とりどりの花弁の中、凛と立つ影がある。天に伸びた異形の一角。引き結ばれた唇は自然な赤。強い意志の輝きをたたえた瞳が、美しい花の命を散らすオブリビオンを捉えていた。影の名は花盛・乙女(羅刹女・f00399)、誇り高き羅刹の剣士だ。
「二度目、となると偶然ではないようですね。私が休憩する場所を狙っているようだ。しかし……! 」
ウィンドゼファーの【誰よりも速くなりたいという欲望】が【荒れ狂う暴風】となって彼のオブリビオンの身体を覆い尽くす。その威容を前に乙女が笑う。
「はっはっは! 面白い、ではこの花盛乙女も久方振りに、鬼ごっこと参ろうか! 」
笑顔を見せども油断はない。強敵を前にして笑えぬ程度の腕前では、羅刹の里で一番の刀剣士は名乗れない。全身の筋力と、それを活かした立体機動、さらに追跡技術の応用で軌道を読む。それらを駆使して乙女はウィンドゼファーの攻撃をぎりぎりで避ける。
「それにしても凄い速さに風だな! 何をどうしたらそこまで速くなるのだ!? 」
余裕はない、があえて声をかけた。気の緩みまでは望めなくとも『この猟兵は自分には追いつけない』と思わせるための行為。しかし、それは乙女が思っているよりも高い効果をあげた。【欲望】は満たされることで激しさを失うものだ。そしてウィンドゼファーが攻撃に選んだのは、情動の強さを力に変えるユーベルコード。
息を深く吸い、止め、一拍。
一瞬の交差の後、高速同士の戦いを制したのは乙女だった。
「油断大敵という奴だ。さて、次は貴様が鬼だぞ? 心してかかってくるがいい! 」
大成功
🔵🔵🔵
チガヤ・シフレット
実力も早さもあって慢心なしか!
時間稼ぎされると面倒だよなぁ?
さぁて、こっちも負けないくらい上げていくとするかぁ!
足場を崩すほどの暴風がくるっていうなら、こっちも【衝撃波】でもぶつけてやろうかっ。
兵装のなかから、爆発系をブチ込みまくって相殺を……。
ちょいと色々ぶっ飛んで危ないだろうが、耐えられるだろう。
あとはワイヤーガン使って崩れた足場への移動や瓦礫使っての妨害やらしつつ、あとは一瞬の機を逃さずにぶちかますだけだっ。
脚部のブースターを限界まで稼働させて一撃、銃弾でも刃でも、叩き込んでやろうじゃないか!
はははっ、速すぎて見えなかったか?
飛び去った『暴風』がゆっくりと降り立つ。
「ここにもまたいるはずですね、猟兵よ」
「はっ、油断もなしか! 」
カマをかけただけかもしれないが、返事がなかったからといって油断してくれる相手ではないだろう。それならいっそ会話でもしてやろうか、とチガヤ・シフレット(バッドメタル・f04538)が姿を現した。しかし、チガヤの姿を認めると、ウィンドゼファーはすぐさま高速機動を開始する。
「なんだ、連れないな。……じゃあまあ、こっちも負けないくらい上げていくとするかぁ! 」
それでも、いやむしろ楽しげに笑い、チガヤも迎え撃つ構えをとった。有利はこれから相手が放ってくる技がわかっていること。足場ごと薙ぎ払ってくるはずの衝撃波に対し、彼女は避けるそぶりも防御する様子も見せない。
「衝撃波には衝撃波だ! 」
(「猟兵の基本は爆発だよ! 」)
懐いてくる後輩猟兵のちょっとトチ狂った口癖を思い出しつつ、吼える。内蔵した装備の中から爆発物をピックアップ、照準も合わせず片っ端から放っていく。何せ高速の全周囲攻撃を相殺するのが目的である。狙う必要など全くない。
(「成程、ちょっと楽しいかもしれない」)
二人の戦場に暴風が吹き荒れ、花弁が舞い上げられていく。暫しの後、砕けきって瓦礫になった足場を見下ろすオブリビオンの姿があった。
「…………塵も残らないですかね」
ザンッ!
切断音。脚部ブースターを限界まで稼働させたチガヤのナイフが、ウィンドゼファーの首元を切り裂いていた。
「残念、全身丸々残ってるんだな! 」
チガヤは足場を守りつつも、ワイヤーガンを駆使して回避の準備をしていたのだった。
「はははっ、速すぎて見えなかったか? 」
速さが身上のオブリビオンは唇を噛んで、再び逃走を開始した。
成功
🔵🔵🔴
尾崎・ナオ
前衛さんが居るなら連携を取りたいところ~。
【SPD】
●防御(回避)
足場の位置を【第六感30】で察知し距離を取って暴風は回避しよう。
UC【煽りは任せろ】を使って、回避。
自画自賛する事で、寿命を削りつつ一時的にスピードと反応速度を爆発的に増大させる。
「ナオちゃん、超可愛い!戦場の花とはまさにナオちゃんの事ね!」
●対処
UC継続で反応速度を上げたまま、敵攻撃の吹き飛ばしを利用して距離を取る。
回避後、即座に反撃開始!
●攻撃
UC【クイックドロウ】と、技能【クイックドロウ118】の合わせ技。
1秒間に何発撃てるかにゃー?
弾薬、いや、拳銃そのものを複数持ってるナオちゃんの手数は凄いぞぅ?
『暴風』が襲い来る。躊躇い無く、凄まじい勢いで降り注ぐ風は、花咲き乱れるステージ……足場を破壊していく。
「如何なる手段で私の先回りをしているかはわかりません。が、ここでも待ち伏せがあるは必定……! しかしそれが分かっていれば先制攻撃も出来るというものです」
ここまで猟兵の待ち伏せを受けたウィンドゼファーは、ついに状況を確認せずに先制攻撃を仕掛けてくるようになった。疑わしきは撃て、石橋を叩いて破壊。正義の味方がやると大顰蹙モノであるが、残念ながらウィンドゼファーはオブリビオン、ばっちり悪役なので何も問題はない。しかしここでも意表を突かれる結果となった。
「ナオちゃん、超可愛い! 戦場の花とはまさにナオちゃんの事ね! 」
もうもうと巻き上がる土煙の中から聞こえてくるのは、自画自賛する可愛い声。……敵対する側からすると、ちょっとイラっとされるかもしれない。長い黒髪を靡かせて出現するのは尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)。猫っぽいクセっ毛と得意げな笑顔が印象に残るだろう。
「全周囲無差別攻撃を避けた、だと……!? どんな手品を使ったというのだ! 」
「えっ、勘だよぉ~? 」
イラッ。
「馬鹿なッ!? 」
勘とは経験と知識に裏付けされた立派な能力である。とはいえ断言されると釈然としないものがあるのかもしれない。
「ん~……? もしかしてぇ、その台詞が口癖? だっさーーwwwww」
ナオの口から言葉のナイフがマシンガンの如く吐き出されていく。今彼女は【全力で相手を馬鹿にする軽口マシーン】となっていた。
「大体その武器はなぁに? 芝刈りでもするの? ああ、だからあちこちふらふらしてるワケ? でも芝刈りすらナオちゃんたちに邪魔されて満足にできてないんでちゅね~可哀想でちゅね~~~」
「言わせておけば! 」
激昂したオブリビオンは再び暴風を巻き起こす、がそれすらナオの掌の上。
「それ、もーらい♪ 」
風を利用して距離をあけ。
「1秒間に何発撃てるかにゃー? 」
降り注ぐのは銃弾の雨あられ。
「くっ、交戦は、本意では、ない! 」
ウィンドゼファーはほうほうの体でナオの元から逃走したのだった。
「ばいばーい、まっけいぬさーん♪ 」
ナオの口はその後も絶口調だった。
大成功
🔵🔵🔵
フィロメーラ・アステール
「ここに来て鬼ごっこかー!」
ちょっと前にテレビウム連れて逃げ回ったけど!
今度は、こっちが追いかける側だなんてな!
面白くなってきた!
【気合い】を入れて【空中戦】を仕掛けるぜ!
飛べば足場が吹き飛ばされても平気!
なら直接吹き飛ばしに来るかな?
【第六感】で暴風を抜けやすい場所を察知!
【オーラ防御】バリア展開!
【スライディング】で流線型っぽく変形して抵抗軽減!
ついでに【全力魔法】を『星の衣』に注ぎ物理法則を歪曲!
これらの合わせ技で速度ロスを最小限に抑える!
暴風を抜けたら反撃だ!
【星界式瞬間加速法】で横に【ジャンプ】する形で移動!
【残像】を放ちつつ加速・転進を行い、追い詰めて!
必殺の【踏みつけ】キックだ!
ウィンドゼファーはついに猟兵の待ち伏せを確信した。そしてこのままじわじわダメージを蓄積させられると、敗北する危険があると判断する。休息のタイミングをずらし、追跡してくる猟兵を万全……とまではいかないものの、これまでより良い状態で迎え撃たんとした。
「ここに来て鬼ごっこかー! 面白くなってきた! 」
そこに現われたのはフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)だ。先日の『テレビウム・ロック事件』ではテレビウムを守りながら逃走したものだが、それが今度は追う側である。楽しくなってきて、思わず笑顔。しかし、見るものを和ませる100万点の笑顔も、流石に敵には通用しない。そんなことを狙っているわけではないのではあるが。
「来たな、猟兵……! 」
既に風を纏っていたウィンドゼファーはフィロメーラの足場を破壊せんと暴風を解き放つ。それに対し
「ちぇすとぉーーー! 」
気合を入れつつ、フィロメーラは『足場がなければ飛べばいい』とシンプルな対処方法で空中戦を仕掛けていく。流星の名は伊達ではない。が、相手もスピードが身上のオブリビオンだ、簡単には接触させてはくれない。無差別に撒き散らしていた暴風をフィロメーラに向けて集中させてきた。
(「無差別じゃなくなれば傾向も出てくる……あいつまでのルートは……こう! 」)
瞬時に接近ルートを決める。ほぼ感だが、ここは速度を優先するべきだと、彼女の経験が告げている。ある程度のダメージは覚悟の上、バリアを張って突き進む。それは、まるで空を滑るかのようで。《またー》《とりの》《ぐらび》に込められた魔力が既存の法則を超越させた。そう、加速にさらに加速を重ねれば速度は無限にあがるのだ。フィロメーラはスピードを極めたオブリビオンの予測さえ超えた速度で暴風圏を突き抜け、肉薄した。
「今から! 」
「あんたを! 」
ユーベルコード【星界式瞬間加速法(スターリー・ロケットスターター)】で、勢いを殺さず空を踏む。ウィンドゼファーの周囲を公転する惑星のように、ターン。そして。
『世界の果てまでかっ飛ばすぞー! 』
頭上から降り注いだ流星がオブリビオンを大地に叩きつけた。
成功
🔵🔵🔴
轟音をあげて花の大地が震撼する。質量はそれほどでもないが、その勢いは凄まじく、キマイラフューチャーそのものが揺れたかのようだった。
「幕引きと参りましょう」
舞薙刀を携えた銀糸の少女が、
「どうした、鬼ごっこはもうおしまいか? 」
羅刹の乙女が、
「意外とあっけないね~」
その後ろからは毒舌娘が姿を現す。
「おー、みんな、こっちこっち~! 」
今しがたオブリビオンを大地に沈めた星屑の妖精はキラキラと輝いて仲間の猟兵たちを迎える。
「……ぐ、う……」
衝撃から立ち直ったウィンドゼファーが、怒りに燃えて立ち上がった。
幕引きが始まる
無累・是空
チガヤ(f04538)と組んで行くぞい!
初撃は【地形の利用】と【オーラ防御】でしのぐぞい!カバーしきれんところはチガヤがなんとかするじゃろ!
スピード自慢のようじゃが、あいにくとわしの念は風より速いぞ!
【念動力】全開の『神の見えざる手』で仕掛ける!
そんだけ速ければ急旋回にも限度があるじゃろ!【空中戦】の心得もあるわしにはおよそ動きが読めてるぞい!まして時間稼ぎを狙うとなればの!
空中でわしの目に見えぬ神通念動力を見事避け切れるかの?
逆に突っ込んできたときには、わしとチガヤを【範囲攻撃】の神の見えざる手で浮かせて緊急回避じゃ!アドリブも合わせて見せよ、チガヤ!
チガヤ・シフレット
無累・是空(f16461)と組もう
逃げ足の速い!!
だーけーどーなぁ、次は逃がさないぞ?
一人で追いきれないなら、次は二人だ!
二人でやりゃ、百万倍パワーくらいだろう?
荒れ狂う暴風には再び爆破の【衝撃波】を合わせ相殺しつつ、相手の動きを予測して銃弾撃ち込んで牽制、回避だ!
是空の動きにも合わせていくか!
速さへの欲望、いいじゃないか。それじゃあ、こっちは追い立てるだけだ!
そして、サイバーアイを起動。先の攻防で【情報収集】は済んでる
この眼の計算でもって、奴の移動地点を割り出し、弾丸をぶち込む!
さぁさぁ走れ走れ!
限界まで追い込んで、一瞬の隙を。
そして……今だ、是空!
計算通りなら、ばっちり決まったろう?
「ふっふっふ、次は逃がさないぞ? なにせさっきは一人だったが今度は二人! 二人でやりゃ、パワーは百万倍くらいだろう」
「計算が雑すぎる気はするが、二人で力を合わせれば2倍以上のパワーになるのは王道! ありえんことではないのう! 」
そんなやり取りをしながら現れたのはチガヤ・シフレット(バッドメタル・f04538)と無累・是空(アカシャ・f16461)の二人。無茶な理論ではあるが、高度な連携で足し算以上の総合能力を引き出せるのは間違いない。そもそも別に理屈が正しい必要はない。猟兵たちの力で以てオブリビオンを倒せばいいのだ。実にシンプルである。
「そんなになって堪るものか! 忌々しい猟兵たちよ! 集まったが最後、このステージ毎灰塵へと化すがいい……」
風に乗ってウィンドゼファーの呪詛の声が猟兵たちに届く。が、それで怯むような者はこの場にはいなかった。
荒れ狂う暴風が大地を砕き始める。そのスピードは傷ついてもなお速く、いや傷ついたからこそもっと速く……! と渇望したのか、これまでの速さを凌駕していた。
「あいついったい何を……? 」
「自棄になったのか」
「……違う、あいつの狙いはこのステージそのものか! 」
飛行能力を持つ猟兵は多くはない。また、飛べるといっても一時的なものである者がほとんどだ。『場』を破壊しつくすことで再度仕切りなおすつもりなのだろう。
「やることがしみったれてやがるな、オブリビオン! 」
大地を穿たんとする暴風はチガヤからの衝撃波が相殺する。
「こいつで防げるのは実証済みだ! 」
そしてステージの要所を砕かんとする体当たりには是空がオーラ防御で相対する。すでに砕かれた部分や、砕かれても問題ない部分は逆に自分で破壊して積み上げて利用する。言動の豪快さからは想像できない巧みさである。そうして防ぐこと暫し、チガヤが放つ牽制の弾丸が一発、二発とウィンドゼファーを捉えはじめた。
「そろそろ反撃開始といこうか。わしの念は風より速いぞ! 」
『念力収束! ゆくぞ神パワー!! ゴッドハーーンドッ!!』
風より速いどころの話ではなかった。是空の『念』は特定の位置を狙っているわけではなく『認識した敵』そのものへと効果を及ぼしていた。
(「スピードが……通じない? 馬鹿な……いや、そんなことはないはずだ。もっとだ、もっと速く! もっと! もっと! もっと! もっと!」)
追い詰められてオブリビオンはさらなる速さを求める。足りないならもっと。それでも足りないならもっと。やがて『目にも止まらない速さ』は『目に映らない速さ』へ、そして『知覚すらされない速さ』へ。ついには『念』すら振り切ったウィンドゼファーは、二人の猟兵へとその速度を凶器に変えて襲い掛かる。
「避けたのは見事。じゃが、その領域では旋回もままなるまい。……動きが読めてるぞい」
【神の見えざる手】を防御に転用した是空が、辺り一面を破壊し尽くさんとする突撃からチガヤたちもまとめて守る。防御を是空に任せたチガヤはサイバーアイを起動して予測計算を実行していた。先の攻防での情報収集と今の戦いで得た速度。限界にまで到達した速度は、逆に動きの幅を狭める。そうして予測した地点へとチガヤは正確に弾丸を撃ち込んでいった。それはこの戦い自体と似ている。休息地点を割り出されたウィンドゼファーは、猟兵たちの待ち伏せに遭い、じわじわと追い詰められたのだ。そして今はチガヤの弾丸が、オブリビオンを最期の場所へと追い込んでいく。
「今だ、是空! 」
合図と共に発生した『神の手』が極限まで加速したオブリビオンへ叩きつけられた。
「ほっ、アドリブじゃが上手くいったの」
「是空、気を抜くな! わたしが落ちる! 」
『見えない手』に乗るのは、意外と怖い。
成功
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