バトルオブフラワーズ⑪〜花嵐
時も知らずに咲き誇る花、また花。
胸を圧するほどの香りを引きちぎり、一陣の風がよぎる。
エイプモンキーにラビットバニー、先を行くものたちは皆、猟兵の手によって撃ち破られた。
「でも、私の役目は門番」
自ずとわきまえた声は、静かなもの。
だが、胸の内はどうだろう。
「かつて、ドン・フリーダムが開放した『無限大の欲望(リビドー)』は、人類を怪人化させ、滅亡へと導いた」
だけど。
「だけど今なら、オブリビオンとして蘇った私達なら――」
踏みしめた足の下で、花びらが身を震わせる。
潰れた花は、まるで赤い血だまりのようだ。
ウインドゼファー。
彼女の目にそのさまは映っているのだろうか。
花に嵐と詠った例もあるが。
真っ赤なフルフェイスが全てを覆い尽くし、外界へと伝えるものは声ばかり。
「私達は全てを手に入れる。誰にも、邪魔は、させないッ!」
舞い散る花の中にいると胸が騒ぐ。
それはグリモアベースに再現された光景であっても変わらない。
「私達、か」
今回の依頼の要項をファイルとして配布しながら、辻村・聡(死霊術士・f05187)は呟いた。
やがて目を上げると、眩しい花嵐を背にして猟兵たちへと向き直る。そうでもしないと落ちついて口を開けない。
「キマイラフューチャーでの戦い、先鋒、次鋒は無事に撃破された。ありがとう」
猟兵たちへの感謝を伝え、伏せた眼差しを上げる。
「忙しい話だが、続いてウインドゼファーの撃破を皆にお願いしたい。彼女は、ああ、ウインドゼファーは女性だ」
驚いたな、と実に正直な感想を口にして、聡は後ろ頭をぐしゃっと掻いた。
「名前の通り風を味方とするオブリビオンで、速さに長ける。他の要素は介さず、自身の持ち味のみで先手を打ってくるところもすっきりとわかりやすい」
飾りが少ない。
その事実を口にする時、聡の顔には薄い緊張の色が走る。
ごまかしの効かない相手と言えるだろう。
「姿はファイルを見て欲しい。車輪剣と呼ばれる双剣の使い手だ」
なお、右腕は肘から先が剣と一体になっているらしい。
「ウインドゼファーは必ず先制攻撃をしかけてくる。皆には彼女が繰り出す初撃に対して具体性のある対処を行った上で、反撃をしてもらいたい」
まず、敵の攻撃を切り抜けること。
それが絶対の条件。
何度も蘇生を繰り返すオブリビオンだが、短期間に許容値を超えるだけ倒し続ければ、骸の海からの復活は不可能になる。
これらの点は先の二体と同様だった。
「他の要素がない分、相手の戦法から弱点を見いだして戦局をひっくり返すことになる。その際に負傷することも無いとは言えないが、結果として皆の得意な戦い方に持ち込めたならば勝ちだ」
思案しながらそう語る聡は、猟兵たちが勝利を得る瞬間を脳裏に思い描いている。
あたかも逆再生のフィルムを見るように。
「目を惹く戦いになるだろうと私は思う。それだけに強敵だ。場合によっては、失敗の可能性も否めない」
だからといって手をこまねくならば、人は争わない。
戦場の説明を終えると、聡は猟兵たちを送り届けるための準備にとりかかる。
「私たち皆で、勝利を得よう。よろしく頼む」
花香る風が鼻先をかすめた。
そんな面持ちだった。
来野
こんにちは、来野です。
手放して久しいのですが、二輪がとても好きです。
このシナリオは戦争シナリオです。
難易度が高く設定されています。
以下の特記事項を全てご確認の上、プレイングを作成してください。
●先制攻撃について
敵は必ず先制攻撃します。
敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
●戦力と成功数について
シナリオ数に制限はありません。
戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
皆さまの魅力あふれる戦いが戦場に刻まれますように。
どうぞよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マーリス・シェルスカナ
此処で負けてたラ、折角の皆の頑張りがなくなるネ!
此処は是が非でも通してもらうヨ、Bikeの怪人!
【WIZ】【UC:アナライズアンドリプロダクション】
先制攻撃の「車輪剣」と「竜巻」に対し、直撃や致命的な攻撃は【第六感】で躱し、反撃の機会を逃さぬ様【激痛耐性】で耐えㇽ。
その後、自分のUCを展開してガードしつつ【情報収集】【学習力】を全開にして【敵のUC】を分析、再現できるように準備スル
一瞬のChance、敵が止めを刺そうとする大振りを狙っテ、自身のUCで敵の「車輪剣」と「嗤う竜巻」を再現、【属性攻撃】で竜巻を強化しての【カウンター】、これを狙うデス。
後は、手にできた僅かな情報を仲間に託すヨ…。
七那原・望
奏空・スケルツァンドに【騎乗】して接近、速度を緩めず【空中戦】を仕掛けるのです。
ゼファー……少し気になる名前ですね。
高速で飛び回りながら【野生の勘】と【第六感】で嗤う竜巻や車輪剣を回避し、攻撃後の隙を狙って、相手の動きを妨害する風の【全力魔法】や空中からばら撒いた武器を使った【フローラ・テンペスタ】の範囲攻撃、穿奏・ヴィヴァーチェによるカウンターの【誘導弾】で攻撃します。
確かにこのままのわたしでは勝てないでしょう。
なら、革命を起こすまでです。
追い詰められたら【アベンジ・オブ・アークライト】で嗤う竜巻を弾き返しながら、増した魔力でブースト、高まったスピードと【全力魔法】で一気に戦況を覆します。
●先駆けの花
花々を足場として踏んで歩む。
無邪気にして残酷な世界がマーリス・シェルスカナ(宇宙(そら)飛ぶマーリンレディ・f15757)を受け入れた。
「これは」
空気が張りつめている。
風を操る女は、足場を挟んでマーリスの正面に佇んでいた。
身と武具とに帯びた車輪が、一瞬で高回転を始める。
「殺気デスカ」
察した瞬間に、足場を蹴る。
花びらが揺れて舞い散り、爪先が蜜蜂の脚のように黄色く染まる。
一瞬でも早く1ミリでも前へ。
勘に身を任せた。
「死にますよ」
ウインドゼファーの左右で風が渦巻く。
そのつもりはないと答える間が惜しい。
前へ。そして低く。
UbelCode、解析開始。
電脳魔術士の意識の内を0と1とが駆け巡る。
滑り込むマーリスを見て、ウインドゼファーは微かな焦燥を見せた。
だが、竜巻の威力は凄まじい。
「……っ!」
飛び散る鮮血を赤い霧に変え、風が嗤う。
両肩を切り裂かれたマーリスの髪が舞い上がり、赤く濡れ、頬へと筋を描いた。
「警告はしました」
上から聞こえるウインドゼファーの声。
「聞こえたケド……」
死地であるはずの死角で、マーリスは顔を上げた。動ける。
「此処で負けてたラ、折角の皆の頑張りがなくなるネ!」
解析完了。
苦痛ならば全て噛み殺した。
「……!」
仕留められる。
そう信じていたウインドゼファーは、左右の肘を跳ね上げて止めた。
振り下ろせばマーリスを抱き込んでしまう。刃が当たらない。
「リーチが長すぎるヨ」
懐へと撃ち返すものは、赤く染まった二つの竜巻。
「此処は是が非でも通してもらうヨ、Bikeの怪人!」
「ッ、あ!」
敵の足が踊った。
花を散らして、風が吹き荒ぶ。
痛みを払って得た叡智は、必ずや戦場の糧となるだろう。
●彼女の革命
背筋の冷たくなるような高威力。
大気に溶け込む血臭が七那原・望(封印されし果実・f04836)の五感へとその事実を伝えてきた。
「ゼファー……少し気になる名前ですね」
足場へと降りる前に、ふわりと身を投げ出す。
受け止めるものは奏空・スケルツァンドの白い翼。宇宙バイクが、天駆ける荘厳の羽ばたきを奏でる。
西風の名を持つオブリビオンは、羽音を聞いた瞬間に望のいる空を振り仰いだ。
“嗤う”と冠された、あの竜巻。
脅威だというのならば、何としても生き残ってみせるまでだ。
ヒィン、といういななきにも似た高回転の響きが聞こえた。
考えない。感じ取る。
「竜巻なのでしょう」
奏空・スケルツァンドのフォルムに身を沿わせ、高度を下げる。
「でしたら、ここを……っ」
車体を深く寝せて旋風の足許をくぐり、スロットルを思い切り開けた。
吹き上げられた花びらが、視界も息もまとめて塞いでくる。
耳に突き刺さる回転音があまりにも近い。
刃に脚を切り裂かれたが、その次の瞬間、上空へと一気に舞い上がる。
「小さいとは、厄介な」
一撃では済まなかった。
それを知ったウインドゼファーは、狙い撃ちを警戒して即座に退く。
敵もまた飛翔に転じたならば、分が悪い。
「確かにこのままのわたしでは勝てないでしょう」
望は大きくゆっくりと息を吐いた。
そして言葉にする。
「なら、革命を起こすまでです」
その一言は、どう響いただろう。
「今度は通さないッ!」
さらなる竜巻の追撃が来た。
「今度は逃げません」
白い翼を突っ込ませるのは哄笑の旋風の間。
ザ、ザ、ザ、ザ、ザッ……!
望の全身を衝撃が取り巻いたが、削られているのはアベンジ・オブ・アークライトの超剛性金属装甲。
視界が、晴れた。
「な……!」
咲き誇るのは、風にも散らぬ赤いアネモネの花。
相手の威力をたっぷりと吸って、精霊自動小銃、穿奏・ヴィヴァーチェが一撃を奏でる。
撃ち抜かれた車輪が悲鳴を上げた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鳴宮・匡
◆アドリブ/連携歓迎
【見切り】【聞き耳】等併用し
風の流れを可能な限り五感知覚で以て捉える
風音、肌を撫でる風圧や、大気の震え
それらから暴風の「流れ」を読み
足場の崩れる順序を予測、推定し回避を試みる
……勿論、無傷で済むとは思わないが
致命傷を避け、大きく体勢を崩されることのないように
細心の注意を払うよ
初撃を凌いだからって油断はせず
相手の動きから目を切らず応戦
可能な限り相手に先んじて動けるよう備えておき
動き出しや攻撃直後の隙などを狙って射撃を重ねていくよ
どれだけ強くとも、僅かも隙を見せないやつはいない
その「僅か」さえあれば十分だ
――風が止む瞬間を狙うのは得意だぜ
伊達に“凪の海”なんて呼ばれちゃいないさ
ニコ・トレンタ
負けられない戦いね。
こちらも全力でやらせてもらう!
ガジェットショータイムで壁を作る。
カマイタチにだってきっと切れない物はある…!
あんたの暴風も壁で防いでしまえば楽勝よ。
足場が崩れてしまうなら空を飛んで逃げれば良い
優秀なガジェットがいるから味方の足場に移動だってできるはず。
騙し討ちに引っ掛かるとは思わないけど
不意を突きたい……どんなに速いものにだって、そう、風にだって弱点はあるはず…。
しっかり観察をして味方と連携する。
二回攻撃で素早く攻撃をしたら足場のよさそうな場所に避難するわ。
無差別攻撃には特に注意ね。
いつ自分が狙われるか分からない。あいつから目をそらさないようにしておく。
●風を読む者
色彩の洪水がそこにあった。
遮蔽物らしいものは見当たらない。
足場は不安定。
花、また、花。
鳴宮・匡(凪の海・f01612)は、す、と息を吸い込んだ。
血臭。まるで人の血が甘いかのような錯覚が押し寄せるが、そのせいで、どちらの方角が接敵地点なのかがわかった。
この戦いは無傷で切り抜けるのが難しい。
(「もう補足されてる」)
先制攻撃を仕掛け得る敵なのだから、そこから始めるしかない。
だが。
(「まだ、動いてない」)
少なくとも自分がこの場に足を着いた瞬間から、ウインドゼファーは動いていない。
血の匂いが届くのだからこちらが風下。
人は、究極、獣の一種だ。
五感で世界と繋がっている。
世界を制したければ、まず、そこを制するしかない。
ゆらり。
傍らで花が揺れた。
生じたものは、猟兵の気配だった。
「壁を」
花の上に降り立つと同時、ニコ・トレンタ(ニゴサンレイ・f05888)はガジェットの構築を始めた。
すぐ傍らに別の猟兵の気配を感じる。
ならば、間違いなくここは狙われる。
迷っている暇はない。
脚部、要らない。
胴部、堅牢かつ多段に。
「そして」
そして、必須は飛翔対応。
フレームが、ボルトが、自在に宙を踊る。
ダムが水をせき止めるように、防壁は風の動きを阻むはず。
十分な大きさを求めて意識を集中させた時、傍らから声が聞こえた。
「もう少し右、来るぜ」
声の主、匡が銃口の向きを変えるのが見える。
その先に双剣を携えるウインドゼファーの姿があった。
揺らぐ。
まるで花の香に目眩を覚えたかのような瞬間が訪れた。
花びらが一斉に靡き、向こうから足許が消えていく。
赤が、青が、白が崩落し――
どっと世界が鳴った。
「飛んで!」
最後の一輪を蹴ったニコがガジェットの両翼を伸長させ、胴部の上に手を着いた匡が脚を脇へと跳ね上げる。
ベキリッ!
ひどい音が鳴り響き、継ぎ目を作ってあったガジェットの下半分が弾け飛んだ。
「大丈夫か?」
「衝撃を殺せたから、これでいいのよ」
鋭利な風が逆巻くが、三段展開の翼はどうにか無事。
手の甲が無数に傷つけられ、指が滑る。
危ない。
そう感じた瞬間に、剥がれた装甲の突き立つ足場が見えた。
飛び降りた先で花びらが舞い上がる。
結構な高度があったが受け身を取れていたのが幸い。命に別状はない。
はらり、はらり。
落ちる花びらを挟んで、ウインドゼファーが左の剣を降ろす。
「仕留めそこねましたか」
ここまでの負傷が効いてもいるのだろう。
最後の一片が落ちるのを見ると、一度、深く息をついてから踏み出した。
青い花を蹴って、黄色の花の上へ。
さらに二人の飛び降りた足場へと飛び移った、その時。
「……」
無音。そして、無言。
「――風が止む瞬間を狙うのは得意だぜ」
匡の視線が、そして銃口が装甲の陰からウインドゼファーを迎えた。
左のレバーにかけた女の指が跳ねる。
響き渡る銃声。
それは匡のもの。
「伊達に“凪の海”なんて呼ばれちゃいないさ」
ウインドゼファーの体勢が大きく崩れた。
「止ませは……ッ、し……な」
ザ、と大気がささくれ立つ。
だが、気流が乱れた。
「どんなに速いものにだって、そう、風にだって弱点はあるはず」
ニコのガジェットが翼をひるがえし、ウインドゼファーの脚へと一閃を放ったのだった。
風に羽ばたくものは、生じた気流に乗じて逆の翼もひるがえす。
「良く見て良く聞けば、あんた一人のものじゃないわ」
奪われた味方を奪い返そうというかのように手を差しのばしたオブリビオンは、大きく退きながらも右腕に接いだ車輪剣を振り下ろした。
キンッ、と甲高い音。
銃弾に弾かれた刃が切り刻んだのは、一輪の赤い花だった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ナイ・デス
全てを手に入れる、とは
奪う、ということですよね
なら奪わせない、邪魔をします
今は、今を生きる人のもの、ですから
……奪うというなら、逆に、奪います!
花の足場に地縛鎖繋げ【地形の利用。ハッキング、生命力吸収】開始
【覚悟、勇気】決め
私はヤドリガミ
欠損しても、ミンチにまでなっても、本体無事なら再生すると
【第六感】で意識失わないよう頭守り
手足なくしても【念動力】で武具を動かして【オーラ防御、かばう】して
【激痛耐性】で
先制攻撃受けて。星の力もかりて、耐えて!
【カウンター】します!
『生命力吸収光線』
【鎧無視攻撃】命を奪う光を無数に放つ【範囲攻撃】
対処されても諦めない
光を目くらましに短剣で【暗殺】狙う!
鷲生・嵯泉
欲が過ぎれば身を滅ぼす
既に其れを経験していて尚、欲する事を止めんとは
過去に囚われた愚かしさの現れと云う所か
速さを誇る者に速さで抗するのも面倒だ
ならば向こうの攻撃を利用するまで
見切りに第六感、戦闘知識を駆使して致命傷は避ける様に努め、剣怒重来を使用
刃振るう腕さえ残れば良い
激痛耐性と覚悟で攻撃に耐えつつ
軽減される攻撃力よりも此方の増強分が上回る様に図り
怪力に鎧砕き、乗せられる力を総て籠め
カウンターでの攻撃を叩き込む
確かに風を止める事は難しいだろう
だが、より強い風には散らされ、或いは壁の前には阻まれる
オブリビオンにとって猟兵とはそういうもの
そして如何に堅牢であろうが門とは通過されるものと知るがいい
奇鳥・カイト
powで対抗する
回転にゃ回転だ、こっちも思い切りぶつけるしかねェだろうがよ
風車による高速回転球をぶつけて竜巻に対抗する
できるだけ、竜巻の回転方向と逆向きの回転をぶつけるようにして削っていく
逆回転ならば受け流し等も楽になる、少しは頭を使う
成功したら少し糸を解き、徐々に絡めていく
捕縛、ないしは動きを鈍らせれば御の字
あとは、殴る蹴るのラフファイト
悪ィな、俺ァ全然光速く無くてよ
張り合いがねェだろ? ライバルが居無けりゃ、その速さも大したことなくなるっつー寸法よ
限界は相手がいてこそ越えれるモンだからな
1人じゃ限界が来ちまう
【連携・アドリブ可】
●朱花の前途
ごうごうと風が鳴り、踏み散らされた花が宙に舞う。
ウインドゼファーはそのスピードを鈍らせようとしない。
泳ぎやめれば死ぬ回遊魚のような切迫すら身に帯びている。
しかし、白いはずの裾は赤黒く染まって濡れ、花を踏む両の脚に絡み始めてもいる。
「なぜ、退かないのですか」
オブリビオンには、それがわからない。
「全てを手に入れる、とは、奪う、ということですよね」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)が、ことの中核を突く。
「引き渡さないのならば、そうなります」
「なら、奪わせない、邪魔をします」
否定。白い髪が横へと揺れた。
ナイの足許から伸びるものは、地縛鎖。
繋いだ足場から花々の生気が満ちてくる。
無音で。
ウインドゼファーは自らの疑問に気を取られた。
「欲してはならないとでも?」
嗤う竜巻は既に彼女の両脇に渦を描いている。
答えたのは、鷲生・嵯泉(烈志・f05845)。
「欲が過ぎれば身を滅ぼす」
全身に気が満ちて、肩先に落ちてきた白い花びらが小さく跳ねた。
「既に其れを経験していて尚、欲する事を止めんとは」
愚かしいと、その一言に耳を塞ぎたかったのか。
ウインドゼファーは車輪剣を一閃した。
ご、と地鳴りにも等しい響きを伴い、旋風が飛来する。
見えない牙に噛み裂かれ滅茶苦茶に振り回されるかのような瞬間が、猟兵たちに襲いかかった。
無数の傷。無数の痛み。
世界が一瞬にして紅蓮に染まる、が。
「本体さえ、無事なら」
潰えはしない。
「刃振るう腕さえ残れば」
屠ってみせよう。
互いの急所を内側に回し、哄笑に肉を断たせて背へと逃す。
晴れる視界。
束の間の静寂の中に、ぱたぱたと赤い通り雨の音が鳴った。
それを踏んでなお、二人の足は立っている。
膝は落ちない。
「なぜ……ッ!」
足下の花を踏みにじり、ウインドゼファーは双剣を振り払う。
今、一度。
竜巻を繰り出そうとしたそのすぐ脇で、奇鳥・カイト(燻る血潮・f03912)の学生服の裾がはためく。
「遅れたか」
「いつ……」
現れたと問う前に、ウインドゼファーはスロットルを全開放した。
全身に帯びた風で大気を毛羽立たせ、地を蹴ると同時に逆の踵をカイトの頭目がけて蹴り込んでくる。
ジッ!
その音は、地に落ちた蝉の羽音に似ていた。
「繭?」
回転のかかった鋼糸の繭が、襲いかかる風の威力を殺して無へと返そうとする。
ギ、チチチチ、チッ!
耳をつんざく異音が戦場に響き渡った。
糸が全て断たれるのが先か。
暴風の蹴りが鈍るのが先か。
脇を締め拳で眼前をガードしたカイトの黒髪が、一斉に靡く。
車輪を帯びた踵が地へと返った時、ダンピールの白い鼻筋を伝って唇を濡らし顎から落ちる赤い色は太く一筋。
額は傷ついたが、許したのはそこまでだった。
飛び退こうとしたウインドゼファーの足首には、捩れた糸が絡みついている。
「……ッ! 始末の悪い」
その声には、拭いきれない悔しさの色が滲んでいた。
猟兵たちの耳に、カチカチッという微かな金属音が飛び込んできた。
ウインドゼファーの左の指先が、無意識にもレバーを叩いている。
立て続けの大技に気力はついていったとしても、粘りが効かない。
絡んだ糸を切ろうと刃を振るうのは事実上の息継ぎと言えたが、それでも門番の役を降りる気配だけは見せない。
「なぜ、と、言いましたね」
軽く頭を振って目を上げると、ナイは一度大きく瞬きをした。
意識は澄んでいる。
それを証明するかのように、彼の周囲に生じる光にも濁りがない。
答えを与えよう。
「今は、今を生きる人のもの、ですから」
灯る聖なる光は、足下に咲く花々の息吹に支えられたもの。
それは一気に訪れた開花の瞬間であるかのように目映さを増していく。
過ぎたる悔恨でもなくば、あらぬ夢や妄想ではない、今の生命。
本体不明のヤドリガミの瞳が、向かうべき一点を見る。
「……奪うというなら、逆に、奪います!」
世界が光った。
どっと放たれた光はウインドゼファーの金属光沢のその内を撃つ。
「させ、な……ッ、あぁッ!」
たたらを踏んだ足許で、引きちぎれた糸が悲鳴を上げた。
振り払おうと蹴上げた膝を薙ぐのは、カイトの脚。
ガード。
それならば、視界を狙っての掌底。
「悪ィな、俺ァ全然、光速く無くてよ」
崩れたところに見舞う逆からの脚払い。
「張り合いが、ねェだろ? 」
「……その、はずです、が」
なぜ、思うに任せないのか。
殴打の鈍い音の後には、細く光るものが走る。
「ライバルが居無けりゃ、その速さも大したことなくなるっつー寸法よ」
受け流されているのか。
ふと、ウインドゼファーの動きが止まった。
思えば好敵手はおろか味方すら多くを失ってしまったのではないか。
気づけば、身には幾重にも糸が絡みついている。
「限界は相手がいてこそ越えれるモンだからな」
たった一人、立ちはだかるオブリビオンの鳩尾へと真正面から叩き込むのは利き手の拳。
「1人じゃ限界が来ちまう」
「あ……ッ、グ!」
揺らぐ足許に咲く花は白いはずだった。
それがゆっくりと赤く染まり始める。
動いている時には見分けられなかったが、猟兵たちにより無数の傷を刻まれ続けた四肢からは、絶え間なく血の筋が伝っていた。
「私の足は、決して止……」
「確かに風を止める事は難しいだろう」
さくり、と花を踏む音が鳴る。
嵯泉だった。
踏み出す一歩は敵に劣らぬほどの朱の花を咲かせていたが、恐ろしいことにそれがゆえの力強さを得ていた。
「だが、より強い風には散らされ、或いは壁の前には阻まれる」
喰らった苦痛の分だけ、強く猛々しく。
「させ……ない、猟兵」
否への応えは、否。
ぬらつく手に柄を握り直し、上段へと振りかぶる。
「オブリビオンにとって猟兵とはそういうもの、そして如何に堅牢であろうが門とは――」
門とは。
ざん、と振り下ろす刃にこもるものは、突風もかくやの衝撃。
猟兵を傷つけ叩き伏せようとしたその力が、ウインドゼファーの身へと返された。
「通過されるものと知るがいい」
「あ……」
一陣の太刀風が走る。
斬り開かれる前途。
どっと倒れ伏した風使いが最期に残すものは、狂ったかのように舞う鮮血の花嵐。
それは風無くして散り落ち、猟兵たちの行く手を静かに染めた。
赤く、赤く。
成功
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