バトルオブフラワーズ⑪〜嗜欲疾走の暴風域
●春の嵐
「ふはははは!皆、よくぞ集まってくれたのである!」
グリモアベースの一角で、怪しげなローブをはためかせ笑うイクトス(f18187)が集まった猟兵達をみる。
「皆の尽力により、第二の幹部であるラビットバニーの領域を踏破した。皆の圧倒的なエモさが、ラビットバニーの心を射止めたおかげであるな!」
「敵の首魁まであと一歩……残る関門はあと一つ!最後の関門を護る英傑の名は『ウインドゼファー』也!」
杖の先で地面をつくと、花々が舞う戦場が映し出される。空を舞う花々が列をなし、見えない巨大な球体を取り巻くように――複雑な天球儀のように数多の花の道が作られている。
「ウインドゼファーの手繰る風の力の本領は、その『速さ』である!」
その身を一つのマシンと化し、暴風を纏い花々の道を、そして空を駆けぬけ、神速をもって攻めてくると説明する。
「ウインドゼファーは、他の二幹部のような特殊な力は持たない。しかし、速さへの渇望によりその速さは神域へと至る!特殊では無くとも、極まった速さはただただ純粋に脅威である」
暴風を撒き散らし、多彩な手段での攻撃も脅威であるな、と付け加える。
「彼の怪人の初動は速い。後手にまわる事を覚悟して望まなければならない。畢竟、それを念頭に対策を講じねばならぬな」
しかし!と拳を振り上げ、イクトスが叫ぶ。
「ここまで皆は知恵を併せて勝利をつかみ取ってきた!ここまで重なるはずの無かった世界の縁まで繋ぎ、生き残ってきた!」
フードの下で笑みを浮かべ、猟兵達へと手を差し伸べる。
「この世界を護る為に立ち上がった皆であれば、必ずこの暴風域を乗り越えられると信じているのである!!」
手をとった猟兵達の足下に、転移用のゲートがあらわれる。
「皆の力を貸して欲しいのである。此度も、皆で生き残るのであるな!では行こうか、我らが戦場(ステージ)へ!」
八幡の人
5月の戦争もとうとう大詰め!
首魁へ至る道への最後の関門シナリオになります。
お世話になっております、八幡の人です。
●今回のシナリオについて(特殊ルール)
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
●戦場について
花でできた道が幾重にも連なり、直径1km程の巨大な天球儀のようなフィールドができあがっています。
その道をウインドゼファーは縦横無尽に疾走し、猟兵達へと攻撃を仕掛けてきます。
その道を使うも良し、それを利用して敵への対策を考えるも良しです!
●戦争への影響について
戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
皆さんから頂いた熱いプレイングを、楽しいリプレイでお返しできるように微力を尽くします。
皆さんのご参加を楽しみにお待ちしています!
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジュリア・ホワイト
おや?敵の先制UCの効果は自己強化をする所までじゃないか、これは
なら…UCを発動させても攻撃以外の動作で時間を消費させればいい
「ふむ、君はとても速いらしいね。ボクも乗り物の端くれとしてそう聞いたら黙っていられないな。お誂え向きに走り易そうな道もある事だし、暴力で雌雄を決する前に競争の方で一勝負しないかい」
この競争の方は負けていい
というか勝てる訳がない
敵がUCを使うならね
でも競争の間は攻撃はない
そして敵に先んじられるとはいえ、ボクも競争中に使えるUCがあるんだよ!
この【圧力上げろ!機関出力、最大開放!】をね!
レースが終わったら相手の速さを讃えつつ暴力に訴えるさ
車輪剣VS動輪剣と行こうじゃないか!
ルク・フッシー
や、やらなきゃ…!ボクが、やらなきゃ!
まずは怪人の突撃を、精一杯の【オーラ防御】と【武器受け】で防ぎます…痛みは…【覚悟】して!突っ切るしかない!
敵の武器とボクの大筆がぶつかったタイミングで、【花宴描画】を発動、酸【属性】の塗料を収束させてぶつけます
普通に撃っても弾かれるだけでしょうけど、近い距離でならその前に当てられます…!
彼女は見た感じ、サイボーグやそれに近い存在、その金属の身体を腐食させる事が狙いです
負けられない…負けられないんです!この世界には…ボクの、友達だって、いるんですから…!
●暴雨を越えて
ジュリアとルクが転送ゲートから出現した先は、既に風が吹き荒れていた。
花が連なる道に着地した2人の数百m視線の先、門を護るようにウインドゼファーが猟兵達を見る。
「ここから先は通行止めですよ、猟兵」
「え……えっと、貴女がゼファーさんですか……?」
「そうみたいだね。なるほど、凄い風だ」
2人の言葉に応じるように、ウインドゼファーが暴威の風を纏う。周囲の花々が吹き荒れ、離れていてもたたきつけてくるような風に2人が目を細める。
「君はとても速いらしいね。ボクは蒸気機関車のヤドリガミ。乗り物の端くれとして、神速を誇ると聴いたら黙っていられないな」
花が連なりできた道を手で示して、ジュリアが提案を持ちかける。
「おあつらえ向きに走りやすそうな道もあることだし、暴力で雌雄を決する前にまずは競争で一勝負しないかい」
応じるウインドゼファーの声は、簡潔明瞭。車輪剣を構え、風を吹かせる。
「私は門番です。私の使命はこの門を死守すること、応じる義理はありません。それに……」
ウインドゼファーが肩と脚のマフラーから排気音を響かせた刹那。数百mの距離を詰め、車輪剣を振りかぶるウインドゼファーの姿がジュリアの前に現れる。
「速い……っ」
「私と競いたいのであれば、まずは私のステージにあがることです」
そして車輪剣が振り下ろされた。
●ルク・フッシー(やると言ったらやる・f14346)
す、凄い風……。ゼファーさん、凄く強そうですね……。
あの風に巻き込まれたら、大変な事になりそうですね。ボクの怯える心を表すように、両手にもった筆の先が震えます。
ジュリアさんとゼファーさんの交渉は、決裂。
「私は門番です。私の使命はこの門を死守すること、応じる義理はありません。それに……」
そう言ったゼファーさんの体が、瞬きの間に消えます。次に見えたのは、ジュリアさんに向かって車輪剣を振りかぶる彼女の姿……っ。
怖くて体が震えます。だけど、だけど……!
震える脚と腕を動かして、2人の間に飛びこみます。
「私と競いたいのであれば、まずは私のステージにあがることです」
振り下ろされる車輪剣に、塗料たっぷりの絵筆をぶつけるように振るいます。
「や……!」
少しでも目隠しになるように塗料を撒き散らしながら。防御魔術を起動して車輪剣を受けます。
高速で回転する車輪に、障壁越しに絵筆が削られ、ボクの体を激しい振動が揺さぶります。
痛い、辛い、怖い……!だけど!
「やらなきゃ……!ボクが、やらなきゃ!」
「その小さな体でどこまで受けられますか?」
つばぜり合いを続けるゼファーさんが二つ目の車輪剣を振りかぶる。
一撃を受けるのに精一杯のボクじゃあ、二つ目は受けきれません。
体にたたきつけるような暴風を受けて、ボクの体が宙を飛びます。
だけど、かまいません。この数秒を、守り切れたんですから。
「ボクには……仲間が、いるんですから!」
●ジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)
門番としての矜持かな、競争にはのってくれなかったか。
咄嗟の対応ができなかったボクを、ルク君が護り作ってくれたこの数秒。
持参した燃料をかじり、体の中の火室へと送り込む。体の中で、石炭が燃え上がり即座に蒸気へとかえる。
「圧力あげろ!」
ボイラーの圧力を上げ、動輪(あし)を動かし速度を乗せて走り出す。走り出した先に、吹き飛ばされて花々の間を飛ぶルク君をみる。
熱をもった動輪の回転数を徐々に、けれど最短であげて加速する。右手を伸ばし、ルク君の手を掴みボクの背中へと乗せる。
有り難うと背中のルク君に伝えて、蒸気(きえん)をあげて叫ぶ。
「機関出力、最大開放!!」
トップスピードで花の道を走る。走る、走る!
背中からは、暴風を纏うウインドゼファーの気配が迫ってくる。
「蒸気機関車のヤドリガミ、でしたか」
「君の車体も素敵だけど、ボクの車体も悪くないと思わない?」
「人1人を抱えてその速さに至れる動力は素晴らしいですね」
遠くから聞こえていた彼女の声が、徐々に近づいてくる。
「ですが、旧式の乗り物ではそれが限界でしょう」
とうとう隣の道で横並びになった彼女が、そう言ってボクの先を走り始める。
相手は最新の動力を積んでいて、風の力を手繰る強敵。この競争で勝てるはずがない。
それでかまわない。自分の性能はボクが一番把握しているし、負けてもいい。
義理はないといいながら競争に付き合ってくれた彼女が。先をゆく彼女が、やがて進路を変えてボク達のほうへと迫ってくる。
手には二振りの車輪剣。応じる様に、ボクも動輪剣を構える。
激突する。
どちらもトップスピードをのせた車輪と動輪の剣のぶつかり合いに、ボクの体に重い衝撃が走る。
体内の圧力を高め、唸りをあげる動輪を踏みしめ耐える。膠着状態で速度を落とすまえに、なんとか彼女をいなしてはね除ける。
「ぐ……っ」
「やりますね!ですが、敷かれたレールしか走れないその身でどれだけ受けられますか!」
一度はやり過ごした彼女が、向きを変え飛翔しながら何度も激突を繰り返してくる。
「敷かれたレールしか走れない、結構だよっ」
前後左右からの激突に何度も揺さぶられるけれど、動輪を踏みしめて耐える。
「ジュリアさん、だ、大丈夫ですか……?!」
背中のルク君を安心させるように、笑う。
大丈夫、絶対に道(レール)をはずれたりしないから。
「蒸気機関車はね、ルク君を乗せてる今が一番調子がいいから」
最新の機種に比べれば鈍重かもしれない。手入れに手間もかかるし、燃費も良くはないかもしれない。
だけど、このヤドリガミたるこのボクの身は。
「沢山の燃料と。人と物。それとそれに宿る想いを乗せてきた乗り物だから!」
博物館で寄せられた人々の想いを乗せた、硬くて重いこの身を誇りに思う。
「旧式で結構。君の速さには勝てなくても、乗り物としての矜持なら負けられない!」
「想いの強さなら……っ」
仮面の下で歯がみをするようなそぶりをみせる彼女に、笑ってみせる。
お互いの想いをかけた勝負の続きといこうか!
●ルク・フッシー
ジュリアさんの背中に乗せられて、花の道を走ります。
目まぐるしくかわる景色の中に、更に目まぐるしい速さでゼファーさんが飛び回ってます。
ジュリアさんが、痛いの我慢して頑張ってくれてます。
だから、ボクだって。ボクだって、できる事をやります!
2人の激突をただみてるだけじゃ、ありません。
ゼファーさんが突撃してくるタイミングをはかりながら、絵筆を構えます。
ボクがタイミングをはかれるように、ゼファーさんの癖をつかめるように。ジュリアさんが、一定の速度で走ってくれているのが、背中から伝わってきます。
後は、ボクがきちんとあわせられるかどうか。震える手を無理矢理鎮めるように、ぎゅうっと手を握りしめる。
ここまで道を拓いてくれた、仲間達の事を想う。ボクを信じて背中を預けてくれたジュリアさんの事を想う。そして、壊されそうなこの世界の事を想う。
ゼファーさんが飛びこんでくる次のタイミングに。ジュリアさんに合図をします。
頑張れ、という想いが背中から伝わってきます。
だから、ありったけの勇気をだして飛び出す。
「小さなその身で、何ができますか!」
激突する。
また絵筆ごと体が吹き飛ばされそうになるけれど。痛みに挫けそうになるけれど。
「負けられない……負けられないんです!!」
つばぜり合いを続ける絵筆を、無数の花びらへと替える。それは、塗料でできたボクの描く花々達。
「花?!こんなもの……っ!」
普通にうっても、ゼファーさんの速度ならかわされます。だけど、激突する今なら、あてられます!
「負けられないんです!だって、貴女が滅ぼそうとしてるこの世界には……ボクの、友達だって、いるんですから!」
ボクの塗料は強酸の塗料。塗料をかぶった車輪剣の刃や服が徐々に煙をあげはじめる。
「私の車輪が……っ!」
絶対に、絶対に負けられない!
「貴女達に、この世界を壊させたり、しません!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
勘解由小路・津雲
純粋な実力勝負では向こうが上手。さて作戦がうまくいくかどうか、やってみるしかあるまい
【攻撃】 【符術・鳥葬】を使用
【作戦】
(防御)【符術・鳥葬】は脆い。相手の竜巻に吹き飛ばされるだろう(つまり竜巻はUCに向うはず)。本体は車輪剣の回避に集中、あれを食らってはひとたまりもない
(攻撃) さあここからだ。竜巻に引き裂かれた式神は無数の紙くずになるはず。それを「念動力」でひそかに操作。相手の車輪の軸に巻き込ませる。ただの紙と侮るなかれ、大量に巻き込めば回転そのものが不可能になるはず
だが相手は強敵、それだけで終わるとは思えない。車輪の動きが止まり、驚いた瞬間、虚を衝いて錫杖を「投擲」、一撃に賭ける!
鍋島・小百合子
POW重視
風よりも疾く嵐の如く暴虐…か
早さを求めるだけでは真の強さ等得られぬ事を教えてしんぜよう
「敵の疾さに対抗するは地の如き忍耐力…」
敵の先制攻撃に対して無闇に動く真似はせず、まずは場の状況や戦場の地形等の情報を読み取る
視力活用にて敵の姿を視認できたら、自分のいる道の周囲に矢劇薬を撒いてから反対方向を向いて薙刀を構える(毒使い+マヒ攻撃併用)
敵が近づいたらすれ違いざまに武器受け+咄嗟の一撃
無事一撃を加える事ができたらUC「黄金勇霊装」発動
黄金の甲冑を身に纏い勇気に比例した戦闘力を手にしたら相手の早さに追従するように飛翔能力(+ダッシュ併用)を活用しつつ薙刀での一撃を叩き込んでいく
連携可
●鏡花水月
疲労した猟兵達と入れ替わるように、津雲と小百合が花の舞う戦場へと転送される。
中央の門を護るようにたつウインドゼファーは、先の戦いで腐食した装具を忌々しげに見た後に、再び現れた猟兵達のほうをみる。
「どれだけきても、この先へはいかせませんよ猟兵達」
周囲の状況を観察し、互いに目配せ一つで小百合が津雲を背にするように立つ。
「貴様がここを護る幹部か、まさに猛るような風じゃの」
「あの暴風の直撃は避けたいところだな。まずはあの機動力を削ごう」
薙刀を構える小百合の後ろで、津雲が式札を懐から取り出す。合図もないが、互いにやるべき事を理解している。
その2人を見据え、手負いのウインドゼファーが暴威の風を再び纏う。
「まだ車輪と機体を多少損ねた程度です。貴方達猟兵を下すのに、何ら支障はありません」
赤いマスクの下で静かな決意を滾らせ、ウインドゼファーが叫ぶ。
「誰にも、私達の邪魔は、させないっ!」
3人の間に、暴風が吹き荒れ。
再び激突の幕が開いた。
●鍋島・小百合子(朱威の風舞・f04799)
事前に覚悟しておかねば、瞼をあけておくのもつらい。
風よりも疾く嵐の如き暴虐。なるほど、凄まじい暴風じゃのぅ。
鎧の力をかりねば、あの速度に追いすがる事はできぬが、その隙は中々与えてくれなさそうじゃの。
故に、まずは彼奴の初手を塞ぐことに注力しなければなるまい。
幸い、手の内を互いに把握している津雲殿が相方であれば敵を崩しやすかろう。
この地に降り立った際に、周囲の状況は把握済みじゃ。正面からぶつかりあうだけが戦いではない、この場にある全てをわらわ達の利としてくれよう。
矢劇毒をわらわ達の周囲を囲むようにまき散らす。三方は浮遊している花の足場が多い。故に、彼女が狙いやすそうな方面を背にして立つ。
風の様に自在に動き回る彼女の動きを読み切るのは至難。ならば、進路を絞り誘導するまでじゃ!
「まずは、1人!」
門の前にいた彼女の姿が、陽炎のようにかき消える。目では追いきれぬ。故に、反転して薙刀を振るう。
「はあああっ!」
「死角からのつもりでしたが、受け止められましたかっ」
薙刀から伝わるのは重い衝撃と手応え。半端にうけていれば弾き飛ばされておったの。
「貴様の疾さに対抗するは地の如き忍耐力……っ!」
拮抗状態を崩すように脚を踏みしめ、毒の撒かれた道へと彼女を押し返す。
毒が撒かれているのは承知しているのじゃろう、風を纏い距離をとる。力押しだけが全てでは無い。
「厄介な毒を使いますねっ」
「わらわと貴様の力量差は把握しているからの、無策に挑むわけはないのじゃ。早さを求めるだけでは真の強さ等、得られぬ事を教えてしんぜよう」
貴様が機会を失ったこの数秒で、わらわ以上に絡め手が得意なものが動き出すぞ。
●勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)
まだ直接向けられたわけではないが、凄まじい暴風だな。
純粋な実力勝負では彼女のほうが上手。ならば、絡め手で挑むまでだ。
術士として接近戦に疎い部分を、小百合子が補ってくれる。俺の手の内を知っている相手がいてくれるのは有り難いな。
なら、俺がすべきことは小百合子が稼いでくれた時間で次の手を打つことだ。
百八十枚からなる式札を片手に、花が舞う戦場に五芒星を描く。
――バン・ウン・タラク・キリク・アク!
式札に記した文字が燃えるように輝き、仮初めの命を宿す。象るのは空を翔る鳥の形。
式札を空へと投じれば、俺の命に従い紙宿りの鳥達が空を舞う。
「彼の者を取り巻き、動きを封じろ!」
「式神というやつですか……数は多いですが!」
鳥達をみた彼女が忌々しそうに車輪の剣を振るえば、ヒャヒャヒャヒャヒャ!と嗤い声にもにた風音を立てる小さな――とはいえ戦場を取り巻く暴風に比べればだが――竜巻がいくつも生まれ、鳥達を飲み込もうとする。
「ここの空域は私の支配下にあります、空を行く生き物を選択したのは愚策でしたね!」
「俺の式神達が……っ!」
竜巻に巻き込まれた紙の鳥たちが、鎌鼬に巻き込まれたようにずたずたに斬り裂かれていく。百八十の式神達が、数千の紙片へとかわる。
だが、かまわない。こうなるのは想定のうえで……仕込みの範疇だ。
だから、精々悔しそうな顔をしてみせよう。
式神を打ち破られ、隙をみせた俺をあざ笑うように彼女が剣を振り下ろそうとするが。
その間に、黄金の輝きと風を纏う小百合子が立ち塞がる。
●鍋島・小百合子
津雲殿が気を引いてくれておる間に、黄金の鎧を纏い再び戦中へと突入する。
風を纏い薙刀を振るえば、津雲殿に振り下ろされた剣と激突し甲高い音が空に響く。
回転する車輪がわらわの薙刀を削り取ろうとする震動を押さえ込み、彼女を正面から見据える。
「その鎧は……貴女も空を飛べるのですねっ」
「ようやく同じ土俵じゃの!」
火花を散らす剣を振りほどき、風に乗る彼女を追うように空を翔る。
「空での戦いなら、私に一日の長があります。同じステージにあがったからといって負けられません!」
気炎をあげる彼女の飛翔速度は、確かに速い。文字通り桁が違うといったところじゃの。
必然、徐々にわらわが追う側から追われる側へと変わっていく。
激突する。
飛翔しながら、何度も交差し互いの武器を打ち付け合う。速度の差は、そのまま一撃の重さの差にもなる。
わらわが不利ではあるが、かまわぬ。
わらわの鎧の輝きは。わらわの魂を燃やすのは、わらわ自身の勇。故に、心が折れぬ限り決して負けぬ!
「わらわの勇が燃え尽きるまで、わらわを落とす事は叶わぬと心得るのじゃな!」
それに、妾もただ闇雲に切り結んでいるわけではない。
策は成った。故に、空の上にて優は決っせり。
●勘解由小路・津雲
花の道を翔けながら小百合子と切り結んでいた彼女の動きが、がくりと鈍る。
「な、なんですかっ?!」
彼女が自分の車輪をみれば、小さな紙が無数につまっている事がわかるだろうさ。
俺は無策に式神の鳥たちを散らしたわけじゃない。
彼女に斬り裂かれて、空を舞う数千の紙片を念動で手繰り、彼女の進路に撒いていた。
俺の意図を読んで、小百合子が彼女を誘導してくれているうちに。
少しずつ少しずつだが、紙が車輪の隙間に巻き込まれて溜まっていく。
ただの紙くずじゃないぜ?俺の念の篭もった紙片だ、それも大量に巻き込めば、みての通り回転を鈍らせることもできる。
彼女が気づき対処する前の、好機。小百合子が振り下ろした薙刀をすんでて受け止めた彼女の動きが止まる。
数千の紙片を手繰る念動で疲労した体に渇をいれて、手にした錫杖に力を注ぐ。
水の力を限界まで引き出した錫杖を構え、全力で空へと投じる。
「あ……っ!」
念道で加速した錫杖は、吸い込まれるように彼女のマスクへと突き刺さり……水気が爆発した。
「あんたには、強い信念があるように見えたが」
罅がはいったマスクから金色の糸を零す彼女を見据えて、疲労に肩で息をしながら呟く。
「信念の通しかたは、間違えないで欲しいもんだな」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
荒谷・つかさ
ニコリネ(f02032)と
・先制攻撃対策
この時の為に用意した「壁」「扉」「屋根」を、防具改造&早業で一瞬で組み上げて「風に強いガレージ」に。
二人で中に逃げ込むわ。
結構頑丈(盾受け、かばう、オーラ防御、地形の利用)とはいえ、長くは持たないはず。
それまでに、突貫で仕上げるわよ。
・反撃
私の武器改造&早業技能を活かし、ニコリネの車「Floral Fallal」を魔改造。
「誉(追加ブースター)」を大量に搭載、無理やり空を飛べるように。
あとは二人で車に乗って、【五行同期・精霊降臨術】を発動。
車に炎の精霊の加護(攻撃力強化)をかけつつ見切りを活かし助手席でナビゲート、あとはニコリネのドラテクを信じるわ!
ニコリネ・ユーリカ
つかささん(f02032)と
▼先制攻撃対策
三匹の子ブタは、藁や木、レンガの家で狼の攻撃を凌いだけど、
私はつかささんが作ってくれたガレージに逃げ込みましょ。
暴風や竜巻が凄いけど、場に留まるから壊れてしまうのよ。
風に乗って建屋ごと空に運ばれたらいいじゃない!
▼反撃
私は建屋が壊される迄の時間で『Floral Fallal』をチューンナップ、
つかささんのウェポンエンジン『誉』を積んで、空中戦に挑むわ。
建屋が破壊されると同時に二人で車に乗って脱出!
炎の精霊の加護に包まれながら、【自走車輌定常円旋回】発動!
名付けて「空飛ぶ炎の花車 ドリフトスピン大作戦」!
装備品も必殺技も連携する、私達ったら息が合ってる!
●舞い散る火花
色とりどりの花の吹き荒れる戦場へ、新たに猟兵が二人。
先まで闘っていた猟兵達が一度離脱する道を確保するように、自分の何倍以上もある材木を携えたつかさと、鼻孔をくすぐる花の香りの宿る花車『Floral Fallal』を伴うニコリネが、ふわりと花のステージへと舞い降りる。
「なにか商いをするというのであれば、場違いですよ猟兵!」
「間違えてないわ、この先に進みにきたもの」
「そろそろ、そこを立ち退いてくれると嬉しいのだけれど」
ひび割れたマスクを抑えながら、ウインドゼファーが苛立たしげに車輪剣を構える。
「目的が為されるまで、ここを退く気はありません」
その身に再び暴風を纏うウインドゼファーに、ひとつうなずき合いつかさとニコリネが対峙する。
「前に進みたいのであれば、私を打ち倒す力量を示してからにしなさい!」
風が爆発した。
●荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)
眼前から体毎吹き飛ばされそうな暴風がたたきつけてくる。本当にひどい風ね。
直撃すればただではすまなさそう、まずは彼女の初動に対応しないといけないわね。
後ろに控えるニコリネと花車を囲う様に、もってきた資材――既に加工済みの壁や屋根を組み立てるわ。
手に掴んだ全ての資材を一振りし、瞬時に形を為す。できあがったものは、風雨からニコリネの花車を護るガレージよ。
「ニコリネ、今のうちに突貫で仕上げるわよ!」
「ええ、せっかくこのこの晴れの舞台だもの、しっかり飾り付けしてあげましょう!」
花車へと手をかけるニコリネを背にガレージに念を張り巡らせ、ゼファーの風への抵抗力を高める。
「前に進みたいのであれば、私を打ち倒す力量を示してからにしなさい!」
彼女の声がガレージの外から響いた刹那。
質量と圧力をともなった暴風が、激突した。
●ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)
花に嵐なんていうけれど、本当に凄い暴風ね。
つかささんが風を防いでくれている間に、私はお店、じゃない花車のチューンナップを急ぎましょう。
さっそくエンジンに手をつけようと思ったら、つかささんが建てたガレージに暴風が激突する音。
「このような即席の建物、中にいる貴方達ごと吹き飛ばすまでです!」
建物が風で吹き飛ばされるっていうのは、有名なお話よね。
三匹の子豚達がつくった藁や木の家は、狼さんの吹く息で吹き飛ばされてしまったけれど。
「暴風や竜巻が凄いけど……風に抗おうとして、その場に留まるから壊れてしまうのよ!」
彼女の風をうけて、ガレージがぎしりと嫌な音をたてるけれど。押しつぶされて壊れるその前に、足下に浮遊感が生まれるわ。
「それなら、風に乗って建物ごと空に運ばれたらいいじゃない!」
「そんな馬鹿な理屈が……っ?!」
ふわり嵐にのり空へと逃れる建物に、彼女にほんの少しだけ動揺が生まれるわ。
いまの間に、チューンナップを済ませましょう!
つかささんからかりたパーツを可愛く飾り付けて、できあがりね。
私のほうの準備が整ったのと同時に、また攻撃をしかけてきたゼファーさんの風でいよいよガレージが壊れそう。
「つかささん、準備OKよ!隣の席に!」
「了解したわ!」
つかささんが車に乗り込むのと、ガレージが壊れるのが同時。ガレージが壊れた先にみえるのは、嵐に花が舞う戦場と車輪剣を構えたゼファーさん。
だから、キーを回して花車の起動するわ。回転数をあげて、シフトレバーを一気に五速へ!
「そんな花車で、なにができ……?!」
ただの花車じゃないわ。つかささんからかりたウェポンエンジンとブースターを外装いっぱいに積んでるもの。アクセルを踏み込めば、ブースターが一斉に点火。貴女が空をとぶなら、こちらも空をとんで対抗するまでよ!
「FloralFallalキマイラフューチャーの空出張所、開店ね!」
●荒谷・つかさ
ニコリネの改造も間に合ったわね。誉の推進力で、魔改造したニコリネの花車が空を翔る。
ガレージから飛び出した私達に驚いた彼女が直撃を避けるように身を躱すわ。
ようやく相手と同じ土俵。けれど、速さと伴う風の質量は彼女のほうが上。
だから、花車の最後の飾り付けをするわ。
自身の指先をかみ切り、私自身の魂の宿る緋色でニコリネの花車のフロントに五芒星を描く。
あとで落としておくから、ごめんなさいね。
陽が降り注ぎ、花が舞う戦場。
彼女の風にまき散らされ、命を終えた花々が花車を包む。
――木は火を生み!
陽の気を浴びた火の精霊が、花々を慈しむように抱きしめれば花車を装飾するように炎が起こる。
花々が生んだ木気……陽を浴びて作り上げた酸素と風がここには満ちている。
――これ即ち五行相生、星の理也!
木の精霊達と火の精霊達が、風に踊るように手を取り合うのをみつめ、宣言する。
「風を糧に燃え上がれ!五行同期、精霊降臨!」
風で火勢を増し、十重二十重と連なる炎の加護が花車を包み込む。
敵陣へ斬り込む力を宿した花車が、花を象る火の粉を散らしながら彼女へと突撃する。
「厄介なものをつくりますね……っ」
速さで勝てないなら、突破力で勝負するまでよ!
「私達の前に立ち塞がるなら、真っ向からたたき伏せるのみよ!」
反撃開始ね、運転は任せるわニコリネ!
●ニコリネ・ユーリカ
これで花車の装飾は完成ね。これだけの炎に包まれてるのに、車内が全然熱くないのは不思議ね。
それじゃあ、反撃作戦を始めましょう!アクセルを踏み込んでゼファーさんへと空中戦をしかけるわ。
速度はゼファーさんのほうが上、でもドラテクなら負けられないわ。
「ニコリネ、2秒後に右にハンドルきって!」
ゼファーさんの動きと攻撃を見極めてくれるつかささんの言葉を信じて、嵐の中へと突入するわ。
避けているだけでも、車体がゆさぶれるような暴風に顔をしかめそうになるけれど。絶対に、ハンドルははなさないもの!
何度も竜巻を切り抜けて……!
「「今!!」」
四方八方から攻撃をしかけてくるゼファーさんと、正面に向き合ったこのタイミング!
進入角度をコントロールしながらヒール&トゥー、アクセルでリヤを流して、ハンドルでフロントを流すの!
炎に包まれた花車でドリフトからの大回転で突撃しましょう。
名付けて『空飛ぶ炎の花車、ドリフトスピン大作戦』よ!
「そんな強引な攻撃に……っ!」
ゼファーさんが竜巻を起こすけれど、炎の加護つきの私達の花車はとめられないわ!
私達もダメージは免れないけれど……嵐を斬り裂いて、ゼファーさんに激突!花を届けるわ、炎の華を!
装備品も必殺技も連携する、私達ったら息があってる!
「ぐ、ああああ!!」
私達の激突に吹き飛ばされたゼファーさんが、空を浮かぶ花の足場へと激突した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
燈夜・偽葉
【真実の翼】で参加
私たちはあなたの先に用があるのです
邪魔をするなら踏み越えるまで
頑張りましょうね、チャドさん
念動力で操った8本の刀で絶えず衝撃波を放ち続けることで風を相殺しつつ見切り、第六感で暴風の範囲を感じ取り、ダッシュと逃げ足ですぐに範囲外に逃れます
この風がある限り近づけない…なら、近づけるように風を散らせばいいのです
構えるのは黄昏の大太刀
力溜め、怪力、なぎ払い、範囲攻撃、衝撃波、吹き飛ばしを乗せてUCを使用
此方の方が射程は上ですからウインドゼファーに斬撃は届きます…が、それはおまけ
空間切断によって、一時的に暴風を遮断したルートを作ります
道は開きました、行ってください!
チャド・アランデル
【真実の翼】で参加
おー、門番なのに通さないじゃなくて時間稼ぎなんだねー。
貴女はどこかで負けを認めてるのかなー?
気持ちで負けてる相手に負ける訳にはいかないよねー。
燈夜さんも頑張ろうねー!
【戦闘】
【野生の勘】と【見切り】で暴風の範囲外へ、燈夜さんが空間切断するタイミングを待つよー。
範囲から逃れ難そうなら【チャドの結界石】を範囲を僕に指定して発動、燈夜さんの邪魔になりそうな攻撃は【かばう】よー。
燈夜さんの動きは【コミュ力】で感じ取り【ダンス】の要領で合わせるよー。
ルートが出来たら選択UCの【早業】、【チャドの起爆札】で僕自身を服事【吹き飛ばし】加速、迎撃が来ても【身代わりの木】を犠牲に突っ込むよー!
●負けられない想い
花が舞い散る中央のステージの上。砕けた瓦礫から粉じんが立ちこめる門の側、マスクの一部が破損し、車輪剣も一部フレームがまがり。服を乱したウインドゼファーが、それでも車輪剣をつき起き上がる。
その姿を見つめるのは、転移されてきた偽葉とチャドの二人。それぞれの得物を構え、離れた花の足場の上からウインドゼファーと対峙する。
「おー……あれだけぼろぼろになってもまだ立ち塞がるんだねー」
「後一押しだと思いますが……まだ油断はできませんね」
ひび割れたマスクの奥の赤い瞳に炎を宿して、ウインドゼファーが気炎をあげる。
「私は門番です。たとえこの身がどうなろうと、目的を為すまでは……この門を死守します!」
排気音を響かせるウインドゼファーが、再びその身に暴風を纏う。
離れていても体にたたきつけられるような暴威の嵐に、偽葉とチャドがひとつうなずき合う。
「私達はあなたの先に用があるのです。頑張りましょうね、チャドさん!」
「燈夜さんも頑張ろうねー!」
二人の言葉に、吹き荒れる嵐が一瞬収縮する様に凪ぎ。
「この先に行きたいのであれば、私の風を越えていきなさい!」
二人が地を蹴ると同時に。
風が、爆発した。
●燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)
皆さんとの戦いでもう限界も近いはずですが、凄い執念ですね。
ですが、ここで止まっていられません。まずは、ゼファーさんの嵐から逃れないと。
周囲は、私達を取り巻く嵐。とはいえ、この戦場全体を隙間なく埋め尽くす程の密度の風は保てないはずです。
念動力を込め、八振りの太刀を構えます。
「この先に行きたいのであれば、私の風を越えていきなさい!」
嵐が来ます。ゼファーさんの声を全て聞き終えるより先に、妖気を込めた刀を四方八方に振るいます。
私自身は、全力で今いる足場から跳躍。
ゼファーさんを起点とした嵐が、舞い散る花の足場を砕きながら私達へと迫る。
直撃していないはずなのに、身体ごともっていかれそうな暴威に歯を食いしばり踏みこらえます。
八振りの刀を手繰り続け。舞い散る花びらの軌道をみて、風を肌で感じて風の道を見極めます。
花の道を渡りながら暴風圏の外へと逃れようとしますが……それに気づいたのか、ゼファーさんの嵐が私達の退路を塞ぐような軌道で足場を崩し始めます。
「私の嵐から抜け出すのは、容易ではありませんよ猟兵!」
徐々に進路が狭まり、焦れそうになる私の横に。
踊るように花の足場を駆け抜けるチャドさんが並ぶ。
●チャド・アランデル(キマイラのシーフ・f12935)
燈夜さんが風の流れを見極めてくれてるけど、それでもすごい嵐だねー。
足を置いたらすぐに足場を壊されるから、全然足を止める暇が無いねー。
汗もすぐに風で乾くから拭う必要はないけど、飛び回ってると結構脚にくるねー。燈夜さんと二人で、頑張ってまずはここを切り抜けるよー!
踏みとどまったら風に身体をもっていかれる。だから、風に逆らわずに駆け抜けるよー。
花の足場を踏み越えて、徐々に上に。風の匂いを感じて、右へ左へ。
「いつまでもそうやって避け続けているだけでは、私達が先に目標を達してしまいますよ猟兵!」
ゼファーさんの声に応えるように、嵐がさらに強くなるよー。だんだん、勘で道をさぐるのも限界が近づいてきてるねーっ!
でも。遠目からみてもゼファーさんが息を荒げてるのがわかる、たぶんすっごく無理してるんだろうねー。
「門番なのに通さないじゃなくて、時間稼ぎなんだねー」
「私達の目的が叶うならば……この身がどうなろうと、貴方達を押しとどめるまでですよ!」
ゼファーさん達の目的はわからないけどー、少なくともゼファーさんが命をかけて頑張ってるってことは伝わってくるねー。
でも。
「僕達を圧倒するんじゃなくて、死ぬつもりで時間稼ぎってことだったら。貴女自身はどこかで負けを認めてるのかなー?」
「……負けてなど、負けてなどいません!次こそは、大願を!」
声が少し悲しそうなものにかわったね、でもそれは僕の言葉を認めてるってことになるんじゃないかな-。
「僕達も、ここを壊されるわけにはいかないから、ここまできたんだよー。気持ちで負けてる相手に、負けるわけにはいかないかなー」
だから、いかせてもらうよー。結界石を取り出して、燈夜さんの所へ駆け出すよー。
「燈夜さん、ちょっとだけ痛いかもしれないけどー、一気に外にでるよー!」
「わかりました、お任せします!」
着物をひらひらなびかせて、踊ってるみたいに風を避けてる燈夜さんの手をとるよー。
このまま風を避け続けてもじり貧、だったら……!
「あたりにいって、風にのるよー!」
上昇気流を見極めて……ここだよー!
●燈夜・偽葉
守護の力の宿る石を掲げるチャドさんの手をとって、風を見極めます。暴風域の外に通じる風を二人で見極めて……!
「「ここ!」」
ゼファーさんの嵐の行く道に二人で飛び出します。
チャドさんの結界石が幾分か防いでくれていますが……それでも、身を削るような風が私達の身体を斬り裂きます。
けれど、負けられません。好機を掴むために、耐えぬきます!
長い永い数秒間。暴風域の端で、最後の足場を蹴りつけて暴風域を脱します。
「私の風を利用したんですか?!」
「あなたに勝つためですから!」
時間をおけば、ゼファーさんも次の攻撃へと移ります。その前に、終わらせましょう。一息で荒れる呼吸を静息。
八振りの太刀を納刀し、代わりに大太刀を抜刀します。
彼我の距離は暴風域の彼方。ゼファーさんの射程外です。
私ができることは、この刀を持って誰かの道を切り開くこと。
だから、彼我の間にあるもの全てを切り開きます!
上段に掲げた刀に、ありったけの妖気を籠めます。妖気を帯びた妖狐の私の目に映るのは、嵐の吹き荒れる青い空の世界。
今此処で、空を分かちます。前に進むために!
「はああああああああああ!!」
だから、斬り裂いた。
私の全ての力を込めた一振りで、大太刀から幾重もの黄昏色の斬撃が嵐へと激突する。
嵐の吹き荒れる動の青を斬り裂き、凪いだ黄昏色が空を分かちながらゼファーさんへと突き進みます。
嵐も、時間も、時空も斬り裂いて!
「私達の邪魔をするなら、踏み越えるまでです!!」
「私の嵐が、紙のように……っ」
甲高い音をたてて、黄昏の斬撃がゼファーさんの車輪剣に激突します。車輪剣がひしゃげ、数メートルも後ずさりながらもゼファーさんが耐え抜き堪えます。
決死の覚悟ということでしょうか。
「賞賛に値する剣術ですが……何度もできる技ではないでしょう!ここまでですよ猟兵!」
確かに今のは私の全力でした。疲労にほおを伝う汗をぬぐい、けれど笑ってみせます。
私の役目は、道を切り開くこと。だから、安心して託す事ができます。
「道は拓きました、行って下さい!」
●チャド・アランデル
燈夜さんが切り開いてくれた夕焼け色の道をみて、花の足場の上でぐっと脚に力をこめるよー。
「道は拓きました、行って下さい!」
「おー、任せされたよー!」
燈夜さんが全力でつくってくれた機会、だから僕も少し無茶をするよー!
靴の裏には用意していた起爆札。ゼファーさんのところまで一息で駆け抜ける為に。
だから、爆発させた。
ぼろぼろになった服を脱ぎ捨てて、爆発の勢いで空へと飛び出すよー。すっごく痛いけど、少しだけ我慢だよー!
ただ速いだけじゃゼファーさんには届かない。だから、二度三度と爆発させて、加速するよー!
「先程の攻撃は陽動ですか!」
僕のほうに気づいたゼファーさんがひしゃげた車輪剣を構えるけど、このまま突っ込むよー!
僕のダガーとゼファーさんの車輪剣がぶつかって、火花が散るねー。
「ぐっ……ああああああ!ですが、この、程度、で……!!」
身体を軋ませて叫び声をあげながら、それでも耐えきるゼファーさん。すごい覚悟だけど。
「僕達は、死ぬつもりで闘ってないからー!」
全ての速度を受け止められる前に、押し合いをしてるダガーをはずして……通り抜けざまにワイヤーでゼファーさんを拘束するよー!
勢いのままゲートに脚をつけて……軋む身体を我慢して、もう一度起爆札を爆発させるよ!
「僕達は、生き残ったうえで、先に進むからー」
ゼファーさんの背後から。心臓部にダガーを突き刺してゼファーさんへ聴いてみるよ。
「貴女にもー、生きて残ってみたい何かが、あったんじゃないかなー?」
「私は……私の、願いは……」
どこか遠くを見つめるように、空を見上げて。ゼファーさんの身体が光の粒子になって、風へと消えていく。
もしも次があったら……きちんと、その願いが叶うといいねー。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴