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花粉満つる鉱山

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●レッツ大探検
「よし、それじゃあ依頼のお話にしましょうか」
 星宮・亜希(双星の守護天使・f00558)が呼び集めた猟兵達へと声をかける。手元に表したエネルギー体『グリモア』をクルクルと回し。
「皆さんにはー、『アックス&ウィザーズ』の世界の鉱山を探検してもらいます!」
 グリモアベースに一つの世界の古びた山の光景を映し出した。手元の羊皮紙を取り出し、集めた情報を読み上げる亜希。
「これはズルワ鉱山と呼ばれる、かつて金鉱山として栄えた廃坑なんです……かつては沢山の人が周囲に村を作り、夢を追い求めていたそうですが」
 盛者必衰。諸行無常。今ではすっかり金は掘れなくなり、油さえさせばまだ使えるものの放置され錆び付いたトロッコや落盤対策や発破用ののいくつかの爆薬を残し、今では誰もいなくなったのだという。
「さて、このズルワ鉱山なのですが……最近物騒らしいんです。どうやらこの鉱山、モンスターが住み着いてしまったらしいんですよ」
 それも繁殖力が優れたゴブリン達だ。ゴブリン達は夜な夜な洞窟を抜け出しては、周囲の住民を襲い金品や家畜などを奪っていくという。
「何せ数があって世界の人々には手に負えない量だそうで……普通これだけ増えたゴブリン達はハーピーやらなんやらに襲われて数を減らすはずらしいんですがね」
 鉱山に集まったゴブリン達が他の魔物に襲われず、のうのうと数を増やし続けられる。それは鉱山の奥に『ゴブリンの捕食者や利用する魔物が近寄ることすら恐れる』強大な魔物がいることを表していた。そんな危険な魔物がいるとすれば、猟兵でもない冒険者が安易に踏み込めばそいつの餌となってしまう事は避けられない。
「というかもう何人か犠牲になってるんですけどね……ですから予知に引っかかったわけですし」
 亜希はさらりとその事実を猟兵達へと伝え、指示を出す。心を痛めはするが、それで立ち止まっていては更に被害が大きくなるだけ。ダークセイヴァー出身の彼女らしい振る舞いで、亜希は指示を出した。
「これ以上の犠牲を出すわけにはいかないです。皆さんはズルワ鉱山のゴブリン退治を受け持った冒険者として侵入し、鉱山にはびこる吸血コウモリや岩を退治、撤去しながら奥に進み……ゴブリン達を退治してください」
 既に冒険者ギルドには亜希が代理で交渉し、所定の日時に実行すると伝えておいてあるそうだ。そのため、一般の冒険者達に出くわす可能性は低いといえるだろう。
「先ほど言った事柄から、ゴブリン達の裏には何か強大なものがいるかもしれませんが……おそらく、ゴブリン達を支配するものではないでしょう……ですが、可能ならば」
 倒してほしい……その言葉を亜希が紡ぐ前に、猟兵達はうなずいた。


糸こんにゃく
●マスターより
 どうも、糸こんにゃくです。
 今回は鉱山探索となります。トロッコに乗ったり突き進んだり行き止まりを派手にユーベルコードや爆弾でぶっ飛ばすなり派手に突き進みましょう。

●執筆予定
 27日より順次リプレイ返却予定です。都合により早まる場合があります。
 その他の事象についてはマスター自己紹介をご覧ください。
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第1章 冒険 『廃坑探索』

POW   :    廃坑の中を体力に任せて進む。落盤や瓦礫、住み着いたモンスターなど力で排除せよ。

SPD   :    廃坑の中を慎重に進む。事前に危険を察知し、状況を打破するだけの技量があれば安心だ。

WIZ   :    事前に調査し、現状を推理しながら進む。調べた廃坑の情報を元に最適なルートを推理、攻略せよ。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ズルワ鉱山。
 その古ぼけた鉱山は、不自然な程静まり返り、ぽっかりとその口を猟兵達へと開けていた。
 猟兵達は、その口をくぐり抜け、悪鬼どもが蠢く領域へと足を踏み入れ……ようとしたところで何かを強く踏みつけた。
「花……? こんな日光の当たらないところに?」
 猟兵の誰かが鉱山の入り口に、不自然に咲いていた草花を踏んでしまったのだ。不思議な事に猟兵達が足をあげた途端、花は潰れる事もなくまた元の形に戻り、再び咲き誇った――。
アキカ・シュテルア
どうしてこんなに増えてしまったんですかねー。しかも倒しても一向に数が減らないとは。

植物が本体なのか、それとも特性が移ってるのか……。まぁ、ここで考えても仕方ないし探索していったら関連性は分かるよね。

【WIZ】
まずは魔法を使って鉱山内の敵の数と強さを調べてから探索するよ。強大な力を所持しているならゴブリン達とは力の種類は異なるだろうからね。
後は筆(ペイントブキ)で地図として描き、その力の出所を目指して避けられる戦闘は避けつつ、鉱山内を探索するよ。


蘇芳・薊
使用能力:SPD 技能:暗視,暗殺,見切り,情報収集,戦闘知識,2回攻撃,先制攻撃,だまし討ち

まず影の追跡者の召喚を行います。五感共有と暗視を組み合わせ情報収集を行い、通行するに当たり危険な場所や隠れている敵等を発見しましょう。
入口にあった花も気になるので、それらの情報も可能な限り集めます。
集めた情報を仲間と共有した上で、ある程度先の予測を立てて進みましょう。

敵をこちらが先に発見出来れば先制攻撃で暗殺を試みます。
一度で無理なら2回攻撃、こちらを向いていれば投石等で注意を惹き付けだまし討ち等汚い手段も使います。勝てば官軍と言いますから!

不測の事態があれば見切りと戦闘知識で乗り切れる様に努力です!


カイム・クローバー
妙な所に花が咲いてんな。しかも、随分と再生力のある花のようで。一生懸命生きようとしてるっていえば、綺麗な言葉だが…。ま、気にしても仕方ねーか。そーいや廃坑の中はやっぱ暗いんだよな。懐中電灯か何か持ってった方が良いなら申請しとくぜ。事前に危険を察知(ユーベルコード使用で解決だ!)状況を打破するだけの技量(凄腕盗賊の俺に掛かれば問題なし!)がある訳だし、どうやら安心出来そうだな。トロッコとかあんの!?(キラキラ)迷わず乗るぜ!!ひゃっほーい!!………勢いで乗っちまったが、これって最悪なことにならねぇよな?壁に激突とか、ゴブリンの群れに突っ込むとか。他の猟兵も居るだろうし、何とかなんだろ。



●枯れた金鉱
「妙な所に花が咲いてんな。しかも、随分と再生力のある花のようで」
 カイム・クローバー(人間のシーフ・f08018)は両腕を頭の後ろに回し、気にかけるように踏んづけてしまった花を眺める。見惚れたわけでも、別に花に感銘を受けるという性格というわけでもない。
「一生懸命生きようとしてるっていえば、綺麗な言葉だが……ま、気にしても仕方ねーか?」
 明らかに生命力が強すぎる。同じ事を蘇芳・薊(悪食・f01370)も感じていたようで、その花を調べようと地面に屈みこみ、恐る恐る触れてみる。
「香りや見た目に特に異変は見られません。この世界にはあってもおかしくない普通の花です……ただ」
 ぐにゃり、と花を大きくへし曲げた薊が指を離すと、再び花は恐るべき再生力で元の形を取り戻す。
「植物が本体なのか、それとも特性が移ってるのか……それにゴブリン達も、どうしてこんなに増えてしまったんですかねー。しかも倒しても一向に数が減らないとは」
 アキカ・シュテルア(グリッタークラフター・f09473)はその不思議な花を眺め呟いた。ゴブリン達を操る魔物とは……一体。
「まあ、ここで考えても仕方ないし探索していったら関連性はわかるよね」
 アキカは自らが持ち込んだ一枚の羊皮紙を手に取ると、ペイントブキである筆を華麗に動かし、瞬く間に不思議な紋様を描きあげていく。色とりどりの点で示されたそれは、オブリビオン達の居場所とその力の大きさを点とその大きさで表した鉱山の地図。取るに足らない魔物が示す小さな点とゴブリン達が集まっている中くらいの点……そしてその集団に隣り合うように存在する、巨大な円。
「これがここに居る魔物の図だよ。これをつなげていけば鉱山の地図にもなると思う」
 アキカが描きあげた地図をカイムがいくつか持参した懐中電灯で照らし眺める猟兵達。しばらくして、薊が頷き、影の追跡者を呼び出した。
「ではその地図が正しいか、確かめておきましょうか」
 闇に溶け込む追跡者達は壁に溶け込み、岩肌に溶け込み、複雑に曲がる鉱山の姿を正確に暗視し薊へと伝えていく。
 確かめたルートを地図に書き込み、慎重に進んでいく薊とアキカ、だが自信家のカイムには少し悠長だったのか、あるいはスタイルの良い女性達に少しでも格好をつけたかったのか。愛用するダガーを手に二人の前へと躍り出た。
「そんなの俺にはいらないぜ、凄腕盗賊の俺に掛かれば問題なし!」
 上機嫌に鼻歌を歌いながら身軽に移動し、坑道を深く深く突き進むカイム。焦って追いかける残りの二人。
「カイムさん! そっちにはコウモリがいますよ!」
「10体ほど居るんだよな? わかってるぜ!」
 アキカが焦ってカイムに伝えた時には既にカイムは短剣をまるで天を切り裂くように振るった後であった。数秒後、ぽとり、ぽとりと致命傷を受けたコウモリ達が廃坑の地へと降り注ぐ。
「無理に倒さなくても……」
「まあまあ、勝てば官軍といいますから!」
「そうそう、問題ないぜ……それより見ろよ! トロッコとかあんの!?」
 若干呆れるアキカとこっそり何体か倒し得意げの薊の前、カイムが一つの乗り物――放置されていたトロッコを目を輝かせながら指さしていた。カイムは救急道具の中に仕込んでいた油を車輪へと塗ると、動き出したトロッコへと真っ先に搭乗。更に女性二人が乗ると、ギィィィ……と言う重い金属音と共にそれは動き出した。
 重力を受け、猟兵達も驚くスピードで動くトロッコ。それにすっかりカイムは大喜びで、すっかりハイテンションで歓喜の声を挙げる。
「ひゃっほーい!!!!」
 3人を乗せたトロッコは更に加速する。どこまでも、どこまでも深く、魔物達を轢きながら突き進む。流石のカイムも次第にそれは焦りに変わり、後ろの二人へ。
「なあ……勢いで乗っちまったが、これって最悪なことにならねぇよな?」
「ちょっと何いってるんですかカイムさん? そんな事言ったら――」
 フラグ回収。トロッコは急停車し、洞窟の最深部へ3人は真っ逆さま。
「まあ、これはこれでよし……でしょうか?」
「お前、んなこといってる場合かぁ!?」
 そのままカイム達は、猟兵でなければ死んでいるであろうスピードで宙へと放たれ、ゴブリン達がたむろする最深部へと落下していった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スピレイル・ナトゥア
ライト付のヘルメットやキャンプセット、防塵マスクやゴーグルをしっかりと用意してから廃坑に潜ります
「強大な魔物の目撃情報がないことを考えると、強大な魔物はゴブリンさんたちよりも廃坑の奥に生息しているのでしょうか?」
廃坑の地図を事前に入手することができていれば、その地図を頼りに進みます
登山靴でしっかりと地面を踏みしめ、手にした長い棒で進行方向の壁や床を叩いて、罠がないことを確認してから進みます
障害物があった場合は、炎の精霊さんに頼んで熔解してもらうとしましょう
「お爺さんに昔聞いたことがあります。ダンジョンのなかを進むときは、長い棒をもって目の前の壁や床を叩いて、安全を確認しながら進むといいって」


テラ・ウィンディア
事前
鉱山の元々の構造についての地図の確認
その中でゴブリンが集まりそうな大広間等や居住空間の把握
そしてそこに生息が考えられる魔物や生物や植物について調べ
そしてゴブリンが使う罠等を調べ

そして…突撃!!
トリニティエンハンスで防御を中心に時点で状態異常防御の強化

後は目的地に向かって突撃あるのみ
落とし穴
槍を壁に突き刺しそのまま昇る!
瓦礫やつり天井
我が剣と槍にて粉砕!破壊!斬!突!
魔物
見敵必殺!此方から襲い掛かる槍で串刺しにし属性攻撃で剣と槍に炎を纏わせ焼き払い粉砕!

差乍ら狂戦士の如く只管目的に向かって邁進する!
それはまさに火の玉の如く

あらゆる罠も!
敵も!
試練も!
おれの武を以て粉砕する!
それが乙女道だ!



一方、幸か不幸か(?)トロッコに乗りそこねた後続の猟兵達はカイム達が残した魔物の情報と、事前に入手した数年前の地図を相手にテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)がにらめっこをしていた。顔をしかめるテラの後ろ、同じく地図を眺めながらしっかりと廃坑探索用の防塵マスクやヘルメットをつけるスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)がテラへと質問を投げかける。
「強大な魔物の目撃情報がないことを考えると、強大な魔物はゴブリンさんたちよりも廃坑の奥に生息しているのでしょうか?」
 テラは地図を数秒眺め……返答。
「ああ、間違いない! この図によるとこの奥に何かが居るらしい!」
 ゴブリン達が掘り進めたのか鉱山にはいくつか不可思議な道が増えているものの、奥へと進む道に大きな変化はない。そしてその最深部にはかつて地底湖があったらしく大きな空洞となっており、そこに彼女達の求める魔物が居る事は容易に推測できた。
 テラは後は任せたと言わんばかりに地図をスピレイルに手渡すと……燃え盛る炎の槍を光源代わりにと手に取り……突撃!
「奥まで、突っ切る!」
 そのまま洞窟の奥まで全速力で突き進むと、吸血コウモリや斥候のゴブリンを一撃で串刺し、崩れ落ちる瓦礫を槍で粉砕、地図の正しいルートから外れても剣と槍で掘り突き進み……罠だろうと敵だろうと行き止まりだろうとまさに力と体力任せで一気に最深部へと突き進んでいく!
「……だ、大丈夫でしょうか?」
 狭い坑道を大暴れするテラを心配そうに眺めながら、スピレイルは長い棒を取り出し壁や床を叩き、罠が無いことを確認しながらゆっくりと地図に基づいて進んでいく。同時に虚空から炎の精霊達を呼び出すと……数体を何かあった時のためにとテラの元へと向かわせて。残りの十数体を光源と、障害物の溶解の為の熱源にするために纏わせ進んでいく。
「お爺さんに昔聞いたことがあります。ダンジョンのなかを進むときは、長い棒をもって目の前の壁や床を叩いて、安全を確認しながら進むといいって」
 そう言いながら地図を眺め、急な瓦礫の落下や魔物の出現に驚かないよう耳を済ませながらスピレイルはゆっくりと、ゆっくりと深部へと向かっていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイチェル・ケイトリン
力押しで進みます。
わたしの場合、体力じゃなくて心の力、
得意な念動力技能をつかったサイコキネシスだけど。
暗いとこだったら暗視技能もつかうよ。

落盤や瓦礫、住み着いちゃったモンスターを力で排除しながら、
念動力操作型地縛鎖の地形の利用技能でしらべていくね。
これとっても長いから念動力技能がないと使えないけど、
その分、ひろくしらべられるんだよ。

……ほったらかされた爆薬!?

ちょ、ちょっと、落盤しそうなこんなとこでそれはひどいよ。

そんなのサイコキネシスですぐになんとかしないとね。
とりあえず、崩れたりしないとこにきちんとまとめておく感じかなぁ。

あぶないものを遠くからていねいに扱えるのがわたしの取り柄なんだもの。


ジロ・コルナゴ
鉱山といえばワシらドワーフの出番じゃろ!まぁ、ワシは鉱夫じゃなくて戦士だが、力仕事には自信があるぞい!

鉱山の奥に何がおるかは知らんが、とりあえず道を切り開かなければ話が始まらん。しかし、廃坑だけに、やはり瓦礫だの何だの障害物が多い。じゃから、ワシのグランドクラッシャーでぶっ壊すぞい。いきなり技を使うと、他の者も驚いてしまうかもしれんから、近くに人がおれば一声かけてからにしよう。

気をつけないといけないのは、ゴブリンどもだの。これだけ落盤だの瓦礫だのがあると、どこかに潜んでおるかもしれん。行き止まりは勿論だが、奴等が隠れそうな障害物も壊していくとするかの。障害物ごと、ワシの戦槌の錆にしてくれるわ。



「上の方が騒がしいね……」
 立ちふさがる罠と魔物を徹底的に排除し鉱山の中盤ほどへと差し掛かっていたレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)は、地響きが鳴り響く天井をふと眺めながら呟いた。
 地響きは止むどころかますます強くなり、パラパラと小さな土埃が鉱山内へとこぼれ落ちる。
「他の猟兵が大暴れしとるんじゃろう」
 地響きを聞き、ジロ・コルナゴ(蛮勇・f05707)は戦鎚を構える、ジロはそれを大きく振り上げると――。
「わしらも負けておられんのう! お前さん、少し離れるのじゃ!」
 全力を込めて叩き潰す! 岩は一点集中の一撃に耐えきれず大きな音を立て崩れ、鉱山の奥へと転がっていく。少々威力が強かったのか、彼らのいる場所の天井からぱらぱらと小さな岩の欠片がこぼれ落ちた次の瞬間、バリバリと何かが大きく剥がれる音と共に鉱山の天井が崩れ落ちた!
「ぬおっ!?」
 ジロが咄嗟に防御の姿勢を取った次の瞬間、レイチェルがその岩を凝視――直後、落盤した岩はまるで重力が失われたかのようにのように真横へと向きを変えると、坑道のあらぬ方向へと飛んでいく。
「なんとかなったね」
 咄嗟に念動力を発動し、落盤を切り抜けたレイチェルはジロへと安全確認を兼ねて声を掛ける。怪力と念動力、異なる2つの力で、彼らはこの鉱山を突き進んでいく。
「ふう、助かったぞい……それにしてもこれだけ落盤だの瓦礫だのがあると、ゴブリンどももどこかに潜んでおるかもしれん」
「そうだね……調べていこう」
 再びレイチェルはサイコキネシスを発動し、視界の外までくまなく探っていく。障害物を見つけてはあるものはジロに報告し破壊させ、あるものは自らの念動力で壊していく。
「障害物ごと、ワシの戦槌の錆にしてくれるわ!」
 そうして、坑道を数十分ほどかけて降りジロがゴブリンごと大岩を砕いたある時、レイチェルはあるものが数個大岩の影に転がっているのを発見した。
「……ほったらかされた爆薬!?」
 赤い筒にあからさまな導火線。それは誰がどう見ても爆薬であるのは間違いない。レイチェルは慌てて念動力を発動し爆弾を浮かせると全て束ね、坑道の脇道へと慎重に重ね置いた。
「ふう……ジロさん、そろそろ最深部ですね」
「そうじゃのう、若いのも追いついたようじゃしのう」
 汗を拭ったジロの背後には得意げな顔をした土埃まみれのテラと、大慌てで追いかけるスピレイルの姿。そしてその後ろには別の猟兵達の姿も見えた。
「……みたいだね」

 合流した猟兵達はそれぞれの無事を称え合うと坑道の地図を確認し、ここが最深部、ゴブリン達がたむろする空洞のすぐ手前である事を知る。そしてそれと同時に、彼らはゴブリンのものではない3つの人影を発見する。
「ちょっとあそこ、誰か倒れてるよ!」
 レイチェル達は慌ててその3人……のびていたカイム達を揺さぶり起こす。大した傷ではなかったらしく少し刺激を加えただけで彼らはすぐに飛び起きた。
「嫌な予感があたってしまいましたよ……」
「手間は省けたようですけどね」
 ため息をつくアキカ、なんとも無かったかのように立ち上がる薊。
「お前さん達、何があった?」
 ジロが3人へと問うも、3人は何が彼らの身に起こったか詳しく話すことはなかった。別に話したところで何も変わらないし、まさか「トロッコが脱線して気絶していました」なんて言う訳にはいくまい……言うとしても終わってからの話だ。
「大したことじゃないが、とにかく散々な目に遭ったぜ……! いや、これから遭うのか?」
 土埃を払い、懐中電灯を構えたカイムが照らし出したのは、おびただしい数のゴブリン達!
 ゴブリン達は大きな焚き火に囲まれ、何やら彼らにしかわからない話をしているようだったが……それがろくな話で有ることは間違いない、おそらく次はどの村を襲うかと言ったこところだろう。
「ゴブリンさん……これも、こんなに! 他の魔物さんの姿は見えないようですが……」
 ゴブリンの多さに驚くスピレイル、だがその奥にいるはずであろう『強大な魔物』の姿は見えなかった。それに「ふん」と不敵に笑い、テラは紅龍槍『廣利王』を手に取り――。
「見えないなら、おれがあぶり出してやるだけだ!」
 そしてそのまま呑気に飲み食いするゴブリン達へと飛びかかった!
「あらゆる罠も! 敵も! 試練も! おれの武を以て粉砕する! それが乙女道だ!」
 テラの槍が地に突き刺さり、爆炎と、大量の燃え盛る花びらが舞い上がる……そこはなんと、焚き火を中心に広がる、一面の花畑であったのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ゴブリン』

POW   :    ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●花畑のゴブリン達
 舞い散る花弁の中ゴブリン達は咄嗟に身をかわし、こちらの方を鋭い眼光で睨みつける。
 既に戦い慣れた猟兵達にとってゴブリンはさほど強敵ではない。だが、厄介なのはその数だ。背後からの不意打ちに用心し薙ぎ払い、彼らを庇護する魔物を炙り出せ!
テラ・ウィンディア
真の姿解放
紅く輝く光の翼を展開

そのまま周囲を見渡し
属性攻撃で全身に炎を纏わせながら

間近のゴブリンに襲い掛かりそのまま串刺し
可能なら複数ごと突きさし焼き払う
そしてその間に襲う相手にはもう一つの愛刀
星刃剣にて斬り捨てて
そのまま舞うように…しかしまるで竜巻の様に斬り割き焼き燃やし
そして狂ったような暴れぶりからも視線は冷徹に周辺の状況と敵の陣形を分析
更に動きから見切り可能な限り回避
密集陣形を見つければ容赦なくそちらにグラビティブラストを打ちこみ殲滅
そのまま敵陣に再び突入してそのまま周囲の敵を確実に殲滅する様に槍で貫き剣で切り捨て
血で血を洗いその血さえ焼き尽くす演舞もとい炎舞となって

唯の子供と思ったか?



「いくぜお前ら!」
 テラは敵陣のど真ん中、花畑に突き刺した槍を勢いよく引き抜き、左手に星刃の剣を構え光り輝く紅蓮の翼を展開。文字通りの一番槍として殺陣を展開する。
「喰らいな!」
 そのままゴブリン達の複数体を見据えると力任せに槍を振るい、その先端は次々とゴブリンの肉を焼き切りながら3体ほど一気に貫き、背後から一気に襲いかかるゴブリン達を右半分は貫いた槍で、左半分は宝剣で薙ぎ払う。テラはそのまま突き刺したゴブリンを焼き切ると踊るようにゴブリンの武器を避け、群衆の外へと躍り出ると――再び突撃。
「ここからがおれの物語の始まりだ!」
 冷静に敵の流れを読みつつも、荒れ狂う様に槍で焼き、剣でその生命に終焉を刻みつけていく。その豪炎の乱舞は華麗なる舞踊――ゴブリン達にとっては狂った炎の竜巻。
「唯の子供と思ったか?」
 乱舞の最後に勇敢にも襲いかかったゴブリンの刃を槍の柄で受け止め――静まり返る洞窟内、テラはそのゴブリンへ向けて重力波砲を撃ち出した。静寂の後に訪れるはゴブリン達の断末魔の合唱。押しつぶされるゴブリン達へにかっと笑うとそのまま暴走する重力を利用し他の仲間の元へと戻るのであった、舞い散る花吹雪と共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイチェル・ケイトリン
ほかの猟兵さんたちのうしろでしずかにたちます。

まわりぜんぶを見てたたかうね。

念動力と吹き飛ばしの技能でサイコキネシスをつかって、敵をどんどん攻撃してふっとばすよ。
うしろからくるのとかほかの猟兵さんにおそいかかるのとか気をつけて、かばう技能もつかってまもるからね。

足払いをうけちゃったひとがいたら精密に操作する事も可能なサイコキネシスでていねいにささえてあげるよ。

みんながあんしんしてたたかえるようにしたいから、がんばるよ。


アキカ・シュテルア
成程、この巨大な円は花畑でしたか。入り口付近に在った花と同じモノですかね?特性も同様でしょうか。謎が増えました……。

回復は出来ないから、相手の数を減らし、陣形を崩すことを念頭に置いて戦闘するつもりです。他の方と連携が取れそうであれば積極的に協力していくよ。

【WIZ】
ペイントブキを魔力で自身の身長の半分位まで巨大化させて、【塗料】をゴブリン達目掛けて複数回撒くよ。これは目くらましと【塗りつぶし】による陣地確保も兼ねてる。
【塗りつぶし】た後はそこに立って、もう1度【塗料】を撒くことを繰り返す。
戦闘中はゴブリン達に足元を取られないよう、警戒しておく。



「成程、この巨大な円は花畑でしたか。入り口付近に在った花と同じモノですかね?特性も同様でしょうか。謎が増えました……」
 アキカは散った花びらを握りしめる。ユーベルコードでしか破壊できない花。それに何の意味があるかはわからないが今は戦うだけ。
 アキカは背後に静かに立つレイチェルに目配せをすると、魔力で筆型のペイントブキを取り出すと巨大化、大きく振りかぶると塗料がたっぷりついたその先端を勢いよく振るいゴブリン達へ向けて塗料を撃ち出した!
「ゴブ……ゴブッ!?」
 ゴブリン達はそのペンキを見て鼻で笑う。燃え盛る槍よりはマシだ、あれはただの液体だ――と、だがその余裕は次の瞬間悲劇へと変わる。ペンキとは言えユーベルコード、魔力の籠もったそれはゴブリンにとって相当なダメージであり、当然受けたゴブリン達はのたうち回る。
 ペンキは一部が幾つかのゴブリンに次々と命中し、命中しなかった一部は――球の形となり不自然な軌道で花畑に落下し、拡散。アキカの想像以上に遥かに薄く広く『塗られた』それはレイチェルの念動力によるもの。
 その塗料のついた花畑へ、ゴブリン達に近い位置にアキカが、遠い位置にレイチェルが着地する。小癪な手段で仲間を倒された事に怒りを覚え、足蹴りをぶちかまし、その瞬間騙し討ち気味に力任せに剣を振るうゴブリン達。その攻撃をペイントブキから放った塗料の球で弾き返し、攻撃を防ぎながらも『陣地』を増やしていくアキカ。
「レイチェルさん、お願いします」
 その言葉がアキカの口から出る前に、既にレイチェルは念動力を発動し、その瞳を輝かせていた。
「グ、ゴブゥ!?」
 レイチェルが弾き返した剣が意思を持ち、ゴブリンの喉元へと突き刺さる。絶命したゴブリンの体は宙を舞い、そのままゴブリン達の塊へとロケット噴射のようにすっ飛んでいく。
 若干顔を曇らせながらも静かに念動力を昂ぶらせるレイチェル、ゴブリン達は更にくっつき、大きな塊となるとまとまって宙へと舞い上がり……地上へ急降下。重力と既に散らばっていたアキカの塗料が塗られていた花と板挟みとなり、全員地獄送り――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


「ゴブーーー!」
 だが、数を減らせども減らせどもゴブリン達のしつこさは変わることはない。それどころか、わらわらと廃坑中のゴブリン達が現れ、既に戦っている仲間達と入れ替わる形で猟兵達へ飛びかかってくる。その数はおびただしいと表現する他無い。
ジロ・コルナゴ
おぅおぅ、よくまぁこんな数まで増えたもんじゃ。雁首揃えたところで、所詮はゴブリン。負けるつもりはありゃせんが、この数は、ちと【覚悟】を決めねばならんな。

アースジャイアントを出して、前衛として、敵をなぎ払らうぞい。ワシ一人で敵の全てを倒せるとは思っておらん。あくまで後衛のための壁役じゃ。トドメや討ち洩らしは、他の者に任せよう。

突出しすぎて、孤立せんようにも気をつけねばいかんな。他の者と足並みを揃えて、背後を取られないように意識するべきじゃろう。

倒すべき敵はゴブリン共だけじゃない。こやつ等の裏に何かがいるはずじゃ。今は姿が見えんが、ゴブリン共を蹴散らして、今に引き摺りだしてくれるわ!



「おぅおぅ、よくまぁこんな数まで増えたもんじゃ」
 増え続けるゴブリン達へジロが呆れたように称賛の言葉を投げかける。雁首を揃えたところで所詮はゴブリン、負けるつもりはジロには始めから無い。
「どんな強大な魔物が居ようと構うものか! ゴブリン共を蹴散らして、今に引き摺りだしてくれるわ!」
 背後に強大な敵が居ようとも今いるゴブリン達相手に遠慮していては手間がかかってしまう――ジロは覚悟を決めると、戦槌を激しく地面へと叩きつけた!
「――来い!」
 廃坑全体が揺れ、花畑が盛り上がり現れたのは全身に花を纏い、3メートル弱はある厳つい大地の巨人。それはジロの持つ戦斧と同じ形のものの岩の大斧を握りしめると、他の猟兵達の前へと跳躍。荒手の敵に驚いたゴブリン達がそれへと飛びかかるが、常人より少し優れた程度のゴブリンの力ではその巨人をポロポロと崩れ落ちるほどにしか壊せずに。ジロ同様鬼の怪力を誇るその巨人に、次々と潰され薙ぎ払われていく。
「――少し熱くなってしまったのう、後の皆、討ち漏らしは任せたぞ」
 少し地が出たのが恥ずかしかったのだろうか、片膝を付き、巨人の操作に全力を尽くしながら、ジロは武器を構えた他の皆へと期待の眼差しを送るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

蘇芳・薊
相手はさほど強敵では無い、とは言え数も多いですし油断せず参りましょう。

敵が普通に攻撃するにせよ素早い攻撃や不意打ち等をするにせよあくまでもゴブリンが相手です、暗視と戦闘知識を活かしブラッド・ガイストで先制攻撃を与えましょう。何度でも攻撃ができそうであれば2回攻撃も出来ればと思います!

とは言え数が数ですから不意打ち等もされる事でしょう、それは暗視と見切りと戦闘知識を活かしカウンターを返せる様にします。
自分だけでなく味方と協力して隙を作ったり、不意打ちを味方が気付いていなければかばう等して被害を少しでも減らしましょう。

ここで大ダメージなんて受けていられません、この後で大物が来る気配がしますからね!


カイム・クローバー
ま、大した怪我もねーし、結果オーライってやつだ。ゴブリン共の巣穴に一番乗りだったしよ。宙を舞った時は流石に少ーしだけ焦ったが、やっぱ冒険はこうじゃなくっちゃな!(ダガーを構え)
俺はSPD判定で死角からゴブリン共にユーベルコード、【フェイント】【二回攻撃】【盗み攻撃】と共に斬り付ける。ゴブリンの剣とか楯とか盗めりゃ【投擲】で他のゴブリンにぶん投げたり。【フェイント】は移動にも使えそうか?正面から行くと見せかけて背後に回ったり、攻撃すると見せかけて他の猟兵に攻撃を譲ったり。ま、足を使って戦場をかき乱すぜ。
…にしても、廃坑の奥に花畑だ。どーにもこの廃坑は臭いな。亜希が言ってた強大な魔物って奴かも…な


スピレイル・ナトゥア
「まずは、目の前の火の粉を振り払うとしましょう。強大な魔物さんを探すのはそのあとです!」
しかし、強大な魔物さんが姿を見せていない以上、常に警戒しながら戦う必要がありますね
【第六感】と【聞き耳】を最大限に働かせながら戦うとしましょう
「そんなに姿勢を低くしていては危険ですよ」
低い姿勢から蹴ろうとしてくるゴブリンさんに対して、その足元からゴーレムさんを召喚して相手の体勢を逆に崩して隙を作ります
「いまです。みなさん!」
本当は銃器が使えれば楽なのですが、閉鎖空間で使うのは危険でしょうし仕方ありません
体格の不利を補うために【捨て身の一撃】で、私も精霊の護身用ナイフを使ってみなさんと一緒に戦うとしましょう!



●悪鬼の血でかの花竜は姿を現す
 ジロの召喚した巨人が崩壊し、戦場の外周で戦っていた3人がゴブリン共へ滅びをもたらすために飛びかかる。
「ま、大した怪我もねーし、結果オーライってやつだ。ゴブリン共の巣穴に一番乗りだったしよ? 宙を舞った時は流石に少ーしだけ焦ったが――」
 雑魚だろうと加減はしない。カイムは愛用するダガーを構え、歓喜の表情を見せるとゴブリンの胸元へと勢いよく斬りつける!
「やっぱ冒険はこうじゃなくっちゃな!」
 ゴブリンを蹴り飛ばしその装備をナイフですばやく剥ぎ取ると次のゴブリンへ斬りつけると共に投擲。投げ飛ばされた盾は爽快な金属音と共にゴブリン達へと命中し、次々と気絶させていく。そこへ薊が飛びかかり、再び起き上がる前に自らの拳でトドメを刺す。
「相手はさほど強敵では無い、とは言え数も多いですし油断せず参りましょう!」
 自らの爪で腕を軽く切りつけ、血を刻印へ浸すと刻印は唸りを上げ、薊の両腕は異形のそれと化す。血に飢えた様子で薊はゴブリン達へと飛びかかると、ゴブリン達が構えた盾ごと拳でその肉体を貫き、急所を一撃。
「ゴブリンの血ですか、少し躊躇われますが……」
『餌』として使えるか試してみましょう、薊は拳を引き抜くと同時に鮮血を浴び野性を解放、襲いかかるゴブリンの刃を片腕で食い止め、もう片方の腕で反撃の一撃を叩き込む。
「物騒な戦い方だなぁ!」
 戦闘中であるにも関わらずカイムが薊へ冗談混じりの明るい声でその実力を讃えながら、投げナイフを遠隔のゴブリン共にお見舞いしていく――少し油断したのだろうか、一匹のゴブリンがカイムへと不意討ちを仕掛けるべく屈んで迫っていることに気付かずに。
「そんなに姿勢を低くしていては危険ですよ」
「ゴブっ!?」
 否、カイムは気付いていた、だが仲間を信じていたのだ。
 カイムに不意討ちをしかけようとしていたゴブリン達の足元から、スピレイルの召喚した数十を超える小さなゴーレム達が現れ、逆にゴブリン達の足元を掬っていたのだ!
「いまです。みなさん!」
 スピレイルの声に薊が微笑み、転んだ哀れなゴブリンにトドメの一撃。役目を終えたゴーレム達はゴブリン達へと次々と飛びかかり、次々とダメージを与えていく。
「おかげで捗ったぜ、スピレイル!」
 スピレイルは頷くとゴクリと唾を飲み込み、護身用のナイフを構え、ゴーレム達が群がるゴブリン達へと捨て身の特攻!体格が不利なスピレイルであっても、マナを宿したその刃は弱ったゴブリン達にとっては恐怖の一撃であったのは言うまでもない。
「何か胸騒ぎがします……みなさん、もうひとふんばりです!」
 スピレイルはゆっくりと立ち上がり、猟兵達へと声をかける。それぞれの猟兵達は自らの力を振るい、土埃が舞い、火柱が立ち上がり、断末魔と鮮血が木霊する。
「ご、ごぶ……ごぶぶううう……!」
 最後に残ったゴブリンは、まるで『恨みを晴らしてください』と言わんばかりに天井を見つめ――薊の拳に貫かれていった。
「終わりましたね――さて、ゴブリンは退治しましたが」
 刻印の殺戮捕食態を解除し、ゴブリンの血で濡れた異形の腕をじっと眺める薊。ここまでなら慣れたもの、多少の犠牲は出るであろうが猟兵達の手を借りずとも一般の冒険者でも解決できた事件のはずである。薊は若干の物足りなさを感じていた。
「大物は出てきませんね……さっきから来る気配はしますが……」
「いいえ、薊さん。今確信しました……敵は最初から『見てました』。テラさんが花畑を攻撃したときから、ずっと」
 今までは戦闘中で強く探そうとしてはいませんでしたが。そうスピレイルが付け加え、ゆっくりと人差し指を天へと向けると――突然、廃坑が大きく揺れだし、魂の底から震え上がるような咆哮が鳴り響く!
「あの野郎!? 天井に張り付いてやがったのか!」
 音に反応し空を見上げたテラの視線の先にいた咆哮の主は、その息吹で花を愛で、花畑を縄張りとする強大な竜!
 竜はゆっくりと天井から飛び立つと、廃坑に咲き乱れていた花畑を汚さぬよう、翼を羽ばたかせ滞空した。それと同時にそこから日の光が廃坑の奥へとゆっくりと差し込み、花畑を照らし出す。竜がいた場所は極めて長く深い大穴となっており、その日の光と自らの能力によって鉱山全体を花畑にするのがその竜の目的であったようだ。
「入り口の花は、他の魔物に対する警告……そして今のわしらに対する感情はさしずめ、『ゴブリン達と違ってこいつらはとんでもないやつらだ』といったところかのう」
 ドラゴンの心境を察しながらも戦斧を握りしめ刃を向けるジロ。それに「ああ」と応えダガーを握り直したカイムは余裕の表情で皆に激を飛ばすのであった。
「廃坑の奥に花畑、どーにも臭いと思っていたが……何でもいい、とっととこの引きこもりを倒して帰るぜ! お前達!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●永遠の花など存在しない
 何故その竜、息吹の竜『グラスアボラス』が現れたのかは、猟兵達は知る由もない……だが、『それ』がその鉱山に現れたきっかけは、鉱山の最深部に奇跡的に差し込んだ日の光がもたらした一輪の花であった。彼はその花を美しいと思い、この廃坑の最深部を新たな縄張りとしたのである。
 その一輪の花は強靭な再生力と繁殖力を手に入れ、今や廃坑の最深部を満たす花畑となり、僅かに刺す陽の光と焚き火の明かりだけで咲き誇れるようになったというのだからこの竜の能力は計り知れない――!
スピレイル・ナトゥア
花畑を作る能力ですか
人々のために使えば砂漠の緑化活動に役立ちそうな能力ですが、相手がオブリビオンであるなら仕方ありません
花畑ごと相手を焼き払ってさしあげましょう
グレネードランチャーを装備した精霊印の突撃銃で、みんなを【援護射撃】します
少しの攻撃であれば【オーラ防御】のおかげでびくともしませんよ!
グラスアボラスが花畑を作ったら、炎の精霊のグレネード弾でそれを燃やしてさしあげるとしましょう

オブリビオン相手でも、花を愛でる心をもった相手にこのような真似をしなければならないというのは心が痛みます
せめて、オブリビオンのなかにも花の美しさに心を動かされたものがいたのだということだけは私が覚えておきましょう


テラ・ウィンディア
真の姿解放
背中に赤く輝く翼を展開

こいつ…花を咲かせる竜か…!(エルフとしては少し思う所がないわけではないが本能としても理解できることはある

この花々はきっと世界の理を乱すんだろうな…本来此処に生きたものらを食いつぶして
何より…オブビリオンが齎す物は…結局は破滅
ならば…竜騎士として打ち破るのみだ!

属性攻撃
武器だけではなく足にも炎を纏わせる

見切り
敵の動きと癖を見切り更に第六感を重ねて可能な限り回避に努めつつ猛攻を仕掛ける

花畑が展開されれば
すまないな
だが…そいつを許すわけにはいかない!(だんっと飛んで

そのままメテオブラストで地形ごと破壊!!

中々の戦上手のようだが…それをむざむざやらせはしない!



「――!」
 竜は花畑を傷つけた侵入者を滅ぼさんと大きく息を吸い込むと、こちらへ向けて激しく息吹を吐き出した。猟兵達が咄嗟に身を翻すと、廃坑の岩がパキパキと割れ、その割れ目から次々と見事な大輪の花を付けた花が咲き誇った。
「こいつ……花を咲かせる竜か……!」
 紅の翼を展開し飛び立ったテラが眼下に目撃したものは、廃坑に咲き誇る広大な花畑。洞窟内の僅かな明かりに照らされる美しい花畑の光景は、エルフのテラにとっては思わず竜への共感を抱いてしまう程であっただろう。だが、大地を壊し、不毛な地に咲き誇るその花の姿もまたこの世にあってはならないものであるという事もテラは理解していた。
「この花々はきっと世界の理を乱すんだろうな……本来此処に生きたものらを食いつぶして」
 テラの紅蓮槍の炎が渦巻き、それは次第に彼女の足を焦がし燃え上がらせていく。花はか弱いからこそ美しいのだ、ましてやオブリビオンの繁栄は世界を終焉へと導いていく。ならば――
「竜騎士として打ち破るのみだ!」
 竜が生成した花畑へと移るべく飛び立った瞬間、テラは燃え盛る脚部を空中で高く振り上げ、翼を羽ばたかせると同時に振り下ろす。
「すまないな……だが……そいつを許すわけにはいかない!」
 竜がテラの真下へとたどり着いたその瞬間、目にも止まらぬ速度で急降下したテラの踵落としが炸裂。翼と足に宿った焔の力が竜の肉体を貫通し大地へと激突すると、岩場の地面は大きく砕け、裂け目から湧き出た炎が花畑中へと吹き出し、次々と花を灰燼と化していく!
 それでもなお、グラスアボラスはテラによって肺の空気が押しつぶされると前に息吹を吹き出し、新たな花畑を作り出していく。だが、それすらも。
「テラさん、すぐに退避してください!」
テラが飛び立った直後、スピレイルの構えた突撃銃からグレネード弾が嵐の様に放たれ、その炸裂する弾丸の爆風により竜の眼前で焼き払われていく。
「花畑を作る能力ですか……それもユーベルコードでしか破壊できない、オブリビオンの花畑……人々のために使えば砂漠の緑化活動に役立ちそうな能力ですが――」
 硝煙と花が焼ける匂いの中、スピレイルが静かに呟く。例えそれが邪悪なオブリビオンで自らの領域を広げる為の行為であったとしても、花の美しさに心を動かされたドラゴンであったという事は事実。その目の前で花畑を、そしてその美しい心を持つ竜を焼き払う事に少しも引け目が無いと言えば嘘になる。
「――それでもオブリビオンであるなら仕方ありません」
 炎の精霊の力を宿したグレネードランチャーをリロードし、再び構えを取り……呻く竜へと照準を合わせると、ゆっくりと引き金を引く。
「せめて、オブリビオンのなかにも花の美しさに心を動かされたものがいたのだということだけは私が覚えておきましょう」
 直後、放たれた擲弾は花畑の竜の頭部へと直進、激突すると、竜の両角を粉砕した――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


「グ、ア、ア……!」
 背中に重症を負い、角を喪い、花畑を喪い。そしてうまいこと雑用をしてくれていたゴブリン共も喪った。
 だが、グラスアボラスにとって、それは戦闘をやめる事にはならなかった。
 竜は大きな紅の翼を広げ再び飛び上がると、羽ばたき、猟兵達へ反撃を繰り出すべく上空で待ち続ける。
『わざわざこちらの不利な場所にいるなど、愚か』と言わんばかりに。
レイチェル・ケイトリン
共生、っていうのかな。竜は花をそだてて、花は竜に力をあたえる。

なら、どっちも敵だよね。


念動力と吹き飛ばしの技能をつかってパイロキネシスでたたかうね。

わたしの心の炎をつっこませて爆発させるよ。


まず、花を焼きつくすように攻撃してふっとばして、
力をけずってから竜を攻撃してふっとばすね。

竜からの攻撃もふっとばしてふせぐよ。

もちろんいっしょにたたかってくれる猟兵さんへの攻撃も
ふっとばしてふせぐよ。かばう技能もつかえるから。


森をこわすようなことはしないけど、ここの花畑は竜だけのもの。

だったら、それを焼きつくすことをわたしはためらわない。

オブリビオンの繁栄は世界の未来をこわしちゃうんだもの。


カイム・クローバー
引きこもりドラゴンか。ゴブリンの馬鹿騒ぎを黙って見てた事と言い引きこもりだけじゃなくて、根暗でもありそうだな。お花畑が友達ってか?美少女なら似合うだろーが、化物なら見た目的にもちょっとナシだぜ。
SPD判定で勝負。ユーベルコードと【フェイント】【二回攻撃】使用で死角から攻める。半径攻撃があるトコ見ると安全に背後を取り続けるってのは無理だろーが、元々正面から戦うタイプじゃないんでね、俺は。攻撃に対しては【見切り】で対処するぜ。
戦闘時、死角から俺が狙う部位は…翼だ。どうやら空も飛べる様子だしよ、空を滑空されたんじゃ俺としちゃ手が出しずらい。だから、せめてどっちか片方の翼だけは早めに切り捨てるぜ。


蘇芳・薊
理由はどうあれ眼の前にいる存在が討伐対象、ならば斬るのみです。

化身変生によって真の姿をお見せします、目立つ外見で敵の注意を引き囮になりましょう。
敵のフラワリングブレスは初撃を外せば当たらないとか、戦闘知識や見切りによって敵が攻撃の為の息を吐く所を察知し何としてもその一撃は外れる様に試みます。味方へ当たりそうならその方をかばう為押し倒すなり抱えて逃げるなりしましょう。

敵は自分の息吹で作り出した花畑の上では戦闘力が上がる様です、ですから雷の属性攻撃と範囲攻撃と破壊工作によってその花畑を駄目にしてしまいましょう。
私も本当は花を狩る様な真似はしたくありません、この行動も仕方無くしているだけですからね?



「はっ、引きこもりドラゴンか。ゴブリンの馬鹿騒ぎを黙って見てた事と言いそうやってただ見てる事といい……引きこもりだけじゃなくて、根暗でもありそうだな?」
 無様に傷つき巣を怖さされ、今はただ宙に浮かび様子を見続けるだけの竜へカイムは余裕の表情でダガーをチラつかせ、攻撃を誘う。
「俺としちゃ手が出しづらいしよ……ほら、戦ってみようぜ?」
 ……レイチェルと薊の方へちらりと目配せをしてから。カイムは竜の死角、腹部の下へと駆け込んだ。
「……!」
 竜はその行為に敵意を感じたのか、自らの前足の爪を1本折ると、殺傷能力を持つ無数の竜胆の花ビラへと変え、カイム達へと襲いかからせた!続き吹きかかる花の息吹、襲いかかる花のカッター。竜の猛攻は場をかき乱し、猟兵達を蹴散らしていく。
「あたってねえぜ! 引きこもりドラゴン!」
 カイムはその花吹雪を見切り、一歩、また一歩と引きつけ回避していく。その花びらは無数なれど、その花びらを操る気流の数はたかが知れている。大きな流れが見えれば、あとは小さな流れを見切るのみ。カイムは懐から投げナイフを取り出すと――。
「安くないんだから、喰らいやがれ!」
 空を斬る音と共に、竜へと放り投げる!ナイフは竜の翼をかすめ、迸った鮮血は崩れた岩場へと飛び散っていく。
「ちっ、流石に深くは無理だったか……でもよ、ゴブリンのよりはうまいんじゃねえの?」
 カイムが語りかけたのは竜では無く……その下。ドラゴンがその場所を見ると、そこでは薊が羽と、腹部の傷からこぼれ落ちた鮮血を浴び、刻印を最大出力で起動する準備を終わらせていた。
「別に強いオブリビオンの血であれば味が良いというわけではありませんが……なにはともあれ眼の前にいる存在が討伐対象、ならば理由がどうあれ斬るのみです」
 刻印を起動し、その真の姿を発動する薊。彼女の体は次第に内側から盛り上がり、全身が変生していく……それは正に魔術書に記されているような、巨大な山羊頭の悪魔を思わせるような姿。
 異形と化した薊は唸り声を挙げると吠え、野性の様に荒々しくドラゴンへと飛びかかる。竜は即座に全身全霊を込めた息吹を放ち、直進する薊を迎撃せんとするも、寸前の所でその悪魔は身を翻した。次に花の花弁が咲き乱れ、悪魔へと向かうも、それも流れるようにすり抜けていく。
 そこでドラゴンは、ならば悪魔の行動を先読みし息吹を浴びせてやろうと吹きかけるも、それも読まれ、更に悪魔は遠ざかってしまう。悪魔はこちらへ攻撃する素振りを見せながらも、その翼で取っ組みにかかる事はせず、ブレスのあたった花畑をただ雷で散らすだけ――。
 ハッタリだ。本能のまま襲うと見せかけているだけでこの悪魔には理性が残っている――竜はその事に気づくと出し抜かれたことに怒り、再び花吹雪を起こそうともう前足の爪を切断した。
 が。それはレイチェルの放ったパイロキネシスに弾かれ、ユーベルコードが炸裂する前に、逆に続く巨大な火の玉に粉砕されてしまう。
「ドラゴンさん、わたし達は一人じゃないんだよ?」
 直後、竜が放ったブレスから生い茂った花畑が竜の周囲のあちこちで破壊され、飛び散り、花びらと花粉が鉱山内へと飛散する。
「共生、っていうのかな。竜は花をそだてて、花は竜に力をあたえる」
 二人が時間を稼ぐ中、レイチェルは竜が新たに作り出した花畑を焼き払い、更なる力を得る事を阻止していたのであった。
 レイチェルは散った花畑があった場所を静かに眺め――怒り狂う竜へと向き直る。
「なら、どっちも敵だよね」
 直後、花畑の残骸から、そして弾いた爪の残骸からレイチェルの放った心の炎が集まり、彼女の頭上で一つとなった。
「ここの花畑は竜だけのもの。だったら、それを焼きつくすことをわたしはためらわない……だって」
 竜は再び大きく息を吸い、レイチェルへ向けてブレスを解き放つ! レイチェルは全ての念動力を込めると、敢えてその息吹をぶち破る様に火の玉を竜の口目掛けて突っ込ませた!
「オブリビオンの繁栄は世界の未来をこわしちゃうんだもの!」
 火球は息吹を真っ二つに斬り裂き、炸裂――牙が幾本か折れ、地面へとゆっくりと墜ちていく竜。
「……カイムさん、おねがいしますね」
「言われなくても、いただくぜ!」
 そして死角からその瞬間を待ちわびていたとばかりにカイムが堕ちた竜へと飛びかかると、その片翼を根本から切断した――。
 これでもう、竜は翔べない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


●片翼の花竜
 片翼は千切れ、前足の爪は歯抜けのように欠け、背と腹にはテラが開けた大きな傷口が開く。血が止まらず、竜の吐く荒い息からは今にも枯れそうな花が咲く。
 美しい物を愛でるという人と同じ心を持つものなれど相手は竜、そしてオブリビオン。これを放置して去るという事があらば再び竜は力を取り戻し、次は復讐として人類へ積極的な危害を加えるようになるであろう。
 さあ、猟兵達よ。このおぞましい竜へとどめを刺し。廃坑を元の静かな死の領域へと戻すのだ。
レイチェル・ケイトリン
きれいなのがすき……そういうのわたし、ほかにもしってるよ。

ダークセイヴァーの世界のヴァンパイアたちにも
そういうのがいっぱいいるもの。

そして……そのきれいなものがすきってきもちで
その世界のひとたちにどんなことしてるかもみてるよ。


……こっちもとんでもないよね。

まわりにゴブリンたちがいっぱいになるありさま。

そんなめいわくな「すき」なんてどうでもいいよ。


念動力と吹き飛ばしの技能でパイロキネシスをつかいつづけるの。

竜も竜の攻撃も竜の花もぜんぶ、ふっとばすよっ!


ダークセイヴァーの世界のひとたちみたいなかなしみとつらさ、
そんな思いをこの世界のひとたちにまでさせたくないの。

そのきもちがいまのわたしの心だもの。


カイム・クローバー
よっしゃ!これで飛べねーだろ!(グッと握り拳)そうなりゃ後は、俺の技の見せ所ってやつだ‼︎引き続き【フェイント】【二回攻撃】、ユーベルコードで引き込もり根暗ドラゴンに攻撃を仕掛ける!変わらず【ダッシュ】で正面からは仕掛けず、死角狙いで今度は致命の一撃になりそうな…心臓か頭を狙って行くぜ!攻撃に対しては【見切り】を使用。くたばりぞこないとはいえ、ドラゴンだ。攻撃を受けてこのイケメンの顔面に花が咲いたら大変だろ?
廃坑の引き込もりをぶっ倒しちまえば依頼終了になるんだよな?もうちっと探険したかったっつーのが本音だ。伝説の武器とか魔力を秘めた遺産とか…こういう場所じゃ、ロマンだろ?


ジロ・コルナゴ
奴がどんな思いで立ち塞がるのかは、ワシには分からん。じゃが、ワシが戦士であり、奴はオブリビオンである。ワシらが戦うのにそれ以上の理由は要らん。さて、決着をつけるとするかの。

手負いといえど、相手は竜。とどめを刺すための、好機が必要じゃな。ならばその好機、ワシが作ってくれる。

ワシのユーベルコードで、奴の首根っこ捕まえて、引き付けてやるぞい。首が無理なら、脚を狙う。ワシの【怪力】と、奴の力、どちらが上か、力比べといくかの!

ワシとて、竜相手に完全に勝てるとは思っておらん。じゃが、一瞬でも奴の注意を逸らせば、他の者の攻撃が決まりやすくなるはずじゃ。勿論、そのまま首をへし折れたらいう事はないがな。



「よっしゃ! これで飛べねーだろ!」
 カイムは翼を切り落され苦しがる竜への前へと着地すると、握りこぶしを竜へと向け、勝ち誇った笑みを見せる。
 だが、竜は決して敗北を悟った気配を見せず、こちらを睨みつけると――突如、再び生気あふれる花の息吹を吐き出した!
「いけない!」
 直後、レイチェルの念動力が操る炎が息吹へと激突――2つの力が炸裂し、辺りに花が咲き誇る。
「あやつ……」
 ジロが戦斧を構え花畑をなぎ払い、そして額に汗を流す。
「これほどまでの執念とは……奴がどんな思いで立ちふさがるのかは、ワシには分からん」
「きれいなのがすき……」「む?」
 パイロキネシスを浮かべ、じっと竜の瞳を見据えながら、レイチェルは呟く。
「ダークセイヴァーの世界のヴァンパイアたちにもそういうのがいっぱいいるの」
 そして、彼らがその『きれいなもの』の為に世界の人々にどれだけのことをして来たかも。レイチェルは静かに呟く。
「……こっちもとんでもないよね。まわりにゴブリンたちがいっぱいになるありさま。そんなめいわくな『すき」なんてどうでもいいよ。だから――」

「ぜんぶ、ふっとばすよっ!」
 直後、レイチェルの炸裂する心の炎の光が大きな竜の四肢で炸裂、竜は大きく怯み、息吹を在らぬ方向へと吐き出す。
「ああ、あの根暗ドラゴンをぶっ飛ばしてやるぜ!」
 カイムはその隙に竜の懐へ飛び交うと、ふっとんだ息吹から放たれる竜胆の花びらを翻し、胸に空いた傷口へと向かっていく。
「そうじゃな……ワシが戦士であり、奴はオブリビオンである。ワシらが戦うのにそれ以上の理由は要らん!」
 竜がカイムに気づき傷口を隠すべく動いたその瞬間、ジロは戦斧からオーラの投斧を生成し、ぶん投げた。オーラの投斧は手錠へと変わり、竜のその首に光で形成された鎖がかけられる。
「さて、ワシの怪力とお前さんの力、どちらが上か力比べと行くかの!」
 竜の首と繋がれた鎖を手にジロは走る、全てはやつに急所の腹の傷を見させるため。
「グ、グアアア……!」
 竜は苦しそうにその牽引に耐え、かふ、かふと荒らい息を吐く……。
「もう『きれいなもの』はみさせない。そんな『すき』はあげない」
 傷口にレイチェルのパイロキネシスが刺さり、腹の傷は開き、骨は焼け焦げ、肉は切り裂かれていく。
「お前さん!っ……――覚悟して決めろよ!」
 皆限界なのだ。確実に決める。素の口調が出てしまっているのにも気づかず必死に竜の力に耐えるジロに対し、全身全霊を使い全ての炎を細かく操作し攻撃を打ち消すレイチェルに対し、カイムは無言でダガーを取り出し……竜の急所へと一気に振り上げた!
「くたばりやがれ!」
 直後、竜は悲鳴を上げ、腹から大量の血が滝の様に溢れ出す。その瞬間、ジロは雄叫びを上げ、オーラの鎖が破壊されると同時に竜の首をへし折った。
 それでも尚何か一矢報いようと動く花竜に対し、レイチェルは自らの周囲に20の炎全てを集め、巨大な火の玉を作り、竜目掛けて放り投げ……。
「これで、おわり!」
 炎は竜を包み込み、焦がし、焼き切り――そして、塵一つ残さず消滅させた。

●いつか必ず
「……はなは、どこにもないね」
 廃坑に潜んでいた花竜は再び過去へと還っていった。戦いが終わり、数分後。猟兵達は目に見える範囲の花を調べ、丁寧にそれを潰していく。花はもはやユーベルコードを使わずともいともたやすく潰れ、散っていく。
「ちっ……もう帰らないと行けない時間なのか?」
 カイムは心底つまらなそうに舌打ちをした。
「もうちっと探検したかったぜ……伝説の武器とか魔力を秘めた遺産とか……人間の命を奪う魔石とか!」
「お前さん、ここは廃鉱山じゃぞ」
「……そんな迷惑な『いし』、もちかえれない」
 竜が倒れた今、廃坑内の花は数日もしない内に枯れ果てていくだろう。そしてこの廃鉱は再び、元の死の世界へと戻っていくのだ。
「お前さん、帰るぞい……こういう廃鉱には、何もないほうが良いのじゃ」
「そうかあ? ……なんかあった方がぜってーいいじゃん」
 廃鉱の出口から脱出し、帰路へつく猟兵達。最後に残っていたカイムは振り返り、何もなくなった地下空間と、その天井にぽっかりと空いた穴……そして自分達が乗ってきたトロッコを眺めていた。
「ま、過去を倒すってことはこういう事もあるか」
 栄枯盛衰。ゴブリンもドラゴンもいなくなった古びた金鉱は再び静けさを取り戻し、しばらくは魔物で騒がしくなるという事もなくなるだろう。
 カイムは振り返ると再び長い道へと戻り、地上へと急ぐのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月08日


挿絵イラスト