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バトルオブフラワーズ⑪〜風の呼ぶ声、彼女の祈り

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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 ウィンドゼファーはそっと顔を上げた。
 その顔は覆われていて、表情を読み取ることは出来ない。
「オブリビオンとして蘇った私達なら、無限大の欲望も喰らい尽くせるはず……」
 けれどもそこから漏れる声は、ウィンドゼファーが女性であることをうかがわせた。静かに。だが決して己の意思を曲げない。そんな強さをこめた声であった。
「私達は全てを手に入れる。この革命は、成功させてみせる。誰にも、邪魔は、させないッ!」


 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は目を眇めたまま黙り込んだ。言葉を選ぶような沈黙のあとで、控えめな一言をポツリ、と漏らした。曰く。
「印象が違う」
 おそらくは、見た目特徴と口調のことを言っているのであろうか。怪人ってそんなものなのかな。と、悩むような間のあとで、リュカはまあ、いいやとそのまま話を始めた。
「とにかく、ドン・オブ・フリーダムを守る門番の、ようやく三人目が現れたみたいだ。戦い続きで疲れている人も多いだろうけれど、気をつけていってきてほしい」
 そう言いながら、リュカは手帳を開く。一枚、二枚。少し、悩むようなまでページ二つの間を指がさまよい、そうして一枚を選んで引きちぎって一同の前に差し出した。
「もう知っているかもしれないけれど、それがその門番。ウィンドゼファーの姿だ。彼女は……風を操る能力で戦う」
 前二人の門番とは違い、純粋に風を操り、そしてそのスピードで勝負を仕掛けてくるのだと、リュカはそういった。
「ほうっておくと確実に先制攻撃を食らうから、何かしらそこは対処をしてほしい。シンプルだけど……その分強敵だから。多分、まともに食らえばただじゃすまない」
 最悪一撃で倒されてしまう可能性もあるだろう。と、リュカは若干渋い顔で額に手を当てて、
「大変だと思うけれど……これが終われば、戦いもいよいよ大詰めだから。気をつけていってきてほしい。当たり前だけど、無理は厳禁。命は大事にね」
 それが一番大切なことだとリュカは言う。そうして、話を締めくくった。


ふじもりみきや
 いつもお世話になり、ありがとうございます。
 ふじもりみきやです。

●お知らせ
====================
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
====================

●運営シナリオ数について
 運営シナリオ数に制限はありません。戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。

●ふじもりのお知らせ
 ちょっとリアルの予定が安定しません。
 早めに閉めるかもしれませんし、閉めないかもしれません。告知はしません。
 もしかしたら時間切れでお断りすることもあるかもしれません。
 二回ぐらいゼファーは書きたいと思っておりますので、もし今回間に合わなかった場合でも、お気持ちお変わりなければまた参加していただければ幸いです。

「私の願いで誰かが犠牲になるならば、その屍に剣を突き立ててでも私は前に進んでいく!」
 そういうやつです。たぶん。
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

霑国・永一
(「印象が違う」かぁ。全く同意だねぇ)
怪人は本当に色んな意味で予想が出来ないもんだ。
さて、無限大の欲望とやらを奪うらしいね。俺もシーフらしい欲望はあるけど、盗ませやしないよ?

狂気の速刃を発動。
【ダッシュ・逃げ足】で花の足場から可能な範囲で距離を取り、相手の暴風を【見切り】、なるべく暴風の風速を狂気の速刃で盗み続ける。【盗み・盗み攻撃】
十分な速度を得られたら、相手の攻撃が止むと共に盗んだ速度で高速接近し斬りかかり、刻み続ける。
攻めてる間も相手の速度は盗み続ける
余裕あれば攻撃の最中に盗み攻撃で車輪剣も奪って破壊or遠くへ捨てる
拾いに行くようなら追撃
「逆に君の欲望も速度も全て俺が盗ませて貰おうか」


伊織・あやめ
世界を革命するって決意の空耳を聞いた気がするの

嗤う竜巻ってなんだか腹立つ名前
【第六感】で攻撃が来る方向を見定めて【見切り】【武器受け】で防御
押されっぱなしじゃ負けちゃうから
【フェイント】をかけて【捨て身の一撃】でUC【剣術・退紅】
「この一撃にすべてを賭ける!」
一撃でも刺さればいい
あたしにできるのはたぶん、そのくらいだから

革命って一人でするものじゃないんだよ
あなた一人で屍を築いたって誰もついてこない

あたし、それが言いたくて、ここまで来たんだと思うの

アドリブなど歓迎です


塩崎・曲人
クッソ速いしクッソ強ぇ
こりゃ長くは持たないな
こちとらただの人間だぞ?

【先制対策】
敵は先制で足場ごとぶっ壊す攻撃をしてくる…
ならこっちは攻撃に合わせ地を蹴って、あえて風に逆らわず奴から離れる
それでもかなりダメージもらうだろうが
後数秒…自分のUCを発動する時間だけ意識が有れば良い、と予め【覚悟】しておく

【反撃】
足場が崩れてるので落下しながらになるだろうが【睨撃粒子砲】をかます
こいつの最大の利点は首から無事ならどんな体勢でも放てることさ(【捨て身の一撃】)
質問は…足止めに徹せられる武人っぽい感じ…なら
『ドン・フリーダムの正体と弱点教えろコラァ!』でどうだ?
質問さえ通ればオレの勝ちだぜ

【アドリブ歓迎】


アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴ(f00669)と一緒】
速度では到底かなわない相手ということだネ
なるほど、計算はできた
こちらも無傷というわけにはいきそうもない
それならできる限りのことをしよう

「敵の右手の攻撃は僕が受け流す。ソヨゴは左手の攻撃をなんとかして!」
呼吸合わせて。
一人ではどうにもならなくても二人ならなんとかできるはず

ウロボロスの大鎌をどこからともなく取り出し
UC展開
ソヨゴの左側に立ち
UCを敵からの攻撃を防御する方向で使用
つまり敵の攻撃を拘束する
ただしUCで受け切れるとは想定していない
これは保険

敵からの右手の攻撃は集中して大鎌で受け流す
左手の攻撃はソヨゴに任せる
けど、UCがソヨゴが危なくなった時に割り込ませる


グィー・フォーサイス
女性なんだ
ケットシー並に性別が分かりづらそうだね
革命ってなんだろう。気になるな

風使いのようだからすぐには近づかない
まずは暴風の範囲外に居ることを心掛けるよ
僕、逃げ足は早いほうなんだ
危ないと尻尾の毛がブワってなっちゃうよ
ぴぃっと笛を吹いてライオンくんを呼んでライド
バラバラになった足場を地形利用
盾にして目立たないように移動して彼女に接近してみよう
いけるかな、ライオンくん
大型犬サイズのライオンくんだけど、小回りは効くよね
近付けたらバリっといっしょに引っ掻こう!

もし一緒に仲間が居たら、協力して戦うよ
息を合わせるの、大事だよね
エレメンタル・ファンタジアで春の風を喚んで
攻撃を相殺は無理でも軽減出来るように


城島・冬青
【アヤネさん(f00432)と行動】
…やばいくらいガチな相手ですね

先制攻撃には【ダッシュ】で回避するか
【残像】を用いて相手の攻撃方向を狂わせるように仕向けてみます
それでも無理なら…えーい!ダメージ上等!!【武器受け】で受け止める!
でもせめて少しでも被弾のダメージを減らせるよう努めます
先制攻撃を凌いだら【血統覚醒】を使用し
こちらも戦闘力を上げて斬りかかり
アヤネさんと連携してゼファーに攻撃
了解です!左手の方は任せて下さい!!

アヤネさんが危険な時はゼファーに向かって【衝撃波】を放ち此方に注意を向けます
余裕がありますね!こっちはまだピンピンしてるんですけど?

アヤネさんに後で滅茶苦茶怒られるのは覚悟する


エンジ・カラカ
賢い君、賢い君、アイツをやらなきゃいけないみたいダ。
どーする、どーしよ?

敵サンの先制攻撃には見切りとそれから味方に当たらないように初期配置は孤立しておく。
攻撃がコチラに来たら賢い君のアカイイトを張り巡らせて
そのまま拘束してしまおう。

攻撃が全て当たらなくてもイイ。味方が攻撃を当てやすいように誘き寄せを使いつつコレが立ち回る。

属性攻撃は賢い君の毒。
風なのだろう?コレも風と同じくらい速く走れるサ
だって狼だからネェ。

巻き込む攻撃は厄介ダ。
ならば美方を巻き込まない程度に、ケド攻撃が当たる位置に居る。
強いヤツと遊ぶのは楽しいネェ……。


ラモート・レーパー
「不味そうだけど……狩って食べる!」
[常夜の世界]で戦場を夜に変えて挑むよ。
序盤は[水先の灯り]を身につけて戦場を駆け回り、逃げに徹するよ。
中盤は[猟犬の魔笛]でUC【ナイトハウンズ】【デュラハン】を発動し[水先の灯り]をデュラハンに預け、ナイトハウンズにはひたすら吠えさせて最大限相手に自分の居場所が分からないようにさせる。その間に僕は[肉体の冥界]から大紅蓮地獄の冷気を吐き出して戦場を凍らせていくよ。自分が凍りそうになったら灼熱地獄の熱気を吐き出して溶かすけどね。
終盤寒さで敵の動きが鈍くなったら僕の髪で縛り上げたあとそのまま凍らせるよ。それで相手を倒せたらそのまま食べる!



●風
 ゼファーは己の手を握り締める。
 それはまるで、その剣の感触を確かめているかのように見えた。
(「印象が違う」かぁ。全く同意だねぇ)
 その仕草に内心。霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)は心の中で声をかけた。怪人は本当に色んな意味で予想が出来ないもんだ。とは口の中だ。同じことを考えたのであろうか。伊織・あやめ(うつせみの・f15726)が哀悼に手を駆け、ほんの少し力をこめた。
「世界を革命するって決意の空耳を聞いた気がするの」
「革命? 革命ってなんだろう。気になるな」
 グィー・フォーサイス(風のあしおと・f00789)が、ふさふさと耳を揺らせてつぶやくと、あやめはどこか、苦々しいとも取れる表情でそうだね。と、その言葉を確かめるように口の中で呟いた。
「きっと、……きっと碌でもないことですよ」
「ろくでもないこと」
「そう。だからね、あたしは……」
 革命。勿論、その言葉の意味がろくでもないわけではない。
 けれども。あやめはゼファーの革命の意味を、きっと真に理解はしていないのだけれど。
 それでも……、
「あたしは……」
 胸の上に手を置くあやめを、グィーはじっと見つめる。まあるい瞳で、しばらくの間考え込んで、
「わかった」
「え?」
「君には、とても大切な、届けたい思いがあるんだね。だったら、僕も手伝うよ。僕、逃げ足は早いほうなんだ」
 そういって、グィーは片目を瞑る。
「戦場であろうとも、そこに届けたいものがあるのなら。御用とあらば駆けつけます」
「……話はまとまった?」
 任せて、と親指立てるグィー。そのタイミングを見計らって、永一は声をかけた。永一はダガーを手の中で弄ぶ。
「一緒に、というのも少し違うけれど、仕掛けるなら同時に仕掛けよう」
 言って、永一はそこ次の言葉を飲み込んだ。ゼファーは強敵だ。自分ひとりで正面からぶつかるよりも、誰かと手を結んだほうが有利だと永一はそう判断する。……もっとも、
「そうだね、一緒にいこう!」
 そういって、グィーも笑顔で頷いた。……いざとなったら彼女らに気を取られている隙に、接近しようと考えている永一にとって、その笑顔は若干眩しいものであったことは否めない。といっても、自分のやり方を変えるつもりはないけれど、
「ああ。そうだね。よろしくお願いする」
 丁寧に永一は応じて、口の中で小さく呟いた。
「今日もいい天気だ、盗みに行こう/「雨でも同じだろ」」
 頭の中の別人格が、笑った気がした。

「賢い君、賢い君、アイツをやらなきゃいけないみたいダ。どーする、どーしよ?」
 まったくもって口調とは裏腹に。どこか楽しげにエンジ・カラカ(六月・f06959)は呟いた。戦いは既に始まっていて、目の前では既にありえない速度の戦いが広がっている。
「ああ。クッソ速いしクッソ強ぇ。こりゃ長くは持たないな。こちとらただの人間だぞ?」
 塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)も、それを見て本当にいやそうに顔をしかめていた。愛用のチェーンをくるくると指先で弄んで、「ていうかあの中に突っ込むの? オレが? マジで?」なんて冗談のような本気のような独り言をいっている。
「うん。強そうで、不味そうだけど……狩って食べる! 頑張る!」
 ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)もまた、夜を纏って地を蹴った。
 三人はそれなりに離れた場所に陣取って。それぞれ機会をうかがっているところであった。別段、連携するつもりはなかったけれども……。だけど、
「食べる? 食べるって何だ? 食べれっか? あれ。まあでも」
 先ずは走り出したラモートに曲人はがり、と軽く頭を掻いた。仲間が走り出したのだ。自分も走り出さねばなるまい。
「クッソ、こんな相手、割にあわねぇな。……ほんとマジで、帰りてぇ」
 行ってることはただのチンピラ同然である。しかしその言葉とは待ったく真逆の意思を、曲人はその目に映し出していた。言うなり、走り出す曲人方向はラモートとまったく違う方向であった。
「えー。あのこがこっち、あのこがあっち。じゃあ、ねえ。賢い君。俺たちはどっちにしようかァ?」
 エンジはそう言いながらも拷問具の赤い糸を翻す。答えはすでにわかっていた。二人がゼファーから遠ざかる用に走り出したから、だから……、
「あァ。解っているさァ。……正面だ」
 エンジも走り出した。まっすぐに、ゼファーへと向かって。

「……よし」
 一方。
 アヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)はそんな言葉と共に顔を上げた。
「なるほど、計算はできた。速度では到底かなわない相手ということだネ」
「はい。……やばいくらいガチな相手ですね」
 城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)もいつもとは違った引き締まった表情で、己の刀の上に手を置く。
「まあ、なんとかしよう」
「はい、なんとかしましょう」
(こちらも無傷というわけにはいきそうもない。それならできる限りのことをしよう……)
(アヤネさんには怒られるかもしれないけれど……例え何があっても、アヤネさんは私が守ります!!)
 内心、最後の心は表には出さない。
 きっと、出さずとも届いていたかもしれないけれども。
 けれども、それをお互いに出さずに、二人もまた走り出した。


●接近
「やああ!」
 声が上がる。それより先に、ゼファーもまた敵の接近に気づいていた。
「来ましたか!」
「そう、きたよ!!」
 あやめは叫んだ。力の限り叫んで一瞬で飛びのいた。高速で回転する車輪とも取れぬ剣があやめの頬を掠める。
「嗤う竜巻ってなんだか腹立つ名前!」
「……」
 その様子を、グィーが静かに離れたところから見守っている。笛を吹いてライオンを呼ぶとそれに乗る。既に尻尾の毛は危ないと、ぶわっと逆立っていて。けれどもけれども、
「いけるかな、ライオンくん。いけるよね……」
 言うと、ライオン君は小さくうなずいたようだった。
「うん……いこうっ」
 小さく呟いて、グィーのライオンも走り出す。すぐさまそれを予想していたかのように、グィーたちの足元が崩れ始める。
「大丈夫、慎重に、慎重に……」
 慎重に。あやめが思いを届けるための、その隙を作る。だから今は……。と、グィーは足場を逆に利用して、目立たないように隠れながら進んでいく。
「ああ。彼女たちは無限大の欲望とやらを奪うらしいね。俺もシーフらしい欲望はあるけど、盗ませやしないよ?」
 言って、永一もスタートした。足場からなるべくグィーとは違う方向に飛んで、距離をとりながらも暴風を見切り、そしてその風に負けじとダガーを投げつける。
 ダガーはゼファーにはいまだ当たらない。暴風が阻んでいて届かない。
 しかし、永一にはわかる。その暴風を、永一は盗み己の速さとして身に着けていっている。
 今は任せるしかないが、必ず糸口が見えるはずだと、永一も心の中で呟いた。
「まあ、このままあのこが盾になってくれるならそのほうが楽だけれどな」
 不意に漏れた別人格の言葉に永一は深い下に目を細めながらも、しかしながら否定することもなく、着実にゼファーとの距離をつめていった。


 足場が崩れていく。暴風が衝撃を伴って降り注いでいく。
「集え!咎人を追い回し、厄災を吠え、血肉を喰らうモノ達よ。『』の名において今宵の狩りを始めよう」
 ラモートは走り回りながらも、地獄の猟犬を呼び出した。猟犬の吼え声が周囲に響く。そして同時にデュラハンにランタンを預けて走らせる。あたかも違う場所にいるかのように装って、ラモートは己はそれらから離れるように、崩れ落ちる足場の上を移動した。
「少しでも……凍らせられたらいいよね☆」
 冷気を吐き出して生き、ラモートはゼファーの周囲を凍らせようとする。出来れば完全に動けなくさせたいところ、であったが、
「……!」
 暴風がラモートに襲い掛かる。狙い打ったものではない。何とかそれを姿勢を低くしてラモートは受け流す。
「んー。そうだよね☆……でも」
 風が冷気を流していく。思ったほど効果はでないかもしれない。けれど、続けていれば少しでも弱らせることができるだろう。

「く……っ」
 エンジの体が悲鳴を上げる。その攻撃が、来るとわかっていてエンジは対処していなかった。……いや、
「大丈夫。大丈夫さァ、賢い君」
 体勢を崩しながらも、エンジは必死で糸を繰る。
 赤い糸がからめとり、ゼファーの動きを鈍らせている。
「さすがに、このまま拘束は、されてくれないかなァ」
「おい、大丈夫か!?」
 思わず、曲人は声を上げる。彼が正面に立っていたおかげで、自分はまだ余力がある。思わず足が向きかけた曲人を、エンジが片手で止めた。
 傷だらけになりながらも、エンジは一歩踏み出す。唯彼は、決定的な瞬間を狙っていた。
「あァ。あァ。風なのだろう? コレも風と同じくらい速く走れるサ。だって狼だからネェ」
 仲間が攻撃を仕掛ける。その瞬間を。傷だらけになりながら、エンジはその一瞬をねらい定めるように伺っている。
 それを心配そうに見ながらも、曲人は走っていく。吹きすさぶ暴風は、正面きって挑むエンジのほうを狙ってはいるけれども、曲人の方がまったくノーマークと言うわけでもない。
 なんとか、風に逆らわず。ゼファーからはなれて距離をとりながら。覚悟を決めるだけで精一杯だった。
 風が内臓を圧迫していく。足が鋼で殴りつけるように打たれる。
 どこまで。いつまで。耐えればいい。どの瞬間に反撃をすればいい。
 終わるのか。終わらせられるのか。唯永遠のように感じるその時間は、本当なら一瞬だったのだろうけれども。
「クッソこちとらただの人間だぞ? あんなの反則だっての」
 先ほどのせりふと同じようなことを、曲人は呟いた。
 ほんの少しだけ、人間である自分を誇るかのように。
 そうして曲人は覚悟を決める。
 数秒後だけでいい。一瞬だけでいい。そのあとは倒れて構わない。
 それは……それは。
 ちらりと、遠くにいるエンジの姿を見ると、エンジも傷だらけで。おかしげに笑っていた。
 同じような気持ちだ。
 そんな人の気持ちが寄り集まれば、きっと反則級の怪人にも届くだろう。
「……うわ、なんかオレ今くっせぇ台詞考えた」
 風で己の骨のどこかが砕けるような音を聞きながら、
 まあ、そういうのも悪くないかと。曲人は笑った。

「敵の右手の攻撃は僕が受け流す。ソヨゴは左手の攻撃をなんとかして!」
 風が走る。不快な剣が音を立ててアヤネに向かう。
「! UDC形式名称【ウロボロス】術式起動。かの者の自由を奪え!」
「了解です! 左手の方は任せて下さい!! でええええええええええい!!!!!」
 二人が走ると同時にゼファーの剣もまた走る。両手に握られた不快な音を立てる車輪のような剣が、それこそ風のように振り回される。
「! まだまだ!」
 アヤネも己の影から呼び出した触手による拘束と同時に、己の大鎌も取り出してギリギリで受け流す。
「えーい! ダメージ上等!! 私の力で、受け止めます!!!」
 冬青もまた、花髑髏を用いてそれを捌く。勿論、二人とも捌ききれるものではない。ギリギリ致命傷を受け流し、その剣がかすっただけで、二人の体には着実に傷が刻まれていく。
「ああ!」
 二人よりも少し前に、ゼファーに切りかかっていた少女の、あやめの体がはじけた、暴風の一撃で吹き飛ばされるのを見やり、冬青はアヤネから少しだけ距離をとる。
「大丈夫!」
 即座に返る、無事との声。安心して冬青はひとつ息をついて、
「少しだけ、二人で押さえましょう、アヤネさん!」
「ああ!」
 アヤネに声をかけると、アヤネも頷いて前に出た。……もっとも、
「危ないことだけは、どうか、しないでくれよ……」
「はい、大丈夫です!」
「!?」
 心の声のつもりが思わず駄々漏れていた。思いのほか力強い返事に、アヤネはうん、頼もしいと。冗談めかして笑うのが精一杯であった。

●彼女の祈り
「いまだね♪」
 その間を縫うように、ラモートがかけた。ゼファーが刃を振るう、その刃を己の髪でラモートは防ぐ。そのまま刃にか身を絡めつけて、
「さあ……食べるよ!」
「!」
 そのまま凍らせるような一撃を、ラモートは放った。
「私は、食べても美味しくありませんよ」
 しかし、それをゼファーもダイアモードで受け止める。追撃を行う前に、ラモートは即座に離脱していた。ラモートの冷気が、それだけの時間を作り出していた。
「……っ、にしても、早すぎるだろ!」
 それを見届けてから、曲人が叫ぶ。今だ。と。全力で己の視線に力をこめた。
「テメェオレの質問に答えてもらうぜ! ドン・フリーダムの正体と弱点教えろコラァ!」
 全力で。虫は絶対に許さぬ気迫をもって。
 曲人は叫んだ。
 体調は酷いものであった。
 そもそも足が動かない。
 腕もなんだか変な方向に曲がっていた。
 体の内部が風に押されて、悲鳴を上げているのが自分でも解っている。
 ああ、本当に情けない姿であると言えるだろう。
 けれども、その目だけはまだ潰えていない。
 首から上が無事であれば、曲人にとってそれでいい!
「何を……!」
 ゼファーが声を上げる。足止めに徹していた武人のような彼女なら、この質問には絶対に答えられない。
 曲人はそれを解っていた。
「!!」
 果たして、それは正しかった。見えざる刃がゼファーの体を切り裂く。
「どうだ!! 勝ったぞ……!」
「は……っ。その程度で勝ち誇られても困ります」
「いいやオレは勝ち逃げするぜ!」
 言って、
 曲人はどうと倒れた。体はとうに限界だった。

「弱ってきているな……! 一気に畳み掛けるよ!」
「は、はい……!」
 仲間たちの攻撃もあり、ゼファーの動きは徐々にその速さをなくしていっていた。
 いける。……これなら。言いかけた。ところで、
 アヤネは冬青の声の違和感に気づいた。
「ソヨゴ……!」
「大丈夫です、まだ、戦えます! 余裕がありますね! こっちはまだピンピンしてるんですけど?」
 わざと挑発するような言葉を繰り返しながら、冬青はゼファーの前に立ち続ける。既にその体は傷だらけであった。
「そんな……そんなわけないだろう! ウロボロス……!」
「だめです! それは、アヤネさんを守るための盾です!」
 触手を向けようとするアヤネを、冬青は拒否した。アヤネだってわかっていた。触手を使って、攻撃を捌くのに精一杯なのだ。それを失えば、自分も傷を往古とは確実で。でも……、
「あ……っ!」
 迷うその一瞬。手元が鈍る。それを許すほど、ゼファーは優しくはなかった。
「来るな!!」
 刃が、アヤネの体に沈む。助けに来ようとしていた冬青をアヤネは制す。肩口からぱっくり避けた傷は、おびただしい血をアヤネに流させた。
「覚悟がないものは、戦場に立ってはいけない」
 ゼファーの、淡々とした声に、アヤネは唇を噛む。
「覚悟!? 覚悟なんて……」
「私は、私の大切なものも全て薪にくべる覚悟で戦っている」
「……!」
「私は、何があっても、前に進む」
「それ……は」
「そんな覚悟は……もてません!」
 思わず、冬青が叫んで。
 花髑髏を構えた。
「そんな覚悟がなくたって、私たちは……戦います。戦えます!」
「よせ……!」
「アヤネさん!!」
 傷だらけの手で、冬青は花髑髏を構える。
 その声に促されるように、アヤネもウロボロスの大鎌を構えた。
「どちらにせよ……勝ったほうが、正しい」
 ゼファーももう一度剣を構えた。
「一人ではどうにもならなくても二人ならなんとかできるはず……か!」
「そういう……ことです!!」
 冬青の刀と、アヤネの鎌が同時に振るわれる。
 ゼファーの剣も、耳障りな音を立てて吼えた。
 ゼファーの胸を二人の刃が貫く。そして……、
 ゼファーの刃に貫かれて、二人も音を立てて倒れた。

 ゼファーの体から血が落ちる。
「今か「今だな」」
 永一は走る。別人格と思考が一致したことの若干の居心地の悪さを感じながらも高速で接近する。
「逆に君の欲望も速度も全て……俺が盗ませて貰おうか」
「……吼える、ね」
 どこか淡々としたゼファーの言葉。車輪剣が永一に振るわれる。それを紙一重のところでよける。あんな物騒なものを受け止めるわけには行かない。絶対ダガー折れるし。勿体無いし。よけながらもギリギリのところで反撃を続けていけるのは、彼女の速度を際限なく盗んでいるからだ。
 叶うことならもっと、もっと盗んで。その早くなりたいという気持ちすらいただいて、もっと……。
「……っ」
 しかしそれは叶わない。単純にこれ以上盗み続ける時間を稼ぐことが出来ない。……それでも、
「こっちだっ」
「貴方も早くなった……。けれどもまだ、足りない!」
 不快な声のように剣が唸って、永一の体を切り裂く。
「は……っ。さす、がに」
 腕が真っ赤に染まって、ギリギリ切断される前に引いた。けれどもゼファーは容赦なくもう一方の剣を永一へと振り下ろす。……その、一瞬前、
「ライオンくん! いまだよ! いっしょに引っ掻こう!」
 グィーが飛び込んだ。永一を庇うように、その体を吹き飛ばすように、ライオンと一緒に突撃する。
「……っ、そこ!」
 永一の首を刎ねようと動いた剣が、即座にグィーへと動きを変えた。グィーのわき腹を不快な声のような剣が通過する。ギリギリ、よけることもできた。けれども、よけなかったのは、
「届けるよ……。届けるって、約束したんだ!」
 ふさふさした体に痛みが走って、ライオンの体のうえに血が滴っていく。それでもそのままグィーは春の風を呼び起こす。色鮮やかな緑を思わせる風が、ゼファーの視界に爆ぜた。
「だから……」
「はあああああああ!」
 あやめの刃が、走った。一閃すれば紫の軌跡が描かれ、嵐を巻き起こす。千紫万紅、戦場で咲き誇る。そんな……紫嵐、と、共に。
 もはやゼファーには受け止められない。あやめは力強くその刀を一閃させる。それを見届けて、良かった。とグィーは口の中で小さく呟き微笑んだ。
「革命って一人でするものじゃないんだよ。あなた一人で屍を築いたって誰もついてこない!!」
「そんなことは、やってみないとわからない! 踏みしめた屍のあとに、どんな花が咲くかなんて、そんなことは誰にもわからない!!」
「この、わからずや!」
「貴方たちもたいがい石頭だ!! 私は、私たちは、己が正しいと信じたことを、行う!」
 ダイアモードが高々とあざけるような音を立てる。
「「黙れ!!」」
 叫びは、何故か双方から出た。あやめは己の握り締める紫嵐に思いをこめて。そして、
「ひふみよ いむなや こともちろらね……」
 万感の意をこめて。あやめは己の刃の切っ先に呪術を纏い。
「邪魔するなら、誰であっても、殺してみせる」
 ゼファーはそれをようやく引き戻した己の剣で迎え撃ち……、
「……!」
 しかしその剣が、いつの間にか何かに絡め取られていた。
「賢い君、賢い君、今日は一段と、賢いなァ……」
「この……!」
 エンジが、ゼファーのその剣をもう一度、引き寄せて封じ込めていた。とっさに振りほどくように刃が振られる。
「は……っ強いヤツと遊ぶのは楽しいネェ……」
 胸が切り裂かれる。ぱっと鮮血が噴き出して、エンジはよろめく。しかしその瞬間には、
「この一撃にすべてを賭ける!」
 あやめの一撃が。その今なお他人の血を撒き散らし続ける腕を深々と切り裂いていた。
「……、っ……!」
「あたしに出来るのは、これくらい。……でも。あなたは、あたしたちには勝てない」
 わかる? と。
 あやめは唯、微笑んだ。
「あたし、それが言いたくて、ここまで来たんだと思うの」
 そして、あやめもその場所に崩れ落ちる。
 刃は容赦なくと、彼女の腹を貫いていた。
 止めを誘うとした彼女や、他の仲間たちの姿がゼファーの前から消えうせる。
「……盗人」
「お褒めの言葉、どうもだね」
 永一が、両手を真っ赤に染めながら、ゼファーから仲間たちを盗み出していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

レガルタ・シャトーモーグ
先制攻撃か…
流石に厄介だな…

先制攻撃が来ると【第六感】で感じたら、【見切り】で【残像】と入れ替わる
足場は翼で飛翔すれば崩れようと関係無い
飛んだ所を狙い撃ちにされない様に高速でゼファーの周囲を飛んで注意を反らす

成る程、流石は速さを得意とするだけある
だが、それは此方も同じ

小柄な体格を生かし、風圧を受ける面積を最小限にして攻撃を凌いだら
「咎力封じ」でその技、絶たせて貰う
外れたら、再度距離を取り隙を見て再度
入ったらそのまま背後に回って【暗殺】

貴様は強いが…、どんな手を使ってでも必ず貴様は殺す
暗殺者としての意地、見せてやる…!


フルム・サーブル
何故だかはわからないけど…悲しいひとだ
そんなに速くなって、どうしたかったのかな

荒れ狂う暴風への対応は、残像で幻惑を行いつつ
近づいて来たところを狙って怪力・カウンターでシールドバッシュ
最悪防げなくとも今回は【不屈の妖精さん】が目的なので善しとするよ
僕が瀕死になれば戦力が増える

誰よりも速くなりたいという欲望に対しては
催眠術で「僕(or召喚された妖精)を倒したい」という欲望へすり替えてゆく
君は、僕たちが持つこの宝石を奪いたくなる……!

攻撃手段は格闘…グラップルしかないけれど、掴んで敵の速度を落とすことを意識して
そこを単純に、豪快に殴ってゆくよ


両角・式夜
よいぞ、詰まるところの強敵では無いか!

いや笑える状況では無いがこれが笑わずに居られるか?
そうだ、理想などわしの後から着いてくるし、他の者がもっとマシな理想を持ってくる
葛藤など知るか!
勝った方が正義とは、判りやすくて大変よいな!!


相手が自分と同じだけの力を使うならば、わしの場合はそれよりも上の力で捩じ伏せる必要が有りそうだな。

鍔迫り合いになるのであれば【怪力】で押し、【戦闘知識】でどの角度ならば押し切り易いか見極めて打ち込もう
前もって【力溜め】して怪力を発揮しやすくするのもよいな
スピードが無いのが厳しいが、鍔迫り合いで受けるのが難しければ【激痛耐性】で一刀耐えてからの【カウンター】で返すのも手か


ユエイン・リュンコイス
速度勝負、か。避けるよりも受けを狙うべきかな。

相手は暴風を纏って攻めかかって来る。なら、それをどうにかすべきだろうね。
相手の攻撃に対し、引きつけてから『焔刃煉獄』と【絶対昇華の鉄拳】を足元の地面へ叩き込もう。『月墜』の砲弾を加えても良いかもね。
普通にやっても避けられる公算が高い。なら地面目掛けて放ち、その熱量を周囲全てに拡散させる。
瞬時に発生した熱気による、気流の撹乱が狙いだよ。
攻撃後は、爆煙に紛れて格闘戦を仕掛けよう。一撃でも良いから叩き込む。


革命ね。誰も今が嫌だと、変えて欲しいと叫んでいる訳じゃない。
何かを成すのに犠牲は付き物だけどね…初めからそれを前提とするのは、単なる怠慢でしかないよ。


五百雀・斗真
ゼファーは尋常じゃない早さで戦うんだね…
となると回避はかなり難しそうだし
UDCの大田さんの触手を盾代わりにして防いだ方がいいかもしれない
ごめんね、大田さん
痛いと思うけれど守りの方をよろしくね
僕もしっかりゼファーの戦い方を見ておこう…

初撃を防ぎ追撃がきたら【コードキャンセル】を発動
事前にゼファーの攻撃を見てるから
上手くいくことを願いつつ彼女の猛攻を打ち消してみる

彼女の方が格上なので、押し切られるかもしれないけれど…諦めず
対峙しながらも、心臓部に埋め込まれた黒雫で大田さんに魔力を送り
強化した触手で攻撃を弾く手数を増やして、少しでも隙を作り
鎧を砕く勢いでなぎ払い攻撃ができないか試みたい

※アドリブ歓迎


火狸・さつま
コノf03130と


対峙後瞬時に『野生の勘・第六感』
敵の狙いや動き『見切り』れば
即座にコノ護るよう敵との間に割って入り『かばう』
風遮断すべく盾の様に『オーラ防御』を『早業』展開
御しきれぬのは『激痛耐性』で凌ぐ
体動けば其れで善し

基本、コノが戦いやすいよう考慮し防御・援護を優先
直感と見切り頼りに瞬時判断
声掛けるも引き寄せるも共に躱すがベスト
最悪相方が躱せるなら善し
でなければ盾となり『かばう』

攻撃は敵の注意を惹く為
コノの手助けとなるように
敵周辺を逃げる隙間なくすように
もしくは目眩ましになるよう
出来るだけ広範囲へ『範囲攻撃』雷火【粉砕】

コノが反撃受けぬよう
タイミング合わせ雷火『援護射撃』
飛翔も撃ち落とす


コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と

頼んだヨ、とは心の内で

即座、相方を盾にし立ち暴風と敵視界を避け
注意深く敵の軌道を『見切り』動き予測
負傷は戦闘続行できさえすれば気にせず『激痛耐性』で凌ぎ
受けた傷の血を「柘榴」に与えておこうか

予測した敵の死角或は背後を狙い『高速詠唱』からの『カウンター』で【紅牙】発動
牙と化した刃で力任せに斬りつけ
即座に『2回攻撃』で『傷口をえぐる』よう喰らう

と、そう同じ手は効かねぇよネ
『オーラ防御』と相方の援護で耐え躱しつつも、敵の隙は逃さない
攻撃食らうンは相方もよく思わナイだろうケド
それもチャンスと『捨て身の一撃』で返し『生命力吸収』で追い打ち

盾が在るからこそ、できる事もあるってネ



●作戦
(頼んだヨ)
(わか、った)
 口には出さないが、何をいっているのかは互いに解っていて、さつまは地を蹴った。
「いく、ぞ。」
「何人来ようと……同じことです」
 ゼファーが視界に入ると同時に、さつまはその動きを限界まで見つめて目で追う。その動きを。狙うときの目線を。野生の勘や第六感も交えて全力で追いかける。
 同時にコノハも前を見据える。手にしていた柘榴と銘打たれたナイフを握り締める。その間にも、
 ゼファーが動いていた。
「は……っ!」
 けたたましく笑う車輪剣の音。
 ギリギリのところでさつまはそれの動きを追いかける。
「ついて、来られるか……!」
「どう、だろうな……!」
 声と共にゼファーの速度が上がっていく。早く、誰よりも早く。
 何とかさつまは、それに動きを合わせる。コノハを庇うように前に立つ。
「けれども、ここは……通さない!」
 蛮刀が主の思いに応えて走る。それは例えゼファーに届くこと叶わなくともオーラを纏い、その防御技で少しでも攻撃を相殺していく。
 殺しきれない攻撃が腕を抉る。肩を抉る。流れる血と共に噴き出す痛みを、激痛体勢で無理やり凌ぐ。
「コノが……いるから。絶対、大丈夫」
(たぬちゃん……)
 ゼファーと相対するさつまを、コノハは無言で見やる。
(ああ……。大丈夫だ)
 戦おう。そう心に決めて、コノハも走り出した。
 ゼファーもまためまぐるしく動く。両手にある二本の剣は高速で回転して二人に迫っていく。
「ここ、は……!」
 自らに迫る刃を、コノハはカウンターでギリギリ切り返す。その間にさつまが駆けつける。
「コノ、もうちょっと下がって」
「りょーかい、たぬちゃん」
 遠ざかるコノハに、さつまは頷く。それもまた一瞬だ。絶え間なく襲い掛かる刃は、容赦なくさつまの体を切り刻んでいく。
「それでもいい……。この体が動けば。盾になれれば、それで……!」
 後は全て、彼に任せると。
 さつまは力強く声を上げた。

「何故だかはわからないけど……悲しいひとだ。そんなに速くなって、どうしたかったのかな」
 フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)が暴風纏うゼファーの姿を見ながら思わず声に出して呟く。どこか悲しむような、その表情。その言葉に、
「革命ね。誰も今が嫌だと、変えて欲しいと叫んでいる訳じゃない。何かを成すのに犠牲は付き物だけどね……初めからそれを前提とするのは、単なる怠慢でしかないよ」
 ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)が表情をあまり変えずに呟いた。
「うむ! そういう難しいことはわしには解らん! よいぞ、詰まるところの強敵では無いか!」
 一方。両角・式夜(銀錫赤竜・f01415)はあっけらかんとそういって笑っていた。わくわくしている顔をして、今か今かとタイミングを見計らっている。
「難しい理屈と感傷は任せたぞ! 否、否、そういうのも勿論大事だ。だが……わしはいく!!」
 テンションが上がりきったとでも言うように、式夜は走り出した。
「あ……」
 と。ユエインが声をかける前に、既に式夜はゼファーへと向けて突っ込んでいっていた。
「速度勝負、か。避けるよりも受けを狙うべきかな」
「うん。そういう手もあるね。どちらにせよお互い」
 気をつけて行ってこよう。とフルムが言いかけたとき。
 高らかと笑う剣の音が聞えてきていた。
「お先に行くよ」
 と、声を上げてフルムは走り出す。剣が走り暴風が吹きすさぶ中を、フルムは残像を利用しながら進んでいく。
 カウンター狙いでゼファーに肉薄する。なるべくシールドバッシュも駆使して防ごうとはしているけれども、
「……っ、いや」
 風が拳のようにフルムの腹へと叩きつけられる。それと同時に、すさまじく、唯純粋に早いゼファーの刃がフルムの体に傷を作る。
「……っ、けれども、それで」
 いいと。フレムは口の中で呟いた。彼にはまだ……目的が、ある。
「……」
 一方でユエインもまた、焔刃『煉獄』と共に己の操る黒鉄機人の右掌から、高熱を放っていく。足元の地面へと攻撃を叩き込み、風を乱すことが出来るようにという試みであった。
 炎が上がる。揺らめく風はそれでもなお揺らぐことはなく高速の攻撃を返してくる。ユエインは目を細める。
「せめて……一撃でも」
 叩き込むと。口の中で呟いて。ユエインもまた攻撃を続けていった。

「尋常じゃない速さで戦うんだだね……」
 五百雀・斗真(人間のUDCエージェント・f15207)の言葉に、レガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)もまた、僅かに顔をしかめたようであった。
「先制攻撃か……非常に厄介だな」
 と、思わず声に出して言ったところで、斗真はレガルタを見た。
「うん、どうしよう……?」
「なぜ、俺に聞く」
 対策なんて互いにしてきているだろうにということばは言外に。この会話に意味が見出せないとでもい痛げな、邪険なレガルタの態度に斗真はどこかマイペースに、やんわりと首をかしげた。
「……なんとなく?」
「そうか……」
 まるで当然のごとく言う斗真に、レガルタは思わず納得しかけて、内心少し首を傾げたが、それ以上は言わないことにした。
「では、先に行くぞ」
「うん、了解だよ」
 会話もまた身近く。レガルタが走り出す。斗真もまた反対側の方向へと、走り出した。
 風が吹く。レガルタの足場が危うくなってくる。走り出しただけなのに、反応の速さにレガルタは内心で舌打ちをしながら翼を広げた。
「……っ!」
 それでも体を打つような衝撃があって。飛んでくる風をギリギリのところでよけながらもレガルタは懸命に距離をつめる。
「ごめんね、大田さん。……こっち、だよ」
 ゼファーがレガルタに視線を向ける。その気を散らすかのように反対側から、斗真もまた走り出した。
「小癪な」
「うん、ごめんね」
 言いながらもゼファーは冷静に斗真のほうへも対処する。風はレガルタを追いかけ、けたたましく音を立てる剣が斗真へと走っていく。
「……っ、太田さん!」
 己の触手で斗真は攻撃を受け止めた。いやな音を立てるそれを、なんとか斗真は見極めようとする。その戦い方を。その思考を。そのために……、
「ふん、こっちが留守になっているぞ!」
 高速でレガルタもゼファーの周りを飛行し続けながら、斗真似集中させないよう袖口のナイフを振るい続ける。それの対処に掛かるタイミングと、自分の対処をするタイミング。そんな情報を積み重ねて、斗真は特殊なスプレーを準備して、牽制するようにそれを吹き付けていく。
「……」
 それでもゼファーの攻撃は容赦なく、そして正確に斗真の触手を剣で削り、レガルタを風で打っていく。
「ありがとう」
 斗真が言った言葉が、レガルタに届いているのかは解らないし、斗真も気にはしなかった。押されながらも、己の心臓に埋め込まれた魔石より、触手に力を送り続ける。
「うん……。手数を増やすよ」
 少しでも、隙を作ると。斗真が全力で鎧を砕く勢いで、なぎ払うように触手を振るい続けた。
 着実に、確実に削っていく。戦いはまだ、始まったばかりだ。 
(いつか……機会がある、はずだ)
 時折暗器をつかい、動きを封じて。そしてその反撃に手痛い一撃を貰い。痛みに耐えながら、レガルタは視線を走らせた。
 目が合った斗真が、しっかりと頷くので。レガルタはどう答えていいのかわからずに、ふん、と、つまらなさそうな顔を作って視線をそらせた。

●想い
 ゼファーの体から血が噴き出す。先に走った仲間たちがその片腕を穿ち、腕は血に染まり、その片手はもはや使い物にならないだろうと知った。
「まだまだ……俺たちも、いる」
 倒れた彼らが無事に対比したのを確認してから、さつまはそのとき初めて己の尾を動かした。付け根に刻まれた極小刻印が尻尾全体にいきわたる。そして現れた黒い雷は、
「砕け散れ……!」
 広範囲に広がり、ゼファーの周囲に飛び散り、めくらましをかねて派手な輝きを放って、一斉に襲い掛かった。
「なるほど……少し、厄介」
「少し、だけ? じゃあ……」
 さつまの声に応えるように、雷は周囲に舞い散る花びらの足場を撃ち落す。派手な音と、派手な閃光。そして、
「こんなことも、できる」
「っ、は、ぁ!」
 光がはぜると同時に、その言葉に応えるようにコノハは駆けた。
 今まで守られていたコノハが、その守りから抜け出して前へ、前へと走り出す。
 自らの血を、石榴に吸わせ。刃はその形を凶悪な牙状殺戮捕食形態へと変化させていく。
 いつものような余裕なんてない。さつまは既に傷だらけでひどい有様だ。
 今こうして前に出たコノハも、なんとかさつまが致命傷を押さえてくれているけれどもどこまでそれがもつかはわからない。
 ゼファーの残った片手が。ダイアモードがけたたましく笑うような声を上げている。
 今、ここで少しでも相手に傷を残さなければ、
 さつまがここまでぼろぼろになっている、その意味がなくなってしまう……!
「そう同じ手は効かねぇよネ」
 剣が迫る。流石に同じようにカウンターで傷つけるにはいささか早さが足りない。
 そんなこと彼だってわかってる。ダイアモードはだから、オーラを纏い、紙一重で交わそうとして、それでも肩に鋭い痛みが走り……、
 そしてその血すらも、己の武器に吸い取らせて、
「――イタダキ、マス」
 雷が閃く。そのめくらましに乗るように。
 そんな胸を過ぎる不安は顔にはひとつも出さずに。
「盾が在るからこそ、できる事もあるってネ」
 コノハは捨て身の一撃で、ゼファーのそのわき腹に己の獲物を食い込ませた。
 同時に体に痛みが走る。捉えたということは、捉えられたということでもあった。
「コノ……!」
 もはや己も倒れそうになりながら、叫ぶさつまの声をコノハは遠くに聞いていた。

 いまだ。と、ユエインは口には出さないけれども、その瞳の中に機を見出した。
「格闘戦だって……出来るよ!」
 そのとき。
 爆炎や仲間の攻撃にまぎれるようにして回り込んでいたユエインは、機人の腕を操った。
「白き指先、繋がる絹糸、振るわれるのは昇華の鉄拳……欠片も残さず、無に還れ」
 もう一度放たれた高熱と。そしてそれに紛れるように、
「た……あ!」
 気合にしては愛らしい声と共に、機人の腕がゼファーの体を殴りつけた。
「く……っ!」
「今だ!!」
 その一瞬の隙を、フルムは見逃さなかった。
 かわしきれない攻撃に、既にその体は傷だらけであった。
 それでもギリギリのところで耐えていたのは、フルムには作戦があったからだ。
 彼が瀕死になれば瀕死になるほど戦力が増える。
 それは……、
「これは、あくまでおまじない程度なんだけれど……。ねえ、妖精さん。……妖精さん」
 どうか、効いてくれと。
 フレムが繰り出す催眠術。
 広げた彼の手の中には、そう。
 赤くて……赤いけれど。
 謎めく、宝石の要請がその手の中に降り立っていた。
「誰よりも早くなりたいんじゃない。君は、僕を……。いや。この宝石の妖精を、倒したい……!」
 それは催眠術だ。
 単純な催眠術だ。
 しかし……、
「……!」
 ゼファーは一度、彼の妖精さんを、彼の妖精さんではない、別の名で呼んだ。
「思い出してほしい……。君が、本当は何を望んだのか! 君はいったい、今度は何を代償に、何を得るつもりなんだ!!」
「それは……!!」
 問いながらも、ゼファーの腕が動く。
 フレムもまた、拳を握り締めた。
 あの怪しげな剣と渡り合うのには、もしかしたら心もとないかもしれないとフレムは思う。けど、
「さあ、先ずは妖精を倒さなければ、物語は始まらないだろう!」
「……っ!」
 唸る剣を、すんでのところでユエインの機人が受け止める。
「危ないところだったよ。挑発しすぎ」
 地形を乱し、勢いを沿い抱いたからか、傷だらけの機人の腕でも辛うじてそれを受け止めることが出来た。
「ああ。助かる。ありがとう!!」
「そうだ! 貴殿はちょっと瀕死になりすぎだぞ! 此処はその妖精さんと私が引き受けた。下がるといい!」
 式夜が声を上げる。はは、とフレムはおかしげに笑った。入れ替わるように前に出た式夜は、一瞬で状況を判断する。
(恐ろしいな。ここまできても倒せるかどうかはわからぬ。だが……!)
 だからこそ、面白いと。その目が輝いていた。


「わはははははははは、いや笑える状況では無いがこれが笑わずに居られるか!?」
 赤い刀身が翻る。式夜の攻撃は徐々に重みを増していく。
「……うるさいな。まるでダイアモードのよう」
 相対するゼファーは淡々と、けたたましい音を発する剣を振るい、そこから風を巻き起こし続ける。
 一本になった剣はそれでも早く、重く。
 しかしながら、仲間たちの攻撃を受けてようやく互角の打ち合いにまで持ってくることが出来たのも、確かであった。
「ああ済まぬ! しかし性分故にな、勘弁してくれ!」
 興奮を抑えきれぬように、式夜は笑う。すでに全身は傷だらけで、満身創痍と言うものであった。
 激痛には耐性がある。それで体を奮わせているが、いつ倒れてもおかしくはない。
 しかし、それはゼファーも同じことだ。式夜一人ならまだしも、仲間たちを相手取り、もはやいつ倒れてもおかしくないのは確かであろう。
 だからこそ。
 そうだからこそ……楽しい。
「そうだ、理想などわしの後から着いてくるし、他の者がもっとマシな理想を持ってくる!! 葛藤など知るか! 勝った方が正義とは、判りやすくて大変よいな!!」
「貴方の考え方は私の考え方とは少し違うけれど……その在り様を否定はしません」
 力任せに式夜が剣を押し付ければ、風の力を持って押し返し、更に重い一撃をゼファーは加える。
「だって、世界は結果としてそのように出来ているのだから……!」
 式夜は身をよじりその一撃を利き腕ではないほう、刀の鞘で受け止める。鞘が砕けて腕に風の刃と痛みが走る。しかしそれを押し込んで、式夜は再び刀を振るう。
 片腕のないゼファーの肩の辺りに、式夜の刃が沈み込む。
「圧し切る!」
「やれるものなら……!」
 尋常な決闘ではない。ゼファーは今死んでもまた蘇るし、相対する式夜たちも一対一ですらない。しかしそれを二人とも口にはしない。
 それこそは戦いである。
 自分の願いの為に戦い、生き残ったものが全てを作る。それだけの戦いである。
「結果としてか! それはなかなか言いえて妙だ! 結果とは、後からついてくるものであるからな!」
 叫ぶ声も高らかに。心から楽しそうに刃を振るう式夜。
 それは目的が戦いだからだと、ゼファーは思った。
「わしにも仲間がいる。後のことはすべて仲間に託し、わしは唯前を走ればいい。なんとも心地のよいことよ!」
「そう。それは少し、うらやましい」
「仲間のことがか?」
「違う」
 彼女にとって、戦いは手段に過ぎなかった。けれど……、
 胸を穿つ全てのことを振りきって、駆け抜けることが出来たなら。
「早くなって……どこか遠いところに行きたかったのかい?」
 思わずフルムがその会話に割り込んだ。
「違う」
 しかし。ゼファーは首を横にふる。それ以上語ることもないような顔で首を横にふる。
 そこに、黒い雷が落ちた、コノハを支えながら、さつまがめくらましを放つ。
「余所見、してる場合じゃ、ない」
「そういう……こと」
 ユエインもまた、爆炎を発する。その隙を式夜は逃さない。
「そうだぞ! 今はまだ、わしと戦うことだけを考えていてもらおうか!」
 刀が走る。剣と切り結ぶ。ゼファーの動きはもはや先ほどとは比べ物にならないほど、遅い。
 だが……、
「解っている……そこ!」
 ゼファーの剣が走った。それは式夜の腹を抉った。しかしそれは……浅い。血が吹き出るが致命傷にはいたらない。そして、
「は……。ばれたか!」
 しかし何故かそこで式夜は舌打ちをした。剣が勢いのままに旋回する。それは今、背後に忍び寄っていたレガルタのほうへと流れた。
「!」
「私の後ろを、取るなんて……まだ、はやい!」
 内心、レガルタは舌打ちをする。
 そして痛みを、一瞬で覚悟した。
 構わない。それは己が弱かった証だ。
 自分だってそうだ。結果が全ての場所で生きてきた……、
「本当だね。すごく早くて、驚いてばかりだよ」
 と、そこに。
 ありえないぐらいマイペースな声が届いた。
「でも、誰かが言ってたと思うけど……戦いは、一人でするものじゃないと思うんだよね」
 斗真だった。既に触手も、自身も傷だらけではあるが、
「ようやく、見えた。……その力を打ち消そう」
 その身は、ゼファーと同じ風を纏っていた。
 剣と剣がぶつかり、ひときわいやな音を立ててゼファーの行動が防がれる。そして、
「ああ。……ああ。貴様は強いが……、どんな手を使ってでも必ず貴様は殺す」
 それが、仲間の力を借りてというのは、ほんの少しだけ予想外だったけれども……、
 レガルタのダガーがゼファーの胸に差し込まれた。
「暗殺者としての意地、見せてやる……!」
 レガルタはそれを更に押し込む。
「ああ……」
 それは致命傷であった。ゼファーは小さく声を上げて虚空を見つめる。そして、僅かに天を見上げるように顔を上げて……、
 ふ、と吐息のようなものを漏らしたあと、
 その姿は消失していた。
 その声はどこか穏やかで……、
 どこか、寂しそうな声であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月20日


挿絵イラスト