バトルオブフラワーズ⑪〜貫け、風よりも速く
●紫煙吐く暴風に挑め
「来ましたか、猟兵」
白衣と赤の仮面、そしてオートバイを思わせる機械を纏った怪人、ウインドゼファーは猟兵の前に、2本の車輪剣を構えて立ちふさがる。
「もはや多くは言いません。先へ進みたいなら、私よりも速くッ、進めッ!」
2本のマフラーから紫煙を吐き出し、全身を暴風で包むウインドゼファー。
車輪双剣を振りかざし、最速の女怪人、ウインドゼファーが猟兵へと迫る……!
怪人幹部ラビットバニーが倒れ、新たな幹部ウインドゼファーへの道が開かれた。
街角のブランド関連広告で彼女の姿を見かけることもあるため、その姿に見覚えのある猟兵もいるだろう。まさかこんな事になるとは思わなかっただろうが。
「エイプモンキーやラビットバニーは色々と戦うための特殊ルールがあったけど、今回はごくシンプルよ。敵の先制攻撃を何とかしのぎ、切り抜けるの」
ウインドゼファーは自身の風を操る能力で、必ずこちらより早く一撃を叩き込む。
シンプルな能力ではあるが、それ故に前述の幹部たちのような裏をかく定番の手段は存在しない。猟兵を凌ぐ基本的な戦闘能力も相まって、きっちりした対策を講じねば、まともな戦闘にすらならないだろう。
「工夫は各人次第だけど、今まで幾多の強敵を倒してきただろう、あなたたちを信じるわ。ここさえ抜ければドン・フリーダムの尻尾も掴める……よろしく頼むわね!」
そう言うと、クリスはグリモアを起動し、猟兵たちを送り出すのだった。
西野都
こんにちわ、西野都です。
戦争もいよいよ佳境、スピード怪人『ウインドゼファー』のシナリオをお送りします。
シンプルな強敵ですが、格好良く戦うチャンスでもあります。
以下、注意事項です。
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
●運営シナリオ数について
運営シナリオ数に制限はありません。戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
では、皆様の格好良く冴えたプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
如月・源
何よりも速くか。いいねぇ、そういうのは嫌いじゃない。
足場をバラバラにするなら、あえてその崩れた足場に【念動力】で自らの身体を強引に押し出しつつ足場を巻き上げて【早業】で隠れるように飛び込む。
んでもって、落下中は【念動力】で身体を空中で支えて暴風が止めば足場の下から奴さん目掛けてUCを叩きこむ。ぶっ壊した足場からなら見えるじゃろうし、【視力】に義眼の性能があれば補足するのもそう難しくはないじゃろう。
●
「何よりも速くか。いいねぇ、そういうのは嫌いじゃない」
大きく開いた着流しの袖から出した手を顎に当て、如月・源(銀河を駆ける流浪人・f14361)は口角を上げて笑う。
目を上げれば、源よりも高い位置の足場に人影が一人。
「それは何よりです。私も理解されないよりは、された方がいいですから」
源を見下ろしながら、白衣に紅の仮面――スピード怪人ウインドゼファーは言う。
彼女の表情は、彼とは違い窺い知ることはできない。
「ですが、門番の役は果たさせてもらいます。奈落へ落ちろ、猟兵ッ!!」
ウインドゼファーの全身から暴風が弾けた。
浮いていた花の足場が、急激な気流の変化に煽られ、ぶつかり合い、砕ける。
それどころか、風そのものが鉄槌となり、足場を砕いていく。
源の足元も例外ではなかった。花びらが散り、岩塊が暴風にすり潰される。
「こいつぁ……!」
足元を崩された源は、そのまま足場の残骸の中に紛れ、消えていく。
血のように赤い仮面の中で、ウインドゼファーはため息をついた。
「……こんなもの。少しは速さを見せてくれるかと思ったけど」
表情は見えずとも、声に混じる落胆の響き。少しは抵抗するかと思ったが、まさかそれすらなく墜ちていくとは。
「仕事としては楽ですが、味気ない」
「そう思うじゃろう? ところがな!」
突然響く源の声。ウインドゼファーは狭くなった足場から周囲を見渡す。
姿はない。崩れた足場の残骸しかない。
「存外鈍いのう。風を操るなら、もう少し動いて確かめるべきじゃったな!」
はっとして、ウインドゼファーは『足場の下』を見る。
見えたのは、紫電が奈落から昇る姿。
いや、それは全身にサイキックエナジーを、足に紫電を纏い、足をこちらに向けたまま、超高速で昇っていく源の姿だ。
その瞳、『試作型万能義眼「森羅万象」』は、そして足先は、真っ直ぐゼファーを捉えている……!
「漸く儂を捉えたか。だがもう遅い! ヴォルテッカァァアア!」
「くっ……!」
ウインドゼファーは暴風を纏い、バックステップで足場から逃れようとする。
しかし、源の飛び蹴り、ユーベルコード《コード・ボルテッカ》は、足場を削岩機のように砕き、そのままウインドゼファーの前面を捉えていた。
そのまま顎を捉え、ウインドゼファーは上体を反らして吹き飛んだ。
「な、何故あそこから……!」
「何、簡単な事よ。足場を崩すなら、そこには隠れ場所が沢山あるじゃろ?」
「……崩れた足場に潜んだのですか!」
「あとは、念動力で身体を支え、お主めがけて跳ぶだけよ。不意を打ったとは言え、儂はどうやらお主より速かったようじゃな?」
お互い新たな足場に着地し、再び対峙する。
見下ろす源と見上げるウインドゼファーという構図は、開戦時とは逆であった。
成功
🔵🔵🔴
プラシオライト・エターナルバド
勝てませんね…敵の土俵では
後手から奇策に転じて挑んでみます
敵方向へトリックスターの網を張りながら、戦場へ
襲い掛かる竜巻はワイヤーだけではカバー出来ないでしょう
念動力で自分を後方へ飛ばし回避に努め、また衝撃を緩和します
攻撃を受けて倒れれば
予め空へ撃っていたアメグリーンの回復薬が
時間差で雨となり自分へ降り注ぎます
意識さえ回復出来れば良いのです
敵を視認出来なくても、聖痕による第六感、第三の目が
身体を動かせなくても、念動力で操作するエレノアの光属性攻撃が
猟兵と倒したと油断している敵を、狙い撃ちます
最終的には光を放って回復を
光速の攻撃は叶いませんが
私のような小さな光でも、戦場に希望を灯せればと
アルテミス・カリスト
「あなたが怪人たちの幹部、ウインドゼファーですね!
どのような理由があろうとも、この星に住むキマイラの皆さんを困らせていいはずがありません!
この正義の騎士アルテミスがお相手します!」
大剣を構えますが、こちらが動くよりも早く敵の先制攻撃が来るはず。
その攻撃を敢えて受け、オーラ防御と正義の気合いで耐え抜きます!
痛いけど痛くありません!
「狙い通り間合いを詰めてくれましたね!」
私は大剣での一撃必殺戦術で戦う騎士。
速度で翻弄されては勝ち目はありません。
ここは肉を斬らせて骨を絶ちます!
「我が【騎士剣術】を受けてください!」
血を吐きながらも、怪力を活かしつつ、攻撃力を重視した全力の一撃を放ちます!
●颯爽たる女騎士と奇策の宝玉
(勝てませんね……敵の土俵では)
プラシオライト・エターナルバド(かわらないもの・f15252)は、ウインドゼファーとの戦力差をそう結論づけた。
戦闘能力で劣る上、その風で必ず先制攻撃を受けるのだ。
(ならば後手から奇策に転じて……)
その時、彼女はアルテミス・カリスト(正義の騎士・f02293)がウインドゼファーの前に立ち塞がるのを見た。
「あなたが怪人たちの幹部、ウインドゼファーですね!
どのような理由があろうとも、この星に住むキマイラの皆さんを困らせていいはずがありません! この正義の騎士アルテミスがお相手します!」
大剣を構え、突きつける表情は清々しいまでに真っ直ぐで。
だからこそウインドゼファーも真っ直ぐに2本の車輪剣を構え、相対した。
「ならば名乗りましょう。私の名はウインドゼファー。……その剣で、私の風を止められるか、試してみろッ!」
爆発的な暴風。車輪剣が嗤うような風音を立て、竜巻を纏う。
プラシオライトにとっては予想外の相対だが、それによって計算は大きく変わる。
だから彼女はそっとアルテミスの傍らに立ち、静かに言った。
「私もお手伝いしましょう。騎士様は、そのままで」
「……はい! お願いします!」
その声と同時に、暴風を纏ったウインドゼファーが爆発的に加速する。
眼前には、透明なワイヤーの網。プラシオライトのトリックスターだ。
「……私の風とタイヤを舐めない事ですッ!」
全身と車輪剣のタイヤが、触れる先からワイヤーを寸断し、対象を絡め取ることなく糸は散り失せた。見る間に間隔が詰まっていく。
そしてウインドゼファーが、アルテミスの肩口めがけて竜巻を纏う車輪剣を振り下ろし、全てが風に包まれた。
「……どうにか、上手くいきましたか」
ミントグリーンの雨の中、プラシオライトは意識を取り戻す。
勿論、ただの雨ではない。トリックスターともども彼女の事前の仕込み、ユーベルコード【Color Change】だ。
彼女の髪から作られた今回の効能は、回復。
損傷した身体を一度に修復しきるにはあまりに足りない。これでも、念動力で自ら吹き飛び、攻撃の威力を減衰させることで得た状況である。
しかし、意識を覚醒させるには十分だ。そして、意識さえあれば念動力も。
プラシオライトの額の聖痕が薄く光り、彼女の傍らに放り出されていた精霊銃『エレノア』が、カタカタと動き出した。
視点を、アルテミスとウインドゼファーに移そう。
ウインドゼファーは、車輪剣と嗤う竜巻で、確かにアルテミスを斬った。
白銀の鎧には、袈裟懸けに大きく無残な傷が刻まれている。
だが、立っている!
「狙い通り間合いを詰めてくれましたね!」
「まさか、わざと攻撃を受けたというのですか……!」
「はい! 正義の気合いがあれば、痛いけど痛くありません!」
口の端から血を流しつつ、アルテミスは微笑んだ。
全ては、アルテミスの間合いにウインドゼファーが留まる、この一瞬のために。
「ならば、もう一撃を加え、貴女を倒しましょう! 嗤え、竜巻……!」
膨大な気流が再び車輪剣から吹き上がりかける。
だが、それは一発の銃声により霧散した。
緑色の弾丸が、ゼファーのマフラーに一つの穴を穿っていた。
「……!?」
一瞬、ウインドゼファーの意識が銃声の向こうへと飛ぶ。
遠くで倒れている猟兵の傍らに、一丁の銃、精霊銃『エレノア』が浮かんでいた。
プラシオライトが念動力で操り、一撃を見舞ったのだ。
(……今です!)
プラシオライトは、思念の声で叫ぶ。
今、ウインドゼファーの注意はアルテミスから、完全にそれていた。
「ありがとうございます!」
アルテミスは、足の震えを隠し、指に力を込め直し、大剣を握り直す。
放てるのは一撃のみ。ならばその一撃は必殺あるのみ……!
「我が《騎士剣術》を受けてください!」
高々と掲げられた剣からの銀光一閃。
纏っていたオーラは剣も輝かせ、その一撃は袈裟懸けにウインドゼファーを捉える。
「ぐぅぅぅぅッ!」
足で地面を削りながら、剣圧で数メートル後退するウインドゼファー。
傷跡を手で押さえるが、到底隠しきれるものではなく、ベルトやヘッドライトが切り裂かれ、あるいは砕けているのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ミハエラ・ジェシンスカ
まずは防御に専念し敵の攻撃を【見切り】【武器受け】で着実に捌く
やがて速さに目が慣れたら【2回攻撃】の要領で【武器受け】からの反撃も織り交ぜていく
成る程、確かに早い
だが目で追えないという程でもない……拍子抜けだな
奴の欲望こそが力の源であるのならそれを利用する
敢えて敵と同系統のコードを使った上で挑発し更なる加速を誘発
相手が加速する程に目では追えなくなり段々と捌き切れなくなる……ように見せかけ【だまし討ち】
実際にはフォースレーダーによる【情報収集】で敵の動きを把握
最高速の一撃に合わせて隠し腕(アイテム)を展開し【カウンター】を叩き込む
速さとは即ち諸刃の剣だ
早ければ早い程、貴様自身へと返る衝撃も大きい
エコリアチ・ヤエ
初撃に間に合うかどうかわからんが、呪膜(カースドベール)を用いて戦う。初撃に間に合わない場合は激痛耐性で攻撃を耐える。また見切りや戦闘知識で攻撃の直撃は免れたい。あるいはファイブエレメンツソードを握り攻撃をいなせたら良いかね。選ぶ属性は風。敵の風と逆向きの風を発生させて弾き返す。
UCを発動できたら杖を構え、呪詛をメインに攻撃。敵の攻撃を受けるたびに戦闘力増強と生命力吸収能力を得るため攻撃を仕掛けながら己の回復に努めていく。
他には念動力を用いて鉄製タロットカードを投擲。
敵のスピードを逆手に取りぶつかりあえば攻撃力は増すだろう。
先に進まにゃならん理由がある。通してもらうぞ。
[アドリブ・連携可]
●背中合わせの赤と黒
「俺の手札が間に合うかは分からんが、やはり狙うのはそれか」
「ああ。奴の欲望、利用しない手はない」
褐色の肌に多数の刺青を巡らせるエコリアチ・ヤエ(悪魔の呼び声・f00287)と、部分的に女性型外装を被せたウォーマシン、ミハエラ・ジェシンスカ(邪道の剣・f13828)は背を預けつつ眼前の敵を睨む。
戦場で偶然道連れになっただけであり、知人ではない。だが目的は同じだ。
「――相談は済みましたか?」
二人の視線が突き刺さる仮面の女怪人、ウインドゼファー。
悠然と2本の車輪剣を構えながら、油断なくエコリアチとミハエラに視線を向ける。
「ああ、おかげで大体はまとまったさ。どの道そっちが先攻なんだろ? ……来いよ」
夭折したカンフーヒーローのように、平手で手招きをするエコリアチ。
挑発でもあるその仕草に、即座に一対の車輪剣ダイアモードが構えられる。
大気がウインドゼファーに向けて圧縮していく。
「急激な気圧低下を確認……来るか!」
ミハエラが二刀のフォースセイバーを交差して構える。
赤い瞳が、衝突の時を油断なく伺う。
「ならば、二人まとめて望み通りにしてあげましょう! 嗤えダイアモードッ!」
圧縮された大気は加速し、暴風となってウインドゼファーを覆い、車輪剣からは竜巻が巻き起こった。
ヒャヒャヒャヒャと、風音が嘲笑う。
そのまま、竜巻が『振り下ろされた』。
「死した者達よ……ちぃっ、間に合わんか!」
エコリアチは即座にファイブエレメントソードを逆手に構える。
逆の流れの気流が竜巻とぶつかりあい、耳元で嗤い声が響く。風が発生させた真空の刃が気流を赤く染めた。
一方、二刀で迎撃したミハエラは、正面から竜巻を受け止めた。
「ぐうっ……!」
フレームに急激に掛かる負荷。外装が次々と傷ついていく。
だが、防御に専念したのが功を奏した。赤いフォースソードは竜巻の進行方向を見切り、力場で逸らすのに成功したのだ。
竜巻がミハエラの横に落ち、寸断された花びらと足場が吹き散らされる。
「まさか受け止めましたか……!」
驚愕するウインドゼファー。
ミハエラはエコリアチの方をちらりと一瞥。
全身に切り傷を負っているが、深手ではないようだ。
エコリアチが頷く。
「さあ、次は貴様の領分で勝負だ。付いてこれるかっ!」
「風に挑むと言うのですか。ならば、やってみせろッ!」
鮮血のような赤いオーラを纏ったミハエラと、暴風を纏うウインドゼファーは、二重螺旋のように舞い上がり、ぶつかり始めた。
エコリアチは、再び呪法を用いるべく精神集中を始める。
「死した者達よ、こちらに力を貸してもらおうか」
キマイラフューチャーのあちこちから集まる怨念、呪い。あるいは倒れた幹部たちのそれもあるかもしれないが。
(構うか、ここで力になれば、それでいい!)
ユーベルコード《呪膜》発動。
集めた呪いを纏い、エコリアチの全身が黒く輝いた。
その頃、ミハエラとウインドゼファーは上空で幾度となく剣を合わせていた。
「風を操ると豪語する割に、スピードはその程度か? 『ウインド』の名は飾りか」
二刀の光の剣を打ち合わせつつ、ミハエラはウインドゼファーを煽り、追いつけと言わんばかりに更に自らの飛翔速度を上げる。
「高速戦闘で勝てると思っているのですか、愚かですねッ!」
だが、ウインドゼファーの速度は更にそれを上回る。先行したミハエラに容易に追いつき、車輪剣を何度も振り下ろす。
ミハエラの剣は防御に偏り、それすらもおぼつかなくなっていく。
捌ききれなくなるのは時間の問題だ。
ミハエラが、剣の衝撃を殺しきれず、後ろに吹き飛ばされた。
「そろそろ、仕留めさせてもらいます!」
ウインドゼファーの声に答え、再び車輪剣ダイアモードが竜巻を帯びる。
スピードを最高速まで上げ、必殺の剣を振りかぶる。
だが。
「速さとは……即ち諸刃の剣だ!」
吹き飛んだはずのミハエラは、胴体から2本の隠し腕を展開。
最高速のウインドゼファーに突っ込み、四刀のカウンターを叩き込む!
「くぅっ、まさか、あなたたちはこれを……!」
「ああ、待ってたのさ、その速度をな!」
刹那の差を置き、次々とウインドゼファーに弧を描いて迫りくるのは、エコリアチが念動力で制御する黒く輝くタロットカード。
彼女の白衣、金属装甲、マフラーに次々とカードが突き刺さり、大きくのけぞる。
ウインドゼファーの速さは、自らに見舞われる攻撃の威力を増す結果となったのだ。
「まさか、私の速度を逆用されるなんて……!」
「まぁ、そういうことだ。先に進まにゃならん理由がある。通してもらうぞ」
落下するウインドゼファーを見つつ、エコリアチが獰猛に笑う。
その頬の傷が敵の生命力を吸って、煙を上げて消え去った。
成功
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エルデラント・ズィーマ
ワタシは素早い相手は苦手なのですよね。重くて鈍重ですので
【対策】
身体強化後の動きに付いて行けなければ負けてしまいますね。地に足をつけたまま左の義眼で常に現在地、敵との距離、接近までのコンマ時間を計算します
【戦闘】
敵が接近するなら格闘戦で応じます。鉄の腕なら多少斬り裂かれても問題ありません。ボクシングスタイルを維持しつつ、尻尾で捕縛してからUCを使いましょう
遠くから攻めてくるのであれば右手をブラスターに変形させて銃撃で牽制しつつ接近します。UCが届く距離まで近付いたら捨て身で飛び込んで発動させます
刺し違え上等です。機械部分はバラバラになっても直せます。皮の部分はまた貼り替えれば良いだけですから
●風上に立つワタシ
「ワタシは素早い相手は苦手なのですよね。重くて鈍重ですので」
そう言いながらウインドゼファーと対峙するのはエルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)。サソリの尾のような尾部アームが特徴的だ。
尾部アームに限らず、改造時の設計は重装甲重火力がコンセプトなのか、その躯体は相応の重量を有している。
「ならば、私の風で吹き散らしてあげましょう。貴女は私を捉える事ができなくとも、私が貴女を捉えるのは容易ですから」
暴風がエルデラントの緑髪を乱雑にかき乱す。激しくはためく服の裾。
ウインドゼファーは二振りの車輪剣ダイアモードを構え、
「吹き飛びっ、なさいッ!」
複雑な軌道を描き、ウインドゼファーが暴風を纏い飛ぶ。
その座標と速度、位置が、逐一データとして左目の義眼に送られていく。
そして、彼女自身は動かない。
地に足をつけたまま、肘を軽く曲げて構えるボクシングスタイルだ。
「カウンターでも狙うつもりですか? ……いいでしょう」
複雑な機動を描いて飛んでいたウインドゼファーが一瞬、その動きを止める。
だが、それも刹那の間のみ。
「その技、正面から打ち破りましょう!」
先に倍する速度で一気にエルデラントの懐に飛び込み、車輪剣を振り下ろす!
そこで初めて、エルデラントが動いた。
車輪剣の軌道へ向け、左腕をかざす。ガードの構えだ。
「その程度で我がダイアモードを受けきれるものですか!」
車輪が回転すると、左腕の表皮がちぎれ飛び、金属部分が火花を上げて軋む。
そして、切断など生易しいと言わんばかりに、エルデラントの左腕は様々なパーツに分断されて砕け散った。
仮面の奥でウインドゼファーはほくそ笑み……エルデラントも口角を上げた。
「機械部分はバラバラになっても直せます。でも、この一瞬はそうは行きません」
「何ですって……?」
ウインドゼファーの疑問の声に、胴体への衝撃が答える。
エルデラントの臀部から伸びるアームが5本の爪を伸ばし、ウインドゼファーの腰をがっちりと掴んでいた。身をよじるが、アームの力は強く、離れようとしない。
「これを、狙っていたのですか……!」
「ええ、重ねて言いますが、私は重くて鈍重ですので。刺し違え上等です」
エルデラントは、そう言うと右腕を振りかぶる。
機械部分の様々な部位が駆動し、低い唸り声を上げて力を蓄えていく。
それはやがて臨界に達し、エルデラントは拳をまっすぐ、拳を突き出す……!
「申し訳ありません……ドン・フリーダム、万歳!」
彼女が砕いたエルデラントの腕と同じように、ウインドゼファーの五体は爆裂し、爆発で飛び散ったパーツは地面に落ちるや否や、塵になって消えた。
こうして、ひとまずこの局面におけるウインドゼファー戦は終結したのである。
成功
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