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バトルオブフラワーズ⑪〜彼女は疾風迅雷

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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●その風は真っ直ぐに吹く
「モンキーに続きバニーまでとは、驚きました」
 瞑目していたかのような『ウインドゼファー』は、花の道筋が自らに集結した様相を風で知ったかのように呟く。
 だが、しっかりと来るべきだろう相手を真っ直ぐに見据えていた。
「でも、私の役目は門番。ドン・フリーダムがシステム・フラワーズを取り戻すまでの時間稼ぎならば、私の『風を操るユーベルコード』でも、決してあの2人にひけは取りません」
 ……もっと疾く、もっと遠くへ。そして、全てを。拳を握る。
「私達は全てを手に入れる。誰にも、邪魔は、させないッ!」
 ――花を散らす程に、風が吹いた。

●その風は門番
「よし、皆お疲れ様だな。ドンフリーダムも近づいてきたがまだ怪人はいるぜ」
 猟兵達を見回してアグニカ・プロメテウス(原初の聖焔・f16796)は説明を始めた。再び、システムフラワーズの花の道がとある怪人の下へ集結したのだという。
「その怪人の名前は『ウインドゼファー』。風を操る正統派な奴だ。絡め手は特にして来ないが、とかく『疾い』。先制攻撃対策を然りとしてから向かってくれよ」
 今までバリアやらマニアック対策などで頭を捏ね繰り回していたであろう猟兵達は安堵する。だがしかし、『純然たる強者』というのは、それだけに見合った実力を持つであろうことは想像に難くない。
「此処は純然と『真っ向勝負』って訳だ。がつーんと一発決めてきてくれよ」
 拳を真っ直ぐに突き出すように焔神は猟兵達に〆の言葉を送った。

「ああ、そう言えば……なんだけどな?ウインドゼファー」
 グリモアの輝きを強めながらも、猟兵達に向けてアグニカはぼそりと呟く。
「……『彼女』らしいぞ?」
 ……見送りの言葉は、何か衝撃的だった、気がした。


逢坂灰斗
 風使いでメカ系装甲とか逢坂の大好物じゃないですかやだー!!!
 ……えっ、女性!?
 逢坂灰斗です。
 今回はスピード怪人『ウインドゼファー』と真っ向勝負して頂きます。

【MSより】
・此方は戦争シナリオです。1フレームのみで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼします。
・チームや団体で参加される方は迷子防止の為【一緒に参加される相手】か【一緒に参加するグループ名】を必ずご記述ください。
・ウインドゼファーの戦術に関しては下記も御覧ください。
====================
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
====================

 では、お目に止まりましたら宜しくお願いします。……御武運を!!
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ララドランカ・アルトリング
アドリブ&絡み歓迎

彼女…ゑ⁉女なの?…流石はキマイラ・フューチャー訳が解らないよ…(偏見)ま、まぁ猿と兎に比べれば、遥かにまともかな…真っ向勝負か…本来こうあるべきなのに、キマフュ幹部って考えると寧ろ可笑しく思えるのはなんでだろうね…

強い…私も…一矢報いるよ…
【月刑呪】発動…

満月の呪いで傷は直ぐに治る。だから相手の暴風は回避は諦めて、頭部等の重要部位の被害を最小限に抑える様に動く
暴風を凌いだら新月の呪いと半月の呪いで攻撃。急所狙いは消えた時点で読まれるだろうから、端から削っていく。私が倒せなくても、他の猟兵に繋げればそれで良い
唯では倒れない…少しでも多く削らせて貰うよ…



●風月の相対
 ララドランカ・アルトリング(Δ-6:人造タール・全域戦闘型・f18090)が花畑の道の先へ辿り着いた瞬間、吹き荒れたのは苛烈な『花の嵐』。当然それはここの門番の苛烈な挨拶である。
 少し備えがあれば良かったかもしれないが、先んじて放たれた暴風に煽られて転倒した彼女は、自らへの被害以上に、戦場に齎された被害に驚愕する。その爪痕が花の道を抉り取り、消滅させる程に鋭く『刺さっている』。
「成る程、確かに強敵ね……。だけど、私の『呪い』はそれすらも立て直すわ」
 彼女にはじめから避けるつもりは無かったが、それでも身体に受けた被害は甚大だ。それを元ある状態へ満たさんと回帰を始める。これこそが【月刑呪】の呪い。
 だが、それすらもウインドゼファーは眉根一つ変えずに一瞥する。
「ええ、貴方に回避するつもりが無いのは理解しました。ならば――」
 ――突き放す、までです。

 花の嵐と言えばその激しさが物語られると思うが、普通の花畑なら足場を失わずに済んだのかも知れない。だが、ここは花畑『そのもの』が足場なのである。
「そちらの目的が私を消耗させることであるなら、『届かなくさせれば良い』だけです。どうやら再生能力をお持ちのようですが――」
 その言葉が紡がれていくのと並行し、花畑は削り取られ、ますます両者の間に『溝』が生まれいく。
(まずい、切り離されて『距離』を取られる――ッ!?)
 焦りと共に完全に距離を取られる前に月喰みの如く半月の呪いを振り翳すが、段々と『削っていく』手応えが無くなっていく。
「――時間稼ぎとはいえ、貴方と長く相手をしていると不利に成るのは私ですから。……それでは」
 怒涛の如く吹き荒れる花散らしの嵐。ララドランカが完全に『手応え』を見失った時、眼前に広がっていたのは――

 ……完全に寸断された花の道が虚しく崖を作っている光景であった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

ヘンリエッタ・モリアーティ
楽しい世界だっていうから「わたし(ルビー)」で来たのにぃ
戦いに女も男もカンケーない気はするんだけどねぇ
でも、正直で真っ向勝負するのはクールでイイわ
強い人ってだぁいすきよ、男も女もね
正直な人だから、私じゃ追いつかない早さで突っ込んで来ちゃうんでしょ
でも「ぶち当たる」ことを想定しておいて待ってればいいわぁ
……とはいえ、無防備じゃこっちが砕かれそう。――ワトソン!
UDCのこの子で盾を作るわ
えぐれようが折れようが、意識さえあれば発動できるものね
……痛いのは嫌だけど負ける方がもっと嫌なの

プレイの最中じゃぁ「疾い」子は嫌われちゃうわよぉ、レディ
――さあ、我らが因果を『ひっくり返せ』ッ!!【因果の滝壷】!!



●蜘蛛糸は滝壺に収束する
(楽しい世界だっていうから「わたし(ルビー)」で来たのにぃ……戦いに女も男もカンケーない気はするんだけどねぇ)
 普段の彼女とはうってかわって快楽と欲望を満たさんとするかのようなその振る舞いは、ヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)に内在する人格……『ルビー』のもの。
 花畑ならばこのような色とりどりの場所でなく、薔薇園が似合いそうな気もする彼女だが――彼女もまた、花の道の先に座する『門番』を見留た。
 即座に此方へと暴風を交えた暴威が飛びかからんとするのを見て、彼女も無策で来た訳ではない。
「正直で真っ向勝負するのはクールでイイわ……そんな、強い人ってだぁいすきよ、男も女もね――ワトソン!」
 即座に忠実なる助手の名を関するUDCが彼女の盾となる。暴威は『彼』を挟まなければ、一撃で終焉を迎えてしまったかもしれない程に苛烈で。
 押し込まれ、その盾で防ぎきっても尚、身体はズタボロに傷を負っていた。

「嫌だわ、こんなに激しいなんて、でも……」
 身体的には余裕は無いのだが、それでも彼女なりの矜持なのか、艶やかに笑む。
「プレイの最中じゃぁ「疾い」子は嫌われちゃうわよぉ、レディ」
「別に私は貴方と寝所を共にするつもりは無いのですがね……」
 終わらせましょう、とばかりに暴風が再び翻ろうとしたが、既に彼女達の『意図』は張り巡らされていた。ならば、後は収束させるのみ。
 傷を背負いながらも、なお妖艶さを失わぬ彼女は告げる。
「――さあ、我らが因果を『ひっくり返せ』ッ!!【因果の滝壷】!!」

 その、満身創痍の身体が叫ぶのは、探偵と教授が共に落ちた終焉の場所。
 ただ、滝壺と言うにはあまりにも。あまりにも――
 ……この魂喰いの触手の群れは、悍ましすぎた。
「さぁ、レディ?一緒に『墜ちましょう』?ただ――ちょっとだけ、貴方にも私と同じくらい、痛くなって貰うだけだから」
 甘美な手招きが全てを誘うかのように。ルビーの後背に座するその蜘蛛糸が全て滝壺へと収束していき――
 ゼファーという疾風の門番は、一度『叩き落とされた』。

成功 🔵​🔵​🔴​

喰龍・鉋
*他猟兵との連携アドリブ歓迎
■防御策
黒剣を球状にして自分を覆ってもらった状態で転送してもらう
一先ずボク自身はこれで無事でいられると思う

グニュグニュと禍々しく敢えて敵性っぽい動きをして
ゼファーの気を引いたら
転送された時の状態のまま暴風で敢えて高く高く吹き上げられる
真っ暗な個室の中で全集中力を研ぎ澄ましながら
【INARIJET】を冷静に装着していく
「お前を倒す、必ずお前を倒す…」という意思で自己強化
【第六感】【野生の勘】でかなり上空にいることを察したら、防御解除
剣を元に戻し落下+最大出力で相手目掛けて突撃、暴風ごとたたっ斬る
解除した段階ですでに目の前に居たら、そのまま殴りぬく!
「兎に角一撃!!」



●執念紡ぎの黒月
 花畑に一つ、唐突に黒い月が投げ込まれた。
 ……いや、突然現れて墜ちてきた、という方が正しいか。
 ゼファーは当然ながらそれに違和を覚え、即座にそれを神速にも至る速度で弾き飛ばした。まるで引き剥がすかのように、遠く、遠く。
 だが、コレがそもそもの猟兵の狙いだった。

 喰龍・鉋(楽天家の呪われた黒騎士・f01859)は予め仕込みをしていた。予め『防御形態のまま転送して欲しい』、と。その目論見通り、苛烈な攻撃を受けながらも無傷の黒玉の中では準備が練り上げ続けられていた。
 ――お前を、倒す。
 ――お前を、倒す。
 ――お前を、……
 呪詛の如きその『構築』は、黒玉の中で膨れ上がり、膨れ上がり――

「――必ず、お前を、倒す!!」
 主の言葉と同時に球体は爆ぜ、元の黒剣の姿へと回帰する。……が、眼下に倒すべき姿はなく、代わりに聞こえたのは、『迎えに来る』声のみ。
「……分かっていました。中に『居る』ことなど。ですが貴方も同じく速さを得られるのならば……私の『風』でねじ伏せるまで!!」
 そんな都合よく『門番』が地にとどまってくれる訳が無かったが、彼女もまた同じく飛行能力を以て加速することの出来る存在。ならば立ち向かう他ない。
「なら、相撃つまでッ、兎に角……一撃!!」

 ――空中で2つの衝撃がぶつかり合う。
 彼女の決死の覚悟も、執念も無駄ではなく、確かに門番への一撃は刻まれたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ゲンジロウ・ヨハンソン
○アドリブ歓迎

速さ…速さか。
早業ならわしも1つだけ自信あるんじゃよ。

○先制対応
ゼファーの攻撃にあわせ、ゼファーに向けて装備した銃で【零距離射撃】の【クイックドロウ】を【カウンター】で仕掛ける。
装備8の【激痛耐性】で耐えつつ、急所は各防具や【オーラ防御】にて【かばう】。
別に倒すための行動じゃねえさ。次のチャンスをモノにするための時間稼ぎじゃよ。
銃弾もかなりの速度叩き出すからのぅ、いくらオブリビオンでも全力の速度でぶつかりゃ結構な痛手じゃろ。
それを器具して回避行動とってくれりゃ、万々歳じゃ。

○攻撃
ゼファーに攻撃できる隙が生まれたら、【選択したUC】を発動。
蒼衣の剣士の光速の剣閃で切り裂いて貰おう。



●疾風と光速の交差する場所
 ゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)は、既に覚悟を決めていた。
 故に、勝負は一瞬の『精度』によって、築かれた。
「――速さ…速さか。早業ならわしも1つだけ自信あるんじゃよ」
 ゼファーと完全に衝突する前の暴風を食い縛りながらも、彼の構えた得物が素早く『吠えた』。
 ……速度持つ相手ならば、1つの鉛玉でもかなりの痛手を与えることが出来ただろう。
 だが、結論を言ってしまうと、それは巧くいかなかった。
「確かに、掠ってしまえば此方が危険でしょう。ですが、私が纏う風すらも突破して当てることが――出来ますか?」
 ゲンジロウの考えは間違いではない。速度を利用する考えは正解だとも向こうも告げている。だが……それを隔てる暴風という『壁』がそれを困難にさせていたのだ。
(不味い、向こうの隙が思った以上に……出来ねぇ!!)
 激痛を堪え、速射で応戦する彼に、無慈悲に暴風が突貫してくるが――

 ――刹那、一閃が割り込むように斬り掛かる。
「私の疾さを上回るとは――何者ですか!!」
「『何者、ではない、俺は……†蒼刻の騎士†だッ!!』」
 異様に疾すぎる速度に対応するには、時空を歪める程の斬撃を与えるしか無い。ゲンジロウも分かっていた。だからこそ、彼を呼ぶ『つもり』だった。
 ……だが、この状況は、彼の方からやってきた、としか言いようがない。
「『……ゲンジロウ、これで一つ『貸し』だ』」
 旧友への直撃を光速の剣戟で切り払いながら『傷』を与えた蒼衣の剣士はゲンジロウの前で壁となる。
 ゼファーと睨み合うような形のまま、振り返らぬまま彼は告げる。
「『今は耐えれるだろうが、暴風と速度が『疾すぎる』。お前に此処で倒れられても困るからな――今は、退け』」
 ――その言葉の最中、ゲンジロウの苦虫を噛み潰すような瞳だけが、ゼファーを見つめていた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

胡・翠蘭
猛々しいのは嫌いではありませんが…やはり、嫋やかな風の方が、好みですわね

【SPD】
足場を崩す風に、まずは耐えなければなりませんわね
防具改造と激痛耐性
風の直撃を避けるべく、第六感と野生の勘で見切り、なるべく回避・防御を致します
その間、最低限姿勢を保てる程度に足場だけは確保して…

…ええ、最低限で十分ですわ
なにせ…わたくしのユーベルコードの疾さは、風を越える光の速さ…即ち、視ることが発動のトリガー

戦の高揚…この快楽を捧げ、
我が身に巣食いし邪神の力を解放し――触手にて、敵の肢体を絡めとりましょう
マヒ、呪詛、毒…たっぷり含んだわたくしのユーベルコード、ぜひご堪能くださいませ…



●招くは快楽の淵へ
 花畑へ、再び猟兵が足を踏み入れる。胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)はその衣を淑やかに靡かせながらも、ゼファーと対峙する。
「猛々しいのは嫌いではありませんが……」
 目を伏せるも、翠蘭はちらと眼差しを向ける。
「……やはり、嫋やかな風の方が、好みですわね」
「私にそのような風は期待しないことですね……全て、振り切って差し上げましょう」

 戦地に暴風が吹き荒れる。痛みも伴うが、それは受けることは既に覚悟していた。故に防具にも強度を加え、自らも痛みの中で駆け抜ける策を持ち合わせていた。けれども、苦痛に喘ぐなどということは翠蘭にはない。
 強者との戦に高揚を感じ取っていたのだ。ああ、戦場においてこのような昂ぶり。これこそ捧げるに相応しい物。
 ゼファーの疾風が足場を崩せば崩す程に。彼女の捧ぐ物は満ち足りる、が。
「――ええ、最低限(これ)で十分ですわ」
 まるで妓女が客を持て成すかのように。彼女は客(ゼファー)を見つめ。
「ふふ、……甘くて深い泥濘の沼に堕ちてしまいましょう?」
 その言葉と共に、怪人を誘う『手』は伸びた。

「――なっ、見ていれば十分だと言うのですか……っ!?」
「ええ、見ることは風よりも疾い、光の世界の出来事ですわ……」
 振り切る為に足場を破壊したことを優先したために、ゼファー自身が移動することはあまりなく、視野に入れること自体は用意であった。それ故に待ち受けた結末は……
「ひっ、あっ」
 疾風の怪人から漏れるそれは彼女からは想像も付かぬ『女』の声で。
「マヒ、呪詛、毒……たっぷり含んだわたくしのユーベルコード」
 四肢を、全身を嫌悪しかねない程の快楽が這い回り――

「ぜひご堪能くださいませ……」
 艶やかに笑むその口許の主が見遣ったのは、疾風の怪人が『墜ちる』姿だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雷田・龍子
◎SPD
ウインドゼファーが風を操るなら、私はそれを利用する。
受けるのではなく【見切り】、対象の力を利用し少しだけベクトルに変化を与え、いなす。
対象の力が強力であればあるほど効果がある。
受けてしまったダメージはアイテム【ドラゴンコイル】で攻撃力に変換する。
対象の先制攻撃に対処出来ても出来なくても構わずUC発動。

私に足場は関係ない。
私は雷を操る。
雷は暴風程度に負けない。
全身を帯電させる。

対象を【催眠術】にかけ惑わせようと試みる。
花の足場を【念動力】で操り、こちらの有利に働かせようと試みる。
対象の攻撃を【見切り】【カウンター】の【グラップル】から渾身のドラゴンスープレックスを試みる。



●風神と雷神、相対する
 雷田・龍子(人派ドラゴニアンの剣豪・f14251)は到着早々に吹き荒れる洗礼の中でも、眉一つ動かさずにそれを受け流していた。
 寸前での見切りは完全回避とまでは行かなかったものの、彼女の手元の『ドラゴンコイル』が唸りを上げる。
 捌ききれなかった余波が、風が、痛みが、莫大な紫電を生み出す。
「――足場を崩すほどの烈風?暴風?関係ない」
 全身にその電流が波及し、その異様は正しく雷龍と言っても良いだろう。
「風如きで、雷が……負ける訳無いだろう?」
「……では、その貴方が侮る風で地に伏して頂きましょうか」

 風神と雷神が相対するかの如き衝突が繰り広げられていた。
 花畑をズタズタに切り刻み、接触を拒むかのようなその乱流において、歩いて辿り着くなど不可能に近い――筈だった。

「この紫電が見せるのは只の放電現象だけに留まらない。視覚をも歪める、夢幻の龍の合氣……!」
 ゼファーは、惑わされていたのだ。花畑の道の破壊は確かに行われていた。だが、それ以上に、龍子の『氣』が。足場を紡ぎ、真っ直ぐに彼女を怪人の元まで歩み寄らせたのだ!!
「地に伏せるのは――」
 自慢の速度ある一撃で対抗しようにも、最早射程内。
「お前だ!!」
 渾身のスープレックスが、怪人を頭部から花畑へ叩き込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

チャド・アランデル
【戦闘】
【チャドの薬瓶】の薬を口に含み【生命力吸収】しながら【チャドの結界石】の範囲を自分に指定し、【身代わりの木】でダメージを【かばう】という防御策。

5本のダガーにマーキングを行い、敵の攻撃範囲を【野生の勘】で【見切り】範囲外へ逃げるかのような【フェイント】を行う。
所々【投擲】による【フェイント】攻撃を行うが、本命は【目立たない】ようにダガーをその場に残す事。
ダガーをその場に残す為、自身の【存在感】を示す。
「え、女の人なのー!? うそー、見えないー!」
ダガーが奇襲を仕掛けれる位置に来たならば、選択UC発動。
【零距離射撃】で【毒使い】による【マヒ攻撃】と【鎧無視攻撃】による【暗殺】を仕掛ける。



●5本のダガーと繋ぐ『印』
 チャド・アランデル(キマイラのシーフ・f12935)の策は花畑へ突入する寸前から仕込まれていた。
 彼の腹案を実行するには、一定時間暴風に晒され続けなければならない。それに対する防備はかなり万全を期されていた。
 結界石の護りに加え、災厄を肩代わる身代わり。仕上げに彼の持つ薬が消耗し続けるであろう体力を補う。あとは――『我慢比べ』、という他なかった。

 当然ながら、彼の襲来にゼファーは足場を刻む程の暴風で以て応えた。
 ぴしり、ぴしり。災厄を肩代わりし続ける『身代わりの木』が悲鳴を上げる。チャド本人が全てコレを被り続けているのならば彼の策は続行不可能であっただろう。暴風の中でも投擲は行われ続けるが、無論この嵐の中では無謀に近かったであろう。だが、それも彼の策の内。本命は、その最中にも足場に埋め込まれ続ける5本のダガー。
「え、女の人なのー!? うそー、見えないー!」
 まるで煽るような言葉にも聞こえるが、快活な声色が彼の存在がまだあると示し続けている。流石にそのような自体に業を似やしたのか……ウインドゼファーが『動いた』。
「そちらも時間を稼ぐのがお好きですか?ですが――もう耐えられないでしょう」
 『身代わりの木』に致命打が入る寸前――彼の策は実行された。
 ゼファーの足場に突き刺さっていたダガーに刻まれていたのは――印。
 彼女が全力で暴風を叩きつけようとした瞬間に、全ての策が結実した。
「そーだね。じゃあ……終わりにしよっか!」

「――後ろの正面、だーれだ!!」
 その言葉と共に突き刺さったのは、その身を害する致命の毒針。
 くるり、と振り向こうとしたその時間は彼女にとって異様に長く感じられただろう。
「そんな……私が、背後を取られる、だなんて」

 絶望にも似たその言葉が紡がれると同時。風の怪人は花畑に倒れ伏した。
 ……彼女にとって何度目かは分からないが、此処の彼女は終焉を迎えたのである。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年06月09日


挿絵イラスト