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バトルオブフラワーズ⑪〜風のバイラール

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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●バトルオブフラワーズ
「モンキーに続きバニーまでとは、驚きました」
 ぽつりと零し。でも、と――スピード怪人『ウインドゼファー』は言葉続ける。
 私の役目は門番、と。
「ドン・フリーダムがシステム・フラワーズを取り戻すまでの時間稼ぎならば、私の『風を操るユーベルコード』でも、決してあの2人にひけは取りません」
 ウインドゼファーはとんと、花で作られた足場をとんと、車輪剣の剣先で叩く。
「かつて、ドン・フリーダムが開放した『無限大の欲望(リビドー)』は、人類を怪人化させ、滅亡へと導いた」
 溜息のように落とす。それは過去のことを思ってのことだろう。
 しかし。
「だけど今なら、オブリビオンとして蘇った私達なら、無限大の欲望も喰らい尽くせるはず。私達は全てを手に入れる」
 戦意は、高まっていた。ウインドゼファーの声には強い意志が宿っている。
「誰にも、邪魔は、させないッ!」
 ここから先には行かせないとウインドゼファーは立ちはだかる。この先へ向かおうとする猟兵達の前に。

●予知
 皆様、お疲れ様です! とヤドリガミである華切・ウカ(空鋏・f07517)は紡ぐ。
 キマイラフューチャーでの戦いもあともう少し。
 次なる敵はスピード怪人『ウインドゼファー』なのだとウカは告げた。
 マニアック怪人『エイプモンキー』、カワイイ怪人『ラビットバニー』を下し最後の幹部。
 この敵を倒せば、ドン・フリーダムへの道が開けるのだ。
「ウカがお送りする場所は、花の戦場です」
 その戦場の足場は花でできている。よってウインドゼファーの攻撃でその足場を崩されることもあるのでご注意くださいとウカは続けた。
 穴がぽっかり空けば、そこから下へ――つまり戦線離脱となるわけだ。
 それから、敵はこちらの攻撃よりも先に攻撃を仕掛けて来る。その対策を何かしらしておく必要もあると続けた。
「初撃をどう耐えるか、とか。避ける、とかですね」
 なんにせよ簡単にいく相手ではない。
 それぞれ、できうることを為してきてくださいとウカはその手のグリモアを輝かせ、猟兵達を戦場へと送るのだった。


志羽
 御目通しありがとうございます、志羽です。
 締め切りなどについてはマスターページの【簡易連絡】にてお知らせします。
 プレイングが遅れる限りは送って頂いて大丈夫ですが、全員描写するとは限りません。

●シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「バトルオブフラワーズ」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●ルール
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

 また、技能だけを使うのではなく、こういう攻撃なので、こういう風に動く、などと具体的にお願いします。
(たとえば「右からの斬撃を、腕を盾代わりに。失う事覚悟の上で踏み込み拳を叩き込む」などです。)

●運営シナリオ数について
 運営シナリオ数に制限はありません。戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。

 以上です。
 ご参加お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

デナイル・ヒステリカル
決意と使命感を持ち、この場で猟兵の足止めに徹する敵ですか
加えて、普通のスピード勝負では勝てそうにない
となれば相手の意思を利用するべきだと判断しました

防性硬化プログラムで可能な限り身を固めて敵UCによる暴風に逆らわず吹き飛び、一度攻撃範囲から脱します
遠方にて暴風に舞う花の足場を見切り、吹き飛び方を情報収集して、敵までの道筋を構築します

「僕はあなたを無視して真っ直ぐ進み、この戦争に勝利します!」
「あなたが猟兵を阻むと言うのなら止めて見なさい、勝負です!」

相手に回避ではなく迎撃を選択させる意図でこれからの行動を宣言し、UCを使用
飛ぶ足場を蹴り暴風を割って高速で接近、雷撃で金属部位を狙い攻撃します



 ひらりはらり。
 一歩踏み出せば花が舞う。
 見た目も美しいその戦場にて、ただひとり。
 この先には進ませぬと立ちはだかる者がいる。
 それはスピード怪人『ウインドゼファー』だ。
「来てしまいましたね、猟兵」
 ここでお前たちは終わりなさいとウインドゼファーが視線向けた相手はデナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)だった。
「決意と使命感を持ち、この場で猟兵の足止めに徹する敵ですか」
 普通のスピード勝負では勝てそうにないと、デナイルは冷静に状況を見ていた。
 となれば、相手の意志をデナイル利用すべきだとデナイルは判じる。
 防性硬化プログラム――観測で取得したデータを高速処理し驚異目標と接する箇所を硬化させる攻防一体の演算を走らせる。それは己の身を固めて敵の攻撃を耐えるための対策。
「私の前から、消えなさいッ!」
 ウインドゼファーの言葉と共に暴風が巻き起こる。それは彼女の傍から花の足場を砕きながら真っすぐデナイルへと走り抜けた。
「っ!!」
 その暴風に吹き飛ばされる。暴風が通り抜ければ切り裂くような痛みがその身に走る。だが、逆らわなかったことで、流し切れたダメージもあるようだ。
 意識がちぎれそうになる、それを堪えて周囲の情報を得る。
 暴風に吹き飛ばされたことを利用し、その攻撃範囲より一度脱しようとするがこの戦場全てに手が届くようだ。
 暴風の一撃をしのげはしたが――意識は揺れる。もう一撃もらえば確実に倒れるだろう。
 空に飛ばされながら、デナイルは戦場の情報を集めその道筋をたどる。避けられれば、次をあてるのはおそらく難しい。
「僕はあなたを無視して真っ直ぐ進み、この戦争に勝利します!」
 ばちりと、青白く瞬く稲妻が跳ねた。それを纏い、デナイルはまだ無事な場所を着地と共に走り抜ける。
「あなたが猟兵を阻むと言うのなら止めて見なさい、勝負です!」
「何を……攻撃できるなら、してみなさい!」
 その言葉を引き出せただけで上々。デナイルが狙っていたのは回避ではなく迎撃。
 暴風を割るように接近し、その身より雷撃を放った。
 構えたウインドゼファーのその右手。金属でできたそれに雷撃は効く。
 ウインドゼファーの右腕を走り抜けた雷撃。彼女はぐ、と一瞬動き鈍くなった右腕を見やる。
 そしてデナイルもまた一撃を叩き込むのが、今の限界。
 ウインドゼファーは一撃もらいましたがまだこのくらいではとその場に崩れ落ちるデナイルへを一瞥する。
 デナイルのその身は、強制送還の光に包まれていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルカ・ウェンズ
全てを滅ぼすじゃなくて手に入れたいのね、全てを手に入れたらもっと速くなりたいのかしら?
【行動】敵のUCに対抗するために
①(どこが目や耳かわきらないけど)対オブリビオン用スタングレネードで【恐怖を与える】ことで動きを止める
②【残像やダッシュ】を使い敵を惑わしUCを回避する
③変形式オーラ刀を銃にしてからの【2回攻撃】や仕事人の拷問具での【範囲攻撃】で敵を牽制する
どれか一つでも上手くいったら【戦闘知識】を使っての【空中戦】で敵の後ろをとり【怪力】まかせにUCで攻撃して敵を破壊するわ。
【心情】どれも失敗して敵のUC攻撃を受けたときに備えて【オーラ防御と激痛耐性】で身を守りその後は……UCで反撃するわ!



「全てを滅ぼすじゃなくて手に入れたいのね、全てを手に入れたらもっと速くなりたいのかしら?」
 ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)はウインドゼファーへと問いかける。
 しかしウインドゼファーは、答える必要などないと何も返さない。
 戦いの構えを見せた途端、ウインドゼファーはその身を一層の暴風で包み込む。
 速く、速くと己の欲望を磨き上げて――とんと地を蹴った。
 対オブリビオン用スタングレネードをルカは投げる。しかしウインドゼファーにそれは届かない。
 彼女が纏う暴風に遊ばれて遠くに飛ばされただけだ。もし当たっていたとしても、確固たる意志を持っているものが揺らぐとは思えない。
 そして――ウインドゼファーの方が格上なのだ。
 一挙動の間にいくつもの対策をとるのは無理だろう。
 ルカがとろうとする行動よりもウインドゼファーの方が速さに磨きを上げ、その戦闘力を増強し終わっている状態。
 ウインドゼファーが己を強化するのを避けることはできない。ルカが動くよりもウインドゼファーの方が速い。
 ルカが変形式オーラ刀を銃に変えるその間に、そして牽制の攻撃をかける前にウインドゼファーは距離を詰め、その車輪剣を振り払った。
 何もできぬままに、彼女のそれだけでルカの意識は飛びかけるがどうにか、己の身を守る術、痛みを堪える術とで持ちこたえた。
 代わりにルカが得たものは――己の身を変える術。
「オブリビオン滅すべし」
 その姿を変じるがウインドゼファーもやすやすとその間を与えるわけはなく。
 一撃くらった直後、速さに重さ乗せた一撃をウインドゼファーはかけてくる。理性なく、避けることなど頭にないルカ。正面から入った攻撃により意識は落とされ、帰還の光に包み込まれるのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

斬崎・霞架
※アドリブ歓迎

【泡沫】

全てを手にいれるとは、大きく出ましたね
ええ、お好きにどうぞ
吼えるだけなら、犬にも出来ますから

【WIZ】

まずは相手の初撃を防ぎましょう
マリアさんのオーラ防御に、オーラ防御を重ねます
手でも取り合ってみますか?ふふ

前に出ようとするマリアさんを手で制し引き留め、前に
ここはお任せください、お嬢さん

殺気で注意を引きつつ、相手の動きを見切り『梅花』でカウンター
マリアさんに手出しはさせませんよ

納刀し構え直す
ただ疾く、ただ鋭く
残る力を全て込め、最速最短で迫ります
――瞬刻【雷音】

ええ、“後の事”は気にしませんよ
何故って、気にする必要がありませんから
(控えるマリアを信じ全てを載せる)


マリアドール・シュシュ
【泡沫】
アドリブ歓迎

今度は風を操る怪人が出てきたわ、霞架(花風に髪とドレス揺れ微笑
マリア達は先へ進まなければならないの
その門は抉じ開けさせてもらうのよ

敵の初撃は霞架との二重オーラ防御で全方向からの攻撃を全て跳ね返す

今回はこのままマリアが前で…
ふふ、分かったのだわ(後退
霞架の背中、マリアに護らせて頂戴
だからどうか、あなたは前だけを向いていて(するりと指絡め離し

霞架の陰に隠れて竪琴構え
彼を示す菖蒲の花言葉に違わぬよう、麻痺の糸絡めた星屑の序奏曲を竪琴で奏でて演奏攻撃(マヒ攻撃・楽器演奏

霞架のUC発動後、堂々と姿見せる
己の高速詠唱で【透白色の奏】使用
確実に当てる

繋いだこのチャンスは必ず活かすのよ!



 マリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)は花風にその淡い銀の髪とドレスの端をなびかせてゆるやかに微笑を浮かべた。
「今度は風を操る怪人が出てきたわ、霞架」
 そう言ってマリアドールが視線を向けた先、斬崎・霞架(ブラックウィドー・f08226)は瞳を細めた。
「全てを手にいれるとは、大きく出ましたね」
 そして――ええ、お好きにどうぞと柔らかに笑むのだが続く言葉は挑発的。
「吼えるだけなら、犬にも出来ますから」
「マリア達は先へ進まなければならないのその門は抉じ開けさせてもらうのよ」
 その言葉にウインドゼファーは行かせはしませんと強く、言い放つ。
「ふたりまとめて、地に倒れなさい!」
 ウインドゼファーが地を蹴るとその身の車輪、そのすべてが高速回転を始めた。
 先の戦いであがっている速さと、そして攻撃力。それと共に、己の命を削りながら二振りの車輪剣から放たれたのは嗤う竜巻だ。
 巻き上がる竜巻――それを目の前に霞架はマリアドールへと笑み向けて。
「手でも取り合ってみますか?」
 ふふ、と笑い零しながら霞架はマリアの手を取った。
 竜巻は二人分のオーラの守りの上を走る。
 その竜巻は簡単に二人の守りを砕いてその身を裂いていくが、威力は弱まっていたのだろう。どうにか二人は立っていられた。
 二人分重ねる。しかしオーラの守りがそれで倍以上に膨れ上がるでもなく。
 そして、際立ってその防御が高いかと言えばそうではないのだから砕かれるのは必然だった。
「今回はこのままマリアが前で……」
「ここはお任せください、御嬢さん」
「ふふ、分かったのだわ」
 前へ出ようとするマリアドールを霞架は制す。その代わり、とマリアドールは口を開く。
「霞架の背中、マリアに護らせて頂戴。だからどうか、あなたは前だけを向いていて」
 するりと、繋がれた手。その指をマリアドールは撫でて絡め直す。
 殺気を放ち――ウインドゼファーの気を惹く。
 マリアドールには手出しはさせないと、いうように。
「ただ疾く、ただ鋭く」
 残る力を全て込め、最速最短で霞架は迫る。その一刀にすべてを込めて、納刀状態から解き放つ。
 ウインドゼファーの車輪剣がその一撃を受け止め、そして霞架へと落ちる。
 後の事は気にせず突っ込んでいけば、攻撃を受けることは覚悟の上。
 けれど何故そうしたか――そうできたかと言えば気にする必要がないからだ。
(「信じ、て……います」)
 霞架はマリアドールへと後を託す。
 霞架の陰に隠れて、マリアドールは竪琴を構えていた。霞架が膝をつき倒れると共に、マリアドールはその姿をみせ。
 彼を示す菖蒲の花言葉にたがわぬように黄昏色に眩くハープを奏でつつ詠唱を素早く、終わらせ視線を――ウインドゼファーへと向ける。
「繋いだこのチャンスは必ず活かすのよ!」
 麻痺の糸絡めて旋律奏でる。その音はウインドゼファーの身に響いてはいるが、その歩みを留めるものではなかった。
 マリアドールにも車輪剣が向けられたのだが、その音を奏でマリアドールは最後まで、攻撃を続けた。
 意識途切れる中で、ウインドゼファーの言葉を聞く。
 痺れが、と――それは感覚が鈍った事を認められぬような、声色だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レクシア・ノーレッド
…初めまして、門番さん。スピード怪人、ウィンドゼファー。
…私の目的は簡単だよ。「貴女を、貴女の力を喰らう事」。

【POW】

相手の初手が強化系なら、こっちもそのタイミングを《見切って》UC【接続/解放】で高圧電流を流し自身を強化するよ。
相手の体は機械っぽいし、電流はよく通すんじゃないかな。同じタイミングで強化すれば、初動に遅れは出ない筈。
後は自分の体を分裂させたり、《ダッシュ》や《見切り》を使いつつ接近を試みる。
…1回でもいい、どうにかして身体に触る。そうしてUC【侵食/捕食】の条件を満たして、《捨て身》の覚悟で喰らい付きに行くよ。

「⋯あぁ、あぁ…!今すぐ、貴女をバラしてあげる―!」



「……初めまして、門番さん。スピード怪人、ウィンドゼファー」
 ウインドゼファーの前に漆黒の髪と漆黒の肌もつブラックタールのレクシア・ノーレッド(『捕食者』・f01101)はオレンジ色の瞳で見つめていた。
 この先には行かせませんとウインドゼファーは静かに、けれど強い意志を持って紡いだ。
 そんな彼女へと、レクシアは言葉を向ける。
「……私の目的は簡単だよ」
 貴女を、貴女の力を喰らう事、と紡ぐ。
 レクシアは見切ろうとしていた。
 相手がその身を荒れ狂う暴風に包み込むなら、同じタイミングで己を強化すれば――初動に遅れは出ないはず。
 それに相手の体は機械のように見える。電流はよく通すのではないかと。それならば己の『接続/解放』とは相性が良いはず。
 そう思うものの――相手のほうが格上の存在。そのはずだったがしかし、攻撃が重なりその動きは鈍くなってはいた。
 レクシアがその身に蓄えていた膨大な魔力に覚醒し、高圧電流を纏った身体に変身するよりも、僅かに早く。
「私のほうが、速い――」
 そばで聞こえたその声。しかし、それを見切り避ける事はぎりぎり、ウインドゼファーの力が先の戦いで落ちていたこともあるが、レクシア自身が避ける事を優位に運ぶ能力を磨いていたため、直撃はなかった。
 攻撃はかわしたが、しかしその風圧によってレクシアは吹き飛ばされる。
 どうにか、一撃を持ちこたえはした。捨て身の覚悟でレクシアはその身より雷魔法を放ったが、しかしもうそこに、ウインドゼファーはおらず近くに接している。
 次の挙動をとる前にそれを察して再び先制攻撃を叩き込んできたのだ。
 一層激しい荒れ狂う暴風にその身を包んでレクシアの身をその車輪剣でただ殴り飛ばす。
 その衝撃から逃げ切れることもなく、レクシアの意識は遠ざかり、意識は途絶えた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

姫城・京杜
速さと耐久力の勝負だな、負けらんねェ!

敵初撃の対策は【紅き陽炎】発動、10倍強化し固めた護りで耐える
地に確り足をつけ踏ん張って
花が吹き飛ばされないよう【天来の焔】で覆う様に足場ごと護る
10倍強化した盾受けで歯ァ食いしばって意地でも耐えるぞ
「く、重…!けどな、風に煽られた焔はもっと燃え盛るんだぞ!」

初撃耐えたら強化されてる2回攻撃で反撃
同じく強化シールドバッシュを一撃目で叩き込み
敵が体勢崩した隙狙い、目に見えにくい【焔紅葉】を放ってすかさず斬り刻む!
「捕まえたぞ、いくらスピード誇っててももう逃がさねェ」

は、一撃入れられたけど、さすがに膝笑ってんな…
でも、少しはあいつも褒めてくれるかな?(そわぁ



「……また、来た」
 静かにウインドゼファーは紡ぐ。纏う暴風は衰えることはない。けれど――少しずつ、負傷は蓄積していた。
 己の命も、削っていたのだから。
「この速さに、ついてこられる?」
 新たに現れた猟兵――姫城・京杜(紅い焔神・f17071)へとウインドゼファーは問いかける。
「速さと耐久力の勝負だな、負けらんねェ!」
 京杜はニッと口端上げ、その掌を拳をぱしんと軽い音たてて打ち鳴らした。
「ならば、耐えてみせなさい!」
 ウインドゼファーは暴風を巻き起こす。大きく腕ふって起こる暴風。それはこの場を、その足場から崩すように巻き上がっていくのだ。
 その暴風を耐えるべく、白き手袋から成される焔の盾を京杜は顕す。
 焔の盾はその暴風では消えない。足元から、その足場崩されぬように花も共に守るのみ。それを支え、京杜は通り過ぎる暴風からの圧力を堪えていた。
「く、重……! けどな、風に煽られた焔はもっと燃え盛るんだぞ!」
 しかしこのままでは――耐えきれない。それなら己の持つ力を高めるのみ。
「立ち昇れ陽炎、我が神の盾に」
 すうと息を吸い込んで紡ぐ。地に確り足を付け踏ん張って、暴風が通り過ぎるのを待つだけ。
 己の持ちうるものを10倍に強化し盾で受け流し、歯を食いしばって今はただ耐える。
 吹き飛ばされそうな苛烈な暴風の中は立っているだけでもその体力は奪われ足元もふらついてくるものだった。
 けれど耐えたのだ。圧される、押し切られる感覚は強く持ちこたえるのはやっと。
 暴風が通り過ぎた瞬間、その盾をもって京杜は走る。目の前の割れた足場を飛び越えて、ウインドゼファーの元へ。
 盾を持っての体当たり。焔が揺れる中、京杜はもう一つ――炎の如き紅をウインドゼファーへと放った。
「捕まえたぞ、いくらスピード誇っててももう逃がさねェ」
 それは鋼糸――炎と紅葉が舞ってその身を斬り刻む。
「っ!」
 ウインドゼファーの装甲に亀裂が走る。その様によし、と笑み浮かべそうになるのを堪えた。まだ戦いは終わっていないのだからと。だが京杜は己の限界もわかっている。視界が回る感覚が襲ってきたからだ。
「は、一撃入れられたけど、さすがに膝笑ってんな……でも、」
 少しはあいつも褒めてくれるかな? と思い浮かべたのは己より小さいのに尊大な――けれど、その姿は薄れる。
 立っているのもやっと、限界を踏み越えていたその身は大きく後ろへと傾いで。そのまま踏み止まる事できず意識が途切れたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アール・ダファディル
駄々子のような暴風だな

足場に出来るほどの花々の強度を生かそうか
伸縮性富んだ繰紐を己に括り引き延ばし、
ロープワークで暴風の被害被らぬ他の花々に巻き付ける
風が直撃する前に紐弾き一気に跳躍し場から移動しよう
命綱は大切だな。高所からのバンジーで無くても有用だ

【仮初一座による即興劇】用い、
敵に対抗するよう高速移動で攻撃を回避しつつ囮と為る
同時に不可視の糸を足元から忍ばせ花畑一帯を覆うよう隙間無く張る
幾ら飛び駆けようと糸巡らせた花畑に踏み入る以上命中したも同じ
「動きを止めろ」
命ず儘、無垢な門飾りと為るがいい

予め、花纏わせ潜ませた≪彼女≫へ本命の遊びを託してある
敵が停止した瞬間、装甲薄い関節部に一撃を――と



 駄々子のような暴風だな、とアール・ダファディル(ヤドリガミの人形遣い・f00052)は紡ぐ。
 ウインドゼファーの纏う暴風はその勢いを落としていた。戦場に幾つも裂いたような跡がある。それはウインドゼファーが作ったものだとアールはすぐに理解した。
 足場にできるほどの花々――それをちらりと一瞥しアールは繰紐を己に括り引き延ばす。
「また……続々、現れて!」
 若干の苛立ちだろうか。けれどウインドゼファーはそれをすぐに律し隠してしまう。けれどそれを――アールは見通して琥珀色の瞳に笑みを浮かべた。
「俺にもその暴風を向けるのか?」
 そう言って挑発する――アールの言葉に誘われるようにウインドゼファーは暴風を生み出し、放つ。
 しかし、アールはその暴風直撃する前に紐弾き一気に跳躍し移動する。その風さえも利用してみせるというように。
 跳ねる、それを追いかけて暴風がその足元を削りながら追いかけて来る。
 着地の瞬間、暴風が荒れ狂う。その暴風に足元が崩され、アールはその戦場の外へと――落ちかけた。
 けれど、落ちることはない。跳ねるように戦場に引き戻される。
「命綱は大切だな」
 その命綱を扱う術をもって、暴風より逃げる。強い花々に結んだ柔らかな繰糸は跳ねて、元いた場所を飛び越えて、アールをウインドゼファーへと近づけた。
 途切れた風の間からアールは琥珀の繰糸をまとう。
 その動きは目に見えて、速く――ウインドゼファーの心を擽るもの。
 纏う琥珀がきらめいて、同時に不可視の糸を戦場を走りながら、この場を覆うように張り詰める。
「動きを止めろ」
 糸巡らせた花畑。紡いだ言葉にウインドゼファーの動きが留まる一瞬。それで充分だった。
 そして――いつも傍らにいる。けれど今は隠れている≪彼女≫へと合図を送る。
「Echo」
 アールは≪彼女≫の名を紡ぐ。ぴょんと花畑から飛び出すアールの片割れこそが本命なのだ。
 その動きとどめている間に、その脚部、装甲の薄い関節部へと≪彼女≫は一撃を繰り出した。
 その衝撃にがくりと態勢を崩してウインドゼファーは膝をつく。
「こんな……ぬいぐるみに!」
 悔しがる声。ウインドゼファーはその糸か、とアールをこの場にうまくつなぎとめるものを見つけた。
 バランス崩しても暴風を巡らせて、アールの命綱を断ち切っていく。そのまま、暴風に飛ばされた≪彼女≫を繋がる繰糸引いて受け止め抱き寄せて、戦場の外へとアール達は吹き飛ばされたのだった。
 しかし、ウインドゼファーの動きはもう、思うままには動けないほどに鈍く。
 そうなっていることに口端を上げて小さく笑みながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

シノア・プサルトゥイーリ
花の戦場…
美しいところね

下手に躱すよりは受けた方が良さそうね
打ち込まれる勢いに、迎え撃つように前に出て
腕のひとつは差し上げるわ
けれど、カウンターでの一撃を狙いましょう
2本の車輪剣がこの身を割いたのであれば、動かぬように掴むか、返す一撃を

ただの斬撃で倒せる相手とは思ってはいない
嵐が空の王者となるのを阻む鳥の戯れと思えば良い

その隙に第七の詩篇を紡ぎ、相手の動きを止めましょう

あぁ捨て身ではなくてよ
ただ使い所を分かっているだけのこと。
他の猟兵とよく連携して少しでも傷をつける

全てまで封じられずとも、動きを一瞬止められたなら刃を通す
たとえこの身が引き裂かれても、貴方の願いは叶えさせない

UC詠唱省略可



 シノア・プサルトゥイーリ(ミルワの詩篇・f10214)は戦場に降りちすでに戦闘繰り返され荒れた場所を見回す。
 花々は散って、地は抉れ真っ黒な空間をたたえていた。
「花の戦場……美しいところ……だった、かしら」
 その様を見てみたかったけれどと視線投げれば、ウインドゼファーの動きは乏しい。片足を引きずりまともに動けない様子。それは今までこの場を訪れた猟兵達の戦果だ。
「お相手願えるかしら?」
 シノアが構えると同時に、ウインドゼファーは己の内の車輪を回すのは受けた攻撃を軽減するため。けれどその代償は命を削ることだ。
 どうにか、二本の車輪剣をもって踏み込んでくる。その勢いにシノアは瞳細めた。
 それは己の最後が近いことをわかっているからこその、動きだったのかもしれない。
「下手に躱すよりは受けた方が良さそうね」
 迎え撃つように前にでて、その車輪剣をシノアは正面から受け止める。
 対の車輪剣は交差するように振り下ろされる。それをシノアはただ、微笑んで。
「腕のひとつは差し上げるわ、けれど」
 ただでは終われない。回る車輪が片腕を轢いて、裂いてぼろぼろに。痛みに表情は一瞬顰められるが、その車輪剣の一つをシノアは掴んだ。
 まさか――回転するそれを握り、留められるとはウインドゼファーも思っていなかったのだ。
「な、に!? 離して!」
 その慌てた声にいやよと、シノアは笑む。
 ただの斬撃で倒せる相手とは思っていない。
 嵐が空の王者となるのを阻む鳥の戯れと思えば良い――詠唱紡ぎ終われば、天空の門より光槍がいくつも現れる。
 その身と繋がる車輪剣を掴まれてしまえば、ウインドゼファーも動けない。
「まさか……捨て身なの!?」
 少し慌てた声にいいえ、とシノアは首を振る。
「ただ使い所を分かっているだけのこと」
 逃げられなければその速さも意味が無く。降り注ぐ破魔の光槍が次々と、ウインドゼファーの身を貫いていく。
 低く、耐えるような呻き声。シノアが彼女を抑え、留めておくにも限界があった。
 力の入らなくなった腕がだらりと落ちる。けれどもう一方の手が、腕がある。
 動き止まる一瞬を見逃さず、シノアは異端の血を啜る呪われた太刀を貫き通す。
「たとえこの身が引き裂かれても」
 貴方の願いは叶えさせないと、シノアが向けた一刀はウインドゼファーが動く、その柱たるものを貫いたのだろう。
 途端、その刃にかかる重さが跳ねあがる。ウインドゼファーはその場に膝をつき崩れ落ちた。
 呻き、もっと速く……と細い声を溢しながら。
 それと同時にシノアもひとつ、大きな息を吐いてその場に膝をついたのだった。
 けれどここにいると己のまだ動く、太刀を持つ手を見詰める。
 。動かなくなりその姿消していくウインドゼファーの姿を見送りつつも、シノアもまた帰還の光に包まれるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月22日


挿絵イラスト