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バトルオブフラワーズ⑪〜嵐の前奏曲

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

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●ストームプレリュード
 二振の車輪剣を携えたのは、男とも女ともつかぬ怪人だった。
「モンキーに続きバニーまでとは、驚きました」
 否、語る口調がそれとはなしに緋色のマスクを被る怪人の性が女であることを知らしめる。
「でも、私の役目は門番」
 女は告げる、己が風の使い手であることを。
 時間稼ぎなら、エイプモンキーやラビットバニーにも劣らぬと。
「かつて、ドン・フリーダムが開放した『無限大の欲望(リビドー)』は、人類を怪人化させ、滅亡へと導いた。だけど今なら、オブリビオンとして蘇った私達なら、無限大の欲望も喰らい尽くせるはず」
 ざわ、と。どこからともなく、風が吹く。
 嵐の予感が、肌を泡立てる。
 襟飾りとでもいうように、悠々と弾帯を纏った女ーースピード怪人『ウインドゼファー』は、バイクのグリップを彷彿させる柄を握りしめ、走り出したそうにしている車輪をいなして構えた。
「私達は全てを手に入れる」
 ーー誰にも、邪魔は、させないッ!

●報せ
 システムフラワーズへと至る、第二の関門であったラビットバニーの撃破に猟兵たちは成功した。
 次なるは第三の関門。
「待ち受けるのは、ウインドゼファーという怪人だよ」
 状況は飲み込めているよね? とおおよそは略した連・希夜(いつかみたゆめ・f10190)は、急ぎ猟兵達の転送の準備に入る。
「当然、ウインドゼファーも怪人軍団の幹部だ。相応の強さだし、オブリビオンだから何度だって蘇るーーけどね。これまでがそうだったように、倒せないわけじゃない」
 短期間で、集中的に。幾度も、幾度も。幾度も屠れば。復活は不可能になるのだ。
「というわけで、皆にもその一翼を担って貰いたいってわけ。送り出す先は、ライブ会場みたいなステージだよ」
 中央に2メートルほど競り上がったステージがあり、その360度をアリーナ席とスタンド席が囲うような構造になっている。
「ま、実際に席とかあるわけじゃないから。高低差がある戦場だと思ってもらえればそれでOK!」
 ウインドゼファーは戦場を縦横無尽に駆けるだろう。
 高らかに歌うように駆けて、駆けて――嵐を巻き起こす。
「負けるみんなじゃないでしょ? だから、こっちも思い切りよくね」
 大丈夫、何とかなるって。
 〆に朗らかに笑った希夜は、『いってらっしゃい』と猟兵たちを苛烈な戦場へと解き放つ。


七凪臣
 お世話になります、七凪です。
 スピード怪人『ウインドゼファー』戦をお届けします。

●特殊ルール
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。

●運営シナリオ数について
 運営シナリオ数に制限はありません。戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。

●シナリオの流れ
 このシナリオは戦争シナリオです。1フラグメントで完結いたします。

●シナリオ傾向
 純戦。
 技能やUC主体ではなく、それを如何に活かすかをお考え頂けるとより輝けるかもしれません。

●その他
 プレイングの受付開始は5/18(土)の8:30から。
 受付締め切りタイミングはマスターページ等でお報せします。
 描写人数は成功達成最低人数前後になると思います。
 連携は二人組まででお願いします。

 皆様のご参加、心よりお待ちしております。
 宜しくお願い申し上げます。
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第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シュデラ・テノーフォン
是非ヤり合おう
さァ、勝負だ

POWで行くから…高速か
暴風は幾ら荒れ狂っても風向きは台風みたいに一定方向じゃないと打ち消しあうんじゃないかな
場に大量に舞ってる花弁の流れで風の動きを予測
風の精霊弾で逆回転の風をぶつけ威力を弱める
連射で撃てるだけ放ち少しでも勢いを殺す
それでも突撃してくるだろうから、来る方向を風の流れと野生の勘で確定
指輪の盾を展開して全力で盾受け。ギリギリ迄衝撃抑える
一応ね、コレでもパラディンなんだ
防がないと誰かを守れないんでね!

精霊弾と硝子盾、二重の防壁で敵の力を弱め
最後は硝子の城壁で防ぎ切る
彼女を止めたらさァ捕まえた
城壁解除と同時にマスケット銃をクイックドロウで狙い撃つ
楽しかったよ


ルカ・アンビエント
そのステージ、割り込ませてもらうんで
嵐とて、いつ迄も空の支配者じゃいられまい

敵の先制攻撃は、霊符を構えて耐えましょうか
別に、防ぎきれるとは思っちゃいない
腕でも足でも使って防ぎ斜線をズラせれば
この翼がようやく役立つ
それに、この一撃届く時には、貴方も俺の間合いにいるでしょう?

不敵に笑い、鳥羽の契を発動
随分と早いようですが、そのモードは寿命を削るようですね?

ま、人のことは言えませんが…だからこそあれを使わせるのは手だ
…俺も、身内のことは言えませんね

踊れ幻の蝶 我が血の紡ぐ鳥よ
幻をあちらの視界に広げ邪魔としましょう
他の猟兵が連携し、幻は破られれば鳥へと変えぶつける

俺たちは取り戻すことを望むんですよ


泉宮・瑠碧
先制攻撃は…
竜巻は剣からだよな
なら発生場所は分かり易い

僕は主に精霊祈眼で属性攻撃
先に精霊に呼び掛けておき
意思と同時に影響出来る様に高速詠唱

放たれるタイミングや規模は第六感も使用して
風の精霊による大きな風の刃で切り開く

UCが間に合わない場合は
放たれた際に竜巻の向きを見切り逆方向へダッシュ
自身が高い位置に居たなら一番低い場所へ
逆に下段で放たれた場合はステージ上へジャンプするか
ステージを挟んだ反対側へダッシュして回避

真っ先の目標は車輪剣
特に車軸の辺りを氷の精霊により凍らせて回転を止めよう
次に踵、そして肩口
接近されるなら足元を凍らせて移動を封じる

回転を止めれば
怪人自体を全力魔法で凍らせよう
…すまない



●奇跡を束ね
 無数の花で構築されたステージの中央に、風の女は背筋を伸ばして立っていた。
 ともすれば、美しい光景だ。
 しかし女――ウインドゼファーの放つ殺気が全てを裏切る。
「いいねェ」
 ピクリ。ただただ白い毛並の狼耳を欹て、シュデラ・テノーフォン(f13408)は端正な顔立ちに凶暴な笑みを浮かべる。
「是非ヤり合おう」
 ――さァ、勝負だ。
 黒いロングコートを翻し、シュデラは転送されたスタンド席の最上段から駆け出す。
 危険な逢瀬を歓待でもしているのか、男の横顔は燦然と輝く。
 繊細な硝子細工が光を受けて煌めくのによく似ているようで、真逆のそれに泉宮・瑠碧(f04280)は、睫毛を震わせそろりと瞬く。
 見知った顔、どころではなく。一目で誰かが分かるくらいには、馴染みの顔。けれど今のシュデラはアルダワ学園に程近い静かな通りに店を構える主ではなく、獣の血を湧き立たせる狂った狩人。
 しかし奇遇の感慨が瑠碧を捕らえたのは刹那。
「さて、と。それじゃあ、ワンマンライブに割り込ませて貰うとしましょうか」
 風に弄ばれる柔らかな鳶色の前髪の狭間から、隙なく緑の視線を周囲に馳せるルカ・アンビエント(f14895)の皮肉めいた呟きが瑠碧を現実へと引き戻す。

 嵐は、剣を軸に巻き起こる。
 故に瑠碧はウインドゼファーが構えた二振りの剣の動きに注視した。
 果たして本当に剣と呼んでいいものなのか。無数の棘が生えた剣の切っ先――車輪が高らかに嗤い唸り始める。
 そこから先は、一瞬だった。
『悪いが俺の方が早いっすよ!!』
 瑠碧が素早く唱えようとしたのを察したソード・オブ・ダイアモードが風を飲み込み竜巻として暴れ出す。
 視界が荒ぶる風で埋め尽くされ、平衡感覚を保つのも危うくなる程の風が、横から、上から、下から瑠碧を嬲る。
 ――が。
 襲い来る痛烈な衝撃は、瑠碧まで届かなかった。
 何故か?
 瑠碧の前に、霊符を構えたルカが立ち塞がっていたのだ。
 巫女であることを求められた退魔士が、唯一極めた巫術の証。それでもって、ルカは全霊を賭して風に抗う。
 拮抗していられるのは、ほんの僅かだと覚悟していた。事実、なおも押し寄せる嵐にルカの巫術は翻弄され始め、力の欠片が白翼のように千々に散りゆく。
 忍び込んだ烈風に、ルカの頬が、軍服が裂かれ、細かな血が飛沫を上げる。
 そこへルカは、敢えて左手を贄に差し出した。
「――ッ」
 軋む間もなく骨が折られる熱痛を、青年は奥歯を噛んで殺す。無残に切り刻まれる腕は、治癒を施すまで使い物になるまい――けれど。
「!」
 相応の強度を持つもつものをぶつけられたことで、風の射線が変わったことを瑠碧は直感した。
 ――躱しきれる。
 瑠碧の本能が、勝機を見出す。そして瑠碧はルカが散らす朱で、風を読んだ。
「上だ!」
 これ以上、ルカに負担をかけるのは本来であれば避けたいこと。だが導き出した最善に、瑠碧は迷わず男の背を叩いた。
 そこには、六枚の翼があった。
 求められた役割を理解したルカはすぐさま身を翻すと、瑠碧を片腕で抱え上げ、半ば風に煽られながら高く高く飛ぶ。
 空は、風の領分。
 しかし、栄光は永遠に非ず。
「嵐とて、いつ迄も空の支配者じゃいられまい?」
 必死に姿勢を保ちながら、ルカは唇で弓張月を描く。

 二台のマフラーが不気味に戦慄き唸る。
 ヴヴンッ。
 始動を告げる轟音が、ステージ全体を震わせた。そして生まれた荒れ狂う風を身にまとい、風の使い手たる女がステージを駆け下り疾走する。
 肉薄してくる緋色に、シュデラは鮮やかな双眸を見開いた。
 如何な推進力であろうと、風は風。台風のように一定方向に流れを整えぬ限り、互いに打ち消し合うのではないだろうか。
 猛る闘志に反し、シュデラの思考は冴え渡る。
 此処は、花弁のステージ。鋼の女が加速すれば加速する程、無数の花弁が舞い上がり、風の行方を示す。
 一つでいい。目まぐるしく荒ぶる奔流の一筋を、シュデラは捉えようと目を凝らした。
「、!」
 見つけたのは、足元からの流れ。一歩踏み出す毎に、嬲られた優しい色味が無慈悲に攫われる――その一点へ狙いを定めシュデラは風を帯びさせた弾丸を撃った。
 UCには頼らぬ、ただの弾撃。
 高速の女の手が自分へ伸びる間際まで、可能な限り放ち続ける。
 突撃が止まらないのは百も承知。
 気紛れな風に似る女の軌道が右へ逸れた。かと思えば、左へ。次は、次は、次は――密度の濃い刹那の連続を経て、シュデラは半ば反射で左手を突き出した。
 求める力をもっと磨き上げていたなら、シュデラはウインドゼファーの一撃に拮抗しえただろう。
 されど、シュデラの限界を骸の海より押し寄せた嵐が『今』は上回る。
 だから最後の頼みは、自負と自尊にかけて。
「一応ね、コレでもパラディンなんだ」
 シュデラの指で、光が生まれた。その光は、僅かに勢いを削がれた風を阻む盾となる。
「防がないと誰かを守れないんでね!」

 シュデラの盾が砕けるのに、時間はそうかからないはずだ。
 しかしその『時間』は、瑠碧とルカが戦いのステージに舞い戻るに十分なもの。
「届くのなら、やればいい」
 腕を、顔を、あちこちを。血に染めてなお自分を支えるルカの平らな声に、瑠碧はウインドゼファーへ意識を注ぐ。
 見止める、車輪剣。拡大鏡で覗き込むよう、車軸に焦点を定めて。
(「どうか、力を貸して……」)
 ――この願いを聞き届けて。
 清らかな水流の如き長い髪を風に叩かれながら、瑠碧は空より氷の精霊たちへ呼びかけた。
「――なっ、」
 姿見えぬ自然の心の応えは、是。突如として霜走った己の剣に、オブリビオンの集中力がぷつりと切れる。
「Gloria!」
 作り出された好機に、四散間際の盾を捨ててシュデラが吼えた。
 途端、シュデラの身がガラスの防壁へと変わる。己が魔力の全てを投じたユーベルコードは、シュデラの挙動の自由を奪うことを代償にシュデラに絶対防御の力を与えた。
「邪魔をッ、するな!!」
 聳え立った透明な防壁に、緋色のマスクの内側が苛立ちを吐く。
「私達は、全てを手に入れるのです!!」
「残念、俺たちは取り戻すことを望むんですよ」
 とん、と。花の地面に降り立って、ルカが皮肉を片頬で嗤う。
 透けるシュデラの壁は、ウインドゼファーの状況を余すことなくルカへも伝えてくる。シュデラを迂回したオブリビオンが、自分たちの元へ至るまで『分』は要さぬだろう。
 けれど彼女も命を削って、剣を繰る。
(「ま、人のことは言えませんが」)
「十全とは言えずとも巫女の系譜」
 とつり紡いで、青年は御霊を降ろす鳥羽の巫女へと成り代わり。滴り落ち続ける血へ、視線を落とし、ルカは浅くなる呼吸の内で唱え上げた。
「幻禍の帳よ、今こそ降りよ」
 ――踊れ、幻の蝶よ。
 ――我が血の紡ぐ鳥よ。
(「……俺も、身内のことは言えませんしね」)
 鼓動が一つ、胸を叩く度。命の滴りをほとほとと溢し、ルカは幻でウインドゼファーの視界を晦ませ、光の鳥を嗾ける。
「鬱陶しい! 風よ、消し去れ!!」
 オブリビオンの攻撃の矛先が、全ての猟兵から逸れた。
 奇跡にも等しい一瞬だった。
「――頂きだ」
 訪れた二度と巡り来る事ないだろうチャンスに、シュデラは生身へ戻り。予備動作なく硝子細工を飾ったマスケット銃を構えると、透ける弾丸をウインドゼファーの腹部目掛けて撃ち放った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ジャハル・アルムリフ
翼の一枚もない斯様な鉄の体でも風を扱えるのだな
面白い

視力に第六感、見切りと活かせる感覚は全て活かし
ただの一点で構わない
ウインドゼファーの軌跡を捉えるべく澄ませ

腕か、脚か、一本持っていかれる覚悟で囮として
避けられぬならその一瞬に斬り裂かれようとも耐え
目的の為の意識さえ残っていればいい
敵の手足、裾の一掬い、何処でも構わぬ
捕らえた瞬間怪力にて抱え込み【星守】を

この状態で俺が動けぬならば彼奴とて動きも鈍るまいか
他猟兵が攻撃を行う隙を作り
たとえ負傷した者でも反撃を行える時間を

敵の動きが鈍るか、怯めば解除
黒剣を突き立て二度と飛べぬ様、縫い止めてくれよう
ついでに生命力吸収で糧と成す
そら、その風を置いていけ


ウィンディ・アストレイ
キマイラフューチャーにも、正統派の闘士は居るんですね。
風と速さを競うなら、挑まない訳には行きません!

足場を破砕する暴風を放たれたら
オーラバリアとシールドザンバーでダメージを凌ぎつつ
Blanches Aileの安定翼とフラップを利用して、風に乗り
その勢いに逆らわず、一気に舞い上がります
「風に逆らわず…動力を切って、風に乗る。名付けて『翼竜飛び』です」
(空中戦&第六感&見切り&オーラ防御&盾受け)

敵UCを凌いだら【Rifle Bit】を展開して
必要ならビットを囮にしつつ
残るビットと自身の装備火砲で、一斉射撃を仕掛けます!
(空中戦&スナイパー&一斉発射&2回攻撃)

※アドリブ&他猟兵との連携や絡みOK


クロト・ラトキエ
高速で突撃とか人間ひとたまりも無いんですけどご存知ですっ?
まぁ種族関係無いですが!
風の鳴く歌はステージに響けど、熱狂とも狂騒とも無縁で。
風を操り戦場を駆ける姿は正しく疾風。

音に速度、残像からの軌道に空地。
視覚聴覚経験則、全てを基にし切って計算し、図る見切りは最早決め打ち。
それでもただ一度を待つ――作る。
投擲ナイフは当たらずとも仕方ないが無駄撃ちはせず。
アリーナ側から舞台へ移動し着けば…まぁ左右は隙だらけでしょうが!
襲撃に合わせ、腕を引く。
アリーナへ仕掛け、此処まで一度と使わずにおいた、
張る鋼糸は使い潰し必至の極細。
UC起動、風を攻撃力に。
此方の被弾は防げぬでしょうね。
ですが。その疾風、戴きます



●手繰る必然
 風が、見上げる彼方から吹いて来る。
 半円状の淵から、中心目掛け。遠心力まで味方につけるが如く、下りながら円周を狭めつつウインドゼファーが駆ける。
 残る軌跡に、花吹雪がごうと舞う。いや、そんな雅な光景ではない。それは力任せの蹂躙だ。
「高速で突撃とかっ」
 ――5、
 ――4、
 ――3、
 ――2、
 ――1、
「人間ひとたまりも無いんですけどご存知ですっ?」
 接触までのカウントダウン。過たずゼロのタイミングで撥ね上げられたクロト・ラトキエ(f00472)はきりもみ回転しながらキマイラフューチャーの空を転がる。
 長い髪を束ねるリボンが、風になぶられ戦線を離脱してしまう。
「まぁ、種族は関係無いんですけど……ねッ」
 せめて落下地点に嗤う剣が待たぬよう、三本の鋼糸でクロトは自由落下に抗い、オブリビオンから距離をとったステージ上へ着地すると、予備のリボンを何処からともなく取り出し無造作に髪をまとめあげた。
 けれど、その隙にもウインドゼファーはクロトへ迫り来る。
 馬の嘶きのように、風が鳴き歌う。
 しかし高らかな響きに熱狂する者も、狂騒する者もない。孤高の戦士は、まさしく疾風。
 多くを語らず、邪魔な猟兵を屠らんとひたすらに翔け駆ける。
 次は、正面からか。いや、右か。それとも左か。
 かかかと小刻みに瞳孔をクロトは揺らし、己が持ち得る知識の全てで女の軌道を算出し、コンマ数秒手前で身を反らし――完全に補足しきれなかった代償として、再び宙へと弾き飛ばされる。

 まるで投げ捨てられる人形のようだ。
 一度、二度、三度と繰り返されるクロトの無慈悲な宙返りを、ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)はぐっと息を殺して視る。
『必ず読み切ってみせますよ』
 先駆けていった男は、何事でもないように笑っていた。
 事実、回数を重ねるごとにタイミングは合ってきている。
 そして、おそらく――次が、決着。

 ウインドゼファーの超高速の突進をクロトが躱しきったのは、積み重ねてきた戦闘知識と、動きを見切る瞳と、偶然に賭ける生存本能のお陰だ。
 生前は、生真面目な性格だったのだろうか。律儀に毎回変えられた突撃方向から、クロトは四度目で右へ跳んだ。
 一か八かの大勝負。勝った男は、極めて細い四本目の鋼糸で女の片足を捕らえた。
「おいおい、そんなんでこっちの動きを止められると思ってるんっすかぁ?」
 見止めた車輪剣がクロトを揶揄る。
「いえいえ、そんな大それた事は考えていませんよ?」
 息の一つにも痛む肺が、クロトの声を掠れさせていた。確かにクロトの鋼糸はオブリビオンの一撃であっさり断ち切られるだろう。
 だが、それで十分。
「キマイラフューチャーにも、正統派の闘士は居るんですね」
 クロトの剥き出しの闘志の翳、機を計っていたウィンディ・アストレイ(f09020)が走り出す。
「――っ、来ますか」
「風と速さを競うなら、挑まない訳には行きません!」
 正規規格外実験体『ASTRAY』シリーズの試験素体でありながら、設計上の機動力を発揮できずにナンバリング外とされてしまった――二重の規格外の烙印を押されたサイボーグの少女は、全霊を注いでこの一瞬に加速する。
 目標は、センターステージから左へ反れたアリーナほぼ中央。
 清楚なレースに縁どられた紺のスカートを翻し、ウィンディはもう一人の風へ突き進む。
「ならば――こうです!」
 クロトを振り払いきれない女が、一帯を丸ごと吹き飛ばす暴風を編み出す。足場をも崩す嵐が、小柄なウィンディを丸呑みにしようと襲い来る。
 その風に、少女は抗わなかった。
 オーラを纏わせた肩懸架型簡易可変式巨大楯で衝撃をいなしつつ、白翼を彷彿させる背部推進ユニットでウィンディは風を受け止めた。
 勢いには、逆らわない。
 ただ姿勢を安定させる事にのみ注力し、少女は風に乗る。
「風に逆らわず……動力を切って、風に乗る。名付けて『翼竜飛び』です」
「はぁ!? そういうのありっすかぁ!!??」
「なぜ無いと思ったか」
 人のように言葉を操る剣の動揺をジャハルは無骨に斬り捨て、ウインドゼファーの視線がウィンディにある間に花の地面を蹴った。
 常は背に秘す竜翼が、風を孕む。白亜の飛翔は、低く低く。
「翼の一枚もない斯様な鉄の体でも風を扱えるのだな」
 緋色のマスクが己を正面に捉えたのを、ジャハルは冷静に観察する。鋼の身体を持つ女が、風に成るのは分かっていた。
 ただし、その足元にはクロトが仕掛けた鋼糸が僅かに絡んだまま。そこに残された風が、ウインドゼファーの速度をほんの幾ばくかだが阻害するのも計算のうち。
「――面白い」
 視て来たのだ。
 タイミングも、軌道も、全て、全て。
 ならば、負ける要素はない。
 五感を、視力を、ジャハルは限界まで研ぎ澄ます。走り出したウインドゼファーの自由を許さず、待ち受けず、翼を繰って追って、追って、追って。
「捉えた」
 刹那の並走。そうしてジャハルはオブリビオンへ手を伸ばす。
「させねぇっすよ!!」
 ウインドゼファーが纏う風が、ジャハルを弾こうとする。車輪を唸らす剣が、斬りかかって来ようとする。
 そこへジャハルは腕を突き入れ――騒ぐ剣を握る手ごと腕に抱き込んだ。
 衝突と、激しく回転する車輪が皮膚を裂き肉を抉る二つの衝撃が、押し寄せる。
 オーラの防御で相殺しても、痛みは強烈だった。むしろただの熱にも近い。いや、どちらでも良かった。ただ一瞬、意識を保てさえすれば。
「触れるな」
 ただの一声。自ら触れておきながら、拒絶を表す一片。その一瞬、ジャハルの全身が竜鱗で覆い尽くされた。
 絞り出せる力と力で、女の片腕を剣ごと掴んだまま!
「おいおいおいおい……!!」
「これを、狙っていたのですかッ」
 呪詛を模る装甲は、厚く、硬く。およそ常人では発揮しえぬ程の力で我が身を戒めたまま動かなくなった男へ、剣は動揺を嗤い、ウインドゼファーは自由な首をまわして上空を仰いだ。
 そこには、ウィンディが居た。
 名さえ持たず、コードだけを冠する少女は、然して本来は強襲型。例え齢は十三と幼かろうと、捨て身の男二人が作った勝機を逃すはずもない。
 射撃精度に優れたライフル型ブラスターの複製を作り上げる数は、37。
「告死の舞、ご堪能下さい」
 捕らえたままの風に身を任せ、ウィンディは意思の力で武具をオブリビオンの頭上へ扇型に展開すると、砲口を一斉に火吹かせた。
 あらゆる角度から放たれた熱線が一か所へ向けて収束する。
「――、――、……!!」
 最初に沈黙したのは、かしましい剣の一振り。
 残りの一振りもジャハルに阻まれ、何もできず。持ち主が、灼かれてゆくのを握られたままの柄で感じ取る。
「……っ、勝てば、戦って、勝てば……!!!」
「諦めて下さい。あなたはボク達に負けるのです」
 今生へしがみつこうとする女へ、ウィンディは静かに惜別を告げ、更に全身に帯びた砲口から次弾を放つ。
 降り注ぐ破壊の力に、ウインドゼファーの腹部装甲が火を噴いた。
 刻まれた傷痕は、崩壊の序曲。奏で始められた交響曲は、一気に終局まで直走る。
 女の全身のそこかしこで、爆発が起きた。小さいもの、大きいもの、やがてそれらは一つの大爆発を誘う。
「私達は全てを手に入れる――誰にも、邪魔は、……」
 断末魔は、終いまで許されず。
 四散した怪人の手元から、残された一振りが滑り落ちた。
「ッチ、だが何度だって――!」
「何度だって、蘇ればいい。だが、その度に誰かが貴様らを屠る」
 ――そら、その風を置いていけ。
 星さえ守らんとする守りの力を解いたジャハルは、地面に転げた剣へ己が黒剣を突き立てる。
 残滓を糧と啜る音色は、キィンと甲高く。
「……あれ、終わりました?」
 オブリビオンの命を骸の海へと沈め返すと同時に、花吹雪に吹き飛ばされ遠退いていたクロトの意識を引き戻した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月20日


挿絵イラスト