●
「よし、集まったな?」
ドラクル・イレイヴン(新米ヒーロー・f16397)は、揃った猟兵に向けて声を作る。
……佳境かなぁ。
胸中で呟き、キマイラフューチャーを揺るがしている戦い、その顛末を思う。
「と、ごめんごめん、説明を始めようか!」
物思いを振り払い、笑みを浮かべて言葉を続ける。
「みんなの尽力で、システム・フラワーズ内の敵幹部は退いている。猿に兎と、まあ、絶好調だ」
流れはこちらにある。
しかし、まだ首魁への道は拓かれて居ないのだ。
立ちはだかる、敵がいる。それもかなり強力な、だ。
「ウインドゼファー。見た目で言うと、人型に変形したバイクって所だね」
強力なオブリビオンだ。これまでとは違い、コイツには厄介な特殊能力は無い。
「"彼女"にあるのは、風を操作する能力。それだけだ。だからこそ強い」
なにせ、その速度で、エイプモンキーやラビットバニーと肩を並べる実力者となっているのだ。
「気を付けることは多々あるんだけど、何より一つ。先手は取れない、と、それだけは念頭に置いておいて欲しい」
飛翔し、空を自在に泳いで、圧倒的な速度で襲いかかってくる。
暴風を起こし、広範囲を足場となった花びら纏めて吹き飛ばして来る。
車輪の付いた剣を全身のタイヤと合わせて回転させ、竜巻を起こしながら斬り付けても来る。
「いいかな? これは、恐らく止められない。だから、それがあるものと思って、戦いを考えて欲しい」
単純な戦闘力と、状況に合わせた戦略で、戦いを制する。
これは、そういう戦いだ。
だから。
「あらゆる意味で正面戦闘だ。力尽くして、頑張って!」
激励を送って、ドラクルはグリモアの力を解放した。
ぴょんぴょん跳び鯉丸
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
はい私です戦争三つ目、純粋戦闘ですね、わぁい大好き!
前二つより考えることはシンプルだと思います。
ガンガンいこうぜ、と、そんな感じで。
●運営シナリオ数について
運営シナリオ数に制限はありません。戦場の戦力「40」をゼロにできれば制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「来ましたか」
花の園には、そよ風があった。
足下に広がる花びらを拐い、天井の見えない空間を舞い散らせている。
「ここを、通すわけにはいきません」
その中央、佇むのはウインドゼファーだ。
背後の続く道は、進むことを許さないと言うように花が途切れ、それは同時に彼女が退くことの無い覚悟を示している。
「……多いですね」
自身は単体。対して、敵は複数。数で言えば不利なのは明らかだ。
しかし。
「問題なく。私が、誰にも邪魔させません」
対等の戦いを、彼女は行うだろう。
オル・クブナス
ブラックタールは液体の体を持つもの、多少の負傷は覚悟の上、最低限の部位は『ナノマシンアーマー』にて守りながら、黒泥の鳩を飛ばして動きを鈍らせようと試みましょう。ついでに何羽かは自身を浮かせる為に待機させましょうか…最悪私が落ちても攻撃を当てられれば良しの精神で。
さあお行きなさい黒き鳩達よ!鳥とは風を捕まえ大空を自由に飛ぶもの、彼女が暴風を操るというのなら、貴方達もまた風の支配者!
「雨垂れ石を穿つ」ともあるように、例え途中で暴風にやられて僅かしか届かなくとも、いくつも積み重ねれば…その風を僅かでも抑え込む事ができるかもしれません。
その一瞬こそが勝負の時。最短距離で攻撃を撃ち込みましょう。
風が変わったと、オル・クブナス(殴られ屋・f00691)は感じた。
撫でる様に穏やかだったものが、今は、あらゆるものを拒むような刺々しさがある、と。
「液体と言えど、負傷は免れそうもありませんか」
だが覚悟の上だ。急所となりえる部分は、ナノマシンの効果で皮膚の細胞を硬質化してくれる。
ウインドゼファーへの対処は、一先ずそれだ。
「ブラックタールですか」
と、声が来た。マスク越しでもはっきり届く、女の声。ウインドゼファーだ。
それが、オルに向かって歩みを進めている。
間合いとしては100m弱、と言うところか。
「まず貴方を、処理するとしましょう」
「ーー!」
言葉と同時に風が来る。
刺々しいなんて可愛いものではない、荒々しく万物を排除する暴風だ。
「黒き鳩よ……!」
体表が波打ち、足下の花が散る。一瞬の浮遊と、即座の落下を感じた彼は、ユーベルコードで作った粘着性の強いスライム鳩を産み出す。
「風に乗って、後ろへ!」
翔ぶ。
散らされた足場から、範囲外の足場へと向かうのだ。
「さあ、お行きなさい……!」
着地し、外したシルクハットから更に鳩を追加させ、ウインドゼファーを襲わせる。
「鳥とは、風を捕まえ大空を自由に飛ぶもの。貴女が暴風を操ると言うなら、彼らもまた風の支配者!」
「いいえ鳥とは、風の流れを活用して飛ぶものです。それはつまり、逆らうことの出来ない上下関係でしょう」
飛来する黒い影を、ウインドゼファーは手を翳す。開いた手を軽く下へ振り、上からの叩きつける暴風で軌道を乱した。
「行きます」
いや、それだけではない。
吹き飛んだ花びらの代わり、空中に舞う花も纏めて落とし、足場を即座に復旧させてオルまでの経路を作り出した。
「ッ!」
行く。
風に乗って、暴風を纏い、ブラックタールの体へ一撃を叩き込みに。
「鳩達ーー」
「遅い」
ぶちこむ。
全方位への風を、オルに集中させる。
狙いは、硬質化した皮膚だ。
「液体では逃げるとしても、固体となった肌ならば、砕けるでしょう?」
そして、言った通りの事が起きた。
衝撃と圧に、固まった皮膚は砕けて剥がれ、散った足場からオルは頭から落ちる。
「鳩を使う力もありませんか」
無機質なマスクが遠ざかるのを、彼は見ていた。
言葉に、いや、と呟いて。
「雨垂れ、石を穿つ、で、ございます」
スライム鳩を、自分を浮かせる為のソレを、ウインドゼファーの武器に打ち付けた。
「……その覚悟は、敬意を覚えます」
まっ逆さまに落ちるオルを、片腕が黒にまみれたウインドゼファーは見送った。
苦戦
🔵🔴🔴
ツーユウ・ナン
まさに弾丸の如き速さよ…
だが、速さは諸刃の剣じゃ。
音速で突撃するというのは、音速で衝突するという事。
つまり、奴の突撃を正面から受け、わしが砕けなければ、その威力はそのまま奴に跳ね返る…!
敵も用心するはず、冷静さを失わせる鍵は”速さへの欲望”か?
●敵UCを耐え凌ぎ”欲望”をかき立てる
・馬歩站椿にて氣を練り【オーラ防御】、軌道を読んで【見切り】鋭い反応反射【野生の勘】で防御専念【激痛耐性】
→車輪剣には化勁による受け捌き【グラップル】【武器受け】
「弾丸程度なら、わしでも”見える”!」【挑発】
●ふと防御姿勢を解いて突撃を誘う
「まだ速くなれるか?」
全力突撃を引き付け【カウンター】で『UC』
「哈ハ!」
「一人」
ウインドゼファーは翔ぶ。
達成感に酔いしれる時間など無いし、そもそも戦果を求めるタイプでも無い。故に、行く。
「来るか……!」
ツーユウ・ナン(粋酔たる女用心棒・f04066)の元だ。
数百mはある距離が、瞬時に詰まるのが見えている。だが、ツーユウにはそれに備えた構えが出来ている。
独特の姿勢で氣を練り上げる、馬歩站椿という練功だ。
身体に充足するオーラを感じ、そして。
「むぅ……?」
直撃は、しなかった。
最速の直線を見切り、俊敏な横っ飛びをしたことで回避を成功させたからだ。
ただ、
「ぬ、ぅ!」
暴風の余波が、飛んだ女の体を拐って吹き飛ばす。
身体を丸め、崩れた姿勢ながらに肩から落ち、背中へと転がる事でツーユウはダメージを抑える。
「器用な人」
ウインドゼファーはそれを、淡々と見る。
纏う暴風は花を巻き、荒さと華を重ねていた。
「それはおぬしじゃろう。だが、まあ、しかしな? ーー弾丸程度なら、わしでも見えるぞ」
女は思う。
弾丸の如き速さだと。
しかし同時に、諸刃であるとも。
……音速で突撃するというなら、それは音速で"衝突"するということよのう?
単純な物理だ。
そして衝突という状況を作り出すには、固い、岩盤の様なモノが要る。
それが自分だ。
金剛石の様な堅固さを全身に与えられ、そしてウインドゼファーの攻撃を耐え切れば、必ず威力は返る。
「どうじゃ、まだ速くなれるか?」
だから挑発だ。
「全力で来るが良い!」
手を前に、指で手招きのジェスチャーをする。
「……弾丸の秒速を、知っていますか」
その動きに、ウインドゼファーは言葉を作った。
知っていますか? と、続けて、
「物によりますが秒速にして380m、時速にして1300kmといった所ですか」
さて、と前置きして、動いた。
「私の全力を、そんなちんけな尺度で測らないでもらいましょう」
「!」
一瞬だ。
最高速度の直線。初速が既に、ツーユウの視界から消える程の速度。
「南無本師釈ーー」
ユーベルコードで硬化した身体は、ウインドゼファーの突撃を受ける前に、暴風に巻かれて空へ踊る。
「硬さに自信があるようですね?」
「……応、おぬしの攻撃にも耐えてみせよう」
天井の無い天上。地上が霞む高度にて。
ツーユウの腹にウインドゼファーは車輪剣を押し当て、
「それは楽しみです」
直下した。
「哈ッ……!」
落ちる。
無限に感じる一瞬の後、花の大地に横たわった傷だらけのツーユウに意識は無い。
「見事ですね」
ただ、ウインドゼファーの腕にヒビを残して。
苦戦
🔵🔴🔴
ミスタリア・ミスタニア
スピード怪人『ウインドゼファー』ねぇ
風使いか、まぁ名前からしてそのまんまだな
ハッ、だがオレも伊達に翠の疾風と呼ばれてねぇぜ!
此処が宇宙でなかろうと相手のホームグラウンドだろうが関係ねぇな!
初手を取られるなら、肉を切らせてなんとやらだ!
ビームシールドの『見切り、盾受け、激痛耐性』で反撃に支障の出る致命傷だけ防ぐように敵の攻撃を受けるぜ
敵の攻撃を耐えたら、即座に逃げられないように『咄嗟の一撃、カウンター』で逃がしはしねぇと反撃だ!
パイルバンカーで纏ってる暴風ごと『鎧砕き、鎧無視攻撃』で貫いてやる!
そのまま『2回攻撃、零距離射撃』の大型熱線砲(ブラスター・ランチャー)のビームを喰らわしてやる!
「スピード怪人『ウインドゼファー』ねぇ……名前からしてまんまだな」
風だし、確かに速いし。
ミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)は見たままの感想を胸に抱きながらも笑う。
「ハッ」
上等だ。
「伊達にオレも翠の疾風と呼ばれてねぇ。此処が宇宙じゃなくても、敵のホームグラウンドだろうが関係ねぇ……ぶち抜いてやるよ!」
とはいえ、だ。
先手を取られるのは避けられない。
圧倒的な速度と、暴風の壁、二つの関門がある。
「しゃあねぇ、肉を切らせてなんとやら、と行くか」
必要なのは、タイミングだ。それから、少しばかりの覚悟と勇気。
「次はオレが相手だスピード怪人!」
速度で敵わない、動き回る的を、捉える手段をミスタリアは一つしか思い付かなかった。
だから、それを実行した。
足を広げて花を踏みしめ、腰を落として踏ん張りの姿勢を作って空を見る。
叫んだ言葉に、ウインドゼファーは自分をターゲットに選んだ様だ。
こちらへ向かう大きな旋回を視線で追って、左腕のビームシールドを広く展開させる。
「……来いッ!」
致命傷さえ受けなければいい。
攻撃の為の腕さえ動けば、それでいいのだ。
「ぶち貫いてやる……!」
来た。
接近の余波が花を散らし、足元を掬われそうな暴風の煽りがそれを示す。
……来た!
「うおぉ……!」
刹那の交錯があった。
耐える動きを見せるミスタリアへ、超低空で行ったウインドゼファーは、単純で効果的な攻撃をする。
「踏ん張りとは、下へかかる力です」
故に、上へ吹く暴風で拐う。
敵がやろうとする行為は、その堪えが起点だ。それを挫けば終わる。
「ええ、終わりです」
展開されたシールドに風をぶつけて揺らし、車輪剣を振るい上げる要領で叩きつけて吹き飛ばした。
宙に舞う少女の身体は軽く、追撃の一発で間違いなく戦闘不能になるだろう。
思い、だからウインドゼファーは実行した。
浮かぶ身体に、無防備なそこへ、暴風の体当たりを。
ぶちこんだ。
「ここ……!」
吹き飛ぶ身体の制御を、ミスタリアはしなかった。
防御が上手く働かなかった時点で、当初の計画は破綻したのだ。そこに固執する理由は無い。
それに、全身を引き千切られる様な激痛を長く耐えることは、精神的にも意識的にも無理だ。
だから、一撃。
自分へ向かう暴風に向けて、右手のパイルバンカーを思い切り振りかぶって叩きつける。
「うぉ」
弾かれそうになるバンカーの先が歪み、腕が軋む。
「おおおお!」
ウインドゼファーには、バンカーが届かない。
だが、切っ先は抜けている。
だから、
「と、どけえぇぇぇ!」
ランチャーの熱砲をぶちこんだ。
●
結果としては、ミスタリアの敗北だ。
放物線を描いて花の山へ墜落した彼女に意識は無く、ふわりと着地をするウインドゼファーは健在だ。
ただ、無傷では無かった。
至近からのブラスターは装甲を焼き、全身の装備を焦がしている。
「ーー邪魔は、させません。誰にも、絶対に」
苦戦
🔵🔴🔴
リシェリア・エスフィリア
ヤツは強い、そして、早い
私の速度では相手に追いつけない。なら、耐えて捕まえる、それしかない。
【オーラ防御】を展開、先制の攻撃を受ける。
防御に専念し、とにかく相手に近づくことを念頭に行動
最悪、一撃で昏倒しさえしなければいい
私自身を餌にして引き付け、【魔術師の記憶】を展開。
空間に無数の氷片が舞い、襲い来るこの状況を作る。この空間なら、逆に早く動くことが相手のダメージにつながるはず
「……ここからは、我慢比べをしてもらう」
相手の速度を潰して、相手の生命力を奪いながら魔剣の威力に任せて戦う。これが私にできるやり口
見誤りだったと、ウインドゼファーは内心で猟兵の評価を改める。
時間を稼ぐ等、甘い考えをするべきではなかった。
ここで一掃しなければ、ドン・フリーダムの身が危うい程の実力だ。
個々は恐れるべくもなく、しかし群とするとこれほどの脅威がどこの世界にあろうか。
いいや、無い。少なくとも彼女は知らない。
「ですが、それでも、ここは通しません」
倒れるとしても、譲れないモノがあった。
「……いいえ、通してもらう」
だがそれは猟兵とて同じこと。
リシェリエイラを構え、リシェリア・エスフィリア(蒼水銀の魔剣・f01197)は正面からの相対を選んだ。
(ヤツは強く、そして速い)
まともにやりあってもーーいやまともではなくても、追い付く事は不可能だ。
前の戦いを見れば、嫌でもそう理解出来る。
ならばどうするか。
「これ以上の損害は、認められません」
答えを考える間に、ウインドゼファーは身体の各所に付いたタイヤを高速回転させる。
「これ以上、油断もしません」
と、同時に行った。
両手の車輪剣、刃のスパイクが回って凶悪さを見せるそれで、リシェリアに襲い掛かる。
「……耐える」
出した答えは簡潔に。難易度としては至難で。
「嗤え、車輪剣」
「……ッ」
竜巻が起きた。
タイヤの駆動が空を裂き、鳴く音が人の笑いにも聞こえる程の速度から起きる風が、暴風の渦を作り出したのだ。
「耐える……!」
リシェリエイラを花に突き立て固定。片手で柄を握り、逆の手を向けてオーラの防御壁を広げる。
「ぅ、ぁ……」
一瞬だ。
オーラは風に削がれ、乱暴に揉み絞られる様な暴走流が肉体を苛めていく。
「次で終わりです」
身体から力が抜けたリシェリアは、膝から崩れ折れて片手を地面に着く。
……危なかった。
そう思い、嗤う車輪の駆動がどんどん近づいてくるのを、少女は感じる。
「これで。……貴女、剣は、どうしましたか」
振り上げた剣が、振り下ろされる、その直前。
ウインドゼファーは、リシェリアの手にあった剣が無いことに気付いた。
「剣なら、ここにある。ここからは、我慢比べ」
「な」
いや、あるのだ。
この空間に、確かに存在していた。
それは。
「ーー凍てついて」
氷だ。
無数の小石程の大きさだが、冷気を帯びた花びらとして、フラワーズという背景に溶け込んである。
「ちっ、車輪剣!」
それを、ウインドゼファーは竜巻を用いて排除を試みた。
内から巻き込み外へと弾く風の奔流だ。
だが、それが仇になる。
「無駄、だから」
半径約30m。それがリシェリアの間合いだ。
そしてその内側に居るウインドゼファーがいくら氷を弾こうと、圏内ならば操作出来る。
いや、むしろ風に弾き飛ばされる事で、予期せぬ軌道を経ての着弾も起きた。
「これが、私のやり方。倒れるまで、付き合ってもらう」
「……いいえ、ここまでです」
霜が張る程の冷気だった。
長時間の滞在は危険であるし、高速回転のモードは自分の寿命を削る荒業だ。だから、逃れるために竜巻を再度作り出す。
「え?」
それは、自分自身に向けたものだ。
内から、外へ。
弾き飛ばす衝撃を用いて、ダメージ覚悟での脱出を行った。
成功
🔵🔵🔴
サフィリアリス・エレクトラガント
リコリス・ミトライユ(f02296)さんとともに参加します
風を操る能力と戦闘向けに分かりやすい能力となりましたか
スピードでは負けますけど、戦闘は速さだけではありませんよ
使用するユーベルコードは「美しい絆をお見せしますね」
頼りになる二人のお友達、【強靭で巨大な肉体の悪魔将軍】と【凶悪な魔術と魅了魔法を持つ女淫魔将軍】を召喚します
悪魔将軍はその強靭な体で、女淫魔さんはその魔術で迫りくる竜巻を防御してください
私は動けませんので、その防御が成功したらリコリスさんと連携してどうぞウィンドゼファーさん相手に大暴れしてくださいな
悪魔将軍はその力で、女淫魔将軍はその魔術で、圧倒しちゃってくださいな
リコリス・ミトライユ
サフィリアリスさん(f13217)と一緒に行きますね。
足場をバラバラにする暴風は、【スネークスウィープ】の魔法のワイヤーを使って、
それぞれ花の足場をつかんで繋ぎ止めていって、お花の防壁と新しい足場を作りますね。
この魔法のワイヤーを使ったなら、たわんでも、簡単には切れないはずです。
これでサフィリアリスさんも一緒に守れるはずですし。
ちょっと増員はびっくりですけど、少しくらい乗っても平気なはずです。
ぐいと足場をたわませて、反動で跳びあがって、
ブーツの力も使って、あたしは空中戦と行きましょう。
ふふ、あたしばっかりに注目してもいけませんし、
あたしを見ないのなら、自慢の脚を叩きこんであげますからね。
「行きます」
ウインドゼファーの弾きを見て、リコリス・ミトライユ(曙光に舞う薔薇・f02296)は傍らのサフィリアリス・エレクトラガント(魔王様の仰せのままに・f13217)に向けて言った。
「ええ、行きましょう」
動きは即座に、リコリスを前にして二人はウインドゼファーへ向かう。
「次から次へ、賑やかな人達だ」
認識した彼女の言葉は苛立っていた。
追い詰められ、退けても止まない攻めに対して、当然の反応ではある。
「邪魔を、しないでもらいましょう……!」
だからだろう。
ウインドゼファーを中心に、嵐が起きた。
足場を崩壊させる、吹き飛ばしの風だ。
「それは見ましたから、対策はばっちりですよ」
サフィリアリスを背中に、リコリスは姿勢を低くする。
「捕まえて……繋ぐ!」
腕を、横に振る。そうして飛ばすのは、魔法で作り出した、しなやかさを持つワイヤーだ。
離れていく花弁をかき集め、固定し、二人分の広さを、
「すみませんリコリスさん、二人、追加でお願いしますね」
「えっ、あーーOKです、ええ、どうぞ……!」
そこに、サフィリアリスが喚び出した二体が着地した。
ズシンと来る。
……ちょっとびっくりですね!
円に広げた分、防壁にする時間は無い。代わりに、サフィリアリスの"お友だち"の出番だ。
「将軍、お願いしますね?」
屈強な肉体を持つ悪魔が、その巨体で前に出て、広がる風を受け止める。
「ーー!」
だが、そこにウインドゼファーが肉薄していた。
車輪剣に暴風を纏い、振るうと共に竜巻が発生する。
それは悪魔を吹き飛ばし、しかしその攻撃直後の隙間を縫うように雷光が走った。
「ちぃ……!」
サフィリアリスのお友だち、その二人目。淫魔の操る魔術だ。
「この程度で!」
迎撃は、同じく風を纏う車輪剣だ。が、今回は少し雰囲気が違う。
「なん、で」
本来なら回転すべき車輪が、動作不良を起こしていた。
それは、最初にくっついた、粘着性のスライムが固まった事に因るモノ。
「隙有りですっ」
そしてその一瞬を、リコリスは見逃さなかった。
攻め時だと、そう判断する。
だから行く。
拳を握り締め、飛ぶ様に前へ。
「この程度ーー!」
振りかぶった一撃を、ウインドゼファーは右腕を盾にした。
ミシリッ。金属の歪む音と、それから続く砕けの連鎖が、敵の腕の破壊を表す。
「限界の様ですね」
例え、誰より速くても。速度で猟兵に勝っていても。
「戦闘は、速さだけではありませんから」
積み重ねた仲間の動きが、圧倒を覆す結果へと繋げる。
だから、サフィリアリスは配下へ命じた。
「さあ、大暴れしてくださいな」
悪魔と淫魔が行く。
肉体と魔術、その両極端な特性で押し潰す、その為に。
「させない……邪魔は、させない……!」
だが、ウインドゼファーの風は衰えていない。
残った一本の腕と車輪剣に、全力の風を纏わせて、二人の魔を竜巻で打撃した。
「まだ、私は負けない。私はーー」
「いいえ、あなたの負けです!」
荒れ狂う風に、しかし、それを活かす者がいる。
リコリスだ。
流れる風に逆らわず、足からそれに乗って宙へ翔わでいた。
サフィリアリスの配下へ目を向ける瞬間に、それを成した彼女は敵の直上から急速落下を入れて、
「これで」
斜めの体勢から、思い切り蹴撃をぶちこんで、
「終わりっ!」
ウインドゼファーの身体を破壊した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵