バトルオブフラワーズ⑪〜風より速く、敵より先へ!
「キマイラフューチャー、大変な状態ですね」
グリモア猟兵である花守・御刃羅(ちいさなぼくら・f14484)は苦い笑いを浮かべて説明を始める。
「ラビットバニーさんが倒されましたので、次の敵へと向かっていただきたく思います」
第三の関門はスピード怪人『ウインドゼファー』が守っている。
「見た目からはわかりづらいですが、女性のようですね。驚きました」
ウインドゼファーは『風を操る能力』で戦うが、これまでの2人のような特殊な能力はなく、純粋に自身の能力だけで戦ってくる。
「ですが、前の2人のような特殊な能力はなくとも動きが早く、先手を取ってくることは間違いないでしょう」
よって、ウインドゼファーの先制攻撃に対して、どのような対処を行うかが最初の問題になるだろう。もしも何の対策も練らずに攻撃だけを行おうとすれば、先制攻撃で撃破され、ダメージなど与えることはまずできないだろう。
また、先手をどうにか回避しても、彼女自身が相当の手練れであることに間違いはない。
「今までの怪人よりはとても分かりやすい相手ではあります。ですが分かりやすいがゆえに、対策も容易ではないでしょう」
御刃羅は説明を終えると息をつき、猟兵達を見回す。
「厳しい戦いではありますが、先の2人の怪人を撃破した皆さんなら、きっと大丈夫かと思います」
それでは、と頭を下げて、彼はいつものように言葉を発する。
「ご武運を。結果がどうであれ、皆さんの報告をお待ちしています」
阿離磨
風属性ってステキですよね。
はじめまして、おひさしぶりです、こんにちは、こんばんは。
緩やかに転がる阿離磨です。
今回の幹部戦も頑張っていきます!
まずは以下をご確認ください。
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敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
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※また、目標撃破数『40』に対して、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。
ご確認いただけましたか?
それではそれでは、5月も後半戦。がんばっていきます!
ご縁がありましたら、よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『スピード怪人『ウインドゼファー』』
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POW : フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フロッシュ・フェローチェス
やってやる、やってやるさウィンドゼファー……速さを競おうか。誰よりも何よりも、求めてやまないスピードを!
先制される……これは避けられない。
なら一か八かの博打に出るぞ。
加速式充填、バックダッシュ――ただこれじゃあ逃げられない。けれど少しの時間稼ぎにさえなれば良い。
UC発動でより高みへ届け……攻撃に対し壊銃形態の砲弾を撃って直ぐ爆散させ、更に追加の衝撃波で足場なんか関係ない空中へと躍り出る!
効果時間は長くない――だからこそスピードを、より速さを。追走戦って奴だ……空中戦は得意でさ、飛びながら走り回り早業で、打ち据えてやる。
効果切れても尚コンマ一秒、フェムト1秒でもお前を超える……貫け、蹴撃――!!
・花舞う狂嵐
(やってやる)
静かな闘気を、高揚する気持ちを抑さえずにフロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)はウインドゼファーの前に現れた。
「やってやるさウインドゼファー……速さを競おうか。誰よりも何よりも、求めてやまないスピードを!!」
「おや。どうやら似たような……いえ、同じ、速さを求めるモノ、ですか」
「言葉でも交わしたいか?」
「不要」
その言葉が終わるよりも早く、ウインドゼファーは自身のユーベルコードの間合いに巻き込むまでフロッシュに瞬速で近づくと、手にした刃の車輪を回転させ花を巻き込み吹き上げるほどの暴風を起こし、周囲の全てを無差別に切り刻む。
(一か八か、博打になるけど……!)
時間稼ぎを狙い、自身の速さを生かしたバックダッシュを試みる。靡いた髪の先端を剃るような暴風に巻き込まれるよりも早く、敵の間合いから抜け出ることは成功するとフロッシュは敵の一挙一動に注目し、自身の次に繋ぐ行動を決める。
『お前にとっての刹那の間は、アタシにとっては酷く遅いから』
ウインドゼファーの暴風に砲弾を撃ち、暴風と爆風のぶつかり合いから発する暴力的な風をつかむと、フロッシュはさらにそこへ衝撃波を絡め、遮蔽物も足場もない空中へと躍りあがった。
(この効果時間は少ない、だからこそ!)
更なる速さを、スピードを求める。
空中へ飛びあがったフロッシュは飛び上がる最高の地点でその上昇が止まる。
「なるほど、空中戦。面白そうですね」
高く跳び上がったフロッシュを目で追い、ウインドゼファーは少しだけ楽しそうに声色を変えて言葉を発する。
「ですが、ソコへ私が行く必要はない」
ウインドゼファーはそうつぶやくと、再び刃の車輪を回転させて、先ほどよりも威力をのせた暴風を、花びらを巻き込んだ狂嵐を巻き起こす。
「なっ!」
容赦も躊躇もないその暴風域は爆発的にその範囲を広げ、降下始めたフロッシュまで届くとその身体を鋭い剃刀のように切り刻み、弾き飛ばした。
「隙が大きいですね。私が二度目のユーベルコードを放てるほどに。……門番として立っていなければ、私も空中戦の誘いにはノったでしょう。ですが、守る任に就いている以上、私はその役目を全うします」
花びらの海に沈むように打ち付けられたフロッシュを一度だけ見ると、すぐに興味を無くしたように、ウインドゼファーは己が立つべき場所へと戻り、門番としての役割を果たすべく、『次』を見据えた。
失敗
🔴🔴🔴
天都狐・華夜
【スティレット67d/e 戦術重機動兵器【FUJI】】に搭乗し、戦域外から最高速度(準光速)で突撃、約10億㎞/hの速さでユーベルコードの着弾前に目標へ物理アタックからのユーベルコードの零距離攻撃を試みる。
【野生の勘】と【空中戦】・【操縦】で射線ずらしによる回避も試みる。
「当たるか当たらないか、そもそも避けられるか分かりませんが、速さで競おうという気概は嫌いではありません。いざ、尋常にチキンレースです!」
・光の速さに至るまで
音をたててウインドゼファーの視線の先に現れたのは天都狐・華夜(ロジックエラー・f01491)だった。ただし、視線の先と言っても、それなりに距離がある。
「おや、随分と遠くにいますね」
ウインドゼファーのそんな言葉は、華夜には届いていない。
「当たるか当たらないか、そもそも避けられるか分かりませんが」
赤い瞳を緩やかに細めて、華夜は己の武器を撫でる。
「速さで競おうという気概は嫌いではありません」
己の武器である『スティレット67d/e 戦術重機動兵器【FUJI】』に搭乗し、慣れた手つきで機器の操作を行う。
「いざ、尋常にチキンレースです!」
「お断りします」
操縦のため手元に視線を落としていた華夜が顔を上げれば、荒れ狂う暴風を纏い、誰よりも鋭い速さを求める欲望で強化されたウインドゼファーが、瞬間的な速さで迫ってくるのが見えた。
「ソレがチキンレースとやらを行えるほどのモノなのでしょうが、それだけの大きさと重さのモノが爆発的に、瞬間的に速度を出すことは、容易ではないでしょう」
速さが出るまではただの置物です。
ウインドゼファーは両手の武器を下段に下げ、勢いを殺さぬままに強化された戦闘力と速さで、『スティレット67d/e 戦術重機動兵器【FUJI】』の隙間に突っ掛けるようにして武器を滑り込ませ、一気に暴風と共にその大きな機体を巻き上げるように、ひっくり返した。
「あなた自身が、私を超えるほどの速い動きでその鈍重な機械を操作して、ノーアクションで叩き動かせていたなら、話は別だったんでしょうがね」
花畑に埋もれる機体を見て、ウインドゼファーはおちょくるように軽く首を傾げて見せた。
失敗
🔴🔴🔴
ベルカ・スノードロップ
◆WIZ
先制攻撃をどうするか、ですね
【全力魔法】でUCを発動
敵の攻撃を【見切り】
2本の車輪剣に、20本ずつ召喚した槍で【武器受け】です
残り140本
『どこから放つか』ですが
敵の動きを見てタイミングを、【見切り】
正面で相対したまま
敵の上空に出現させて、真上から【だまし討ち】
【誘導弾】で【鎧砕き】と【串刺し】を狙います
【スナイパー】で一点集中の波状攻撃です
槍の特性を活かして、風を切り裂いて穿ち貫けると信じています
「この世界を好き勝手にはさせませんよ」
ただ、10本ほどは、敵を囲むように地面に穿ちます
そこへ雷【属性攻撃】の通常魔法を放ちます
避雷針の応用で中心にいる敵にも、ダメージを通してみせます
・闇に走る雷
金色の瞳で睥睨し、ベルカ・スノードロップ(享楽を求め続ける"ようかん"司祭・f10622)はウインドゼファーを見据える。
(先制攻撃をどうするか、ですね)
ベルカの瞳を見えない視線で嗤うと、ウインドゼファーは身体のいたるところに装着されたダイヤが音をたてて高速で急回転する。体の中へ巻き込むように風を纏い、2本の車輪剣を巧みに手の中で踊らせると、小さな巻き風が嘲嗤う竜巻に急変化して育ち、嵐となってベルカに放たれる。
『――我が夜の血に応え、顕現し、貫き穿て、夜王の槍』
鮮やかな花の匂いに満たされた空間に、瞬くような夜の闇が広がり、渦巻くように形を成してソレは闇の力を備えた魔法の槍へと変化する。
ベルカは魔槍を操り、向かい襲ってくる竜巻に傷をつけていく。無駄を最小限に抑え、風の帯を解くように。見切り、読み、流す。
激しい竜巻はやがてふわりとほどけて柔らかな風になり、消える。
「これはお見事」
ウインドゼファーが感心するように言葉を漏らす。彼女はちらりと、ベルカの近くを漂うまだ放たれていない魔槍の軍勢を見ると、少しずつ、距離をとりながらベルカの周りを円描くように歩き始める。
「ならば、こうです」
闇色の魔槍がふっと消えると、次の瞬間ウインドゼファーの真上に現れる。彼女はそれを察知すると、急加速をし魔槍を避けるが、それを追うように残りの闇が放たれる。
出鱈目にも思えるその不規則な槍捌きに、ウインドゼファーの速さはぎこちなさを見せる。まるで、何かを誘われているかのように。
そして、彼女の速さが緩んだ瞬間を、ベルカは見逃さなかった。
ウインドゼファーを取り囲むように残りの魔槍を穿ち、彼女の動きを瞬く程度に、止める。
「この世界を好き勝手にはさせませんよ」
金色の瞳を煌めかせて、指をパチンと打ち鳴らすと、ユーベルコードではない純粋な『雷の魔法』が、魔槍に、ウインドゼファーに、突き刺さるように落ちる。
体の中を焦がすような鋭い暴力的な熱に、ウインドゼファーは絶叫を上げ、打ち払うように体を回転させると、魔槍の柵から抜け出でた。
「おのれ……!」
してやったり。ベルカはその悔しげな声を聞いて、誇るように笑顔を浮かべた。
成功
🔵🔵🔴
須藤・莉亜
「ところで、君って血は流れてるのかな?オイルとかじゃなくて。」
ちっと気になっちゃってねぇ。
敵さんの暴風はマントさんで体をくるでから、悪魔の見えざる手で【武器受け】。
吹っ飛ばされた時は、僕の周囲に浮かんでいる悪魔の見えざる手に体を持ち上げてもらって、下に落っこちないようにしてもらおうかな。
UCは蝕む吐息を使用。
敵さんの死角に召喚した腐蝕竜さんの全力ブレスをプレゼントしてあげよう。
ブレスで敵さんに隙ができたら、僕は悪魔の見えざる手に体を支えてもらって、血を捧げて強化したLadyで狙撃。
「血が欲しいけど、腕の一本とかでも良いよ?」
・煙も時には毒となる
なぁ、という小さな音に、ウインドゼファーは顔を上げる。
「ところで、君って血は流れてるのかな?オイルとかじゃなくて」
不思議な色合いをした髪を、ふわりと風に遊ばせて須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は彼女にそう尋ねた。
「そんなことを聞いて、どうするのですか」
「ちっと気になっちゃってねぇ」
煙を、ふぅ、と吐き出して莉亜は首を小さく傾げる。その瞬間、空気がピリッと張り詰める。花を巻き上げながら荒れ狂う暴風の刃が莉亜をその域に巻き込もうと広がりを見せる。
莉亜が『マントさん』にお願いをすると、マントさんはくるりと彼の身体を包み込む。そして、目には見えない『悪魔の見えざる手』が武器を扱い、凶風を鮮やかに受け流すように動き、躱す。
それでも風の勢いだけは殺しきれず、莉亜の身体がふわりと浮かび上がると、それをカバーするように見えざる手がそっと彼の身体を掬い上げて、安全な足場のある場所へとおろす。
『僕の敵を薙ぎ払え』
ウインドゼファーの先手の攻撃を流した莉亜は、そこから一切の躊躇いも余韻も見せず、流れるように歌うように胸に浮かんだ言葉を口にする。
その言葉は風に乗り、ウインドゼファーの元まで届くと彼女の背中で形を成し、腐蝕竜を言葉の中から召喚する。
「なにっ?!」
ウインドゼファーが反応するよりも早く、腐蝕竜の巨口から強い毒性の吐息(ブレス)が溢れるように流れ出でて、彼女の全身を包み込む。
くぐもった声が毒々し色合いの吐息の中から聞こえると、次の瞬間竜巻のように風が巻き上がり、毒の吐息と腐蝕竜を切り刻み吹き消した。
彼女がソレをかき消すのに意識を向けたすきを、莉亜は逃してはやらない。
指の腹に歯をたてて軽く傷を付けると、つぷり、と溢れる血を『Lady』に捧げ、悪魔の見えざる手に支えられながら、寸分の狂いもなくウインドゼファーを狙撃した。
ガンッ、と鈍い音をたてて身体を撃ち抜かれたウインドゼファーは射線から素早く飛び退き、窺えない顔で莉亜を睨みつける。
「血が欲しいけど、腕の一本とかでも良いよ?」
「……あなたは、あまり女性に好かれないタイプですね」
機嫌を損ねたように言葉を漏らす彼女に、彼は興味なさげに新しい煙草に火をつけて煙を吸い込んだ。
成功
🔵🔵🔴
イサナ・ノーマンズランド
SPD
足場が破壊されたら、爆弾による【破壊工作】で爆風を起こして自分を【吹き飛ばす】ように【ジャンプ】して飛び上がる。
滞空中は棺桶による【盾受け】で攻撃を凌ぎながら、【スナイパー】としての技量を生かして棺桶の内蔵火器で着実に反撃していく。
ここぞというタイミングでUCを発動、乱射による牽制と伸びる鎖で相手を絡め取り、杭打ち機による【零距離射撃】で仕留められたらいいなあ。
「空がとべないって? ……あまいよ、おねーさん!」
「帰り道のことをかんがえなければ、きっとなんとかなる! にんげんは工夫するいきものだから!」
「速さではかてないけど…… こんじょうなら、わたしもまけないんだ!」
アドリブ歓迎です。
暮陽・黎明
先制攻撃がやっぱ厄介だなー。防御は無力って考えたほうがいいなら、避けるしかねーだろー?
風ってんならどんなに早かろうが私の元に来るまでに花びらが舞って視覚的に認識可能なはずだー。第六感、見切り辺りで風に逆らわず空へ逃げようか。(情報収集、戦闘知識、空中戦)
逃げながら次の攻撃が来る前に指定UCを高速詠唱だな。
先制さえなんとかしちまえば、あとは簡単だ。
時間と空間操作を前に、風を操る能力なんてのは、無力に等しいと思わないか?どんな距離だろうが、どんな速さだろうが、発動したら最後0秒の一閃がお前さんをたたっ斬るぜー?(怪力、鎧無視攻撃、鎧砕き)
一度は避けても2回攻撃は避けれねーだろー?
・動けない速さ
「お次は、また随分と可愛らしいお嬢さんだ」
ウインドゼファーは指で顔を撫で、暮陽・黎明(瑠璃色に染まる空の果へ・f00383)とイサナ・ノーマンズランド(ウェイストランド・ワンダラー・f01589)を見てクスリと笑う。
「お嬢さん、言われているぜ?」
「うんと、キミのほうじゃ、ないのかな?」
互いに顔を向けてそんなことを言っていると、では、とウインドゼファーが声を出し、ブワリと花びらを激しく踊らせて、暴風を巻き起こす。
黎明は花びらの動きで暴風の迫る距離と感覚をつかむとそれを見切り
風に乗って高く舞い上がった。
同時に、イサナも足場の揺れを感じとり、大きなポケットから火薬の調整をした爆弾を取り出すと暴風域手前に投げて爆発をさせ、棺桶を羽の代わりにして爆風に乗り軽やかに宙へと跳び上がる。
「帰り道のことをかんがえなければ、きっとなんとかなる! にんげんは工夫するいきものだから!」
「……おや、これはどこかで見た状況ですね」
逃げ場も足場もない宙へと舞い上がった2人に対して、ウインドゼファーはすぐに2度目のユーベルコードの発動体制をとる。
しかし、相手の動きを予想できているか否か。そしてその予想通りに事が運んでいるかどうかで、ヒトの動きと反射力は大きく変わる。
「空がとべないって? ……あまいよ、おねーさん!!」
イサナは目を爛と輝かせて棺桶を構える。
『見やがれ異端、こいつがオレの裁きだ。そして喰らいやがれ。そのハラワタごと焼き尽くしてやる』
棺桶が開き、中から重火器のスイッチがオンになる音が黎明の耳にだけ聞こえた。次の瞬間、機関銃が断続的な音をたててウインドゼファーめがけて熱い雨を降らせる。ウインドゼファーはその雨を見て、足を軽く動かして軽やかに避けるが、見向きもしなかった弾痕から鋼鉄の鎖が、ジャランッ、と音をたててその四肢に絡みつき動きを鈍らせる。
「これは……ッ!!」
鎖を引き千切ろうとするが力が上手く入らず、ジャラジャラと鎖を鳴らしながらウインドゼファーの身体が、ギュリッ、と鈍い音を立てる。
「速さではかてないけど…… こんじょうなら、わたしもまけないんだ!」
つかの間の空中浮遊から戻り下りたイサナがウインドゼファーに棺桶を突き付ける。その中に仕込まれているパイルバンカーが音を立てて彼女の胸元に破魔の術式を織り込んだ杭を、ズガンッ、と突き立てる。
体の底から力が抜けていく感覚に、ウインドゼファーは音に出さない舌打ちをする。
「先制攻撃もかわして、さらに身動きが取れない状況……となれば、あとは簡単だ」
海のように青い髪を風に躍らせ翼を動かす黎明は、細く繊細な指で唇を軽く撫でて、不気味な力を宿す妖刀を構える。
『五ノ刻、黎明。十七ノ刻、薄暮。始り、終わりの交わり、来たりて――――宵闇、瑠璃斬!』
時の流れなど感じさせない花畑に、揺蕩うような黎明の時と薄暮の時が折り重なり、交わすように訪れる。
時間の歪。それを思わせる時の揺らぎがウインドゼファーの感覚を、数瞬鈍らせる。
「時間と空間を操れれば――」
歌うような少女の声が、ウインドゼファーの聴覚を鈴のように揺らす。
「風を操る能力なんてのは、無力に等しいと思わないか?」
その言葉が終わると共に、ウインドゼファーは“斬られて“いた。
胸に穿たれた杭に交差するような大きく交わう2つの二閃の傷跡。
その痛みを抑える様に外套を身体に巻き付け、ウインドゼファーは追ってしまいそうな膝を奮い立たせて、イサナと黎明を睨みつけた。
「随分激しい悪戯を知っているようで…っ」
「いたずらじゃない、せんりゃく、せんりゃーく」
「時は飛ぶ、ってな!」
ウインドゼファーが言う『可愛らしいお嬢さん』達は、互いに顔を見合わせて、ニッ、と笑顔を向けた。
大成功
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雷田・龍子
【SPD】
人派ドラゴニアンの龍子は銃槍を構え空を飛ぶ
遠距離では【見切り/2回攻撃/スナイパー】で対処
近距離では【見切り/2回攻撃/なぎ払い/武器受け/武器落とし/串刺し/零距離射撃】で対処
受けたダメージはアイテム【ドラゴンコイル】で攻撃力に変換する
閃光弾で【目潰し】を試みる
ウインドゼファーへ接近を試みる
敵は必ず先制攻撃=私は必ず後出しジャンケンとなる
“つまり後出しジャンケンで勝てば良い”
「皆の力をこの一撃に!メイドノミヤゲだ!」
UC攻撃を試みる
・花びら巻き上げ踊る雷
「これは、押しても引いても……だな」
赤いドラゴンの尻尾を揺らして、雷田・龍子(人派ドラゴニアンの剣豪・f14251)は銃槍を構えて翼を動かし、空から花畑とウインドゼファーを見下ろす。
「上から見下ろされるのは、あまりいい気はしませんねっ」
腕を動かせば花を巻き上げる暴風が容赦なく龍子へと放たれる。
自身が受けたダメージを別の力に変化させる『ドラゴンコイル』を用いるが、爆発するような暴風の力を、うまく変換しきれていない。
これは予想外だ。身体に浅い傷を負いながらも、風の流れと自身への攻撃の狙いを見切り、龍子は攻撃範囲外まで飛び退くために翼を羽ばたかせ、花びらに紛れ込ませるように『置き土産』を静かに落とす。
ガサッ、と花畑の中に落ちたソレは少しの時間の後に、目が眩むほどの鋭い光を爆発させるように放つ。
閃光弾。ウインドゼファーはその光から視線を庇うことはせず、身体がすぐに動くかどうかを確認し、龍子の次の動きを待つ。
(敵は必ず先制攻撃……ならば私は)
腰を落とし低く構え、足全体に力を入れる。
(後出しでも、ジャンケンで勝てればいいだけだ)
閃光弾の効果が終わる前に、踏み出し、突撃した龍子の足が、ウインドゼファーの横腹めがけて繰り出される。
その攻撃は当たればただでは済まないと感じ取ったウインドゼファーは、身体を後ろへ素早く倒す。彼女の胸の上を、龍子の鋭い蹴りが通過していく。
刹那だけ、両者の意識が交錯する。
ウインドゼファーは、倒れる勢いのまま後ろに避けると、両手をついてクルンと器用に宙返りをし、すぐに龍子へ視線を向ける。
しかし、そこに赤いドラゴンの姿はない。
一瞬の、目に見えない時間が、勝敗を決する。
龍子はウインドゼファーの視覚が完全に自分から外された瞬間、空へと急激に跳び上がった。そして、ウインドゼファーが体勢を立て直したその瞬間、上空からの鋭い滑空で勢いと重さを増した、雷の力を帯びた蹴りを叩きつけた。
「皆の力をこの一撃に!メイドノミヤゲだ!」
爆発的な思い一撃はウインドゼファーの顔面にめり込み、彼女の身体を吹っ飛ばし、花びらを巻き上げた。
「……随分と、勇ましく、激しい女性ですね」
「これが私の全力。お気に召しただろうか?」
眼鏡のブリッジを軽く上げて、次に龍子が見た時には、ウインドゼファーの姿は消えていた。
苦戦
🔵🔴🔴