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骨喰む牙

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●ぼく、骨大好き!
 "ぽち"は骨が大好きなわんちゃん。
 芸がうまくいった時、いい子でお留守番できた時、ご主人様がご褒美にくれる骨の味にすっかりメロメロになってしまった。
 けれど、骨をもらうためにぽちは頑張りすぎてしまった。優しいご主人様は頑張れば頑張っただけ骨をくれたけれど、おかげでお家に仕舞ってあった骨はあっという間に尽きてしまう。
 頑張っても、ご主人様は「ごめんね、また集めてくるからね」と申し訳なさそうに撫でてくれるだけ。
 撫でられるのは嬉しいけれど、それでもやっぱり骨がほしい!

 月明かりが雲に陰る晩、墓守当番のトマスは村の外れの廃教会、その裏手の共同墓地を気怠げに見回りしていた。
 ランタンを片手に、不気味な夜の墓場を見渡すトマス。専門の墓守を雇うだけのゆとりがない村では、若い男衆が当番で墓守に立つ。
 トマスはこの当番が死ぬほど嫌いだった。生来の小心者ということもある。夜の墓場など、近づくだけで早鐘を打つ心臓が口から飛び出しそうだ。それに何より、ここ数日墓が掘り返され、しかし一緒に埋葬された金品には全く手が付いていないという不気味極まる墓荒らしが出ていた。
 早いところ一周して、墓守小屋で朝まで茶でも飲んでやり過ごそう。その前に、両親が眠る墓で今夜も何事も無く朝を迎えられるよう祈っていくのもいい。
 早足で墓地を抜けるトマスは、両親の墓の前で動くものを見た。供え物を食い荒らしに来た熊や狼かも知れない。悲鳴を上げて逃げ出したい気持ちを必死に殺して、トマスはランタンを掲げてその不気味な影を照らす。
 それは両親の墓を掘り起こし、棺桶の蓋を叩き割ってその中に頭を突っ込んでいた。
「……お、お前……や、やめろっ! それは親父とお袋の……やめろってんだよ、化け物!!」
 ばりばり、ぽきぽきと響く音に何が起こっているのかを理解したトマスは、背負ったピッチフォークを構えてその不気味な生き物に叩きつける。
 楽しい食事を邪魔されたその"化け物"は、棺桶から顔を引き抜いて、ギロリとトマスを睨みつけ――、

 おいしい。おいしい。
 大好きな骨の匂いを辿ってやってきたお墓、ここを掘れば骨が出てくる。たくさん、たくさん骨が出てくる。
 仲間たちにも教えてあげよう。明日は皆で食べに来よう。
 ――もうひとつ大発見。
 人間の中にも骨がはいってた。お肉もついてて、ひとつで二度おいしい。これも皆におしえてあげよう。
 口元を血でべっとりと汚して、一人でお散歩に出た"ぽち"はご主人様の待つ屋敷へと帰るのだった。

●実録、無責任飼い主により猛獣と化した犬!
「……という事件が起こるんです!」
 集まった猟兵たちに、事件のあらましを説明したグリモア猟兵、アンナ・カルリエ。
 なんでも、ダークセイヴァー世界にて骨好きな犬……犬? 犬に角って生えてたっけ。ボディもなんか霊長類っぽくない?
 アンナが予知をもとにCGで再現した犬らしき生き物に、猟兵たちのツッコミが飛び交う。
「……………………オブリビ犬です」
 話が進まないので過去から蘇り人類を支配するヴァンパイアに使役されるオブリビ犬ということで今回はいこうと思います。
 その犬が村の墓場に埋葬された亡骸から大好物の骨が得られると知り、墓荒らし癖がついてしまった。
 また、墓守の男性がその犬に鉢合わせ、墓を守ろうとして犬に喰われてしまうという。
 そうなれば、人の味を覚えた犬は今度は村人を狙い始める。
「残念ながら、最初の犠牲者は既に出てしまいました。予知が遅れたのは私の力不足です……このままでは更なる犠牲者を求め、人の味を覚えた犬に率いられて、群れが村に押し寄せるでしょう」
 そうなれば、多数のオブリビオンを相手にろくな武器も持たない小さな村は瞬く間に滅ぼされる。その後、近隣の村落にその牙が向かないとは限らない。いや、間違いなく被害は拡散するだろう。
「ですから今のうちに、犬が飼われている領主屋敷に忍び込んでこっそりやっつけちゃってください。多分一頭に気づかれれば全部の犬が押し寄せてきますけど、皆さんなら大丈夫ですよ多分!」
 無責任にサムズアップするアンナに、猟兵たちはこの野郎自分が前線に立たないからって好き勝手言いやがると冷ややかな視線。
「で、犬が全滅する頃には流石に飼い主も気づいて出てくると思うんですが、しつけもしないで甘やかすばかりの無責任飼い主です。今回の事件の元凶と言ってもいいです。しばき倒してください。あとそいつそこら一帯の領主でオブリビオンのヴァンパイアです」
 飼い主ってヴァンパイアかよォ! そんな猟兵たちのツッコミをスルーして更に業務を加算するアンナ。
「全部終わったら、犬に荒らされたお墓の手入れもよろしくです。そのまま放置しちゃうとせっかく守った村に獣とか病気とか、別の危険が迫っちゃいますし。乗りかかった船だと思って、お願いします!」
 ヴァンパイアといい勝負するくらい無責任に、アンナは猟兵たちを領主屋敷へとテレポートさせるのだった。


紅星ざーりゃ
 こんにちは、紅星ざーりゃです。
 ダークテイストだと思った? 残念、アンナちゃん斡旋の依頼でした。
 そんな感じで軽く始まるダークセイヴァー依頼になります。放任主義と無責任を履き違えた甘やかしヴァンパイアと、のびのび育って猛獣と化した駄犬もとい暗闇の獣を始末してきてください。

 一章は集団戦、暗闇の獣の群れと戦います。
 多頭飼育崩壊してんじゃねえのってくらい出てきますのでサクサクやっつけましょう。
 二章ではボス戦、飼い主との決戦です。ペットを倒され怒り心頭で出てくるでしょうが、生き物を飼うというのはどういうことか叩き込んでやってください。
 三章までたどり着けば、暗闇の獣に荒らされた墓地の再建を行なうことになります。
 皆様の手で安全かつ清潔な墓地にしてあげてください。
 アンナは墓守小屋で優雅にお茶しながら見守っていますので、テメーも働けオラァ! というご意見ご要望ありましたらぜひプレイングでお誘いください。泣きながら働きます。

 それでは、よろしくお願いいたします!
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第1章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エルデラント・ズィーマ
ほわぁ……犬ってどんな姿してたか忘れてましたけど確かに角が生えてたような

沢山いても飼い主にもワンちゃんにもいいことないので片っ端からクィックドロウで狙い撃ちしましょう
狙うはワンちゃんの顔面です。目や口に当たればいいですねぇ

万が一敵の反撃を貰いそうならスピードでワンちゃんの足元を抜けちゃいましょう

単独で戦ってもいいですし、誰かと一緒になっても大丈夫ですよ。その時は力を合わせて頑張ります!


クラム・ライゼン
犬……い、ぬ…?
可愛さのカケラも無さすぎて今ちょっと泣きそう俺。
実物が予想以上にマジで怖い。
超カッコ悪いから絶対口には出さないけどな……!


・戦闘
【POW】
流石に屋敷内で精霊術ぶっ放すのはなぁ。
味方まで巻き込みそうだし自重。

基本的にディア(ドラゴンランス)で攻撃。
槍が不利な超至近距離まで近付かれたらルフェ(短剣型エレメンタルロッド)に交代。
纏めて〈薙ぎ払〉ったり〈串刺し〉にしたりする。
明確な弱点属性があるなら〈属性攻撃〉も併用。

・ユーベルコード
ドラゴンランスでの攻撃命中時に使用。
赤竜の幻影で対象を追撃。
敵を纏めて薙ぎ払った時に使えるなら使ってみよっか。
纏めて吹っ飛ばせるかもしれないしな!




「ほわぁ、犬ってどんな姿だか忘れてましたけど、確かに角生えてるんですねえ」
 領主館にテレポートした猟兵たちは、程なくして第一村人ならぬ第一飼い犬に遭遇した。
 まるで鮮血を浴びたかのように赤毛混じりの、灰色をしたふさふさの体毛。焦点の合わない濁った眼。捻じ曲がり枝分かれした大きな角。鋭い牙をむき出しにして唸るその顎からは、粘つく涎がぼたぼたと滴る。
 その姿にエルデラントは深く頷いた。諸般の事情で記憶を燃やし、色々と曖昧な彼女であるが、確かに犬ってこんな生き物だった気がする。うん、紛れもなく犬だ。
「いや、犬……い、ぬ……? え、犬…………??」
 一方でクラムは涙目である。想像してたやつの十倍怖かった。マジで。もっとチワワとかトイプーみたいなのがよかった。なんだよこれ、犬っていうか獣じゃん。
 例えるならスタート直後、装備すら拾えないチュートリアルに突如出てきて情け容赦無く殺しに来るタイプの威圧感にガチビビリするクラム。しかし彼とて男の子。平気そうな女子の前で自分がビビるなど超カッコ悪いという自覚はある。故に耐える。偉いぞ男の子。
 そんな二人に気がついた犬が、顔を上げぐるぐると喉を鳴らして威嚇し始める。混濁した瞳には哀れな獲物に向けた飢えが滲んでいた。
「がるるるるるゥ…………ヴゥウゥゥ……………………きゃんきゃん! わんっ! きゃうん!!」
 ――――鳴き声めっちゃ小型犬だった。
 ともあれ、暗闇の獣の咆哮が……咆哮…………鳴き声が戦闘の火蓋を切って落とした。
 明かりの乏しい屋敷のあらゆる暗がりから、獣たちの濁った眼がぎらぎらと光を反射しながら猟兵たちに視線を送る。
「うえぇ、こんなに居るのかよっ!?」
 四方八方から、十や二十ではきかない数の瞳がこちらを見ている。それはいくら鳴き声が可愛くても、クラムにとって恐怖である。思わず弱音がポロッと出たが、相棒たる赤竜ディアを槍に変えて構える動作は経験を積んだ猟兵のそれだ。
「これだけいっぱいいるとわんちゃんにも飼い主にもいいことないですねぇ……」
 毎日のエサや予防接種などにかかる各種費用、散歩などの健康管理、あるいは一匹一匹とのスキンシップ……それらを鑑みると、やはりこの屋敷では飼いすぎだ。ちょっと減らさないとですよ、とエルデラントは銃を抜く。
 相手はオブリビ犬、保護して里親探しなど必要ない。その顔面に目掛けてブラスターの引き金を引き、淡々と数を減らしていくエルデラント。
 対してクラムは飛びかかる獣に槍を振り回し、薙ぎ払ったり突き刺したりと必死だ。ディアの幻影も呼び出して追撃を入れるが、いかんせん数が多すぎる。
「ヴゥゥ……わんわんっ! わうっ!!」
 恐ろしい咆哮と共に、血塗られた鋭い爪を持つ前脚のふわふわ肉球を猛烈な勢いで振り下ろす獣。
 わんこの肉球と侮るなかれ、太い前脚から繰り出される一撃は領主館の床板を叩き割って足場を壊してしまうほどの破壊力だ。あと爪も普通に致命傷になる。超鋭い。
「なんでパーツ単位では微妙に可愛い感醸してるんだよぉ!?」
 それをディアの柄で受け止め弾き、突いて追い返し、複数に集られれば短剣ルフェでその肉を斬り裂いて怯ませ、ディアの一撃で仕留めていく。
 着実に数を減らしてはいるが、終わりが見えない戦いに攻撃も防御も体力勝負のクラムの疲労は加速度的に蓄積していく。
 エルデラントはというと、ブラスターによる射撃はかなり獣には効くようで、体力の消耗も最小限にその数を減らせていた。
 とはいえ、じりじりと距離は詰められ、照準に割ける時間は減っていく。狙い定める時間がなければ一撃必殺とはならず、やはり物量には劣勢を強いられていた。というかよくこの屋敷にこんな数詰め込んだなってくらい出てくる。
 その内に防衛線を突き崩され、獣が飛び込んできた。同時に前に駆け出したエルデラントはその股下をスライディングで抜け、振り返るとクラムにも危険を知らせるために呼びかける。
「そっちに一体いきましたよ」
「マジかよ!?」
 慌てて振り向いたクラムの眼の前で、獣が大きく肺に空気を取り込む。
 まずい。直感的に危険を悟った二人は距離を取り、耳を塞いだ。
「―――――――――わぅぅぅぅぅん!」
 それは血に餓えた叫び。今回の場合、厳密には血より骨に餓えた叫びである。その叫びは猟兵たちに恐怖を刻みつけダメージを与えるはずだった。
「「…………思いのほかかわいい!」」
 恐怖はちょっと無理だった。一方で骨たべたーいという叫びは、獣たちのお腹をぐぎゅぅと鳴らす。
 骨食べたい。おなかすいた。
 無差別に影響する叫びを聞いて餓えを思い出した獣たちは、空腹が気になってちょっと戦闘への集中力が落ちるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エウトティア・ナトゥア
妹のスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)と共に行動します。

死者の眠りを妨げるとは浅ましいのう。躾けのなっていない駄犬を飼い主の代わりに躾けてくれようぞ。

《群狼の狩猟》で狼を召喚し「鼓舞」を使って指揮をとるのじゃ。

(銃を乱射する妹を見て)
このたわけが、無駄に注意をひきおって……
仕方ないのう。召喚した狼の半分を銃を乱射するたわけ(妹)の護衛にまわすかの。

もう半分は攻撃じゃ。
わしの「野生の勘」や狼の嗅覚・聴覚で透明な暗闇の獣を看破し、喰らいつかせる事で認識が容易になるじゃろう。
お前達!駄犬共に喰らいつくのじゃ!


スピレイル・ナトゥア
WIZを使います

お姉様(f04161)と一緒に戦います
精霊印の突撃銃を四方八方に乱射して、駄犬さんたちを炙り出します
「お姉様、さすが!」
駄犬たちと比べることもおこがましいお姉様の優秀な猟犬たちが透明の駄犬たちの居場所を感知できるようなので、ゴーレムにお姉様の猟犬たちのあとをついていって戦いに加勢するように命令します
「食べ物の味を覚える動物がいるって話、本当だったのですね。ダークセイヴァーの方々はろくな食べ物も食べれていないと思うので、骨もきっとカルシウム不足だと思います。私の骨のほうがきっとおいしいですよ。さあ、かかってきなさい!」
単調で単純な攻撃を誘おうと、暗闇の獣さんをそう挑発してみせます




「死者の眠りを妨げるとは浅ましい獣じゃのう」
 わしが飼い主に代わって躾けてくれようぞ、と獣を睨むのはエウトティア。
「食べ物の味を覚える動物が居るって話、本当だったのですね」
 伝え聞いたことのある知識が実際に実例を伴った経験となった感覚に頷くのはスピレイル。
 キマイラフューチャーの作られた自然界で暮らしてきた二人の巫女姫、ナトゥア姉妹にとってこの世界の生物は殊更に野蛮で獰猛に見えた。鳴き声は思ったよりかわいかった。
「まったく図体ばかりでかいまさに駄犬じゃな。お前たち、あの畜生どもに狼の狩りというものを見せてやるのじゃ!」
 そんな駄犬であっても、戦う術を取り上げられ、牙を抜かれて久しい村人たちには大きな脅威となる。民を導く巫女姫として、世界が違えど部族の民でなかろうとも、無力な人は守るべきもの。その生命を脅かす獣どもに容赦をする必要は欠片もありはしない。
 エウトティアが呼び出した小柄な狼の群れは、主の鼓舞で士気を高めて狩るべき獲物の群れを獰猛に唸り威嚇する。
「きゅぅん…………きゃうん!」
 その威圧感に尻尾を丸めて暗がりに下がった獣の姿が、闇に溶けるように消える。
 暗闇の獣は姿を隠す――この怪物が恐れられる理由の一つが、彼らの特殊な力――狩猟に際して姿を不可視化できるというこの能力だ。
「あら、見えなくなってしまいました」
 困ったように眉を上げるスピレイルだが、その手には物騒な得物。どこからどう見ても巫女の、まして姫の武器ではないそれは、どちらかと言うと戦場傭兵やブラスターガンナーが振り回していそうな、殺傷力を機能的に携帯できる形に押し込めた近代戦の必須アイテム。
 ――突撃銃、またの名をアサルトライフル。シスターがサブマシンガンを振り回す時代だし、巫女がアサルトライフルを振り回してもいいのかも知れない。少なくとも鉛玉ではなく精霊をエンチャントした魔法弾を撃ち出すというのだから、かろうじて巫女要素は……いや、姉のエウトティアがものすごく分かりやすい巫女装備に身を包んでいる分、すごく浮く。厳かさより萌えが先に立ってしまうだろう。
 閑話休題、スピレイルの銃が火を噴いた。
「私思うのですけれど、満足にご飯も食べれないようなこの世界の方より、私のほうがカルシウムたっぷりで美味しい骨を持ってるんじゃないでしょうか」
 果たして言葉が通じたのか、暗闇からじゅるり、べちゃりと涎が流れる音がした。すかさず叩き込まれる魔法弾。音がすれば即そこに弾丸の嵐が吹き荒れる。
「たわけが、無駄に注意を引きおって……」
 妹の荒っぽい戦いぶりにため息を吐くエウトティア。やれやれと首を振って、配下の狼の半分をスピレイルの護衛に付ける。残りは狩りの要員だ。
「お前たち、駄犬どもに喰らいつくのじゃ!」
 巫女の命令のもと、嗅覚を頼りに不可視の暗闇の獣に飛びかかり、分厚い毛皮に爪を立て、かじりつく小さな狼たちの群れ。ただの一頭も攻撃が空を切ることはなく、正確に暗闇の獣の急所に牙を突き立てる。
「お姉さま、さすがです!」
 スピレイルの称賛にそうじゃろ、と鼻高々のエウトティア。
 だが、狼と暗闇の獣の体格差は、いくら牙を捩じ込まれても致命傷に至るまでが遠い。小さな牙では喉笛を噛みちぎるには至らなかった個体も何頭かいたらしく、それが血を流しながらドヤるエウトティアの前に出現し――、
「土の精霊さん、よろしくおねがいします」
 誘い出された獣の横面に、スピレイルの呼び出した精霊入りの土人形の拳が突き刺さる。
 ナトゥア姉妹と狼たちは、個々の空腹に従ってバラバラに攻め立てる駄犬の群れに対して群れとしての連携で立ち向かった。
 全体の数では劣勢でも、常に多対一を繰り返すことを心がけるナトゥア姉妹にとって、暗闇の獣は少しばかり図体の大きなだけの獲物に過ぎなかった。
 瞬く間に、狼と土人形の手で獣たちは狩られてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

碧海・紗
雨霧・結(f06365)さんと連携

どういう躾をされてるのでしょうね…
亡骸を荒らすだなんて、実に不愉快。

敵の動き、攻撃に意思を向けて
姿を消すなら周囲の音や気配を
特定の範囲での攻撃もあるので間合いは詰めすぎないよう注意
技能の視力を使用して隙を与えぬ行動を

結さん、そちらはお任せしました
折角協力するんですから…
私は此方を。
2人なら、360度警戒できますね?

攻撃は技能のフェイントも活用
敵の攻撃が私を狙う寸前に脱力状態に
【WIZ】オペラツィオン・マカブルを使用
からくり人形からの攻撃を試みます

からくり人形は敵の死角を突いて背後へ忍び
カラリ。音を立てたらばそれは既に、終末の音。


雨霧・結
碧海・紗(f04532)さんと一緒にがんばります

ええとオブリビ犬だっけ?
ここ掘れわんわんで、お墓を掘るのはダメよ
にしても飼いすぎ!わんこそんなに好きなの…?
好きだったらもっと躾なりかまってやんなさいよ!

他の猟兵たちについていき侵入

うーん、透明になるのは厄介ね
接触してる子が、透明になるみたいだから
1匹だと思ったら2匹だったパターンになるなら
なぎなたの柄の長さを利用し懐に入らせないように【なぎ払い】で払ってこうかしら
【ブラッド・ガイスト】を使用した、なぎなたでバサバザなぎ倒す

360度!背中合わせってやつ?ふふっカッコいい!
おっけ、こちら側はお任せしてちょーだい
紗さんと連携して、死角をなくして戦う




「ええと、オブリビ犬だっけ? ここ掘れワンワンなんてお墓を掘るのはダメよ」
「どういう躾をされてるのでしょうね。亡骸を荒らすだなんて実に不愉快」
 猟兵たちの奮闘によって、屋敷内には獣たちの骸が積み上げられていく。けれど、奥から押し寄せてくる新たな獣の姿は途切れることがない。
 そして質が悪いことに、それらは猟兵たちの視界に捉えられたと認めるやすぐさま背景に同化して姿を隠すのだ。
「結さん、そちらはお任せしました。私は此方を。二人でなら、三六○度全て警戒できますわね?」
「三六○度! 背中合わせってやつ? ふふっカッコいい! おっけ、此方側はおまかせしてちょーだい」
 結と紗は背中合わせに得物を構えて、姿なき駄犬たちの襲来に備える。
 信頼し合う戦友同士、互いに己の無防備な背後を預けて戦いに臨む二人の戦いは、たとえ目に見えずとも獣の接近を許さなかった。
 結は消える寸前の動きから、消えた後の獣がどのように動き距離を詰めるのかを予想し、思考の中でその姿を追ってなぎなたで切り払う。
 紗はというと、足音を頼りに当たりを付けたおおよその敵の居場所を注視し、消えた獣が歩く際の僅かに舞う埃をその視力で捉えてその位置を正確に捕捉する。
 捉えてしまえば静かにからくり人形可惜夜が忍び寄り、からりと音を立てて獣の生命を絶っていく。
 だが、それでも全てを倒しきれてはいない。
「にしても飼いすぎ! こんなに飼うくらいわんこが好きならもっと躾なりかまってやんなさいよ!」
 姿を消しても無意味と悟った獣が、透明化を解いて豪腕を結に叩きつける。
 それをなぎなたで絡め取り、滑るように威力を受け流して喉笛を貫く結。
 一方で再び吼え、恐怖によるダメージを与えようと大きく息を吸う獣が結の背後に迫る、が。
「結さんの背中は私が預かっています。私を素通りして勝手は許しませんよ?」
 割り込んだ紗が力を抜き、咆哮の威力をユーベルコードでその身に集めて可惜夜に伝え、獣に背後から叩き返す。
 気づけば駄犬の群れもいくらか目に見えて数が減り、さらなる追加ももう出てこない。
 二人は身を翻し、後続の猟兵に前衛を任せて続く飼い主との戦いに向けて牙を研ぐのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミーナ・ヴァンスタイン
見た目こそいつも通りだが、静かに怒り心頭で両手の拳銃を構える
「遺体を愚弄し、生きた人間も貪り喰らう魔獣、神の下に断罪してあげるわ」
光【属性攻撃】の弾丸を【2回攻撃】【一斉斉射】などで敵めがけて撃ち放つ。
敵が消えても落ち着いたまま、仲間に声掛けつつ横薙ぎに乱射する。
「皆さん、危ないので下がってくださいません」
「姿が消えても実態があれば当たるでしょう?」

敵が接近したら【第六感】で【見切り】で避けながら【断罪撃】による【カウンター】を【怪力】で叩き込む。
「その攻撃はもう見飽きたわ」
そのまま体勢の崩れた敵を掴み【2回攻撃】【グラップル】で別の敵めがけて投げ飛ばす。
「一緒にお眠りなさいな。永遠にね?」


マイア・ヴェルナテッド
【Wizで判定】

躾がなってない犬ですね。まったく、領主の器がしれるというものです。
目に見えない。と言うのは往々にして厄介なものです。…が、においや体温、足音などを完璧に消し去る様な隠業で無ければ如何様にでも対処出来ます。
今回は最も簡単な方法。すなわち全方位無差別攻撃で吹き飛ばしてしまいましょう。

という訳で【全力魔法】をもって【高速詠唱】した【黒薔薇の嵐】で【2回攻撃】を行います。
…あ、発動前に巻き込まれないよう注意してくださいね?と味方に呼びかけておきます。




 その数を大きく減じ、猟兵という「獲物ではない何か」に恐れを抱き始めた獣たち。
 くぅん、きゅうんとか細い声を上げてじりじりと退きはじめたそれを、猟兵たちは無視して飼い主を討つことも出来るだろう。
 だが、飼い主だけを仕留めても事態は収拾しない。無責任ながら餌を与えて飼い主の体裁だけは保っていたヴァンパイアを失えば、餓えた獣達が屋敷の外に溢れ出しかねない。そうなれば被害は収まるどころか拡散してしまう。
 猟兵たちにとって、戦意を失いつつある獣を見逃すことはできない。
「遺体を愚弄し生きた人間も貪り喰らう魔獣、神の下に断罪してあげるわ」
「侵入者相手に逃げ腰、番犬としても役立たずなんて躾がなってない犬ですね。まったく飼い主の器が知れるというものです」
 獣の前に立ち塞がるのはミーナとマイア。吸血鬼たる領主の悪行――この場合は猛獣を放し飼いにして領民を危険に晒している――を正し、ヴァンパイアを討つべくやってきたダンピールの令嬢達だ。
 二人は静かに、ミーナはその内に死者の眠りを荒らす駄犬への激しい怒りの炎を燃やし、マイアはペットすら御しきれていない領主への呆れを浮かべて、姿を消し逃げ始めた獣に同じ手段で追撃を叩き込む。
 すなわち――「見えないなら空間ごと全部吹っ飛ばせ」作戦である。
 ミーナは拳銃を、マイアは日傘を模した杖と魔導書を手に、それぞれの攻撃を放つ。
「姿が消えても実体があるならば当たるでしょう?」
 光の弾丸が獣を射抜き、
「咲き誇るは黒き薔薇。死風と共にいざ舞い踊れ――」
 光条の隙間を埋め尽くすように、闇夜のように黒い薔薇の花弁が獣を切り刻む。
 瞬く間に逃げ出した獣は斃れ、屋敷に静寂が訪れた。
「目に見えないというのは往々にして厄介なものでしたが、面で攻めればこうも簡単なものです」
 ぱたん、と魔導書を閉じてふぅと息を吐くマイア。
 その背後に迫る、この瞬間まで息を殺し潜んでいた最後の獣にミーナの拳が叩きつけられた。
「その攻撃はもう見飽きたわ。あなたの罪、消し飛ばしてあげる」
 姿を消し、猟兵の背後を好んで狙うという獣の習性を先行した仲間たちの戦いで既に見切っていたミーナの断罪撃が、拳から叩きつけられる強力な魔力が最後の一体を絶命させた。
「そのままお眠りなさいな、永遠にね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 こつ、こつと屋敷の奥の階段を降りてくる足音。
 それは噎せ返るような獣たちの獣臭と血臭を、威圧感の風で押し流すようですらあった。
 斯くして猟兵たちの前に姿を現したのは、ねぼけ眼を擦りながらやってきたナイトキャップにパジャマ姿のヴァンパイア。
「ぽち? ……たろ、じろ? じょん……? まったく、遊ぶならお庭か近くの村にしなさいって…………ん?」
 普段なら飛びついてじゃれてくる愛犬たちの姿が見えないこと、そして見慣れぬ侵入者が居ることに気づいたヴァンパイアは、すぐさまその姿を領主らしい厳かかつ威圧的な甲冑に変じてきりりと表情を引き締める。
「貴様ら……我が眷属をどこへやった。この領地と夜の闇を統べる私の屋敷に許可なく踏み入るだけでも万死に値する重罪だが、質問の返答次第では相応の罰を受けてもらわねばなるまい……」
 顔に手を当て、やや腰を突き出すようにバランスを取った独特のスタイルで立つヴァンパイアは猟兵たちを威嚇する。
 なんとも締まらない相手だが、この一帯の人々を苦しめるオブリビオンであることに相違ない。
 それに、獣が全滅したとしてもこのヴァンパイアが健在であればまた同じような飼育方針で厄介なペットを飼い始めないとも限らないのだ。
 それを阻止するべく、そしてオブリビオンの圧政から人々を開放するべく猟兵たちはヴァンパイアとの決戦に挑む!
マイア・ヴェルナテッド
 【礼儀作法】を以て慇懃無礼に宣戦布告
 ごきげんよう領主様。貴方のペットは私ども猟兵が処分致しました。そして領主様、貴方も領土の統治はおろかペットの躾すらままならない貴方も領主として不適格と判断しました。
 …ですので領主様、貴方にもここで死んでいただきます。

 【高速詠唱】で【呪詛】を乗せた【ウィザード・ミサイル】を【全力魔法】で唱えて【二回攻撃】を行います。




「ごきげんよう領主様」
「む……」
 領主ヴァンパイアの前に進み出たマイアが、完璧な作法でお辞儀をひとつ。
 来訪の約束もなく、招かれる前に上がり込んだ不躾な客人を見る領主の眉が僅かに上る。
「最低限の礼儀を弁えてはおるようだな。尤も、多少の礼儀を持ち合わせようと死罪は変わらぬが……」
 それから、とマイアが領主の言葉を遮った。
「貴方の躾のなっていないペットは私ども猟兵が処分致しました。そして、領土の統治どころかペットの躾すらままならない貴方は領主不適格」
 よって、ここで死んでいただきます。
 マイアからの領主権限の剥奪と、逆死罪の宣告にヴァンパイアの表情が歪む。
「吼えおるな猟兵とやら。よかろう、貴様らはひと目見たときより気に入らなかったのだ。それに我が愛しきペットたちを殺しただと? 絶対に……」
 領主のマントが膨れ上がり、ぎぃぎぃと耳障りな鳴き声が湧いて出る。
「絶対に許さんぞ貴様ら――ッ!!」
 マントから飛び出した影のコウモリの群れがマイアに押し寄せる。
 一体一体は小さいが、それぞれが鋭い牙と爪を持つ獰猛な領主の分身だ。ひとたび纏わりつかれればただではすまないだろう。そしてそれだけではなく、影そのもののコウモリは暗い領主屋敷の闇に溶け込み、その姿を見出すことすら至難となる。
「フハハハハハハ、可愛い愛犬たちへの手向けだ! ズタズタに肉を引き裂き、貴様らの骨をあの子らの墓前に供えてくれるわ!!」
 傲慢に笑いながら、可愛がっていた犬たちとの思い出に涙を流すヴァンパイアの放つコウモリが猟犬の如くマイアに迫るが、
「いいえ、お断り致します。むしろ貴方があのペットと同じ墓にお入りになられたほうがよろしいでしょう」
 マイアの放つ炎の矢は、呪いを封じた強力なもの。一発一発の威力も高く、そして連射速度も凄まじいそれが影のコウモリに迫る。
 ――炎とは即ち原初の光のひとつである。そして、影は光によって掻き消える。
 吸血鬼の眷属たるコウモリは、マイアの放つ炎の前に溶けて消える。
 だが、その炎が領主に届くと同時に領主が敢えて迂回させ、背後に回していたコウモリの牙がマイアの肩に突き刺さる。
「ぬぅっ、屋内で火を使おうとは! 屋敷が燃え落ちたらどうするのだ、人夫を徴収するのも楽ではないのだぞ!」
 マントで身を守り、焦げた布地を撫でたヴァンパイアが糾弾し、
「くっ……流石に一撃では死にませんか、しぶとい方ですね……」
 マイアが呻く。だが、彼女の炎はヴァンパイア領主の眼を惹いた。猟兵たちは、その一瞬の隙を逃すまいと一気呵成に攻め立てる――!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

スピレイル・ナトゥア
お姉様(f04161)と一緒に戦います

「まったく近代兵器は最高です!」
第1章で突撃銃に触れてもらったことですし、嬉しくなってつい精霊印の突撃銃を連射しちゃいますよ
【第六感】頼りの弾幕をなるべく張って、影の蝙蝠の接近を牽制するとしましょう

「ペットと人間は、お互いに支え合って生きていくのが正しい在り方です。ワンちゃんは確かにかわいいのかもしれませんが、だからといって甘やかし過ぎては飼い主失格です。どうせオブリビオンでもありますし、これ以上人々に迷惑をかけないようにここで退治してあげます」
部族の信仰のシンボルとしてではない本物の『精霊の眼』を開き、【呪詛】を込めることで『蒼色の螺旋』を発動します


エウトティア・ナトゥア
SPDを使用

妹のスピレイル(f06014)と共闘

スピレイルの蒼色の螺旋の準備が整うまで前衛で回避

スピレイル…? そうか、精霊の眼を開くのじゃな?
それでは、わしの役目は時間稼ぎじゃな。

スピレイルの準備が整うまで、マニトゥに「騎乗」し、『ヴァンパイア』に狼の爪と牙で接近戦を挑むとするかのう。
牽制程度にしかならんじゃろうが、わしの手製の短弓で蝙蝠を攻撃するのじゃ。
《マサクゥルブレイド》はちと厄介じゃが、マニトゥの「野生の勘」とわしの「第六感」でしのぐしかないかのう。
まあ、わしも「夜目」は利くし、「視力」には自信があるのじゃ。
どうにか敵の攻撃を「見切る」しかないのう。




「いいですか、領主様。ペットと人間はお互いに支え合って生きていくのが正しい在り方です。ワンちゃんは確かにかわいいのかもしれませんが、だからといって甘やかし過ぎては飼い主失格なのです」
 あなたはどうでしたか、ちゃんとペットを叱っていましたか、なあなあで許していませんでしたか、ただ好き放題に甘やかすのと愛情を込めて可愛がるのは別物ですよ、と諭すスピレイルと、その傍らでうむうむと頷くエウトティア。
 ナトゥア姉妹の説教に、ちょっと焦げたヴァンパイア領主はぐぬぬと歯噛みする。
「言われてみればイタズラをした時にも叱りはしなかった……そうか、それは愛情ではなかったのか……しかし、私にあの可愛らしい子犬ちゃんたちを叱りつけるなど……」
「まあ何だかんだ言ってもどうせオブリビオンでもありますし、これ以上人々に迷惑をかけないようにここで退治してあげます」
 この妹、いいこと言ってヴァンパイアを改心させる兆しが見えたかと思えばこれである。
「まったく近代兵器は最高です!」
 フゥーハハハァーとでも笑いそうな勢いで突撃銃を乱射するスピレイル。もうやだこのトリガーハッピー。
 しかしその狙いは正確であった。慌てて放たれ、飛来するコウモリを撃ち落とし寄せ付けない……いや、単純にものすごい弾幕で撃ち落とされているだけでけっこう外れた弾もあった。正確ではなかった。
 その様子を見ながら、姉エウトティアはスピレイルの狙いを察する。
 ――時間稼ぎをしておるということは、精霊の眼を開くのか。ならばわしの役目も時間稼ぎじゃな。
 巨狼マニトゥに跨ったエウトティアが駆け出す。巨躯の狼で吸血鬼領主の視野を塞ぎ、妹への注意を逸らす。薄暗い屋敷は視野を制限し、接近戦ならば余計に足場が見えぬ不安がつきまとうが、勘と夜目を頼りに正確に駆けるエウトティアとマニトゥは、領主の手で呼び出され襲いかかる宝剣の群れを回避に徹することで受け流す。
 領主の攻撃は二人を捉えきれず、二人の攻撃もまた領主の攻撃を受け流すのに重きを置いたおかげで攻め手に欠けていた。
 ついこの瞬間までは。
「いま真の眼を開きましょう。私は運命を視る忌み子。何人たりともこの御手からは逃れられない……!」
 飛び退いたマニトゥの背中越しに現れたのは、青い瞳を不思議な光に輝かせたスピレイル。
 その眼から放たれた呪詛は、蒼色の螺旋として吸血鬼に突き刺さった。
「がふ……不意打ちだと、下賤な低級種族が……!」
 蒼い螺旋によって無理やり寿命を削り取られた吸血鬼が呻く。持てる最大の力を叩き込んだナトゥア姉妹は戦いを同胞に任せ、巨狼マニトゥに跨って一時後退するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミーナ・ヴァンスタイン
真の力を開放し、赤き瞳の吸血鬼形態に変化。戦闘力を上昇させる。
「ふふっ♪遅かったわねぇ……あなたの子犬さんはもうお仕置き済みよ?」
二丁拳銃を使い【2回攻撃】を放つ。
「さぁ、大人しく神の裁きを受けなさい。ヴァンパイア!」
敵の攻撃は【見切り】と【残像】を駆使して回避します。
「流石、ヴァンパイア。こちらの不利は承知の上よ」

影の蝙蝠を召還したら、こちらも対抗するように【使い魔召喚】を使用。
同じように無数の蝙蝠を放ちます。
「わたしもダンピールの端くれよ……この程度の芸当は出来るわ」
躱しきれない分は2丁拳銃を横薙ぎに【2回攻撃】【一斉発射】で一掃を狙います。
「さっきと同じよ。実体があるなら当たるはずだわ」




「ふふっ……遅かったわねぇ、あなたの子犬さんはもうお仕置き済みよ?」
 強烈な一撃を受けてよろめくヴァンパイアを見下ろし、その登場の遅さを嘲笑うのはミーナだ。
その夜の闇のように黒い瞳を今は赤く輝かせる彼女は、
「まさか、同胞か!? 何故そのような者共と……いや、貴様混じり物か!」
 ヴァンパイアの誰何に微笑みかけると、二丁拳銃で容赦のない銃撃を加える。
「さあ、大人しく神の裁きを受けなさい」
 ドレスの裾を翻し、踊るように光の弾丸を叩き込むミーナと、マントと剣でそれを防ぎながら憎々しげにそれを睨むヴァンパイア。
「ええい、どこの田舎貴族の胤かは知らんが、混血はこれだから好かぬ……! 銃などとわけの分からぬ玩具に頼り、剣を振るう誇りすら知らぬ混じり物め、ここで高貴な血統がこれ以上汚れぬよう縊り殺してくれる!」
 ばさりと広げられたマントの内から影のコウモリを呼び出し、ミーナを討ち滅さんとする領主。その猛攻にミーナもまた、影のコウモリを放って対抗する。
「ぬっ…………! 小癪ゥ!!」
「わたしもダンピールの端くれ、この程度の芸当は出来るわ」
 コウモリ同士の空中戦となれば、物量と質は純血のヴァンパイアたる領主が勝る。
 だが、ミーナには武器がある。実体が在るならば銃が効く、獣相手で確認した事実をもとに、二丁拳銃の猛烈な連射がコウモリを撃ち落とす。その援護を受けてミーナのコウモリ達がヴァンパイアの防御をすり抜けその手足に噛み付いた。
「……ぐぉぉッ、汚れた混血風情が、下等生物といえど純血の人間のほうがまだ可愛らしいわ……!!」
 吸血鬼を滅ぼす半吸血鬼の攻撃に血を流して呻くヴァンパイアが、憎悪の籠もった目でミーナを睨みつけた。

成功 🔵​🔵​🔴​

チェリカ・ロンド
「犬の躾もまともにできないなんて、吸血鬼の名が聞いて呆れるわね! ハーフヴァンパイアの私の方が、まだまともにブリーダーできるってもんよ」

 【トリニティ・エンハンス】で炎の魔力を全身に纏わせて、攻撃力を底上げするわ!
 魔力の触媒になりやすい髪を、赤く輝かせて突撃よ!

「見たところ、あんたもバカ犬同様に頭が悪そうね! 私が調教してあげるわ!」

 小さな体を活かして素早く立ち回り、【光聖剣「バルムンク」】をぶん回して斬りつける! 聖なる剣だから魔に属する吸血鬼にはよく効くんじゃないかしら?
 ま、それでなくとも大きな剣だし、当たれば痛いわよ!
 腕の一本ぐらいへし折ってやりたいけど、さすがに望みすぎかしら?


雨霧・結
アドリブアレンジ超歓迎

その姿…うん、カッコ悪い。タイプじゃない
てゆーか今、遊ぶなら近くの村って言った?
さぁて、何して遊ぶのかしら…
ぽち達が、村のお墓を掘ってた事、人を食べた事ご存じ?

私は、私の正義(エゴ)の為に、貴方を殺します

飛んでくる剣は厄介ね、皆が集中して戦えるよう防ぎましょうか
【巫覡載霊の舞】を使用し、刀剣が飛んできたら、なぎなたで放つ衝撃派、
椅子、机等屋敷の物を【地形の利用】し防ぐ
飛んでくる位置は空間把握して予測するけど、最後は【野生の勘】で
サポート優先に戦う。剣の防御はお任せあれ
隙あれば、なぎなたで後頭部ぶん殴り【気絶攻撃】を仕掛ける
シャンデリアとかあれば、頭上に落としてあげるわよ




「うん、かっこ悪い。タイプじゃない」
 鎧を着込み、猟兵たちと刃を交えるヴァンパイアを前にして、結はきっぱりと言ってのけた。
「……ぬぐ……いや、ハスキーボイスの中性的美人かと思ったがお前男じゃないか! タイプって言われても困るわ!
 私は普通に清らかな乙女が好みなのだ、誤解を招くようなセリフを吐くな人狼!!」
 くわっ、と目を剥いて怒るヴァンパイア。そのセリフすら遮って結は続ける。
「ていうか今、遊ぶなら近くの村にしなさいっていったわよね。さぁて……あの子達が何して遊んでいるのか、飼い主の貴方は把握しているのかしら? ぽち達が村のお墓を掘ってたことは、人を食べてたことはご存知?」
 放し飼い同然の猛獣が、近隣の村に被害を出している。果たしてそれをお前は知っていたのか、と結は問うた。
 知っていたならばなぜ捨て置いたのか。知らなかったならばなぜペットの行いを見過ごしていたのか。
「知らぬな、興味もない。墓を掘った? 別に死んだ後の残骸などどうなろうと構うまい。人を喰った? よい、根絶やしにせぬなら人などいくらでも増える。私は生き物を増やすことにかけては同胞においても五本の指に入る自信があるからな!」
 それがどうしたと言わんばかりに言い返すヴァンパイアの物言いに、結の堪忍袋の緒が切れた。
「わかったわ。私は私の正義のために、貴方を殺します」
「……ふん、結局はそれか人狼よ。私も可愛い眷属の仇討のため、私自身の誇りを穢された報復のため貴様らを殺してくれる!!」
 押し寄せるコウモリの群れを薙刀の衝撃波で吹き飛ばしながら、館にある家具や調度品を盾にヴァンパイアの攻撃を捌く結。
 戦闘の余波で高級そうな家具が壊れる度に、吸血鬼は舌打ちをして忌々しげに結を睨む。
「ちぃぃ、ちょろちょろと可愛げのない犬め!」
 頭に血が上ったヴァンパイアが、コウモリの群れをより巨大化させて結を飲み込ませようとする。
「見たところアンタもバカ犬同様頭が悪そうね!! 私が調教してあげるわ!!」
 そこに乱入するのはチェリカだ。身体に炎の魔力を帯び、髪を朱く輝かせながら腕力や技量、剣自体の威力など攻撃力を高めた少女が光の聖剣を振るって割って入る。
「私を調教だと、冗談もそこまでにしておけよ猟兵!」
 剣の一撃を剣で受け止めたヴァンパイアが二人目の相手にさらに苛立つ。
「チェリカさん、私がサポートに付くからその剣で仕留めて頂戴!」
「任せなさいよ、アタシがトドメを刺すわ!」
 結の攻撃がコウモリを叩き落とし、ヴァンパイアの守りを引き剥がしていく。
 チェリカの剣は少女が振り回しているとは思えないほど重く鋭く、コウモリを突破された少女にヴァンパイアは劣勢を強いられつつあった。
 だが、
「だがそれでも、勝つのは私だ!!」
 剣を弾き飛ばされたヴァンパイアは、チェリカの首筋を噛みちぎろうと空いた両手で掴みかかる。
 結が止めようと駆け出すが、間に合わない――
「チェリカさん、伏せなさい!」
 だから、結は荒っぽい手に訴える。
 斬撃の衝撃波で天井にぶら下がるシャンデリアを砕き、落下するその残骸がヴァンパイアの後頭部に直撃した。
「おごぉ……!」
 地面に突っ伏す吸血鬼。それがもぞもぞと立ち上がる。
「犬の躾も出来ないなんて呆れた吸血鬼ね。私の方がまだ上手にブリーダーできるわ!」
 チェリカの挑発に乗って立ち上がるヴァンパイアはまだ健在だが、戦場の流れは猟兵が確保しつつある――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

碧海・紗
パジャマからの領主面…
(凄く無表情)

犬が犬なら、飼い主も飼い主、ですねぇ…。


【WIZ】紫苑を使用
敵の攻撃は発見することが難しそう。敢えて一度攻撃を受け場所を特定

同時に「侮蔑」の感情を与えられれば
敵と私を覆うほどの咲き誇る紫陽花を


その感情が、仇となるということを…身をもって知るといいわ。


真っ黒な翼を広げて舞い散る羽根

真の姿は紫陽花に囲われて領主以外には見えはしません…
謎が多い方が魅力的、と言うでしょう?

さぁ、飼い主として…躾のなっていない犬たちの行って来た罰、受けてもらいますよ。
技能の傷口をえぐる、も加えてより一層。

攻撃とともに真の姿も解除
紫陽花が消えたら何事もなかったかのように笑顔をひとつ。


クラム・ライゼン
うう、やっといなくなった…目と耳の情報の齟齬がヤバすぎてすげー疲れた。
飼い主も飼い主で何か独特だけど威圧感は本物だし。
……怖。


・戦闘
【WIS】
「虚構構築。簡易接続完了。ーー契言。『出番だぜ、我が愛しき激情の君!』」
「ボリューム最大で頼むぜ、ハニー!」
ユーベルコード発動時は〈高速詠唱〉+〈全力魔法〉併用。
慟哭する女性型の精霊を呼び出し相手の行動阻害を狙う。
他の猟兵と協力できそうなら動き止めてる間に集中攻撃を叩き込んで貰おっか。

ユーベルコード以外の攻撃はディア(ドラゴンランス)で〈串刺し〉にしたり〈属性攻撃〉で光属性などに攻撃の属性を変えつつ戦う。




「うぅ、やっといなくなった……」
 目で見て恐ろしく、耳で聞いて愛らしい暗闇の獣のとてつもない情報量に疲弊したクラムは、続いて現れ仲間たちと激闘を繰り広げる領主ヴァンパイアに表情を引きつらせた。
「飼い主も飼い主でなんか独特だけど……威圧感は本物だし」
 ……怖。
 その呟きが誰にも聞こえなかったのが幸いか。しかし領主ヴァンパイアはクラムの恐れを敏感に察知すると、他の猟兵たちを牽制してすぐさま彼の眼前に現れ、顔に手を当て腰を捻って重心をずらしたカッコいい立ち姿で威圧する。
「……私を恐れるとは、不届きな猟兵にあってお前はまだまともなようだな…………すごい嬉しい」
 ドヤ顔で喜びを表現する領主に、クラムの恐れがすーっと引いていく。扱い方を間違わなければ、予想以上におちゃめな犬好きのおっさんなのかもしれない。
 まあ、仮にそうだとしてもオブリビオンだし、飼い犬が近隣に人的被害まで出した時点で和解する道は無いのだけれど。
「虚構構築、簡易接続完了。――契言。『出番だぜ、我が愛しき激情の君!』」
 高速詠唱を用いた全力の魔法でドヤるヴァンパイアに先制攻撃を仕掛けるクラム。
 召喚された女性型の精霊が大きく息を吸い込み、
「ボリューム最大で頼むぜ、ハニー!」
「何を!? ええい、させるものか!!」
 クラムの頼みを聞き届けた精霊が絶叫する。魔力と怨嗟の籠もった悲鳴が飛びかかったヴァンパイアを弾き飛ばし、館の窓が砕け壁にヒビが入り、天井からはパラパラと埃が降ってくる。
「ぐ、ぅぅ……何という声だ、頭が軋む……」
 耳を押さえ、ふらふらと立ち上がる領主の前に、黒翼のオラトリオ――紗が立ち塞がる。
「パジャマでやってきて領主面……犬が犬なら、飼い主も飼い主ですねぇ……」
 無表情で領主を見下す紗の姿に、ボロボロのヴァンパイアはすぐさま怒りを露わにした。
「礼儀もなく他人の家に上がり込み、動物をいたぶって喜ぶ下衆にそうまで言われようとはな、さしもの私も驚いたぞ、女」
 その言葉に滲むのは、猟兵に対する侮蔑。領主にしてこの地の法に等しい自らに歯向かう愚か者、その感情が領主の致命傷となった。
「その侮蔑が仇となること、身を持って知りなさい」
 紗の足元から広がり、領主をも囲む紫陽花の花。それが二人を包む檻となる。
 黒い翼と紫陽花の檻に遮られ、領主と紗の姿は猟兵たちの視界から消えた。
「さあ、飼い主として躾のなっていない犬たちへの罰、代わりに受けてもらいますよ」
 紗の声だけが広間に響き、そして紫陽花の花が散る。
「……終わりです。皆さんのおかげでずいぶん弱っていたようですね、これで駄犬と飼い主は倒しました」
 にこりと仲間たちに笑いかける紗。紫陽花の散ったそこに、既に領主の姿は無い。
 紗がトドメを刺したのだ、と猟兵たちは理解した。どういう手段かはわからないが、弱っていたとはいえ領主級のヴァンパイアをあの一瞬で仕留めたのだ。
「ハニーと同じくらいおっかねぇ……」
 クラムのつぶやきが、主を失った領主館にやけに大きく響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『墓地を再び綺麗な姿に』

POW   :    墓石や獣除けの塀に使う材料を調達。力仕事を頑張ろう。

SPD   :    壊れたり汚れた墓地を綺麗な場所に整えよう。匠の技を示そう。

WIZ   :    死者が眠るに相応しい土地に霊的に改善しよう。見えざる力にその手を伸ばそう。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 領主ヴァンパイアは倒され、彼の飼う獣たちも猟兵たちの手で仕留められた。
 その知らせに、周辺の村々は静かに沸き立った。獰猛で恐ろしい獣にばかり関心を向け、領民の事をなんとも思っていない領主と、その権威の傘に守られ傍若無人に振る舞う獣はもういない。
 そして、それは獣によって墓を荒らされた村も同じ。村人たちは初めて味わう自由という光明に、生きる活力を取り戻しつつあった。
 しかし。
 長く続いた圧政でやせ衰えた村人たちに、墓を元通り整えてやるだけの余力はない。
 まだ体力が残っているものは、まずもう税として徴収されることのない畑で明日の糧を得る為に働かなければならない。
 荒れた墓が新たな問題の種となることは分かりきっているが、それでも死者の眠る墓地より今日を生きる者たちのための畑を優先せざるを得ないのだ。
 猟兵たちはそんな彼らのこれからに少しでも希望と安らぎが訪れるよう、そして死者に尊厳ある眠りが齎されるよう、墓地の修復を申し出る。
 ――多少は異世界の様式が入るかも知れないが、村人たちはそれもまた村を救ってくれた英雄たちの手によるものなら記念になるし、死者も喜ぶだろうと頷いた。
 さあ、これからは作業の時間だ。
エウトティア・ナトゥア
WIZ死者が眠るに相応しい土地に霊的に改善しよう。見えざる力にその手を伸ばそう。

場を清め、死者の魂を慰めます。

世界は違えど御霊を鎮めるのはわしの役目なのじゃ。

(《精霊の唄》「破魔」「祈り」使用)
部族に伝わる唄と舞踏を奉じるのじゃ。
精霊よ鎮魂の唄を、彼らがまた安らかに眠れるように、共に魂を慰めておくれ。

【光属性】の【そよ風】に「祈り」を乗せて、精霊と共に追福の舞を奉げます。
皆様方の作法とは違うじゃろうが、想いは変わらないはずじゃ。


スピレイル・ナトゥア
「飼い犬の荒らしたあとを片づけにも来ないだなんて、本当に駄目な飼い主さんですね」
召喚したゴーレムさんと一緒に、砕けた墓石を集めたり、新しい墓石を用意したりしてお墓を元通りにします
竹帚で墓石を片づけたりして、たまには神道の巫女らしいことをしてみるとしましょう
まあ、私、部族の精霊信仰の巫女で、神道の巫女じゃないんですけどね!
正統派な巫女姫はお姉様(f04161)の役目で、落ちこぼれの私にはこれぐらいの、プリーツスカートの可愛い巫女服が似合うなんちゃって巫女のほうが似合っているのです
……サイハイソックスは外せません1
まあ、なので墓石を整えたあとのことはお姉様に任せて、私はゆっくりと休むとしましょう




 荒れ果てた墓地にやってきた猟兵達。
 その有様は、領主のペットが食い漁ったためだけではなく、墓地の整備にまで人手を回すことの出来なかったこれまでの村の困窮を感じさせた。
 墓石はひび割れ、雑草が生え、かろうじて墓守当番が巡回するルートに沿って獣道のように草が踏み倒されている。
 年代が新しくなるに連れて墓標も間に合わせのように簡単になっており、あのオブリビオン領主の統治の下で人々が死者に想いを馳せるだけの余裕を大きく損なわれていたことがわかる。
「飼い犬の荒らしたあとを片づけにも来ないだなんて、本当に駄目な飼い主さんですね」
「全くじゃ。土を整えるのはスピレイルに任す、終わったらわしを呼ぶがいい」
 はぁいと返事をして、ナトゥア姉妹の妹、スピレイルは土の精霊を呼び出し、作業もできる土人形を複数創り出す。彼らに重い墓石を移動させたり、砕けたものを新しいものに交換させて、まずは墓地の荒れようを改善していくスピレイル。
 ゴーレムがあらかたの作業を処理していくのと一緒に、巫女らしく竹箒で屑石やゴミを集め、片付けていく。
(まあ、私は精霊信仰の巫女ですし神道の巫女じゃないんですけど。それに……)
 出番を待つ姉をちらりと見遣って、スピレイルは想う。正当な巫女は姉の役割、落ちこぼれの自分は彼女の出番を整えるのが仕事のなんちゃって巫女。
 なので、巫女服だって可愛らしさ重視だ。そのくらい適当でいい。
「衣装は適当に出来ませんけどね。プリーツスカートならサイハイソックスは外せません!」
 などと言っている内に、ゴーレム達が作業を終えたようで、精霊が抜けて土に還っていく。ボコボコに掘り返された墓穴の上で彼らが崩れ、穴を埋め戻せば概ねの土木工事は完了だ。
「お姉様、終わりましたよ。後はお願いしますね」
「うむ、さすがスピレイルじゃ、仕事が早いのう。後のことはわしらに任せよ」
 役割を果たして休憩のために墓守小屋へと戻るスピレイルと入れ替わりにエウトティアが墓地に立つ。
 見た目は整った墓地だが、オブリビオンの悪行で霊的なエネルギーの流れは乱れに乱れたまま。その上、満足な祈りも得られず墓を荒らされた死者の魂は安らかに眠れていない。
「世界は違えど、御霊を鎮めるのはわしの役目じゃ」
 す、と息を吸ったエウトティアの唇から、精霊と共に死者の魂を慰める歌が溢れる。
 死者に再び安らかな眠りを。願わくば、彼らがもう不当に呼び起こされることがありませんように。
 ダークセイヴァーの曇天の切れ目から僅かに差した暖かな光がエウトティアを照らし、彼女の舞いに合わせて清らかなそよ風が墓地の澱んだ空気を押し流す。
 エウトティアが歌い終える頃には、墓地は本来あるべき静粛な死者の眠る場所の姿を取り戻していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

碧海・紗
雨霧・結(f06365)さんに聞きたいことがあるのでご一緒に。

荒らす者はもう居ません。
けれどこのままでは、安らかに眠る事など出来ないでしょう…

【WIZ】
荒れ果てた墓地を見渡して、一先ずは手を合わせ。

獣臭さが残っているのなら
死霊を呼び出して空気を一掃
少しは眠りやすくなったかしら…

破損された部分の修復も忘れずに
結さん、ご一緒に運びますよ…私も。

ところで…結さんの好みの殿方はどのような?
先ほど耳にしたので、とても気になりますねぇ…

私?…よくわかりませんが、少なくとも躾のできていない犬とその飼い主のような方は御免ですねぇ…?


雨霧・結
碧海・紗(f04532)さんと一緒に

事前に村人達に、墓地に眠る人々の名前、場所を聞いておく
私の我儘だけど、お墓にはちゃんと1人1人の名前を刻んであげたいの
男だし、力仕事は任せてちょーだい!
見目ひょろく見えるけど、意外と力持ちなんですー
倒れた墓石を起こしたり、墓石をとってきたり、文字刻んだり力仕事を率先して
獰猛な獣を恐れてた村人達だから、私は普通の人間姿で。人狼ということは伏せよう

紗さんさすが、死霊術士空気が澄んでく…
え?…好みの殿方?…との、がた???
ああ、先程の会話を聞いてたのね
んー、強いて言うなら包容力のある人、かしら
包まれたい派なのと冗談交じりに
ねね、紗さんはどんな殿方が好きなの?




 大方の修繕が終われば、結と紗が道具を手にやってくる。
 村人たちに、どこに誰が眠り、どの墓標になんと刻まれていたのかを聞き取ってきた結。そして、彼に付き添ってやってきた紗。
 二人はその聞き取りの中で、ゴーレムたちでは片付けきれなかったのだろう、風化しきって荒れ地と判別の付かなくなっていた墓の在処を村人から聞き出すことが出来ていた。
 元々が古く簡易な作りだったのだろう、言われなければそれが墓標だと気づかないような石を一言断ってから退かし、立派な墓石を結が設置する。
 まだ微かに漂う獣臭は、紗が呼び出した死霊達が墓地の外へと押し流していった。
 そんな作業を数度繰り返せば、墓地は最初よりもいくらか大きくなっていた。真新しい墓石が並ぶ一角と、元々置かれていたやや古い墓石が並ぶ一角。そのいずれも、墓碑銘などが刻まれていないものがちらほらと。それは猟兵達が改めて設置した墓石だった。
「さ、紗さん。後は墓碑銘を刻むだけね。後少し手伝ってくれる?」
 仕上げとばかりに死霊達が集めた澱んだ空気を押し流した紗に、結は流石死霊術士と称賛しながらもう一息の作業を促す。
 紗も頷くと道具を手に取り、墓石に向き合いながら、隣で作業をする結に何気ない世間話をするように一言。
「ところで…結さんの好みの殿方はどのような? 先ほど耳にしたので、とても気になりますねぇ…」
 それは先程の領主討伐戦で結が発した何気ないセリフ。
 領主はタイプではない、と言っていたが、じゃあ逆にタイプの男性はどんなひとなのだろうという疑問。
「え? 好みの殿方ねぇ……好みの殿方? との、がた……??」
 巫女として、女子として育てられたとはいえ結は男性だ。好みの"殿方"は、という質問に困惑が浮かぶ。しかし、興味深そうに質問の答えを待つ紗に答えないというわけにもいかない。
 墓石に銘を刻む手を止め、少し考えてから結は答えを選ぶ。
「あぁ、さっきの領主館での話を聞いてたのね。そうねぇ、んー。強いて言うなら包容力のある人かしら」
 包まれたい派なのよ、と笑う結と、貴方を包むなら相当の長身でないといけませんね、などと冗談めかす紗。
「ね、そういう紗さんはどうなの? 好みの殿方とか」
 その逆襲に、今度は紗が手を止めて困り顔。
「私ですか……? よくわかりませんが、そうですねぇ。少なくとも躾の出来ていない犬とその飼い主のような方は御免ですねぇ……?」
 今回の仕事での個人的な収穫です、と言いながら、再び墓石に文字を刻む紗となるほどね、と頷いた結。
「それじゃ、好みの殿方がはっきりしたら教えて頂戴。私だけ白状するなんて不公平よね?」
 猟兵たちは墓地を再建しながら、雑多な会話に花を咲かせていく。
 そんな何気ない日常こそ、オブリビオンに奪われこの世界が必要とする光景なのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミーナ・ヴァンスタイン
墓の修繕や片付けを行います。
「大丈夫、こういうことは慣れてるわ。任せて頂戴」
あらかたの仕事が終わった後、掌を墓所に向け【生まれながらの光】を使用し浄化の光を放ちます。
「これは気休めにしかならないでしょうね……」
「だからこそ、せめてここがあなた達にとって安らかに眠れる場所になりますように」

村から立ち去る時に振り返り、静かに祈りを捧げます。
「主よ、永遠の安息を――せめて、これからは安らかに」


チェリカ・ロンド
 聖女の光は人々の希望なのよね。私の力が役に立つなら、いくらでも光を分けてみせるわ!

 邪気を払うために、墓地の中心で【生まれながらの光】を使用するわ。
 あまり光りすぎると眩しいだろうから、墓地全体を淡く照らせるくらいにしようかしら。
  死者の安らかな眠りも大切だけれど、私は生きている人々に希望を持って生きてほしいわね。
「聖なる光よ。我らか弱き者どもに、哀れにも死せる魂に、その恩寵をもって道を示したまえ……!」

 個々のお墓に聖なる光を望む人がいれば、それにも積極的に答えるわ。
 
 もし仲間に同じような形で墓地を清める人がいたなら、連携してやりましょう!




 最後の総仕上げの時間がやってきた。
 あらかたの再建作業を終えて見違えるように立派になった墓地に、猟兵たちと村人が集まる。
 その視線の先、墓地の中心に立つのはミーナとチェリカ、二人の聖者だ。
「これは気休めにしかならないでしょう」
「死者の安らかな眠りは大切だけど、生きている人が生に希望を持つことのほうが大切よ」
 二人の言葉に、村人たちは深く頷く。死者を忘れることも、彼らの眠りを打ち捨てることも出来ない。けれど、それに囚われて過去に縛られるのでは、彼ら自身の生を忘れてしまう。
 今を生きる人々が大切にするべきは、自分たちの生。もしかすると領主が居なくなり、これから再建を掲げていく村の人々には、死者を想い墓地に祈る余裕も暫くないかもしれない。
「だからこそ、せめて此処があなた達にとって安らかな眠りの場所になりますように」
 ミーナが祈り、チェリカもそれに続いて聖句を読み上げる。
「聖なる光よ。我らか弱き者共に、哀れにも死せる魂に、その恩寵をもって道を示したまえ……」
 二人の祈りに応じて、薄暗い墓地に僅かに光が差し込んだ。それは広がるように墓地全体を包み込み、人々が忘れて久しい暖かな光を思い出させる。
 聖者たちは頷きあって、二手に分かれると一つ一つの墓石に手を翳し、聖句を読んで死後の安寧を祈っていく。
 ――死者に安らかな眠りを。
 ――生者に明日を願う活力を。
 異端の神々が跋扈し、闇に包まれたこの世界にとって、二人の祈りは僅か一瞬の希望に過ぎないのかもしれない。
 けれど、今ここに集った村人たちにとってそれは大きな光だった。
 まだ、死者を想い祈ってくれる人がいる。まだ、自分たちが生きていくことを願ってくれる人がいる。
 ヴァンパイアの支配のもと、明日をも知れない日々を過ごしてきた人々にとって、その僅かな希望のなんと大きなことだろう。
 粛々と進んでいく二人の儀式は、いつしか村人たちも加わり、声を合わせて聖句を読み上げるまでになっていた。
 縁深い者たちからの祈りも受けて、ここで眠る魂はきっと安息を得られたことだろう。
「聖女の光は人々の希望なのよね。私の力が必要なら、いくらでも光を分けに来るから」
 すべての墓に祈りを捧げ、チェリカは村人たちへとそう言い残した。
 ――聖女たる彼女だけでなく、猟兵達全員がそのつもりであった。この絶望と諦観に満ちた世界で、自分たち猟兵が求められるならばいくらでも力を貸そう。
 力強く頷き、希望を取り戻した村人たちの感謝の言葉を背に受けて墓地を立ち去る猟兵達。
 その最後尾で、ミーナはふと振り返る。
「主よ、永遠の安息を――せめて、これからは安らかに」
 彼女の祈りを、きっと神は聞き届けてくれたはずだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日


挿絵イラスト