バトルオブフラワーズ⑩〜エモが無いなら命を燃やせ!
●システム・フラワーズ
花園に立つのはカワイイ怪人『ラビットバニー』
彼女は無敵だった。
ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
そして、そのラビットバニーに対してある方法で戦おうとする集団が居た!
人、彼らを猟兵と呼ぶ!
●グリモアベース
「エモってなんだよ!?」
グリモア猟兵、雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)が声を大にして叫ぶ。
「エモとか、ライトニング分かんねえよ……新しい格闘技かよ」
彼は頭が残念な少年の上、脳の殆どは空手で占められていた。
故にエモという概念を理解出来なかった。
そして、ここに集う者もそうだった。
言葉では分かるがガバいであろうエモを形に出来ない、そんな不器用な猟兵が多数だった。
「でも、俺達にもチャンスはある!」
少年が皆を見る。
「みんな、聞いてるだろう? ラビットバニーが言うエモの基準に『血だらけで立ち上がる』って言葉があったのを」
その瞳は熱さと悲壮さが秘められている。
「俺達はそこを狙う――つまり、相手の攻撃を受け、血だらけで立ち上がり、その姿を見せつけることで絶対無敵バリアを封じて、渾身の一撃を叩き込む!」
グリモア猟兵が拳を強く握る。
「勿論、俺達は無傷で帰れない。ひょっとしたら失敗するかも分からない……でも、エモが分からないなら、この手を! 命をかけるしかないんだ!」
俯き、握った拳からは血が零れる……それは敢えて一撃を受ける命懸けの作戦を託すが故。
「……ゲートを開くよ。俺が言えるのは一言だけだ」
少年は顔を上げ、口を開いた。
「帰ってきてくれ」
みなさわ
みなさわはエモが分からない。だから命を燃やすシナリオを用意した。
こんにちは、みなさわです。
なんかシリアスっぽく書いてますがそんな感じに行きます。
●注意
シナリオで展開される作戦の傾向から高い確率で負傷が予想されます。
ご理解頂けると助かります。
●「エモさ」
今回は『血だらけで立ち上がる』を追求した展開でいこうと思います。
他のエモさは別の戦場で戦う仲間に託しましょう。
俺達は不器用に前に出て、己が生き様を拳に握って立ち上がり、一撃叩き込み、後に託しましょう。
●真の姿
今回に限り、シナリオに二回目の参加をし、真の姿を取ることを選択した場合。
全身が緑色に光ります。
以上になります。
では、みなさわと血の大河を渡りましょう。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
|
POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●不器用
俺達は不器用だ。
人の心の天秤を揺らせる言葉も言えない。
誰かを笑わせる話も出来ない。
出来るのは命を張るだけさ。
笑ってくれよ、この不器用さを。
止めないでくれよ、このやり方を。
俺達はキマイラフューチャーに笑顔をもたらしたいんだ。
それだけで……それだけでいい。
ハロ・シエラ
なるほど。
どうやらこの作戦が私には一番向いているようです。
作戦と言うほど小難しくない所も気に入りました。
さて、私も色々と小技は持っていますが、結局私の戦いは剣で斬る事に集約されています。
ならばバリアがあるからと言ってそれを曲げる訳にはいきません。
ユーベルコードで武器を強化し、体力の続く限り攻撃を繰り返します。
説明どおり、私は敵の攻撃に傷付き、血も流すでしょう。
一度と言わず倒れもすると思います。
ですが何かの弾みでバリアが解けた時。
まだ攻撃を続けられていたなら、私の剣が敵を捉えるはず。
ダークセイヴァーを解放するまで死ぬ訳には行きませんが、それはそれとして今この一撃に命を賭ける。
それが私の戦いです!
鞍馬・景正
元より小奇麗に勝つ兵法を習い覚えた心積りは無し。
血泥に沈もうと斬り伏せましょう。
◆戦闘
我が愛馬、夙夜に【騎乗】し驀進。
【鬼騎乗崩】にて不壊の構えに挑ませて頂く。
無効化されるなら遠慮なく遠間から火縄と矢を射掛けるのみ。
狙いは【スナイパー】の如く秋毫と外さず、極一点。
接近すれば馬上から突進の勢いを乗せた【鎧砕き】の太刀を【怪力】の限り閃かせよう。
いずれも届かず、反撃で叩き伏せられようと
舌を噛み切っても意識を離さず、打成一片に攻め続けるのみ。
捨て身の組討を挑むか、腕が砕ければ弓弦を歯で噛み絞って次の矢を。
――犬とも畜生と言われども勝つ。
蛮勇の謗りこそ誉れとした坂東武者の末裔が矜持、示してくれよう。
◎
●一矢、一刀、必至、必倒
そこは花園というには空気が砥がれていた。
戦場というには花がありすぎた。
ここはキマイラフューチャー、システム・フラワーズ。
片や軍服の少女ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)。
片やカワイイ怪人『ラビットバニー』
白い花が赤く染まり、赤い花弁は朱に染まる。
最初は女同士の戦いだった。
「絶対無敵バリアー!」
ハロのレイピア、リトルフォックスの刃が見えない力場に阻まれる、奥歯を噛みしめ、柄を握る力を込め、へし切ろうと刀身に手を添えるが尚も刃が進むこと能わず。
「かーらーのー!」
ラビットバニーが紫の牛が乗ったキャノン砲を振り回す。
「あーしの、赤べこキャノーン♪」
閃光がハロを襲い、吹き飛ばされた身が花を舞い散らす。
「あ……あああああああっ!」
声にならぬ咆哮がした。
立ち上がる少女の口から赤いものが漏れ、尚も切りつけるも、やはり刃は届かず。
「ば~か、あーしの絶対無敵バリアに正面から挑んで勝てるわけなくない?」
「私には……」
何度も叩き込むようにレイピアを振り下ろすハロ。
「私にはこれしかないから!」
「え……エッモ」
一瞬、バリアが消えた時、雷炎の轟音がひとひら咲き飛電がバリアごとバニーを吹き飛ばした。
「遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ! 我こそは鞍馬が家の継嗣、景正なるぞ!」
鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)が馬を駆り、花をまき散らし、五人張りの剛弓に矢を番えば。
「絶対無敵ばりあー!」
放つ矢は、またもや見えない障壁が矢を阻む。
「あんたも馬鹿じゃない? 正面から来て誰も勝てる訳ねーし!」
バニーが見えない障壁の向こうで嘲笑えば。
「否! 元より小奇麗に勝つ兵法を習い覚えた心積りは無し!!」
太刀を抜き、鎧を砕かんばかりの一刀を馬上突撃にて叩き込む。
「ちょ! めっちゃ怖いんですけど! あたんねーけど」
焦りと余裕が入り混じった台詞と共にオブリビオンが赤べこキャノンの引鉄を引けば、炎が噴き、弾丸が景正の右腕を吹き飛ばす。
「我ァアアアアアアアアアアッ!」
消えゆく意識を舌を噛むことで奮い立たせれば、片手と太刀を失った武者は鬼騎乗崩の姿勢を持って再び弓を構える。
「ちょっと、なんなんなのよー? 無茶苦茶なんですけど!?」
「無茶なのは承知です!」
ハロが再びレイピアを持って突撃する。
「――犬とも畜生と言われども勝つ」
「ダークセイヴァーを解放するまで死ぬ訳には行きません!」
「蛮勇の謗りこそ誉れとした坂東武者の末裔が矜持、示してくれよう!」
景正が弓弦を歯で噛み絞って次の矢を番えれば――。
「今この一撃に命を賭けて!」
少女が西洋の小狐丸と渾名されるレイピアの封印を解く!
「ちょ……え、エッモーッ!!」
障壁が消えた時、坂東武者の口が開いて矢が飛び。
ハロのレイピアが虚空を走る。
「それが私の……私たちの戦いです!」
二条の信念がラビットバニーを吹き飛ばし、そして二人の猟兵が花畑に沈んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メルノ・ネッケル
気ぃ合いそうなんやけどな、ラビットバニー。
ここで会ったのが運の尽き……やり合うしかあらへん。
さあて、生きるか死ぬかの大博打。
「 先に来ぃや、ラビットバニー。アンタの全力の一撃、ぶち込んで見せろ!」
【勇気】を持って、言い放つ!
【見切り】、体を逸らしてダメージ軽減を図るけど……誤差の範疇。
赤べこキャノン、耐え抜けるか……!?
……あぁ、めっちゃくちゃ効くなあ。
もう立てるか分からん、ダメならそのままバタンキュー。
でも、まだ立つ力が残ってるなら。
『戦場の亡霊』……来い!
今度はうちの、"うちら"の番や!
【2回攻撃】、バリアが剥がれとる間に、意識が持つ間に、少しでも多く二丁拳銃を撃ち込む!
後は、託した……!
トリテレイア・ゼロナイン
私には「エモさ」とはよくわかりません。表現できる自信もありません
ですが騎士として、キマイラFの人々の為に絶対に退くわけにはいかないのです!
キャノンの攻撃は壊れるまで●盾受けで防ぎましょう、数発もてば良い方ですが
射撃の妨害として剣を投げましょう、躱されて地面に刺さるでしょうが
自分を●ハッキングしスラスターのリミッターを解除、高速の●スライディングで射撃を躱しましょう、一度しか使えませんが
ですが十分以上に接近しても射撃を受けるでしょう。戦闘不能を防ぐため重要部位を身体で●かばいます
ボロボロの姿で立ち上がり、格納銃器とUCで●だまし討ち
躱されても突き立った剣を隠し腕で掴んで操作、背後から刺し貫きます
●My name......
「ちょーびっくりしたー! いきなり殺しにかかってくるんですけど!」
玉の肌に二つの傷を穿かれたラビットバニーが赤べこキャノン片手に花園を歩く。
「よぉ」
旧知の間のように声をかける猟兵がいた、彼女の名はメルノ・ネッケル(火器狐・f09332)。
「もー、またなの? しつこーい!」
不平不満を漏らすバニーの言葉を受け流し、メルノは口を開く。
「気ぃ合いそうなんやけどな、ラビットバニー」
赤いラインの入った黒い熱線銃と。
「けど、ここで会ったのが運の尽き……やり合うしかあらへん」
自動詠唱機構を備えたリボルバーを抜けば。
「先に来ぃや、ラビットバニー。アンタの全力の一撃、ぶち込んで見せろ!」
勇気の弾丸を銃に込め、親指がハンマーを起こす。
「じゃあ、遠慮なくー!」
気の抜けた声と共に、銃を持った狐を爆風が包んだ。
(……あぁ、めっちゃくちゃ効くなあ)
自分で選んだ道とは言え威力は思った以上だ、意識が遠くなりそうな中、大きな影が疾走するのが目に入った。
トリテレイア・ゼロナインが身の丈程ある大型の盾を構えて、スラスターを噴射する。
「ちょー! 連続攻撃ずるいんですけど!」
連射される赤べこキャノン。
強烈無比な弾丸が降り注ぎ、盾を吹き飛ばせば、トリテレイアが剣を投げる。
「絶対無敵バーリア! 聞かないよーだ!」
見えない障壁が剣を阻み、勢いを失った刃が花園に刺さる。
『システム中枢に異常発生! ERROR! ERROR!』
ならばと騎士が次の手を講じれば、脳内に響き渡る警告音、それを無視して自らのシステムへハッキングすればスラスターは限界を超えた出力を発揮し、流星のようなスライディングで弾丸をかわす。
けれど……。
「バリアがあるから無敵のあーし!」
バニーが引鉄を引けば、鋼鉄の騎士は吹き飛ばされた。
「ぬ……おおお……立たねば、立たなければ」
装甲は破壊され、動力中枢がむき出しとなり、配電がスパークする中、トリテレイアは立ち上がろうと片足に体重をかける。
「そんなエモさないのにあーしが負けるわけないし……無駄じゃない?」
「無駄ではありません!」
騎士が立ち上がる。
「私には『エモさ』とはよくわかりません。表現できる自信もありません」
一歩進めば、油圧が漏れ、オイルで白き装甲が汚れる。
「ですが騎士として、キマイラフューチャーの人々の為に絶対に退くわけにはいかないのです!」
(そうだ……ここで引くわけにはいかん)
花の中に倒れていた、メルノも赤く染まった大地を踏みしめ、立ち上がる。
「ちょ……え、エモ」
バニーが一歩、二歩、下がった時。
銃声が四発鳴った。
「うちらが道を開ける――いまや!」
戦場の亡霊と共に狐のガンナーが二丁の銃を握れば、次々と吐き出される螺旋の鉛と闇を貫く閃光。
「瀕死のコンビネーションとかエモくてずるいっしょ!」
バリアを展開できず、キャノンで身をかばうバニー。
そこへトリテレイアの両腕が展開され、銃火器が炎を吐く。
「もー! ついてらんない!」
火砲の嵐に音を上げたバニーが空へ逃げようとすれば、その足を掴むはワイヤー制御の隠し腕。
「逃がしません!」
大地に刺さった剣を引き抜けば、騎士のスラスターが命を燃やすが如く炎を吐き。バニーを追った。
「へへ……流れ星みたいや」
フラワーズの花園をベッドにメルノが見上げれば、空に光るのはバニーとトリテレイア。
噴射音のみが聞こえる、涼やかな風が彼女を眠りへと誘う。
「後は、託した……!」
二つの銃が彼女の手から落ちた。
「もう何なのよー!」
「私は……」
ハッキングによる、システム障害。
負傷状態でのスラスター全力噴射。
そして空中移動でのG。
騎士のシステムがダウンするのは間近だった。
ふと、思い出すのはダークセイヴァーの出来事。
小さな騎士志望の子供たちの前に振舞った自分の姿。
「私は……」
データが! 行いが! 声が!
答えをくれる!
「――騎士だ!!」
ラビットバニーの背中へ剣を突き刺せば、騎士だったウォーマシンは力を使い果たし、星となってフラワーズの外へと消えていった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メグレス・ラットマリッジ
◎
開戦前にくるりと回ったりコートの裾をつまんでお辞儀して見せたり
可愛らしい所作をしてみせますが、エモいという感想には届かないでしょう
血だらけになれば語り始め、バリアの除去を狙います
人の心を捉えるのは研がれた個性。没個性を是とする私には縁の無い言葉です。
だからこそ個性で満ちたこの世界を守らねばなりません、勝ち目がなくとも挑まねばならんのです!
といった少女らしからぬ熱血な感じの!
戦闘はバリアが解除されるまでは防戦に専念、
バリアが切れたらUCを解禁、雷杖のスパーク・コートを翻す・花を巻き上げる等で視界を遮り背後へワープ、一撃を加えます。
対応され始めたら敢えてワープせず不意を突くのも良いでしょう
ユーフィ・バウム
◎
※ダメージ描写・悲鳴等歓迎
相手の攻撃を受け、その上で戦う――
ええ、【覚悟】はとうにあります。
《戦士の手》とともに格闘戦を挑みます
敵のカンフーと勝負ですよ!
敵の攻撃は【勇気】と共に受け、
【オーラ防御】【激痛耐性】で踏ん張る
悲鳴を堪えられなくても、倒れても
体が動く限り立ち上がって拳を握り戦う
私は蛮人です、賢い戦いよりも―ただ、折れない心で向かうだけ
バリアが解除されている時には機会を逃さず
【ダッシュ】で間合いを詰め、
拳をめいっぱい握る【力溜め】の拳を打つ
戦ううち、敵のカンフーを【見切り】
仲間と連携し少しでも、一撃でもダメージを叩き込む
自分が打ち込むことができないなら、仲間を【かばう】
ことで後を託す
●Personal......
「いったぁー! もー、あーしもおこだよ!」
フラワーズの大地に転がり落ちたラビットバニーが立ち上がれば、背中に刺さった剣を引き抜き、無造作に投げ捨てる。
そんなオブリビオンの前で、くるりとその身をひるがえし、スカートの裾をつまみカーテシーにて礼をする少……いや女がいた。
名をメグレス・ラットマリッジ(襤褸帽子・f07070)。
「あーしの次の相手はぬーし?」
答えを返さずに雷杖を片手に構えるメグレス。
彼女を相手にしたバニーの目が光り、その腕が波を打つように動けば、兎の耳を思わせる程高く掲げられる。
「うさちゃーん」
バニーの姿が消え。
「カンフー!」
遅れて大地を蹴る音が響き。
「もーど!!」
障壁越しにラビットバニーの拳が、足が、レディを襲う!
「しょんわふぃー!」
雷杖を持って防御に徹するメグレスの肩を裏拳が入り、意識が肩へ行く。
「ふぉんしょひー!」
そこへ彼女の膝めがけて蹴りが叩き込まれ。
「ふぉんしゃんふぇふぉんふぃー!」
バランスが崩れたところで後ろ回し蹴りが飛んだ!
遠心力が乗った踵がレディのこめかみをしたたかに打ち、その身を吹き飛ばす。
だが、その隙を突いて、もう一人の猟兵が飛び込んできた。
「しょんわふぃー!」
ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)の拳より早くバニーの直拳が少女の顔面を射抜く。
「ふぉんしょひー!」
のけぞりながらも踏ん張るユーフィの腹へ後ろ蹴り。
「ふぉんしゃんふぇふぉんふぃー!」
さらには旋風脚へとつなげる高速連撃に少女は思わず膝を着く。
「あーしのカンフーに勝てるわけねーし」
ステップを踏みながら、猟兵を見下ろすオブリビオン。
「そもそも絶対無敵バリアーがあるんですけどー!」
高くその美しい足を掲げれば、ユーフィの首を刈らんとその踵を振り下ろす。
「バリアがあるのは分かってます!」
バニーの踵落としを肩で受けとめ、立ち上がる少女。
「ええ、覚悟はとうにあります」
その顔には笑みが浮かんでいた。
「そう……よ!」
花園からその身を起こし、荒い息を整えながらメグレスが口を開く。
「人の心を捉えるのは研がれた個性。没個性を是とする私には縁の無い言葉です」
咳き込めば、赤いものが混じっている。けれど、こめかみから流れる血を拭えば。
「だからこそ個性で満ちたこの世界を守らねばなりません、勝ち目がなくとも挑まねばならんのです!」
「そう……です!」
続くようにユーフィが相手の足を持ち上げ。
「私は蛮人です、賢い戦いよりも―ただ、折れない心で向かうだけ」
投げ捨てるように押し返す。
「何よ……なんで、そんなに傷だらけになってエモくなってるのよ!」
只、唯、立ち向かうその心がオブリビオンの心の天秤を揺らし、遮るガラスを打ち砕く。
花が――舞った。
「雷よ!」
雷杖が一条の紫電を解き放てば、周囲の電位が狂い、風が舞い、花が散る。
「ちょー見えないしー!」
花弁と雷光に視界を遮られたところで舞う一枚のコート。
メグレスが両手に持った紫電を纏った杖を棒術よろしく振るえば、バニーは赤べこキャノンで受け流し、蹴りを放つ。
「え、消えるのなーしー!」
蹴りが女を捉えたと思えば、その姿は消え、ヒールは空を切る。
そこへユーフィが踏み込めば、拳を握って溜め込んだ力を一気に爆発させるような一撃を叩き込む!
「――っ!!」
耐え切れず、身体を九の字に曲げるが腐ってもカワイイ怪人、どんなに腹に強い一撃を撃たれても、汚い声は上げない。
そんな矜持がバニーの足を支え。
「ハイヤー!」
余裕のあるように見せかけた口調から両手を組んで少女の後頭部へ振り下ろせば、荒い息を吐いて、崩れ行くユーフィを見下ろす。
「もう一人は……?」
メグレスを探すバニー、探し求める影は背後より現れた。
「ここで!」
黄泉へ渡る一撃を紫電と化して杖に込めれば、渾身の一撃が捻りこまれるようにオブリビオンの腹へと突き刺さろうと迫る。
「よゆーのあーしのカウンター!」
対抗しようとバニーが掌底を放とうとした時、オブリビオンの足首が掴まれ、動きが止まる。
「ちょ、それ反則なんですけど!」
足首を掴むユーフィを蹴り飛ばし、改めてメグレスへ向きなおるバニー。
――だがそのチャンスを女は見逃さない!
撃ち込まれた杖がバニーの肌を貫き、電撃が質量を持った過去を焼き尽くす!
「うそー! エモすぎー! もうやだー!!」
電撃に耐えながらバニーが赤べこキャノンを振り回す。
渾身の一撃を見舞ったメグレスに避ける術は無く、女は花園に沈んだ……。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルーナ・ユーディコット
無傷では帰れない
なら、こういう作戦こそ私が赴くべき……なのかもしれないね
寿命……短いから
敵の攻撃を受けるにしても、全力で挑みかからないと余裕が無いのだけは変わらない
ユーベルコードを使う時までは武器で応戦する
ユーベルコードは体の動くギリギリまでダメージを受けるまで温存
使う時は、命を賭けに出す時
骨が砕けて内臓が潰れ、戦意を踏み躙られたとしても
私の未来が殆ど残されていなかったとしても
私は命ある限り敵を打ち倒すことを諦めない
ユーベルコードを使う時は
私の覚悟を捨て身の一撃に乗せて振り抜く
輝くのは一瞬でいい、全力で流星の如く
それが私の持つ全てを余すことなくバリアの向こう側に叩きつけられるだろうから
ノア・コーウェン
僕にはエモい?とかはよく分かりません!
よく分かりませんが、僕は貴女を倒しに来ました!倒さねば、ならないからです!
どれだけ攻撃をされようとも!僕は立って貴女を倒します!
刀も練習しました!正面の打ち合いも!練習しました!
だから!僕も戦えるんです!
攻撃を受けるたびに!傷が増えるたびに!挫けそうになります!心が折れそうになります!倒れてしまえば!どれだけ楽かと!
血だって流れてますし!もしかすると骨も折れてるのかもしれません!
でも!でも僕は!『お兄ちゃん』だから!
この場には居ないし!母親も違って!歳だって同い年です!
それでも!僕には弟がいて!
僕は!『お兄ちゃん』だから!
だから!挫けないし!倒れません!
●それは不器用でEmotionな話
「なんなの? わかんないですけど!?」
猟兵が倒れ伏す花園でラビットバニーが一人叫ぶ。
「どうして、こんなにエモに命かけてるの、馬鹿じゃないの!?」
叫び、頭を抱えるバニー。
そこへ最後の二人が足を踏み入れた。
「ぬーしも命がけってやつなーし?」
目を光らせたオブリビオンが問いかければノア・コーウェン(がんばるもふもふ尻尾・f02485)が大きな声でハキハキと答える。
「僕にはエモい? とかはよく分かりません!」
忍び刀を抜き、構える。
「よく分かりませんが、僕は貴女を倒しに来ました! 倒さねば、ならないからです!」
そんな彼を制するようにルーナ・ユーディコット(Basilico・f01373)が前に出る。
「無傷では帰れない。なら、こういう作戦こそ私が赴くべき……なのかもしれないね」
少年の方へ振り向けば、笑みを浮かべて。
「私、寿命……短いから」
呟けば、ノアが驚く顔を省みず、ルーナは飛び込んだ。
「命短し戦え少女とか古くなーし?」
バニーが倒れた猟兵から杖を一本拝借すれば、月桂樹の香りが漂う人狼の偃月刀を受けとめる。
「うさちゃんカンフーモードぉ! あーしの全力まっくすぅ!」
オブリビオンの棒が螺旋を描けば、ルーナの偃月刀が跳ね上げられ。地面に刺さる。
「くっ……」
咄嗟に薊と名付けた刀を抜こうとした人狼の少女の喉笛に杖が突き刺されば、気管がつぶされ、意識が一瞬暗くなる。
膝を着いたルーナへ杖を振り下ろそうとした時――。
「させません!」
バニーの一撃をノアが受けとめた。
「今度はぬーしなの? もふもふちゃん?」
「どれだけ攻撃をされようとも! 僕は立って貴女を倒します!」
オブリビオンの問いに対して剣を上段から構えて振り下ろす少年。バニーはそれを難なくさばけば、杖でその腕を打ち据える。
「刀も練習しました! 正面の打ち合いも! 練習しました!」
痛みに耐え、必死に前に進むノア。
「だから! 僕も戦えるんです!」
「たたかえませーん、残念でしたー」
無情にも杖はノアの手を叩き、刀を落とさせる。
忍び刀を拾おうとした少年の顎をバニーのブーツが蹴り上げた。
顎を割られ、口元から血が流れるノア、しかし少年は倒れない。
「強い子ね、でもあーしが殺してあげる」
杖を振り上げたオブリブオンへ今度は人狼の刃が襲い掛かった。
「ぬーし、邪魔ですけど!」
「殺させない、死ぬのは……私」
「そんなのエモくないんですけど」
鈍い音が鳴り、バニーのヒールがルーナの腹を打ちぬく。
「ぐっ……」
その場にうずくまる人狼、杖を振り上げトドメを刺そうとするオブリビオン。
だが少年が両手を広げ、二人の間に割って入る。
「じゃまよぬーし」
何度も何かを殴る音が花園に響いた。
ルーナが止めようと立ち上がるが、ノアは前に出てオブリビオンの攻撃を受け続ける。
「しつこいね、ぬーし。なんでそんなに立ってるの?」
問いかけつつもバニーが杖を振るう。
皮膚が裂け、毛は血に汚れ、骨も折れる音がした。
心は痛みに悲鳴を上げ、くじけようとするたびに――。
「僕は! 僕は!」
奮い立たせる。
その訳は唯一つ――。
「『お兄ちゃん』だから!」
「――!?」
その言葉にルーナが固まった。
「この場には居ないし! 母親も違って! 歳だって同い年です!」
自分は命を捨てる気で来たのに。
「それでも! 僕には弟がいて!」
この少年は家族がいて、なお戦おうとしている。
「僕は! 『お兄ちゃん』だから!」
ならば自分がなすことは何だ――。
「だから! 挫けないし! 倒れません!」
「しつこいねーし!」
頭をたたき割ろうと杖を掲げるバニー。
そこへ蒼き星が飛び込んだ。
「この子を殺させない! 命ある限り!」
感情が――発露した。
自分の未来が残り少ないかもしれない、でも役立てるならと最初は飛び込んだ。
けど、今は違う。
命の炎を燃やす為でなく、誰かの蝋燭へ火を灯すために。
「一瞬でいい、流星の如く――!」
振りぬかれた刃がバリアを打ち破ると同時に杖がルーナの頭を叩き割り、その意識が暗くなっていく。
「――お姉ちゃん!」
ノアが叫ぶ、進もうとする足はもはや力が入らず、崩れてその場に膝を着こうとした時だった――。
「――え?」
誰かの手が少年を支えた。
それは軍服を着た手、武者の手、銃を持ったタコが目立つ手、鋼鉄の手、戦士の手、魔術師の手、そして人狼の手。
戦い、託していった人の意思が幽鬼と形作られ、少年を支え。
そして呪縛を与える。
「「「「「「「――勝て!!」」」」」」」」
迷うことはなかった。
少年が走れば、倒れ行く少女から離れた刀が目に入る。それを手に取れば。
「これが! 僕の! 僕たちの!!」
杖を振りかざすバニーの胴へ振りぬかれる!
「一撃です!!!」
二人の姿が交錯した。
「これが命のエモ……めっちゃエモいじゃん」
ラビットバニーの上半身が腰から離れ、脚を残して花園に消える。
ノアの手から刀が落ちる。
全ての力を使い果たした少年も花のベッドにその身を横たえた。
オブリビオンは倒れた。
エモという名の命の炎に。
立つ者はいなかった。
皆、命を燃やしたのだから。
けど、勝ったのだ。
それでいいだろう、それだけでいいだろう。
彼らにはそれが何よりの報酬なのだから。
――これは不器用な者たちのEmotionな物語。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴