バトルオブフラワーズ⑩~ハロゥエモゥション
●ハロゥエモゥション
「まじびびった!だってモンキーやられてっし!あいつあーしらの中で最強っていうか、誰も勝てる訳ねーって思ってたんですけど!」
花々に囲まれた世界で、兎の頭がぴょこんと立てた耳を動かす。驚いている割に、その声はどこか明るい。
「でもまあ、あーしが全員始末すりゃいいか。なんつっても、あーしのユーベルコードは『絶対無敵バリア』!どんな攻撃も、あーしには全部無効なんだから。それで負けるわけなくない?」
華美で過激な衣装はどきりとさせ、うんうんと頷く度にグラデーションの髪は踊る。
「まあ、エモいもの見ちゃったら、心が乱れてバリアも解けるけど……。かわいい仕草とか、血だらけで立ち上がるとか、突然のパンチラとか、あーしのエモ基準かなりガバいけど……」
少しだけテンションが下がったものの、兎は思い直したように拳を振りあげる。
「まーなんとかなるっしょ!アゲてくぞー!」
●グッバイバニィ
「諸君、キマイラフューチャーでの大戦争、お疲れ様。諸君のおかげで怪人軍団の幹部の一人、エイプモンキーが斃された。さぁ、この調子で次の幹部に挑もうじゃないか!」
海洋生物を模したヒーローマスク、パーヴォ・シニネン(波偲沫・f14183)は猟兵達に素早く説明を始める。宿主の子供が抱きしめているのは、兎のぬいぐるみ。
「君達に挑んでもらうのは、カワイイ怪人『ラビットバニー』。第二の関門を守っている彼女を斃さない限り、先へは進めない。彼女は『絶対無敵バリア』に守られており、その名の通りどんな攻撃も絶対に通さないバリアだ――だが、彼女にだって弱点はある」
ぬいぐるみの耳がぴこぴこ動く。
「彼女は『エモい』ものに弱い!」
エモいものに弱いってなんだよ、スンッとなってしまう猟兵達。
「……いや、実は我輩もちょっとよくわかんないんだけどネ。彼女の心を揺さぶる、もしくは感動させれば、そのバリアは解除されるのダヨ。しかも、彼女がエモいと感じる基準はとても緩い」
かわいさ、男らしさ、おもしろさ、例えば血だらけで立ち上がる様子、突然のパンチラ、イケメンの壁ドン、水を吐き出すフグなどなど……『SNSで流行りそうなもの』なら大体エモい。そしてバリアは解除されるらしい。
「バリアが解除された隙に攻撃を続ければ、彼女は斃れる筈だ。ただし、バリアが無くとも彼女は相当の実力者だ、エモだけでなく攻撃にも全力を注いでくれたまえ」
宿主が、兎のぬいぐるみの頭を撫でる。
「諸君なら、彼女の心を大いに揺さぶってくれるとも!」
遅咲
こんにちは、遅咲です。
オープニングをご覧頂きありがとうございます。
●成功条件
ラビットバニーの撃破。
●注意事項
ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
今回はお一人ずつ、もしくは共闘すると明記された方同士のみのご案内となります。
皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
咲き乱れる花畑で猟兵達の道を塞ぐ、艶っぽい肢体を大胆に見せるラビットバニー。既に猟兵達によって幾度と倒されているものの、兎の頭で見えない筈の表情は未だ自信に満ちているようだった。
「今のあーし、あいつらにとっちゃ相当ヤバげじゃん?倒されても倒されても蘇る強敵、こんなんゲームなら勝ち目なくてレベル上げすら諦めるっしょ。でもま、それでも立ち上がるってのも?悪くはないっていうか?そーいうの見たいからどんどん掛かってこーいってカンジ、フーゥ!」
絶対無敵バリアを展開しながら、いぇいいぇいと赤べこキャノンと胸を揺らすラビットバニー。
今回の彼女は随分とのんきなタイプかもしれない。
花月・椿
エモいって、…何?
とりあえず自分の長所を前面に押し出せばそれでよさそうかな?
『こんにちはー、出張メイドです☆。ご注文は決まりましたかー?なんちゃって!』
喫茶店で使っている給仕服を着てその場で一回転してカーテンシー。そうして可愛さアピールをしてー、敵の攻撃は【野生の感】と【第六感】で致命傷は避けて、避けきれないのは全て右手の縛霊手で【武器受け】【気合】【覚悟】で受けます。
絶対にこの服には、ほころびひとつ付けない覚悟です。
あとはバリアが消えたら【ダッシュ】でバニーさんに近づいて…力の限りぶん殴ります。この自慢の右手で遠慮なくお腹を。内臓やら感情やらが口から飛び出すくらいに遠慮なく思いきりです。
「エモいって……何?」
殆どの猟兵達がグリモア猟兵達の説明を聞いていた時に抱いていたであろう疑問を、一人でテンアゲしているバニーを眺めながら花月・椿は口にする。
とにかくバニーの心を揺さぶればなんでもいいのだ、つまり、自分の長所を前面に押し出す。椿は一人納得し、バニーに声をかける。
「ラビットバニーさーん」
「あっ猟兵もう来た?マ?おっけおっけやってやろーじゃ」
最後まで言いかけたところで、兎の青い目がくわっとかっぴらいた気がする。話しかけてきたのはそう、
「こんにちはー出張メイドです☆ご注文は決まりましたかー?なんちゃって!」
メイド、メイドだ!しかも振袖袴にフリルエプロンの大正浪漫メイドだ!前髪ぱっつんにツーサイドアップの黒髪和風レトロモダンメイドだ!和風メイドはその場でくるりと一回転、袴の裾を持って、片膝を曲げてそっとお辞儀。多分スマイル永久0円。
「えぇーきゃわたーん!!」
いきなり属性てんこ盛りをぶつけられたバニー、すごいはしゃいでる。今すぐ写メってSNSとかにあげたいんだと思う。しかし此処は戦場、ハッと我に返った。
「っべーやっべー……メイドね、しかも和風メイド。うん、チョーカワイイ、でもそれだけじゃ、カワイイブランドを創りあげたあーしは慣れっこ!」
じゃこんと構えた赤べこキャノンの砲口は椿を狙う。攻撃回数を重視した激しい砲撃に見舞われる椿は、己の勘を信じて躱し続けるが、その砲撃が止むことはない。ついに少女は真正面からその一撃を喰らった。爆発音とも聞き間違える砲撃音が鳴り響き、椿は白煙に包まれる。
しゅぅう、という音をあげる赤べこの頭を撫でて、バニーは明るく話しかける。
「カワイイメイドを減らすのはマジ不本意だけど、あーしも怪人なんで、その辺ヨッシクカンベンで……え?」
静かに風に流される白煙の中から現れたのは、赤き御手を構えた椿。頬に痛々しい裂傷、ちり、と少しだけ焦げた髪のにおい。けれど、その名の通り赤く咲く花の髪飾りと、彼女が身に纏う衣には傷ひとつ見られない。
少女は語りはじめる。
「私はこの給仕服に全ての覚悟を乗せています」
しっかりと、目の前に居るお客様に向けて。
「絶対にこの服には、ほころびひとつ付けません」
その言葉はあまりにも力強く、誇り高いメイドが其処に立っていた。
「……エッッッモ」
手を震わせながら思わず心の声をもらすバニー。ぎゅん、と心を掴まれたのは、解除されたバリアで明らかだった。
「は~~ちっちゃい黒髪和風メイドがどんな窮地の場でも自分の覚悟を込めたメイド服に汚れすら落とさないとか~~アレじゃん仕えるご主人様の名に恥じない働きをする奴じゃん、そんなのさぁ~~ああ~~~」
バニーの動揺を察知した椿は、白いエプロンと赤い袴を靡かせ一気に駆け、その腹部めがけて赤々と燃える右手を叩き込んだ。
「がっあっ」
めり込む拳はあかく、燎原の火に例えられるだろう。メイドは再び口を開く。
「お客様、感情も内臓も、口から飛び出しちゃいましたか?」
成功
🔵🔵🔴
ノネ・ェメ
ノネ──わたしは戦いをなくしたい。 絶対に相容れないモノをオブリビオンとノ──わたしも認識していかなきゃかもだけど、それでも……それなら、n──わたしは。
一つ、ラビさんに試したいんだ。 わたしの歌。 一応ジャンルもエモ系で。 UCだから先に撃ってこられると思うけど、でも。 絶対に心揺らしてみせるんだ。 戦うのはやめてって想う心、でもって揺らしたいんだ。
もしバリアがとけたら全身全霊「早業」で回避と歌唱に専念、てゆか当たったら最後な気がする。。 それと……
音も響かせ方一つで物理。 UC効果を攻撃力にしてでもダメージを。 銃に。 まわりくどくなっちゃったけど、武器だけでも下ろしてもらうから。
強烈な一撃を喰らったバニーだったが、膝をつくことなくすぐさま後ろへ飛ぶ。
「……は、結構いい拳だったけど。たったこれっぽっちであーしが倒れるとでも思ってんの?それはいくらなんでもナメすぎっしょ、温厚なあーしもおこだよ?」
揺らめくグラデーションの髪の毛先をくるくるといじり、軽くため息をつくカワイイ怪人ラビットバニー。同時に再び展開されていくのは、絶対無敵の防御壁。
ならば、と次に花咲く世界に降り立ったのは、戦場にふさわしくない、何処にでもいる一般人のような少女だった。けれど蒼い髪を靡かせて、雪色のニットと氷色のロングスカート姿のノネ・ェメは、誰よりもこの美しい花畑にふさわしかったかもしれない。
「あのさぁ、だから言ったじゃん……ナメてんのって」
「あなたのこと、ノネは、ナメてなんかない」
苛立つバニーにはっきり告げた言葉は、ほんの少しだけ震えていたかもしれない。このオブリビオンに敵わないかもしれないと、不安な心が透けてしまったのではないか。けれど少女は続ける。
「ノネ──わ、たしは、戦いをなくしたい」
いつも自分自身を名前で呼ぶ少女が、うわずりながら呼称をなおす。
「絶対に相容れないモノを、オブリビオンとノ──わた、しも、認識していかなきゃかもだけど、それでも……それなら、n──わたしはっ」
秘めていた想いを素直に口にするノネの耳に、がんっとヒールを叩きつける甲高い音が響く。
「こんなとこに来といて、戦いをなくしたい?ちょっと、どこまでテンサゲさせんの?げきおこってレベルじゃねーんだけど」
変わることのない表情の兎の頭だからこそ、その冷え切った声色が、周囲を絶対零度のように冴えた空気に変えてゆく。
「もーいいよ、さっさと死んじゃえ」
つまらない展開への怒りをダメージそのものに変えるように、攻撃力を増大させた赤べこキャノンの砲口がノネを向いた時、
♪
ちいさな音が、響く。
「な、」
♪ ♪
ちいさな声はやがて歌になり、それが蒼の少女が奏でているものだとバニーは気付いた。
「ちょっと、」
♪ ♪ ♪
ちいさな歌はおおきくなり、音楽機器が寄り添うように流すスローなメロディーは、徐々にアップテンポな曲調へ。
込められた想いは争いへの嘆きと否定、大切なものへの愛と祈り。それにいのちへの、
「なんなの、」
懸命に、つよく儚い表情で歌い続けるノネに向けられていた赤べこの首が、ことことと小刻みに震える。ついに紫色のべこは、どさりとその場に落ちた。先程までキャノンを持っていた片手は兎の頭の額を強く押さえている。
「とうとすぎでしょ……」
バニーの首筋に、きらりと光る雫が流れるのが見えたかと思うと、それは滂沱の涙に変わり、絶対無敵の防御壁が崩れ始める。
「戦いを怖がる少女が震えながら完全に格上の敵相手に自分の決意を語って自分の最も得意とする歌で想いを伝えてくる……本当はめっちゃこわいのに……きっとたたかいたくないのに……」
片手で押さえられていた頭は、いつしか両手になっていた。そして涙は流れ続けている。
「むり………」
無理なのだ、こんな健気なおんなのこの姿を見せられ、一途な歌を聴かされたら。バニーは鼻をすすりながら語彙力とバリアを失った。
辛うじて残っていた赤べこキャノンへの防御壁も霞と化し、放たれた音撃によって赤べこの首が見事にぽっきり折れた。悲鳴をあげるバニーが見られるのは、このあとすぐ。
成功
🔵🔵🔴
ヴィルジール・エグマリヌ
君は可愛い物が好きなのか――それなら彼らの出番だ
レギオンの群れを召喚、各々好き勝手に遊ばせる
数体だけは彼女の前に向かわせ、誘う様に踊らせたり
バリアの前で構って欲しそうに回転させよう
ああ、私も遊び相手に成ってあげようか
撫でたり抱き上げたりして、暫しレギオン達と戯れ
バリアを無効化したら、レギオン達を一斉に突撃させよう
君も彼らの遊び相手に成っておくれ
レギオン達が気を惹いてる隙に、暗殺の技を活かしバニーへ不意打ち
剣による2回攻撃で、傷口を抉りながら戦うよ
死神より真心を込めて、君に痛みを贈ってあげる
――なんて、こんな台詞もエモいかな
足場の操作は空中戦の心得を活かし対処
物理的な反撃は剣で武器受けして防御
「あーしのべこちゃんんん」
首と胴体が完全に離れ、無残な姿の赤べこキャノンを抱きかかえるラビットバニー。暫くその場に蹲ってしくしくしていたものの、兎の頭を横に振って立ち上がる。
「べ、べっつに、この子に頼んなくってもあーしは強いし!こんなことで負けないし!……べこちゃん」
やはりまだショックが抜けきっていないらしい。めそ、とオキニの赤べこへの想いを溢すと、猟兵はその一言を聞き逃さなかった。
「君は可愛い物が好きなのか」
「ふぇっもう次の来てる!?つーかイケメンじゃん!!」
藍色の髪を靡かせ、貴族のような礼服に身を包んだヴィルジール・エグマリヌ。彼の端正な顔立ちに、バニーは身を乗り出す。
「お褒めにあずかり光栄だ。もう一度聞くが、君は可愛い物が好きなのだよね?」
「うぐっ!ま、まぁそーだけど!でも、あーしのカワイイ基準はめっちゃ高いから!あんたはその基準を満たせるっての?」
ヴィルジールがくすりと微笑うだけでたじろぐバニー。めっちゃ高い基準とやらは何処へ。
「いいや、私ではないよ――それなら、彼らの出番だ」
青年はそう語ると、黒手袋をはめた指先を空中へ。喚びだしたのは金属製の、どこかレトロな雰囲気漂う無数の小型機械達。
「さ、自由に遊ぶといい」
一体をするりと撫でると、機械の群れはバラバラに動きだす。小動物めいた動きの機械達は、宙をくるくる飛んで跳ねたり追いかけっこ、はたまたワルツを踊ったり。
「えっカワッ」
あっさり正直な感想を口に出すバニーに、ヴィルジールによる機械達のカワイイ爆撃は続く。数体の機械達はバニーに近付き、彼女の前でくるんと一回転。
「おや、彼らは君と遊びたいらしい」
「なっ!そそそそんな顔でこっち見んなし!」
別に機械達に目はないのだが、既にバニーには彼らが構ってほしそうな小動物に見えている。
「お嬢さんは少し恥ずかしいのかな。それじゃあ私も遊び相手になろう」
「ファッ!?!?」
次にバニーが見た光景は、花畑でレトロな玩具機械と戯れる麗しい美青年である。時折主の髪を引っ張ったり、彼の頬にそっとすり寄る機械達。
「はは、くすぐったいな」
機械達を撫でたり優しく抱きかかえてやるヴィルジールは時折幼い少年のような笑顔を溢し、その度に兎の頭の下から、濁音付きのオァッという呻き声が響く。
「耽美系美青年が知能を持ったスチパン機械の群れとイチャつくって何!?馬鹿なの!?やばたん天使ってか神!?やりすぎでしょ!?」
げほげほ咽せながら言いがかりに近いキレ方をしているが、展開されているバリアが解除されていることにバニーは気付いていない。切れ長の碧の瞳は瞬時に消えたバリアを確認し、そっと機械達に指示。
一斉にバニーへ突撃する機械の群れに、我に返ったバニーがネイルを塗った指先を動かす。
「いきなり全員でこっちくんなってのー!」
花の足場を機械達にぶつけると同時に、ヴィルジールの行動範囲を狭めていく。が、既にその場から離れていた彼は機械の群れに隠れて接近済み。
「死神より真心を込めて、君に痛みを贈ってあげる――なんて」
ず、と処刑用の剣はバニーの腕を裂く。深く抉れるすんでのところで、花の足場が死神を避けたと同時に、バニーは跳躍し致命傷を逃れる。
「なにそれ、あんた言動までいちいち美青年?ちょっち痛かったけど、イケメンだから許したげる!」
あの子達もカワイかったし、という独り言も、ヴィルジールには丸聞こえだっただろう。
苦戦
🔵🔴🔴
三条・姿見
SPD/己が成り立ちを糸口に
※アドリブ歓迎
因縁のあるこの姿…利用する日が来るとはな
躊躇いは無用。使えるものは、全て使うまで
・対バリア
面頬で顔を覆って会敵。
無敵の名は伊達ではないようだ。しかし驚くには至らん。
忘れもしない、追うべき刀に繋がる人物…
そこに更なる高みを知っているからだ。
奴に問う。…綯い交ぜの骸の海から来たのだろう?
“この顔”の男を知っているか。
面頬を外し、“仇敵と瓜二つの素顔”を晒そう
・戦闘
【封切】解放と共に抜刀、白兵戦に臨む。
着ぐるみであれ敵も生身。俺が身に纏う黒煙と
刃に込めたマヒ攻撃が効くだろう。
敵の勢いを利用したカウンターを狙う。
残像で急所への攻撃を逸らし、2回攻撃を返したい
再び花畑に着地したバニーが、僅かに流れた腕の血を拭いバリアを展開し直す。次の挑戦者は、既に彼女の前に姿を現していた。
「次はあんた?」
「ああ」
短く返したのは三条・姿見。彼の全身を値踏みするように眺めて、バニーはふぅんと感想をもらす。
「今度は正統派の男前で来たんだ。ザ・サムライってカンジ?あ、ニンジャ?」
彼女が姿見を忍と認識したのは、分厚い布と金属板で造られた面頬のせいだろうか。しっかりと彼の口元と喉を覆う防具は、その顔の下半分を隠している。
「じゃ、あーしも速さで勝負してやるか!こっからは本気で潰す気だし、マジ覚悟しなよ?」
言い終わる前に、兎の頭の目がピカーンという効果音を連れて光り輝く。先程から散々エモの渦に巻き込まれたのを踏まえ、速攻で勝負をつけることにしたのだろう。うさちゃんカンフーモードへと変身したバニーは、爆速で花の世界を駆ける。
水玉のシュシュとブレスレットで飾った拳が、姿見めがけて素早い連打を繰り出し、豊満な胸に負けず劣らず美しい脚は、ヒールを鳴らして強烈な足払いを狙う。青年はぎりぎりのタイミングで身を躱しながら、呼吸を荒くすることなく呟いた。
「無敵の名は伊達ではないようだ。しかし驚くには至らん」
「な」
「忘れもしない、追うべき刀に繋がる人物……そこに、更なる高みを知っているからだ」
突然の明らかにワケアリな告白に、バニーの拳がぴたりと止まる。淡々とした語り口ではあるが、その裏に見え隠れする過去に興味を惹かれるのは当然。
「ちょちょちょなにそれ、詳しく」
バニーは拳を構えたまま、さっと距離を取って姿見に続きをせがむ。きりっとした眉に実直そうな目つきの青年は、黒い瞳でまっすぐにバニーを見つめる。
「……綯い交ぜの骸の海から来たのだろう?ならば、」
かちゃり。小さな音を立て、とても静かな動作で口を覆う面頬を外す。
「“この顔”の男を、知っているか」
花咲く世界で凛々しい貌の全てを露わにした姿見に見惚れたバニーは、ぼろっと本音を溢した。
「っべーやっぱ男前じゃんあんた……てかそれどういう意味!?ま、まさか」
「そうだ――“仇敵と瓜二つ”のこの顔を頼りに、俺は奴を追い続ける」
一瞬の迷いすらも見えない表情と言葉に、完全にオチたバニーは頭を打ったようにぐらり。
「エモの塊……」
びくんびくんと痙攣する兎の頭と豊満ボディ。それはもはや語彙力の死んだ――この怪人は一体なんなのだろう。
「追い続ける因縁の相手の手掛かりが!唯一の!手掛かりが!自分の!顔!!クソ男前だけど無口で女の影とか一切なさそうな真面目な男の過去!!自分と同じ顔を持つ男へのクソデカ感情!!そんなやべーの背負って!!あんたさぁ!!!」
死んだ語彙力をかき集め、バニーはわなわな震え声を荒げる。バリアはとっくに影も形もない。
その様子を見逃さなかった姿見が抜刀、同時に解放された黒煙がぶわりと広がり、バニーの視界を闇に包んだ。代償として黒い呪詛は彼自身をも蝕むが、姿見の覚悟は変わらない。
「くっそ、見えないからって!そこに居んのはわかってんだよ!」
抜き身の稲光を目印に拳の連打を叩きつけるバニーだったが、手応えは皆無。違和感に気付く前に、鋭い一閃が二度にわたって彼女の身体を襲う。
悲鳴をあげてその場に伏したバニーを、青年は一瞥。この姿を利用する日が来ようとは。
――躊躇いは無用。使えるものは、全て使うまで。
成功
🔵🔵🔴
エリエ・ルーミエンス
主サマの生きた世界を守るため、雌兎なんてとっとと殲滅してくれます
エモいものが見たいんですね
それなら好きなだけ私を見るといいですよ
愛しの主サマがお創りになった、キュートで高貴な完璧な容姿です
主サマは昔「君が世界で一番かわいい」っておっしゃってましたしー、主サマの言葉が間違いなわけないですしー
ふふっ、私の素晴らしい容姿と、主サマとの愛(実は最初からこっちが本命)に気圧されましたかぁ?
戦闘では毒矢を発射
1発でも当たれば毒が仕事をしてくれますから
足場を飛び移ること・攻撃を回避することに注力し
矢を放つのは少々余裕がある時のみにします
(援護射撃8、スナイパー1、見切り1
※アドリブ歓迎
「げほ、はぁ、くそ……っ」
裂かれたバニースーツとロングブーツから零れる血はとめどなく、ラビットバニーは無理矢理身体を起こし、ふらふらと立ち上がる。
「あーあ、一張羅が台無しですね?ま、そんな下品な服が一張羅っていうのも恥ずかしいですし、破けちゃった方が良かったんじゃないですかぁ?」
「はぁ!?んだてめぇ、この世界のカワイイブランドを創ったあーしが下品だぁ!?」
愛らしいくすくすとした笑い声と共に耳に響いた罵倒に、バニーは怒りを露わにする。声の主は新たな挑戦者、エリエ・ルーミエンス。
「私は本当のことを言ったまでですよ、あっもしかしてこんなことで怒っちゃうんですか?えーかわいくなーい」
「ぐっ!落ち着けあーし、これも全部あっちの作戦!」
にこにこと微笑む少女の表情に嫌味は見えず、バニーは反論せず即座にバリアを展開する。続けて花の足場を操作しようと、指を踊らせようとした時だった。エリエが蕾が咲き綻ぶような声で言葉を続ける。
「ところでお前、エモいものが見たいんですよね?」
「別に見たくないし!」
「欲望ダダ洩れの怪人が無駄な我慢しちゃって!安心して下さい、それなら好きなだけ、『私』を見るといいですよ」
「は……?あ、あんたも今までの奴らみたいに、パフォーマンスすんの?」
自信たっぷりに宣言した少女に、先程までのエモ攻撃を察しすぐさま構えるバニー。しかしエリエからは、特別何かしようとする動作は見られない。
「そんなにじろじろ見てるのに、まだわからないんですか?この私を見ているだけで、誰もがすぐにわかる筈のことなのに?」
挑戦的に問いを投げかける少女の外見は、淡いミルクティーを溶かした長い髪。甘く煌く薄桃の瞳は蠱惑的で、その身を包む清楚なワンピースドレスがよく似合う。
「……ま、あんたはクラロリ系お嬢様ってとこ?確かに王道でカワイイんじゃない?でもそれだけじゃ、あーしのエモ基準には」
「それです!!」
「ひぇっ」
バニーの返事にぐっと被せてきたエリエに、思わずビビるバニー。そんな彼女を気にすることなくエリエは語る。
「愛しの主サマがお創りになった、このキュートで高貴な完璧な容姿です。主サマは昔『君が世界で一番かわいい』っておっしゃってましたしー、主サマの言葉が間違いなわけないですしー」
「そ、そんなのあんたの主人の主観じゃ」
「主観?当たり前じゃないですか、愛しの主サマが私の世界の全てです――そんな主サマが世界一かわいいと認める私が、『私の世界の中で一番かわいいのは当然』でしょう?」
少女の表情と言葉は揺らぎない自信に満ちていた、これが世界の常識だというように。バニーはただ茫然と立ち尽くし、指先はだらりと下がる。追い打ちをかけるように、エリエは言いきる。
「主サマの生きた世界を守るため、雌兎なんてとっとと殲滅してくれます」
「ひぇ……」
誰よりもあいする人と共に電子の海で眠っていたバーチャルキャラクターは、誰よりもあいする人を、誰よりも信じている。
「こわい……こわい……妄信系ヤンデレ美少女……でもヤンデレなんて言葉では片付けられない自信と愛とひたむきさに満ちてる……主人が生きた世界でたった一人生き続ける……つよい……こんなのつよい自己肯定と愛されていたって確信がなきゃできないでしょ……」
脆く崩れ去ったバリアの隙間を縫って、素早く放たれた蠍の一突き。その後、軽やかに少女が逃げ回れば逃げ回るほど、追いかけるバニーの身体を猛毒が蝕んでいった。
苦戦
🔵🔴🔴
ヴラディラウス・アルデバラン
エモ……。
兎も角心を揺さ振れば良いのだな?
とはいえ真に無敵なのか、一撃確かめてから奥の手を使いたいものだが……。
豪華絢爛シャンデリア、品の良い調度品、其処はまるで舞踏会。
鎧ではなく貴族の様な、上流階級の服装で登場し。
さてお嬢さん?私とダンスを踊っていただけないかな。
薄い表情ながらも口角を上げ眦和らげ、ロマンチックな雰囲気作り。
流れる音楽に身を任せ、暫くは踊っていようか。
微笑みの下に本性隠し、隙だけは見逃すまい。
攻撃が入ったならば、内心こんなもので良いのかと。
鈍感な訳ではない。自分の容姿が悪くないこともまあ理解はしている。
だが嘗て彼奴に言われた言葉の数々、あれは大袈裟だと思っていたのだがな……。
エモ……果たしてそれはなんなのか。うぅ、と毒に冒され唸り声をあげるラビットバニーを見つめ、ヴラディラウス・アルデバランはふむと頷き。
「兎も角心を揺さ振れば良いのだな?」
様々なエモ爆撃を受けてもんどりうっているのを見る限り、なんでもいいのだ。本来なら彼女のバリアが真に無敵なのか、一撃確かめてから奥の手を使いたいところだが。
「お嬢さん」
「くそ、もう次が……って、え?」
ふ、と囁くように呼びかけた女に、バニーが苦々しく視線を向ければ。そこには僅かな言の葉に織り込んだ魔力が創りだした世界。足元こそ花の足場のままだが、品の良い調度品が並び、無い筈の天井からは豪華絢爛なシャンデリア。そう、其処はまるで舞踏会。
「なっなっなにこれ、ちょっと、あーしの花畑にあんた何して、」
古い童話に出てくるような舞踏会の会場に慌てふためくバニー。そこへ靴音を鳴らして現れたのは、貴族のように華美で気品のある服装に身を包む麗人。
「ようこそ、貴女の為の舞踏会へ」
「キャァア王子様!?てか、あ、あーしの、ため……?」
何処か薄くも端正な相貌に乗せるささやかな笑み、普段のヴラディラウスよりもやわく魅える視線。悲鳴をあげたのち、兎の顔の頬を赤らめどぎまぎするバニー。これは既にゆるゆるのエモ審査を完全に通っている。
「さて、お嬢さん?私とダンスを踊っていただけないかな」
「ダ、ダンスって、あーしは今あんたらと戦ってる最中で、そんなことしてる場合じゃ……ひゃっ」
おどおどするバニーの手を、有無を言わさず麗人は握る。戸惑う彼女の腰をしっかり抱き寄せると、丁寧にエスコートして、いち、に、さん。
静かに流れる音楽はクラシックだろうか、スローなテンポを保ったまま、ロマンチックな雰囲気を盛り上げる。
「怖がらなくていい、そう、一歩、二歩……ふふ、上手じゃないか」
「とっ当然だし」
融けていく雪のように淡い笑みを見せるヴラディラウスの顔を間近で見ていては、エモ基準がガバガバなバニーはひとたまりもない。なんか兎の頭からも湯気がぽこぽこ出てる気がする。そして女は、急に真剣な表情でトドメの一言を紡ぐ。
「ずっとこうしていたいね……いいや、永遠に踊り続けよう」
「あ……」
ずぎゅん。自分の胸からそんな音が聞こえる錯覚と同時に、バリアがぱりーんと砕け散った。その場に崩れ落ちながらバニーは胸の内を吐露する。
「むりむりむりこんな女の子なら誰でも憧れるお姫様扱い!あーしのためだけにこんな会場用意してめちゃめちゃ綺麗すぎる王子様に口説かれたら誰でもオチるじゃん!?あーしはピュアなんだから心臓持たないってのー!!」
「私は女なんだがな」
「むしろそれがいい!!」
ヴラディラウスにくわっと叫ぶバニーだったが、それが剣を手に接近していたとは露知らず。咄嗟に花の足場を操作するも、間近に居ては自身の足場を崩すことにも繋がる。彼女が躊躇してしまえば此方のもの。
細身の刃はいっとう冷たく、貫く痛みは耐えられない熱のよう。血を吐いて喘ぐバニーに、女は内心、こんなもので良かったのかと拍子抜けしていた。
「お、王子様なら、最後までちゃんと姫扱いしろよ……!」
「悪いが、今の私はそのような立場ではないからな」
決して鈍感ではなく、自分の容姿が悪くないのも理解していた。けれどかつて、かの男に言われた言葉の数々を大袈裟だと流していたのが、少しだけ脳裏をよぎって。
女は再び、凍りつく刃と共に舞う。
成功
🔵🔵🔴
御形・菘
なるほどエモさの追及か、つまり妾の普段通りの戦法であるな!
相手の攻撃に耐えて殴り勝つ!
どれだけ血を流しボロボロになろうとも、何度でも立ち上がるド根性、不屈の魂を存分に見せつけてくれよう!
とはいえ妾は常にガチであるから、絶対無敵のバリアが本当に破れんか試してくれよう
左腕と尻尾のラッシュを叩き込む!
キャノン攻撃など余裕の表情のまま我慢よ、もちろん痛いがな!
はーっはっはっは! HPミリ残しこそ妾の真骨頂、そのまま削りきれる者など存在せん!
散々バリア手前の至近距離にいたからな、砲身の向きでおおよそ狙いは読める!
左腕は急所さえガードできれば問題ないわ
そのまま一気に突っ込み、全力の尻尾の一撃をブチ込む!
何人もの猟兵達により幾度も受けたダメージは、確実にラビットバニーを消耗させていた。兎の頭は表情を変えることはないが、吐き出す言葉にもはや余裕は見えない。
「が……ぐ……ッ!んな奴等なんかに、あーしが負けるワケ……ッ!」
「はっはっは、その意気や良し!妾と戦うに値する!」
「んだとぉ!?」
兎の長い耳に届く高笑いは自信に満ち溢れ、バニーがキレ気味に声の持ち主へ顔を向ける。無数の鋭い爪と牙、鱗を身に纏う御形・菘が仁王立ちで立っていた。
「此処をお主の墓場としてやろう!絶対無敵のバリアとやら、味わわせて貰うぞ?」
「えらっそーに……あーしのバリアがお望み?……やってやろーじゃん、ナメた口きいたコト、後悔させてやんよ!」
再び展開されたバリアを前に、菘は怯むことなくバニーへ接近。左腕を素早く振るえば、彼女に斃された悪の怨嗟が封じ込められた祭壇が唸る。しかし、明らかに肉の感触とは違う硬い音が響く。
左腕とほぼ同時、棘の生えた巨大な尾を勢いよく打ちつけるものの、足場が粉々に砕け花弁が舞おうともバニーは無傷。絶対無敵バリアは、完全に菘の攻撃を無効化していた。は、とバニーは嘲笑する。
「だぁから、無敵だって言ったジャン?」
「……確かに硬いのう、だが、まだまだァ!」
「はぁ!?」
バニーは自分の目を疑った。ニィと歯を見せ笑う菘が、左腕と尾のラッシュを続行したからだ。幾度も激しい打撃音が響き渡るが、バリアには傷ひとつついてない。その上、祭壇と立派な尾には徐々に滲む赤が見え始めた。
「あんた馬鹿だろ!?あぁあうっざ、その体に風穴開けてやんよ蛇女ァ!!」
紫べこの首がなくとも、武器としてのキャノンは健在。がしゃこんと構えられた砲口のゼロ距離射撃が、情け容赦なく菘を襲う。爆発音とも聞き間違える、盛大な砲撃音が花畑に響いた。
「はぁ……ど真ん中に開けてやったっつー……の……」
バニーの言葉が途切れる。白煙から現れた蛇神は全身から絶え間なく血を流すも、膝をついてはいなかった。
「な、んで」
「そのキャノン砲の威力、期待しておったのだが。この程度ならば、妾の見込み違いであったか?」
口の端から血を流し、蛇神は不敵に笑う。ぶる、と震えたバニーが数歩下がり、再び砲口を向ける。次々に連続で鳴り響く砲撃音の先に居る菘だが、崩れ落ちる様子は見えない。思わずバニーの口から弱音が洩れる。
「あ、あんた、こんだけ撃ったら死ぬでしょ普通……」
「実を言えばな、お主のキャノン砲、痛い。かなり痛い」
「は……?」
震えあがるバニーに、衝撃の発言をかます菘。
「しかしなぁ、これが普段の妾の戦法よ!相手の攻撃に耐えて殴り勝つ!どれだけ血を流しボロボロになろうとも、何度でも立ち上がるド根性、不屈の魂を存分に見せつけてくれよう!!」
灰の髪から覗くきんいろの眸は、あおい目をしっかりと映して。笑う蛇神たる邪神に、バニーの心が震えた。
「んだよそれぇ……そんなん……バトル漫画におけるエモの原点じゃん……」
「はーっはっはっは!HPミリ残しこそ妾の真骨頂、そのまま削りきれる者など存在せん!!」
笑い飛ばす菘を前に、砂のように崩れ去ったバリア。その向こうで、バニーは小さく笑い、静かに赤べこキャノンを構え直す。
「ふは……あんた最ッ高!あーしの最強の一撃喰らって死ねよ!!」
「よかろう!お主に妾の全力の一撃、ブチ込んでくれるわ!!」
ほぼ同時にダッシュし、互いに眼前の敵へ突っ込んでいく怪人とキマイラ。
光る砲撃、振りかぶる尾。爆発音と打撃音。
――立っていたのは、邪神を名乗るキマイラの女だった。
「あーあ、負けちゃったぁ……くっそ、あーしかなりイケてたと思うんだケド」
花畑に倒れた傷だらけの豊満なボディは、端から淡い光を放っている。
「まぁしょうがねーか、あんだけ散々エモいの食らっちゃったらなぁ」
粉々に砕け散った赤べこキャノンの破片を握りしめ、ラビットバニーは悔しそうに呟く。
「次は……まぁもうあるかわかんねーか、でももし、」
もし、次があるなら。その時は、また、
最後まで言いきることはできぬまま、バニーの身体は光の粒子となって、骸の海へ還っていった。
大成功
🔵🔵🔵