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バトルオブフラワーズ⑩〜エモいって何だろうとか考えない

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ラビットバニー

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●なんかぎゃるぎゃるしい
 無風の中で舞う花々。
 色が、情景が、空間が、目もくらむ彩りに満ちている。
 だがその中にあって、佇む被り物バニーちゃん(巨乳)――怪人『ラビットバニー』の姿はひときわ異彩だった。

「まじびびった! だってモンキーやられてっし! あいつあーしらの中で最強っていうか、誰も勝てる訳ねーって思ってたんですけど!」

 キャラモノっぽい被り物の下で、くぐもった声が焦っている。
 毒々しい色の怪しい砲台を抱えて焦っている。
 異彩でないはずがなかった。
 しかしひとしきりアワアワすると、ラビットバニーは急に落ち着いて息を整えた。
「でもまあ、あーしが全員始末すりゃいいか。どんな攻撃も、あーしには全部無効なんだから。それで負けるわけなくない?」
 心配することなかった、と底抜けに明るく笑いだすラビットバニー。
 けれど今度は笑って息を吐き尽くしたところで、はたと懸念に至る。
「まあ、エモいもの見ちゃったら、心が乱れてバリアも解けるけど……まーなんとかなるっしょ! アゲてくぞー!」
 ラビットバニーは被り物の顔を天へ向け、胸の前に手を組んだ。
 どーか、エモいものがありませんよーに。

●エモく参りましょう
「エイプモンキーの撃破、よくやってくれたな。猟兵たちよ。しかしまだ足を止めるわけにはいかん……怪人軍団の幹部は残っているからな」
 グリモアベースに集った猟兵たちへ、プルート・アイスマインドは遠くに目を向けてタメながらそう言った。
 エイプモンキーのときより呑気に見えるのは、大幹部の一角を倒すという猟兵たちの活躍ぶりにいくらか安心を覚えたからだろう。その証拠に手元でグリモアをころころしている。
 しかしプルートが言うように、まだ怪人軍団の幹部は残っている。
 第一関門『エイプモンキー』に続く第二の敵は、カワイイ怪人『ラビットバニー』だ。
「前と同様、やはりシステム・フラワーズ内の花の足場はすべてがラビットバニーに続いている。彼女を倒さない限り、その先へ進むことはできん」
 そして強大なオブリビオンたる彼女を倒すためには、やはり時間をおかずに幾度も撃破しつづけるほかにはない。
 そこで気になるのはやはりラビットバニーの力だ。
 猟兵たちがそれを尋ねると、プルートはケロッととんでもないことを言った。
「奴の力は『絶対無敵バリア』。あらゆる攻撃を防ぐバリアで覆われているようだ」
 明らかに無敵と思われる能力である。
 さらっと言うような能力じゃなかったのである。
 だがプルートの声に切迫した色はなかった。
「確かに強大なユーベルコードだ。しかしな、このバリア……ラビットバニーが『エモさ』に揺さぶられると一時的に解除される」
 ぬるい。
 エイプモンキーさんと比べようもなくぬるい。
「しかもラビットバニーがエモいと感じるラインはかなり緩い。かわいいとか面白いとか、そういう軽いのから始まり……傷だらけで立ち上がる雄姿とか風のいたずらが起こす不意のパンチラ、絵になるイケメンの壁ドンとか動物の面白奇行とか……要約すれば『SNS映えしそうなもの』はだいたいエモいと感じるらしい」
 ゆるい。
 今時のJCJKどころではなく判定がゆるい。
 プルートは猟兵たちを見渡して、ただただ頷いた。
「言わんとするところはわかる……だがラビットバニーが大幹部の一角で、強大なユーベルコードを保持していることに変わりはない。くれぐれも油断はしないようにな」
 びしっ、と人差し指を立てて忠告したプルートが、グリモアを輝かせる。
 転移が、始まる。

「さあ、バズらせてくるのだ猟兵たち! キマイラフューチャーの未来は、おまえたちのエモさにかかっているぞ!!」


星垣えん
 この胸部装甲……これはつよい。
 そう確信している、星垣えんです。

 第一に続き第二の関門、カワイイ怪人『ラビットバニー』が今回の相手です。
 ラビットバニーとのバトルにおける特殊ルールを記します。

 ====================
 ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
 絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
 ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
 ====================

 というわけで、皆さんはエモさを見せつけてラビットバニーの絶対無敵バリアを崩すよりありません! エモさを見せつけて!
 エモさは何でも構いません。ラビットバニーの判定ゆるゆるの心が震えればOKだ!
 でもバリアを解除させてもラビットバニーは強いので、苦戦する可能性もあるよ!
 注意してね!

 それでは、皆さんのプレイングお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『カワイイ怪人『ラビットバニー』』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイン・ローレンス
【SPD】
エモ…何?

「友の友」
ふふん可愛くて格好いいでしょう、分かります
でもそれだけではないですよ?まいたけ軍の仕事ぶりとくとご覧あれ!
25匹で組み体操を披露
視線を遮るように大きな動きや小さな動きで緩急を付け目を惹く
〆には大きなうさぎの顔の形に
その間に5匹はこっそりと敵の後ろに回り込み、解除と同時に鎖で拘束を試みる

敵ながら見事な反応速度ですね
当てるのは難しくても勝手に寿命を減らしてくれるのなら…
動きが止まらない様素早い攻撃で翻弄するまでです!
ついでに当たってくれると良いな!
【2回攻撃、属性攻撃、全力魔法】
速度重視の雷の魔法を乱発
動き回るまいたけ軍の鎌が避雷針となり雷が縦横無尽に駆け回りますよ!


ベルベナ・ラウンドディー
方針:泣き落し作戦

先手対策に結界生成+【オーラ防御・吹き飛ばし・衝撃波】で弾き返す
油断を誘えるなら完全な遮断は出来ずとも好都合です



【誘惑・言いくるめ・時間稼ぎ】
主張します
貴女に解りますか?
寝ず飲まず食わず考えに考え抜いたこの美少年(私)の決戦奥義の前に
容易く上位互換を使いこなすネタ寸前の中ボスがログオンする虚しさ!情けなさが!(ガン泣きで膝をつく


荒んだ心にそのバリアは凶器なんです!
こんなに声を枯らして泣き叫んでも!
そのバリアは!
残酷に!
私の心を切り刻む!
返して!私の個性を、持ちネタを返してよ!
…とガン泣きの勢いで【串刺し・騙し討ち・気合い】で殴ります


(台詞は適宜にアレンジどうぞ) 


夜月・クリスタ
怪盗は相手の心を奪う事が出来なければ話にならない。だから彼女が求めるエモいものを見せるのは簡単だよ。…さあ僕の、いや怪盗が行う芸当を見せられても魅了されずにはいられるかな?

赤べこキャノンが来たら攻撃の軌道を【見切り】、【レガリアスシューズ・怪盗仕様】を起動させ【ダッシュ】【ジャンプ】【スライディング】でサーカスの芸のような優雅かつ迅速な動きで戦場を掛け回り、攻撃を回避しながら彼女を【誘惑】してみよう。

バリアが消滅したら赤べこキャノンが発射出来ない位置に潜り込み、【怪盗術・旋風】で小太刀二刀流の一撃を叩きこむ。
命中したら仕込み拳銃を【クイックドロウ】し、【零距離射撃】で追撃!



●涙が出るほどエモいんだ
 3人。
 3人の猟兵が、花の道を駆ける。
「あれがラビットバニーのようですね」
「ですね! 早速エモさで……エモ……エモい??」
 緑の長髪をなびかせて走るベルベナ・ラウンドディーの横で、アイン・ローレンスの首が斜めに傾く。
「……とにかく頑張ってエモりましょう!」
「うん。そうだね」
 夜月・クリスタが、アインの一声に静かに同調する。
「3人かぁ。まー楽勝じゃーん」
 呑気な声とともに、ラビットバニーの体が不可侵のバリアに覆われる。
 そして放たれる赤べこキャノン。盛大にぶっ放した砲弾が迫りくる。
 けれどクリスタは構わず、突っこんだ。
「怪盗は相手の心を奪う事が出来なければ話にならないからね。……さあ僕の、いや怪盗が行う芸当を見せられても魅了されずにはいられるかな?」
 クリスタの上体が翻る――と、その体は砲弾をすれすれで回避していた。
 次なる砲弾を見るや、靴の特殊機構が発動。弾丸のような速さで駆け抜けるクリスタ。しなるような跳躍、滑るような動きで砲弾を潜り抜ける。
 さながら、サーカス芸のように。
 その絶技を目撃したラビットバニーは、思わず拍手をしていた。
「なにそれチョーすごいんですけど! エモいんですけど!?」
 興奮する彼女から、絶対無敵バリアはさっぱりと消失していた。
「……油断したね」
「ちょ、えーっ!?」
 隙を見逃さず、クリスタが二刀の小太刀を携えて懐に潜りこむ。キャノンの照準を振り払い、小太刀で斬りかかった。
 が、ラビットバニーも即座に身をよじり回避する。
「そんなもんで斬られたらチョー痛いじゃん!?」
「そっちも速いね。でも当たるまで振るだけだよ」
 踊るように逃げるラビットバニーを追いつづけるクリスタ。捉えるのは難儀したが、振るううちに何とか一刀を斬りつけることに成功すると、そのまま仕込み拳銃からの追撃を見舞う。
「いったーっ!?」
「私もお手伝いしますよ!」
「あーしに不意打ちとか……させないから!」
 杖をかざすアインに反応し、瞬時に無敵バリアを構築するラビットバニー。
「もうバリアを……さすがは大幹部。…でもこれならどうです!」
「!?」
 ラビットバニーが目を剥く。
 アインが腕を振ると、鎖鎌を持った無数のイタチ――総勢25匹のイタチさんが現れたのだ!
「くぁわいい……」
「ふふん、分かります。でもそれだけではないですよ? まいたけ軍の仕事ぶりとくとご覧あれ!」
 ピピーッ、とアインが笛を鳴らす。
 すると、イタチたちがなんと組体操を始めた! 2人1組で小さく、5人1組で大きく――最後には総がかりで大きな兎さんの顔を組み上げた!
「超エモいんですけどー! 拡散……拡散させなきゃ!」
 いそいそ、とイタチさん(誇らしげ)たちの撮影を始めるラビットバニー。
 その背後に、5匹のイタチさん別動隊がとことこ回りこむ。
 当然、バリアは消えていた。
「今です!」
「えっ、まだイタチいたー!?」
 合図を受けたイタチさんに飛びかかられ、面食らうラビットバニー。
 だが兎面の目を妖しく光らせた彼女は、一瞬で安全圏まで飛びのいた。
「あー……マジビビった!」
「敵ながら見事な反応速度ですね……でも!」
 アインが杖を振り、雷撃を撃ちまくる。乱発、そして乱発。
 それでもラビットバニーは高速で動き回って被弾を免れていた。だがイタチさんの鎖鎌を避雷針に見立て、縦横無尽に駆け巡った一条の雷光が、体をかすめる。
「シ・ビ・レ・るー!?」
「やった! やりました!」
「では、私も続きますか」
 アインの雷でやや焦げたラビットバニーへ向け、1歩踏みこむベルベナ。
「っと、あんまナメんなしー!」
 するとラビットバニーは頭を振って意識をはっきりさせバリア展開。さらに指先からビームを足場に向けて撃ち、花々を海面のようにうねらせた。
 花に足をとられたベルベナの体が、傾ぐ。
「どーよあーしの力は! これでそっちは動けないっしょー」
「そのようですね。しかし――」
 バチッ、と音が弾けた。ベルベナが全身にみなぎらせたオーラが、足元にまとわりつく花々を吹き飛ばしていた。
「……貴女に解りますか?」
 ラビットバニーを見据えるベルベナ。
 その眼は死んでいた。
「寝ず飲まず食わず考えに考え抜いたこの美少年(私)の決戦奥義の前に、容易く上位互換を使いこなすネタ寸前の中ボスがログオンする虚しさ! 情けなさが!」
 がくん、と膝から崩れて泣き出すベルベナ。
 彼のユーベルコードは、光の結界でバリアっぽい隔壁を生み出すっつーモンだったんや……。
「荒んだ心にそのバリアは凶器なんです! こんなに声を枯らして泣き叫んでも! そのバリアは! 残酷に! 私の心を切り刻む!」
 人目も憚らずベルベナは泣いた。
 ガン泣きだった。
「返して! 私の個性を、持ちネタを返してよ!」
「チョー泣いてんじゃん……エモくね? これエモくね!!?」
 絶賛号泣中であるベルベナを見て、動揺を隠せないラビットバニーからバリアが消える。
 すると、ベルベナは立ちあがった。
「隙あり!」
「ぎゃーーっ!?」
 嘘泣きをやめたベルベナの不意打ちパンチが、ラビットバニーに深々と突き刺さったァ!
 怒ったラビットバニーに割と手ひどい反撃もらったけど、それはまあいいよね!

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ティエル・ティエリエル
SPDで判定

「ふふーん、ボクお姫様だからすっごくエモいよ!バリアなんてすぐ解除しちゃうんだから♪」

背中で翅で飛んで敵の攻撃がぎりぎり届きそうな高さを維持するよ!
うさちゃんカンフーモードでいくらスピードと反応速度が上がってても
この位置なら出来る攻撃は限られてるから十分【見切り】で回避できるはずだもん☆

敵の攻撃を避けながらバリアが解除されるのを待つよ!
攻撃を避けるために羽ばたいて上下逆さまの状態でストップ♪
重力に引かれて花びらのスカートが捲れてスカートの中が露に!
これでバリアが解除されたら【妖精の一刺し】で突撃だー☆
※よく見るとスカートの中はレオタードです

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


リダン・ムグルエギ
全力で挑ませてもらうわ!アタシの作品でね

紫を基調としつつ
大胆な胸元や牛をイメージした模様が特徴的な
可愛らしい春の新作衣装を提示するわ

でもこれをアタシが着てもエモさは足りない
だから、服飾師の糸を手繰ってヒイヒイ言いつつ近づいて彼女に差し出すの

こちらにはない胸部装甲のあるアナタなら、これを着こなせるわ
そうよ、ラビットバニー、アナタには…
この服のモデルになってもらいたいの!
そもそも、この服のイメージはアナタの赤べこキャノンなのよ

周りの猟兵さんに一緒に着てもらうのもアリね
着衣後は撮影してSNSにアップするわ

写真を撮ったらホクホク顔で帰るわ
…攻撃?
多分、精神的ダメージやなんやかんやがあるんじゃないかしら



●その衣服がエモい
「くっ、バリアがめっちゃ解除されるんですけど! まーまだ全然余裕だけどね!」
「なら、今度はボクたちが相手だよ!」
「ええ、全力で挑ませてもらうわ!」
 元気アピールでくるくる回りだしていたラビットバニーの前に、続けて姿を見せたのはティエル・ティエリエルとリダン・ムグルエギだった。
 が、足並み揃えるかというとそうでもない。
「それじゃあティエルさん。お先にどうぞ」
「まっかせて!」
 先を譲られたティエルが、とんっと胸を叩く。何やら荷物をごそごそやり始めたリダンを置いて、おてんばフェアリーはぴゅーっと飛んでいった。
「ふふーん、ボクお姫様だからすっごくエモいよ! バリアなんてすぐ解除しちゃうんだから♪」
「いやいやー。あーしの心はそう簡単に動かないから!」
 絶対無敵バリアを展開したラビットバニーが迎えうつ。ぱたぱたと飛んでくるティエルめがけ、早業のうさちゃんカンフーが繰り出された。
 けれどそのどれもが、上方を飛ぶティエルには届かない。ラビットバニーのスピードと反応速度をもってしても捉えるのは容易ではなかった。
「くーっ、ちっこくて可愛いのにやるじゃん! でもそっちの攻撃はあーしに効かないし、あーしも攻めてりゃいつか当てるし、あーし有利じゃね?」
「そんなことないよ! ボクが勝っちゃうんだから!」
 飛び回るティエルへと、攻撃を仕掛けつづけるラビットバニー。ティエルもそれを避けつづけ、攻防は持久戦の様相を呈する。
 と、思われたときだった。
「あっ! スカートがー!」
 回避の勢いでさかさまになったティエルの花びらスカートが、ずりっとめくれかけた!
「ちょっ、ヤバいエモい! 妖精のパンチラとかエモい!」
 すかさず撮影スタンスで臨むラビットバニーさん。
 そうしてバリアが解除されたのを見て、ティエルは即座にレイピアを構えた。
「よーしバリアが解除されたね! 突撃だー☆」
「あっ、やべ……いたたたっ!?」
 全速で突っこんだティエルがラビットバニーをずぶーっ、と一刺し。ごろごろ悶えてるのを見るにめっちゃ効いてる。
「グサッて! グサッてやられたー!!」
「ほらね! ボクの勝ちだよー!」
「あらティエルさん、とても強いのね」
 わーわー騒ぐ2人のところへ、小さな拍手をしながらリダンがやってきた。
 その手に、1着の衣装を持ちながら。
「リダン、それ何なの?」
「これ?」
 腕に抱えた衣装をゆらすリダン。畳んでいた紫色のそれをひろげると、大胆な胸元の切れこみや牛をイメージしたっぽい模様がお目見えする。いわく彼女がデザインした『GOATiaの春の新作衣装』だとか。
「かわいいね!」
「そうでしょ? でもこれをアタシが着てもエモさは足りない。これを着こなせるのは……そう、立派な胸部装甲のあるアナタなの!」
「……んえっ?」
 ラビットバニーが間抜けな声を出した。いつの間にかリダンの話に耳を傾けていやがった。
「いやいくらあーしでも急には無理かなって……」
「何を言っているの、ラビットバニー! アタシはアナタに……この服のモデルになってもらいたいの! そもそも、この服のイメージはアナタの赤べこキャノンなのよ!」
「え、マ!?」
 リダンの訴えを受けて飛びあがるラビットバニー。
「まーちょっとぐらいなら着てもいっかな……」
「ありがとう! じゃあほら、あっちで着替えて着替えて」
 リダンに背を押されて足場の隅に向かうラビットバニーだが、満更でもない顔である。
 ラビットバニーが着替え終えると、リダンはすかさず撮影を開始した。
「いいわ、いいわね」
「ポーズとかいんのー?」
 賑やかに撮影会を楽しむリダンとラビットバニー。
 そしてあらかた撮り終わると――。
「ありがとうね。楽しかったわ。これSNSにアップしとくわね」
「まったねー」
 普通に和やかに解散した。ホクホク顔で去ってくリダンにラビットバニーが手を振る始末。
 が、そうしてリダンが見えなくなった頃に、彼女は気づいた。
「あーし何で……普通に着替えてんの……!」
 いいように転がされとるがな、と崩れ落ちるラビットバニーだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロースト・チキン
ヒャッハーー!!
オレの世紀末力を見せてやるぜ!!
ひ、ひっ!?もう駄目だーー!!

絶対無敵バリアという圧倒的な防御の前に初っ端から精神的に絶望しているニワトリさん

敵の赤べこキャノンを前に鶏的な『第六感』や『野生の勘』で回避してみようとは思うものの敵は実力者ならば、全てを避けきれるはずがありません

そこで『覚悟』を決めて禁忌に手を染めます
今、自分に足りないのは仲間の血肉であると!

バーレルを片手に『フライドチキン』を食らい出すロースト
なんてこった共食いだ!?コレはエモい

『朋友の屍を越えて行け!』で養鶏から闘鶏に羽化し再リトライ
ジャンプとダッシュを駆使しながら斧を片手に急接近、バリア解除を見計らい2回攻撃


アリス・セカンドカラー
エモい……教えてグッドフル先生ポチポチ、ふむ、心を揺り動かせばいいのか、ならちょうど新鮮な精神的ブラクラ画像を見せさせられたばかりだわ。そう、お猿さんの機械で流れたアレをタルパストーカーで3D再現する。ストーカーの方なのは他の猟兵への配慮。
なんかもう目が潰れて血涙流れてるけど無問題、クレヤボヤンス(念動力、第六感、視力、情報収集)で周囲は確認できるし、なんなら兎ちゃんのマスクの中を透視だってできるわ。脳への負担もサイコヒーリング(念動力、医術、祈り)で癒すわよ。
おはなハッキングへはパイロキネシス(念動力、属性攻撃)で焼き払って対処よ。
バリア解けたら邪神的なナニカに巻き込ませるわ☆邪神×兎ちゃん



●チキンor邪神
「ヒャッハーー!! オレの世紀末力を見せてやるぜ!!」
 がっくりうなだれるラビットバニーの背へ、ロースト・チキンは赤い鶏冠をフリフリしながら威勢よく近づいた。今ならやれる、そう思っていた。
 しかし――。
「……いくら傷ついてても、やられるあーしじゃねーから。とりあえずバリア!」
「ひ、ひっ!? もう駄目だーー!!」
 ぱぁぁっとラビットバニーのバリアが輝くと、ローストが対照的にしゅぅぅんとひれ伏す。
 敵の圧倒的な防御の前に、名に恥じぬチキンぶりを炸裂させていた。
「エモいとか無理だ……オレには無理だーー!!」
「いやそんなんだとあーしの調子も狂うんだけど……まーいっか。赤べこキャノーン!」
「ギャアーーースッ!!?」
 ずどぉーん、と砲撃を放たれて慌てて逃げるロースト。連続で放たれる砲撃を鶏的な野生の勘で避けてゆくものの、次第に追い詰められ、ついには爆風で吹っ飛ばされた。
「エモい……教えてグッドフル先生」
「うおおぉー!」
 知識にない言葉をポチポチ端末で検索していたアリス・セカンドカラーの足元を転がりすぎ、雄叫びをあげるロースト。同旅団に所属してるとは思えないアリスのスルーっぷりだったが、逃げる鶏にそれを気にする余裕はない。
 転がる勢いが死んだところで、ローストは意を決して立ち上がった。
「このままじゃいけねぇ……くっ、すまねぇ兄弟!」
 天へ手をかざすロースト。
 その手には紙バケツ的な容器が置かれており、中には彼の言うところの『兄弟』……フライドチキンがたっぷり。
「オレに力を、血肉を分けてくれぇ!」
 がぶっ、とフライドチキンにかぶりつくロースト。
 喰らう。喰らいまくる。
「えええっ!? チョー共喰いじゃん……エモくね? 弱肉強食エモい!」
 こんな珍風景逃しておけねぇ、とやっぱりバリアを忘れて撮影するラビットバニーさん。
 だが、なにもローストはただチキンを喰らっただけではなかった。
 存分に鶏肉を腹に収めた彼の体は、ユーベルコードによってなんかもうムッキムキの勇ましさだった。
「くらえぇ! これは朋友の分ッ!」
「いやあーし責任ゼロじゃアイタタタタッ!?」
 友の思いも背負った(?)ローストの斧が、ラビットバニーを斬りつける。
 そうしてのたうち回るラビットバニーの叫びを背景に、アリスは端末での検索を切り上げ、ひとつうなずいた。
「エモい……ふむ、心を揺り動かせばいいのか、ならちょうど新鮮な精神的ブラクラ画像を見せさせられたばかりだわ」
 目を閉じ、頭のうちに妄想を繰りひろげるアリス。
 思い描くのは――エイプモンキー。ちょっと前に(精神的な)死闘を演じ(そうになっ)たあの猿がアリスに見せたもの。
 彼女が目をひらけば、眼前には具現化された妄想が、妄想した邪神的などえらいものが形容しがたい動きでぐねぐねしていた。
「うええっ!? キモッ! エモいけどキモい!!」
「やっぱり何度見てもきついわね……」
 邪神的なものの与える精神的ダメージにラビットバニーが震え、アリスに至っては額を押さえる手の下で血涙を流しとる。
「そんなんならやんなきゃいーのに……」
「無問題よ。目が潰れてもだいたい周りとかあなたのマスクの中とか見えるし、脳への負担だって癒せるから」
「へー……ってかあーしのマスクの下、見えんだ……」
 瞑目して悟った風に見えるアリスを、言葉もなく見つめるラビットバニー。その表情(マスク)にはそこはかとない同情の色も垣間見える。
 が、それはそれ。
 ラビットバニーは遠慮なく指先からシステム・フラワーズ制御ビームを放つ!
「弱ってるとこ悪いけど、まーこれも世間のキビしさってことで!」
 花々が蠢き、迫る。
 けれどアリスは動じず、腕を一振り。敵の操る花々をパイロキネシスで焼き払った。
「あら残念ね。でも、これも世間の厳しさということで」
「ちょっ、やめっ……!?」
 アリスが、ラビットバニーに指を突きつける。
 すると蠢く。花々ではない。
 アリスの生み出した妄想の産物――邪神的な何かが!
 この世のものとは思えない悲鳴が、美しき花々の間に木霊した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルエリラ・ルエラ
【サメ】【アドリブ改変・連携歓迎】
元々エモい私がサメの着ぐるみを着たら完璧。さらに皆で集合してしまったら…
ビバシャーク

という訳で、兎の人がバリアを張ったらサメサメ大集合。皆で揃って決めポーズ。
私は荒ぶるサメのポーズでいいねを貰うよ。エモい。
バリア解除後は『メカ・シャーク号』に乗ってお花を回避。いざとなれば『私のブーツ』でもっと上空に逃げてもいいね。
そして【芋煮ビット】を放って兎の人と周囲の花にぶっかけるよ。
熱い上に塩気たっぷり。他にもお花に有害な諸々な調味料を混ぜ込んだ芋煮なのでお花を即枯らしちゃうよ。
芋煮で動きを止めたら、メカ・シャーク号に乗りながら弓矢で攻撃。
まさに完璧なシャークだね。


数宮・多喜
【サメ】で連携。
【アドリブ改変大歓迎】

初めて着るサメぐるみだから、
変な動きをしないように気を付けないと。
まずは集まってみんなで決めポーズ!
アタシは仮面のライダーの1号的な奴かな!
で、散開して行動開始!

アタシはまだまだ着ぐるみに不慣れだから、
皆の賑やかしと撹乱に回るよ。
次々移り変わる花の足場を『ジャンプ』と『ダッシュ』で飛び回り、
元気な魚っぽさをアピール!
たまに足を踏み外そうになった時は、
召喚した黒子さん(影の追跡者)に助けてもらって、
ひときわ高くハイジャンプでもしてみようかね。
黒子さんには他の人も手助けしてもらうよ。

攻撃はあまり考えてないけど、
隙を突いて『属性攻撃』で『踏みつけ』てみるかね?


明石・真多子
【サメ】
シャークでオクトパスな着ぐるみを着用して出撃するよ!
敵はエモい光景に弱いみたいだからみんなで着ぐるみ決めポーズだ!
アタシは女豹のポーズにするよ!

よし、バリアは消えたみたいだね!
あとは近付ければ…でもこの足場だと着ぐるみじゃまともに歩けないね。
そんなときこそ【軟体忍法墨潜りの術】!
『タコ墨』を投げた水圧カッターでラビットバニーを攻撃して操作を少しでも妨害だ!
当たらなくても、アタシの足元の『タコ墨』からラビットバニーの近くに落ちた『タコ墨』へワープ!
不意を突いた背後からの[暗殺]水圧カッターで致命傷を狙うよ!
それでもだめならさらに接近してタコ触手で[グラップル]して仲間に任せよう!


霧枯・デスチーム
【サメ】【2m半のガジェット、ブラザーと行動。アドリブ歓迎】
『ガージ、そのポーズは?』
「荒ぶる助手サメのポーズだ!」
『腕が短すぎて出来てませんよ?』

WIZで行動
芋煮の皆とサメぐるみを着て出撃、集まってポーズをとるぜ!
今回はUCを使った物量で攻めるぜ。
攻撃はできねえし、ダメージで解除されちまうからおいらとブラザーは後方支援だ。
UCで召喚したショルダーズは攻撃、ケットシーズは後方でみんなのサポートだ!
相手はエモさに目が無いみたいだし、おいらは気を引くために踊ってみるぜ。
サポートに参加してないケットシーズも一緒に踊れば、注意をひけるはずだ!
敵の攻撃にはブラザーやケットシーズ、皆のサポートを頼るぜ。


バルディート・ラーガ
【サメ】
エモ?っつーのを満たすにゃ、とにかくカワイイな動きを加味すりゃアよしと。あい分かりやした。
あっしも一肌脱いで……いや、着込ませて頂きやしょう。このサメぐるみを!
コワモテドラゴンがはみ出してンのもご愛嬌というコトでひとつ。
サメの皆々様と集合して、むぎゅっとポーズを決めやしょう。

動き封じへの対策は打ちません。あっしの仕込みはこのサメぐるみを着込む前。
炎の腕を蛇の形へ変えて、静かに足元へと忍ばせておりやした。
蛇を操って静かーに、花の海を荒らさねエように敵サンへ忍び寄り
機が熟したら一気に飛びかからせて噛み付き攻撃。
水面を飛び出すサメのごとく、ガブリと一撃お見舞いしてやりやしょ。


エミリィ・ジゼル
【サメ】エモいといえば間違いなくこれでしょう。
そう、サメぐるみです。

虚空を見つめる眼差し
ギザギザの歯
そして丸みを帯びたぽんぽん

まさしくエモさの塊と言うほかありません
そんなサメぐるみが6人もいれば
バニーのバリアも間違いなく軽減できること請け合いです

バニーのバリアが軽減できたら皆さんと一緒に一斉攻撃
わたくしは皆さんの攻撃で驚いたバニーに対して<サメを呼ぶメイドの術>を発動
足場が不安定で動けなくとも、召喚術ならば問題なかろうってすんぽーです

そして呼び出した『すべてのサメの父』から無数のサメを呼び出して餌食としてやります

「兎はサメに皮を剥がれる。古事記にもそう書いてあります」



●バニーVSシャークス
「くっ、あーしがこんな苦戦するなんてありえないっしょ……!」
 壮絶な攻撃によりズレた兎面を整えるも、足取りはふらつくラビットバニー。負傷が重なっていることは明らかだ。
 終結は近い。
 そのことを直感した猟兵たちは、一斉攻撃にかかった。
「頃合いだね。私たちが引導を渡してあげるよ」
「はっ? 無理っしょ! さすがにもうあーしもちょっとやそっとじゃ――」
 放たれた声に振り向き、絶対無敵バリアを張るラビットバニーだが、その口は出しかけた言葉を飲みこんだ。
 猟兵に向けたつもりが、その視線の先に猟兵はいなかったからだ。
 では、何がいたかとゆーと。
「ビバシャーク」
『ビバシャーク!!』
 どどーん、と並び立つ6体のサメが! サメの着ぐるみが現れたのである!
 荒ぶるサメのポーズをキメているルエリラ・ルエラが!
 それに追随する数宮・多喜が!
 明石・真多子が!
 霧枯・デスチームが!
 バルディート・ラーガが!
 エミリィ・ジゼルが!
 誰もが! 死にきった眼差しとだらしなく全開した口蓋となんか短い手足(サメとは……)がぷりてぃ~なサメの着ぐるみを着用していたのである!
「えぇっ! ちょ、何コレ……」
 敵だと思ったらサメがいるので、ラビットバニーさんは言葉もないよ。
 一方、彼女と対峙して着ぐるみを纏っている猟兵たちは堂々としたものであった。
「元々エモい私がサメの着ぐるみを着たら完璧」
「おいらもばっちり決まってるぜ!」
『ガージ、そのポーズは?』
「荒ぶる助手サメのポーズだ!」
『腕が短すぎて出来てませんよ?』
「なぁ、アタシちゃんとサメできてるかな? 変な動きしてたら教えてくれないかい?」
 両腕と片脚を上げるルエリラと霧枯に大型二足歩行ガジェット『ブラザー』がツッコむ横で、多喜はとてとて歩いて動き具合を確認。
「みんなでサメぐるみで出撃できるなんて! 嬉しいなあ!」
「エモっつーのを満たすに必要ってんなら、あっしも人肌脱いで……いや、着込ませて頂きやすぜ」
「エモいといえばサメぐるみで間違いないですからね。バリアも軽減できること請け合いです」
 サメとタコ足が合わさってもはや何の生き物かわからな真多子に、バルディートが露出した爬虫類(ドラゴン)顔をキリッと決め、エミリィはいやに着慣れた自然体で立ち話を繰り出す。
 海のギャングの威厳は微塵もない。
 しかし6体揃ったサメぐるみは、不思議と目を奪うものであった。
 さらに、一同は目配せで意思疎通し、おもむろに一所に集合する。
 そして――。
『ビバシャーク!』
 会心のポージングを披露した!
 ルエリラと霧枯が荒ぶるポーズを取り!
 ライダー的に腰をひねらせる多喜と棒立ちのエミリィが両サイドを締め!
 女豹ポーズ(ただしタコ足)をする真多子と、むぎゅっと短いサメアームを交差させるバルディートが愛らしさを添える!
 ラビットバニーは、もうふるふると震えていた。
「エモいって! やーめーてーエモすぎるってー!」
 きゃー、とか言いながら撮影するために小走りで寄ってくる始末だった。
「やばいってチョーエモいって……」
「そうでしょう。虚空を見つめる眼差し、ギザギザの歯、そして丸みを帯びたぽんぽん。まさしくエモさの塊と言うほかありません」
「きゃーやらかいー!」
 ぷにぷに、とエミリィのサメ腹に指を沈めるラビットバニー。
 言う必要もないと思うがその身にはバリアのバの字もなかった。
 6人はスッとポージングを解く。
「よーし散開!!」
『おーーっ!!』
「えっ!? ちょっと待ってまだ触り足りないー!?」
 多喜の号令に呼応し、散り散りに行動を始めるサメぐるみたち。急に気持ちいい手触りを失ってラビットバニーは名残惜しそうだが、慌てて応戦の構えを取る。
「とりあえずおいらは物量で攻めるぜ! みんな出てこい!」
 ぴこっ、とサメアームを伸ばす霧枯。どこからともなく召喚された量産型ブラッドショルダー部隊が、わらわらとラビットバニーへ行軍を始めた。
「えぇと、とりあえずビームで足を止めっかんね!」
 ラビットバニーの両手の指先が光り、固まった花々が蠢きだす。それらはショルダーズの進撃を阻むと、サメぐるみたちの短い脚を絡めとろうと這い回った。
 生物のように動く花が多喜の足元へ迫る――が、多喜は跳躍してかわすと、着地と同時にダッシュ。それを繰り返し、目まぐるしく変化する花の足場を次々に飛び移る。
「着ぐるみだから動きづらいけど……まあ大丈夫だね!」
「くーっ! メンドいんですけど! んでも着地を狙っちゃえばいーよね!」
「おっと!?」
 多喜が踏みしめた足場が、泥濘のように揺らぐ。崩れる姿勢。
 だが多喜は咄嗟に影の追跡者――黒子さんを召喚。黒子さんの組んだ手を踏み台にして高々と跳びあがり、別の足場へと難なく着地して見せた。
「うっそ!? 凌がれるとか思わないんですけどー!」
「そんな簡単に捕まりはしないよ! アタシはサメなんだからね!」
 にぃっ、と勝ち誇る多喜がサメアームで胸を叩く。およそ彼女の動きはサメではなかったが、こうも大胆に言われるとどうにもツッコめない不思議。
 変動する足場に難儀していた真多子は、目の前で行われた華麗な動きに感心した。
「すっごいなぁ……アタシはこの着ぐるみじゃまともに歩けそうにないよ」
 べちべち、とタコ足を叩きつける真多子。彼女の着ぐるみは周りと違って下半身がタコであり、それが何を意味するかというと何かめっちゃ動きづらかった。
 しかし、それで沈黙する真多子ではない。
「アタシは軟体魔忍だからね! できないことはないよ! 軟体忍法墨潜りの術!」
 しゅばばっ、と短いサメアームを動かす(おそらく印的なものを結んでいる)と、真多子の体から墨が吹きあがる。黒々とした液体は勢いよくラビットバニーへと射出され、さながら岩をも裂く水圧で切り裂きにかかった。
 ヂッ、とラビットバニーの腕に傷が走り、赤く飛沫が舞う。
「いぃったぁ!? ちょっとぉ! 何してくれんのー!!」
 傷を押さえたラビットバニーが、反撃をするべく指先を向けた。
 が、見やった先に真多子はいない。
 いったいどこに――と訝ったその瞬間、彼女の足元に溜まっていたタコ墨がぐにゃりと歪んだ。
「油断禁物だよ隙あり~!!」
「いつの間に後ろに!?」
 がばぁ、とタコ墨からワープで飛び出す真多子。
 タコスミケンに背部を斬りつけられたラビットバニーは、苦悶の声をあげ、足場に手をつく。
「やっば、完全に喰らっちゃったんですけど……!」
「まだまだ続く。サメは凶暴。その身で知るといい」
「!?」
 顔を上げたラビットバニーに視界に飛びこむのは、メカ・シャーク号に跨って花々の上を飛行してくるルエリラの姿だった。彼女自作のサメを模した乗り物が、紛うことなきサメムーヴですいすいと肉迫。
「うわっぷ!?」
「それと芋煮も美味しい。その身で知るといい」
 通りすぎざまにメカ・シャーク号の尾びれでラビットバニーをビンタし、ニッと笑うルエリラ。
 上空へ飛ぶと愛機を乗り捨て、今度は謎の空間の扉をひらく。
「いけ! 芋煮!」
 声と同時に現れ出でる、無数の芋煮。湯気が立つほど熱々である。
「あーなんかいいニオイ……」
「それっ」
「熱っ!? あっついんですけどぉ!?」
 上空を飛び交う容器が逆さまになり、どばっとフォーリンする芋煮。
 過剰な熱、塩気、そしてついでにぶっこまれた有害な調味料によって、ラビットバニーの操っていた花がしおしおになってゆく。
「あっ、あーしの花がー!?」
 芋煮おひたしと化してく花を見て、ラビットバニーの嘆きが響く。
 エミリィは、そんな彼女の動揺を見逃さなかった。
「このときを待っていました。サモン! シャーク!」
 ぴょこーっ、と両腕をひろげるエミリィ。すると彼女の前の中空にひずみが生じ、揺らぐ空間面からぬるっと雄大なサメが姿を現した。
「え、なんか威厳っぽいのがすごくないコレ?」
「ええ。すべてのサメの父ですから」
「ダディ的な!? やばーエモいわー……」
「サメですからね」
 空をゆったりと泳ぐサメダディを一緒に眺めるエミリィとラビットバニー。
 とかやってたら、ちらっとサメの父が顔を向けた。
 するすると泳いできた。
「あれ何かこっち来てるっぽい……」
「サメですからね」
 ぼーっと見上げているラビットバニーへ、サメの父が眼光を向ける。
 そして同時に、サメの父はどこからか無数のサメの群れを呼び出し、一挙にそれらをけしかけてきた。
 鋭い牙が、ラビットバニーの柔肌に次々に喰らいつく!
「うぇええ!? ちょっちょっ、ぎゃあーーっ!?」
「兎はサメに皮を剥がれる。古事記にもそう書いてあります」
 うんうん、とひとり納得顔のエミリィ。
 サメに喰われまくったラビットバニーはもはや満身創痍。歩くのも覚束ない。
 しかし倒れるわけにはいかない――と視線を巡らし、見つけた。
 蠢く花の足場にべた足で留まり、一向に動く気配を見せないバルディートの姿を。
「立ち止まってるんなら……楽勝じゃん……!」
 余力を振り絞り、己に喝を入れたラビットバニーが光る指先を向ける。制御ビームで花を動かし、爬虫類だかサメだか判然としない奴を埋もれさせようと。
 そんな彼女へ、バルディートは軽薄に笑ってかぶりを振った。
「いやア、よして下さいや。あっしを虐めても楽しかァないですぜ」
「いやいや。そんなん言われてやめるあーしじゃないから!」
「面倒くさいことはやめましょうや。そんなことするより、可愛いモンを眺めたほうがよっぽど良いと思いやせんか? 例えばあんなふうな」
「え? 何のこと?」
 不審がるラビットバニーへ、バルディートは後方を見るよう指で促す。
 従って振り返るラビットバニー。
 するとその先には――ブラザー(全長2m半)with大勢のケットシーたちとダンシングしている霧枯がいた。
「ふふふ、どうだ? おいらのキレてる踊りは!」
『ガージ、なぜ私も踊るのですか?』
「こういうのは多いほうがいいんだぜ! あと意外性もな!」
 ちょこちょこと小さな体で踊り狂う霧枯。
 そのさまは、正直なところ夢中で踊る幼児の動画っぽい空気さえ漂っていて……ラビットバニーはときめくしかなかった。
「可愛すぎだって! チョーエモい……エモ猫だよエモ猫!!」
「まったくですねエ」
 パシャパシャと撮影に勤しむラビットバニーに頷くバルディート。
 戦闘中とは思えない、和やかな空気であった。
 しかしそこに不穏な匂いが漂う。
「ん。なんか熱くない?」
 きょろきょろ、と足元を見るラビットバニー。
 何やら、足の裏から焼けるような熱気を感じたのだ。
 だがそれもそのはず。彼女の足には、いつの間にか炎の蛇が絡みついていた。黒く燃え盛る炎が蛇のようにうねり、牙を剥いていた。
「な、何コレぇ!!? あーしの脚に変なのが!?」
「あア、霧枯さんに夢中になってる間にあっしが忍ばせといて頂きやした。こう、あっしの炎をね、足元からちょびっと放たせてもらったンでさア」
「あぁぁぁ! 熱っ! また熱いんですけどぉ! もぉやだぁ!?」
 身を収縮させた反動で炎の蛇が喰らいつく。がぶりと噛みついた牙が肉を抉り、締めつける炎の体がラビットバニーの全身を焼きつくしてゆく。
 バルディートは、仲間たちを振り返った。
「今ですぜ!」
「了解だぜ!」
「ずばっと射るよ」
「それじゃあアタシはがっつり踏みつけてみるかね?」
 呼びかけに反応した霧枯のショルダーズがラビットバニーに襲い掛かり、ルエリラの一射がその肩を射抜く。果ては上方の足場から降ってきた多喜が勢いそのままにラビットバニーの脳天へ重い踵を打ちこんだ。
「……あーしの、負けかあ」
 ふらり、とその場でよろめいたラビットバニーの体が、消えてゆく。
 最期に、並ぶサメぐるみたちを見やって。

「そのサメちゃん……チョーエモいって」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月18日


挿絵イラスト