バトルオブフラワーズ⑩〜兎怪人の情動を呼び起こせ!
●It's Show Time!
「ふははは!皆、よく集まってくれたのである!」
グリモアベースの一角で、怪しげなローブをはためかせイクトス(f18187)が笑う。
「皆の尽力により、幹部であるエイプモンキーの領域を踏破した。奮闘した皆に感謝であるな!」
「これより皆に踏破してもらうのは、第二の関門。敵の幹部カワイイ怪人『ラビットバニー』である!」
杖でこんと床をつくと、花を模した戦場の地図が宙に現れる。その中央には、兎のマークのエネミーマークが記されている。
「エイプモンキーも強力な能力を有していたが、ラビットバニーもまた強力な能力を有しているのである。その名も『絶対無敵バリア』也!」
システム・フラワーズの深部に向かう為には、咲き乱れる花々の足場のフィールドを越えていかなければならない。しかし、次の関門への道は中央に集まっており、そこには幹部であるラビットバニーが待ち構えているとのこと。
「ラビットバニーのはるバリアは、まさに無敵!彼の怪人がバリアを展開している間は、我らの力ではバリアを突破することあたわぬ」
しかし!とイクトスが杖を突き続ける。
「彼のラビットバニーのバリアの条件は、『エモい』行動である!」
お前は何をいっているんだ、という視線を気にせずに拳を振り上げる。
「ラビットバニーが、皆の何らかのエモい行動をみて心が揺れ動かされた瞬間!無敵のバリアが一時的に解除されるのであるなぁ!」
かわいさや面白さ、男らしさや格好良さ、突然のパンチラ等、『SNSでやはりそうなやつ』がラビットバニーの心の琴線にふれるのだそうな。『絶対無敵バリア』を解除するには、何かそういった『エモい』姿をラビットバニーに見せつける必要があると説明する。
「ラビットバニーの心を動かせ!!情念を湧かせろ!!愛情でも良いな!!相手の予想を超え好奇心をかき乱せ!!心に忘れられぬ楔を打ち込め!!理性を吹き飛ばすのだ!!」
ローブをはためかせ、握った拳を振り上げ、叫ぶ。
「情動を呼び起こせ!!」
「ラビットバニーのバリアを消滅させることができれば、皆の技を遺憾なく振るうことができよう」
但し、ラビットバニーは幹部の一角。絶対無敵バリアがなくとも強敵であることはかわらない為、最後まで気を抜かぬようにと付け加えて、転送の為に集まった猟兵達の手を取る。
「皆の『エモい』戦いをみせつけてやるのである!!」
そういって、フードの下で笑う。
「さあ、行こうか我らが戦場(ステージ)へ!!」
八幡の人
賑やかな戦争も速くも半ば!
お世話になっております八幡の人です!
第二の幹部のシナリオを提出させて頂きます!
●ボスについて
今回のシナリオは戦争シナリオになります。
特殊な条件がある為、下記の条件を必ず読み、対策を立てて下さい。
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ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
====================
●プレイングについて
上記の条件の通り、ラビットバニーは『エモい』ものをみると絶対無敵バリアを一時的に解きます。
戦いの鍵は、皆さんの『エモい行動』です!
皆さんのありったけのエモい行動をのせてください!
※エモいとはいっても、際どすぎる性的描写等はマスタリング対象とさせて頂きます
皆さんの熱いプレイングを、楽しいリプレイでお返しできるように微力を尽くします。
皆さんのご参加を、楽しみにお待ちしています!
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リダン・ムグルエギ
戦術は単純明快よ
コードの速度を活かし
カンフーを全力で防ぎ対峙するの
拳法着風チャイナ服は改造済で距離感を狂わす錯視模様も仕込んだわ
でも勝てない
それは承知済
だから程々で切り上げて
戦闘を撮影してた動画を放送するわ
煙中で残像を残すウサギの瞳
加工無しの高速格闘
実に映えるわ
加えて…この動画はね
GOATiaとラビットバニー!
時を超えた、あり得ないコラボ動画が登場!
ふふっ、響きだけでもエモくない?
アタシにとってアナタはいつか超えたいと思っていた大先輩
それに挑みコラボできる機会、逃すわけないわ
欲望マックスでガチるのが、ヒトのあるべき姿、でしょ?
さあ、付き合ってくれる?
第二の動画撮影に、ね!
(針と嘘を操り撮影再開
我妻・惇
良い恰好してンなァ、頭取…あァ、取れねェのか。しゃあねェな。
カンフーモードォ?ほォん、まァいいや。反応速度も上がるッてンなら、どうせバリアで通らねェンだし解除されるまでは徹底的に防戦だ。
喋れる限りは薄笑いで軽口を止めずにいいかげんな印象を植え付ける。
防いで、もしくは耐えて攻撃の隙ができるようなら反撃に出る。軽口を止めて真剣な表情に変えて、ブチ抜くこと以外頭から追ッ払う。気持ちの切り替えと、ギャップ?狙いだな。
防御があろうォが妨害があろォが絶対無敵がなンだろォが、ブチ抜けるまでブチ抜いたらブチ抜けンだろ
往生せェやオラぁッ!
●花畑の死闘
「いらっしゃーい、イェーガーくん!あーしのステージへようこそ」
リダンと惇が転送された先は、大小色とりどりの宙を舞う空間だった。2人が人よりも大きな花の上に飛び乗り、見下げた先に。
中央のひときわ大きな花のステージの上で、手を振る兎頭のラビットバニーの姿があった。
「転送されたばっかりだっていうのに、随分と気づかれるのがはやかったわね」
「ふざけた態度してやがっても、幹部ッつーことかね」
動きやすい藤色のチャイナ服を着込んだリダンが撮影機材の調子を確かめる。
その隣で惇が、朱色の愛槍を油断なく構えラビットバニーを見据える。
2人の視線を楽しそうにうけるラビットバニーの体が、薄い光に包まれる。
「せっかくならあーしとみんなで遊んでテンアゲするしかないっしょ!っていいたいんだけど。イェーガーくん達、この先にいきたいんでしょ?」
だったら、通すわけにはいかねーし!と練達な……動画映えしそうな魅せるカンフーフォームをとる。
「あーしの絶対無敵バリアは、どんな攻撃も無効だから!まあ、エモいものみちゃったらちょっと怯むかもしれないけど!」
「自分で弱点を喋らないといけないって決まりがあるのかしらね」
「はん……無敵だなんだかァしらねェが、関係ねェな」
花の足場を挟んで向き合う3人の空気が、激突に向けて切り替わる。
「何人でかかってきたってとおさないし!アゲてくぞー!」
●リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)
絶対無敵バリアね。面倒な能力だけど、感情に訴えるってことならやりようはあるわ。あの牙城を崩しましょ。
まずは仕込みからよ。最前線でやりあうのは本分じゃないけれど、今回はカンフースタイルで殴り合うわ。
催眠性のある香水を纏って、前にでるわ。アタシの体のリミッターもはずしてくれるおまけつきだけど、負担が凄いから早めにすませたいわね。
「その構え、あなたもカンフーを使うんでしょ?アタシもそうなの、手合わせお願いしたいわね」
「へぇ……あーしのうさちゃんカンフーに勝てるつもりなら激アマなんですけど?っていうか、その服エモくない?」
「デザイナーとしては、褒めてもらえて光栄よ」
アタシの服に目がいってる間に、仕掛けさせてもらうわ。攻撃する前から、アタシの服をみてバリアに小さな亀裂がはいってる気がするのだけど、気のせいかしら。
お互いにリミッターを外した高速戦闘。山羊と兎の死力を尽くす殴り合いよ。
「山羊のイェーガーくんも良い動きしてるけど、あーしには追いつけねーし!」
「くっ、さすがラビットバニーね!けれど、アタシも負けられないわ!」
服に仕込んだ錯視模様の暗示で距離感を狂わせるけれど、それでも相手は幹部。単純な力の差は歴然、アタシが防戦一方になるのはわかってたわ。
けれど、それで構わないわ。この死闘は事前準備だもの。もう少しだけ、派手に、そして格好良く死闘を続けるわ。
そして、その戦いを盛り上げる仲間(共演者)が、もう1人。
●我妻・惇(紅穿獣・f04976)
カンフーモードだかうさちゃんカンフゥ?ふざけたァ名前してやがるが、反応速度が上がるッてのは本当みてェだな。
なら、どうせバリアで通らねェンだし、エモィだかなんだかで解除されるまでは、徹底的に防戦してやるさ。
花の足場蹴り込ンで、リダンとバニーがやりあッてる所に飛びこむ。速度乗せた刺突は、堅ェバリア纏ったバニーの手に阻まれる。
「よう、良い格好してンなァ。せっかくなンだから、その頭とれ、なァ?」
「あーしのナイスバディー褒めてくれるのは嬉しいけど、あーしのうさちゃんヘッドはとれないし。ってか、うさちゃんヘッドカワイイっしょ?!」
「あァ、とれねェのか。俺ァキマイラじャねェからな、頭が人型なら文句なしだったンだがなァ」
「ふーん、あーしの可愛さわかんないナンパくんなんかぶっ飛ばすの決定っしょ!」
へらへら薄ら笑い浮かべて、精々軽薄な印象与えてやるぜ。軽口叩きながら、槍で応戦を続けるぜ。
二人がかりのはずだが、防戦一方だな。バリアがあるせいで、本来なら急所の箇所にあててやッてもダメージになりやがらねェ。
「あーしの攻撃防いでばっかりだけど、ナンパくんは口だけっぽいね!」
「……あァ?」
そう想わせるよゥに仕向けたのは俺だが、言われるとむかッ腹がたつな。
軽口を叩くのは終わりだ。ブチ抜く事以外、無駄なこたァ頭ン中から全部追ッ払う。
防御があろうォが妨害があろォが、かまわねェ。ただひたすら、ブチ抜く為に槍を振るう。
「な、なに?ナンパくん、さっきと雰囲気違くない?」
雰囲気のかわッた俺をみて、バニーの動きがわずかに怯む。バリアに阻まれて、まだ槍は通らねェが知ッたことじャねェ!
「絶対無敵がなンだろォが、ブチ抜けるまでブチ抜いたらブチ抜けンだろ!俺にブチ抜けねェもンはねェ!」
「う……け、軽薄ナンパ男がシリアスシーンでマジになるギャップ!マジエモいし!!」
バリアを穿ち続ける槍の感触が変わり……びきり、という音と共にバリアに大きな亀裂が入る。
「はッ、このままブチ抜いてやる」
●リダン・ムグルエギ
マコトさんの攻撃で、バリアにひびが入ったわね。ギャップ萌えってやつかしら。
さて、仕込みは十分ね。残りのバリアを取っ払ってしまいましょう。
一度少し距離をとって、タブレットを取り出すわ。
「ねぇ、ラビットバニー。これがなんだかわかる?」
「何って……あ、それ!」
タブレットで流した映像をみて、すぐに察しがついたみたい。さすがキマフュの子ね。
動画で流れているのは、先程までアタシ達が闘っている光景を撮影したもの。
加工無しの至近距離での大迫力の高速戦闘。砂塵と花片が舞う中で残像を残すウサギの瞳。そしてリアルタイムの配信。
実に動画映えするわ。
「それに、ただ映える動画というだけじゃないわ」
「……つまり?」
そわそわと動画を眺めるラビットバニーに手をふるようにして、告げるわ。
「本来交わることの無かったはずの、GOATiaとラビットバニーの死闘!時を超えた、ありえないコラボ動画が生まれたってことよ!」
「……ひ、響きからエモいし!!」
ぶるぶると体を震わせるラビットバニーの動きに合わせるように。マコトさんのエモさで亀裂のはいったバリアが、さらに亀裂を増して砕け散るわ。
「アタシにとって、アナタはいつか越えたいと思っていた大先輩。それに挑んでコラボできる機会なんて、逃すわけないわ」
欲望マックスでがちるのが、ヒトのあるべき姿、でしょ?
「第二の動画撮影の開始よ、付き合ってくれるかしら?」
●我妻・惇
最後のバリアが砕け散ッたッてこたァ、よゥやくこれで攻撃が通るな。なら、後は得物を仕留めるだけだな。
口元を歪めて、槍を繰り出し続ける。
さッきまでと違ッて、バニーも回避行動取り始めたなァ。直撃すりャまずいッてことだろ。
「くぅっ!あーしとしたことが、元ナンパくん達のエモさに心揺さぶられるなんて!」
「わりと緩かった気がするがなァ!」
俺とリダンの二人がかりで追撃を加え続ける。次にバリアはり直される前に、一撃くれてやる。
裁縫の用の針か?と糸を器用に使ッて闘うリダンが、糸を絡めてバニーの動きを一時的に封じ込む。
あ、仕置人みたいでエモい!とかッて言ッてやがるが、なンか喜ンでねェか。
その隙に、一度距離を取る。
呼吸を整え、バニーを見る。彼我の距離は300m。だが、見えてるンなら俺にとッては一歩の距離だ。
槍を構えて……刺突を繰り出す。肺から空気を吐き出した刹那、ラビットが眼前に迫る。
「あ、それ漫画とかでみる縮地とかってやつ!え、えも……っ」
今度こそぶち抜く。その喧しい口、塞いでやる!
「往生せェやオラぁッ!」
繰り出した槍の先から、バニー腕をぶち抜く感触が伝わってきた。
大成功
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勘解由小路・津雲
「エモい」とな? よくは分らないが「あはれ」に近い感情であろうか。ふうむ、先の敵とは違ったやっかいさだな。
【作戦】
①花びらを集め、その中に霊符を隠して持って行こう。「花束を届けに来たぜ、お嬢さん」
②さあ、ここからだ。花束に隠し印を結び【符術・鳥葬】を使おうとするが、おそらく見破られ先制攻撃で発動は封じられるだろう。足場を崩され、乱れ飛ぶ花と霊符。「念道力」を使って見栄えよく散らしてみせよう(バリア解除を目指す)。
③その舞い散る霊符の中に道具【式神】をまぜておき、突撃させる。ユーベルコードは使えずとも、道具は使えるだろう。見とれた瞬間にぶち当たれ、式神!「花に鳥、風流もまた「エモい」だろう?」
鍋島・小百合子
SPD重視
えもいとやらはよくわからぬが…話を聞く限りようは魅せればよろしいのじゃな
ならばとっておきの舞を披露するとしんぜよう
「今に見せるはわらわのとっておきの舞…!」
薙刀の先端を布で包み巫女装束に早着替えした後、自身の武勇を彩った薙刀の舞を披露(誘惑・ダンス・コミュ力・パフォーマンス併用)
自身が武士である事を体現したかのような勇壮で力強い舞を徹底的に見せつける
敵の障壁が解除されたらUC「黄金勇霊装」発動
黄金の甲冑を身に纏い勇気に比例した戦闘力を得たら薙刀で畳み掛ける(鎧砕き・咄嗟の一撃使用)
敵の敏捷・速度上昇にはこちらの飛翔能力とダッシュで対応、敵に追いつかれず追いつけるよう心掛ける
●花鳥風月
先に闘っていた猟兵達と入れ替わるように、津雲と小百合子が花の足場の上に降り立つ。
花のステージの中央では、負傷した腕を抑えるラビットバニーが二人を見据える。
「あいたたたぁ……。イェーガーくん達のエモさマジやべーし。っと、今度はなんか和風なイェーガーくん達だね」
花を携えた津雲と、巫女装束に身を包む小百合子をみてラビットバニーが小さく震える。恐らくエモさで。
「エモいというのはよくわからないが、仲間が障壁の解除に成功したのは確かなようだな」
「奇遇じゃのぅ、わらわもえもいというのがいまひとつ要領をえぬのじゃ」
「エモいっていのはね、なんだかよくわかんないけど凄いとかって思うことだし」
ラビットバニーの言葉にしばし首をひねる二人であったが、津雲が一つ頷いて言葉を漏らす。
「なんともいえない……つまり、『あはれ』に近い感情ということであろうか」
「ああ、なるほどのぅ。えもいというよりは、なんなくじゃが意味はわかりやすいの」
得たりとうなずき合う二人が、ラビットバニーのほうを向く。
ラビットバニーは腕を負傷しながらも、再びバリアを纏い、あかべこ型の砲を構えてテンションを上げる。
「意味はわかっても、あーしにエモみを感じさせないと絶対無敵バリアはやぶれねーし!あーしのストライクゾーン広いけど!判定わりとがばがばだけど!」
やぶれるもんならやぶってみろし!と気炎を揚げるラビットバニーの叫びで、第二陣の戦いの幕がひらかれた。
●勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)
エモい……先のエイプモンキーとは違った厄介さだな。あはれということなら、彼女の心に響く事をすればいいってことだな。
まずは、あの障壁を取り除くことからだな。異世界の情緒となると難しいが、世界を問わない情緒もあろう。
持参した芍薬の花々と、この戦場にある花々を纏めて花束を作る。手先は器用なほうでね。
花の足場をいくつか飛び回り、彼女のほうへと歩を進める。
「花束を届けにきたぜ、お嬢さん」
「ふ、ふぅん……エモ……いや、センスは悪くないね」
花に目を奪われたのか、武器を構えてこそいるがまだ明確には攻撃はしてこない。
花束を渡すだけでは推しが足りないだろうというのは予想の範疇だ。
「そう言わずに、受け取ってくれると嬉しいんだがな」
少しずつ花の足場を渡りながら……花束の裏で五行印を結ぼうとする。
「っ、花はマジできれーだけど、させねーし!」
こちらが何かをする気配に気づいたのか、彼女の五指から花の足場に向かって光線が放たれる。
彼女の光線を受けた足場――俺が今立っている足場も含めて――が一斉に動き出し、俺の行動を阻害しようとする。
「ここの管理権限はあんたのものかっ」
「当然っしょ?あーしらがここを乗っ取るまで、邪魔はさせねないかんね!」
他の足場に飛び移っても、それを追い、先読みするように彼女が足場を操作する。
落ち着くまもない不安定な足場の上、印を結ぶ隙を与えないつもりだな。
しばらく逃げ回っていたが、やがて足場に捕まり宙へと投げ出される。
「よしよし、ようやく一人捕まえたし!」
逃げ回りながらも、十分に近づいた。そして、その間に戦場にある花々も集め終わった。
さあ、ここからだ。
作り上げた花束は二束。一つを、宙へ投げ出されながらラビットバニーの頭上へと投じる。
印は結べずとも……全力で念道力を手繰り、集めた花々を動かす。
ラビットバニーの周囲を吹き荒れる、花の嵐のように。春風に揺蕩う花吹雪のように。
「あ……あ……っ、あはれぇも~い!!」
あはれえもいというのか。花々に見とれる彼女の障壁に亀裂が生じる。
あと一押しと、もう一つの花束を投じた先。小百合子のほうを見やる。
●鍋島・小百合子(朱威の風舞・f04799)
えもいというのが、今ひとつよくわからぬが。先程の話し、あはれの心を呼び起こすということであれば、ようは魅せればよろしいのじゃな。
津雲殿の花の嵐で、彼女の障壁に亀裂が生じておるの。もう一押しえもい物をみせれば、障壁を解除できそうじゃな。
ならば、わらわもとっておきの舞を披露すると進ぜよう。
巫女装束の袴を払い、薙刀を構え一礼。
「えもいものが好みということであれば。今に魅せるはわらわのとっておきの舞!異世界の妖魔よ、照覧あれ!」
「あ、巫女舞?とか絶対えもい気配がするし!最後までみたいきもするけど、させねーし!」
そう言って、彼女が肩に担いだ牛を象った砲から砲撃を打ち込んでくる。
かまわぬ。これからわらわが舞うのは、わらわ自身の武勇を表す舞じゃ。
薙刀を一振りし、砲撃をすんでで避けながら次の足場へと舞飛ぶ。いくさばでは矢も鉄砲も飛び交うのがならい。
ならば、それを避ける舞になんの不自然や不都合があろうか。大砲の炸裂音を囃子に、花の間を飛び交い舞い踊る。
わらわの周囲には、わらわの舞にあわせて津雲が手繰る花々が舞い踊る。
花と踊るように。武を示すように、力強く踊り続ける。花に嵐とはいうが、咲き乱れる花も悪くはなかろう。
「ああもう!もう、もう~~~~~~~~!!」
わらわの踊りを阻害しようと砲撃を続けていた彼女の動きがとまり、ぶるぶると震える姿がみえるのぅ。
「クロスカルチャーな踊り、マジであはれぇも~~~~い!!」
無敵を誇る彼女の障壁に大きく亀裂が走り、やがて消滅したのが見えるのじゃ。
えもいとはあはれの事だとおもっていたのじゃが、あはれえもいとはいったいどういう意味かえ……?
とはいえ、これでようやく相手と同じ土俵に立つことができたの。
「さて、魔を祓う時間じゃの」
●勘解由小路・津雲
小百合子の舞は見事だったな。見事『エモい』心を動かし、障壁の解除がなったな。
障壁を解除しただけでは仕留めること叶わぬ。ここから攻めに転じよう。
俺も花をまき散らすだけが仕事じゃない。先程撒いた花々の中に、目立たぬように霊符を混ぜ込んでいたのさ。
彼女が動きをとめた今、改めて印を結ぶ、力ある言葉を唱える。
それは五つの菩薩の名。
――バン・ウン・タラク・キリク・アク!
俺の言葉に応じ、風に混ざる式札が形を変える。それは花々の間を翔る大鳥の形。
「命に従い、五方より敵を討て!」
150羽の大鳥達が花々を引き連れ彼女へと突撃を敢行する。1羽1羽の力は弱くとも、障壁がない今であれば無視もできないだろうさ。
「今度は鳥?!ふわぁくちばしにみんなお花くわえてるのがずるいし!!」
「花を届けにきたといったろう?それに、花に鳥。風流もまた『えもい』だろう?それに……」
花鳥風月の最後の一文字。
「月に叢雲、花に風。俺の花に隠れて、月からあんたを迎えに使者がくるぜ?」
●鍋島・小百合子
津雲殿が時間を稼いでくれている間に、薙刀を足場に突き立て、胸に手を当てる。
呼び起こすのは、わらわの内に宿る炎。燃えるような勇気をつかみ取る。
「我は纏う、勇に相応しき極みの鎧」
わらわの燃える勇気と、異国の英雄達の力をあわせ鎧の形となす。
「輝け!」
それは、冴えた輝きを放つ黄金色の鎧。わらわの勇気を糧に力を増す霊装じゃの。
魔を祓う為に、薙刀を構え踏み込む。飛翔の力をえたわらわの体が、一息で彼女へと迫る。
「なにそのエモい鎧?!」
応える間も与えずに、一撃離脱を繰り返す。さすがに敵の幹部だけあり、この速度でもなんとか対応をしてくるのう。
ならば、それを上回るまで!
一度距離をとり上空へと至る。この全ての力と速度をもって、斬り伏せてくれよう!
空を逆さまに蹴り、加速する。満月の輝きをたたえた鎧と共に彼女へと落下する。
「まんまるなおつき様みたい……こ、これが花鳥風月……ま、まじえもーーい!!」
それに応えるように、全ての力を乗せた薙刀を彼女の砲へ、満月の弧を描くように振り下ろす。
衝撃を逃がしきれずに、彼女が吹き飛ばされ砂塵をあげてゲートへと激突した。
「わらわの勇のえもさが、伝わったかのぅ」
大成功
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