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バトルオブフラワーズ⑩〜エモさで無敵を打ち破れ!

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ラビットバニー

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「キマイラフューチャーが大変なことになっているようですね」
 ふわふわとした柔らかな桜色の髪の毛を揺らしながら、グリモア猟兵の花守・御刃羅(ちいさなぼくら・f14484)は鞘に納められた刀を握り、説明を始める。
「おサル様が倒されて、次は可愛らしいウサギ様のようですね。皆さんにはウサギ様をい相手取っていただたくおもいます」
 彼は楽しそうに、ウサギ様こと『ラビットバニー』の話をはじめる。

 無敵の猿怪人の後、第ニの関門は、カワイイ怪人『ラビットバニー』が守っている。システム・フラワーズの内部の「咲き乱れる花々の足場」はラビットバニーに集中しており、彼女を倒さないと先に進めないらしい。
 彼女は『絶対無敵バリア』に覆われており、ありとあらゆる攻撃が一切効きかないが、このバリアはラビットバニーが「エモい」ものを目撃すると一時的に解除されるようだ。
 ラビットバニーの「エモい」の基準はかなりガバガバでユルいらしく、かわいさ、男らしさ、おもしろさ、血だらけで立ち上がる様子、突然のパンチラ、イケメンの壁ドン、水を吐き出すフグなどなど…つまり心に思わずグッと来てしまう、キマイラフューチャー的に言えば「SNSではやりそうなやつ」はだいたいエモいと感じ、それを目撃するとバリアが解除されてしまうのだとか。
 無敵という能力の制御は難しいのか、なかなか制限がアレなようだ。

「また、無敵のバリアがなくとも彼女自身が相当な実力者です。気を抜いたり、見くびっていると、手痛い事態になることになるでしょう」
 お忘れなきよう。そう付け加えて、御刃羅は静かに頭を下げる。
「それでは皆さん、無敵を崩し先へと進むために、よろしくお願いします」


阿離磨
 ウサギガール可愛らしいですね。
 阿離磨(ありま)です。
 まずはこちらをご覧ください。

 ====================
 ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
 絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
 ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
 ====================

 情報はオープニングとこのマスターのコメントでご確認ください。
 プレイングについてですが、こちらが公開されてから募集開始。
 その後ひとまず【5月13日の20時まで】の受付をさせていただきます。
 プレイング返却は【5月14日の20時以降から】を予定しています。

 それではご縁がありましたら、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『カワイイ怪人『ラビットバニー』』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒滝・龍也
本人の精神状態に左右される絶対無敵バリヤー、か。あれ? そういうのどっかで見たことがあるような……

とにかく、何らかの手段をもってバニーの精神を揺さぶればバリアは無効化できる可能性が高いってことだな。俺は速さしかないから、それをどうにか活かさないと。

よし、ここは【クロックアップ・スピード】を使い、バニーのカンフーモードを誘い、「ダッシュ」と「早業」を駆使して「くねくねした動きで超スタイリッシュに攻撃を避ける」ことを…映画とかでよくある奴を特撮やCGなしでやってやるさ。少し間が空いたらビシッとポーズを決めないとな。
バリアを破れたら今度こそガチ速度勝負だ。

恋人もできたことだし、必ず勝って帰るぜ!



・思わず口に出るほどのエモさ

(本人の精神状態に左右される絶対無敵バリヤー、か。あれ? そういうの、どっかで見たことがあるような……)
 何かが脳裏をよぎりそうになった黒滝・龍也(ストームドラゴン・f17315)に、ウサギのかぶり物をしながら楽しげな声を響かせるラビットバニー。
「ふっふーん。エモさの少ない男なんかに、あーしの無敵のバリアがやぶられるわけねーですよ!」
 ラビットバニーは両手を高く上げて手首をくいっと曲げながら、片足をいい角度にあげてまるで荒ぶる孔雀サマのようなポーズをとり、速度を増し増しにする『うさちゃんカンフー』のモードに入る。
「こいよ……俺の速度に、ついてこれるか?」
 龍也が指をくいくいと動かして挑発すれば、恐るべきスピードでラビットバニーの表情の変わらない被り物と、しなやかな足が顔の横に迫る。
 それは一瞬の出来事に、見えた。
 風が吹き荒れ、周りの花々が花びらを巻き上げて、どれだけすさまじい勢いの風が吹き荒んだのかを物語る。
「……あーた」
 口というか、言葉を先に発したのはラビットバニーだった。
「なにそのくねっとしたねちょっとしたよくわからない動きッ!!?ヒトというか、身体の骨組みがあるヤツの動きじゃねーんですけど!!人類が生き残ってるとしてもそんな動きはしねぇんですが!!!」
 捲し立てる様に言葉を連ねるラビットバニーの反応に満足したのか、龍也はフッと息をついて、ビシッ!!、とヒーローのようにポーズをキメる。
「人類にはできない動き? そんな言葉が出るほど、俺の超速度(スピード)は『エモい』動きだったんだな」
 その言葉にラビットバニーの背後に雷がピシャーンと落ちる(ように見えたとか)
「お、思わず言葉が出てしまうほど、私の心に響いてたっていうの……?確かに、足刀を無駄のない動きで避けた後のしなやかな身のこなしは、追撃を軽やかにかわしてて、かつ風すらも味方につけてたってーか……」
「長いな。すまないが、恋人もできてな。無事に勝って帰って、早く食事を一緒に食べたいんだ。10文字で判定を頼む」
「エモさが爆発すぎっ!」
 ラビットバニーの長い解説を愛のパワーでぶった切り、判定勝ちをもぎ取ると、バニーの周りの無敵バリアが音をたてて、ガッシャンガラガラ!!、と粉砕される。
 エモさで悶えていたラビットバニーは、素早いダッシュと軽い身のこなしの早業、そして高速の戦闘モードに入った龍也の動きに翻弄され、苦戦を強いられた。
 しかし時折、悦にひたったような声で妖しい笑い方をしていたとか、いなかったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

月代・十六夜
「よっしゃ、やろうかネロ君。座長が音頭取ったからには失敗できねぇな!」

アマータ・プリムス(f03768)と連携。

【照猫画虎】を使用し、ピエロの格好に【変装】。
ネロ君と一緒にアマータ嬢の奏でるしらべに乗って【ダンス】【パフォーマンス】だ。

相手の高速移動カンフーも卓越した【視力】【聞き耳】【野生の勘】による【見切り】で踊りながら回避。ダンスの精度を上げてバリアの解除を図るぜ。

バリアが解けたら問題は攻撃中のアマータ嬢の防御だな。
ネロ君と連携して攻撃の【フェイント】を織り交ぜながら、アマータ嬢に被害が及ばないよう【時間稼ぎ】を行う。


アマータ・プリムス
十六夜様(f10620)と連携

「さて、Disce gaudereの即興劇。開演と行きましょう」
ネロを呼び出しそのまま操演
当機のアカペラの【歌唱】に合わせて十六夜様と一緒に【ダンス】してもらいます
「一座の花形である二人の舞踊は如何でしょう?」
当機自身も踊るようにステップを踏みながらBGMを歌い続けます

十六夜様の動きに合わせネロを操りカンフーも回避
バリアが消えた所で反撃へと移りましょう

歌い続けた調べに乗せてUCを発動
防御はネロと十六夜様に任せ【フェイント】を織り交ぜながら【時間稼ぎ】をしてもらい
歌声による【衝撃波】の【範囲攻撃】で吹き飛ばしましょう
「満足いただけましたか? これにて閉幕です」



・たのしさはエモさ

「ふ、っふふふーん!!ちょっと、ちょーっと心がふわふわのタオルケットになったけどそう簡単には倒れねーんですからね!」
 そんな少しだけボロけたラビットバニーの前に現れたのは月代・十六夜(韋駄天足・f10620)とアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)だった。
 アマータは静かに頭を下げると両の腕を軽く広げ、語り歌うように言葉を軽やかに発する。
「さて、Disce gaudereの即興劇。開演と行きましょう」
 言葉に誘われるように色とりどりの花びらをふわりと踊らせて、アマータは弟である『ネロ・フラーテル』を呼び出す。
「エモい、ねぇ……? よくわからねぇが、よっしゃ、やろうかネロ君。座長が音頭取ったからには失敗できねぇな!」
 十六夜はどこからかカラフルな色どりの布や化粧刷毛を取り出して自分を覆い隠すようにそれらを纏うと、陽気な声でこう告げる。
『こんな感じ?』
 バサリと布が剝れ、踊るように舞い上がると、そこにはピエロに扮した十六夜の姿があった。
「あーによぅっ!あーしにサーカスでも見せようってーの?」
「その通りであります」
 歌うような声色で言葉を紡ぎ、そこから歌声へと変化をつけて、揚々とした歌唱を花畑に響かせる。ラビットバニーは馬鹿にした言葉を真面目に返されて拗ねるように何かを呟くが、すぐに無敵バリアを展開して目をカッと光らせると『うさちゃんカンフー』の構えをとり、前に文字通り躍り出ている道化師の十六夜と『ネロ』に矢のように突っ込んでいく。

「さぁ、踊ろうぜ」

 ラビットバニーの高速の正面突きを、ふわりと踊りながら見切り避ける。一瞬戸惑うラビットバニーだが、すぐに腕をひき、常人では捉えられない速さで整った動きをし、十六夜と『ネロ』に攻撃を行う。
 手練れであるラビットバニーを相手に十六夜は道化師らしく笑顔でその攻撃を避けて、楽しげにお道化て見せるが、今まで培ってきた十六夜自身の身体能力、感覚、そして勘がなければ既に勝負は決していただろう。
「一座の花形である二人の舞踊は如何でしょう?」
 アマータも十六夜と『ネロ』の動きを引き立たせるように、控えめに、しかし存在感を忘れさせない軽やかなステップを踏みながらアカペラでその場を華やかな音楽で彩っていく。
「この、このふざけた道化師の洗練された動きと感覚に、黒布を操りながら歌って踊る技力のヤバさ……何よりそれより、即興!?こんな人形とピエロの楽し気な踊りと、きれいな歌の合わせ技なんて、戯力ヤバヤバでしょーが!!?」
「当機にもわかるような言葉で、どうぞ」
「100エモパーセントのうちの……89エモさ!!」
「お、割と高いんだな。って、ことは?」
 道化師の十六夜がクルリと踊って、エモさの濃度を測っているラビットバニーの間合いに入り、にっこりと笑ってみせる。
「ぐわっぎゃあああん!!エモ!!エモい!!エモさでヤバさがマジやべーです!!」
 被り物中で何かが、ボフンッ!!と爆発し、隙間から煙のようなものが漏れ出る。そんな状況でもエモさを感じたことに間違いはないらしく、無敵のバリアは無残に無様に、音をたてて消えていた。
「……これ、変な動きしてんだが」
「問題ありません。作戦通りにまいりましょう」
 ラビットバニーの奇声を聞きながら、訝しむようにカワイイ怪人を見る十六夜に、無駄のない言葉で作戦の実行を告げるアマータは、軽く喉にあたる部位を撫でると、風に、花に、のせるように歌声を響かせる。
『―――聴くだけではなくその身体に。この歌を届けましょう』
 美しい歌声から発生する音波が、ラビットバニーの聴覚を、身体を、そして神経を、全て揺るがせる。
「ぎゃわ、わわーんッ!!?」
 被り物で顔など見えないが、泣き声にもちかい涙声を発しながら、ラビットバニーは歌声から逃げるように花畑を駆け回った。
「満足いただけましたか? これにて閉幕です」
 アマータの言葉を聞き拾う頃には、ラビットバニーは花畑の中にうずくまってベソをかきながら「バーカ!!バーカ!!」と負け惜しみの言葉を口にしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


※MSより
 予定が完了しましたので、プレイングを常時受け付け状態とさせていただきます。
 返却はなるべく早めにしたいと思っています。
朽縄・悠
アドリブ・連携歓迎

歩いて彼女に近づきながら、【生命力吸収】で周囲の花々から生命力を頂くわ。
兎さんから見れば私が歩く側から花が枯れているように見えるんじゃないかしら。
どう、幻想的じゃない?

合わせてUCの金星形態を発動。
指定する感情はちょうどいいし『エモさ』ね。
もし兎さんがエモさを感じてくれていれば影喰から相手の五感を狂わせる光を放ちましょう。
その間も歩みはとめない。

私の周囲の花々は枯れている。
それに、貴女の五感はごちゃごちゃ。
その状態で満足に花を操れる?

それに、この距離なら私が斬る方が早いんじゃない?
全力で影喰を振るい兎さんを斬り裂くわ。
ついでに斬った所から、【吸血】もさせてもらおうかしら?



・エモさって、なに…?

 ざわり、とラビットバニーの感覚が揺らされる。殺気ではないが、闘気でもない。何とも言えない感覚をたどり、被り物に隠れた目でソコをみれば、赤と黒の色合いが妖しさを魅せる朽縄・悠(妖刀影喰の適合者 識別名称 吸血姫・f18081)が静かに歩き、近づいてきていた。
 悠が足を踏み出すたびに、その周辺に咲いている花々が色を無くしたように萎れ、枯れていく。その光景を目にしたラビットバニーは、はぁっ!?、と素っ頓狂な声をあげる。
 花々の生命力を吸収しながら歩む姿と光景は、見るものが見れば神秘的で、幻想性すらある。ラビットバニーが指先を向け、足場の花を操り悠の歩みを止めようと試みるが、伸びた茎や根が、端から生命力を吸われて、文字通り朽ちた植物様にぼろぼろと崩れていく。   
 慌てふためく様子のラビットバニーの間合いより離れた場所から歩みを止めずに、悠は静かに、唇を動かした。
『私、あまり人には好かれないのだけれど。貴方はどう?私が、どう見えているかしら』
「え?えーっと……不気味ってーか、え、お花……かわいそーじゃん」
「え?……エモさは感じない?」
 ラビットバニーが少ししょんぼりとした声色で発すると、思わず悠は目を瞬かせて歩みを止めた。悠のはなったユーベルコードが発動した様子は見られない。
(なぜ……?)
 不可思議に思う悠に、ラビットバニーは被り物の頬をかく。
「エモさってー、『いくつもある感情表現のひとつ』だけーどさー。あーたのエモさ?かわからねーですけど、それって思わず好き!とか、それかっこいい!っておもー感情とはちげーとおもーんですよ」
 ラビットバニーは身振り手振りで、エモさについて説明しようとするが、わかりづらい。しかし、悠はラビットバニーの言葉を聞きながら、自分の知識を動かし、考える。
 エモい、とはエモーショナルが語源という説があり、エモーショナルとは『感情に動かされやすい様』である。エモさは『感情』ではなく、あくまで『感情の動いた様子』なのかもしれない、と悠は豊かな感情を総動員しながら静かに考える。
「あと、花をわざわざ枯らしてるやつに、かっこいいね!とは……あーしは、ちょっといいづれーですね」
「かわいそう、かしら?」
「あーしがいうのもおかしいけど、かーいそう、かなー……」
 エモさが感情のひとつであったとしても、あまりよくない感情を抱いてしまったラビットバニーに、悠のユーベルコードは発動する気配はない。
 しかしラビットバニーも悠の足元で枯れていく花を見て、無意味に、無作為に花を操って枯らすようなまねができないらしく指先をまげてしょげたポーズをみせる。
 花畑の中で、何ともいえない空気を漂わせて、両者はそれ以上動けなかった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フロッシュ・フェローチェス
エモい、か……なら少しハッチャケて――格好つけさせて貰うよ?

速さこそアタシ最大の武器だ。
一発目は譲るけど、来ると知ってれば対処は可能。残像を貫かせ、後ろから声かけて格好つけさせて貰おうか?

加速式鳴動、出力最大。
攻撃を見切り、先制攻撃のノウハウを活かし……蹴りには蹴りを拳には拳を、似た動作で且つ「僅かに先んじて撃ち込み」受け流す。
アタシの早業をなめるなよ?

UC発動。
速くなろうと此方だって同じだ。避け続ける「当たらない殴り合い」と洒落込もう。血を流せども関係ない――楽しいのなら続けなきゃな?
そして最後は爆雷衝撃波による無挙動ジャンプから、相手の蹴りを踏みつけ――踏み台にして重いの一発頭に叩き込む!



・さいそくさいこうのスピード

 その猟兵はラビットバニーが『気づく』まで、その存在感も、音も、なかった。ラビットバニーが気づいた瞬間拭いた風が、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)の深い緑色の髪をざわめかせる。
「い、いつのまに……!?」
 臨戦態勢をとり、猟兵のいかなる行動にも対応できるように絶対無敵のバリアを張るラビットバニーに、フロッシュは色と大きさの違う双眼を僅かに閉じて、笑った。
「エモい、か……なら少しハッチャケて――格好つけさせて貰うよ?」
「ふっふーん!どんな力強い一撃でも、敵を一掃するような術でも、あーしの爆発的なスピードについてこれなきゃ、意味ねーんですよ!!」
 被り物のウサギの目がギラリと光ると、瞬間的に増した速さのままラビットバニーはフロッシュの横顔めがけて鋭い蹴りを放ち、彼女の横顔を捉えた……はずだった。
――足に獲物を蹴り飛ばしたという感覚が、ない。
 ラビットバニーがそれに気づいたときには、目の前にいたフロッシュの姿が残像のように消え失せ、彼女の姿が掻き消えていた。
「スピードについてこれなきゃ、意味がない……気が合うね?」
 ふと気配を感じて勢いよく振り返れば、ラビットバニーの後方に、トントンと足を軽く慣らして首を動かし、ニマリッと相手に笑っていることを見せつける、そんな笑い方をして見せるフロッシュの姿があった。
「あぁ、本当に『奇遇』だね……速さこそアタシ最大の武器だ」
 フロッシュの宣言に、ラビットバニーの身体がわずかに揺れる。
 その刹那。繰り出された鋭い拳による正面突きをフロッシュは見切る。速さを生かした先制攻撃の手法と知識は、速さを最大の武器とするフロッシュの頭と体がしっかりと覚えこんでいる。
 蹴りには蹴りを。
 拳には拳を。
 同じように見えるが異なる動きで、隙があれば相手よりわずかに先んじて撃ち込み、綺麗に相手の攻撃を受け流す。
 ラビットバニーの動きに、一瞬の困惑が混じったのを感じ取ると、フロッシュは下からのぞき込むようにして挑発的に笑いをミせる。
「アタシの早業を、なめるなよ?」
 自身の速さに自信と誇りを持ったその言葉に、ラビットバニーは身体を少しだけ揺らし、フロッシュから飛び退くとわなわなと肩を揺らし震わせる。そして。
「……イイ」
 小さなその言葉をきっかけにラビットバニーの被り物の下から妖しい笑い声がこぼれ、
それが徐々に大きくなると、彼女は宣言するように指をフロッシュに向けて突き出した。
「いい、いい、イイじゃんいいじゃん!!いいんじゃねーですか!!エモさ爆発!!エモい、いーんやっ!!それだけじゃ足りない、あーしはむっずかしー言葉も感情もわかんねーですけど……猟兵。あーたのその速さは、エモいだけじゃ片付けられてねーですよ!!」
 我慢できないようにラビットバニーは身体を一度縮めるようにかがみ、次の瞬間大きな声でこう言った。
「サイッコーじゃねーですか!!」
 言葉と同じ勢いで弾け飛ぶように無敵のバリアが砕け散ると、フロッシュは待っていたと言いたげに腰を軽く落とし唇を軽く噛んで、口角をあげる。
『流れ出る血も蝕む痛みも、今だけは彼方において。――ただ速く、もっと速く……!』
 フロッシュの風を振り切る程の速さと、ラビットバニーの爆発風のごとき勢いの速さ。
 異なる2つの速さが花舞うステージで乱風となり、風を彩るように花びらが跳ね踊る。
 手数の速さを生かしたフロッシュと、手練れであるがゆえに彼女よりも一撃が重いラビットバニーの、永く続くように思えた数十秒にも満たない攻防は、終着点へと差し掛かる。
 互いに速さで瞬時に飛び込めるギリギリの間合いを取り、動きを止める。舞い上がった花びらが雨のようにふわりと落ちてくる。
 両者の見ているものは、同じだった。同じ、宙を舞う、一枚の白い花びら。
 目をそらせない、そらすことなど許さない、最高の瞬間までの、わずかな余韻を味わう。
 そして、白い花びらが、落ちた。
 疾風と暴風、ふたつの風が瞬時に落ちた花びらを再び巻き上げ。
 決した。
 ラビットバニーの捻るような回転蹴りにを見切り、それよりも幾瞬も速く前動作を見せずに飛び上がり、突き出された足を踏み、フロッシュは足を高々と上げると勢いと速さを殺さずにその思い一撃の蹴りを、ラビットバニーの脳天めがけて、振り下ろした。
 被り物の中で中身がぐわんと揺れ、ラビットバニーはそのまま後方へと倒れこみ、花畑の中に身体を沈めていった。
 完全に体が沈み切る前に、フロッシュへ意識を向け、言葉を放つ。
「あーた、速さ…極めすぎ、じゃねーです」
 その言葉に何か意味をのせていたのか、それはわからない。けれども、フロッシュはその言葉を鼻で笑い飛ばした。
「アタシの速さは、発展途上でね。ただ『究め』てるだけ」
「ううっわ……エモ、すぎでしょ」
 笑うようなその言葉を最後に、フロッシュの前にいたラビットバニーは、完全に消え失せていた。
 緩やかな風が、疾風を祝福するように花びらを巻き上げていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月15日


挿絵イラスト