『バトルオブフラワーズ⑩〜そのココロに刺さるエモ
激戦の続くバトルオブフラワーズ。
猟兵達の活躍により、エイプモンキーは倒れた。
「まじびびった! だってモンキーやられてっし! あいつあーしらの中で最強っていうか、誰も勝てる訳ねーって思ってたんですけど!」
しかしキマイラフューチャーの中枢『システム・フラワーズ』の咲き乱れる花々の足場の先では次なる敵幹部、カワイイ怪人『ラビットバニー』が待ち受けている。
「でもまあ、あーしが全員始末すりゃいいか。なんつっても、あーしのユーベルコードは『絶対無敵バリア』! どんな攻撃も、あーしには全部無効なんだから。それで負けるわけなくない?」
ピンクのウサギの着ぐるみのような頭部に、豊満な身体を強調する露出度の高いバニースーツというミスマッチな姿で、ラビットバニーは愛用の赤べこキャノンを構え直した。
「みなさん、ザ・ステージと、エイプモンキーの攻略、おつかれさまです!」
グリモア猟兵ティアラ・パリュールは、笑顔で猟兵たちを出迎える。
「次の目標は、ラビットバニーです。エイプモンキーも強敵でしたけど、ラビットバニーもとっても厄介な力を持っているんです。それは絶対無敵バリア。……えっと、このバリアは誇張じゃなくて本当に、本当に無敵なんです。バリアに覆われている間は、絶対に攻撃が届きません!」
しかしその強力さゆえに、もちろん弱点も存在する。
それは『エモさ』。
「ラビットバニーの感情が揺らぐと、一時的に絶対無敵バリアは解除されるんです。そしてラビットバニーはエモさにとってもとっても弱いんです」
可愛さでも、格好良さでも、面白さでも、お色気でもいい。
端的にいえば『SNSでバズりそうな感じ』の物を見れば、ラビットバニーは簡単に精神集中を乱すだろう。
「そういう面では、比較的チョロそうですね? でもでも。気を付けてください。ラビットバニーの実力は侮れないです。うまく絶対無敵バリアを解除できたとしても、並のオブリビオンとは比較にならない強さですから」
ティアラの帽子の上では、フクロウ型ガジェットのフクちゃんが可愛らしく、くるくるとその場でダンスをするように回っている。
ひとしきり踊って、ピタリと動きを止めるとパチリとウインクを一つ。
『エモいとは、こういうことさ』と、見本でも見せたつもりなのだろうか。
「……あはは。ともかく、戦争も中盤。今回も、みなさんのお力を貸してください!」
フクちゃんの動きに苦笑いしつつもそう締めくくると、ティアラはいつものように笑顔で一つお辞儀をして、猟兵達を戦場へと送り出したのだった。
第六封筒
●特殊ルール
ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
本シナリオに目を留めて頂きありがとうございます。
第六封筒です。
バトルオブフラワーズ、第二の敵幹部ラビットバニー戦となります。
敵バリアを打ち破るため、みなさんの「エモ」をプレイングで存分に叩きつけて頂ければ、と思います。
ただしラビットバニーは強敵です。絶対無敵バリアを打ち破ったあとも、油断は禁物。
それでは、みなさまのプレイングお待ちしております!
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シェルティス・レグナード
SPD
ラビッドバニーと対峙する。相手は格上、さらにはSPDに対して使用するUCはPOWと不一致、状況は芳しくない。だが
「エモさってのがなんなのかはよくわかんねぇが、とりあえず」
拳を握りしめる、相手には絶対の防御があるが、それがどうしたことか
「近接戦闘、得意なんだろ?なら。小細工無し、自己強化だけのステゴロ勝負、受けてくれるよな」
近接戦闘の際に相手の攻撃を避けるために使用する幻影をあえて使わず燃える漢のインファイト、それが俺の考える最大のかっこよさだ
例え無敵の壁に阻まれようが、勝負を捨てる理由にはならない
無敵の壁がなんだって?そんなものは、俺の無謀でこじ開ける
鼓舞、力溜め、見切り、野生の勘、早業
カワイイ怪人『ラビットバニー』の待つ戦場へ、シェルティス・レグナードは降り立った。
「あーし好みのなかなかいいオトコじゃん? でも、ざ~んねん。猟兵は、ここで全員始末しなきゃなんだよね~!」
シェルテスと対峙したラビットバニーが、シェルテスが体勢を整えるより早く動く。
すかさず絶対無敵バリアを展開、赤べこキャノンを放ったのだ。
「これでさくっとヤラれちゃえ!」
砲弾はシェルテスの居た地点へと狙い過たず着弾。
爆風が砲弾の破片と抉れた地面を周辺へと飛び散らせ、白煙が舞い上がる。
「エモさってのがなんなのかは、よくわかんねぇが……」
その時、ヒュゥと風が戦場を吹き抜けた。白煙が散らされる。
――シェルテスは、無事だった。咄嗟の回避で直撃を避け、身体を捻って飛散物を受ける面積を減らして被害を抑えたのだ。
「近接戦闘、得意なんだろ? なら。小細工無し、自己強化だけのステゴロ勝負、受けてくれるよな?」
ぎゅっと拳を握りしめ、ファイティングポーズを取る。
「フーン。自身あるんだ。ま、いーけど? どーせ、あーしには全部無効なんだから」
自信ありげに言い放った刹那。再びラビットバニーが先手を取った。
ギュンッと急加速でシェルテスに迫ると、手刀でその首筋を狙う。狙い澄ました一撃は、受ければそれだけで首が落ちかねない暴力。
大きく避けては間に合わない。シェルテスは最小限、首の位置をずらしつつ、拳を手刀の側面に打ち当ててその軌道を逸らす。拳を合わせられたのは、ほとんど野生の勘とでもいうべき物のおかげだった。
「ッ、速えぇなっ」
速いだけではない。重い一撃は、それを叩いたシェルテスの拳にもジンと痺れを残している。
かろうじて一撃を避けたシェルテスは、そのままぐるりと身体を回してバニーに回し蹴りからの、突きあげるような拳の連続攻撃!
バニーは回し蹴りを一歩下がって回避すると、拳はその掌で受け止める。
大木か、コンクリートの壁でも殴ったかのような衝撃が、攻撃した側のシェルテスにダメージを残す。
「だーかーらー。無駄だっての!」
体術を駆使した至近距離での攻防。二人は攻守を入れ替えつつ、何合かの打ち合いを続けた。
どちらの攻撃も有効打はないが、絶対無敵シールドを維持するバニーが圧倒的に有利。
一瞬の静寂が訪れる。
「ああ。そういや、無敵の壁があるんだってな。……で、それがなんだって? そんなものは、俺の無謀と」
頭部から一筋流れた血を、握った拳から浮かせた人差し指でグイと拭う。
「拳でこじ開ける。……来いよ、オブリビオン」
血を拭った人差し指をラビットバニーに向け、『かかってこい』とクイクイと動かした。
「キュ、キュキューーン!! こ、これは……エッモ、エモいわぁ! 尊みー!!」
その両腕で自らの胸を強調するかのように身体を抱きしめると、途端、ラビットバニーの絶対無敵シールドは消失した。
「ちっとばかし、ギアを入れるぜ!」
ギラリと、シェルテスの紅き瞳が輝き、さらにその動きが加速する。
ドンッと音を立てて強く踏み込み、上段、中段、下段から再び中段。
「あ、ウソ。ちょっ、まっ、ちょっ! 今のナシだって!」
怒涛の連続攻撃。
それすらも驚くべき体術によりほとんどは防がれたが、何発かはラビットバニーの身体にクリーンヒットし、確かなダメージを与えていたのだった。
成功
🔵🔵🔴
六道・紫音
つまり、俺の中にある熱い想いを迸らせればよいか!
ならば聞け、我が想いを!
・エモ告白
刀を抜き宣言。
「我が名は紫音、剣の道に生き、剣を極めし者!
かつて俺の剣はただ最強になる為にあった、しかし!今はただ1人の女性へ捧げる為にある!
愛する人の為、それが我が剣の道だ!」
・戦術
【死狂い】を発動し《修羅》となる。
修羅は『怪力』のままに剛剣を神速の『早業』で振るう、その太刀筋は『鎧無視攻撃』となり全ての斬撃が『捨て身の一撃』と呼べるほどの鋭さで『二回攻撃』を繰り出す。
理性を失っても敵の攻撃は『第六感』と『見切り』で見極め『武器受け』で切り払い回避し、残心のまま即座に『カウンター』で攻勢に転じる。
※アドリブ歓迎
「はぁはぁ……ひどいめにあったんですけどー!?」
地面に両手を付き、肩で息をするラビットバニー。
そこに、続けて転送されて来た、次なる猟兵が降り立った。
「取り込み中のところすまないが」
鞘に納めたままの刀を手にした黒髪黒目の美丈夫、六道・紫音は、鋭い眼光で敵の姿を見据える。
「次は少しばかり、俺と遊んでもらおう」
すらりと宝刀を抜き放つ。三尺余りの長い刃を返しつつ、戦闘態勢に入るが、その姿はあまりに自然体だ。
「あーはいはい、次の挑戦者ねー。なかなかやりそうじゃん? けど、あーしの絶対無敵バリア、破れるもんなら破ってみろってーの!」
いつのまにやら手にしていた赤べこキャノンを担ぎ、一息で飛びすさったラビットバニーは、再び絶対無敵バリアを展開すると、紫音に空中から強烈な砲弾を放つ。
一発、二発、三発。やや精度を犠牲にしつつも、三発立て続けに放たれた砲弾が紫音へと迫る。
やや軌道がそれていた一つ目の砲弾はそのまま避けた。
それは紫音の背後へと飛び去り、離れた位置へと着弾。
二つ目の砲弾を、手にした太刀で、下から上に切り上げるようにして二つに断ち割る。
それは紫音の左右へと分かたれて、やや離れた位置へと落ち、爆発した。
三つ目の砲弾には、返す刀は間に合わない。それを許すほど、赤べこキャノンは甘くはなかった。だが、
「そら、返すぞ」
下から刀身を追いかけてきたのは――鞘。左手に持った鞘で、砲弾を弾き返す。
「うぎゃー!?」
弾き返された三つ目の砲弾は、ラビットバニーへと直撃した。
ただの鞘であればこのような芸当は出来なかっただろう。だが、この鞘は元々斧だったものを鍛冶師に作り変えさせた物。
誘爆が起こらぬよう、纏わせた剣気で直接の衝撃を抑えつつ、重量に任せて砲弾を弾き返したのだった。
「あー、びびった! 絶対無敵バリアがなかったらヤババだったわ!」
しかし、それを受けてもなお、やはりラビットバニーは無傷。ならば。
「……我が名は紫音。剣の道に生き、剣を極めし者!」
朗々と、名乗りを上げる。
「あ、自己紹介とかいらないんでー」
ラビットバニーは再びあかべこキャノンを構える。
「かつて俺の剣はただ最強になる為にあった、しかし! 今はただ一人の女性へ捧げる為だけにある!」
「え、それって……。あーあー! やめろー!」
あかべこキャノンから、再び砲弾が放たれた。先ほどと違い、一発のみ。しかしその一発は精度も、速度も、もちろん威力もさきほどより遥かに上。
「愛する者の為、未来を切り開く! それが我が剣の道だ!」
「やっぱ、愛の告白じゃーん! チクショー! あーしもそんな事言ってくれるカレピほしー!」
絶対無敵バリアが揺らぐと同時、ユーベルコード『死狂い』が発動し、紫音は修羅と化す。
ただ愛する者の為だけの力。
それは理性を失わせる代わりに、元々達人の領域にある紫音の戦闘能力を爆発的に高め、人の埒外の領域にまで到達させた。
目の前に迫っていた砲弾を神速で切りつけるその場で爆発する砲弾。だが、紫音の刀は瞬間的に再び砲弾へと振るわれ、爆発を、
――斬った。
「あーもー! カッコよすぎ! ……ちょっと待って。待っててば。もー!」
しばし、爆発音と刀を振るう音、そしてラビットバニーの嘆きが戦場を支配した。
大成功
🔵🔵🔵
迎・青
(アドリブ歓迎です)
…えもい?って、なんだろう。
(ウサギさんは強いって聞いた。…コワい。
なんかぜったいむてきとかいってるし。コワい。
まけたら、どうなるのかな。そう考えると、震えが止まらない)
好きな場所ができたんだ
トモダチ…っていっていいのか、わかんないけど、みんながたのしいとこ。
ボク、たのしそうなみんなが好きだよぅ
…壊れちゃうのは、イヤだよぅ
だから、ボク、弱虫だけど…ここでがんばらないと…!
コワいに、まけない…!あうあう!
(相手に気圧されて一度へたり込むが、震えをこらえて立ち上がる)
【第六感】も使い、バリアが途切れたタイミングを見極めて
全力の【ウィザード・ミサイル】を撃ち込む
……えもい? って、なんだろう。
迎・青は、答えの出ないまま戦場へと転送されてやって来た。
考えれば考えるほど、答えは出なかった。しかし、ここへやって来たからには戦わなければいけない。
(ウサギさんは強いって聞いた)
目の前には、傷つきながらもまだまだ余力を残したラビットバニーが立っている。
「あー、散々ノロケちゃってさー。テンションさがるわー。で、次の相手はアンタってわけ? 杖、ガタガタ震えてんじゃん! こんどこそ、絶対無敵バリアのサビにしてやんぜー!」
ラビットバニーの言う通り、青が手にした杖は小刻みに震えていた。もちろん、震えているのは杖ではなく、青自身だ。
指が白くなるほど、ぎゅっと杖を握りしめる。しかし、まだ、震えは止まらない。
(なんかぜったいむてきとかいってるし……まけたら、どうなるのかな)
「それじゃ、やろっか」
ラビットバニーの周囲に、三度、絶対無敵バリアが展開され、両の手の指先からはビームが放たれた。
(……コワい)
思わずぎゅっと目まで閉じてしまった青だったが、幸いビームは当たらず、周囲の足場へと降り注いだ。
恐怖の為か、血の気が引いた頭が、グラグラと揺れている気がする。
立っていられずに、青はその場にしゃがみこんで両手をついた。そして気付く。揺れているのは自分ではなかった。地面だ。
先ほどのビームは、攻撃の為に放たれたのではなかった。システム・フラワーズを制御するビームにより、周囲の咲き乱れる花々の足場を制御し、青の動きを制限しようとしているのだ。
青は頭を振って、あわてて立ち上がったが、大量の花が足に絡みつくようにその動きを阻害する。ゆっくりとなら歩けない事は無いだろうが、このままではいい的になってしまう。
「お花の栄養になれー!」
そこにドンッ、と赤べこキャノンの砲弾が放たれた。
迎撃は……間に合わない。
身をよじるようにして地面に転がって、すんでのところで砲弾の直撃は避けたが、その衝撃で小さな青の身体は軽々と吹き飛ばされた。
地面に叩きつけられ、ゴロゴロと数メートルも転がってようやく止まる。
「……まけ、ない」
呟いた青は、うつぶせになり、地面に手をついた。
皮肉なことに、花がクッションになり、幾分か衝撃が吸収されて致命的なダメージにはならなかったのだった。
「好きな場所が、できたんだ」
震える腕に力を込める。
「トモダチ……っていっていいのか、わかんないけど。みんながたのしいとこ」
ぐいっと上半身を起こし、膝立ちになり。
「お、おお……? これは……」
ラビットバニーも『エモい』予感に、思わず息を詰めてその様子を見守っている。
「ボク、たのしそうなみんなが好きだよ。壊れちゃうのは……イヤだよぅ……」
運よく、近くに転がっていたセレスタイン……杖を拾い上げて。
「だから、ボク、弱虫だけど……ここでがんばらないと……」
ゆっくりと、起き上がる。
「だから。コワいにまけない……! あうあう!」
――その身体からは震えは消えていた。
「ぎゃ、ぎゃあーーー! 出たー! 弱虫が、みんなの為に立ち上がるヤツー!」
身悶えするラビットバニーを守る絶対防御バリアが、あっさりと霧散したのを確認し、そのまま青は杖に魔力を込める。
その心に、勇気に呼応するかのように、杖についた空色の石が輝きを増して、急激に赤く染まっていく。
「あっ、やばばー!!」
その様子にラビットバニーも我に返って、青の攻撃を阻止せんと赤べこキャノンを担ぎ直した。砲弾が再度放たれる。
直後、青も自らのユーベルコードを解き放った。
――――本来であれば、格上のラビットバニーに対しては有効な打撃を与えるのは難しかったかもしれない。
しかし、熱い想いと狙い澄ましたタイミングが、不可能を可能にした。
百本の赤い炎の矢が、赤べこキャノンの砲弾をも飲み込んで、ラビットバニーへと殺到する。
「あちちっ! やべー、あちー! 」
今度は、ラビットバニーがゴロゴロと地面を転がる番だった。
大成功
🔵🔵🔵
ルルチェリア・グレイブキーパー
ラビットバニーに私の「エモ」を見せつけるのよ!
骸獣召喚!この子は私のペットのクルーガーよ。
大きくて怖そうに見えるけど、とっても良い子で可愛いのよ?
お座り!お手、おかわり!主人を傷つけない様、加減もしてくれる賢い子なのよ?(ドヤッ)
よしよし良い子ね~♪顎の辺りを撫でてあげると……ごろんと横になって「お腹撫でて?」ってポーズをするのよ!!!!
お腹辺りを撫でてあげると、尻尾ブンブン振って可愛いのよ!!!!(親バカ)
バリアが解けたらクルーガーに乗ってラビットバニーの頭上にフリスビーを投げる
ジャンプしてキャッチさせると見せかけて、伏せ(ボディープレス)!
エモさが伝わらなかったら退散!なんでなのよー!
「ラビットバニーに私の「エモ」を見せつけるのよ!」
意気揚々と、ルルチェリア・グレイブキーパーがラビットバニーの前に立つ。
「またきた! まーた猟兵きた! もー、なんなのアンタら! あーしの絶対無敵バリアをおもちゃ扱いって、どんだけー!」
息も絶え絶え、ラビットバニーは悔し気にルルチェリアを睨みつける。
『闇より出でよ! 私の忠実なる骸獣、《クルーガー》!』
骸獣召喚。
ルルチェリアのユーベルコードによって、キマイラ少女の傍らには巨大な四足獣が現れた。
「くっ。いくらでっかかろうが、あーしのバリアには無力! 無力だし!」
獣の出現に先んじて、いつのまにやらラビットバニーの身体は絶対無敵バリアで覆われて、頭部の兎面の目は輝いている。
うさちゃんカンフーモードである。
ラビットバニーはすかさずルルチェリアに殴りかかるが、骸獣がそれを阻む。連打が獣の身体を捉え、鈍い音がした。
巨大な獣の至近距離にいては、距離感が狂うと考えたラビットバニーがいったん距離を取ったその時。
「この子は私のペットのクルーガーよ。……お座り!」
身構えたままのラビットバニーに対し、しかしルルチェリアは、ダメージを受けていてさえもすぐに骸獣をけしかけたりはしなかった。
命令を受けた四足歩行の獣、クルーガーはすかさずその場にお座りをする。
「……は?」
突然のことにラビットバニーは逡巡し、動きを止めた。
「お手」
すかさず次の命令を出したルルチェリア。
手の上に、巨大なクルーガーの右前足が乗せられた。
「おかわり!」
続いて、左前足が差し出される。
「大きくて怖そうに見えるけど、とっても良い子なのよ? 主人を傷つけない様、加減もしてくれる賢い子!」
ルルチェリアがドヤ顔で胸を張る。
……たしかに、体重を乗せないように加減はしているに違いない。
だがルルチェリアの小さなその手には、クルーガーの手はいささか重く、最初に差し出した位置から比べると、十数センチ程下がってしまっていた。
「……それで?」
ラビットバニーは拳を構えたまま、そのやり場に迷っている。
「よしよし、良い子ね~♪ それで、こうやって顎の辺りを撫でてあげると……」
ルルチェリアは言う事を聞けたご褒美とばかり、続けてクルーガーの顎のあたりを撫でる。
お座りをしていてもなお巨大なクルーガーの顎を撫でるため、つま先立ちになり、若干無理の有る体勢。
するとどうだろう。クルーガーは今度はゴロリとその場で横になり、主に対して腹を見せたのだった。
「お腹撫でて? ってポーズをするのよ!!!!」
得意げに言い放ち、転がったクルーガーの腹に手を伸ばして撫でる。
クルーガーがブンブンと尻尾を振り回し、巨体が大きく揺れ、ルルチェリアは今にも潰されそうだ。
だがルルチェリアは全くそれを意に介さず、ドヤ顔でその腹を撫で続けながら、チラリと、ラビットバニーの方を一瞥したのだった。
……たしかに、主人の言う事をよく聞き、加減もできる賢くて良い子なのだろう。
しかしラビットバニーには、ルルチェリアがクルーガーと遊んでやろうとして、クルーガーに遊ばれているようにしか見えない。
だが、それこそが命取りになった。
「くうぅっ、あーしから見たらアンタも! セットで可愛いっての!」
身悶えする。
「アンタ、クルーガーに完全に遊ばれてっし! アンタ、それでいいの! 都合のいい女でいいの!?」
クルーガー単体の仕草の可愛さのみであれば、その見た目の厳つさと相殺され、絶対無敵バリアの解除まではいかなかったかもしれない。
だがそれを従えながらも振り回される少女との合わせ技は、やすやすとラビットバニーの心の壁を突き崩したのだ。
うさちゃんカンフーの構えは解かれ、絶対無敵バリアも当然のように消えていた。
「いいのよ。可愛いんだから!!」
親バカ全開で言い放ったルルチェリアは、自然な感じでフリスビーを取り出して、ラビットバニーの頭上へと放り投げ。
「クルーガー!」
フリスビーを追いかけるべく立ち上がったクルーガーの背に、ひらりと飛び乗る。
「……ああっ! 攻撃!?」
眼前に迫ったクルーガーの巨体に、あわてて戦闘態勢をとるラビットバニー。だが、もう遅い。
「伏せ!」
フリスビーをキャッチすべく、跳躍しようと巨体が伸びあがったところで、ルルチェリアが出した命令により、クルーガーの身体がその場で伏せられた。
「くっ、くやしい……でもそれ、伏せじゃなくてフライングボディープレスぅ~!」
クルーガーの巨躯の下敷きになり、ダメージを受けつつも、まんざらでもなさそうなラビットバニーなのだった。
成功
🔵🔵🔴
紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎
エモいってこれまた……うん、とりあえず、感情を動かせばよいのでありますね?
【選択UC(WIZ)】を多数召喚、その物量で敵怪人に攻め込む。敵はこの侵攻について、妨害してくるのは間違いない。だが、その最中にカバリングアームズの内数機を業と行動不能に陥らせ、「お前たちは先に行くんだ!」というよくある涙頂戴なストーリーを敵の眼前で展開する。(だまし討ち)
怪人がそれに気を取られている間に、私自身は【目立たない】(戦闘知識)場所に向かい、そこで敵を狙撃する準備を整える。
04MVを狙撃体勢で構えて、狙い撃つ(スナイパー,鎧無視攻撃,地形の利用)。
ヴィサラ・ヴァイン
お猿さんの次は兎さん…エモい事すると絶対無敵バリアが解かれる…お猿さんに比べて攻略方法雑過ぎない??
まあいつもの様にリム(f08099)と協力して撃破しよ…恋人との連携って、それだけでエモいと思うので
リムに抱えてもらって●おはなハッキングの先制攻撃による足場操作を回避、[第六感]で攻撃を感知し方向をリムに伝える
その後【メドゥーサの魔眼】の[範囲攻撃]で花の足場を石化させ無効化
[恐怖を与える]事で《魔眼『コラリオ』》も最大限強化…後は任せたよ、リム(大切な恋人に口付けし)
無敵バリアが解除された後は[全力魔法]の石化の視線を敵に向け動きを止めるよ
「破滅の願い、ここに成就せり。…なんてね」
リミティア・スカイクラッド
あなたの能力は絶対でも無敵でもありません
リムはあなたを撃破して、それを証明します
力を貸してください、ヴィサラ
先制攻撃で足場を崩される前にヴィサラ(f00702)を抱えて
「風に乗りて歩むもの」で大気を蹴り「空中戦」に移行します
ヴィサラが花の足場を石化したらUCを発動し
石の花をすべて宝石に変えて操作します
この力は、リムのことを誰よりも愛してくれるひとが、想いと祝福を込めて託してくれた力です
あなたには――いいえ、誰にも撃ち破れはしません
ヴィサラと手をつなぎながら堂々と宣言してエモさをアピール
「封印を解く」ことで輝きを増した宝石を防壁にして敵の攻撃を防ぎ止め
砲弾のように纏めて「全力魔法」で放ちましょう
多数の猟兵達の波状攻撃も決定打にはならず。
殴られ、切り刻まれ、焼かれ、潰されようと、ラビットバニーはまだ戦場に立っていた。
「絶対無敵バリアは無敵、無敵なんだから……」
客観的に見れば、ここまであまり役には立っていないそのバリア。
だがそれこそはラビットバニーの強みであり、拠り所でもある。
だから、彼女は絶対無敵バリアを、張り直す。立っている限り、何度でも。
直後に転送されてきたのは、手に04-MV……ライフル状の銃火器を携えた、紅葉・智華である。
「とりあえず、感情を動かせばよいのでありますね?」
智華は即座に判断を下し、小型の戦闘機械『戦場覆う四足歩行兵器CA-X-001』の召喚を試みた。
即座に現れ、地面を埋め尽くす四足歩行の戦闘機械群。その数は、二百に届こうかというほどだ。
「べーつーにー。あーしには無効なんですけど。でもそれ、ちょっとキモいし……潰すか」
対するラビットバニーは、余裕の表情で指先からビームを放ち、またもや花の足場を制御する。
途端にうねる地面に、カバリングアームズの大半は動きを止め、分断されていく。
続けて赤べこキャノンから放たれた砲弾が、十機を超えるカバリングアームズを吹き飛ばした。吹き飛ばされた機械たちは、地面に激突するやその姿を消していく。
「ひゃっはー! これで十? 二十? おっと、本体もやらないといけないよね?」
ラビットバニーは、引き続き赤べこキャノンでカバリングアームズ達を吹き飛ばしつつも、智華の姿を探す。
だが、戦場を見渡しても、その姿は見当たらなかった。
「あれれー? おかしいぞー? どこいったのかなー?」
智華のユーベルコードはいまだ効果を発揮し続けている。であれば、帰還したのではない。何処かに身を隠したのだろう。
隠れられそうな場所は……と、ラビットバニーは目星を付けるが、同時に残ったカバリングアームズ達が、不可解な行動を取っている事に気付いた。
前へ前へ、ラビットバニーを目指す。それは変わらない。だが、半数程の機械達が――自ら足場になっていた。
俺の屍を超えていけ、とでもいわんばかりに、穴の開いた地面の穴を自らの身体で塞ぐ。
隆起してうず高くなった花の丘を乗り越えられずにもがいていた機体を、後方の機体が押し上げている。前の機体は丘を乗り越えるが、後ろの機体は当然、乗り越えらない。
前に進んだ機体は、一瞬後方を確認するが、再びラビットバニーへ向けて進む。
「ここは俺に任せて先へ行けって、そういうやつ?」
ぷるぷると、ラビットバニーは身体を震わせる。
「……さっきまでのあーしなら、ヤバかったかも。でも、散々エモいもの突きつけられたし、身体は痛いし!」
多少の揺らぎを見せてはいたが、絶対無敵バリアは健在。
近くまでやってきたカバリングアームズを蹴飛ばすと、数体がまとめて吹き飛ばされ、消えた。残るカバリングアームズは、およそ半数。
「まずいであります……」
隆起した地形に隠れ、様子をうかがっていた智華は目論みが外れて焦りを見せる。智華自身はまだ無傷で、十分に戦える。しかし、相手の絶対無敵バリアを確実に破れる方法は、この状況ではすぐに思いつかなかった。
そこへ。
「お猿さんに比べて、攻略方法雑過ぎない??」
新たに二名の猟兵が姿を見せる。
ヴィサラ・ヴァインと、リミティア・スカイクラッド。
「あなたの能力は絶対でも無敵でもありません。リムはあなたを撃破して、それを証明します」
リミティアはうねり、姿を変え続ける花の足場を確認すると、蛇の髪をもつ少女、ヴィサラの身体を抱え上げる。
二人の立っている場所には、花の足場が大きな波となって押し寄せようとしていた。
「力を貸してください、ヴィサラ」
その一言でやるべき事を察したヴィサラは、ぎゅっとリミティアの首にしがみつく。
「いきます」
そして、リミティアは空へと駆け上がった。
そこに足場があるかのように大気を蹴って上昇し、押し寄せた花の波を回避する。
「今コイツらと遊んでる最中だしー。あとにしてくんない?」
そこを狙い、ラビットバニーは赤べこキャノンを連射し弾幕を張った。
当然ながら、リミティアが空に居る間は、地上に居る時に比べて多少機動性が落ちている。人一人を抱えているのだからなおさらだ。
一発一発はともかく、避けた先にも砲弾が舞う状況では、そのすべてを回避するのは難しい。
「リム、右!」
しかし、ヴィサラがそれをカバーする。多数の砲弾の位置を把握、敵の動きから次に飛んでくる場所も予測して、次へ向かうべき方向を指示した。ヴィサラがいわば、リミティアの目となったのだ。
二人が砲弾の弾幕を抜けると、一瞬の空白の時間が訪れる。ラビットバニーまでは、まだ少々の距離があった。この一瞬の空白の後にはすぐさま、次の砲弾の弾幕が張られることだろう。そして、近くなればなるほど、その回避難度は飛躍的に上がる。
「やる……ね。あとは任せるよ、リム」
ヴィサラはリムに一瞬の口づけを贈り、魔眼『コラリオ』を解放。眼下に広がる、動き続ける花の足場を睥睨した。
途端、さざめいていた一面の花の海が、その動きを止め白く染まる。
メドゥーサの魔眼。
魔力を込めた視線により、対象を石化させる力。それによって、一時的に花の足場を石化させ、動きを封じたのだった。
「はい。あとは、リムが」
リミティアが白い地面に降り立ち、正面からラビットバニーを見据える。
その手はヴィサラと繋がれたまま。お互いの体温を感じながら、それを勇気に、力へと変えて。
『この不滅の輝きに、願いを込めて』
紡がれる詠唱に呼応し、二人の居る場所からラビットバニーへ向け、白い地面が色付き、輝いてゆく。
地面を為している、石化した無数の花。それが端から、煌めく宝石へと変じていく光景は、恐ろしく非現実的で、美しいものだった。
「この力は、リムのことを誰よりも愛してくれるひとが、想いと祝福を込めて託してくれた力です」
宝石の谷。
そのユーベルコードは、無機物を宝石に変えるもの。花はそのままでは、宝石へと変じる事は無い。
だが今だけは。ヴィサラの魔眼によって石へと変じた今であればこそ、その効果を及ぼすことができるのだった。
その宝石の花の一本一本が、二人の絆の結晶。その絆が次第に二人の周りへと集い始めた。
「あなたには――いいえ、誰にも撃ち破れはしません」
重ね合わせた手を高く掲げて、力強くそう宣言すると、集った花たちは無数の砲弾を形作る。
「アンタら、女子同士だと思ったら! ちゅーしたあげく、合体攻撃なんて、きいてないしー! 揃いも揃ってリア充どもめ! キー!」
後半は、もはやラビットバニーの恨み節でしかない。最後のカバリングアームズを蹴散らしながら、赤べこキャノンを構えて連射する。
同時に、リミティアも紡がれた絆。宝石の砲弾を放っていた。
赤べこキャノンの砲弾と宝石の砲弾が、次々と空中でぶつかり合い、空中で新たな花を咲かせていった。
その攻防は、互角。
爆風と白煙が視界を妨げ、ラビットバニーの姿が見えなくなった。
「……来てる!」
ヴィサラが空いた左手で正面ではなく、やや右斜めの方向を指さすと、そちらからはうさちゃんカンフーモードに変身したラビットバニーが接近していた。満身創痍でありながら、そのスピードは常軌を逸したもの。
絶対無敵バリアは、もはや失われた。
しかし、宝石の谷の発動と、その弾丸の制御に全力を注いでいたリミティアは、それに反応できなかった。
あと一撃で、ラビットバニーは倒れるかもしれない。とはいえ、本来であれば格上の相手。このままでは先に倒れる事になるのは、自分だった。
リミティアをかばうように、ヴィサラが一歩前に出る。残された魔力を全て次ぎ込み、石化の魔眼の力を向けると、ラビットバニーの身体が白く染まった。
「やった!?」
しかし、それも一瞬。ビキッとガラスが割れるような音を残し、表面の石が砕けると、ラビットバニーは勢いを落とさず迫りくる。
その一瞬で、リミティアは宝石の砲弾の方向を変えていた。しかし、このままでは間に合わない。
「……だれか、忘れてるんじゃないですかね!」
リミティアの身に拳が届くまであと数歩。そのタイミングで、ラビットバニーの背後から智華が声を上げる!
構えた04-MVは宝石の花を支えに固定され、その照準はラビットバニーにピタリと合わされていた。
刹那。
乾いた銃声が響き、ラビットバニーの動きが止まる。その拳が猟兵に届くまで、あと一歩。
「ぐ、ふ……なんの……あーしは、まだ、やれるし……」
力なくもう一歩を踏み出すと、その拳は、リミティアの身体に届いた。しかしそれは儚くて。
「いいえ。やっぱりリムの……リムたちの、勝ちです」
頭上から落ちてきた宝石の砲弾がラビットバニーを押しつぶすと、その身体は塵へと変わり、風に巻かれて骸の海へと帰っていく。
「やったであります!」
智華の勝鬨が上がる。
それを聞いたリミティアとヴィサラはお互いをかばいあい、抱き合うようにして、その場にへたりこむ。
力を使い果たしたのだ。
――――カワイイ怪人『ラビットバニー』が倒れても、戦いは続く。
だが猟兵達がまた一歩、怪人軍団の大首領ドン・フリーダムに近付いたのも、間違いない事だった。
大成功
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