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バトルオブフラワーズ⑩〜絶対無敵のラフレシア

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ラビットバニー

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●その場所は一面ピンク色だった。
 鮮やかで見るもの全ての目を奪うほどの、咲き乱れる花々でできた道。
 『システム・フラワーズ』のメンテナンスルートの先はまだ見えない。惑星の中心ということもあってか、まだ距離はあるようだ。
 そこに、壁のようにふさがる奇抜な女性が一人──オブリビオンだ。
 派手、奇妙、ボンキュッボン!美しさとかわいさと奇抜さ、全てを兼ね揃えたオブリビオン『カワイイ怪人『ラビットバニー』』は、手で仰ぎながら空を見つめた。
「まじびびった! だってモンキーやられてっし!」
 けど、負けるわけないし。
 一歩歩くごとに、まるで彼女の周囲に風でも吹いているかのように花びらが舞う。
「アゲてくぞー!」

●そして、ここグリモアベースでは猟兵が集まっていた。
「てなわけで、次の相手はカワイイ怪人『ラビットバニー』だ。テメェらコイツに見惚れんなよ」
 ヘクター・ラファーガ(風切りの剣・f10966)はモニターに映るラビットバニーを指さしながら男性猟兵たちに目を向ける。
 確かにラビットバニーは頭にデカい被り物をし、なんとも言えない色合いのファッションをしているが、ワガママボディにバニースーツ、そしてギャル属性を兼ね揃えている。オブリビオンとはいえそのインパクトと淫靡さに目を奪われる者も少なくなかった。
 うつつを抜かさないよう、ベシベシと指し棒でラビットバニーの顔を突きながらヘクターは説明を続ける。
「エイプモンキーはカウンター型のユーベルコードを持ってたが、コイツもそれに似たタイプのユーベルコードを持ってる。曰く『絶対無敵バリア』だそうだ」
 ありとあらゆる攻撃が効かない。
 例え戦艦クラスの砲撃を浴びせても、禁忌の魔法による高出力の攻撃でも、どんな壁でもぶち壊す暴力でも、ユーベルコードを無力化するユーベルコードであっても、全て無力化する。
 まさに絶対無敵。矛盾さえも弾く最高のバリアだ。
「普通に考えりゃ勝てるわけないよな。けど、唯一の解除方法を俺は予知した」
 解除方法と聞き、猟兵たちが彼に視線を向ける。
 その方法とは──?
「『エモい』だ」
 エモい……?
 大半の猟兵が首を傾げたが、若い猟兵たちは何かピンと来たかのように顔を上げる。
 "エモーショナル(emotional)"。感情的、情動的という意味を指す単語が略されたもの。
 例えば、好きな作品に登場するキャラが敵キャラと心を動かされるようなやりとりをしていた。背景やセリフの中から隠されたメッセージを見つけてしまった。など。先述の通り心を突き動かされるような場面に出会った瞬間のことを『エモい』と呼ぶ。
 UDCアースのネットスラング。キマイラフューチャーでは一般的な動詞となった『エモい』。それがどう解除方法に繋がるのだろうか。
「ラビットバニーはエモいと感じると絶対無敵バリアが解ける。なんでかは知らんが、まあそういうユーベルコードなんだろ」
 えぇ……と作戦会議室に困惑の声が響いた。
 しかし解除方法があるのなら、それを実行するしかない。『システム・フラワーズ』奪還のために必要ならば、やるしかないのだ。
 どうエモいと感じさせるかはともかくとして!
「とにかくアイツにエモいと思うような行動を取ることで、攻撃のチャンスができる。どんなのがエモいと感じるか基準は知らんが……なんか感動させりゃ解除されるだろ!」
 狐火のグリモアが開く。
 向かう場所はエイプモンキーが守っていた場所より先。花々が作りだしたメンテナンスルートの奥、ラビットバニーが立ちふさがる第二関門だ。
「油断するなよ!相手は幹部、バリアが解けたからって無力化するわけじゃねぇ!」
 感動させた後で倒されては意味がない。あくまでエモいと感じさせる行動はバリアを剥がすため──。
 惑わした後で、惑わされてはならない。
 ラフレシアの花弁が閉じた時、それが勝負の始まりだろう。


天味
 天味です。
 『バトルオブフラワーズ』シナリオ。今回は幹部戦となります。

 以下幹部戦ルール。
 ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
 絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
 ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。

 以上です。
 皆さまのエモいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『カワイイ怪人『ラビットバニー』』

POW   :    赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

佐倉・理仁
エモいってのがイマイチわからんが、俺がヤツに挑むこと自体がそーゆーのな気もする。


【旅は道連れ】こいつなら、ヤツのご自慢のスピードもパワーも、本人にくれてやれる。

だがまず。ヤツの攻撃をなんとか受けきる!

カンフーモードなら多分高速の接近戦を仕掛けてくるだろう。守るべきは頭だ。
詠唱は機械喉がやる。手足が折れようが俺が意識を保っていれば、術は成る。
『高速詠唱』
相手の動きが追えないなら、俺自身の体を死霊に使わせてやらぁ。もうダメージは覚悟の上だ!
無理な動きでも姿勢でも構わねえ。
この目でヤツを見れば、俺の勝ちだ。『2回攻撃』

……死霊使いがゾンビの真似たぁ、笑えねーが。見せてやるよ、無理無茶無謀!



「なんというか、実物を改めてみると違うな……」
「え、あーしのこと?」
 花びら舞い散る道の中で。
 サイボーグの男性、佐倉・理仁(死霊使い・f14517)はカワイイ怪人『ラビットバニー』と対峙する。
 相手はオブリビオン・フォーミュラの幹部。油断は一切できない……はずなのだが、ラビットバニーは名の通りバニーガールの恰好をしており、全体的に奇抜な色合いをしている。強者のオーラというものが、容姿のせいで消えてしまっているのだ。
 だからこそ油断できないというもの。理仁は魔本を片手に、ラビットバニーを覗いた。
「死にそうな顔してっし、ここは速攻で勝負終わらせるのが最適解っしょ!」
 ラビットバニーの言う通り、理仁の顔色は見てわかるレベルで青白い。サイボーグであるにも関わらず、死人と変わらない。まさに今にも死んでしまいそうな顔をしていた。
 それもこれも、彼が探索者であり、死霊使いだからだ。
「……そんな俺が、お前に挑むんだ」
 これがエモいってヤツなのか?
 ブリーフィングを聞いていた理仁だが、今この場に立っていてもまだ理解できていない。だがなんとなくわかってきた。
 絶対不利なこの状況。強敵は目と鼻の先。自分は満身創痍(に見えるだけだが)。
 男ならこの展開に、燃え上がらないわけがない。
「──死者の国より来たれ」
 詠唱を始めた、その瞬間が合図となった。
 ラビットバニーの巨大な被り物、うさぎの目が一瞬だけ赤く輝き、加速する。同時に、足元に散らばる花びらが舞い上がった。
 拳が来る。
「血に宿りし祖の影、魂は蜘蛛の糸となりて
 人々の始りを大樹とし掬い上げよ
 泉は常に満ちている──!」
 コンマ1秒。その間にいくつ殴られただろうか。理解と目視を越えるスピードで放たれる拳とヒール裏は、理仁の手足を容易く砕いた。
 カンフーモード。ラビットバニーが絶対無敵バリアを展開すると同時に起動したユーベルコード。彼女は猟兵にも追えないスピードにまで加速し、自身が会得している拳闘術で理仁の詠唱を阻害せんと襲い掛かっているのだ。
 だが、守りに徹した理仁のガードは、彼女が想像していた以上に厚い。
「さあ手を伸ばせ。頭を出しご来光を見よ
 体を浮かせ、足を大地にッ!さすれば渡し守が魂を導かんッ!」
「コイツ詠唱しながら……ッ!?あーーーーこんなかっけーの見せられたらエッッッッッッッッッッモくなっちゃう!!」
 砕けようが、一部が吹っ飛ぼうが、胴に一撃を貰おうが、頭部を掠めようが、詠唱は止まらない。
 この男、どんなに攻撃を浴びせても頭部だけが守られている!
 尋常じゃないスピードに気合いと根性で耐えきる理仁の姿に打ちひしがれたラビットバニーは、その泥臭さにエモく感じた。
「──そら、お迎えのご到着だ」
「──!!しまっ、あーしのバリアがごッッ!?」
 僅か数秒。しかしたった数秒で、勝負はついた。
 超高速で紡がれた詠唱は"理仁自身"に死霊を纏わせ、これまで放たれた攻撃パターンを全て理解した死霊は、一瞬の煌めきに心を奪われたラビットバニーにおかえしをする。
 超人的な速さで繰り出された拳闘術を、ボーンだけになった左腕で全て恩返しする。
 『旅は道連れ(スナッチャー)』だ。
「俺はお前に殴られた。なら、お前も俺と同じくらい殴られろ……!!」
 ラビットバニーの顔面に一撃が入る。めり込み、カンフーモードが強制停止。そこからラッシュをかけようとした時、左腕が砕けた。
 絶対無敵バリアが復活したのだ。殴られた衝撃でバリアが解けたことを察知した彼女は、すぐさま絶対無敵バリアを再起動。ラッシュをかけられる前に一歩下がった。
「こ、く……ぅっ、あーしの、うさちゃんがぁ……!!」
 顔面が愉快なことになったラビッドバニーは、悔し気に理仁を一瞥して飛び上がる。
 体はボロボロだ。だが、自分なりに彼女にダメージを与えることはできた。
 花びら舞い散る道の中で。理仁は大の字に倒れた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

オクタ・ゴート
エモさ……まだ理解には至りませんが、一つ試してみましょうか。

先ずは飛んでくるミサイルを触手で絡めとります。爆発も織り込み済み、覚悟と力溜めでどうにかこうにか致しましょう。それでも耐えかねる場合は花から生命力を吸収。
耐え忍んだあとは、ユーベルコード【燃える汚泥の鞭】で炎を操ります。煌めく炎の舞いと散る花弁の色どり。どうでしょう、エモさは如何でしょうか?
「それでは手品を一つ」
――油断したならば触手の一本を【影に潜む汚泥の鞭】に切り替え背後から強襲。舞いの動きは触手の本数を誤認させるため、派手な演出は相手への視線を釘付けにするため。
ミスディレクション。この戦略も又、鮮やかに決まれば「エモい」のでは?



 コツコツと歩く度に音が鳴る。
 花びらでできた道ではあるが、アスファルト程度の硬さはあるようだ。オクタ・ゴート(八本足の黒山羊・f05708)はふとそんなことを思いながら歩く。
「ふむ……」
 エモさ、というのもまだ理解に至っていない。しかし試したいことは一つある。
 もしこれでエモいと感じさせることがきるのならば、目の前にある絶対無敵バリアも、この場を構成する花びらのように飛び散るのだろうか。
「ブラックタールだしカンフー効かなさそー」
 鼻先に凹んだ痕のあるうさぎの被り物をした女性、『ラビッドバニー』はどこか面倒くさそうにオクタを観察した。
 彼女は肩に下げていた巨大赤べこを両手に持つと、その頭をオクタに向ける。赤べこの首の下には何やら砲塔らしきものがあり、そこに熱が収束していくのを感じた。
「汚れちゃやだし、ここは遠距離っしょ!」
 ポン!と小気味のいい音と共に、砲塔から光の弾が放たれた。
 それは着弾と同時に大爆発を起こし、花びらが硝煙に混じり吹き飛ぶ。威力はそれほどではないが、彼女の足元にまで煙が来るほど爆風はすさまじく、オクタに着弾したかどうかはわからない。しかし彼女には一撃で仕留めたという自信があった。
 硝煙の中から、何やら人魂のようなものを見るまでは。
「……ん?」
 ゆらりゆらりと、灰色の霧の中で揺れるもの。徐々に晴れてゆくごとに、それは輝きを増し姿を現す。
 燃え上がる触手だ。膝をつき両手を地面に当てるオクタの背広から滴る黒色の触手が、先端に炎をつけゆらゆらと舞っている。
 爆風で上空に上がった花びらがひらひらと落ちる。踊る炎と雪化粧のように降り注ぐ花びらは、まるで舞踊。キマイラフューチャーにあったはずの古代の芸術が、今ここに復活していた。
「お、おぉ……!?なにこれ、すっごく……」
 エモい……。
 彼女が感嘆を漏らしバリアを解いた瞬間を、オクタは見逃さなかった。
「──達人の技は、やがて芸術にも至る聞きます」
 人を魅せるものは絵画や陶芸品に限らない。人の動きもそうだ。
 この動きは相手の視線を釘付けにする技。すなはちミスディレクション。燃え上がる触手は単なる囮──本体はラビッドバニーの背後にある!
「超かっけー!写メとっッッぁあああ!!?」
 彼女の背中を叩いたのは、もう一本の触手。囮と同じ『燃える汚泥の鞭(ダーティー・ウィップ)』が、奇抜な彼女の体に奇襲をかけ、燃やしたのだ。
 あの舞いを見ていると心の中が燃え上がるような気持ちになった。だが、今は物理的に燃え上がっている。エモいどころじゃない。これは、熱い!
「あつっ!あっつ!はーまじあっっっっっっっっっっっっつ!!」
 奇抜な装飾と長い髪が燃え上がり一行に火が消えないラビッドバニー。
 オクタはただ、沈黙していた。
(……まさか砲弾が飛んでくるとは。しかし、仕込みに使える分の触手が残って良かった)
 あの砲弾で八本ある触手は半分飛び散り、オクタは煙が晴れるまでの間仕込みに専念していた。一本は『影に潜む汚泥の鞭(インビジブル・ウィップ)』で彼女の背後に、二本は囮となる『燃える汚泥の鞭』。最後の一本は──。
「どうやら、お気に召したようで何よりです」
 オクタの背後。花びら舞い散る道は、まるでアスファルトでも敷かれたかのように黒く、腐り落ちていた。
 ただ一本、辺りに散らばる命を吸いつくし小さく咲いた黒色の花を除いて。

成功 🔵​🔵​🔴​

紅月・知夏
なるほど?いろんな方面で心が動いちゃうという事は、HUZYOSI的感性の萌えも当然お好きよね?

萌対象☆召喚でガチムチカップルを召喚!そして私のオーラ防御を彼らの守りとして設置!あ、オーラはね、萌対象を守るという祈りの力で固定できるのよ。祈りの力ってすごい!
私自身は空中戦技能を駆使して花の足場のなんやかんやを避けるわ。当たっても激痛耐性があるから我慢できるわ!
そう、そして完成するのはオーラに守られ周囲に花弁が舞う薔薇ップル。これに萌えを、エモを感じないわけがない!

私も、作り上げたその図に萌えまくった勢いを利用して敵に仕掛けるわ!
空中から敵に向けて突進して、発生した衝撃波でぶっ飛ばしてあげる!



 花には種類がある。
 といっても、生物学的な区別ではない。文化的な、それも深くマニアックな部分の区別。否、これは差別というべきか。
 例えば、女性同士の同性愛。このことを"百合"と呼ぶことがある。
 もちろん、男性同士の同性愛にも呼び名がある。それを──。
「"薔薇"も、素晴らしいと思わないかしら?」
 ラビッドバニーは困惑した。
 目の前にいるのは、筋肉隆々(ガチムチ)ブーメランパンツ一丁の男性二人。しかも顔がとても良い。ずっと見ていられるような、キリっとした顔立ち。すなわち二人ともイケメンなのである。
 そんな彼らは猟兵ではない。ガチムチのイケメン二人を召喚したのは、オラトリオの少女、紅月・知夏(蔓桔梗の漂流者・f02536)だ。
「ほ、ほぉぉ……すっげー筋肉じゃん……」
 相手は猟兵、しかもそれらが召喚したものだ。敵、ないし破壊対象なのはオブリビオンの本能から来るもの。しかしそれを上回るように、その筋肉に触ってみたいという感情が勝る。困惑の原因は全てガチムチイケメンズにあった。
 美しいのだ。
 むさくるしさというものは悪いイメージになりがちだが、年頃(?????)の女にとっては違う。ムチっと、カチカチな筋肉から滴る汗は、漆塗りの箱に収められた宝玉のよう。太くたくましい、大樹のように聳え立つ太ももと二の腕。きっと顔もむさくるしいのだろう、というイメージを裏切るように凛とした顔立ち。
 イケメンとガチムチの暴力。それが二人、二倍!
 さらに、ガチムチイケメンズの片方は、知夏と相方を守るように前へ一歩踏み出しているのだ。
 知夏は召喚者だ。守るのは当然の行動である。しかし、同じ質量とステータスを持っているであろう相方まで、彼は守ろうとしている。
 これを"薔薇"と言わざるとしてなんと表現しようか。守ろうとする志は愛の証。
「エッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッロ!!!!」
 気づけば、ラビッドバニーは鼻血を拭きながらきりもみしつつ宙を舞っていた。
 愛と性は常に隣同士にあるもの。エモい、ではなくエロいと感じるのも当然である。ラビッドバニーの拳は、親指を立てていた。
「共感してくれるなんて素晴らしいのよ!」
 ラビッドバニーを衝撃波で吹き飛ばした知夏も、どこか鼻息を荒くしながらサムズアップした。
 これがオブリビオンでなければ、きっと一生語り合ってたに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャック・ソウル
【心情】
『エモい』って感動的、情動的でことなんだね。1つ勉強になったよ!ミーの出来る『エモい』こと・・・

ミーに出来ることはこれかな?カモーン!ドールゴースト達!ユーとミーであそこにいるバニーガールのお姉さんにミー達のダンスを見せてあげよう!

UC【Help me Doll ghost】を使って【パフォーマンス】でフラッシュモブの様なダンスを披露してバリア解除を狙う。バリア解除後に【コミュ力】でラビッドバニーに近付き

バニーガールのお姉さんにプレゼントがあるんだよ。喜んでくれるかな?

アイテムの【ハッピーバスケット】を渡して【だまし討ち】で攻撃。

絡みアドリブ大歓迎!



「はぁ……はぁ……ッ、いつの間にか、あーしボロボロだし……」
 貧血に見舞われたラビットバニー。ヨロヨロと歩きなんとか誰もいない場所にたどり着いた彼女は、肩で息をし落ち着きを取り戻した。
 顔面パンチ、火傷とダメージを負った彼女は、うさぎの被り者の間から垂れる血を拭いて、気づく。
 なんかカボチャの被り物をした小人の集団がいる。
「Hey!」
 どこからともなく、アニソン風のノリノリな曲が流れ始めた。
 小人の集団はそれに合わせて踊りを始め、ラビットバニーの視線を釘付けにする。ダンスの内容は多種多様なオタ芸。キマイラフューチャーの独特な様式に合わせたのだろう。誰でも踊りやすく、激しい動きをする振り付けだとすぐにわかる。
 これは何だ?どこから来た?
 困惑する彼女だが、見ている内にどこか心の中がノリノリになってゆく。
 ダンスとは鼓舞。そして音楽とは心を動かすもの。心が揺れれば揺れるほど、彼女の絶対的な壁は薄れてゆく。
(そうだ、フラッシュモブ!)
 ラビットバニーはふと思い出した。
 不特定多数の人々が前触れもなく突如現れ、パフォーマンスを行って関心を引き、その後何事もなかったかのように解散する行為。今ダンスを行っている小人集団は、まさしくフラッシュモブ。
 そして、エモさで塗りつぶされかけていた本能が、彼らを猟兵だと知覚させた。
「ってことは、どっかに隠れてるってことっしょ!」
 仕組みを理解した彼女は、バリアを再展開。そして両手の指先から緑色に光る極細のビームを辺りに放った。
 ビームは道を構成する花びらに着弾し、水面を滑るかの如く動く。それは小人の集団のいる足場も同じ。彼女のユーベルコード『おはなハッキング』は相手の足場を奪う。
「ぬっ、バレたか!」
「いるじゃーん!読み通りだったっし、とうっ!」
 小人たちを召喚したヒーローマスク、ジャック・ソウル(パンプキンヘッド・f02764)はラビッドバニーの背後に迫っていた。だが、あと一歩のところで一手及ばず。
 ジャックが立っていた花びらが、おはじきのようにラビッドバニーから突き放された。
「Help me Doll ghooooooooooost!!」
 突風と合わさりながら遠ざかってゆくジャックの悲鳴。ようやく思い通りに戦えたことに心の中でガッツポーズをしたラビッドバニーは、振り返ったところで足元に何かあることに気づく。
「?なんか落ちてっし」
 彼の武器だろうか。それとも小人が持っていたものか。お菓子のバスケットが落ちている。中にはよく見るお菓子から、知らない銘柄のもの……おそらく他世界のお菓子も入っているのだろう。その山の中に、一枚のトランプのカードが入っていた。
 気になってそれを拾い、彼女はカードをめくる。
 ──絵柄はジョーカー。
 ニヒルに笑うピエロが突如カードの中から腕を伸ばし、ラビッドバニーの被り物を掴みハンドスピナーでも回すかのようにギュンッと捩じった。
「!?!?」
 ジャックが送りたかったもの。それはラビッドバニーを喜ばせるためのプレゼントだ。
 ただし、オブリビオンに限りプレゼントの中身が喜ばれるものとは限らない。
「止まらないんですけどー!!」
 吹き飛ばされたお礼と言わんばかりに、ラビッドバニーの頭部はコマ回しにされ高速回転していた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

イヴ・シュプリーム
【魔法少女組】で参戦
心情:『エモい』……なかなか定義しにくい感情ね……
でも……大体分かったわ……貴方のバリア、破らせてもらうわ……!

戦術:まずは初手のカンフーを<日傘>による【盾受け】と【オーラ防御】で凌ぎます。
接近したことを利用し、ガチ恋距離で見つめ合い、上目遣い&涙目で【誘惑】。

「お姉ちゃん……イヴのこと……いぢめないで……?」

バリアが緩んだら【魔導ノ鉄槌】を発動して【だまし討ち】を敢行、仲間と共同しつつ、近接格闘攻撃と魔力放射によって一気に畳み掛けます。

「……『魔法』がなくても……心を動かすことはできるのよ……?」


シュガー・ラビット
【魔法少女組】アドリブ歓迎

【目的】
可愛い攻撃や魔法少女達の絆を見せつけて「エモさ」を作り出す&バリアが解けたら敵の動きを鈍らせ仲間の攻撃が命中しやすいように行動!

【行動】
エモさなら私の得意分野だよ!
ふふん、バニーちゃん覚悟してよね♪

【ミルキーくん】に敵の分析、戦闘のフォローをお願いするよ。もし、攻撃が当たってしまった時は、可憐な魔法少女感を出して仲間に助けて貰ったり、友情を見せつけることで「エモさ」を引き出していくよ!

UCを利用してさらに可愛さの暴力どーん!この可愛さにはバニーちゃんもさすがに弱いんじゃないかな?

バリアが緩まったら【にんじん☆ミサイル】【キャンディ☆ボム】(マヒ攻撃)で攻撃!


レパル・リオン
【魔法少女組】で参加!
あたし達なら、きっと勝てるわ!みんな、行くわよ!

あたしは、カッコよくて可愛くてエモい登場をする事でバリアを破るわ!

アンタ達の好きにはさせないわ!(逆光を浴びて登場)あたしの足は過去を蹴っ飛ばし!(ハイキックと共にパンチラ)
あたしの拳は未来を掴む!
魔法猟兵!イェーガー・レパル、参上っ!(ウィンク)

あたしがみんなを守るわ…!身体に鋼の【属性】を宿して防御力アップ!怪人のカンフー攻撃からみんなを【かばう】!

一瞬でも、隙ができたら…そこよっ!くらえ、【カウンター】の【竜咆拳】!



 そもそもエモいという言葉はどこから来たのだろうか。
 生まれた時はいつなのだろうか。
 感情的、情動的を示す動詞が、なぜこのように簡素で語彙に欠けたような形となって広まったのだろうか。
 ──全ては一つの物語から。物語を観測した読み手から来ているものだ。
 あのキャラクターが美しい。
 あのキャラクターが私の心を掴んだ。
 あのキャラクターが私の頭の中から離れない。
 あのキャラクターとその友人の掛け合いが素晴らしい。
 あのキャラクターをその場にある石ころになってずっと見ていたい。
 徐々に魅力に取りつかれてゆくことにより、どのような言葉をかけてもその"素晴らしさ"というものは表現できない。
 だからこそ、『エモい』と言うのだろう。
 私たちには手が届かない。

 ──閃光。
 マズルフラッシュでもなければ、魔法の発動による現象でもない。
 日傘と蹴りのぶつかり合いだ。
「それそれーッ!!」
「くぅぅっ!!」
 ラビットバニーから繰り出されるガトリングのような蹴り技。それを受け止めているのは、スペースノイドの少女、イヴ・シュプリーム(かつて滅んだ星の希望・f13592)だ。
 猟兵でなければ四肢が吹っ飛んでいるであろう威力の蹴りを、彼女はオーラを纏わせた日傘でひたすら防御している。
 当然、ラビットバニーは日傘を蹴り飛ばそうと角度を変えたり、つま先による刺突も混ぜて日傘の骨を折ろうとする。しかしそれに対抗し微妙に日傘の向きを変えたり、オーラの集中する箇所を変えてラビットバニーのカンフー技をしのいでいるのは、イヴのカウンター技術があってこそだろう。
「ミルキーくんっ!」
 そこに一本のステッキが割り込む。
 瞬時にバックステップを取ったラビットバニーに対し、イヴは動かない。『ミルキーくん』と名付けられたステッキは花びらの床に突き刺さり、魔力を帯びてラビットバニーの盾になった。
 ステッキの持ち主、キマイラの聖者、シュガー・ラビット(白くて小さなふわふわ☘️・f02321)は叫ぶ。
「分析終わったよ!バニーちゃんは、もう赤べこキャノンと制御レーザーが使えないみたい!」
 イヴから少し離れた場所で魔力を纏い、ミルキーくんを操作する彼女は、イヴとバニーの戦闘から情報を集めていた。
 様々な猟兵からダメージを負った彼女は、かなり追い詰められているようだ。ユーベルコード二つは使用不可能。残るはカンフーモードのみ。それでもバニーが立っていられるのは、あの絶対無敵バリアの恩恵によるものだろう。
 アレさえ解けば、勝利に一歩近づく。
「あーもう、あーしを視るなんてセコいし!ぶっ飛べ!!」
「な、うぁッ!?」
 縮地。目に見えぬ速さでバニーはステッキに接近し、強く溜め込まれた気力を宿した掌底を放つ。
 防御貫通の絶技。ミルキーくんは掌から撃たれた気力にオーラごと吹き飛ばされ、庇護するはずだったイヴまでも巻き込み、彼女の宣言通りぶっ飛んだ。
「イヴちゃんっ!!」
 イヴはシュガーの目の前まで飛び、骨が砕けた日傘を苦し気に手放す。シュガもすぐさま生まれながらの光を当てようと、彼女を抱えた。
 しかし、バニーはそれを許さない。
「ッ、体が……もう保たない、けど……あーし今絶好調だし!」
 敵が回復する瞬間こそまさにチャンス。
 カンフーモードで削れた寿命のツケが帰ってきたが、今はそれどころではない。ようやく、敵である猟兵を討ち取れるのだ。これを逃すはずがなかった。
 もう一度右手で掌底のカタチを作る。先ほどはミルキーくんにガードされたが、今度は上手くいく。幸いシュガーは防御手段を持ち合わせていないようだ。
 イヴも──。
「お、ねえちゃ……ん」
 よく見れば、イヴはカタカタと震えていた。きゅるんと目じりに涙を浮かべ、怖がっている──否、誘っている。
 その姿は雨の日に捨てられた子犬のよう。いや、恰好からして黒服に追われ疲弊した帰属の令嬢か。
「イヴのこと、いぢめないで……?」
 キュッと、イヴの手をシュガーが握った。
 その瞳にあるのは敵意。睨むのではなく、純粋に相手へ覚悟を示す凝視。
 それはか弱き少女を守る騎士のようであった。
「────」
 揺らぐ。感情が、自分でもガバガバと評した心が揺らぐ。
 だがダメだ。これ以上揺らげば、きっとこの体を支える隔絶の障壁は壊れてしまう。再起不能レベルに──だからこそ!
「こんなの、エモ……く!」
 ──だからこそ、心が揺れた。
 花びらで覆われた上空。そこに一筋の光がバニーに向かってくる。
 アレはなんだ。アレは誰だ?アレは、猟兵だ!
「あたしは、魔法猟兵!」
 ギャイィッ!!と、光が逆流する音が響いた。隕石の如くバニーの頭部へと降り注いだライダーキック。パンチラを添えて、レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)は二人の助けに入った。
 今度はバニーが吹き飛ぶ。ライダーキックによって絶対無敵バリアが砕け爆発が起き、バニーは花びらの道へ投げ出された。
「イェーガー・レパル、参上っ!」
 ピンク色のもふもふキマイラの少女は、華麗に着地を決めた後ウィンクとポーズをした。残る二人もまた、ゆっくりと立ち上がる。
「『魔法』がなくても──心を動かすことはできるのよ?イェーガー・イヴ!」
 その体に『魔導ノ鉄槌(マジカル・マーシャルアーツ)』を宿し、黄金色のオーラを纏うイヴ。
「かわいいともだちいっぱい!絶対みんなを守るよ。イェーガー・シュガー!」
 猫が、兎が、ひよこたちが集まる。もふもふかわいい友達(どうぶつ)たちを連れた少女シュガー。
「「「三人合わせて!」」」
 イヴ、レパル、シュガーと並び──三人はそれぞれ自分が最高に美麗/カッコイイ/かわいいポーズを取った。
 彼女たちの名は、
「「「もふもふマジカル!魔法猟兵☆メルティガールズ!」」」
 ──輝きが増す。
 勝てるわけがなかった。こんなにも心を動かされるようなシチュエーション。思わず応援したくなるような大ピンチでの変身。日アサ──!!
 こんなもの、いやこれは、この素晴らしき少女たちは、三人の女神は!
 言葉にできない。表現することすらままならない。思考が追いつかない。ああ、これこそ求めていたものだろう。一生手が届かない、まるで残酷にも美しい、透明な壁に阻まれた世界。
「エ モ い い いぃぃぃぃぃぃッッッッッッッ!!!!!!」
 ズルいじゃないか。そんなもの防げるわけがない。支払った寿命がリバウンドし全身が麻痺してゆくのを感じながら、バニーは心の底から叫んだ。
 これも計画的な猟兵の作戦なのか?否、彼女は最初から魔法猟兵。あの輝きに茶々を入れるなど無粋!断じて許される行為ではない。
「ぃぃ……いい!とってもいい!だから、あーしは……ヒトをアゲアゲにするソレがぁ……ッ!!」
 それでも、闘志を失うことができないのは、諦める行為ができないのは、一体何の意思だろうか。
「いくわ。魔力をミルキーくんに!」
「任せて!この力をレパルちゃんに!」
「オッケー!あたしの息吹とみんなの力を合わせて!」
 イヴは纏ったオーラをシュガーに、シュガーは回収したミルキーくんにそのオーラを注ぎ込みレパルに渡す。レパルはミルキーくんを両手に、『竜咆拳(ドラゴンブレス)』の神威を合わせ三人の力を一つにした。
 力を合わせた必殺技を放つ。この戦いに勝利を、最高の『エモい』を見せるために──。
「「「イェーガーマギア!『すーぱードラゴンノ魔槌』!!」」」
 ミルキーくんに注がれた力が、バニーへ向けて発射された。
 それは黄金に輝く恒星の煌めき。それはあらゆる人々を癒しに導く優しいもふもふ。それは王者を示す頂点からの咆哮。
 三つの偉大なるユーベルコードはここに収束し、最期に「きれい」と感嘆を漏らしたバニーに光を与えた。

 手に入れれないからこそ、私たちは求めた。
 それを壊すか守るかの差異が、私たちを決別した。
 だが、最期に一瞬だけ手に入った。
 あの白い輝きは、私たちに向けられたからこそ──『エモい』と感じた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年05月19日


挿絵イラスト