バトルオブフラワーズ⑩〜すこすこのすこ!
●お前が可愛くてエモいわ。沸いたわ。ふざけんなょマヂ。
エイプモンキーを撃破した猟兵たち。
途端、システム・フラワーズの内部に現れている花々の足場が、ぽつぽつと咲く場所を変えていく。足場が一直線に導くのは、次なる関門カワイイ怪人『ラビットバニー』のいるステージだ。
名前の通り、うさぎの被り物めいた頭部とバニースーツ、紫色の赤(?)べこキャノンを抱えた彼女、ラビットバニーは塗りたてのマニキュアを、ふぅっと吹きながら見つめる。
「まじびびった! だってモンキーやられてっし!」
うっそでしょ。言いながらも、さほど焦りは感じられない。
楽観的なのか、強者ゆえの余裕なのか。
彼女のどうにも飄々とした様子からは察することが難しい。
「でもまあ、あーしが全員始末すりゃいいか。あーぁ、今日タピりたかったんだけど」
オッケ、乾いた。お花の色のマニキュアをつんつん突いて確かめ、嬉しそうにきゃぁきゃぁと声を上げると、ラビットバニーは、改めて人差し指と親指で輪……所謂、OKのポーズを作り、自分のほっぺたに当てる。たこやき。
「おけまる水産よいちょ丸! ってゆーか、あーし、まじ、やるときはやるし。猟兵とかラクショーでしょ、実際!」
可愛くて、何かちょっとチョロそうな匂いもするからやっぱ可愛いラビットバニー……どんなにカワイイ怪人、略してKKであっても、彼女を倒さなければ、キマイラフューチャーはカタストロフを迎えてしまうのだ……!!
●場所は変わって、こちらグリモアベース
「え!? ぼくの故郷、本当に真っ二つになっちゃったの!?」
今更すぎる程今更、ジューク・グラモフォン(セレナバード・f09770)が、糸目の端を下に引き下げ、困り顔で叫んだ。
え~……困るぅ……等と言う声は本体のメンテナンスをお願いしたかったのにお店が本日休業でしたぐらいのノリで。
こいつもこいつで緊迫感が欠片もない。
ま、いっかと頬を掻くと、集まった猟兵たちに向き直った。
「というわけでね、このままじゃキマイラフューチャーにいる沢山の人たちのピンチだから、皆に世界の危機を救ってほしいんだ」
いつものやつ!
もう戦争が開始して半月経過も目前だ。特に説明の必要は無いだろう。
ということで、細かな説明や経過は省略して、ジュークは指で空中に何かを描く。
うさぎさんのマークだ。
「今回の転送先は、カワイイ怪人『ラビットバニー』のところだよ」
エイプモンキーに続く、ボスクラスの強敵だ。
グリモア猟兵は、少しだけ緩い表情を厳しくした。
「ラビットバニーは皆が攻撃する前に、『絶対無敵バリア』を展開するんだ。これは、どんなに皆が攻撃するスピードを上げたりしても、絶対に先手を取られるよ。そして、これが一度発動されると、例えどんな攻撃であっても、無効化されちゃうんだ」
文字通りの『絶対無敵』。
策を弄しなければ、彼女には猟兵は指一本すら触れる事は叶わない。
「でも、心配しないで! 彼女のユーベルコードにも弱点はあるよ」
ジュークはにっこり微笑み、皆を見渡すと力強く頷いた。
「彼女はね、エモいものに弱くて……つまり、可愛いとか、カッコイイとか、感動したとか、心揺さぶられるものを見ると、集中力が乱れて一時的にバリアを維持できなくなるんだ!」
つまり、みんなが可愛いとかカッコイイとか、何かいい感じのムーブ見せれば攻撃が通るようになるってことだよ!
あんまりにも投げっぱなしな説明だ。
でも、皆ならきっと分かってくれると思う。
猟兵なら大丈夫。きっと。多分。めいびー。な!!
「というわけで、皆にしてほしいことは2つ。1つめは、彼女に見せる「エモ」を用意すること、2つめは、もちろん、彼女を倒すことだよ」
エモの準備だけして、戦いの準備を忘れないようにねと注意を向ける。バリアは彼女の能力の最も注意を払うべきものだが、そうでなくとも彼女はボスクラスの強敵なのだ。
そのことだけは、決して忘れないでほしい。
と、そこまで言って、はたと思い出したように表情を緩めると、ジュークは緩い声で付け足した。
「ちなみに、僕の予知では、『タピオカまじすこ。あ~、誰かに自分のすこなもの紹介されてー』って言ってたよ」
自分の好きなものを語ってくればいいんじゃないかなぁ? なんて。
説明を終えると、グリモア猟兵はミュージックカード型のグリモアを操作し始めた。
「それじゃあ、みんな用意はいい? みんなが用意できたら、ノるよ」
今日はテンアゲ↑↑↑。
どこからか、ディスコミュージックが流れ始めて――向かう先は一面の花。
ラビットバニーの領域。
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ラビットバニーは必ず、猟兵に先制して『絶対無敵バリアを展開するユーベルコード(POW、SPD、WIZ)』を使ってきます。
絶対無敵バリアは本当に絶対無敵で、あらゆる攻撃を無効化しますが、「ラビットバニーがエモい物を目撃する」と、精神集中が乱れてバリアが消滅します。
ラビットバニーのエモい基準はかなりユルいので、バリアの解除は比較的容易と思われますが、バリアなしでも彼女は相当の実力者です。
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夜一
お世話になっております。ラビットバニー親衛隊の夜一です。
一人称あーし、マジ可愛くないですか?
ラビットバニーに惹かれて出した戦争依頼です。まぢ無理……ぃまOP出した……。
お目に留まりましたらどうぞよろしくお願い致します。
●ご注意
・マスターの執筆傾向につきましてはMSページをご覧ください。
・戦争シナリオにつき、連携・アドリブはやや控えめになると思います。
・採用人数も控えめかも知れませんが、ご了承ください。
●その他
本シナリオはラビットバニーにエモいの見せてはわわさせてから殴ろうというシナリオになっております。
基本的に「エモさ」の内容につきましては参加者様にお任せ致しますが、エログロ等に関する内容は採用できませんのでご了承ください。
それでは、皆様の個性あふれるプレイングを楽しみにしております。
第1章 ボス戦
『カワイイ怪人『ラビットバニー』』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : うさちゃんカンフー
【絶対無敵バリア展開後、兎面の目が光る】事で【うさちゃんカンフーモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : おはなハッキング
【絶対無敵バリア展開後、両手の指先】から【システム・フラワーズ制御ビーム】を放ち、【花の足場を自在に操作する事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
【 ※ プレイングは13日(月)8時30分以降から受付致します。】
ビスマス・テルマール
●エモ
なめろう料理をパフォーマンスしつつ料理してエモ狙い
貝に包んだなめろうをお手玉しながら武装に属性攻撃(火)を付与しなぎ払いで炙り
作ったさんが焼きを
パンズで挟み
卵
小麦粉
パン粉で包み武装に属性攻撃(熱油)で同じ様に炙り
揚げハンバーガーならぬ揚げさんが焼きバーガーを
属性攻撃(音響)を込め刃を入れ美味しそうな音と美味しく食べてエモ誘えれば
●POW
攻撃を第六感で見切り
オーラ防御と盾受けで受け流し
残像で回避
多少被弾も激痛耐性で堪え
可能なら仲間と連携
鎧無視攻撃・誘導弾・属性攻撃(重力)を込め一斉発射でばら蒔きつつ接近
手持ちの武装で鎧無視攻撃と怪力と属性攻撃(熱揚げ)を併用なぎ払い
早業で一撃離脱の繰り返し
●
倒されても再び復活する幹部級のオブリビオン。
幾度目の復活だろうか……ラビットバニーは、骸の海から花畑の上に舞い戻ると、組んだ両掌を上へ。
うーんと大きく伸びをした。
そんな彼女を最初に訪れたのは――、
「よっ、ほっ」
謎のお手玉を披露するマゼンタと青のバイカラー。
「?」
変わらぬウサギヘッドのまま、ラビットバニーは首を傾げた。
警戒しつつも、様子を覗っている。
彼女……ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は、貝をぽんぽんとお手玉しながら近づいてくる。
(まぁ、うまいっちゃうまいけど……)
言ってしまえば、地味だ。プロのジャグリング技ならともかくお手玉は……写真映えするとは、ちょっと言えない。
「ま、アレはソッコーバイバイっしょ」
ラビットバニーの周囲に絶対無敵バリアが展開され、赤べこキャノンがビスマスへと向けられる。
と、その時、
「ん? 何の匂いコレ?」
くん、と、ラビットバニーは鼻を鳴らす。
システム・フラワーズの花の香りを上書きする、香ばしい香り。
それはどうも、目の前のあのお手玉をしている彼女の方から流れて来るようだった。
「ねぇ、アンタ、何してんの?」
耐えかねて、ラビットバニーが尋ねる。
「気になりますか?」
ビスマスが、努めて冷静を装って問い返す。
「気になるから聞いてんじゃん。ソレ何なワケ?」
ビスマスの手元を指さすために、赤べこキャノンは一度下ろされた。
(上手く掛かりましたね)
内心、彼女が興味を持ってくれたことに手ごたえを感じながらも、焦らずにビスマスは話を進める。
宙へと放り投げた貝を、炎を宿した【ディメイション・チョップスティック】で炙ると、匂いはさらに増して。
貝を開けば、そこにはビスマスの特性なめろうから作られたさんが焼きが登場する。
湯気が立ち、ぱちぱちと爆ぜる音を立てる見た目は、それでも十分おいしそうだが、
(確かにおいしそうだけど、やっぱ地味じゃない? 何か茶色いし)
ラビットバニーがキャノンに指を掛けるのを見て、ビスマスはバッと手を前に、ラビットバニーへと向けて開いた。
「いいんですか? まだ終わりじゃありませんよ?」
まぁ見ていてくださいとばかり、更にビスマスは、出来上がったさんが焼きをパンズで包むと溶いた玉子に潜らせ、小麦粉とパン粉をまぶして、今度は武器に油と熱を付与し、揚げるように焼き上げる。
周囲は既に磯と油の香りで充満し、暴力的なまでの空腹感を誘う。
くぅ~……と、ラビットバニーのおなかの成る音がした。
ヤバッ、ちょーハズい!と照れるラビットバニーを横目に見て、くすっと笑うと、ビスマスは完成したそれを、ザクリ! 軽やかな音を響かせて、食べやすいサイズに切った。
カラっと揚がった衣を割り、断面から、ふんわりとしたパンズ、じゅわりとジューシーなさんが焼きが姿を見せて、食欲は一層そそられる。
そこでようやく、ビスマスは、完成したものをラビットバニーに差し出した。
「さぁ! これで完成です。揚げさんが焼きバーガー、どうぞ召し上がれ!」
こくん。
ラビットバニーの喉が鳴る。
さんが焼きだけなら、確かに彼女のエモを擽ることは難しかったかもしれない。
けれど、今差し出されたこの料理の、「誰だよハンバーガー揚げるなんて考えた奴」と思うような、暴力的カロリーの権化のような見た目は、確かにバエであり、エモであった。
ラビットバニーが手を伸ばす。
だが、その手にはまだバリアを纏ったままだ。
手にはずしりと、カロリーの重み。
口に運んで一口齧れば――、
「ん~~~~~~~~、何これウマヤバ~~~~~~~💕💕💕💕💕」
思わず、頬を押さえて身もだえし。
と、同時に彼女の体からバリアが解除される。
(今です!!)
隙を逃さずビスマスが駆け出した。
「あ、ヤベ。見てなかった」
一瞬姿を見失ったビスマスに、ペロ、と親指をなめながら、ラビットバニーが反応する。
降り注ぐビスマスの牽制砲撃に曝されつつも、さんが焼きバーガーを咥えながら応戦し、赤べこキャノンを構えて、引き金を引く。
「っ!!」
見切って避けたつもりが、攻撃力を重視した砲弾の威力は範囲一帯を吹き飛ばす。
その余波が、受け流したとはいえ、ビスマスの体を煽り、傷つける。
けれど、それにも構わず、ビスマスは駆ける。
最早バリアを失った彼女に、その防御を貫く力と有りっ丈の腕力、そして、先ほど使った熱を込めた武器で、擦れ違い様に彼女を斬り裂いた。
「ぅ、あっつーーーーい!!!! ヤダヤダ!! ヤケドはヤダ!!」
治りにくい!と、ラビットバニーの悲鳴が響く。
ビスマスは彼女に負傷を負わせることに成功したことを知ると、素早く一度退いた。
苦戦
🔵🔴🔴
ミスティ・ミッドナイト
可愛らしいお相手ですね。油断はしませんが。
カンフー技は回避に徹します。
寿命を削るほどのパワー。長時間発動は出来ないでしょう。
隙が出来たのならショットガンで攻撃しますが、バリアが厄介ですね。
ここは選ばれしバーテンダーが使えるという伝説のエモ技、
「あちらのお客様からです」を出すしかありませんね。
タピオカを使ったカクテルを作ります。
あなたはタピオカが好き、私はアルコールが好き。
好きと好きが合体して無敵ですね(?)
これをコップ(蓋付き)に入れてぶん投げます。
あちらのお客様からです…!
そしてすかさずバーテン豆知識。
「タピオカのカクテル言葉をご存知でしょうか…?
――『心を、あなたに奪われた』」(今考えた)
●
「もー……マジ痛い。コレ治んのかなぁ……」
ふーふーとヤケド、そして切り傷を負った腕を吹いて冷ましながら、べそ掻き声で心配するラビットバニー。
彼女の下を訪れた二人目は、左に流された前髪。
濃い紫に、切れ長の赤い瞳が特徴的な美しい女性だった。
纏うミステリアスな雰囲気、漂うどこか冷めた気配。
タイトなスカートからすらりと伸びた足も美しく、ハイヒールで歩く姿は絵に描いたようだった。
(え? え? ヤバくない? エモくない??)
待て。まだ早い。
スタイルの良い人を見て、めっちゃ美人じゃん! あーしのブランドの服着てほしい~! と思うのは、今はオブリビオンであれ、元デザイナーの性だろうか。
「可愛らしいお相手ですね」
ミスティ・ミッドナイト(夜霧のヴィジランテ・f11987)は、なぜか既にはわわしそうになっているラビットバニーを見て呟いた。
言葉とは裏腹、彼女に油断はない。
ラビットバニーがはっと我に返る。
「あっぶな……さっきはソレで痛い目見たんだもんね。今度こそ絶対、バリア解かねーし!!」
慌てて自身の周囲にバリアを展開する。同時に、ウサギ面の目が輝いた。
「ンでもって、先手必勝! みたいな?」
先に倒しちゃえば、エモ判定ガバでも問題なし!!
うさちゃんカンフーモードと化したラビットバニーが瞬時にミスティとの距離を詰める。
(早いですね……)
ピッと、空を切る音が耳の間近を通り過ぎた。
逃げ遅れたミスティの墨を流したような美しい髪が数本、その拳の鋭さにハラリと零れ落ち。
ユーベルコードで相手の動作を備に観察し、回避に徹していなければ、傭兵の彼女と言えど、避けること容易とはいかなかっただろう。
この素早さと反応速度、バリアの件もあるが、今はまだ焦って攻撃すべきではないと思えた。
(ここは選ばれしバーテンダーが使えるという伝説のエモ技である『アレ』を出すしかありませんね)
そう、『アレ』を。
ミスティは素早くシェーカーを取り出すと、持ってきていた幾つかの液体と氷をその中に入れ、テンポ良く振り始める。
「ハッ、なに? そういうカッコイイことやったって、ムダなんですけど!」
もうだまされないもんね!
ラビットバニーの二撃目が迫る。それも、寸でのところで身を反らし回避すると、ミスティはラビットバニーの輝く目(多分)を見つめ、そっと囁く。
「今つくっているのは、タピオカのカクテルです」
「え、タピオカ?」
ぴくっと、ラビットバニーが反応した。
タピオカ、脈ありのようだ。
「あなたはタピオカが好き、私はアルコールが好き。好きと好きが合体して無敵ですね」
「え? あ……、うん///」
うん、じゃないが。
オブリビオンの動きが止まったその隙に、ミスティは完成したカクテルをタピオカの入った容器に注ぎ、きっちりと蓋を締めてラビットバニーへと投げる。
バーテンダーが言い添える言葉はただ一つだ。
「あちらのお客様からです」
「あちらの!? え、うそ……ッ、エモーーーーーーーーーい!!!!!」
で、出たー!! 人生で言われてみたいセリフ上位に入る「あちらのお客様からです」!!
聞くと一気にテンションが上がるのは、オブリビオンも同様らしかった。
マジ!? マジ!? と言いながら、「あちらのお客様」を探す。もちろんそんな人はいない。
その様子にミスティは、コツとヒールを鳴らして服装の乱れを整えると、さも親切な声音で告げた。
「タピオカのカクテル言葉をご存知でしょうか……?」
どきん。
ラビットバニーの胸が高鳴る。
「え、……知らない……なになに?」
ちょー聞きたい。
言わずとも、彼女の全身がそう言っていた。
期待の視線がミスティに集まる。
ミスティは少し焦らす様にして、くすりと微笑むと、続きを語る。
「――『心を、あなたに奪われた』ですよ」
「エッッッッッッ、モーーーーーーーーーい!!!!!」
そんなカクテル言葉はない。
ミスティの思いつきである。だが、それをどうしてラビットバニーが知ることができようか。いやできない。
あまりのエモさに我が身を抱いて震えるラビットバニーは、自身のバリアが既にその用を成していないことにも気づいていない有様で。
ミスティはシェーカーの代わりに、ショットガンを携えると、その銃口を彼女へ向けて、こう言った。
「そしてこれは、私からです」
ラビットバニーが超反応を見せる暇もなく、弾け飛んだ銃弾が、彼女の体に食い込んだ。
成功
🔵🔵🔴
荒久根・ギギ
なんだこれ
ぶん殴る前になに、エモ…はぁ??
意味わっかンね…
アーようは女落としゃいいの?
アンタさ、マニキュア塗り替えた?
戦う前なのにオシャレするとか
すげー可愛いとこあンじゃん
それとも誰かに見せたいの?
髪も服装もそいつの為?
でも俺のが絶対あンたのこと好きだからさ
行かせねェ
見せてよ、ここでゼンブ
(じりじり寄って壁 ド ン !
バリア解いたらこっそり肩や背に乗せた
ガジェット3体に手足を拘束させ
力溜めから渾身のUCを容赦なく腹に
悪ィなゲスで
でも別に好きってのも嘘じゃねェよ
アンタなら幾ら殴ってもまた会えンだろ?
それ、最高に“エモい”じゃん
(意地悪く笑って
アーまじミカン頭が案内人でなくてよかった
見られたら死ぬ
●
「~~っつー……あー、もうっ、これ治るの時間かかりそ。マジ猟兵、ぶちムカつく!」
腹部。滴る赤はすぐに黒く変色し、地面に落ちる前に骸の海へと消えていく。
致命傷ではないが、それでもヤケドと銃撃の傷は浅くはない。
折角、きれいで可愛くキメていた服も台無しだ。面白いはずがない。
不機嫌な彼女のもとへと次にやってきたのは、同じく不機嫌そうな表情を浮かべる青年、荒久根・ギギ(スクラップマーダー・f02735)だった。
キマイラである彼にとって、キマイラフューチャーの危機は他人事ではない。
日頃は「ぶっ壊す」側の彼だが、「ぶっ壊される」なんてまっぴらごめんだ。
とにかく、全部殴り壊しゃいいンだろというつもりで来たが、どうやらそうはいかないらしい。
妙なバリアのせいで攻撃が阻まれるとか、事前の説明ではエモだとか何だとかよく分からない説明をしていた。
(意味わっかンね……)
ついでに言うと、説明役のグリモア猟兵もふわふわしてて説明の要領を得ないヤツだった。
よく分からない内に、
「アー……ようは女落としゃいいの?」
と尋ねてみたところ、それでいいと思うと、これまたふんわりした答えが返って来たのだ。
(クッソめんどくせェが仕方ねェ)
女……つまり、眼前のオブリビオン『ラビットバニー』を“落とせば”いいのだ。
現れた猟兵にバリアを張り直し、キャノンを構えて戦闘態勢に移るラビットバニーの動きなど、お構いなしに、ギギは大股で近づいていった。
「いちお、言っとくけど……それ以上近づいたら、撃つから」
忠告する理由はないが、元来おしゃべり好きなのだろう。
ラビットバニーが先に声を掛ける。
その忠告を聞こえていないかのように、ギギは返す。
「アンタさ、マニキュア塗り替えた?」
「は?」
予想外のその言葉に、ラビットバニーは思わず聞き返して。
「戦う前なのにオシャレするとか、すげー可愛いとこあンじゃん」
なお、近づく。
気圧されたのはラビットバニーだ。
この青年、喋ってる内容はフツー(※ 戦争中の敵対関係の会話としては決してフツーではない)なのに、何か……怒ってるっぽくない?
「え……まぁそれは、オシャレ好きだし、女子として当然ってゆーか……」
もじもじ。今しがた言われたばかりの濃いピンクの塗られた指先に、ミントグリーンのゆるふわヘアをくるくる巻き付けながら。
「誰かに見せたいの?」
「そ、そういうワケじゃないけど……」
「髪も服装もそいつの為?」
「だ、だから、あーし別に好きピいないし――」
「でも俺のが絶対あンたのこと好きだからさ!」
ドン、と、壁(エア)を、ギギの手が叩く。
壁(エア)と自分でラビットバニーを挟み込む……通称『壁ドン』。
ビクっとラビットバニーの肩が跳ねた。
「行かせねェ……見せてよ、ここでゼンブ」
「あ……」
ギギのライムグリーンの真剣な眼差しに射抜かれて、ラビットバニーははたと気づいた。
唇から、思わず、言葉が漏れる。
「あちらのお客様――……?」
よく分からないけど、点と点が繋がった気がします。
心の壁がギギの壁ドンによって破壊されたと同時、パリンと音を立ててバリアも崩れ去る。
瞬間、ギギの後ろに潜んでいた猫・蝙蝠・熊の形をした歪なガジェットたちが飛び出し、ラビットバニーの手足を拘束する。
「!? ちょ、こういうプレイはあーしたち、まだ早いってゆーか……!」
「いーや、もう十分だろ」
まだ勘違いしているラビットバニーの腹部めがけ、ギギは組み立て変えた【🔩JunkJack🔩】を回避すらできない速度で叩きつける。
盛大な音が響き、その手には確かに彼女の腹部を「破壊した」手ごたえが伝わった。
「ぐっ、う……!!」
よろけ、後ろへと下がるラビットバニーを、ギギは見下ろす。
「ひっど……サイテー……騙したワケ?」
ギリ、と、歯を噛み締めながら、恨み言を零す彼女に、キマイラは淡々と告げた。
「悪ィなゲスで。……でも別に好きってのも嘘じゃねェよ」
けほ、と咳込むラビットバニーに、ギギはニヤリと笑う。ギザギザの白い歯を覗かせながら。
「アンタなら幾ら殴ってもまた会えンだろ? それ、最高に“エモい”じゃん」
「~~~~~、くっそぉーーーー!!!!!!///」
地面を叩くラビットバニーに背を向けて、ギギは一時撤退する。
去り際、ぽつりとつぶやいた。
「アー……まじミカン頭が案内人でなくてよかった。見られたら死ぬ」
「去り際までエモかよ!!!!!!!!!!」
うさぎさんらしく、耳ざとく拾ったらしいラビットバニーが叫び、
「ちげーわ!!!!!!!!」
アホか!!!!
ギギの今日一で大きい怒鳴り声がステージに反響した。
成功
🔵🔵🔴
栗花落・澪
【犬兎】で参加
うぅ…なんで僕がこんな格好しなきゃならないの…
あ、じゃなくて…に、にゃぁ……(恥
※猫耳猫尻尾ふわもこ衣装+魔法の杖(今回だけ肉球仕様)所持
仕方ない
夏輝君、ちゃんとやってよね!
【空中戦+オーラ防御】でぴょんぴょこ飛び跳ねながら攻撃回避
※無意識腹チラ
距離を保ちつつたまにえいっと肉球でぷにーっと打撃【誘惑】
は、恥ずかしいからあんまり見ないで…
あ、いや、でもやっぱり、その…ふえぇっ
う、うるさいばかぁ、かわいいって言うにゃー!
※頬染め涙目で杖に【破魔の全力魔法】を付与しながらぷにぷにぽかぽか
バリア消えたらUC発動
ミニ澪達の一斉攻撃という名のじゃれつき『あそんで―』『だっこー』や
【催眠歌唱】
小林・夏輝
【犬兎】で参加
澪に囮を任せ俺が攻撃担当
のつもりだけど猫澪きゅん可愛過ぎて俺も誘惑されそう
【ダッシュ】で動き回りつつ
ロケットランチャー(★バット+★R-L)の
【クイックドロウ+援護射撃】をバリアに当て爆煙発生
【指定UC】の先攻で敵の攻撃を引き受けさせながら
【逃げ足】退避の繰り返し
澪の肉球攻撃と交互に
恥じらいながらも猫コスやめない澪きゅんマジかわいくね?
うちの自慢の"男の子"だぜっ!
澪が連打モードに入ったら
★改造腕時計のワイヤーを伸ばし澪の服に引っ掛け
危ないから避難しとけっ
回収と同時にロケラン発射でバリアの存在確認
澪のUCと同時に再度指定UC発動
キャラの影に紛れながら急接近し
隙を見て【零距離射撃】
●
「う~、けっこキツくなってきたかもぉ……」
殴られたおなかイターイ。と、言う声はどうも軽い。
猟兵たちって容赦ナイなんてぼやきつつも、もうこれでメンズには騙されないし、などとぶつぶつ言っていれば、押すな進めやごにょごにょ言い争う微かな声が耳に届く。
さては次なる猟兵かと、身構えるラビットバニーの視界に、一つの影が飛び込んできた。
顔を赤く染め、俯きもじもじしている小さなオラトリオ。
その頭部には白い猫耳のカチューシャがつけられており、ご丁寧にスカートからは長い白の尻尾が揺れる。
ツーサイドアップに猫耳、花の髪飾り、背中の真っ白な翼に猫尻尾。そして手に持った肉球ロッドとふわもこ衣装。
属性マシマシである。
萌え属性のジロウと言っても過言ではあるまい。
オラトリオ――栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、絶妙に丈の短いトップスの裾を弄りながら、目を潤ませて独り言ちる。
「うぅ……なんで僕がこんな格好しなきゃならないの……」
ふと、そこで視線に気づいた。
ラビットバニーがこちらを見ている。
それに気づき、澪は消え入るような声で、ラビットに向けて言う。
「あ、じゃなくて……に、にゃぁ……」
見ているからには、“彼”に言われたとおりに振舞わなければなるまい。
(う~……!! 恥ずかしいっ。恥ずかしい、けど……仕方ないっ。こうなったら、夏輝君、ちゃんとやってよね!)
もう一人の彼……小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)は、ラビットバニーの視線が澪に引き付けられるのを見ながら、登場と同時にステージを所狭しと駆け回り始める。が、
(っく~……! 猫澪きゅん可愛過ぎるな。俺も誘惑されそう!)
いや、提案してみるもんだななんて思いながらも、ラビットバニーへの警戒は緩めない。
(さて、上手くエモみ感じてくれますかね)
これでエモじゃないなんてナイだろとは思うものの、蓋を開けてみるまでは油断はできない。
何せ、ギミックはアホっぽくても、れっきとした幹部なのだ。
そのラビットバニーが、ようやく澪に対して、アクションを見せた。
「え……?」
「めっっっっっっっっっっちゃアリじゃない????」
「あ、アリ……?」
どういう意味だろうと、ちょっと恥ずかしさが限界に近付きつつある澪には、その言葉の意味をすぐさまには理解できなくて。
「アリでしょ」
「う、えぇ、だから、どういう……!?」
若干、素っぽい言い方がちょっと怖い。
「あ、でもぉ、ちょい待ち。ちょっと後ろ向いて」
徐に銃の形にした指からビームを放つと、澪の足場をくるくると動かし始めたところで、
「おっと、お触りは勘弁だぜ!」
夏輝が【R-L】を取り付けロケットランチャーに変形させた【カラクリバット】から、ラビットバニーへと砲撃を放った。
「そんなん効かないんですけど!!」
まだバリアは健在だ。
故に、彼女は攻撃を避けることをしない。
弾丸は一直線にラビットバニーを捉え、彼女を中心に爆煙が広がった。
煙の奥、ピカっと二つの光が灯れば、
「あーっ!! もう、あーし今チョー忙しいんだけど!!」
うさちゃんカンフーモードに切り替わったラビットバニーが、煙を裂いて飛び出して来た。
「うお、早ぇ……っ」
敵の先制に遅れじと夏輝もユーベルコードを発動し、≪バトルキャラクターズ≫の戦闘用ゲームキャラクターを召喚する。
彼らをあえて先に向かわせ、攻撃を引き受けてもらい、自分は後ろへと下がる。
一方澪も、煙が上がると同時、空中へと浮かび上がり、オーラのベールで自分を守りながら、ぴょんぴょこと飛び跳ねることで、あちこち動き回る足場の変化に対抗する。
対抗しながらも、肉球ロッドでぷにぷにっと攻撃することも忘れない。
ゆらりと揺らめくような動きで、ラビットバニーが澪に輝く視線を向けた。
「あー……なるほど、その丈。 絶妙じゃね? めっちゃセンスあんじゃん!! カワイイじゃん!!」
跳ねる度に、チラッ💕 チラッ💕 と見える澪のおなか。
肉球でぽこぽこ叩かれるのも、バトルキャラクターズたちにべしばしされるのも厭わず、ラビットバニーが親指を立てた。
デザイナー的にアリだそうです。
めっちゃ見てる。
「は、恥ずかしいからあんまり見ないで……あ、いや、でもやっぱり、その……ふえぇっ」
囮にならなければならない責任と、羞恥心の板挟み。
今にも泣きそうな澪の姿を満足そうに眺めながら、夏輝が頷く。
「恥じらいながらも猫コスやめない澪きゅんマジかわいくね? うちの自慢の"男の子"だぜっ!」
「う、うるさいばかぁ、かわいいって言うにゃー!」
うわぁんと鳴きながら、夏輝の方に肉球を振りかざしそうな澪に、
「男!? マ!!??」
ラビットバニーのバリアが弾けた。
「ぼ、僕は男だよ!!」
悪かったな!! と、恨みっぽい視線を向けて、真っ赤な頬をぷくーっと膨らませ、澪が魔を打ち破る力を込めた杖をより激しく振り回す。
「あ、いたっ。 げ、いつのまにかバリア解けてるじゃん!!」
タンマ、タンマとラビットバニーが言うのも、もちろん素直に待つわけはなく。
けれど、夏輝は素早く腕についた【改造腕時計】のフックワイヤーを澪に向けて放ち、ふわもこ衣装にの襟首に引っ掛けると、巻き取って行く。
どなどなどーなー。
ではないが、大人しく回収される澪を、
「危ないから避難しとけっ」
と言い含めると、夏輝は再びバトルキャラクターズを呼び出し、今度は一斉にラビットバニーへと嗾ける。
澪もまた、≪極めて小さい天使の物量アタック≫で数多くのミニ澪たち(猫耳スペシャルバージョン)を召喚すると、ラビットバニーへと向かわせた。
『あそんでー!』『だっこー』『なでなでしてー』
口々に甘える言葉を発しながら、わよわよ押し寄せてくるミニ澪たちに囲まれて、ラビットバニーの注意は散漫にならざるを得ず。
澪の思考を奪う歌声の力もあって、余計に何かに気付くことは難しい。
その隙を縫って、夏輝は静かに、そして速やかにラビットバニーに接近する。
「かわいい澪きゅんは堪能したろ? それじゃ、お代は頂くぜ!」
至近まで近づいた少年は、ラビットバニーの頭部にロケットランチャーを突きつけると、迷わずそのトリガーを引いた!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
バル・マスケレード
おっしゃ、出たなクソオブリビオ……あ、エモ?
そういや〝こうしろ〟ってアドバイスが……。
(そっと仮面を外す)
(高身長、ガラの悪い仮面の下から現れる美女の顔)
いいのかコレで。
あれ、そういや他の猟兵は好きなものとか語って……。
……ちげーし!!
別に宿主が好きとかそういう意味じゃねーし!!
(ツンデレを発揮する粗暴マスク)
……あ、バリア解けやがった!
なら後はブッ殺すだけだ!
どんなに素早かろうが、未来視がありゃ【見切り】は容易。
動きで翻弄するなら銃を構え、正確な偏差射撃。(【スナイパー】)
接近してくンなら、剣で【武器受け】してからの斬り返しだ。
ああクソ、このキャピキャピしたノリ、ついてけねェ……!
●
ピシピシと、兎面に亀裂が走る。
彼女の象徴ともいえるトレードマークの損傷は、彼女にとっても痛恨であるに違いなかった。
「一度ならず、二度ならず、三度も四度も……っ!! マジ、いい加減にしてよね」
めっちゃ腹立つ。
悔しそうに歯ぎしりする音がした。
「いや、引っ掛かるあーしもあーしだけど」
まったくもってそのとおりだ。
ギャルは意外と冷静でもある。
「でももう、引っ掛かんないから!!」
何度目だろうか、今度こそと宣言した丁度その時に現れたのは、バル・マスケレード(エンドブリンガー・f10010)だった。
「もう、あーし、エモいとか思わねーから!!」
「おっしゃ、出たなクソオブリビオ……あ、エモ?」
出会い頭の宣言に、バルの変わらぬ表情の横、クエスチョンマークが浮かんで消えた。
(そういや、出発前に何かゴチャゴチャと言われたな……)
あれは何と言われたのだったか。
そうだ。アレは――、
「そういや〝こうしろ〟ってアドバイスが……」
どういう意味かは分からない。
だが、アドバイスに従わなかったことが知れて、うるさく言われるのも面倒だ。
バルは、誰かから受けたアドバイスに従い、徐に仮面……自分自身を外させる。
全身を隙間なく黒に包まれた、すらりと高い背の人物。
その人物の顔が現れる。
――喋り方からして、誰に予想がつくだろうか。
その、ガラの悪い、縁起も悪い、そんな心象を与える仮面の下に、これほど美しい顔が隠されていようなど。
「ギャップ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ラビットバニーの壊れた頭部の亀裂から、ぶわっと何か(多分涙)があふれ出した。
「モデル体型じゃん!! 服着せてー!!!」
いやでもまさか男じゃないよね!?
さっきの戦いの流れを引きずってるウサギは尋ねるが、でも、性別がどちらでも美人だからOKです。👍
「いいのかコレで」
何だかよく理解できない敵の反応に、幾分呆然としながらバルが呟いた。
そして気づく。
(あれ、そういや他の猟兵はもっとドストレートに迫ったりとかしてねェか……?)
そう。バルの行動は、これまでの猟兵たちのアピールに比べると、大人しいと言えるだろう。
だが、その分、その行動にはより真実味があった。
出発前のグリモア猟兵の言葉を思い出しながら、何か早まったような気がして。
バルは、ラビットバニーと、どこかに向けて声を上げた。
「……ちげーし!! 別に宿主が好きとかそういう意味じゃねーし!!」
「めっちゃ近くにいるのに、素直になれないヤツじゃん!!!!!!!!!😩😩🙏🙏」
「ちげーっつッてんだろ!! ハッ倒すぞ!!!」
いや、ハッ倒しに来てるんだけどよ!! とか、お互いに混乱した状況ながら、宿主ギャップと関係性のエモによりバリアは爆発四散する。
さすがにそれを見れば、バルも自身の目的を思い出さないわけはない。
ちなみに彼の宿主はずっと覚えていたけど、どうしたものかと見守っていた。
「……あ、バリア解けやがった! なら後はブッ殺すだけだ!」
行くぞ! と催促し、再び顔を自身で覆わせると、バルは宿主と呼吸を合わせ、ラビットバニーへと突撃していく。
「あ、マズ……っ。これ以上はさせないって――……」
うさちゃんカンフーモードに切り替えたラビットバニーが、目にも留まらぬ速さで裏拳を繰り出す。
しかし、“目にも留まらぬ速さ”も、彼等には関係がない。
「〝視えて〟ンだよ……俺達にはなァ!」
既に知る、同じ軌道・同じ速度で迫る拳は、見えているのと同義だ。
【トリニティソード】の腹で拳を受け流し、彼女の体勢が整う前に、再び距離を詰める。
「俺“達”とか、仲良しかよ~!!😩😩」
不意打ちマジ勘弁して~~~。
「うっっっっるせェ!!! いいからさっさとぶっ倒されろや……!!!」
怒りと共に振るわれた剣が、ラビットバニーの胸元を袈裟懸けに斬り裂いた。
傷は深い。
それを見届けると、バルは、後ろへと下がる。
あの傷、もう一手で間も無く彼女が骸の海へ還る事は明白だ。未来を視るまでもない。――しかし、
「ああクソ、このキャピキャピしたノリ、ついてけねェ……!」
どことなく、彼女に勝てなかったような複雑な気持ちで、バルはステージを後にした。
成功
🔵🔵🔴
セリオス・アリス
アドリブ◎
クロウ◆f04599と
剣を左手に右手でクロウを捕まえ手を繋ぐ
何って…
仲良くしてたらエモなんだろ知らねぇけど
お前がどーしてもっていうなら離してやってもいいぜ
ほらどうする?
眉をつり上げ挑発
してみたけどまさかつれるとは
どういう心境の変化だ?
いいやちゃんと付いてこいよ
【青星の盟約】で攻撃力を強化
ああだこうだ言いながらも連携し剣に炎の属性を纏わせ攻撃
一度離れた手を素早く剣を持ち替え今度は左と左で繋ぎ直し
ははっダンスでも踊るみたいだな?
同じ方向を向いた状態から
半時計回りに振り回されつつ攻撃
続けてクロウが攻撃するように今度はクロウを振り回し
扱いが乱暴過ぎねぇ?
そんなんじゃモテねえぞ
楽しげにからかう
杜鬼・クロウ
アドリブツッコミ◎
セリオス◆f09573
ァ?なンだこの手
これはえもじゃねェだろどうみても
俺でも分かるぞやっぱアホの子かよ(呆れ
つーか戦い辛ェだろうがナメてンのかボス戦だぞ
…安い挑発だなァ(逆に手に力込め
離すのはヤメだヤメ(テメェの面見てたら言いなりになってたまるかよって気持ちにもなるわクソ
【煉獄の魂呼び】使用
禍鬼は棍棒でバリアの一点を集中攻撃
バリア破壊後は霆で援護
玄夜叉に黒焔宿し属性・先制攻撃
リズミカルに手繋ぎ変え
遠心力でセリオス振り回す
反動利用し剣で斬る
交互に攻撃繰り出す
絶妙な連携
敵の攻撃は宵闇の歌でカウンター
テメェが俺についてこいや
ハン、モテ1で結構(愉しげ
悪友なこの関係
存外嫌いじゃねェよ
●
「もうこりゃヤバたんだな」
ラビットバニーが、はぁ~っと、大きな溜め息を吐いた。
折角の勝負服も見るも無惨。
斬られ、撃たれ、血濡れている。
「あーあっ! あーしにも背中預けられる仲間みたいのがいたら、絶対負けてねんだけどっ」
無理かぁ。だって、他のやつらも個人主義だしな~なんて。
言っていれば現れたのは、二人組。
それぞれ艶の違う黒二色。セリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)と、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)だ。
強い光を宿し自分を見る目に、ラビットバニーも最後のバリアを展開する。
まるで対のような白と黒の長剣を手にした青年たちに、けれど、近接武器なら自身のキャノンの方が射程で言えば分があると静かに考え。
最初の言ってはどちらからかと考えていれば――、いきなりセリオスがにかりと笑った。悪童のように。
繊細で端正な顔立ちの割に、どうもこの青年の性質は豪胆らしい。
悪戯でも企むような笑みのまま、セリオスは、剣を持っていない方の手で唐突に、隣に立っていたクロウの手を掴んだ……というより、繋いだ。
「ァ?」
虚を突かれたのは、ラビットバニーだけではない。ともに戦場に来たはずのクロウも眉間に軽く皺を寄せ、怪訝な顔でセリオスへと顔を向ける。
「なンだこの手」
「何って……仲良くしてたらエモなんだろ知らねぇけど」
セリオスが瞬きしながら、あっけらかんと言うのを、
「これはえもじゃねェだろどうみても」
クロウが慣れない発音で、きっぱりと否定した。それから、呆れかえった様子で頭を掻く。
「俺でも分かるぞやっぱアホの子かよ」
「は!? アホじゃねーよ。作戦だろ、さ・く・せ・んっ」
「つーか戦い辛ェだろうが。ナメてンのかボス戦だぞ」
テメェの作戦で枷作ってちゃ世話ねェぜ。クロウが言えば、セリオスがほほーう等と言いながら、眉を上げ、目を細めて彼を覗き込んだ。
「ま、お前がどーしてもっていうなら離してやってもいいぜ?」
ほらどうする? お願いしてみろよ。
言って、繋いだ手を視線の高さに上げ、ほれほれと見せつけるように動かす。
目の前で踊る組んだ手には一瞥もくれず、セリオスをねめつけていたクロウが、一つ短く息を吐くと、ぐいっとその手を引っ張った。
「……安い挑発だなァ。離すのはヤメだヤメ」
思わぬ手の動きに、おっと、と、セリオスの状態が傾ぐ。
少し低くなった視線で、クロウを見上げて、また目をぱちぱち瞬きした。
「おっと、まさか釣れるとは思ってなかったが……どういう心境の変化だ?」
「うっせェ。ボスの前でいつまでも喋ってらんねェだろうが」
(テメェの面見てたら言いなりになってたまるかよって気持ちにもなるわ、クソ……)
悪態は胸中だけで吐いて。
そんな胸中知ってか知らずか、夜色の青年は改めて剣の柄を握り直すと、その切っ先をラビットバニーへ向けて言った。
「ま、いいや。ちゃんと付いてこいよ」
「そりゃコッチのセリフだ」
男の身に着けた鎖が一斉に、ジャラリと鳴いた。
●
「星に願い、鳥は囀ずる。いと輝ける星よ、その煌めきを我が元に――さあ歌声に応えろ、力を貸せ!」
セリオスの詠唱と同時、最後の戦いが幕を開ける。
息の合った足取りで、一気にラビットバニーへと距離をつめようとするが、先制は必ずラビットバニーの側にある。
赤べこキャノンの砲弾がセリオスへと飛翔し迫る!
「オラよ」
不愛想に言って、クロウがセリオスの手を引いた。
くるりと回って華麗に赤べこキャノンの一撃を避ける。
「コレで貸し1な」
ニヤリと笑うクロウだったが、今度はクロウの足元の花々が散り始めた。
ラビットバニーの≪おはなハッキング≫による、足場の操作だ。
それを見るや、セリオスがクロウの手を引き、足場が崩れきる前に、彼を前へと誘う。
後ろを振り返り、セリオスはしてやったりといった表情で、
「コレでさっきの貸しはチャラだからな」
言い返す。
その勢いのまま、二人揃ってラビットバニーへと肉薄した。
「杜鬼クロウの名を以て命ずる。拓かれし黄泉の門から顕現せよ!贖罪の呪器…混淆解放(リベルタ・オムニス)──血肉となりて我に応えろ!」
クロウが唱えると、ユーベルコード≪煉獄の魂呼び≫によって禍鬼と呼ばれる悪鬼が召喚される。
鬼はクロウの意のままに、ラビットバニーのバリアの一点を集中的に攻撃し始めた。
「言っとくけど、あーしのバリアは、そんなんじゃ破れねーから」
彼女の『絶対無敵バリア』は名前の通りの『絶対無敵』。
同じ一点を攻撃しても穴が空くことはなく、全身を同時に攻撃しても結果は同様だ。
続け、セリオスが白光の星を集めたような美しい剣に炎の力を宿して、ラビットバニーへと横薙ぎに振るう。
「それも効かねーし!」
剣の斬撃も敢え無く弾かれる。
剣を振った遠心力で、一度、繋いでいた二人の手が離れた――かと思いきや、すぐさま、今度は位置を入れ替えて、またしかと、今度は互いの逆の手で繋ぎ直される。
円を描くようにぐるりと二人して回り、次はクロウが【玄夜叉】に黒の焔を宿してラビットバニーに斬りつけた。
ダメージはない。だが、
「これってまるで……」
ラビットバニーも気づいたようだ。
セリオスが楽しげに笑い声をあげた。
「ははっ、ダンスでも踊るみたいだな?」
鳥の声は歌うよう。
敵の無粋は【宵闇の歌】が掻き消して、夜と闇は音楽さえも引き連れ舞う。
足音、手を繫ぎ直す音、剣戟、そして二人の遣り取り。
全てが全て、音を編み、戦いの中にあって、その様は伸びやかで楽しげに。
「うっ、こんな……こんな……っ」
ラビットバニーに動揺が走る。
二人の息の合ったコンビネーションと、合間合間の煽り合い。
一人が一人を振り回しては、やれもう少し優しくだの、やれ我慢しろだの軽口叩き。
そしてそれが互いに互いを強く信頼していることから生まれている事は、拳を交えているオブリビオンにも伝わる。
気心知れた仲だからこそのじゃれ合いとダンス……この関係、間違いなくエモ!!
「あ、まずい、だめだって……!!」
抵抗空しく、バリアは砕け散る。
クロウがここぞという攻め時を逃す筈も無い。切れ長のオッドアイの視界の端、ラビットバニーの隙を見止めるや否や、少々乱暴にセリオスをラビットバニーに向けて、放るように引っ張った。
「おっと……悪いな、此処で散ってもらうぜ!」
セリオスが一の太刀を入れ、続けてクロウがセリオスの斬撃と斜め掛けになるような剣閃でラビットバニーを斬り捨てた。
それが致命の二撃となり……ラビットバニーの体は崩れ、黒い霧となって骸の海へと沈む。
戦いが終わったことを知り、セリオスが剣を仕舞うと、片手のみで大きく天井に向けて伸びをした。
「ふーっ、終わったな。……しっかし、扱いが乱暴過ぎねぇ?」
片目細めて言うセリオスに、クロウは喉奥をくっと鳴らして応じる。
「十分だろ。テメェが俺についてこいや」
「そんなんじゃモテねえぞ」
「ハン、モテ1で結構」
欲しいモンは自分で手に入れらァ。
憎まれ口叩く様子に、セリオスが笑って。
クロウは密かに、それが心地よいと感じる。
「オラ、さっさと行くぞ」
「あ、おい、ちょっと待てよ!」
クロウが先に立ち、急かすように手を引いた。
ラビットバニーとの戦いは終わったが、戦争はまだ続いている。猟兵たちに休んでいる暇はないのだ。
手を引き合うおかしな青年二人組はステージを後にして……さて、いつ手を離すかとは思うものの、まァ、このステージを出るぐらいまでは繫いどくか、等と互いに思いながら。
●
ラビットバニーが復活できなくなっても、ラビットバニーとィェーガーゎズッ友だょ!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴