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雪花舞う湯けむり慕情

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●見つけたのは源泉
 いつもとは違う草原――とはいっても雪がうっすらと積もっているから、じきに雪原か――に子牛のジョーを連れてきたのは、ただの気まぐれだった。
 そこで見つけた小川の上流へと向かってみたのも気まぐれだった。

 ぽこん、ぽこ……。

 だからこそ、青年は喜びに目を瞠って歓声を上げたのだ。
 存外近くにあった上流の最終地点が泉で、そこから立ち昇る湯気に驚き、牛の尻を撫でまわした。
「見ろよジョー、温泉だ! コレ、金になるぜ、ィヤッホーウ!」
 ハタ迷惑そうに牛の尾がぶんぶん振りまわされていることなんぞ気にも留めない青年は、金儲けの算段を立て始めた。
 温度は適温から少し熱いくらいか。
 湯量は小川が出来るほどだ、申し分ない。
 泉底までの深さを測るために、近くに生えていた木の枝を折って突っ込んでみた。
「宝だ……ぜんぜん深くない……!」
 ぶんぶんぶん……。
 興奮する青年と牛の尾だった。
「温泉が崩れないように石と岩で補強して、街道を整えて、それから着替え小屋を建てりゃ、人を呼べるんじゃねえかな! ジョー!!」
 村が潤うぞー! と喜色満面の青年だった。

●グリモアベース
「こう寒くなられちゃ、温泉に入りたくなんねえか?」
 鳴北・誉人は猟兵を呼び止め、視た予知のことを話し始めた。
「おめえらに向かってもらいてェのはアックス&ウィザーズ世界だ。
 遊牧中にたまたま見つけたらしい温泉を、まるっと村の観光名所にしようとしてるみてェなんだが、人が集まるところにゃ山賊が現れる……ってんで、街道を整備してる最中に山賊どもが村人を襲いに来る。
 おめえらにはそれを阻止してもらいてえンだ。
 村からはちょっと離れた場所で、そこそこ見晴らしのいい草原……つーか、小雪が降ってっからそろそろ雪の原になりそうなんだが、まあそこまで視界は遮られねえだろうから、戦いやすいンじゃねえかな。
 斧を持ったヤツが三人、ハンマー持ったヤツが二人、鉈を振り回すヤツが二人と、あと……えっと、なんか素手で殴りかかってくる怪力ヤローが三人――全部で十人だ。
 特別火ィ噴いたり、電気を発生させたりっていうような魔法は使わなさそうだし、連携してどうこうとか、そんなこともしねェ単細胞の寄せ集めって感じだな。
 けど、そこそこ力は強ェから気ィ抜くンじゃねえぞ。
 今から向かえば、村人たちを死なせずに済むだろう。一応用心棒的な冒険者を雇ってはいるみてェだが、荷が重そうだしな。
 戦闘が始まりゃ、村人はその用心棒が退避させてくれっから、おめえらは山賊どもに集中してくれ。
 あとな、ドラゴンがたまに目撃されるらしくって、山賊どもはそのドラゴンの行くとこ行くとこついて回ってンじゃねえかってウワサもあるくれェだから、そっちにも一応気ィ張っとけよ」
 誉人はそこまで説明して、仄青く光る球型のグリモアを出現させた。
「討伐が終わったら温泉にでも入ってこいよ。温泉の整備だきゃァ終わってるみてェだし、息抜きだ、息抜き。俺も入りてェけど――あァっ、そうだ!」
 悪人面たらしめる三白眼をさらに細めて、誉人は、
「わかってるとは思うが、素っ裸で入ンじゃねぇぞ。
 水着はぜってェ着て入れ。コンプライアンス的にマッパはヤベえからな」
 言い終えて彼はグリモアを光らせる。そしてようよう笑った。
「頼んだぜ」


藤野キワミ
最近、大体の事象に「平成最後の」という枕詞がついて回りますね、藤野キワミです!
温泉に入りたい温泉に入りたい温泉に入りたい……という怨念じみた思いでシナリオ運営します。
さあ、どんとこーい!

▼三章の日常パートについて
とくに水着着用のプレイングがなくても藤野がマスタリングしてスタンダード水着を着用済みにします。
こだわり水着の場合のみご指定ください。
また三章のみのご参加でもかまいません。お連れ様がいる場合迷子にならないよう【チーム名】を決めるか、名前(f0000)といった記載をください。
むろんおひとりでのんびりされてもOK!
(誘われた場合だけ、ナルちゃんが現れます)

それでは、ご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

雛菊・璃奈
「温泉…それは至高の存在…」という事で温泉に釣られてやって来た呪い巫女。

周辺の地図を確認し、村の人達や冒険者達に作業場所近辺で襲撃や潜むのに適している箇所やこの辺の山賊の情報を確認…。余所者で協力を渋られそうなら【誘惑】活用…。

敵の潜伏目星が着いたら、同行してるメンバーに共有…。高所の全体が見渡せる場所に陣取り、敵潜伏地点へと【呪詛】を込めた【フォックスファイヤ】を発射…。焼き払うと同時に接近し、後は【呪詛】【衝撃波】【なぎ払い】【生命力吸収】を使用し手持ちの妖刀、魔剣で敵を葬っていくよ…。敵の攻撃は【カウンター】【オーラ防御】の魔剣アンサラーで跳ね返す…。

「温泉の邪魔はさせないよ…」


四王天・焔
【狐姉妹】のメンバーで参加

■心情
温泉かぁ、楽しみだなぁ。
楽しい温泉を満喫するためにも頑張るよ。
お姉ちゃんたちと一緒なら百人力だよ♪

■行動
SPD判定の行動を行う。
ガジェットショータイムでガジェットを強化するね。

とりあえず、一番近くに居る相手にガジェットと「すけーぷふぉっくす」を
使用しつつ攻撃していくね。
囲まれない様に、お姉ちゃん達と少し散会するようにして
燎お姉ちゃんか、燦お姉ちゃんが囲まれたら
その敵を優先して倒す様にするね。

「フェイント」を織り交ぜて「2回攻撃」で確実に攻撃を当て、
「見切り」を駆使して、敵の攻撃は避けるように頑張るよ。


揺歌語・なびき
温泉!
うんうん、行かなきゃ損だよねぇ
あ…その前にお仕事か
いやいやきっちりがんばるよ

じゃあ、ちょっと今からうるさくなるよ
耳、塞いでてね

皆を巻き込まないように山賊の集団に突っ込むよ
他の猟兵や村人達から十分距離を離れたのを確認したら人狼咆哮
【傷口をえぐる】【呪詛】【恐怖を与える】【2回攻撃】活用
纏めて薙ぎ払って、すぐ倒せるようにしたいよねぇ

素早さを活かしつつ敵の攻撃は【見切り】で躱すよう意識

猟兵同士の連携重視
味方が攻撃の隙を突かれぬ為に【援護射撃】で記憶消去銃による一撃

どうせお前達
ろくなことして生き延びた訳じゃないんだろ?
此処で死んでもよくないか、なぁ?
…それは村人も困るか
じゃ、ギルドに引き渡そっか


四王天・燎
チーム【狐姉妹】


「まったく何処にでも山賊と言うのは沸いて来るのよねぇん、早く温泉に入って一杯やりたいわぁん♪」

【WIZ】
技能【誘惑5】を使い敵の意識を此方に向ける
「盗賊さぁん、私と一緒に遊ばなぁい?♪(胸元と太股見せつつ)

集まってきた所にUC【四神・朱雀】技能【範囲攻撃5】【高速詠唱1】を使い広範囲に攻撃
「山賊は私が暖めてあげるわよぉ~♪火傷しちゃうかも知れないけどねぇん」


燦・焔に攻撃が当たりそうな場合は技能【オーラ防御5】【かばう】等使用し身を挺して守る
「私の可愛い妹に手を出すのは駄目よぉ…骨にしちゃうわよぉ」

燦が山賊から物を奪いそうなら煙管で手を叩いてお仕置き
焔には抱っこして頭を撫でる


四王天・燦
【狐姉妹】で一緒に温泉…じゃなくて村を守りに行くぜ。
真のお目当ては竜の牙とかだけど(にや)

「先生お願いします…村人の避難を」
テンプレ台詞に続けて用心棒に避難を頼む

「あり金全部置いて逃げるなら命は…ってこいつらもオブリビオンなんだな」
礫を残像を残しながらの左右ステップで避けながら接近して、腹部を抉るようなシーブズ・ギャンビット

一応残酷なやり方はしないつもりだけど…焔に一撃でも浴びせたら話が変わる。
刀を捨てた軽装モードで、射撃モーション見切ってダッシュで接近。多少の被弾は構わねえ!
頚動脈を捌いて派手に血の雨降らせて、他の山賊どもをびびらせるぜ。
「足が震えて止まってんぜ?それじゃあ姉貴の術の的だな」


明石・真多子
うわ~寒い!身が締まるね!
温泉楽しみだな~。ゆでだこになるまで入るよ!

まずは山賊のところに向かえばいいのかな?
だったら【八足歩行の術】を使って大急ぎで現場に向かうよ!

現場は視界が結構通ってるみたいだね。
でも雪があるなら好都合!
【姿隠しの術】を使って全身の体組織を変化させて風景に溶け込みながら、素早く動いて相手の死角から音もなく『暗殺』の触手でキュッと締め上げるよ!
これが軟体魔忍流の戦い方だよ!

他の人への『援護射撃』としてタコスミで『目潰し』も狙っちゃおう!

他の人とも歓迎!改変もしちゃっていいよ!


アルトリウス・セレスタイト
働き者だな。感心はしない方向だが

破天で掃討
高速詠唱と全力魔法で目に映る敵性個体へ無差別に弾幕を叩きつける面制圧攻撃
出し惜しみはしないぞ。遠慮しなくて良い

味方へ当てない程度には撃つ方向を考える

万一危険な味方がいたら回廊で安全な場所へ


エルフィ・ヴェレキア
チーム【サードムーン】で参加
アドリブ可
おんせーん!楽しみー!
よーし皆、今回も頑張ろー!

とりあえず山賊さんたちはいっぱいいるみたいだから、
バトルキャラクターズでゲームの皆に囮とか足止めとか攻撃とかいっぱい頑張ってもらうの!

あたしは後ろからいっぱい応援するね!
マリオンくんも猫さんもがんば♪がんば♪


マリオン・ペンタグラム
【サードムーン】の皆と行動します

頑張って村を発展させようとしてる人たちを襲うなんて…
そんな理不尽許せません。山賊なんて愚か者は退治します

こういう相手は力で捻じ伏せるのが一番効果的なはず
エルフィさんのバトルキャラクターが数的有利を作り出してる間に
私は斬り込んで敵に圧力を掛けます

トリニティ・エンハンス、攻撃力を重視して強化
強化した属性攻撃で叩き斬ります
私を子供だからと油断して見てくれれば丁度いいです
傷を負わせた敵には傷口をえぐるように重ねて攻撃します

逃げるなら追いませんが、向かってくる限り容赦しません


リース・フェンディット
【サードムーン】の皆と参加
召喚したライオンに乗って暴れまわる
エルフィのバトルキャラクターで数の優位を作りつつ、味方の数が減る前にマリオンと連携して確実に敵の数を減らしていく
狙われた時はなるべくバトルキャラクターを盾にして反撃
サイズの小ささを利用して上手く立ち回る
「邪魔ニャー!!」




 テレポートしてきた雛菊・璃奈は到着するなり目に飛び込んできた光景に、驚きを禁じ得なかった。
「応援がきたー!!」
 荷馬車が通り易くするために整地しながら進む村人と、彼らを守る中年の冒険者の男は、彼女らの姿を見て応援がきたと諸手を挙げての大歓迎だった。
 ――むろん、整地を手伝うために召喚されたわけではない璃奈は、小さく苦笑を漏らした。
 事情を説明すれば、それでも彼らは実に協力的で、肩透かしを食らった気分だ。
「まったく、働き者だな」
 アルトリウス・セレスタイトは、少し呆れたように呟いて、草原を見渡す。
 雪はちらちらと降っている。うっすらと積もり始めた。グリモア猟兵の言っていた山賊どもを哨戒し、どこからでもかかってこいといわんばかりに、隙なく気を張った。
(「協力を渋られるよりいいわ……」)
 璃奈は胸中で独りごちた。
 街道が敷かれる予定の草原は至極見晴らしが良いが、死角がまるでないわけではなかった。
 中年男の冒険者――カルロスと名乗って、快活に笑っていた――から、地図の提供を受け、周辺の地形を読む。
「おお、山賊なあ……あいつら言葉が通じてないんだよな、根本的に」
「どの辺りから来そうか分かればありがたいけれど……」
「そうさなあ……皆目検討もつかん!」
 カルロスはガハハッと楽観的に笑っていた。
 至高の存在たる温泉に釣られてやって来た身としては、気兼ねなく心置きなく温泉を堪能したいのが本音だ。
 いかんともしがたい脱力感に襲われそうになる。
「来たぞ」
 アルトリウスの鋭い声が、緊迫を知らせる――璃奈は《妖刀・九尾乃凶太刀》を瞬時に構えた。
 まばらに生える木々の陰から、わらわらと姿を現してくるのは、薄汚れたボロを纏って各々好き好きな武器を携え、破壊情動に爛々と目を光らせる山賊の群れだった。
 先手必勝。
 璃奈の呪詛が編み込まれた狐火が炸裂――十数個の狐火は山賊にあるいは少し外れて着弾、火炎を逆巻かせた。それを璃奈は疾駆しながら確認した。
「遠慮はなしだ」
 アルトリウスの煌然たる青い魔弾が雨あられと突き刺さっていく。直撃したハンマーの山賊が息絶える。
「先生お願いします……村人の避難を」
 あわあわと慌てふためきながらも抜刀して、街道整備に勤しむ村人たちを背に庇うカルロスに、四王天・燦はニヤリと笑った。
「あり金全部置いて逃げるなら命は……ってこいつらもオブリビオンなんだな」
 チンピラ然とした言葉を漏らすも、彼女は思い出した。この山賊どもは、ろくなものを持っていない。
「まったく何処にでも山賊と言うのは沸いて来るのよねぇん、早く温泉に入って一杯やりたいわぁん♪」
 悠然と尾を揺らして、四王天・燎。
「温泉かぁ、楽しみだなぁ」
 四王天・焔は二人の姉とともにいる安心からか、のんびり構えていた。
「焔、あんまり気を抜くなよ。まあ、なにがなんでも守ってあげるけど」
「はぁい」
「温泉を楽しむためにもしっかり働きましょうねぇん♪」
 長姉の言葉に妹たちは返事をする。
「盗賊さぁん、私と一緒に遊ばなぁい?♪」
 やわらかそうな胸元と、むちっと張った太ももをチラつかせて、山賊どもの意識を燎へと向けようとする――が、趣向が違ったのかそっぽを向かれた。
「姉貴が相手にされてねえ!」
 ケラケラ笑いながら、燦が疾駆――燎を無視した鉈ヤローへ《アークウィンド》を一閃させた。
 転瞬、山賊どもの下卑た叫び声が草原に響き渡る。ぐうっと喉の奥で唸ったが、動けないほどのダメージを食らったわけではない。
 焔は、ガジェットショータイムで変形させた魔導蒸気機械をしっかり構えて、《すけーぷふぉっくす》を抱いて、姉たちとは少し離れ、散り始めた山賊の一人へと死角から接近――が、山賊は振り返りざまに、斧をぶん回してくる。
 寸でのところで跳び退ったが、二の腕がさっくりと斬られた。
「焔!? てンめえ!!」
 眼前が血の色に染まったようだった。燦は投擲された礫を躱さず、勢いのまま刀を捨て、身軽になって斧山賊へと肉薄――目にも止まらぬ速さで、斬撃を閃かせる!
 額を己の血で濡らし、全身に返り血を浴びてゆらりと立ち上がるさまは鬼気迫るものを感じさせた。
「足が震えて止まってんぜ? それじゃあ姉貴の術の的だな」
「バラしちゃだめよぉ……燃やして骨にしちゃんだからぁ」
 可愛い妹たちを傷つけた罪は重い。断罪の爆炎が燎から噴き上がり、頰にだけ刻まれた笑みは背筋を凍らせる。
 神火を纏った燎は、火炎の旋風を巻き起こし、山賊を飲み込み燃焼させる。
「あなたの姉さんたち……、すごいのね……」
 璃奈がこっそり近づいて、己より小さな妖狐に話しかければ、焔は目を丸くしていたが、すぐに破顔した。
「はい、世界一のお姉ちゃんです♪」
 残った山賊は、あと七人。


「温泉! いや、その前にお仕事か。いやいや、きっちりがんばるよ」
「うわ~やっぱり寒い! 身がしまるね!」
 ぶるりと身を震わせた明石・真多子と揺歌語・なびきは、冒険者カルロスを振り返って、
「もっと離れておいたほうがいいかも!」
「今からもうちょっとうるさくなるし、耳塞いでてね」
 村人を守るカルロスは、何度も頷いて、「よーし、みんな! 一旦帰還!」と撤収の準備を促した。
「オレじゃ、どうにも……頼みます」
 なびきは手を上げて応え、山賊どもを見据えた。
「温泉楽しみだな~。ゆでだこになるまで入るよ!」
 【八足歩行の術】を使って、斧を持った山賊に肉薄した。奇声を上げながら斧を振り回してきた。
 瞬間、斧山賊は耳を押さえ倒れ伏した。
 苛烈な咆哮を上げたのは、なびきだ。喉を破らんとするほどの激しさに負けじと、ハンマーを担ぐ山賊も、絶叫した。
「くっそ、うるさいな……!」
 なびきは耳を劈く絶叫に眉根を寄せるも、その叫びは途中で切れた。
 いつの間にか真多子が、ハンマー山賊の背後をとり、首を締め上げていたのだ。
「ふふん、これが軟体魔忍流の戦い方だよ!」
 どうだ! と、力を誇示した真多子たちの活躍を見て、ギュッと拳を握り気合いを入れたのは、マリオン・ペンタグラムだった。
「がんばって村を発展させようとしている人たちを襲うなんて……そんな理不尽許せません。山賊なんて愚か者は退治します」
「よーし皆、今回も頑張ろー!」
 エルフィ・ヴェレキアは心を温泉に持っていかれているが、それでもしっかりと山賊どもを見据え、バトルキャラクターズを召喚して、派兵させた。
 その横を金色の獅子が駆けていく――獅子を駆るのはリース・フェンディットだ。
「行くニャー!」
「猫さん、がんばれ! フレーフレー♪」
 エルフィのエールを背に、リースは《銀のホイッスル》を光らせた。
 同じ旅団に属する三人は、チームワークをいかんなく発揮させて、山賊どもを翻弄する。
 その連携の後押しをするのが、アルトリウスの魔弾であり、璃奈の狐火であり、真多子の忍法と、なびきの剣技だった。
 下卑た奇声を草原に木霊させる山賊に、マリオンは顔をしかめたが、《ルーンソード》をくるりと回し、トリニティ・エンハンスで攻撃力を高めようとした。
 だが、思うほど効果は得られなかった――それでも彼は、エルフィの生み出したバトルキャラクターをうまく利用して、斬り込んでいく。
「マリオンくんもがんば♪ がんば♪」
「はい!」
 エルフィの声に律儀に返事をして、ぶん殴ろうと振りかぶっていた山賊の拳を躱して、リースが影から飛び出してくる。
「邪魔ニャー!!」
「油断してますか? 上等です!」
 負わした傷をさらに抉るような二人の息の合った攻撃に、素手の怪力山賊は絶命した。
 瞬間、リースに向かってもう一人の素手山賊が襲いかかってくる――
「猫さん!」
 エルフィの操る戦闘用のゲームキャラクターが彼と山賊の間に入り込んで、なびきが《記憶消去銃》から光線を発射させ、それは二条の光となって山賊を貫いた。
「大丈夫かな?」
「はい……、あぶにゃかった……」
 リースは、ほっと胸を撫で下ろして、なびきに短く礼を述べた。
 マリオンは獅子に跨る彼を心配したが、きっと燃える双眸を見て、杞憂だったと赤瞳を伏せ笑んだ。次に前を見据えたときには、その笑みは消えていて、しぶとく動き回る山賊を睨めつけた。
「多勢に無勢? なんとでも言え」
 アルトリウスの静かに言い放ち、隙なく武器を構える。
 あと三人。


「温泉の邪魔はさせないよ……」
 璃奈へ向かって山賊は鉈を振り下ろしてきた――が、それを《魔剣アンサラー》で受ける!
 ギィイン!
 耳障りな音がした。僅かに動きを止めた山賊へ、焔のガジェットが火を噴く!
 事切れた山賊からすぐさま視線を外して、次を見れば、
「出し惜しみはしないぞ」
 アルトリウスの魔弾が降り注ぎ、
「これがタコウォークだよ! タコスミも吐けるよ、試してみる!?」
 死角からどこからともなく現れた真多子の、鞭のようにしなる蛸足がしたたかに打つ。
「どうせお前達、ろくなことして生き延びた訳じゃないんだろ? 此処で死んでもよくないか、なぁ?」
 とはいえ、村人の邪魔にならないように配慮はするつもりだ――胸中で付け加えた。それは山賊のあずかり知らぬこと。厳しく詰責したなびきの光線銃が山賊を焼き貫いていく。
 今際の際にやけくそ気味に投げつけられた礫が、猟兵たちを守るゲームキャラクターを撃ち抜くも、燎と燦の妖狐姉妹による連携攻撃が逆に山賊を燃やして切り裂いた。
「あらあらぁ……終わったのかしらぁん?」
 うふふと妖艶に笑む燎は、末妹を呼び抱き上げ、頭を撫でて労った。
 燎が焔をかまっているのを横目に、こっそりと転がった山賊のボロを剥こうと手を伸ばしたとき、見覚えのある煙管が見えた――かと思った瞬間、
「いてっ」
「おいたはだめよぉ、燦」
「姉貴……や、なんもしてないって!」
 姉は、にっこりと凄絶に笑んでいた。
「どうかしたか?」
「……聞こえないか?」
 眉間に皺を刻み、どんよりと垂れこめる曇天を見上げたアルトリウスを怪訝に思い、なびきが声をかける。
 逆に問われて、彼も耳を澄ましてみた。
 唐突に訪れる静寂は、耳に痛いほどだった――が、次の瞬間、ちらつく雪をかき混ぜ舞い上げるような突風が襲いくる。
「花びら……?」
 エルフィが小さくつぶやき、その小さな手に舞い降りた白いものを見て、首を傾げた。
「……こいつは、!」
「真打ち登場ってか!」
 喜色満面に《アークウィンド》を構えた燦だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●現れたのは飛竜
 いつも付き纏っていた山賊どもの、ついぞ聞いたことのない絶叫にグラスアボラスは、怪訝に思い、小雪舞う草原に降り立った
 ――否、それはいささかロマンに溢れていたか。
 ただただ偶然にその場に居合わせ、気まぐれに降り立っただけかもしれない。
 それはイェーガーたちの預かり知らぬところだった。
 だが、息吹の竜は紛れもなく眼前にいて、下草を著しく成長させて青い小花を咲かせている。
 気だるげに見えて、その実、金色の双眸から発露される殺気じみた気迫が、猟兵たちに緊張を走らせる。
 吐息に吹かれて、星桔梗たちはざわめき短い生を終えていく――
 グラスアボラスは、一歩、重い足音を響かせて猟兵へと進み出た。
エルフィ・ヴェレキア
チーム【サードムーン】で参加
アドリブ可

わぁ、何だか可愛らしいドラゴンさん?
でもやっつけなきゃなんだよね?
じゃあ今回もバトルキャラクターズでゲームの皆に頑張って貰っちゃおう!
頑張って引き付けるから、マリオンくんと猫さんは後ろからお願いね?
あ、そういえばゲームの皆って合体できるんだよね。
ドラゴンさんこっちに引き付けなきゃだから、合体して頑張って!


マリオン・ペンタグラム
【サードムーン】の仲間と行動

盗賊の次はドラゴンって……
全く、こんなのが近くにいては村人が安心できません
ここで倒してしまいましょう

エルフィさんがバトルキャラクターで注意を引いてる間に
素早く背後側に回り込んで攻撃を仕掛ける
特に首の動きに注意してブレスの直撃を受けないようにします
リースさんが攻撃されそうになったら庇います

【血統覚醒】を使用、いわゆる本気モードです
背後から【属性攻撃1】を行い、続けて【傷口をえぐる1】
傷を負った箇所を狙って攻撃を重ねます
優先して狙うのは片側の翼の根元か足首、敵のバランスを崩します
実のところドラゴンと戦うのは初めてですが、ひるんだりしませんよ!


リース・フェンディット
引き続き【サードムーン】のみんなと参加
「でかいニャー」
ライオンライドで召喚したライオンに乗って攻撃
エルフィのバトルキャラクターに正面からの攻撃は任せて、それを囮に小ささと素早さを武器に相手の攻撃範囲を見極めながら隙を見て一撃離脱で戦う
余裕があれば、敵の行動や味方の攻撃を見て相手の弱点を探る
アドリブ可



「盗賊の次はドラゴンって……」
 マリオン・ペンタグラムが静かな闘志を燃やして、《ルーンソード》を構えて、一歩を踏み出したドラゴンを見据える。
「わぁ、なんだか可愛らしいドラゴンさん? でもやっつけなきゃなんだよね?」
 小さな体のエルフィ・ヴェレキアには殊更大きく感じた。
「でかいニャー」
 こちらもまた小さな体のリース・フェンディット体だ。彼も息巻くドラゴンを見上げて、感心してしまい、違う違うと首を振った。
「こんなのが近くにいては村人が安心できません。ここで倒してしまいましょう」
「そうだね! よーし、頑張ってこー! おんせーん!」
 エルフィの掛け声は底抜けに明るくて、バトルキャラクターたちが召喚されて、ドラゴンへと勇猛果敢に駆け出していく。
 温泉への情熱が溢れ出ていた。
「正面からは任せて、マリオンくんと猫さんは後ろからお願いね?」
 その指示に、リースはこくりと頷いて、金色のライオンを駆って草原を奔る。
 ゲームキャラクターの軍勢が大挙してグラスアボラスへと進軍――竜が軍勢を目で追い始めたのを確認してリースは死角へと回り込む――が、眼前に舞い上がったのは竜胆の花弁。
 颶風に巻かれ、小さくも鋭利な凶刃たる無数の花びらはリースと軍勢を飲み込んだ。
 体のあちこちお切られていく激痛に、リースはぐうと唸って、ライオンから転げ落ちた。
「――ッ? マリオン!?」
 肩をしたたか打ち付け、次の攻撃への対応が遅れた――とほぞを噛み、衝撃に備えた瞬間、リースは驚きに目を瞠った。
 見上げた先には、【血統覚醒】したマリオンがリースを背に庇い、ドラゴンと対峙していたのだ。
「大丈夫ですか? 立て直してください、守ります」
「助かったニャー! すぐに、」
 言いかけたリースだったが、ドラゴンの息吹が放たれる方が早かった。それを呪詛が編み込まれた外套で受け流し、
「本気でいきます」
 実のところ、ドラゴンと戦うことは初めてで、やや緊張はしていたが仲間が攻撃されたことでその緊張も吹き飛んだ。
「ひるんだりしませんよ!」
 普段のまるい雰囲気のマリオンからは想像しがたい苛烈な覚悟の発露――彼に全力で答える気なのか、グラスアボラスも生命の息を激しく吐いた。
 撒き散らされる凶悪な竜胆の花びらに斬り刻まれたバトルキャラクターたちが消えていく。
「あわわわわ……あ! そういえば……!」
 もう一度喚び出されたエルフィのバトルキャラクターたちが次々に合体していく。
「ドラゴンさんをこっちに引き付けなきゃだから、合体して頑張って!」
 マスターの声に敢然とファイティングポーズを取って、グラスアボラスへ立ち向かい、強烈な右ストレートをドラゴンの左顔面にぶち込む!
「やっちゃえー!」
(「がら空きだニャ!」)
 ライオンに飛び乗ったリースは巧みに獅子を駆ってドラゴンの背後から、ライオンの強烈な爪撃と《からくり人形》による刺突が決まる。
 一瞬できた隙――リースに視線をやった瞬間を狙うように、マリオンが疾駆――鋭く息を吐いて、真新しい傷口をえぐる!

ふおぉぉぉぉお……ん!!

 形容し難い苦悶の声を上げた。
 グラスアボラスは、足元の己の血で濡れた草々をあっという間に花畑に変えて、その場だけ春の様相を呈する。
 グラスアボラスは、猟兵たちを狩ることを、諦めていない。金色の鋭い双眼が物語っていた。
 次こそはバランスを崩させ、戦闘を有利にすすめようと、真紅に双眼を爛々と輝かせて、マリオンは《ルーンソード》を操る――が、その一撃ではグラスアボラスを地に引き倒すことはできなかった。
「マリオン、下がるニャー!」
「リースさん!」
 鬼気迫るリースの声。疾る金色の残滓――その小さな体躯から放たれる猛烈な衝撃に、ドラゴンは大きく仰け反った。
「いっけー! がんば♪ 二人ともファイトだよぉ!」
 エルフィの声援は、二人に笑顔を取り戻させ、背中を押してくれる。
「やりましょう、リースさん!」
 二人は力強く頷き合って、ドラゴンに挑みかかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

雛菊・璃奈
【呪詛2】を込めた【unlimited】による一斉射と、同じく【呪詛】を込めた九尾乃凶太刀からの【2回攻撃】【生命力吸収】【衝撃波】で敵の翼、根元を集中攻撃…。機動力を奪って逃走を防ぐよ…。

機動力を奪った後は【unlimited】を再展開…。ブレスのカッターとガーデンの花びらは【unlimited】の連射で相殺しつつ遠距離から押し切る…。フィールドは作られた花畑に【呪詛】を込めた剣を突き刺して侵食させて破壊するよ…。
防御は【オーラ防御】【カウンター】の魔剣アンサラーで反射するよ…。

「呪いの剣よ…その花畑を呪詛で侵せ…!」
「わたしの呪いの剣達…彼の竜をその呪いにて沈めよ…!」


揺歌語・なびき
これはまた…うーん
思ってたより随分かわいい見た目だね
大きさはかわいくないけどさ

おれは咎力封じで敵の動きを封じよっかな
皆の攻撃が当たりやすくしたいしね

【目立たない】ように岩場や物陰に隠れつつ
素早く拘束ロープで竜の足や翼を拘束
タイミングを見計らって手枷や猿轡も次々投げてくよ
【傷口をえぐる、呪詛、串刺し、2回攻撃、援護射撃】活用

敵の攻撃には【見切り】で躱すよう意識
連携重視で確実にダメージを与えていこう

きみには申し訳ないけど
おれも温泉であったまりたいんだよね
ああ、赦してもらうつもりはないから、いいよ
そのままゆっくり、眠りなよ
さよなら、花の降る竜



「これはまた……うーん……」
 苦笑交じりに呻く揺歌語・なびきは、共に戦う猟兵たちが立ち回り易くなるようにと【咎力封じ】による拘束を試みる――ロープが絡みつき、嫌がるようにドラゴンは翼を大きく羽ばたかせて逃れようとする。
「わたしの呪いの剣達……彼の竜をその呪いにて沈めよ……!」
 呪詛を纏わせた《妖刀・九尾乃凶太刀》を寸分の隙なく構えた雛菊・璃奈は、なびきの作り出した好機を逃さず、銀瞳を静かに燃やした。
「わたしに、力を……『unlimited curse blades』……!!」
 璃奈の魔力で生み出された無数の刀剣を展開させた。そのすべての切っ先が息吹の竜の向いていて、屠らんと飛来した。
 しかし、逆巻く竜胆の花弁とぶつかり擦れ火花を散らし、軌道が逸らされドラゴンはほとんど無傷で、璃奈を睨めつけた。
「……それだけでは、ないわ……!」
 短く鋭く吐息した璃奈は、《妖刀》を袈裟がけに斬り下ろし、舞うようなステップを踏んで、刀を振り上げる!
 躱されることもあるが、ドラゴンのダメージは蓄積していく。
 翼膜は破れ、鋭い爪は割れていた。
 それでもドラゴンは倒れない――その執念じみたなにかに、璃奈はうっそりと眉根を寄せた。
「きみには申し訳ないけど、おれも温泉であったまりたいんだよね」
 気配を殺し、ドラゴンに忍び寄ったなびきは、拘束具を投げつけ機動力の切削を、再度試みる。猿轡が嵌りこんだ――が、次の瞬間には食い千切られてしまった。
 そして、頬を掠める無数の鋼鉄の花が放たれた。ふわりと鼻腔をくすぐる花の香りとは裏腹に、さっくりと裂かれた頬に、ぬめる血が流れていく。
 これ以上のダメージは勘弁だと璃奈は刀剣を召喚し解き放って、花々の飛来を防ぐ。
 次いで放たれたのは、なびきによる【咎力封じ】の拘束道具だった。
「そのままゆっくり、眠りなよ。花の降る竜」
 猿轡が嵌って、縄が絡みつき、グラスアボラスは嫌がって暴れ、バランスを崩し血に倒れ伏した――瞬間、ちらつく小雪を舞い上げるような突風が吹く。
 風に巻かれたなびきは、体中に無数の傷をつけられてしまった。竜の周囲に、星桔梗の小花が大量に咲き乱れ、ドラゴンにために生命力を差し出す。
「呪いの剣よ……その花畑を呪詛で侵せ……!」
 そうは問屋が卸さない。璃奈は吶喊を上げ、呪詛を纏わせた剣を地に突き立て、衝撃波を送り込む!
 呪われた力が星桔梗の花筵を飲み込んで破壊していく――が、ドラゴンの力は高まっていて、金色の双眼には一切の諦念は浮かんでいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四王天・焔
【狐姉妹】のメンバーで参加

■心情
ドラゴンのボスかぁ、
ちょっと怖いけど、お姉ちゃん達と一緒なら負ける気がしないよ。
これを倒して、早く温泉を満喫したいな。

■行動
SPD判定の行動を行う
「ガジェットショータイム」でガジェットを召喚して戦うね。

戦闘では、「フェイント」と「2回攻撃」を駆使して、
確実に攻撃を当てる様に心がけるね
「属性攻撃」も使用して、敵の弱点となる属性を
積極的に狙っていくよ。

フラワリングブレスは「見切り」で確実に避ける様にする。
ガーデン・オブ・ゲンティアナが来そうになったら
一旦距離を置いて、届かない位置まで退避。
フラワーフィールドが使用されたら、地形を破壊するように動き、弱体化させる。


四王天・燎
【狐姉妹】での参加
「妙な花びらが舞ってるわねぇ…一波乱の予感がするわぁ、早くお酒と温泉楽しみたいのにねぇん」

【WIZ】
飛び交う花びらをUC【四神・朱雀】で燃やしつつ援護。
燦と焔に向かう攻撃は技能【オーラ防御】【かばう】を使い防ぐ。
フラワーフィールドの地形効果発動時は花畑をUCで燃やす事を優先。

隙あらば武器【紅葉嵐】を振り回し、技能の【捨て身の一撃】を使い羽の切り落としを狙う。

「言われなくても焔ちゃんはしっかり守るわよぉ~勿論燦ちゃんもねぇ♪」


討伐完了後は焔を抱っこし燦をお年玉催促をかわす。
「焔ちゃん怪我はなぁい?燦ちゃんは今年良い子にしてたら来年あげるわよぉ♪」


四王天・燦
【狐姉妹】で竜狩りだ

竜牙や鱗は錬金術師に高く売れるんだ。楽しみ…あれ?
「なんていうか花咲か竜さん? って花息荒いだろ?!」
息吹ひとつで油断が吹っ飛ぶぜ

「焔、あまり近づくなよ。姉貴はちゃんと焔を守ることっ」
符術『力場の生成』発動。撒いた符を空中に固定し足場にして突撃。アタシの役目は切り込み隊長!
ジャンプで竜に飛び乗ってアークウィンドで刺す。
「どらごんらいだーだぜ♪」
しがみ付きながらゴツゴツした身体をクライミング。
目指すは頭部で「焔を驚かした報いだ!」と眼球をブッ刺す!
「ついでに姉貴の分」ともう片方も狙う

倒したら爪や牙を採取。
「神様からのお年玉だ。そうだ姉貴、もっとくれ。去年良い子してただろー?」



竜の牙や鱗は高値で取引される――四王天・燦はニヒヒと笑っていたが、現れたグラスアボラスの様子に瞠目した。
「なんていうか花咲か竜さん? って花息荒いだろ?!」
 息吹ひとつで舞い上がる花々によって、共に戦う猟兵たちが傷つけられるのを見て、燦の油断が吹っ飛ぶ。
「ドラゴンのボスかぁ……ちょっと怖いけど、お姉ちゃん達と一緒なら負ける気がしないよ」
 しおらしく可愛いこと言う四王天・焔は、姉たちを見上げた。長姉たる四王天・燎は妹に優しく微笑み、頭を撫でた。
「妙な花びらねぇ……一波乱の予感がするわぁ、早くお酒と温泉楽しみたいのにねぇん」
「焔も早く温泉を満喫したいな」
 ぱっちりした紫の眼をふわりと細めて、これまた可愛い姿のドラゴンを見つめる。
 ともあれ、アレを倒さない限りは温泉はずっとおあずけなわけで、焔は【ガジェットショータイム】で銃型の魔導蒸気機械を召喚した。
「焔、あまり近づくなよ。姉貴はちゃんと焔を守ることっ」
「言われなくても焔ちゃんはしっかり守るわよぉ~、もちろん燦ちゃんもねぇ♪」
「アタシのことはいいの! アタシの役目は切り込み隊長! さあて、竜狩りだぜ!」
 符術『力場の生成』――エアリアルステップを発動。宙を蹴って、軽業師よろしく燦は跳ね、竜の背に飛び移ろうとした。
「燦お姉ちゃん……!」
 焔の悲愴な声を認識した瞬間、花の形をした無数の刃に斬り裂かれる――激痛、驚愕、痛恨に燦は舌を打った。
「そんなに突っ走らないのぉ」
 やんわり燦を窘めた燎だったが、その赤瞳に映り込むのは、冷厳たる怒りだった。
「可愛い妹に、なんてことしてくれるのよぉ」
 炎を噴き上げ、焔が発砲した弾丸がドラゴンを撃ち抜いた瞬間、燎の轟炎が竜の巨躯を焼き滅ぼしていく。
 竜はよろめいて、絶え絶えに息吹をすれば、星桔梗の花畑がさらなる成長をみせた。が、燎の放つ烈声に乗って、火炎の旋風が巻き起こる。
「朱雀よ!」
 炎の衣を纏い、轟炎を操る燎。そんな姉に負けじと、焔もまた魔導蒸気機械を構え無尽蔵に弾を吐き出していく。
 爆音とともに銃弾がドラゴンへと降っていく。
「天へと至る足掛かりと成せ!」
 燦は再度エアリアルステップを発動させて、ジャンプで竜に飛び乗って《アークウィンド》で刺そうと躍起になる。
「どらごんらいだーだぜ♪」
 頭部を目指し、しがみ付きながらゴツゴツした身体をよじ登り始める――戦闘が終われば、この皮だって剥いでやるという楽しみもある。燦はそうして己を鼓舞した。
「焔を驚かしたむ、うあ!?」
 今度は落ちないように握っていたが、目指した眼球へと刃を突き立てようっとした瞬間、ドラゴンが燦を振り落とそうと暴れ、それに対応できず燦は地面に叩きつけられた。
 だが暴れるドラゴンの隙を見出した焔は、銃型ガジェットの引き金を引く――マシンガンの如く銃弾が発砲されて、雨あられと降り注ぐ。
 弾丸の雨の中、《紅葉嵐》を振り回し、捨て身の一太刀を浴びせようと疾駆するのは、燎だった。
 紅葉が風に遊ばれ舞い上がるように、燎は薙刀を手に肉薄し、強烈な刺突を繰り出した。
 柄を伝播してくる手ごたえに、心を掠めたそれは確信へと変わる。

 ふぉぉお……ぉぉぉ……

 悲痛な鳴き声を上げて、グラスアボラスは力尽き、どうっと地響きを鳴らして倒れ伏した。
 止まった吐息では、草花から生命を吸い取ることもできまい。
 冷たい風が、草原を吹き抜けて、落ちた雪片を舞い上げた。
 そんな中――
「神様からのお年玉だ!」
 ほくほくと割れた爪を拾い上げた燦がいた。
「焔ちゃん、怪我はなぁい?」
「焔は大丈夫だよ、お姉ちゃんも無事でよかった」
 なでなでと末妹を(妖狐だが)猫っ可愛がりしながら、ふふふと笑い合う二人を振り返って、
「姉貴、お年玉くれ。去年良い子してただろー?」
「燦ちゃんは『今年』良い子にしてたら来年あげるわよぉ♪」
「まるっと一年先じゃねえか……!」
 くっそー! と口汚く悪態をついて、真の目的(それが本当に価値あるものなのかはさておき)をポケットに仕舞い込んだ。
 草原に、ようやく安寧の沈黙が漂った――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『温泉でリフレッシュ!』

POW   :    熱い温泉で耐久チャレンジ!

SPD   :    打たせ湯でコリをほぐそう!

WIZ   :    魔法の電気が流れてる温泉で血行を促進!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●立ち昇るのは湯気
 雪はいよいよ本格的に降り始めた。
 気温もきゅうっと下がって、体が凍えそうだ。
 小川の上流の最終点――牛飼の青年が見つけた温泉は、確かに岩石で補強がなされ、ちょっとやそっとでは崩れたりしない風呂になっている。
 打たせ湯になり得る地形ではないのが残念だ。湯温は摂氏42度ぐらいだし、驚きの効果が隠れているわけでもなさそうだが、広さは十分だ。
 手足はのびる。疲れはとれるだろう。効能は――源泉が発見されたばかりでよくわからない。
 なにはともあれ、水着の準備はいいか? 持っていなければ貸し出そう、キミならどんな楽しみ方をするだろうか。
四王天・焔
【狐姉妹】で参加

SPD判定の行動

■心情
ドラゴン、無事に倒せて良かったね。
それじゃあ、温泉でゆっくりと疲れを癒す事にしようね、お姉ちゃん達。

■行動
青を基調としたビキニタイプの水着を着用して、温泉に浸かるね。
「はぁ~、良いお湯だね、これまでの疲れが一気に取れる感じがするよ」
「打たせ湯、とっても気持ち良いな」

後は、燎お姉ちゃんにお酒をお酌してあげようかな。
「燎お姉ちゃん、お酒はほどほどにしないとダメだよ~」
「燦お姉ちゃんからも言ってあげてね、お酒は飲み過ぎちゃダメだって」

それが終わったら、皆で思う存分温泉を堪能しようかな。


四王天・燦
【狐姉妹】温泉に行くの巻

「これがアタシの限界だ…」
肌を晒すのは心を許した相手だけ(長々と純情トーク)
ビキニにサラシを巻き、更にバスタオルというマトリョーシカ状態だ

「焔もろりこんに狙われねーよう肌は隠さなきゃ」と堅物全開。
姉貴には「それは水着なのだろうか」と諦観

「あがががが」とエレクトリックショックを楽しんだ後は一杯やるぜ。
「とある場所(※燎の部屋)に隠されていた御稲荷大吟醸! 酒のアテは、竜の骸を売った金で買占めた油揚げ!」
未成年なので燎姉に止められるけど…やられぱなしのアタシじゃない。
暗殺技能を活かし鋭く…姉貴が一気飲みした刹那に脇腹をつつくっ。
「焔の言う通り、お酒は程ほどだぜ? ふふん♪」


四王天・燎
【狐姉妹】参加
マイクロビキニを着て温泉へ。
手には木製の桶…中には日本酒が入った大量の徳利とお猪口。
「うぅ…流石に冷えるわねぇ、早く入りましょ♪」
桶を湯船に浮かせ、妹二人の手を引き温泉に足先を入れゆっくり浸かる。


焔からお酌を受け一気に飲み干す。
「はぁ~良い湯だわぁ~お酒も美味し~ぃ♪」
耳を動かしつつ焔の頭を撫でながら。
「この位飲んだ内に入らないから大丈夫よぉ♪」

燦が持ち込んだ酒瓶を見て。
「それぇ~私の隠してたお酒じゃなぁい?」
燦の手から奪い取り油揚げを指で摘んで口に運ぶ。
「お子ちゃまは飲んじゃだぁ~めっ」
脇腹を突かれ飛びはねる
「もぉ~びっくりするじゃなぁい…雪見酒だから良いのよぉ♪」

アドリブOK



●狐姉妹、温泉に行くの巻
 長姉は、白い肌に食い込む黒のマイクロビキニを見事に着こなしている。
 青を基調にした可愛いデザインのビキニは、青髪青瞳の末妹によく似合っていた。
 そして、真っ赤になってバスタオルで体を必死に隠すのは、次姉の四王天・燦。
「燦お姉ちゃん、動きにくくない? そんなに寒いなら早くお湯に浸かったら?」
「これがアタシの限界だ……」
 青い眼をぱちくりして問う四王天・焔に、燦は寒さのためか、それ以外の理由か――あるいはそのどちらかか――ぶるぶる震えて、あられもなく肌をさらす二人に指を突き立てた。
「姉貴も焔もおかしいぜ! なんだってそんな恰好が出来るんだ! ていうか心許した相手の前でしか肌なんてさらすもんじゃないし! いや、さっきまで一緒に戦った相手? それとこれは別だろ! 焔もろりこんに狙われねーよう肌は隠さなきゃなんねーだろ!? 姉貴のそれは、もはや水着じゃないし! 紐だし! いや、待って燎姉! バスタオル引っ張んないで!!」
「んもぉ、ほんと燦ちゃんは純情乙女ちゃんなんだからぁん。はやく一緒に入りましょ~♪」
 四王天・燎は豊満なバストを揺らして、燦のタオルを無邪気を装って力強く引っぺがした。
 しかしその下にはサラシが巻かれていて、露出面積は姉妹の中で一番狭い。
 燎の手には、バスタオルに未練たらたらな燦と、木製の桶。桶の中はもちろん酒だ。
「うぅ……流石に冷えるわねぇ」
 桶を湯船に浮かばせ、ぎゃいぎゃい騒ぐ燦と、ほんわりにっこりしている焔の手を引いて、ゆっくりとつま先から入っていけば、きんきんに冷えたつま先が痺れて、じわんと温まり始める。
「はぁ~、良い湯だわぁ~」
「はぁ~、良いお湯だね」
 燎と焔が同時に溜息をついた。同じタイミングで同じことを口にしたことに二人は顔を見合せて、ふふふと笑い合う。
「お酒もおいし~ぃ」
 ひと仕事を終えてからの酒はまた格別だった。体の中からカッと燃えるように熱くなる。
「アタシ、ちょっとアッチ行ってくる」
 肩まで湯に浸かり、まるで生首が動いているかのようだが、これならば肌が衆目にさらされることもない! と気づいた燦はすいすいっと二人の傍を離れていった。
 姉を見送って、もう一息つけば、今日一日の激闘の疲れが一気にとれる気がする焔だった。体がじわじわと温かくなってくると、
「燎お姉ちゃん、注いであげるね」
 言下、思いのほか喜んでくれた燎が突きだす猪口を、酒で満たした。それを一口で飲み干した姉の頬はすでに朱がさしている。
「焔ちゃんからお酌してもらったお酒だから、とぉっても美味し~ぃ♪」
 耳をぴこぴこ動かして、焔の頭を撫でながら、末妹を褒める。
「燎お姉ちゃん、お酒はほどほどにしないとダメだよ~」
「この位飲んだ内に入らないから大丈夫よぉ♪」
 まったりのんびり温泉を堪能していると、バスタオル(二枚目)を巻いた燦が仁王立ちをして二人を見下ろしているではないか。
 ふふふ……としたり顔で笑う彼女が持っていたものを突きだして、
「見ろ! とある場所に隠されていた御稲荷大吟醸! 酒のアテは、油揚げ!」
 アタシのオススメ品にして戦利品だ! と胸を張った。燦が持ち込んだ酒瓶を見て、目を細めたのは燎だった。
「それぇ~、私の隠してたお酒じゃなぁい? お子ちゃまは飲んじゃだぁ~めっ」
 燦の手から秘蔵の酒を奪い取り、持ってきてくれた油揚げを摘んで食う。
「んう! 美味しいぃ~お酒がすすんじゃうわぁん♪」
 酒を飲める歳ではない燦は、燎に酒瓶を没収されて、油揚げまで奪われた。
 しかし、やられっぱなしの燦ではない。
 暗殺技能を活かし鋭く――姉が猪口をぐっと煽った瞬間を見逃さず、がら空きになった脇腹を、刺突!
「うひゃんっ」
 脇腹を指で突かれて飛びはねた姉に満足して、燦はにんまりと笑みを深めた。
「ふふん♪」
「もぉ~びっくりするじゃなぁい……」
 真っ赤な頬の燎は、それでもウフフフと笑い、もう一口。米酒独特の辛味とほのかな甘みが鼻に抜けていく、芳醇で極上の一時に酔いしれる。
「燦お姉ちゃんからも言ってあげてね、お酒は飲み過ぎちゃダメだって」
「だってさ、焔の言う通り、お酒は程ほどだぜ?」
「雪見酒だから良いのよぉ♪」
 確かに、雪見酒だから、多少のはめを外したくなる気もわかった。
 妹たちは、しかたないなあと笑んで、仲睦まじく温泉を満喫するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
「そういえば、脱衣場とかないけどどうしよう…」とかふと考え、まぁ、良いか(良くない)とおもむろに考えてその場で着替えだして、他の猟兵とかに止められて物陰で着替えさせられたり。

温泉に浸かると、目を閉じて、心なしか満足げにゆったりとした感じで温泉に浸かってる様子。
クーラーボックスに入れてきたと思われるアイスなんかも取り出して、温泉満喫中。周りの人にも振る舞ったり。

着てるのは真っ白なビキニ。【誘惑3】ある為、猟兵の男性陣や村人や冒険者に無意識に色香を振り撒いたり、男性の目の前で無用心に前屈みになったり等、大胆な事をして周りを慌てさせたりしてる模様…。

「温泉は至高…。ゆったり幸せ…」


揺歌語・なびき
POW

皆お疲れ様、ということで
ご褒美だねえ

そこそこ熱いお湯がすきだから
ゆっくり浸かろうかな

水着は用意したし
髪も纏めて、と(ちゃぽん
い、生き返るぅ…(へにゃりと垂れる狼耳

雪が降る温泉なんて風流だよねぇ
広いから手足を思う存分伸ばせてほっこり

効能はまだわからないんだっけ
傷や肌荒れにいいとか、腰痛に効くとかわかるといいよね
こればっかりは詳しい人の調査待ちかな

あんまりいいお湯だからついつい長湯しちゃうよ
耐久チャレンジしてる人をのんびり眺め
このお湯、そんなに熱いかな?

とってもリラックスできたなぁ!
村の観光地になるなら、また来たいくらいだよ
皆に愛される、良い名所になるといいね


リース・フェンディット
【サードムーン】のみんなと参加
水着はよく海賊の手下が着ているような白と黒のボーダーのやつ
人間大のお風呂はサイズが合わないので浮き輪でプカプカ浮かんで「極楽なのニャ~」
アドリブ可


エルフィ・ヴェレキア
【サードムーン】の皆で参加
アドリブ可
水着は何故かあったスク水

わーい!おーんせーん!
……って飛び込んだはいいけど、人間サイズの温泉だから
当然足がつかずに溺れちゃうよ……

助けてもらった後は桶にお湯張って貰ってそこで温泉を楽しんじゃおう!
ごくらくにゃーごくらくにゃー


マリオン・ペンタグラム
【サードムーン】の仲間と行動
水着は胸や腰部分にパレオの付いた可愛い系(性別紛らわしくするために!)

私、温泉って初めてです
故郷は温泉なんてあるところじゃなかったですし…
えぇっと、とりあえず水着?に着替えて入ればいいんですね?
水着は持ってないですし、借りられるものを借ります

>温泉
しっかり肩まで浸かってとろけます
温泉ってこんなに気持ちよかったんですね……

温泉に浸かりながら二人にお礼を言います
二人のおかげで怪我もなく終わりましたから、嬉しいです

あとは、同行された方たちにもお礼を言いたいですね
皆さんのおかげで初めての温泉に入れましたから



●舞い落ちるのは雪花
「みんなお疲れ様!――ということで、ご褒美だねえ」
 揺歌語・なびきの一声。
 目の前に広がるのは、でーんと広がる泉。たまにポコポコと気泡が上がってくる場所がある。そこがまさに温泉が湧き出しているところなのだろう。
 そわそわと逸る気持ちを抑え、そそくさと物陰に入り用意してきた水着に着替えたなびきは、ぎょっとなった。
「そういえば、脱衣場とかないけど、どうしよう……まぁ、良いか……」
 とかなんとか言いながら、服を脱ぎ始めるではないか!
「ぜんぜん、よくないよ!」
 音速のツッコミが雛菊・璃奈に放たれた。銀瞳をぱちくりさせて、璃奈はきょとんと一瞬の逡巡。
「女性ばっかだけど、目の前にいるの男だし」
「あっちの岩陰だと隠れられますよ」
「ん、わかった……着替えてくるよ……」
 胸と腰をふわりと軽やかなパレオで隠したマリオン・ペンタグラムが、木立を示して璃奈を誘導した。
 可愛い水着を着たマリオンは、ほっと息をついて、エルフィ・ヴェレキアとリース・フェンディットと合流。
 下っ端海賊を彷彿とさせる白黒ボーダーの水着を穿いて、手には膨らまし済みの浮き輪を持っているのはリースで、どこの学校のものかは分らないがエルフィが着替えてきたのは、紺色のスクール水着だった。
 なびきもまた、灰緑色の髪を束ねて温泉の中へ――
「い、生き返るぅ……」
 今まで死んでいたわけではないが、温泉に入ると生き返ってしまうのはなぜだろう。
 狼耳がへにゃりと垂れて、冷え切った体の奥底がじわじわと温かくなってくれば、眦も下がる。
 温泉好きのなびきは、長い手足を思う存分伸ばして、空を見上げた。
 雪がチラついているから青空ではないものの、どんより重たい感じもしない。通り雨――ならぬ通り雪かもしれない。しかしそれも風流で善き哉。
 熱めが好みのなびきは、ぽこぽこと気泡が上がってくる方へと近づく。さすがに湯温が上がったように感じる。ここでゆっくりじっくり温まろう――と腰を落ち着かせたときだった。
「これで入れる……」
 真っ白いビキニに着替えてきた璃奈は、その大いなる第一歩を踏み出した。
 熱い――それは璃奈の指先が冷え込んでいるから。
 やわらかくて熱い湯の中へ入ってしまえば、あとは至福の時が待つだけ――満足のため息をついて、目を閉じた。
 ふうぅ……。
 魂が解けていくようだ。このなんともいえない極上の一瞬のために、オブリビオン退治を頑張ったのだ。その喜びもひとしお。
 その崇高な時間に割って入るのは、賑やかな声だった。
「わーい! おーんせーん!」
 喜び勇んで飛び込んでいくのはエルフィ――だが、フェアリーの彼女には深すぎた。当然、足がつかずにブクブクボクボクッと激しく気泡にまみれ、水しぶきを上げて、エルフィは溺れる寸前だった。
「ニャー!?」
「エルフィさん!?」
 驚いたのは、二人の方だった。慌ててすくい上げたマリオンは、心配そうにエルフィを気遣う。
「まさか、着いて早々に溺れるとは思いませんでした……」
「気をつけるニャ、エルフィ」
「えへへ……失敗失敗……マリオンくん、猫さん、ありがとね」
 マリオンの手の上で頭を掻く。びしょびしょのエルフィは、彼に湯を入れてもらった湯桶に入り、ふわわわぁ……ととろけ始めた。
 リースもエルフィよりは大きいが、このままだと溺れかねない。しかし、そのための浮き輪だ!
 すちゃっと装着して、プカプカ、ぴちゃぴちゃ浮かぶ様子に、どこからともなく「かぁ~わぁ~うぃ~いぃ~」という声が聞こえてきそうな、あざとさがあった。
「極楽なのニャ~」
「ごくらくにゃーごくらくにゃー」
 リースのマネするエルフィもあざとい――ハイ、かわいい。
「ふふふ、二人とも楽しそうですね」
 マリオンはしっかり肩まで浸かって、一日の疲れが溶けだしていくのを実感していた。
「温泉ってこんなに気持ちよかったんですね……」
 はあああぁぁぁ……。
 自然と吐息と一緒に声が漏れた。このまま気持ちよくなって蕩けてしまいそうだ。しかし、言っておかなければならないことがある。
「二人のおかげで怪我もなく終わりましたから、嬉しいです」
 それだけではこの気持ちを抑えることはできない。初めての温泉を体験できた喜びが込み上げてくる。
 マリオンはリラックスしているなびきたちに向かって、
「初めての温泉に入れたのも、みなさんのおかげです」
「それはお互い様だよ」
 こうして好きな温泉に入れるのは、無事に勝利を収めることができたからで、それはきっと、誰か一人欠けても成し得なかったことだろう。
 棒アイスを頬張っていた璃奈も、礼を言われるようなことではないと軽く手を振って、ほどけていくように眼を閉じ、くあっと小さな欠伸をした。
「そう、アイス……みんなも食べて……」
 クーラーボックスを示して璃奈が勧めれば、「じゃあエンリョなく! いただきます!」ときっちり礼を述べたエルフィがすいっと飛んで行く。
「ボクももらってもいいかニャ?」
「ん……好きなだけ食べて……」
「ありがとニャ!」
 ばしゃばしゃとアイスを目指して泳ぐリース――ハイ、かわいい。
 銀色の狐耳に雪花が舞い降りて、耳先をわずかに冷やしていく。
 ひらりひらりと舞い落ちてくる雪の、なんと風情のあることか。
「温泉は至高……ゆったり幸せ……」
 ふいーと頬を紅潮させた璃奈の耳に届いたのは、聞き覚えのある男の声――。
「お! 先客がいるじゃないか!」
 がやがやと賑やかな集団がやってきたかと思えば、街道を敷くために働いていた村人と冒険者のカルロスだった。
「いやあ、あんたらには世話になったなあ!」
 豪快に笑うカルロスだったが、少し逆上せた璃奈の姿を見て鼻の下を伸ばし、酒を煽るマイクロビキニの女を見て慌てて視線を外した。
「……にいさん、女の子ばっかりで、よく平気で浸かっていられるなあ」
「へ? お、そういえば、そうだね……」
 先刻まで彼女らと戦線に立っていたのだ。むろんそういった対象ではない。なびきは適当に笑って受け流した。
「この温泉の効能って、まだわからないんだっけ……傷や肌荒れにいいとか、腰痛に効くとかわかるといいよね」
 こればっかりは詳しい人の調査待ちかな、と付け加える。
「しかし、ここはいいね。村の観光地になるなら、また来たいくらいだよ」
 なびきの言下、村人たちの表情が輝いた。
「聞いたか、やっぱり牛飼いのライルの言う通りだ」
「だてにジョーの尻を撫で回してねえってことか」
 この温泉を見つけた青年と牛の話を聞きながら、なびきは苦笑を禁じ得なかった。
「賑やかな連中でしょう、この陽気な感じでオレのことも迎えてくれて」
 カルロスは、濡れたタオルを頭の上に乗せて、笑っている。
 なびきも陽気に話し合う彼らを見つめ、安全が確保できてよかったと胸をなで下ろすのだった。

「皆に愛される、良い名所になるといいね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月09日


挿絵イラスト