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バトルオブフラワーズ⑨〜想像を創造し総憎せよ

作者：にゃあら

●理論上は異常に強い
　花の乱れる空間に、彩られた地面。其処に佇む生命――否。奇怪に機械を操作する、喜劇じみた『オブリビオン』の気配。それは何度でも蘇り、海の底で眠る事知らぬ怪人幹部。エイプモンキーの貌（かたち）で在った。
「ウッキー！　ミーの最強無敵なマニアック理論で猟兵どもはぎったんぎったんのぐっちょんぐっちょんのメッタメタだッキー！　メタなユーベルコードだけにッキー！」
　自らの想像力が及ぶ限りのあらゆるものを創造できる能力――如何様ともチートとも呼ばれそうな能力を揮い、理論上は無敵を誇るものだ。もはやエイプモンキーを止められるものは存在しないだろうか。拒絶せよ。
「キッキッキ――どんな奴が相手でもミーを倒す事は不可能だッキー！　さっさと莫迦どもを倒してバナナでも食べるんだッキー！　でもコンコンする必要は無いんだッキー！　ミーが世界を壊してウーキッキッキッキッキー！！！」

●グリモアベース
「はい。はいはいはい！！！　隣・人（六六六番外・f13161）ちゃんですよ。遂に。遂に隣人ちゃんの出番が。戦争の予知が来ました。今回の相手は強敵猿猿……エイプモンキーですね！！１　ええと。資料によりますと『システムフラワーズ』の内部、花々が咲き乱れる空間にて転々と移動し猟兵を待ち構えて在るようですよ。いやー。面倒臭い幹部ですね。そうそう。幹部級ですので『先制攻撃』してきますよ。何でも【猟兵のユーベルコードを『認識』して必ず『カウンター』してくる】そうですよ。猟兵さん達が考える事柄はカウンターへのカウンター。自身の弱点を破られ、如何に突破するのか。因みにマニアックなものが刺さるそうですよ。ウンチクにはウンチク。メタにはメタ。マニアックにはマニアックです。さて――皆さん、いってらっしゃい！！！」
　グリモアが輝いて。

第1章 ボス戦 『マニアック怪人『エイプモンキー』』

POW   :    マニアックウェポン 対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【敵に有効なマニアックな装置】が出現してそれを180秒封じる。 SPD   :    マニアックジェット 【敵のユーベルコードを回避する装置を作り】対象の攻撃を予想し、回避する。 WIZ   :    マニアックマシン 対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。 イラスト：柿坂八鹿 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　キッキッキ――エイプモンキーの笑い声が、咲き乱れた花に揺らぎを齎す。怪人幹部とも称される『無敵最強の猿』は理論と呼ばれるユーベルコードを携えて、転々と猟兵（君達）を――ミーの超越性（マニアック）を魅せてやるんだッキー！


世の中には時短料理というものが在る。極力時を速めてかつ美味なるものを作る、主婦や料理人の誇りを賭けた勝負――アンネリーゼ・ディンドルフ（オブリビオン料理研究所の団長・f15093）の空腹っぷりは文字通り『過去（屍）』喰らいで、時短を超越する術を既に確立していた。過去に縛られた存在には加速が最も相応しい――エイプモンキーさん、初めまして。私はオブリビオン料理研究所の団長、アンネリーゼ・ディンドルフです――猿の頭部に詰まった塊、此れを狙うのかとウッキウッキと笑い始める。されどエイプモンキーはふざけても幹部。礼儀正しき頭を下げて。
　キッキッーなかなか礼儀正しい猟兵だッキー！　だけどミーの賢さには遠く及ばないッキー……？　ウキ―！！！
　矢は命中した。不意に突き刺さった時間が、鎧諸共『毒』に侵される。此れが長引けばエイプモンキーも相当な生命（力）を消耗した筈。されど――残念だッキー！　おまえの弱点は見破ったッキ。時間に束縛されなければ良いんだッキー！　時間なんてのは過去現在未来においてミーの支配領域だッキー！　ある意味回避出来たんだウッキー！！！
　機体に取り付けられたのは未知なる時計。偏在する『それ』はもはや毒を受け付けない。エイプモンキーが繰り出す攻撃は回避できたが、現状『オブリビオン』を食べる事は不可能に近い――サラバだッキー！

　おなかがぐーるぐると鳴った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

シュレディンガーと説くには美し過ぎる外見で、胡・翠蘭（鏡花水月・f00676）の姿形を不可視にするのは困難だろう。されど人間の可能性は無限大で、ユーベルコードの自由度は桁違いと思考可能だ――あらあら…ふふ、随分と自信をお持ちのようですわね――遠慮も配慮も、過去からの侵略者に容赦は要らない。其処には明鏡止水、クリスタルよりも『視得ない』妖艶さが在った。最も熱や音は隠しきれない。
　故に人間は技術を詰め込む。炎と氷を『触れた』状態で創造し、忍び足で気配を消せば『不可視』『不可知』の完成だ。あとは敵の懐。エイプモンキーの死角から暗殺を――鉄扇が踊る。機体の脆い部分へと振り下ろされ。
　ウッキー！　甘いんだッキー！　ミーの脳味噌はおまえの弱点を見破っているのだッキー！　おまえは音や熱、視界を覆ったが【におい】を忘れているッキー！　明記されていないからって見落としたッキな！　何よりもこんな美しい女、ミーが見落とす筈がないウッキー！　もう【視た】ッキー！
　死角の死角に打ち込まれる猿の拳――さらにおまえのユーベルコード。毎秒疲弊するものッキーな。消耗戦でミーの勝利ッキ――翠蘭を叩き退けると、エイプモンキーは次の場所へと転移していった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

君はかなりの猛者らしいね――白峰・慎矢（弓に宿った刀使い・f05296）の肉体は霊力に依って強化され、エイプモンキーと貌を遭わせる。余裕余裕とキッキッと笑う猿の言葉は苛々を増幅させるに違いない。最も、ヤドリガミに宿った思考は――どんな戦いができるか、楽しみだよ――喜びだ。弓の彼は刀を構え、奇怪な機械の想定外に真正面。されど先を往くのは念動力で、走り出したのは数秒後。
　近付くのは容易だった――ウッキー！　おまえの弱点は刀ッキな。これを奪えばユーベルコードも使えない筈だッキー――猿が創造したのは超巨大な磁石。構えられた刀を吸い込むように――キャッキャッ！　残念だったッキーな！！！
　だが。加速は止まらない。限界を越える埒外がエイプモンキーの機体に辿り着く。其処で『振り下ろす』ものは――何故だッキー！？　刀は奪った筈……キキ？　まさか――手『刀』さ！
　椰子の実を割る、達人の威力に猟兵の超越性。此れを組み合わせたならば『塞ぐ』手段など皆無に等しい――キーッキッキッキ！！　想像通りだッキー！　少し驚いた演技だッキー！　既にミーのマシンは全自動真剣白羽取りマシンだッキー！
　バシン――手刀がアームに掴まれる。マニアック理論で異常な強さを誇る『腕』は破壊し難いだろう。されど更なる攻撃を受け切れるとは想像出来ない。エイプモンキーは早々に場を『去る』のだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜（激走サイキックライダー・f03004）は何の因果か劇的か、宇宙バイクを押し付けられた一般的な埒外で在る。矛盾する言葉だが猟兵の界隈では当たり前で、よくある事に違いない――想像すべき反撃方法は宇宙バイクに細工する事だ。一定以上のスピードが出ると爆発する爆弾でも取り付けるんだろ。どうぞご自由に。
　ウッキー！　爆弾取り付けられた状態で特攻とかおかしくなったッキか？　おまえの肉体が四散してもしらないウッキーよ――無数の姿と多彩な機能を秘めた、愛用の宇宙カブJD-1725。燃費と加速性を悪くするなど以ての外だ。UDCアースで使われていたボロに……末永く愛されていた存在に負荷を掛けるのは残酷の極みだ。商用車には商用車の動かし方が存在する――のろのろ。のろのろ。バイクが鳴いた。エイプモンキーの近くへ遠くへ挑発的な安全運転――ムッキー！！！　おまえやる気あるッキーか！！！　誘き寄せは成功した。法定速度を守りながらオブリビオンを倒す。実に素敵な『規則』だろう。
　苛々と背を向けた猿の機体に、強烈な衝撃が与えられる。急加速した宇宙カブが物語におけるサイテーなオチを押し付けたのだ。されど今回の場合は最適解で、爆発オチもたまにはいいだろ！　因みに免許は限定解除済みで在る。
　ひどいッキー！！！！

　☆が綺麗だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウッキー！　弱点を破って笑ってやるのは最高の楽しみだッキー！　次の獲物は何処だウッキー――先程の猟兵に強烈なものを貰ってもエイプモンキーは揺らがない。次なる猟兵、霧枯・デスチーム（１００万回殺しても殺せない猫・f13845）を発見した。一目見た程度では彼がケットシーだと解らないだろう。だが。やはり其処は怪人の幹部、対象の存在を素早く認識し――ウッキッキ。スチームパンク系統と視たッキーな。中身は猫ッキ。ミーの想像では魔力での大爆発。酸素の無い状態を作れば何もできないッキー――エイプモンキーは文字通り酸素を無くす機械を創造した。此れで『MAX』即ち『Magic-Air Explosive』は使えないだろう。だが。
　デスチームの思考回路は闇からの一撃。対象を穿つ為に造られたメカニックのロマン――今ですガージ！　人型兵器の弱点は――視界の悪さと足の関節部。猿の死角から繰り出されたケットシー愛用の『ゲテモノ』が火花を散らして定めた部位を破壊する――ウキャキャ！？　してやられたッキー！！　ロマン溢れるカッコイイ理論。ミーも欲しいッキー――貫いた。抉り抜いた。其処から荒れ狂う弾幕。一刻も早く転移せねば行動不能に陥ってしまう。エイプモンキーは即座に場から逃れ去った。

　次に会う時はおまえのロマン、いただくッキな。

成功 🔵​🔵​🔴​

勿体ない事をした。猿の脳味噌は先程のロマンいっぱいで、油断なのか余裕なのか判断し難い始末。雷田・龍子（人派ドラゴニアンの剣豪・f14251）の眼前に出た時、ニマニマとした笑みは酷くいやらしいものに視えた――ウッキ。今度はおまえッキな。ミーにどんなユーベルコードを見せてくれるッキ？　おまえの弱点もお見通しッキャ――むんず。とも。にゅ。とも聞き取れる、不可解な行動。自らの胸元深くに手を突っ込み、呟いた言葉は――何が出るかな？
　ウッキャー！　こいつミーの想像力を封じる為に女神様の掌に身を委ねたッキな。そんな運否天賦でミーを倒せるわけ――取り出されたガジェットは如何なる輪郭で、如何なる攻撃方法なのか。出現した蒸気の塊は取っ手部分以外、全くの『不可視』で――理解出来た。此れは大剣だ。熱で切断と縫合を行う、ガジェット。
　一瞬、想像力は。創造力は雷田の方が上回った。エイプモンキーが対抗策を練る前に振り翳し、一撃。機体の腕を融かし切断するガジェットは、暴走する機関車の如くじゅうじゅうと叫ぶ。幾つかの反撃を喰らったが、雷竜のコイルが此方側の威力を増す――まずいッキな。さっさと逃げるに限るッキ！
　落ちた腕を回収したエイプモンキーは修復と共に転移した。

成功 🔵​🔵​🔴​

即席の修復を終えたエイプモンキーは更なる猟兵の『遠吠え』に遭う。其処に佇む、歓喜と思考錯誤に満ちた目は、歴戦の猛者を――何度も何度も『自分』と戦ったような――表していた。大神・零児（人狼の妖剣士・f01283）は学習し、また、対象を斬り殺す――既に何度も戦ったがこの猿面白れぇ！
　猿。エイプモンキーは悟ったこの男。人狼を倒す方法が想像し難いと。得体のしれない気配と機転の良さ。たとえ弱点が解ったとしても――ウッキッキ。だが。おまえのユーベルコードだって無敵じゃないッキー！　最強の冠はミーのものだウッキ――するり。戦闘に特化した最強の『霊』の圧。此れを受けたエイプモンキーは『自身を操らせる』類だと認識した。ならば除霊するのみ。機械を対霊体用のものに変化させ、大神を狙う――力を貸してくれ。
　されどエイプモンキーの攻撃は効果が無いと見える。何故か。答えは単純。仕掛けは簡単。霊達は全武器の『封印を解かれた』個々に宿ったのだ――思念が思念を動かした。先代達の学習力と大神自身の独学。積み重ねられた術こそが『猿』の知恵を勝ったのだ。妖刀『魂喰』が生命を望む。黒鞘の色が撲殺を欲する。
　踊り解体しそれで遊び、綺麗に割って妖刀を扱う。数多の霊に支えられた、思念の集合体が猿の悉くを切断した――ウッキ！　まずい。まずいッキ。早く直さないと殺されるッキー！！！　機体も何とか繋いでいる状態だ。

　あとは一方的に攻撃するだけだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

聖護院・カプラ（旧式のウォーマシン・f00436）は存在する。聖護院・カプラが存在する事で遍くオブリビオンは立ち止まり、一瞥すべき衝動に駆られるのだ――な。なんだッキ。この異常な【存在感】は……語尾を忘れるほどの神々しさ――エイプモンキー。強敵だと聞いています――この時点で因果は断ち切られた。🔴🔴🔴と記される結果は省かれ、世界は猟兵の勝利を祝福するだろう。

　古ブディズム解釈。

　原因と結果よりもすべての行為が運命を決定するという解釈だ。悪い行いが齎す報いは必然的に受けねばならない。ならば手刀で断ち切る必要は無く、もはや其処には『エイプモンキー敗北』の結末しか残らない。確かに猿の対策は完璧だが、物語の最後は決められて在ったのだ――ウッキャ！！！　どうしろっていうんだッキー！
　骸の海から出現した『エイプモンキー』が断ち切られる。存在感に圧倒された存在（オブリビオン）は否定の二文字に苛まれ、励ましをいただいた。もはや猿は襤褸雑巾で、逃れる力が僅かに残った程度だった。

　――いい行いを。

成功 🔵​🔵​🔴​

エイプモンキーさん、２度目まして――料理する肉すらも曖昧な、オブリビオンに対しての礼儀正しさ。もはやエイプモンキーに返す余裕はなく、機体の修復に焦っていた。すたすたと歩むアンネリーゼの胃袋はぐるぐるぐるぐると騒がしい。手を伸ばす。先程はお見事でした――握手は成立した。焦りと混乱がエイプモンキーの脳髄を襲い、対抗策を考える術すらも失っていたのだ。

　今回の私のUCの弱点を教えて下さい。

　此れがトドメへの一言に成った――ウキキ。おまえの弱点は真実を言われる事ッキな。これでミーの勝利は確実。もはやおまえに勝ち目はないッキ。ウーッキッキ……キ？　こ、此れはなんだッキな？
　ぎゃるると唸る渾身の一撃。致命の掘削。たけのこ型のドリルが機体の中央を穿ち、調理すべき中身を取り出そうと試みる。賢者の影よりも料理人の魂を思考するのが最適解だったのだ。誰も彼女を止められない。
　捌くのは容易かった。先制攻撃に対する反撃は見事に決まり、回避する必要性も無い。あとはじっくりゆっくりと、煮込むように――今度こそ食べてみたいですね――グールのお腹がぐるぐる笑った。きっと。美味しい。

　怪人幹部エイプモンキーは胃袋の中に収まった。
　されど『蘇り』は続くだろう。
　何せ想像は無限大なのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年05月12日