バトルオブフラワーズ④~その海、潮干狩らせるな!
「キマイラフューチャーが大変なことになってるってのは……もう耳タコだと思うから語らないよ」
ヤーリ・ハンナル(学食の母・f10606)は腕組みしながら溜息交じりに。
「あんたたちには、またザ・フードステージに向かって欲しいんだけど」
今度のステージは初夏の海。そこで『夏の思い出トリオ』という集団オブリビオンが、貝類の乱獲を行っているのだ。
「収穫中を急襲してしまいたいところだけどね、食材を収穫中の怪人は攻撃が無効になるという特殊能力があるんだよ……だからね」
オブリビオンたちは大量に収穫した貝を、全て浜辺に集めているので、
「それを片っ端から料理しちゃっておくれ」
その料理が美味しそうならば、食欲を刺激されたオブリビオンが収穫を中断して、料理を食べ始めるはずだ。
「食事中ならば、攻撃は無効にならないからね、撃破するチャンスさ!」
つまり、オブリビオンたちが獲ってきた貝を猟兵たちで料理し、オブリビオンたちを誘き寄せ、食べさせている最中にやっつけてしまえー! ということだ。攻撃無効さえ封じてしまえば、怪人1体1体は弱いので容易く撃破できるだろう。
自分で料理して食べさせて攻撃しても良いし、料理班と戦闘班で役割分担しても効率がよさそうだ。
『ステージ』なだけに、浜辺には立派なオープンキッチンが設置されているので、大概のものは作れるだろう。
「その海域には、遠浅の浜も岩場もバッチリ揃っていて、どういうわけか様々な地域の貝が獲れるんだそうだよ。例えば、ホタテにトリ貝、サザエにトコブシ、アサリやハマグリもまだいけるかな、ホヤもいいよね……」
ヤーリは楽しげに指折り数えると、猟兵たちをキリッと見つめて。
「キマイラフューチャーの平穏を取り戻すためってのはもちろんだけど、乱獲も許せないからね、よろしく頼むよ!」
小鳥遊ちどり
猟兵の皆様、こんにちは。
こちらは『バトルオブフラワーズ④シュウカクフードバトル』のシナリオです。
●目的
指定海域の貝を獲り尽くされないうちに、乱獲するオブリビオンを撃破する。
●特殊ルール
収穫中の怪人は、攻撃が無効化となります。
🔴が貯まり、貝を獲りつくされると敗北となります。
食べている最中は攻撃無効化が解除されますので、美味しそうな貝料理をどんどん食べさせて、やっつけてしまいましょう。
●使う貝について
旬や地域が外れてたりしても気にせず、お好きな貝類をどんどん料理しちゃってください。
●判定
もちろん基本はダイスですが、美味しそう! はもちろん、面白い! プレイングにもボーナスがつく可能性大です。
貝、美味しいですよね……飯テロ、楽しみにしておりますので、よろしくお願いします!
第1章 集団戦
『夏の思い出トリオ』
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POW : ひまわり怪人・ウェポン
【ひまわり兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : かき氷怪人・ジェノサイド
【かき氷攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 蚊取り線香怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【蚊取り線香】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
美しい青色に、白い波飛沫が映える初夏の海。
だが、そののどか且つ美しい風景をぶち壊すのは、
『ほら見ろ、お宝発見だ!』
『アワビか、でかした!』
『こっちはアサリが大漁だ。小さいのも根こそぎ獲っちまえよ!』
ガツガツと貝を獲りまくる『夏の思い出トリオ』の姿だ。
その資源保護もへったくれもない乱獲っぷりに、作戦に赴いた猟兵たちは、すぐにでもヤツらをぶちのめしたい衝動に駆られるが、なにせ収穫中は攻撃無効だ。今はその時ではない。
猟兵たちは逸る気持ちを抑え、波打ち際に目を転じた。そこには怪人たちが節操なく獲りまくった貝が山積みにされている。
浅杜守・虚露
貝料理か、手の込んだのもいいが、匂いで誘えてシンプルに手早くでいくならアレかの。
マテ貝とアサリ、ホンビノス、ハマグリもええのう。全部鍋にあけて、日本酒で酒蒸しにしよう。余計な味付けもいらんし貝自体の味が良くわかるからのう。
日本酒で蒸し煮にした貝、蓋を開けた時の匂いで充分誘えるんじゃないかの?
あとはこっちのもんじゃ。オブリビオン目掛けて渾身の張り手でも叩き込んでやるかのう。
飯の邪魔はしたくないが、まぁ今回は仕方なかろうて。今後の楽しみを奪わん為に、乱獲は止めんとのう。
「貝料理か、手の込んだのもいいが、匂いで誘えてシンプルに手早くでいくならアレかの」
無雑作に山積みにされた貝の山から丹念に材料を選び出しているのは、浅杜守・虚露(浅間雲山居士・f06081)。
「マテ貝とアサリ、ホンビノス、ハマグリもええのう」
怪人たちは猟兵たちがせっせと貝を選んでいるのにも気付かない様子で、砂浜や岩場、そして海中に潜って乱獲を続けている。
虚露は材料選びを終えると、素早くオープンキッチンに移動して調理を始めた。
「日本酒で酒蒸しにしよう。余計な味付けもいらんし貝自体の味が良くわかるからのう」
荒い桶とザルを使って流水で貝を丁寧に洗い、貝殻が割れないように丁寧に雪平鍋に移していく。そこに酒を注ぎ、火を点けて蓋をする。
ちょっと待って、砂抜きしなくて大丈夫? と疑問に思う方もいるかもしれないが、なにせキマイラフューチャーの貝である。洗うだけでオッケー! なのである。嬉しいね!
そうしている間にも、蓋をした鍋の中からパチッ、カシャ、と貝が開く音が聞こえてくる。
「む、そろそろよいじゃろうか」
そっと蓋を開ければ、ふわりと美味しそうな香りが湯気と共に立ち上る。その香りは風に乗って、海の方へと漂っていく……。
貝は半ば程が口を開けていた。火を止め、余熱が行き渡るようにそっと鍋を揺すっていると。
『いい匂いだな……』
やってきたのは熊手を持ったかき氷怪人であった。蓋を開けた時の香りに引き寄せられてきたらしい。
「よいところにきたな。食べ頃じゃよ」
うっすらと笑みを浮かべて虚露は、怪人に席を勧める。そわそわと椅子に腰掛けた怪人をじらすように貝を皿にたっぷりと盛りつけ、
「4種の貝の酒蒸しじゃ」
箸を添えて供した。
いただきます、もそこそこに怪人は貝をほじりだす。
『いい火の通り加減だ。うむ、旨い。このぷりぷり感と口に広がる旨味がたまらん』
「お前さんらが獲った貝が新鮮じゃから、旨いのであろう」
世辞など言いながら虚露はさりげなく怪人の背後に回り、
「飯の邪魔はしたくないが、まぁ今回は仕方なかろうて。今後の楽しみを奪わん為に、乱獲は止めんとのう……」
ターゲットに聞こえないように呟くと。
「――悪鬼倒滅、んどらぁ!」
いきなりユーベルコード【鬼手形】を発動し、横手から渾身の張り手を見舞った。
『ぐわあ! 何をする……ッ』
椅子やテーブルばかりでなく、周囲の砂が抉れる勢いで怪人はふっとばされたが、
『かっ、かき氷攻撃!』
苦し紛れに放たれた反撃により、
「むっ!?」
メロンシロップまみれのかき氷がビシャッ、と目潰しのように虚露の顔にかかった。しかし所詮苦し紛れ、その攻撃には、力も冷たさも足りない。ぶんと頭を振ってへばりつくかき氷を払った虚露は、
「もう一発喰らいたいか!?」
腰を落として再び怪人ににじり寄り、
「んどらぁッ!」
渾身の一撃で、今度こそ海の彼方へと張り飛ばしたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
モニカ・ノイチェ
フードバトル、食べるのではなく食べさせるのですね。困りました…(料理音痴)
ハマグリ使用。炭火で焼くだけ。最後にちょん、とお醤油を垂らすだけで香ばしい香り漂う立派な磯焼きができるはず。
味見兼ねて一つ試食。うん、美味しい!
焼くだけなら簡単ですね、どんどん作っていきましょう。でも貝って火の通りが少し分かりにくいですね。(料理音痴故に生焼けも混在)
POW
ハマグリ一つ食べたので少し気力UP
敵の攻撃は【武器:大盾】で防御しつつ【盾受け、力溜め、カウンター、シールドバッシュ】で反撃する流れ。
あら?攻撃してないのに倒れてる怪人がいる?え?腹痛?…やっぱり私は料理だめね。落ち込みます。
連携アドリブいじり歓迎です
「フードバトル、食べるのではなく食べさせるのですね。困りました……」
と、料理音痴のために困っていたモニカ・ノイチェ(ドラゴニアンのパラディン・f12048)であるが。
「磯焼きなら私でもできそうですね!」
バーベキューグリルに炭火を起こし、焼き網を温めている間に貝の山からハマグリを選び出す。なかなか立派なものが揃っている。
洗ったハマグリを網の上に乗せて焼いていくと、パカッ、パカッ、と貝が口を開けてきた。火から逃げるように、身が上側の貝に貼り付いているのでひっくり返してもうひといき。
「開いたら火が通ってきた証拠と聞いたことがありますが……」
焼いても焼いても一向に開かない貝が幾つかある。
開かない貝は、焼く前に死んでいたり痛んでいたものなので、食べてはいけないのだが、なにせ料理音痴である、モニカはそんなことは知らない。
「開けてあげましょう! えい!」
力技で開いてしまう。
とりあえず身が膨らみ、ぐつぐつと美味しい汁が貝の中で沸いてきたので、焼き具合はよいようだ。
「仕上げに、ちょん、ちょん、っと」
醤油をたらしていくと、香ばしい香りが漂ってくる。味見を兼ねて一つ試食してみた。
「うん、美味しい!」
ぷりぷりの食感と、口に広がる濃い旨味に、もりもりと気力がアップする。
そこに。
『焼きハマグリが。旨そうだな』
『いい匂いだなあ』
鼻をひくつかせてやってきたのはヒマワリ怪人と、蚊取り線香怪人。
もちろんモニカは愛想良く2体の怪人にハマグリを勧める。
『あちっ、でも旨っ』
『シンプルだけど、ハマグリはこれが一番かもなあ』
怪人たちは焼きたてのハマグリに夢中になっている……と。
「てえいっ!」
ヒマワリ怪人を、モニカの剣が襲った。
『ぐわあっ、何をする!』
黄色い花びらを散らせながら倒れ込んだヒマワリ怪人は、それでも、
『種射撃!』
顔から無数の種を撃ち込んできたが、そのくらいは想定内、モニカは盾で猛烈な射撃防ぎながら、
「トドメよ!」
ヒマワリ怪人の顔の真ん中に剣を貫通させた。
「さあ、次よ」
倒した敵を顧みることなく、モニカは素早くもう1体の蚊取り線香怪人の方を向いた……が。
『……うううう、腹が……』
怪人は真っ青な顔で(元々だけど)腹を抑えて倒れ込んでいる。
どうやら開かなかった貝を食べて、速攻当たってしまったらしい。
「お、オブリビオンさえ当たらせてしまうなんて……」
苦しむ怪人の様子に、モニカは悄然と呟いた。
「やっぱり私は料理だめね……」
大成功
🔵🔵🔵
赤星・緋色
おっけー、なんやかんや料理してついでに怪人を倒してくればいいんだね
一応料理技能は持ってるし!
ダッシュで貝が集められているところに行って回収
私はムール貝を使った料理かな
まずはルームのワイン蒸しを作るよ
下準備が面倒だけど
ガーリックオイルにバター、白ワインを加えて蒸して
それを食べてる間にムール貝を使ったパエリアも
共通の材料と工程が多いから準備短縮
鍋に材料を入れて炒めて米を加えて、だし汁を加えて水分飛ばして
蒸す途中で分けた貝を加えて、合わせて蒸したら完成かな
うんうん、頑張って料理を作ったよ
他の人が怪人倒してくれたら出番は無い気がするけど
一応戦っておいた方がいいよね
ガトリングでまとめて薙ぎ倒しておくよ
「おっけー、なんやかんや料理してついでに怪人を倒せばいいんだね!」
赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)は、料理技能を発揮するチャンスと張り切っていた。まずはダッシュで貝の山からムール貝を選び出す。
「まずはワイン蒸しを作るよ!」
本来ムール貝の下ごしらえは、タワシでひとつひとつゴシゴシと貝殻をこすって藻を落としたりしなきゃで面倒なのだが、さすがキマイラフューチャー、ちょっと洗えばあらキレイ……嬉しいね!
キレイになったムール貝を鍋に入れ、ガーリックオイルにバター、白ワインを加えて蒸しはじめる。
その香りだけで、
『むむ、洒落たもん作ってんじゃねえか』
『俺たちにも食わせろよ』
かき氷怪人と、ヒマワリ怪人が、鼻をひくつかせながらやってきた。
「すぐ出来るからお席にどうぞ」
緋色は愛想良く応え、香り高い仕上がりになったムール貝のワイン蒸しを、怪人たちの前に並べた。
「はい、どうぞ。パエリアも作るからこれ食べて待っててね」
笑顔を保ったまま緋色は次の料理を手早く作り始める。フライパンにオリーブ油を熱し、ニンニクとタマネギを炒め、生米を投入。米にオイルがまんべんなく回り、透き通ってきたところで白ワイン蒸しの方に残った美味しい出汁を加える。サフランや調味料、アサリのむき身を入れ、水分を飛ばしながら炊く。米の具合を見て、残しておいたムール貝を並べ、蓋をして蒸し上げる。
工程は多いが、先にワイン蒸しを作っておいたのでその分時間短縮できた。
「うんうん、私、頑張った!」
蓋を取ればふわりと海の香と、お焦げの香が立ち上る。
会心の仕上がりのパエリアをフライパンごと怪人たちの元に持っていく。
「どーぞ、召し上がれ!」
『おお! 豪華だな』
『こんなに短時間で作れるとは、お前やるな!』
「ごゆっくりどうぞ~」
怪人たちは早速パエリアにがっつき、緋色は後退るようにしてオープンキッチンへと戻る。
そしてカウンターの陰でガトリングガンを手早く組み立て、ユーベルコード【セミオートバースト】を発動する。カウンターの上に銃口が覗いていることを、パエリアに夢中の怪人たちは全く気付いていない。
「ひっさーーーつ!」
ズガガガガガガガガ……!
パエリアで口をいっぱいにしていた怪人達は、悲鳴を上げる暇さえ与えられず銃撃に薙ぎ倒されたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
本城・やぐら
貝と言えば食べて美味しいのは勿論、ステキな貝殻は絵の題材にも、砕けば絵の具にもなってくれるステキ食材ですね♪
それを乱獲するなんて酷いです!
ともかく怪人達の攻撃無効化解除の為に美味しい貝料理を作りますよー♪
ツルッとした貝殻が素敵な蛤をお澄ましと焼き蛤にしてみます。
我ながらふっくらした身と上品な味が堪らない感じに仕上がりました♪
団扇を使って良い香りを怪人達の方に送って呼び込みます。
怪人達が夢中になったら【琳派百図】で攻撃します!もちろん描く絵は様々な貝図♪
終了後:
貝殻は綺麗な絵を描いて貝合わせに使うのも良いですね?
参加された皆さんに「画材や画題にするので貝殻を頂けないでしょうか?」と伺ってみます♪
「貝と言えば食べて美味しいのは勿論、ステキな貝殻は絵の題材にも、砕けば絵の具にもなってくれるステキ食材……それを乱獲するなんて酷いです!」
絵師である本城・やぐら(ゆるりんぱ絵師・f06242)にとって、貝は食材であるだけでなく、絵の素材でもある。彼女が愛する琳派の絵師達も多くの貝を描いているし、アカニシ貝からは『貝紫色』という高貴な紫色が作られるのだ。砕いたり、薄く削ったりすればモザイクや螺鈿細工の材料にもなる。
「ともかく、まずは怪人達の攻撃無効化解除の為に美味しい貝料理を作りますよー♪」
やぐらが選んだのは、ツルッとした貝殻が素敵なハマグリである。オープンキッチンにお湯を沸かし、半分をまずはお清まし。あとの半分は、波打ち際に近いところにバーベキューコンロを設置し、焼き蛤にしてみる。
サッとできるお清ましをまずは味見。
「うん、我ながらふっくらした身と上品な味が堪らない感じに仕上がりました♪」
焼きハマグリの方もイイカンジになってきたので、団扇を使って海の方に香りを送る。
香りに釣られたのか、怪人たちがすぐに海から上がってきた。『夏の思い出トリオ』が3体揃っている。怪人たちは焼きハマグリに気を取られつつも、少々不安そうに辺りを見回して。
『おい、先に来た俺たちの仲間を知らないか? 全然戻ってこないんだが』
『収穫しているのが、俺達だけになってしまった』
『このままでは、この海域の貝を獲り尽くすことができんのだが』
仲間の怪人が戻ってこないは、仲間の猟兵たちが誘き寄せ、片っ端から倒してしまったから! と、本当のことをいうわけもなく、
「私は存じませんけど……」
やぐらは可愛らしい困り顔でしらばっくれる。この3体がラストのようだから、逃すわけにはいかない。
「ここで私のお料理を召し上がりながら、待ってみたらいかがです?」
目の前にじゅわじゅわジューシー熱々のハマグリを出されて、手を出さない者がいようか。
「お清ましもどうぞ♪」
怪人達はすぐに料理に夢中になった。
その様子を確認したやぐらは、キッチンカウンターの陰でお玉から筆に持ち替えると、ユーベルコードを発動した。
「琳派百図!!」
素早い筆さばきが、怪人たちを染め上げていく。もちろん描く絵は様々な貝図だ。
『ぎゃあっ!』
鮮烈で自由な琳派風の貝図に海へと押しやられながら、怪人たちも苦し紛れのように反撃してくる。その攻撃をやぐらは機敏に躱したが、
「うっ、目に染みますっ」
蚊取り線香怪人の煙が目に痛い。
だが、辺りを染め上げたやぐらの絵は、彼女自身をもパワーアップしている。涙目になりつつも、やぐらは渾身の力で巨大なホタテ貝を描き上げた。ホタテ貝はぱっかんと大きな口を開けると、
『う、うわああ……!』
「自分たちが乱獲していた貝に呑み込まれるとよいのです!」
3体の怪人を一片に呑み込み、海へと静かに消えていった。
『夏の思い出トリオ』を全て撃退し、静かな海が戻った。残ったのは、怪人たちが獲りまくった大量の貝だ。せっせと料理したが、まだたくさん残っている。小さなものはなるべく海に戻してやることにして、あとは猟兵たちでお土産として分けることにした。
やぐらは貝を分けながら仲間たちに
「画材や画題にするので貝殻を頂けないでしょうか?」
と頼んでいる。貝殻は絵を描いて貝合わせに使うこともできる。
食べて美味しく、獲って楽しく、アートの素材ともなる貝を怪人から守ることができ、猟兵たちは達成感に満ちた笑みを交わしたのであった。
大成功
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